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政府参考人(
大塚義治君) できるだけ簡潔に御答弁申し上げたいと存じますが、お
示しの
資料につきましては私
どものさきに公表いたしました
改革試案の内容を
整理をいただいた
資料というふうに受けとめております。
それで、
厚生労働省試案でお
示しをいたしました、提案をいたしました
老人医療費を対象とした
伸び率管理制度につきましては、その趣旨につきましては御案内のとおりでございますけれ
ども、
医療、特に
老人医療費の
伸びが
高齢化という背景もありまして大変大きいものですから、今後の中長期の
医療保険制度の安定のためにその点の適正な
伸びというふうな
仕組みを導入したいということでございます。
その
具体例で、幾つか具体的な
事項についてお尋ねでございました。
まず、
高齢者人口の
増加、これは
高齢化に伴う不可避の
変化ということでございますから、私
どもの案ではこれをいわば考慮をすることにいたしておりますけれ
ども、その
計数につきましては基本的には
国立社会保障・
人口問題研究所、先生お
示しでございましたけれ
ども、その将来
推計人口を使いまして
当該年度の
人口を
算定するという
考え方をいたしております。
それから、今度は
経済指標との関連で、過去二年及び
直近の
見通しの
GDPの
平均を三カ年
平均をとるという案でございますけれ
ども、
一つには、単
年度の
GDPの
計数ですとその振れ幅が大変大きくなる
可能性があるということで、それは、中期的と申しましょうか、三年程度の
平均をとることがなだらかな
変化という
意味でも適当だろうということで三年
平均をとりました。もちろん、できるだけ
実績に近いもの、あるいは現実に近いものということでございますので、その中に
当該年度の
見通しというものも加味するということにいたしております。
この加味する
見通しの
GDPの率につきましては、毎年末に
閣議了解という形で示されます
政府経済見通しの
数値を使うのが妥当ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
それから、
診療報酬改定時に行われます
医療経済実態調査の
関係でございますが、これも
お話にございましたように、
診療報酬改定は、
医療経済実態調査によりまして
医業経営の
実態を把握すると同時に、物価や賃金の
動向、
経済の
動向あるいは
保険財政の
動向などなど、総合的に勘案して
改定が行われるということになっているわけでございます。
伸び率管理制度が導入されましても、
医業経営の
実態を把握するということは当然必要なことでございますし、そのための
医療経済実態調査も実施をするということについては従来と変わりないと考えておりますが、おっしゃいますように、この
伸び率管理制度は、毎
年度毎年度目標が定まり、その
実績を見て
調整するということでございますから、毎
年度のことでございます。一方、その
診療報酬改定につきましては、いわばその
診療報酬の
配分係数でもあるわけでございまして、そのときそのときの
医療のあり方にも関連する
事項でございますから、二年に一度というのは
法令上の定めではございませんけれ
ども、私
どもの今の
段階の認識では、ほぼ従来のような
考え方でこの
診療報酬改定の議論が行われると、こんなふうに考えておるところでございます。
それから、一点
単価を十円
そのものは動かさないわけでございますけれ
ども、
診療報酬点数に
単価を乗じたものに
調整率を掛けるということでございます。実質的に
単価の引き下げと同様の効果ではないかと、こういうことでございますれば、ほぼそれに近いものであることは否定いたしませんけれ
ども、
考え方といたしましては、全体の
老人医療費のお支払いする額を、端的に言いますと、
老人医療費全体を
調整をするという
考え方で、
単価そのものを
調整するという
考え方にはいたしておらないわけでございます。そういう
意味では、
高齢者医療におきましてもその他の一般の
医療におきましても、現在の
仕組みにおける
診療報酬の一点
単価、これは共通のものという
制度上の
整理をしたいと考えております。
それから、
消費税に関連する
お話がございました。
これも
お話の中にございましたように、
消費税の導入時あるいは
引き上げ時に
所定の
改定が行われまして、
診療報酬の中に組み込まれているわけでございますが、今回の
伸び率管理制度は、
個々の
経費あるいは費目に着目いたしまして
所定の率を掛ける、例えば
単価を変えるという
仕組みではございませんで、ただいま申し上げましたことと重なりますけれ
ども、全体の
医療費に一定の
調整率を掛ける、もしオーバーした場合でございますが、そういう
仕組みでございますので、
個々の
経費に着目した
措置ということではございませんので、その中で
消費税がどういう直接的な影響を受けるかと、こういう形ではないということを御了解賜りたいと思います。
最後に、
フランスにおきます事例でございますが、これも御紹介ございましたが、九九年
社会保障予算法という法案の中で、開業医の
医療費につきまして
医療費の
目標額を定めまして、これが超過をする場合には
診療報酬引き下げ等の
措置をとり、さらにその
目標額を結果的に超過した場合には前
年度の報酬に応じて各開業医から返還を求める、連帯して返還を求める、こういう案が一度法案として成立をいたしました。その実施前に、憲法院という
組織のようでございますが、憲法判断がございまして、憲法に触れるのではないかということで、その後、改めて二〇〇〇年の
社会保障予算法でいわば修正が加えられたと、こういう経過をたどっておると承知をいたしております。
その憲法判断でございますが、
医療費の超過が見込まれる場合に
診療報酬を
調整する、あるいは見直す、これはそれ自体憲法に反しないけれ
ども、各医師に対しましてその行動に
関係なく超過分を返還させる、これにつきましては医師間の平等を阻害する、あるいはそれに反する、侵害するということで違憲という判断が示されたと。
私
どもの今回お
示ししている案は、ある
意味では将来に向かっての
調整ということで、もちろん返還をお願いするということではございませんで、そのままの傾向が続くならば
高齢者の
医療費が非常に大きくなる、その点を
調整する、将来に向かって
調整するための
措置、中長期的に見れば一定の
伸び率に収れんをしていくだろう、こういう
考え方の提案でございますので、
フランスで違憲とされました
仕組みとは全く異なるものと考えております。
なお、全般を通じてでございますけれ
ども、これも御案内のとおりで申し上げる必要もないのかもしれませんが、今回の私
どもの案でございますと、
高齢者の
伸びを勘案するということから、総体としては恐らく
高齢者医療費は絶対額としてはやはり
増加をすることは避けられないと思っております。ただ、その
伸びを、あるいは
伸びの傾向を極力なだらかなものにするという
考え方だというのが
一つでございます。
それから、
目標値を定めましても、その次にやるべきことは、できるだけその
目標値の範囲になるように、例えば
診療報酬もその
一つの手段でございましょうけれ
ども、さまざまな健康づくりその他の
医療費の適正化
対策を講じてこの目標の中におさまるようにそれぞれの立場で御努力をいただく、行政も努力をするということを前提に、その上でなおかつ結果的に目標を超えた場合の
措置として
調整をお願いする、こんな
考え方でございますので、御承知のこととは存じますが、つけ足しをさせていただきます。
以上でございます。