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政府参考人(
杉山秀二君) 順次お答え申し上げます。
まず第一の懸念と申しますか御質問で、大
企業向けなどの質のよい
売掛金債権しかこのたびの
制度の対象にならないのでは、そういうことにならないのかというお話でございました。
私
どもといたしましては、できるだけ広く本
制度を
中小企業の
方々に御活用をしていただきたいと考えております。したがいまして、
売掛金債権の債務者
企業が特に立派な優良な
企業でない場合であっても幅広く対象にしたいというふうに考えているわけです。
ただ、その場合に、そうしますと個別のケースごとにそれぞれの
債権というものの
リスクを
評価する、あるいは
リスクに応じた
判断をしなくてはいけないという問題が必ず起こってまいります。これは、
一つには
売掛金の売り掛け先の
企業の
財務状況の問題といったような経理、
財務上の
リスクあるいは
売掛金債権が二重
譲渡されないかとかいったような
法律上の
リスク、さまざまございます。そういった点を
判断をいたしまして、それぞれその
担保価値としての
評価を一定の割合で行うというようなことをやる必要があると思っております。
こういった
細目を現在
詰めておりますが、いずれにしましても、特に優良な
売掛金債権だけを対象にするというようなことではなくて、そういった
リスク判断をし、その
リスクに応じた
担保価値評価を行うということを含めて、その対象をできるだけ幅広く考えたいというふうに考えておるところでございます。
それから二番目の御質問の、
金融機関が
売掛金債権を
担保にとったことを相手方に通知をしていわば信用不安といいますか、そういったことが起こるんじゃないかというような御懸念、御質問でございました。
確かに、我が国の場合、これまで
売掛金債権を活用した
融資というのはなじみが薄いものですから、
売掛金債権に
中小企業の方が
譲渡担保の設定を行うというふうなことをいたしますと、どうもその
企業の資金繰りが苦しいんじゃないかといったような風評といいますか評判が立って、当該
中小企業の方の信用不安を惹起しかねないという御
指摘があることは私
ども認識いたしております。
これに対しまして、今般、こういう公的な
支援の仕組みというものを確立いたしまして、この新しい
信用保証協会による新たな信用
保証制度を創設するんだということをよく啓蒙普及あるいは
PRをいたしまして利用の促進を図っていきたい、そういうことによってこの
売掛金債権を資金調達手段として活用することのいわば認知度というものを高めまして、そしてこういった風評被害といいますか、そういったような問題が起こらないように
意識改革あるいは認知度を高めるといったような努力をしていくことが私
どもとしても重要ではないかと思っております。
なお、一言申し上げますと、新しい
債権譲渡特例法という
法律によりまして、
売掛金債権の
譲渡担保の設定方式として登記という
制度ができ上がってまいりました。これは、今御心配のございました風評被害の発生を回避するという
意味では売り掛け先への通知を留保するというふうなことも認められるという
制度的な
対応も進んでいるところでございます。
それから三番目に、その
保証制度によって売り掛け先であります
企業が下請
企業などに対してその支払い期日を延ばしたりすることがないのかというような御懸念でございました。
売り掛け先の親
事業者が下請
事業者と合意をした上でもって支払い期日を決めた場合には、その決めた後これを支払わないということに相なりますれば、下請代金支払遅延等防止法というものに違反になります。また、商品を提供した日から一定の期日を超えて支払い期日を延ばしてしまうというような場合にも同じように
法律違反の問題が起こってまいりますので、こういった違反が起こった場合には、私
ども法律にのっとりまして厳正に
対応したいというふうに考えております。
それから、労働
債権の保全の御質問がございました。
午前中、
大臣が御答弁したとおりでございますが、本
制度、物的
担保の乏しい
中小企業に対する資金供給の拡大を目的としているということでございまして、ある
意味では物的
担保の不足から資金繰りに行き詰まって倒産をしたり破綻をして労働者が失業するといったようなケースを減らすことにむしろ役立つんではないかというふうに思っておりますが、この労働
債権のいわば順位といいますか、そういった問題につきましては、法務省の方で、平成十五年度中を目途に破産法制の抜本的見直しを行う中で労働
債権の取り扱いも検討対象の
一つにしているということで、いろんな利害関係者が多うございますので、また問題もなかなか複雑、難しい問題でもございますから、いろいろ各方面からいろんな意見を聞いて慎重な
対応を図っていくんだというようなことを今法務省でお考えになっているというふうに
承知をしているところでございます。