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円より子君 午前中は、
参考人質疑、本当いい
質疑が行われまして、私どもも
参考にさせていただきましたが、実は本日の
質疑は、こうした保助看法の
改正で
名称を変えるというようなことは、いわゆる
看護婦さんや
保健婦さん、そして
助産婦さん等の
看護団体といいますか、業界
団体からの意を受けた
議員立法というのは、今まで、私、
国会議員になりまして足かけ九年ほどになりますが、審議が余り行われないで、
委員長提案という形でそのまま通ってしまうということが多かったんですね。
それで、
国会議員になる前は、え、いつこんなのが変わったのというようなことがしょっちゅうありまして、そういったものが業界
団体の大きな昔からの要望だということはわかっておりましても、この今回の
法案だけではないんですが、かなり
国民の生活に重要なかかわりがあるのに、へえ、
国会というところはそんなにいつも審議もせずに決まってしまうものなのかなというのを大変不思議に思っておりました。
国会に来てからもかなりそういったことが多くて、今回の保助看法の「婦」から「師」に変わるということ、特に
助産婦さんの場合は
男性がいまだ導入されていない状況で、女子のみのときになぜ「婦」から「師」に変わるのか。多分、この
法案が通ってしまいますと、多くの
女性たちが、え、どういうことなのと不信感をお持ちになるに違いないと。
国民の、特に
女性、これから
出産をする方、またこれまでに
経験なさった方やそのパートナーも、大変重要な
自分たちにかかわりのある問題をそんな簡単に決められるのかというふうな思いを持たれてはいけませんし、この問題の中には「婦」から「師」に変わるという
名称変更だけではないさまざまな問題があるのではないかということで、こうして審議の時間を持っていただけたことを大変きょう私はうれしく思っております。
そして、午前中、そうした意味でいいお話が聞けたんですけれども、実はこの問題、私も
厚生労働委員会のメンバーでもなく、きょう差しかえで質問をさせていただくんですが、初めて
助産婦に
男性を導入ということを聞きましたときにまず思いましたのは、何も専門知識がなかったものですから、
自分の
出産体験を照らし合わせまして、えっ、
助産婦さんに
男性が入って、その人にそれこそ子宮口の中に手を入れられたりいろんな形で性器にさわられるのは嫌だ、乳房のマッサージをされるのは嫌だなという、ごくごく当たり前の生理的嫌悪感や羞恥心やそういったものから、これは一体どういうものなのかということから勉強を始めて、そして民主党内でワーキングチームもつくりという、そういう状況がございました。
そして、もう
皆様は御存じのことなのかもしれません、特にお医者様方はよく御存じかもしれませんが、実は私は、
自分の兄弟を家で母親が
出産したときに、妹が生まれたときに立ち会った
経験もございますけれども、この問題が起きて周りじゅうの
方々にホームページやメールや、そして実際に直接会った
方々にこの問題をいろいろお聞きしましたら、大体、
助産婦さんが
病院にいるのか、もう今
助産婦さんという
仕事があるのかどうかさえ知らない方も多かったと。
病院の中で
看護婦さん、
助産婦さんという区分けの名札もつけていらっしゃらないから、え、知らなかったわと言う方がいるくらい、残念ながら、
助産婦さんというのは大変重要な
仕事だと思っていますのに、今知られていないなということもわかったんです。
その中から、例えば一九四七年には
病院等の施設内
出産はたった二・四%だったのが、つまりそのころは大多数が自宅での
出産だったわけですね、それに対して現在は施設内
出産、つまり
病院等での
出産が九九・八%にもなっておりまして、つまりこういう状況の中で、
病院内で
助産婦という名札もつけていらっしゃらないから、
助産婦の
仕事が
受け手の側に見えなくなっているという
現状がまずございます。
そうした中で、なぜこういったことになったかといいますと、正常な
お産は産婆さんがする、異常な
お産、危機にある
お産は産科医がするというすみ分けが戦前はありましたけれども、
お産婆さんをすごくおくれたものだというふうにみなしたGHQの意向によって米国をモデルとした施設内分娩へと急速に移行していった結果が今のような状況になっているわけです。
これは私
たち女性の側にも大変問題がありまして、お医者さんや
助産婦さんや医学界だけの問題ではなくて、
女性の側にも施設内分娩の方が、またお医者さんの方が安全であり無痛であり便利であり、そしてその方が高級なんじゃないかといった、そんな思考が価値観を持つようになってしまった、そして医療的分娩が選ばれてきたという状況も私はあると思うんですね。
その一方で、ようやく最近は、
女性たちが、もっと多様な
お産の
あり方があっていいんじゃないかと。
病院の中で、先ほども
参考人からお聞きしましたら、今ほとんどが
病院の分娩台での
お産ということになっておりますと。
分娩台というのは男の方はおわかりにならないかもしれませんが、私のときなどは両足を広げて、その両足はほとんど拘束され縛られた状況で、そして下はコンクリートで、こんなところに
赤ちゃんが落ちたらどうなるのかしらと心配するようなところでした。そして、陣痛室にいましたときには、男の医者がたった一人で夜遅く入ってきて、そして、だんだん子宮口が開いているかどうかとか、
赤ちゃんがもうすぐ生まれそうかというのをたった一人で診たわけです。
そのときとても嫌な気がしましたけれども、でも、まさか私は、男の医者がたった一人でそういうところに本当は行っちゃいけない、必ず
女性をつけなきゃいけないなんということが内規にあるということすら知らなかったわけです。とても嫌な思いをしましたが、そういうことが後から今回勉強した中で出てきたわけです。
私だけではなくて多くの
女性たちが、せっかく
子供を産むという大変うれしい状況の中なのに、今の
日本の
お産の状況というのは、たった一人で置いておかれて、痛いなんて言ったらしかられて、そしてそんなのは我慢するのが当たり前と言われ、だれもさすってもくれない、そしてそういう恥ずかしい形でしか産めない。
それは、今まで立って
仕事をしているときには、どんどん
赤ちゃんがおりてきてもう生まれるなというのがわかっているのに、突然あおむけになって分娩台になるともう産めないような状況になってしまう。
赤ちゃんにとっても、血流が逆行して悪いという。
そういう決して
お産にとっていい状況じゃない
お産がずっと行われてきているという、そういった情報提供が、何がいいか悪いかということも
国民には知らされていませんし、そして、もっと別の
お産の
あり方を私
たちが選択したいと言っても、それがほとんどないというような状況の中で、私は、この問題は、ただ単なる
名称変更だけではなくて、その奥にある
お産の
あり方に対してもっと多くの
女性たちが目を向けてくれて、医療界とそして行政と一体となって、今、少子化が叫ばれていますけれども、生まれてからの保育の問題だけが少子化の問題ではなくて、本当は生まれる前の避妊や中絶や、そして
出産の
あり方、そういったところからきちんと一体となって考えていけば本当に
お産も楽しいし、そして
子供との後の
親子関係もよくなるんじゃないか、少子化の問題だって少しずつ解決していくんじゃないか、そんなことを思ったものですから、今回、そういった
視点で、業界の側の
看護婦さん、
助産婦さん、そして
保健婦さん
たちの勤務の状況がどんどんよくなることをもちろん私
たちは期待しておりますし、そういう中での
名称変更だと信じたいんですが、それだけではなくて、ぜひ
受け手の側の人
たちのことを考えた
改正であってほしいと思うものですから、そういう
視点で質問をさせていただきたいと思っております。
そういう形でいきますと、まず今回、民主党は長い間ワーキングチームでこの問題を検討いたしまして、最終的には
助産婦会の中で本当に
名称変更がいいと思っている方と違うという方の両方の
意見がもう真っ二つに割れているような状況で困ってしまいまして、
アンケートがないとおっしゃっていましたので、ぜひもう一度
アンケートをとっていただけないかということを申しました。
そうしましたら、とても急いでいてそんな時間はないとおっしゃったんですが、長い間の念願であったはずですからそういった
アンケートをおとりになったのかなと思っていたんですが、ないということですので、今
国民にとってはとても急な
改正に思えるわけで、
名称変更がなぜこんな急なのか、なぜここまで
アンケートもなしに急がなければならないのか。これは
助産婦の
方々だけのコンセンサスではなくて、
国民の皆さんが
看護婦さんと呼んでいたのが
看護師さんと呼ばなきゃいけないのか。さっき
看護協会の方が、いや、それは婦長の場合は
看護部長だとか何だとかというふうに呼べばいいことですとおっしゃいました。それは医療現場の中での話で、
受け手の側は、困ったときに来てもらいたいというときに、
看護部長さんとかと呼ぶわけじゃないと思うんですね。
そういう意味からいって、
受け手の側のコンセンサスはとれているのかどうか、その辺を
提案者にまずお伺いしたいと思います。