○大江康弘君 もう時間も大分過ぎてまいりましたが、私は、きょうここに座っておりまして初めて、おやじが死ぬ前に人間というのは人の立場になって物を考えろと言うことをわかりました。
それは、今まで二十一年、和歌山県で県
会議員という地方の議員をやってきて、田舎の議会ですから町並み条例だとかあるいはごみの問題だとか、そんな小さいことにばかりかかわってきて、ここに初めて当選をさせていただいて、こんな日本の国家の
基本にかかわる、主権にかかわる大きな
法案に初めて勉強する機会を与えていただいた。特に、きょうは賛成を早く表明させていただいてよかったな、こんな特典があったのかなと。
委員長からふだんはもっと
質問の時間は短いんだと言われました。今回は二十分ということでおまけをいただきました。これは賛成をした特典かなと。
しかも、二十一年を振り返りますと、泉副
大臣はかつて和歌山で運輸省のキャリアとして来ていただきましたし、私の政治の流れの中で
扇大臣はかつて何度か和歌山に来ていただいて御縁のあった
大臣でございますから、よくぞ賛成をしたもんだなと。今まで二十一年、地方の議会というのはオール与党でありますから、むしろ私も、どっちかといえば、向こうの席があいていますから向こうへ座っていた方が何か言いやすいわけでありますけれ
ども、もうこうして六番目でございまして屋上屋を重ねるような
質問になるかもわかりませんが、ひとつお許しをいただきたいと思います。
そこで、
大臣に直接私は、この
海上保安庁の
法案とは
関係のないことでもあるかと思いますけれ
ども、三つの
法案が今回の不幸なあの
テロの
事件によって出された。そういう中で、私は
大臣にひとつ、今回の
自衛隊も出るということも含めて
基本的な、閣議にも参加をされてこの
法案を出すことを決められた一人の担当の
大臣としてお聞きをしたいんですが、私はこの国会というところは、今まで田舎から見ておって余りわからなかったんですけれ
ども、やっぱり国権の最高機関ですね。国権の最高機関としてこれはどういうことをするかといいますと、きょうは先輩の
先生方の御意見も聞かせていただきながら、やっぱり立法という、
法律をつくるということで国家の意思をつくり上げていく、いわゆる国民の意思をそこに集合させていく。私はそういうことを思いましたときに、かつて
大臣という肩書きを持った方が憲
法改正で何人か職を失われました。私はそんなことを見るたびに、議会制民主主義でこんなことはおかしいな、現に今の日本国の憲法においても憲
法改正というのはやってもいいということをうたわれているわけですね。それだけに私は、
大臣であってもそれ以前にまず国
会議員たれ、やっぱり国
会議員としてということがまず前提だと。
そういう中で、私はこの三つの
法案の
連合審査にも参加をさせていただいて大変寂しい思いをしたのは、あれだけ期待をされておる小泉総理が今回の
自衛隊の派遣の中で最終的にどんな答弁をするか。
法律的な一貫性や明確性を求められたら、それを問われたら答弁に窮する、これが今の日本国の総理
大臣としての憲法観。私は、もっとどんどん
大臣が、現職の閣僚として憲法を順守をするということはこれは当然でありますけれ
ども、片一方で、これはおかしいじゃないか、これは悪いじゃないか、こういうことをどんどん言ってもいいと思うんですね。どんどん議論をしていったらいい。
かつて清朝の末期に政治家になる以前の泉副
大臣のような立派な官吏がおった。曽国藩というのですね。この人は非常に皇帝の信任をもらっておった官吏であって、しかし皇帝がだんだん言うことを聞かなくなる。そして最後に、言うことを聞かなくなるから田舎に帰って命をみずから絶つんですね。絶つ前に何と言って死んだか。黒白弁じがたきは亡国の兆し、やはり政治家というのは黒と白をはっきりさせなきゃいかぬ、そんなことを言いながら亡くなっていった。
今、やっぱりこの日本の
状況を見たときに、本当に黒白というものが政治の場できちっと論じられておるのかなということを思いましたときに、今回の三つの
法案がこういう形で審議をされて、しかもその中で、むしろ私は遅きに失したと思いますけれ
ども、後でまた御
質問申し上げますが、
大臣、今回の三つの
法案を、
海上保安庁の方は直接の所管でありますけれ
ども、
自衛隊も含めて今回のこういう形での
法案の出し方というか、きぬを着せずに申し上げれば、これはこういう場でおかしいじゃないかという御批判もいただくとは思いますけれ
ども、この三つの
法案の
一つとして上がってきておるということにお許しをいただいて、私は
自衛隊も含めて、先ほど言いましたように、憲法解釈をもう少しきちっとされて、きちっと議論をしてということを思うわけなんですけれ
ども、そういうことを全般含めて、
大臣、どうお考えですか。