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政府参考人(
岩村敬君) 二点あったかと思います。
最初の
不良債権の問題でございますが、大手銀行十六行のいわゆるリスク管理債権、
不良債権でございますが、建設業に対するものは一・七兆円でございます。
委員よく御承知のように、全体では十六兆五千億あるわけでございまして、約一〇%が建設業
関係の
不良債権というふうに言われるかと思います。よく言われる、建設、不動産、流通三部門が
不良債権が集まっているといいますが、不動産
関係で三三%、そして流通
関係で一四・二%ということで、そういう中で建設業一〇%という
状況になっているわけでございます。
そういうことで、この
不良債権の問題、非常に大きな問題でございまして、本年四月六日に
決定しました緊急
経済対策の中でも、我が国
経済の再生のためには
不良債権の処理を加速し、金融の再生を図るとともに、企業の過剰債務の問題を解決し、産業の再生を進めることが重要であるというふうにされております。特に、建設産業に関しては再編の促進を図るということがうたわれたわけでございます。
今後、金融機関、
不良債権の処理を進めていくわけでございますが、その際、融資先企業が選別されるということの可能性がございます。こういう中で、建設業は不採算部門の切り捨て等のリストラをする、いわゆる単独での再建、さらには営業譲渡、持ち株会社等さまざまな形での連携が進められていくというふうに思うわけでございます。
そういう中で、
国土交通省としては建設産業の再編の促進に関する検討
委員会というのを開いておりました。そして、十月の五日に中間取りまとめをいただいているわけでございますが、その中では、大規模工事等につきまして履行保証割合、現在、国の発注するもの一〇%が保証を求めておるわけですが、これを三〇%に引き上げるということとか、特定ジョイントベンチャーにおきます履行保証の導入等が盛り込まれております。
今後、昨年成立させていただいた入札契約適正化法の的確な運用による不良不適格業者の排除の徹底、これとあわせて今申し上げたような
施策を具体化していって、建設産業の再編の促進に向けた
環境の
整備をしたいというふうに思っているところでございます。
それから、二点目のお尋ねの失業者の
関係でございますが、まず実態でございますが、総務省がやっております労働力
調査、これによりますと、建設業の就業者数は、バブル崩壊後に建設
投資が伸び悩んだわけでございますが、逆に就業者数、全体の就業者の中に占める建設業就業者の割合、ともに一貫して増加してきたわけでございます。
平成九年まで増加しております。その後、若干下がってきているわけでございます。
そういう中で、
平成二年から九年までの就業者総数の増加数、三百八万人あったわけでございますが、その中で建設業が九十七万人ということで三割を占めているということでございます。全就業者数に占める建設業の就業者は約一割でございますから、伸び率の方でいえば三割ということで、非常に、
委員御
指摘のように、
一つの受け皿になっていたんではないかというふうに思います。
ところが、十年以降、建設
市場が縮小に伴いまして就業者は今減少傾向にございます。直近の十三年九月の
調査によりますと六百四十八万人でございます。前年の同月に比べて二十九万人減ったわけでございます。十カ月連続して建設業の就業者数は減っているところでございます。
もう
一つ別の視点から、建設業で失業がどのぐらい出るんだということ、これもまた特別な
調査がございまして、総務省の労働力特別
調査というのがございますが、これは余り過去にさかのぼれないんですが、
平成十三年の八月の
調査、ことしの八月の
調査によると、完全失業者が御承知のように三百三十六万人でございますが、建設業からの失業者は二十五万人という数字が出ています。一年前までしかさかのぼれないんですが、一年前の
調査に比べると建設業の失業者は二万人減っているということで、余り失業者がふえたという
状況には、建設業からの失業者というのがふえたという数字は出ていない様子にございます。
それから、将来これどうなっていくんだということですが、建設
経済研究所の予測によるんですが、来年度の建設
投資、いよいよ十六年ぶりに名目で六十兆円を下回るという、そういう予測を立てておるわけでございまして、これで
平成十三年、今年から今後三年間で六十二万人の建設業就業者数の減少が見込まれるんではないかというふうに思っております。また、建設業就業者、御承知のように、高齢化が進んでおります。また、特殊な技術とか技能を持った就業者の占める割合が高いということで一般に他産業への転職が非常に難しい職種というふうに言われておりまして、今申し上げたように六十二万人の就業者が減少する、すなわちその方々が失業してしまうという可能性が高いというふうに
考えているわけでございます。
それから、これもまた
地域的な問題もございまして、
地域経済に占める
公共投資のシェアが高いそういう
地域、建設業以外の雇用機会が少ない
地域にとってはこの影響は大都市に比べて大きなものになるということを懸念いたしております。
こんな
状況でございますので、建設業の就業者の雇用の確保、さらには円滑な労働を図るために厚生労働省と連携しながら建設業のセーフティーネットの構築に今努めているところでございます。
具体的には、厚生労働省、そして業界団体と一緒になって建設業雇用問題協議会というのを開催しておりまして、公的部門における雇用の創出であるとか新分野、新
市場における雇用の確保、さらには雇用の創出ということを内容とする当面の建設業雇用
対策というものも九月に取りまとめて
対応に乗り出しているところでございます。
そういうことではございますが、
景気、現在後退を続けているということで、これまで、
委員御
指摘のとおり、
景気の下支えの役をしていたわけですが、
公共投資の方も来年度は当初
予算で一割の削減というようなことも
方向が出ておるわけでございまして、今後ますます建設業をめぐる
環境は厳しくなっていくものというふうに思います。
そういう中で、先ほど
大臣からの御答弁にもありましたように、雇用創出の
効果の高い
施策の
重点実施であるとかPFI、民間の力を利用するこういった事業、そういったものによって事業量の確保を図るなど雇用
対策には万全を尽くしていきたいというふうに思っているところでございます。