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共生社会に関する調査 (会議録情報)
平成
十三年十一月二十一日(水曜日) 午後一時開会 ─────────────
委員
の
異動
十一月十九日
辞任
補欠選任
神本美恵子
君
鈴木
寛君 十一月二十日
辞任
補欠選任
鈴木
寛君
岩本
司君 ─────────────
出席者
は左のとおり。 会 長
小野
清子
君 理 事 有馬 朗人君 清水嘉与子君 田浦 直君 渡辺 孝男君 吉川 春子君 委 員 有村 治子君 大仁田 厚君
大野つや子
君 小泉 顕雄君 後藤 博子君
段本
幸男君 中原 爽君 山下 英利君
岩本
司君
岡崎トミ子
君 郡司 彰君
小宮山洋子
君 平田 健二君
弘友
和夫君 山本 香苗君 林 紀子君 田嶋 陽子君
高橋紀世子
君 副
大臣
法務
副
大臣
横内
正明
君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局家庭局長
安倍
嘉人
君
事務局側
第三
特別調査室
長 岩波 成行君
政府参考人
内閣法制局総務
主幹 石木 俊治君
宮内庁次長
羽毛田信吾
君
警察庁生活安全
局長
黒澤
正和
君
警察庁刑事局長
吉村 博人君
法務省
矯正局長
鶴田 六郎君
法務省人権擁護
局長
吉戒
修一君
厚生労働省雇用
均等・
児童家庭
局長
岩田喜美枝
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
共生社会
に関する
調査
(
共生社会
の
構築
に向けてのうち
児童虐待防止
に関する件) ─────────────
kokalog - 国会議事録検索
2001-11-21 第153回国会 参議院 共生社会に関する調査会 第3号
公式Web版
共生社会に関する調査 (会議録情報)
0
平成
十三年十一月二十一日(水曜日) 午後一時開会 ─────────────
委員
の
異動
十一月十九日
辞任
補欠選任
神本美恵子
君
鈴木
寛君 十一月二十日
辞任
補欠選任
鈴木
寛君
岩本
司君 ─────────────
出席者
は左のとおり。 会 長
小野
清子
君 理 事 有馬 朗人君 清水嘉与子君 田浦 直君 渡辺 孝男君 吉川 春子君 委 員 有村 治子君 大仁田 厚君
大野つや子
君 小泉 顕雄君 後藤 博子君
段本
幸男君 中原 爽君 山下 英利君
岩本
司君
岡崎トミ子
君 郡司 彰君
小宮山洋子
君 平田 健二君
弘友
和夫君 山本 香苗君 林 紀子君 田嶋 陽子君
高橋紀世子
君 副
大臣
法務
副
大臣
横内
正明
君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局家庭局長
安倍
嘉人
君
事務局側
第三
特別調査室
長 岩波 成行君
政府参考人
内閣法制局総務
主幹 石木 俊治君
宮内庁次長
羽毛田信吾
君
警察庁生活安全
局長
黒澤
正和
君
警察庁刑事局長
吉村 博人君
法務省
矯正局長
鶴田 六郎君
法務省人権擁護
局長
吉戒
修一君
厚生労働省雇用
均等・
児童家庭
局長
岩田喜美枝
君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
共生社会
に関する
調査
(
共生社会
の
構築
に向けてのうち
児童虐待防止
に関する件) ─────────────
会長(小野清子君)(小野清子)
1
○
会長
(
小野清子
君) ただいまから
共生社会
に関する
調査会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 昨二十日、
鈴木寛
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
岩本司
君が選任されました。 ─────────────
会長(小野清子君)(小野清子)
2
○
会長
(
小野清子
君)
共生社会
に関する
調査
のうち、「
共生社会
の
構築
に向けて」を議題といたします。 本日は、
児童虐待
問題に関する件について、
警察庁
、
法務省
及び
最高裁判所当局
から順次
説明
を聴取し、その後、
質疑
を行うことといたします。 なお、
説明
、
質疑
及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。 まず、
警察庁
より
説明
を聴取いたします。
警察庁黒澤生活安全局長
。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
3
○
政府参考人
(
黒澤正和
君)
警察
といたしましては、
児童
の生命、身体を守るとともに、
当該児童
の精神的な立ち直りを
支援
することによりまして
問題行動
に走ることを
防止
するという
観点
から、
児童虐待
問題を
少年保護対策
の最
重要課題
の
一つ
として位置づけ、これまでも
取り組み
を
強化
してきたところでございますが、昨年十一月に
施行
されました
児童虐待
の
防止等
に関する
法律
の
趣旨
を踏まえまして、適切な
対応
に努めるなど、さらに積極的な
取り組み
を行っておるところでございます。 そこで、
警察
における
児童虐待
の
取り扱い
の
現状
と
取り組み
に当たって留意している
事項
について御
説明
申し上げます。
資料
をごらんいただきたいと思いますが、まず
児童虐待事件
の
検挙状況
でございます。本年上半期、一月から六月までに
都道府県警察
で検挙いたしました
児童虐待事件
は九十四件、前年の同時期と比べますと同じ
件数
でございますが、九十四件。
検挙人員
にしますと百八人、五人のプラスになっております。
被害児童数
が九十七人でございまして、前年同時期と比べますと三人の
増加
でございます。 これを
罪種別
で見てみますと、
傷害
が三十三件、約三五%。
殺人
が、未遂を含めてでございますが、十九件で二〇%でございます。
傷害致死
が十三件、約一四%。
保護責任者遺棄
、
致死罪
を含めてでございますが、八件でございまして約八%。そして、
児童福祉法違反
が七件、約七%などとなっております。一方、死亡した
被害児童数
でございますが、三十一人でございまして前年同時期と比較をいたしますと十一人の
増加
となっております。
加害者
の方でございますが、
罪種別
、
被害者
との
関係別
の
状況
を見てみますと、
実母
が四十三人と最も多くなっております。約四〇%でございます。次いで
実母
とそれから
内縁関係
にある者が二十二人、約二〇%。
養父
、
継父
、これが二十人、一八・五%。
実父
が十四人、一三%などの順となっております。昨年同時期と比較いたしますと、
実母
が十二人、
養父
、
継父
が八人と
増加
をいたしておるところでございます。 それから、
被害児童
の
年齢別
で見てみますと、一歳未満が十六人、一六・五%と最も多く、次いで二歳と三歳がそれぞれ十二人となっております。約一二%でございます。一歳が九人、約九%でございますが、このような
状況
となっておりまして、六歳までの
被害児童
で見てみますと六十三人でございますので、約六五%ということで、六歳までの
被害児童
が高い割合を示しておる
状況
でございます。
検挙事例
といたしまして、例えば生後九カ月の息子がミルクを与えても受け付けず泣きやまなかったことなどから、乳児の
腹部付近
を足で踏みつけ
内臓破裂
で死亡させた
母親
を
殺人
で逮捕したもの、あるいは、日ごろから懐かない三歳の娘が、外出の際に支度が遅いことに激高いたしまして殴るけるの
暴行
を加えて死亡に至らしめた
父親
を
傷害致死
で逮捕したものなどなどがございます。 また、
平成
十二年、これは一年間でございますが、
平成
十二年に
警察
の
少年相談
に寄せられました
児童虐待
に関する
相談
は千三百四十二件でございまして、統計をとり始めたのが
平成
六年でございまして、当時と比べてみますと十一倍の
件数
となっております。 次に、
児童虐待
に対する
取り組み
に当たって留意している
事項
について申し上げます。 冒頭でも申し上げましたが、
警察
といたしましては、
児童虐待
問題の
重要性
にかんがみまして
取り組み
を
強化
してまいったところでありますが、法の
施行
に伴いまして、次に述べますような諸点に留意しつつ、
児童虐待
の適切な
対応
についてより一層
努力
をいたしておるところでございます。 その一は、
児童虐待
の
早期発見
と
通告
であります。 法の五条では、「
児童
の
福祉
に
職務
上
関係
のある者は、
児童虐待
を発見しやすい
立場
にあることを自覚し、
児童
の
早期発見
に努めなければならない。」
旨規定
がなされておりますが、
警察職員
もこれに該当するわけでございます。また、同法六条におきましては、
児童虐待
を受けた
児童
を発見した者に対しては
児童相談所等
への
通告義務
が課されております。こういった
規定
の
趣旨
を踏まえまして、組織全体として
児童虐待事案
の
早期発見
の徹底を期するとともに、
児童虐待
を受けた
児童
を発見した場合には速やかに
児童相談所等
に
通告
することといたしております。 そのためには、
警察職員
一人一人が
児童
を
被害者
とする
事案等
の
捜査
、
街頭補導
、
少年相談
、
泣訴事案
の
取り扱い等
の
各種警察活動
に際しまして、
児童虐待事案
の伏在を念頭に置きまして
職務
の執行を行い、
児童虐待
に係る
情報
の
把握
や
早期発見
に
努力
をいたしておるところでございます。 また、
児童虐待
に該当するか必ずしも明確でない
事案
に関する
情報
でありますとか、
児童虐待事案
の
認知
につながり得る
情報
を
警察職員
が入手した場合には、たとえ
断片的情報
であっても確実に
関係機関
との
連携
の
窓口
となっております
少年部門
に伝えることといたしております。
情報
を集約した
少年部門
では、
児童相談所等
の
関係機関
と連絡を取り合いまして、
児童相談所
の
調査活動等
と
連携
し、
児童
の
保護
を最優先とした適切な
対応
に努めることといたしております。 なお、
早期発見
の
事例
では、
少年補導職員
が
駅構内
で
家出
中の中学二年の男児を補導したことから、両親による
保護
の怠慢が判明した
事案
がございます。 その二は、
児童相談所長等
による
立入調査等
に対する
警察官
の
援助
であります。 従来から
児童相談所長等
による
立入調査
、一時
保護等
に際しましては、必要に応じまして
警察官
の
支援
が行われていたところでありますが、法の十条で、
児童相談所職員等
による
児童
の
安全確認
、
立入調査
、または一時
保護
に際しての
警察官
への
援助要請
が
規定
されておるわけでございまして、この
規定
の
趣旨
を踏まえまして、
援助
を求められた場合には、
警察
の責務と権限に基づきまして
児童相談所職員等
の
職務
が円滑に行われるよう適切な
援助
に努めているところでございます。 なお、昨年の十一月二十日でございますが、
法施行
から本年十月末日までの間の十条に基づく
警察官
による
援助
の
実施
につきましては、
都道府県警察
から百二十三件の
報告
を受けております。 その三は、
児童
の適切な
支援等
であります。
児童相談所等
の
関係機関
との適切な
連携
と
役割分担
のもとで
少年相談専門職員
、
少年補導職員等
による
児童
の
カウンセリング
、
保護者
に対する助言、
指導
、
家庭環境
の
調整等
の
支援
を的確に
実施
いたしているところであります。また、
児童
を
保護
する
観点
からも、
関係部門
が緊密に
連携
し、
事件
として取り扱うべき
事案
につきましては適切に
事件化
を図っているところであります。 なお、
保護事例
としては、けがをした五歳の女の子を診察した医師からの通報を端緒に、
病院
、
児童相談所等
と
連携
し、
法律
に基づく一時
保護等
の
援助活動
を
実施
し、その後所要の
捜査
を行い、
実父
を
傷害
で逮捕した
事案等
がございます。 その四は、
体制
の
充実強化
と
関係機関
との
連携
の
強化
でございます。
児童虐待
の
早期発見
及び
児童虐待
を受けた
児童
の迅速かつ適切な
保護
を行うため、
少年サポートセンター
を中核とする
被害児童
に対する
保護体制等
を
充実強化
するとともに、法四条一項にございます
関係機関
及び
民間団体
の
連携強化
の
規定
の
趣旨
を踏まえ、現場において
児童相談所
を
中心
とした
ネットワーク等
に積極的に参加しているほか、
警察
が主体となった
被害少年支援ネットワーク
も
構築
することなどにより、それぞれの
機関
と
役割
を確認し合い、
関係機関
がその特性を生かして持てる機能を十分に発揮することができるよう、実質的かつ効果的な
連携
の
強化
に努めているところであります。 具体的には、例えば
大阪府警
では、
関係部門
間の
連携
及び
関係機関
、
団体等
との
連携
を
強化
し、
児童虐待事案
への
対応
に万全を期するため、
専門ユニット
として
児童虐待対策班
を設置いたしているところでございます。また、
関係機関
の
連携事例
としましては、三重県において、県の
福祉部
、五つの
児童相談所
及び
警察本部少年課
の七
機関
の間で、
警察
からの
通告
及び
警察官
の
援助
について
県内レベル
で統一した
対応
を行うことを確認していることなどがあります。 さらに、
保護事例
としては、
児童相談所
、学校、
教育委員会
及び
警察
が中学生の男の子の
保護
を
目的
としまして
少年サポートチーム会議
を開催し、申し合わせた手順に従って
保護
した
事例
がございます。 その五は、
職員
に対する
指導教育
でございます。
警察職員
一人一人の
児童虐待
の
認知
及び
対応能力
を向上させるために、
児童虐待防止法
の内容、運用上の
留意事項等
につきまして
警察職員全員
に
資料
を配付するとともに、
集合教育
、随時の
指導
、
巡回教育等
、あらゆる機会を活用して
指導教育
を行っているところであります。 さらに、
児童
の
保護
及び
保護者
への
支援
を担当する
少年相談専門職員
、
少年補導職員
及び
少年係
の
警察官等
に対しては、
カウンセリング技術
に関する
教育
など、
児童虐待
問題に関する専門的な知識、技能の向上のための
教育
を
実施
しているところでございます。 以上、申し上げましたとおり、
警察
といたしましては、今後とも、法の
目的
、
趣旨
を踏まえ、
児童
の
保護
の万全を図るためにより一層
児童虐待
問題への適切な
対応
に努めてまいる
所存
でございますので、よろしくお願いをいたします。 以上でございます。
会長(小野清子君)(小野清子)
4
○
会長
(
小野清子
君) ありがとうございました。 次に、
横内法務
副
大臣
。
副大臣(横内正明君)(横内正明)
5
○副
大臣
(
横内正明
君)
法務
副
大臣
の
横内
でございます。
児童虐待
問題に対する
法務省
の
取り組み
について御
報告
をさせていただきます。 まず、
児童虐待
の
現状
について簡単に御
説明
をさせていただきます。
法務省
の
人権擁護機関
におきましては、
人権侵害
の疑いのある
事案
を
認知
した場合には、その事実の
有無
を確認するために
調査
を行い、その
調査
結果に基づいて
事案
に応じた適切な
処理
を行っているわけでありますけれども、最近五年間の
児童虐待
に関する
人権侵犯事件
として受理した
件数
を見ますと、
平成
八年は二百四十件、
平成
九年は四百十七件、
平成
十年は四百九十六件、
平成
十一年は五百九十二件、そして昨年は六百三十四件となっておりまして、年々
増加
していることが認められます。また、
刑事事件
として取り扱われる
児童虐待事件
も多発しておりまして、先ほど
警察庁
から御
説明
がありましたようないろいろな痛ましい
事件
が後を絶たないわけでございます。
法務省
といたしましては、従来からこのような
児童虐待
を看過することができない重要な
人権
問題だというふうにとらえまして、
刑事事件
については適切に
処理
するということは当然でございますが、
児童虐待
の解消のための
取り組み
を行ってまいっております。とりわけ、
児童虐待防止法
が
施行
されたことに伴いまして、さらに
取り組み
を
強化
した点もありますので、今後の
取り組み予定
とあわせて御
説明
をさせていただきます。 まず一点目といたしまして、
児童虐待
の
事案
が刑法上の
傷害罪
、
暴行罪
、
殺人罪等
の
刑罰法規
に当たる場合には、
検察当局
において、
警察
と
連携
の上、
事案
に応じて適切な
捜査
の
処理
及び
科刑
の実現に努めているところでございます。 また、
児童虐待防止法
において
児童虐待
の
早期発見
及び迅速かつ適切な
保護
を行うための
規定
が設けられておりますので、同法の
趣旨
を踏まえて、
関係
諸
機関
とも緊密な
連携
を保ちながらこの種の
事案
に
対処
することが必要であると考えております。 今後とも、
刑事事件
として
処理
すべき
事案
につきましては、
検察当局
において、法と証拠に基づき万全に
対処
していく
所存
であります。 二点目といたしまして、
人権擁護機関
における
取り組み
についての御
説明
をさせていただきます。
法務省
では、
人権擁護局
を
中心
に、
法務局
と
地方法務局
に
人権擁護部
、また
人権擁護課
というものが
地方
に置かれておりまして、また
人権擁護委員
の
方々
が
人権擁護
のための
活動
を行っております。そして、
児童虐待
を含めた
子供
に対する
人権侵害
に関しましては、
人権擁護委員
の中から特に六百名の方を選任いたしまして
子ども
の
人権専門委員
という形で委嘱をしております。この
方々
を
中心
に
子ども
の
人権
一一〇番という
電話相談窓口
を設ける、さらには
子ども
の
人権相談所
というものを設けたりいたしまして
早期発見
に努めるとともに、
児童虐待事案
を
認知
した場合には
児童相談所等
の
関係機関
と
連携
協力してその
解決
に努めているところでございます。 具体的な
事例
の一部を
添付資料
として御紹介をさせていただいております。 また、一般的な
啓発活動
も行っておりまして、例えば
啓発ポスター
を年十万部作成するとか、あるいは
児童虐待
をテーマとした
人権啓発映画
を作成して配布するというような
啓発活動
も行っております。 今後の
取り組み
といたしましては、さらなる
啓発活動
に努めますとともに、
児童虐待
の
早期発見
と
早期解決
に資するため、
子ども
の
人権専門委員
による
子ども
の
人権
一一〇番などの
人権相談体制
をより一層推進していきたいと考えております。また、具体的な
児童虐待事案
を
認知
した場合においては、
児童相談所
に
通告
するとともに、
人権擁護機関
の
立場
からも
虐待
を受けた
児童
の
救済
が図られるように、
加害者
や
関係者
に対する個別的な
人権尊重思想
の
啓発
を行うなど、より一層これらの
取り組み
を
強化
していきたいと考えております。 なお、
法務省
に設置されております
人権擁護推進審議会
というものがございますけれども、これが本年五月に
人権救済制度
の
あり方
について
答申
をしていただきました。
児童虐待
ももちろん含みますけれども、
虐待
についてより
実効性
の高い
救済手続
を整備するという
答申
がされておりまして、
法務省
としても、この
答申
を受けて
次期通常国会
に法案が提出できるように新たな
人権救済制度
を確立する準備をしているところでございます。 三番目に、
児童虐待
に関する
調査研究
でございますけれども、従来から
法務省
の
研究機関
で
法務総合研究所
というものがございますが、
児童虐待
に関する
研究
を行っております。とりわけ、
平成
十二年度には被
虐待経験
のある
少年院在院者
に対する
資料
を得ることを
目的
として、全国の
少年院
に在院する者を
対象
に被
虐待経験
の
有無
について
現状把握
のための
調査
を
実施
いたしました。その結果、
少年院在院者
のうち何らかの
虐待
を受けた
経験
のある者が約半数に及んでいるということや、
虐待
を受けたときに
家出
とか飲酒、
薬物使用等
の
問題行動
に至る者が少なくないというようなことが明らかになりまして、
児童虐待
が
少年非行
、
少年犯罪
の大きな原因になっているということが明らかになってきております。 今後の
取り組み
といたしまして、一般の人々を
対象
とした
児童虐待経験
の
有無等
に関する
調査
の
実施
も
予定
をしております。 こうした
調査研究
を通じて、被
虐待経験
と
非行
との
関係
など、
虐待
が
被害者
に及ぼす影響について分析することによって、
児童虐待
の
経験
のある
少年院在院者
に対する処遇の
あり方
や
加害者
に対する
啓発
、
矯正教育
の
あり方等
を検討する際の基礎的な
資料
にできるものと考えております。 以上のとおり、
法務省
といたしましては今後とも
児童虐待
の
防止
に、より一層努めてまいる
所存
でございます。 以上です。
会長(小野清子君)(小野清子)
6
○
会長
(
小野清子
君) ありがとうございました。 次に、
最高裁判所事務総局安倍家庭局長
。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君)(安倍嘉人)
7
○
最高裁判所長官代理者
(
安倍嘉人
君) それでは、
家庭裁判所
における
児童虐待
に対する
取り組み
について御
説明
させていただきたいと思います。 柱は二つから成っておりまして、
一つ
は
事件処理
という
関係
からの
対処
でありますが、いま
一つ
は
処理体制
の整備といった
観点
のことになるわけでございます。 まず、一番目の柱ですが、
家庭裁判所
における
児童虐待
の接点は大きく分けて三つほどあろうかと思いますが、
一つ
は
家事調停事件等
における問題でございます。
家庭裁判所
におきましては、一般的には
児童福祉法
二十八条
事件
や
親権喪失宣告事件
が
児童虐待
の
中心
的な
事件
と言われているわけでございますけれども、
離婚
あるいは
親権者
の変更、
面接交渉
などの
家事調停事件
におきましても
調停委員
が当事者から
事情
を聴取する中で
児童虐待
がうかがわれるような
事情
があらわれたり、あるいは
家裁調査官
が
調査
をする中で
虐待
を明らかにする場合が少なくないような
状況
でございます。現に、
子供
の
福祉
をめぐる
事件
は最近の
傾向
を見ましても
増加
の
傾向
をたどっているわけでございまして、こういった
家事調停事件
の中で
児童虐待
がうかがわれる
事案
もふえてきている
状況
にあるところでございます。 こういった
事案
に対する
家裁
の
対処
でございますけれども、
調停委員
がその
調停
の
進行過程
におきまして
児童虐待
がうかがわれるような
問題状況
を知った場合には、速やかに裁判官と評議をした上で、
家裁調査官
による
調査
を
実施
して、その
調査
の結果を踏まえて
実情
に即した
解決
を図るよう
調停
を進めているところでございます。また、
事案
によって
児童相談所
の関与が必要であるといった場合においては、
連携
をとって
解決
を図っているという
状況
でございます。 例を若干御紹介いたしますと、
離婚調停
の
進行
中に、相手方である夫が
長女
に対して
性的虐待
を行っていたことがうかがわれたような
事案
がありまして、このような中で、夫は当初認めたがらない姿勢を示していたわけでございますけれども、
調停委員会
の説得を受けまして夫は観念をいたしまして、その結果、その
長女
の
親権者
を
母親
である妻とすることで
離婚調停
が成立した
事案
。そしてさらに、その
事案
においては、夫がさらに
長女
につきまとうようなことがあれば
警察
や
関係機関
に
相談
するよう助言した扱いをしたようでございます。 さらに、女の
子供
を連れ去った
父親
に対して、
母親
から子の引き渡しと
監護者
の指定を求める、こういう
事案
があったわけでございますが、この
事案
においても、
父親
の
子供
に対する
性的虐待
のおそれがあったことから、
児相
と
連携
をとりまして、一時
保護
をした上で
母親
を
監護者
に指定した
事例
であったようでございます。以上が
家事調停
における
児童虐待
の問題でございます。 次に、
児童福祉法
二十八条
事件
における
対処
の
関係
でございますが、この二十八条
事件
は、御承知のとおり、
保護者
がその
児童
を
虐待
し、著しくその
監護
を怠り、その他
保護者
に
監護
させることが著しく
児童
の
福祉
を害する場合において、
児童
を
児童福祉施設等
に入所させるなどの
措置
について
保護者
が同意しない場合は、
児相所長
の
申し立て
によって、
家庭裁判所
はその
措置
をとることを承認する
審判
を行うことができるとされているところによるものでございます。 統計的な
状況
につきましてはお
手元
の
資料
をごらんいただきたいと思いますが、
後ろ
から二枚目でございます。二十八条
事件
の
状況
は、
平成元年
は十四件でございましたが、
平成
六年ごろから
増加
に転じまして、
平成
十二年には百四十二件と、
平成元年
の約十倍という数値になっているところでございます。そしてさらに、
児童虐待防止法
が
施行
された昨年十一月二十日以降ことしの十月末までの
受理事件
を
速報値
で見ますと、百五十九件という数字を示しているところでございます。 また、二十八条
事件
の
審理
の結果でございますが、
平成
十二年の
既済件数
は百四十二件でございます。その内訳は、認容が百一件、却下六件、取り下げ三十五件という
状況
でございます。 このような
事件
についての
家裁
の
対処
につきましては、お
手元
の
資料
、
後ろ
から三枚目の流れ図をごらんいただきたいと思います。 まず、この
事件
の
処理
につきましては、
特別家事審判規則
という
規則
におきまして、
親権者等
の
陳述
を聞くことと十五歳以上の
児童
の
陳述
を聞くこととが定められているところでございます。具体的に
事件
の
申し立て
がありますと、大方の
地方
におきましては直ちに
家裁調査官
が
児相
の
担当者
に
面接
をいたしまして、その
当該事案
の
緊急性
でありますとかあるいは問題の概要について
説明
を受けているのが
実情
でございます。そして、その後の
審理
におきましては、
家裁調査官
の
調査
が重要なウエートを占めているわけでございまして、
親権者等
の
監護
の実態や
子供
の現況を明らかにしていくわけでございますけれども、この
調査自身
が
機動性
を必要とするし、さらに多角的な
調査
を必要とするといった
関係
から、
通常
は複数の
家裁調査官
が共同して担当しているのが
状況
でございます。 これを少し具体的な流れに沿って御
説明
を申し上げますと、
調査対象
は多岐にわたるわけでございますけれども、まずは
児相
の
関係者
から
事情
を伺うことが最初に行われる作業だろうというふうに考えております。さらに、
病院
に入っている場合には
病院
の
関係者
から、あるいは学校については学校の教員等から
事情
を聞く、さらに施設に入っている場合には施設の
関係者
から
事情
を聞くといった、いわば外回りの
状況
調査
がまず最初に先行いたします。そして、それを受けまして、
保護者
の
面接
を行っていくということになるわけでございます。そして、最終段階において
児童
から
面接
をするということになるわけでございますけれども、
児童
が年少のため等によって言葉でうまく
説明
できない場合が少なくないわけでございまして、こういった場合には、心理テストを活用するなどして
児童
の内面についての理解の補助としているところでございます。 このような
家裁調査官
の
調査
を行った上で、
通常
の場合は、裁判官が尋問期日を開きまして、裁判官が直接
児相
の
担当者
でありますとか
児童
の
保護者
から
事情
を伺うなどいたしまして、これらを総合して施設入所を承認するかどうかを決定しているのが
状況
でございます。 典型的な例を御紹介申し上げますと、
実母
が
児童
に対して満足な食事を与えないで、飲酒の上、暴言、暴力を振るう、しかも登校を禁じて外出も規制していたと。こういったところから、
児童
が学力の顕著な遅滞を見せまして、さらに対人不信、あるいは社会性の欠如が見られた
事案
におきまして、
児相
が相当
指導
したようでございますけれども、
実母
がその
指導
をかたくなに拒否し続ける、そして
児童
の不登校の
状況
にも改善が見られないと。こういったところから、
児相
から、
児童
を一時
保護
した上で
家裁
に二十八条の
申し立て
がされた
事案
がございました。 この
事案
におきましては、
家裁調査官
による共同
調査
体制
を組みまして、
児童
のほか、学校の担当教師、
児童
の入所施設の
職員
、
母親
、母方祖父母の
面接
調査
を行った上で認容をする決定をした
事案
でございました。 三番目の
事件
との接点は、
親権喪失宣告事件
における
対処
でございます。この
事案
は、父または母が子を
虐待
するなど、親権を乱用し、または著しく不行跡であるときは、
家庭裁判所
は、子の親族、検察官または
児相所長
の
申し立て
によって、父母の親権を喪失させる
審判
を行うことができるとされているところによるものでございます。
事件
の
状況
は、これもお
手元
の
資料
に表がございますけれども、
平成
十二年には百八件ということでございまして、多少出入りはございますけれども、おおむね横ばいの
状況
にあるところでございます。
審判
の結果につきましては、
平成
十二年は
既済件数
百九件のうち、認容が十三件、却下が十一件、取り下げ八十二件、その他三件となっているところでございます。 この
事案
におきましても、
家庭裁判所
におきましては、二十八条
事件
と同様に、
審判
官の審問や
家裁調査官
の
調査
を経まして、親権喪失の適否について判断をするという
状況
でございます。
事案
として
一つ
御紹介を申し上げますと、単独
親権者
である
母親
が内縁の夫とともに
子供
に対して、その身体をライターであぶるなどの
傷害
を負わせたということから、
児相
が母と内縁の夫を刑事告発いたしまして
傷害罪
で逮捕、起訴したと。実刑判決になったわけでございますけれども、母の仮出所後も
子供
の
監護
については不適切であるということから、
児相
が親権喪失宣告を
申し立て
をして認容された
事案
があったところでございます。 以上が
家庭裁判所
の
事件
の接点における
対処
でございますが、これらを包摂した
家裁
における
取り組み
体制
、
処理体制
の
関係
から若干御
説明
をしたいと思います。 まず、
処理
の具体的な仕組みの問題でございますけれども、各
家庭裁判所
におきましては、
児童虐待
関係
事件
につきまして速やかに裁判官による審問を行ったり、
家裁調査官
の共同
調査
の
体制
をとることなど、手続の
進行
の基本方針について申し合わせを行うなどして、迅速かつ適正に
対処
できるように
体制
を整えているところでございます。 また次に、研修等の
関係
でございますけれども、まず、
家裁調査官
がかぎを握っているわけでございますが、
家裁調査官
につきましては、本年十月に全国五十庁の
家裁調査官
を集めまして
児童虐待
についての特別研修を行ったところでございます。ここでは、
事例
研究
を行うほか、
児相
関係者
とのパネルディスカッションを行うなどいたしまして
連携
の
あり方
について意見交換を行ったところでございます。 さらに、
家裁調査官
の
関係
では
関係機関
実務
研究
という形をとりまして、
家裁調査官
数人が各地の
児童相談所
に参りまして、ここで数日間実務を実地に見聞をいたしまして研修をする、こういった試みを行っておるところでございます。 さらに、その他の裁判官あるいは
調査
官、書記官の研修協議会においても
児童虐待
問題を取り上げているところでございまして、さらに、家事
調停委員
につきましても協議会や研修会で
児童虐待
についての問題を取り上げているところでございます。 三番目に、
関係機関
との連絡協議会等の
関係
でございますけれども、従来から
家庭裁判所
は
児相
ほかの
関係機関
との協議会を行ってきたわけでございますけれども、本年度におきましては通達を出しまして全国五十庁の
家庭裁判所
において
児童虐待
に特化した協議会を持つことといたしたところでございまして、既に行われているところがございまして、お
手元
の
資料
にはその一部の紹介記事が載っているところでございます。 最後に、
虐待
防止
ネットワークへの参加の
関係
でございますけれども、最近、各地の自治体におきまして
児童虐待防止
のネットワークを
構築
したり連絡
会議
を開催するなどしているところでございますが、
家庭裁判所
におきましてもこの
ネットワーク等
に
家裁調査官
などを派遣いたしまして親子
関係
をめぐる問題について、従来かかわってきた
経験
を踏まえて地域の
虐待
防止
対策に協力、参画しているところでございます。 以上が、
家庭裁判所
の
事件処理
そして
処理体制
の面における
取り組み
でございますけれども、痛ましい
児童虐待
の
事例
が後を絶たない
現状
にありまして、私自身も心痛む思いがしているところでございます。いわば自分で身を守ることができない、あるいは抵抗力が弱い
子供
に対する大人による侵害行為であるわけでございまして、
児童虐待
は大人社会全体の問題として
関係機関
が英知を絞って考えていかなきゃいけないテーマだろうと考えているところでございます。
家裁
といたしましても、司法
機関
という
立場
において迅速適切な
対処
ができるようさらに
努力
していくことはもちろんでございますけれども、これに加えまして地域の
関係機関
との密接な
連携
の中で適切な協力をしてまいりたいと考えているところでございます。 以上でございます。
会長(小野清子君)(小野清子)
8
○
会長
(
小野清子
君) ありがとうございました。 以上で
説明
の聴取は終わりました。 これより
質疑
に入ります。
質疑
のある方は順次御発言願います。
山下英利君(山下英利)
9
○山下英利君 自由民主党の山下でございます。 前回、今回と続きまして、今の
児童虐待
について
関係
の五省庁の皆さんからるる御
説明
をいただいているところでございますけれども、きょうは私もこの
現状
のファクトファインディングという
観点
から
警察庁
の
現状
について御質問をさせていただきたい、そのように思っております。 まず、犯罪を取り締まる
立場
、そしてまさに犯罪が起きる前に、未然に防ぐ
立場
という意味から、
警察庁
の方の御
努力
を御
説明
いただきたいと思っているところなんですが、
早期発見
、早期
対応
という点から考えて、
警察
の
児童虐待
における
情報
の
把握
そしてそれに伴う初動の態勢というところで、他の行政
機関
と
連携
をされている
状況
についてちょっと細かく御
説明
いただけますでしょうか。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
10
○
政府参考人
(
黒澤正和
君) 先ほども申し上げましたが、
児童虐待
への
対応
が適切になされるためには、
委員
御指摘のとおり、早期
対応
というのは大変重要でございますが、
警察
は
児童
福祉
担当課、
児童相談所
、医療
機関
、
教育
機関
等の
関係機関
とのネットワークによる
連携
が図られることがそういった意味でも大変重要であると認識をいたしておるところでございます。 したがいまして、中央レベルで
警察庁
では、厚生労働省、
法務省
等
関係
省庁と
児童虐待
への
対応
や
都道府県警察
と
児童相談所等
関係機関
との協力について必要に応じ協議を行っておりまして、これを受けまして府県のレベルで府県
警察
では、現場におきまして
児童相談所
を
中心
とした
ネットワーク等
に積極的に参加するとともに、
警察
が主体となった
被害少年支援ネットワーク
もございまして、そういったものも
構築
するなどしまして、それぞれの
機関
と
役割
を確認し合いまして、
関係機関
がその特性を生かして、その持てる機能を十分に発揮することができるよう実質的かつ効果的な
連携
の
強化
に
努力
しているところでございます。 先ほども申し上げましたけれども、各執行務を通じていろんな
事案
、いろんな仕事の中で、やはり早期にこの種
事案
を発見する、それから特に
関係機関
との
連携
においては夜間、休日といいますか、宿直時間帯といいますか、そういったときの
連携
というのも早期
対応
の
観点
から大変重要かと思っておりまして、そのような意味では具体的な
連携
、まさにそういった夜間、休日の
対応
などにつきまして現場では緊密な連絡系統をつくるべく
努力
をしておるところもございます。 以上でございます。
山下英利君(山下英利)
11
○山下英利君 ありがとうございます。 今の御
説明
の中で、ちょっとお聞きをしたいんですけれども、この
虐待
防止
の
法律
の中に、
警察
が
連携
する際に
児童相談所等
との事前協議というふうにうたってあるわけなんですけれども、今まさに御
説明
ありましたように、速やかに
対応
するというところなんですが、例えばこれは協議
通告
ができない場合がありますね、
児童相談所
と連絡がとれない、そういったときには
警察
は独自の判断で行動をされるんでしょうか。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
12
○
政府参考人
(
黒澤正和
君)
事案
によりケース・バイ・ケースでございますけれども、やはり国民の生命、身体、財産を守る、そしてまた特に
児童
につきましてはやはりそういった心のケアの問題等もございまして、私どもは
事件
に該当するという案件であれば、それは
事件
として
対応
することもあるでしょうし、また
事件
にならないような案件でも国民の生命、身体、財産を守る、
子供
を守るという
観点
から各種の
措置
、任意の
措置
も含めてでございますが、
事案
に応じて適切な
対応
をする。
関係機関
、特に夜間、休日等は連絡がとれないようなケースもございますけれども、そういった場合には、今申し上げましたようにケース・バイ・ケースとしか言いようがないんですけれども、国民の生命、身体、財産を守る、特に
子供
の
保護
を最優先するという
観点
から各種の
警察
活動
を展開する、このように心がけておるところでございます。
山下英利君(山下英利)
13
○山下英利君 ありがとうございます。 前回、厚生労働省、文部科学省からも御
説明
をいただきまして、そういった
児童虐待
に対するネットワーク、この整備ということにおける
警察
の
役割
というものをこのファクトファインディングを通じて改めて認識を固めさせていただきたい、そういうふうに思っているところなのでございます。 続きまして、きょう
警察庁
の方からいただいた
資料
を拝見しておりまして、
事件
になる前の
警察
の
情報
把握
状況
というものについてお伺いしたいと思っているんですが、
少年相談
なんかはかなりのピッチで
件数
がふえている、そういう状態なんですけれども、ここ数年という時系列的にとらえてみると、この
件数
がふえているというのはいわゆる
児童虐待
に対するネットワークが
強化
されてふえてきているのか、それとも社会情勢によってふえてきているのか、その辺が非常に私もなかなか見えないというところがあります。 後でちょっと申し上げますけれども、各省庁から出てきているいろんな計数を拝見していましても、その計数のベースというのがかなり計数のとり方も違っているようなので、結論から言うと、
件数
は大変ふえているということはわかります。ただ、そこのところの内容の分析ということはなかなか
現状
では難しいのではないかなというふうに思っているんですが、
警察庁
の方から、先ほどお話しした点、ちょっと御
説明
いただけますでしょうか。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
14
○
政府参考人
(
黒澤正和
君)
委員
御指摘のとおり、
警察
の方の
相談
件数
、統計も大変ふえておるわけでございます。 理由につきましては、いろんなことが考えられるかと思いますけれども、やはり
児童虐待
に対する国民の関心の高まりの中で、先生御指摘のように、
児童虐待
に対する
ネットワーク等
、
体制
の整備や
連携
の
強化
が図られている結果も
一つ
の背景、要因としてはあるのではなかろうかと考えておるところでございます。
山下英利君(山下英利)
15
○山下英利君 ありがとうございます。 ですから、そのネットワークの整備とそれから実際の社会情勢の
対応
に追いついているのかどうかというところがやっぱりポイントになろうかと思います。確かに、
体制
強化
における例えば人員の増強とか、そういったお金のかかる問題も当然出てくると思いますけれども、これは全体的に社会情勢がそういうふうにふえているということであれば、それに合う
体制
を一日も早くつくっていかなければいけないと、そういうふうに私も思うところでございます。 それに関連しまして、次にちょっとお聞きをしたいのは、この
検挙状況
を拝見しておりますと、ことしの一月から六月までというところの
状況
なんですけれども、
件数
は前年に比べて全体
件数
は変わっていないというんですけれども、この中の内訳で見ると
殺人
が
増加
してその分
傷害
が減少していると、そのような
状況
があるんです。これは、
平成
十二年の
状況
と比較してどうかという話とともに、その
傷害
というものが
殺人
に変化してきていると。最近の
事例
なんかを拝見いたしますと、やはり親が大分若年化しているという点から見て、要するに切れる親というのが随分ふえている、その結果については
警察庁
としてはどのような御見解をお持ちですか。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
16
○
政府参考人
(
黒澤正和
君) 十二年一年間の
児童虐待事件
の
検挙状況
について簡単に申し上げますと、これはやはり十一年一年間の比較で見てみますとかなりふえておりまして、
殺人
も
傷害
もふえておるんですが、十二年にふえ、さらに十三年の上半期で見ますと先ほど申し上げましたような
状況
でございます。 そういう中で、
傷害
でありますとか
暴行
でありますとか、そういったものは、先ほど
早期発見
ということを申し上げましたけれども、暗数というのはかなりあるんじゃなかろうかと思うんですが、これに対して
殺人
というのは暗数というのはまず考えられない、全くないわけじゃないんでしょうけれども。そうしますと、やはり
殺人
は客観的に暗数というものが余り考えられませんのでふえておるのではなかろうかと、こんなふうに考えております。 その背景、原因でございますが、これまたいろんな背景、要因があろうかと思いますが、先生御指摘になられたような、今の若者はよく切れるということを言われるわけですけれども、今正確な数字を持ち合わせておりませんけれども、この
殺人
を犯す親、
子供
が小さいんですから当たり前といえば当たり前なんですが、若い親が多いわけでございます。やや私見も交えて申し上げることになってしまうのかもしれませんけれども、やはり命のとうとさといいますか、あるいはどの程度のことをやればどんな結果になるのか、その辺のところがきちっとわからない面もあるのかなと。それが切れたがためにそういうふうになってしまう、そういう面もあるのかと思いますけれども。 いずれにいたしましても、いろんな背景、要因が考えられまして、一概に、
殺人
がふえている理由はこうだということは申し上げられないわけでありますけれども、今、先生御指摘になられた
事案
によっては、切れる、そういうことで
殺人
を犯した、あるいは死という結果を招来してしまった、そういう
事例
もあろうかとは思います。
山下英利君(山下英利)
17
○山下英利君 ありがとうございます。 確かに、その
相談
件数
が大変激増していると。その中にあって、検挙の
件数
自体の伸びというものを比較してみますと、未然に防ぐという力についての御
努力
をいただいているんだというふうに直感的に感じているんですけれども、まさにそこのところをもっと
強化
していかなければいけないという問題意識を持っておる次第であります。 そこで、引き続いてそこの点についてもうちょっとお伺いをしたいんですが、
警察
の、実際
相談
を受けてからの、例えば
児童相談所
なりが一応
対応
を決定して、その後のフォロー
状況
、いわゆる
援助
と申しますか、そこについてちょっとお教えをいただきたい。
警察
が
連携
してこういった個別の
事案
についてそれぞれフォローをされているんでしょうか。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
18
○
政府参考人
(
黒澤正和
君) これまたケースによっていろいろございまして、
通告
を行ってそのままというケースもあるでしょうし、あるいはまたそのネットワークの中で
援助
の要請を受ける、それから私どもの方でも
体制
として
カウンセリング
、
相談
等も行える、そういう
体制
も持っておりますので、
事案
によっては
被害児童
の
カウンセリング
でありますとか、
保護者
に対する助言、
指導
も行いますし、さらにまた、これは
警察
でしかできないことでありますけれども、
事案
によっては
事件化
をすると、いろんな
対応
を行っておるところでございます。 また、
少年サポートセンター
というのが各県にできておりまして、そこは他
機関
ともちろん
連携
してやっておるわけでございますが、地域によっては
警察
が
中心
になっていろんな諸施策を展開しておる、そういうサポートセンターもございまして、そういうようなところでは、特に
事案
に応じてと言っていいわけですけれども、多様な
対応
をいたしておるというのが実態でございます。
山下英利君(山下英利)
19
○山下英利君 ありがとうございました。 ちょっと時間前なんですが、私の質問はこの程度にいたしておきます。どうもありがとうございます。
段本幸男君(段本幸男)
20
○
段本
幸男君 自由民主党の
段本
幸男でございます。 この七月に議員になったばっかりで、全く新人でございますし、また、
児童虐待
法はここの
調査会
に入って初めて勉強さしていただきましたから、まだまだ勉強の至らぬ点がありますから少し突っ込みの足りない質問もあるかもしれませんが、御容赦いただいて、各省庁にお伺いしたいと思います。
児童虐待防止法
について、昨年十一月
施行
されて、
警察
の
件数
を見れば最近六年間、十倍以上になっている。わけてもこの一年ぐらいが非常に
相談
件数
がふえている。これは、法の
施行
に伴う意識効果が高いというふうに言われていますが、きのうの読売新聞を見ても、
法施行
一年を受けて読売新聞が分析して書いているのは、「
児童虐待
遠い
解決
相談
急増 親の
指導
手回らず」と。恐らく社会の受けとめはまだこんな感じでの受けとめじゃないかというふうに思っています。恐らくこれから各省庁においても、あるいはこの
調査会
そのものも、なぜこういうことが起こっているのか。むしろ、
相談
件数
がふえているにせよ、それをどう分析して再発
防止
につなげていくか、こういう意識が特に大事なんではないかと思うんです。 そういう意識を持ちながら、またきょうも各省全部異口同音におっしゃったのは
早期発見
、早期にこれを見つけるということが、みずから意思を持たない
子供
たちを各省いろんな形の網の目の中でどうつなぎとめていくか、このことが非常に大事だというふうに思います。 そんな意識から各省庁に御質問させていただきたいんですが、まず一件は親権喪失について、これは裁判所の方にお伺いさしていただきたいんですが、
児童虐待
の根っこについては、最近、
離婚
件数
がふえるとか、いろんな形で二十一世紀社会になって社会の背景が大きく変わってきたんじゃないか。そういう社会の根っこの問題の
解決
なくして
児童虐待
の問題は
解決
していかない、こんなふうな意識を持っています。 ところが、きょういただいた裁判所の
資料
によると、親権・管理権の喪失の宣告の
資料
を見ても、残念ながら新受
件数
については余り変わらない
状況
になっている。これは、場合によっては、裁判所というところが非常に、私個人からとっても、裁判所は一度も通ったことないですから、まあ幸い
離婚
もなかったものですから通うことがなかったんですけれども、取っつきにくい、そういう性格にあるんじゃないかと思います。 そういうものが、先ほど裁判所の方でも
家裁
の
調査
官の特別研修をやっているとかいろんな御
努力
はあるにしても、まだまだ一般の人たちにとっては取っつきにくい
状況
なんじゃないか。そういう点を改善していかないと問題の
解決
につながらないんではないかというふうに思うんですが、その点についての見解を裁判所の方にお伺いしたいと思います。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君)(安倍嘉人)
21
○
最高裁判所長官代理者
(
安倍嘉人
君)
家庭裁判所
は、取り扱う
事件
の性質から、国民生活に非常に密接に
関係
する
事案
を扱うわけでございます。そういった意味合いにおいて、
家庭裁判所
の裁判官初め
職員
一同は、できるだけ当事者の方が来やすい、利用しやすい裁判所になるよう、これは
窓口
の
対応
を初めといたしまして、
事件処理
の過程における
職員
の
対応
ももちろんでございます、こういった万般につきましてできるだけ当事者の方が来やすいような受け入れ
体制
をつくっていきたいと、このようなことで工夫をしてきたつもりでございますけれども、まだまだこれは完全とは言えない部分があることは
委員
御指摘のとおりだろうと思います。 今後も、この
児童虐待
の問題のみならず、
家庭裁判所
が国民の方が利用しやすいものになるように改善、工夫を重ねていきたいと考えているところでございます。
段本幸男君(段本幸男)
22
○
段本
幸男君 ありがとうございました。 裁判所が係争案件がふえて、とりわけ
家裁
は
職員
の皆さんが大変だというふうなことはわかりますが、事がやはり
子供
の、とりわけ命の問題にかかわっているということを受けて、ぜひ今後ともそういう
取り組み
を強くやっていただいて、より多くの国民の命が救われるように頑張っていただきたいというふうに思います。 続いて
法務省
の方にお尋ねしたいんですが、
児童虐待
の改善の難しさは、片一方で家庭というプライバシーの
保護
の問題、こういう
保護
の問題をどこまで置くかということと、もう一方では、やはり地域全体の中でこの問題が起こらないようにみんなお互いに監視しながらやっていこうじゃないか、こんなふうなこととのかかわり、そのちょうどはざまにあって、どこまでが地域がかかわるべき、いやここはかかわっちゃいかぬのだ、こういうことの判断が非常に難しいんだというふうに思います。 そのために、
防止
法において、法第四条に「近隣社会の連帯」というふうな一文が入れられているんだろうと思いますが、こういうふうになってくると、今
法務省
が管轄されている
人権擁護
運動、
人権擁護委員
会、こういうところが、先ほど言ったいろんな問題の芽が出ているときに、そういうものをひっかける手だてとして非常に有効になってくるんではないか、こんなふうに思うわけです。 きょうの
説明
の中で、
子ども
の
人権専門委員
ですか、こういうのを六百名も設けてやっておられると、こういうふうな
説明
も受けました。ただ一方では、私らが一般的に受けている
人権擁護委員
会というのはややもすると近隣の名士の方が
委員
になられて、以前の村社会の中では非常に機能しやすい形だったかもしれませんが、今みたいに核家族化してそれぞれが動いている、その一人一人の個人の家庭の中になかなか入っていきにくい形のところではそういう機能が従来の形では非常にしにくい
状況
になっているんじゃないか、こんなことを感じるんです。 今は、住民運動の中で、NGOの中でそういういろんなものが出てきていると思うんですね、単に旧態依然の組織ではなくて。むしろそういうところに
法務省
自身が大いに突っ込んでいって、そういう民間の人の力もかりて、要は、みずからの問題をよう発言しない
子供
たちのことですから、やはり周りの人がこの法四条の
趣旨
を理解して、
法務省
が積極的にかかわっていくべきだと思うんですが、その見解を
法務省
の副
大臣
にお伺いしたいと思います。
副大臣(横内正明君)(横内正明)
23
○副
大臣
(
横内正明
君) ただいま
段本
委員
から大変に適切な御指摘をいただいたというふうに思っております。
人権擁護委員
、全国で一万四千人おりまして、それぞれの地域、近隣社会の中で大変に意欲を持って取り組んでいただいているわけでありますけれども、しかし、ややもすれば名誉職的なといいましょうか、そんなような面があるのではないかというふうにも思います。したがって、この
人権擁護委員
制度についてもこの際やはり基本的に見直していく必要があるんじゃないかというふうに考えております。 ちょうど今
法務省
に
人権擁護推進審議会
というのがあるんですけれども、この審議会でこの
人権擁護
制度の
あり方
全般の検討をしているところなんですが、その
一つ
としてこの
人権擁護委員
制度の改革についてどういう方向で改革していくかという検討をしている最中でございまして、この年末までに
答申
がいただけるということになっております。 従来、
人権擁護委員
さんというのは市町村長さんに推薦してもらって、それでそれを基本にして選んできたわけでありますけれども、確かにこういう
児童虐待
の問題とか非常に専門的な、しかも多様化している中で果たしてそれだけでいいのかどうなのか。
委員
がおっしゃったような、もっとスペシャリストといいましょうか、そういう人もまた選ばれる道をつくる必要があるんじゃないかという御指摘もありますし、そういうことも含めて今後の新しいこの
人権擁護委員
制度の
あり方
というものを今検討中ですから、その
答申
を踏まえて、制度化を
委員
の御指摘も踏まえて今後検討していきたいというふうに考えております。
段本幸男君(段本幸男)
24
○
段本
幸男君 先ごろの
調査会
では厚生労働省の方からも
児童相談所
関係
の
活動
について
説明
を受けました。やはりそういうものと一体になりながら、地域がよくなっていくために、単に問題の押しつけではなくて、みずからが地域をよくするんだ、こんな意識、私は
人権擁護委員
会に特に新しい形での
活動
を期待したいと思っておりますので、ぜひ副
大臣
も力を入れてやっていただきたい、こんなふうに思っております。 それからもう
一つ
、
警察
の方にお伺いしたいんですが、
警察
の方でも
早期発見
であるとか
職員
意識の徹底であるとかいろんな形で五項目新しい
取り組み
をやっているというふうな御
説明
がありました。とりわけ現場
警察官
にとっては、最近は住民ニーズが物すごく多様化して、何でも
警察
に持っていけばいい、もういろんな
調停
があって大変な第一線での
状況
にあるとは思います。しかし、その第一線の
警察官
が、ややもすると余りにも多様化された、また一時いろんな形で管理責任が問われるような
状況
だったものですから、極力民事不介入という精神で長い間携わってきた、そういう意識が今回のような問題の発見をおくらすもと、後手後手になるような
状況
になっているんではないか、こんなふうなことを感じるんです。
警察
というところは、もちろん我々にとったら、小さいころにお巡りさんに言うぞといって親にしかられたものですけれども、ある意味では悪い意味でありますけれども、ある意味ではいい面でも畏怖、やはり
警察
は自分たちを守ってくれる、そこに言えば公権力で何かしてくれる、こういうふうな意識があるんだと。その悪い面ばかりを出さずに、むしろいい面を上手にとらまえながら
警察
が民事にもかかわっていく。要は、
子供
たちの最後は命にかかわるわけですから、ぜひそういう意識でかかわっていくべきではないか。 このためには、やはり
警察
、今いろんな形で地域
活動
をやろうということで、ついこの間も私のところにも交番のお巡りさんが家族
状況
とかいろんなのを調べに来られましたが、随分
努力
されていると思います。さらに輪を広げて、できるだけ
相談
に行きやすい、一番多分、あそこの家のおやじが相当悪いことをしていて
子供
たちがけがしそうだというと、やはり
警察
というのはいろんな意味で守ってくれる、こういう意識があるんじゃないかと思うんです。 そういうところを生かして、ぜひこれから新しいシステム、また、単に
児童相談所
に渡せばいいんだということではなくて、
警察
の中そのもの自身にみずからの専門官、県警の中、県警単位で抱えるのか
警察
単位か何かわかりませんけれども、要はある単位で、これだけ社会問題になっていて読売新聞に言われるような
児童虐待
に関して、社会がみんな何かしなきゃいけないと思っているときにその積極的
役割
を果たしていくべきと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
25
○
政府参考人
(
黒澤正和
君) ただいま御指摘の点でございますけれども、
警察
改革のときも指摘されたことでございますけれども、やはり民事不介入という誤った姿勢、考え方、これを払拭するということを例えば教養の面でもしておりまして、
職員
に徹底を図っておるところでございます。 先ほども申し上げましたように、
警察
は
事件化
、これはほかの
機関
ではできないわけでありますけれども、
事件化
だけではなくて多様な
対応
をしておる旨申し上げたところでございます。やはり国民の生命、身体、財産を守るのが
警察
の責務でございますので、そういった
観点
から、これは民事だから
事件
にならないからということで
関係
ないと、そういうことではないわけでございまして、その辺のところはよく
指導
、教養も徹底しておるところでございまして、今後とも一層の徹底を図ってまいりたいと思います。 これは
児童虐待
もそうでありますけれども、例えばストーカーでありますとかいわゆるDVとか、そういった問題についても同じような点が指摘されることがあるわけでございます。私どもの方では、一昨年の十二月でございますけれども、犯罪弱者といいますか、女性・
子ども
を守る施策
実施
要綱というものを制定いたしまして、また
児童虐待防止法
もできておるわけでございまして、民事不介入というような誤った考えではなくて、国民の生命、身体、財産を守るということで、多様な国民のニーズにしっかりこたえていく。 もちろん、
警察
だけですべてができるわけではございませんので、
関係機関
との
連携
もより一層緊密にいたしまして、国民の期待、要望にこたえてまいりたい、そのように思っております。
段本幸男君(段本幸男)
26
○
段本
幸男君 ありがとうございました。 きょう御出席の三省庁のみならず、
児童虐待
に関しては、一番最後に
警察
がおっしゃったように、
連携
しながらやっていくことはもちろんなんですけれども、駆け込まれたときに、別段、いやこれは
家庭裁判所
だから、いやこれ
警察
だからと一々わかっていなくて、被害を持っている人はどこかに駆け込んでいるんだと思うんですね。やっぱりみずからのところがそれぞれ責任を持って、ただしいろんなところと連絡はとりながら、自分で
解決
するんだ、こういう意識がないと、要は
子供
の非常に弱者をどういう形で素早く
解決
するかという問題だと思うので、ぜひ三省庁とも引き続きこの読売新聞で期待されている面を、我々
調査会
もやっていかにゃいかぬと思うんですが、そういうことを期待しまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
27
○
岡崎トミ子
君 民主党・新緑風会の
岡崎トミ子
でございます。よろしくお願いいたします。 この
法律
ができる前から、
子ども
の権利条約というものでこの
虐待
のことが条文に取り上げられてまいりました。
子供
の
虐待
というのは、
子供
が最も信頼をしている、頼りにしている、あるいは信頼をしている頼もしい親でなければいけないわけなんですけれども、その親から受ける暴力ということになりますので、その結果、命を奪ったりあるいは体を傷つけたり、あるいはまた精神的に深い傷を負うということでございますから、いわば最大の
人権侵害
だというふうに思います。
人権
あるいは権利というふうになりますと大変かたい表現になってしまいますけれども、
子供
たちが本当に安全に生きる権利であり、あるいはまた自由に生きる権利であり、また自信を持って生きる権利だというふうに思っています。もちろん
子供
たちが健康に生きる権利、これが本当に守られていかなければならないと思いますが、それぞれきょうおいでくださいました
警察
や
法務省
や最高裁判所の皆さんたちに、この権利条約をどういうふうな形で踏まえているのかについて、それぞれお伺いしたいと思います。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
28
○
政府参考人
(
黒澤正和
君)
警察
といたしましては、繰り返しになりますけれども、
児童虐待
は人格形成期にある
児童
の心身に深刻な影響を及ぼす重大な問題であると認識をいたしておりまして、
児童
の生命、身体を守りますとともに、
児童
の精神的な立ち直りを
支援
することによって
問題行動
等に走ることを
防止
するという
観点
から、この問題を
少年保護対策
の最
重要課題
の
一つ
として位置づけまして、
関係機関
と
連携
し、
早期発見
、適切な
対応
等に努めておるところでございます。 今後とも、
児童
の権利条約の
趣旨
を踏まえまして、
児童
の最善の利益というものを考えまして
関係機関
と緊密な
連携
をし、さらに適切な
措置
を講じて
児童
の
保護
の万全を図ってまいりたいと存じます。
副大臣(横内正明君)(横内正明)
29
○副
大臣
(
横内正明
君) ただいま
警察庁
からお話があった点に尽きるわけでありますけれども、さらにつけ加えるならば、この
児童虐待
に対する
対処
として大事なのは、言うまでもないことでありますけれども、いろいろなルートを通じてこの
早期発見
に努めるということが大事だと思います。 それから二点目としては、いろんな
関係機関
が
関係
をするわけでありますから、できるだけそういう
関係機関
が、先ほど来のお話もありましたように、うまく
連携
をとって、一緒になってそういった問題家庭なり
事案
に
対応
していくという
対応
が必要だというふうに思っております。
法務省
としても、そういうような基本的なスタンスで、
人権擁護
を所管する部局として
関係機関
と一緒になってこの問題に
対応
していきたいというふうに考えております。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君)(安倍嘉人)
30
○
最高裁判所長官代理者
(
安倍嘉人
君) 私ども裁判所といたしましては、
子ども
の権利条約の批准に際しまして、その内容を全国裁判所に通知いたしました。さらに、今回の
児童虐待防止法
の制定を受けまして、この内容についても全国の高等裁判所、
地方
裁判所、
家庭裁判所
に周知を図って、またそれぞれの研修等の機会を通じましてこの法制の理解について周知を図っているところでございます。 具体的な
事件
の
処理
につきましては個々の裁判官の判断
事項
ではございますけれども、相当周知されたことを踏まえて、各裁判体においてはこの
児童虐待防止法
の
趣旨
に沿った運用がされているものと理解しているところでございますし、今後もそのような運用ができるように配慮してまいりたいと考えているところでございます。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
31
○
岡崎トミ子
君 ふだんから
子ども
の権利条約をすべての政策に照らし合わせて見るということが大事だというふうに考えておりましたので、各省庁にお聞きしたいという気持ちも込めて、きょう
警察
、
法務省
、最高裁判所にお伺いしたわけなんですが、それぞれ持っている
経験
とかノウハウですとか、そういうものが、専門性が生かされていくということはとても大事だと思います。 今、それぞれの方がおっしゃってくださったように、
連携
という言葉を使われておりました。厚生労働省で示されておりますこの中には
児童虐待防止
市町村ネットワークというのがありまして、発生予防から
早期発見
、早期
対応
、
保護
・
指導
、アフターケアのところに至るまでどんなふうな形でこのネットワークが組まれていくのかということをまずお聞きしたいものですから、きょうは本当は担当ではなかった厚生労働省においでいただきまして、もう一度このネットワーク、殊にきょういらした
方々
にどういうことを求めているのかを教えていただきたいと思います。
政府参考人(岩田喜美枝君)(岩田喜美枝)
32
○
政府参考人
(
岩田喜美枝
君)
児童虐待
の
早期発見
、早期
対応
、またその後の適切なサポート、こういうことをやっていくためには、住民に身近な市町村のレベルで
関係
の
機関
、
関係
の団体が十分
連携
をとっていくことが必要であるというふうに思っております。 このような考え方に基づきまして十二年度から予算で
措置
をしたわけでございますけれども、それぞれの市町村域で
福祉
事務所、市町村保健センター、
警察
署、医療
機関
などの
関係機関
や民間の
関係
団体、それらを構成員とする市町村
虐待
防止
協議会を設けていただくということを推進しております。そして、この協議会の中で
児童虐待
についての
情報
交換ですとか、不幸にして実際に
虐待
が起こった場合についての
役割分担
、
連携
の仕方などを協議をしていただくということでございます。 きょう御参加の省庁との
関係
で申し上げますと、やはり
警察
署にお入りいただくというのは大変重要でございまして、現に既に設置されているネットワークの半数以上のところに
警察
が入っていただいております。また、弁護士会ですとか、あるいは会としてというよりも弁護士個人の方がメンバーになっているケースですとか、
人権擁護委員
がメンバーになっていただいたりということで、
警察
、
法務
、そういう分野の
関係
団体、個人にも参加していただいているケースが少なからずございます。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
33
○
岡崎トミ子
君 県の単位でもそのネットワークというのができつつありますし、市町村の中にも、まだばらつきがありますけれども、それができつつある。完全に全部でき上がっていないような
状況
だと思いますが、できつつあるということなんですけれども。 実は、表に書いてあります
早期発見
のところに、今おっしゃった
機関
以外に
民間団体
、つまりNPO、ここでは
子供
の
虐待
防止
ということで、例えば一一〇番というような形で
子供
たちの声を直接、あるいはお母さんの声を直接聞いているところなんですけれども、どうなんでしょうか、保育所の保母さんから、あるいは幼稚園、学校の一番
子供
と向き合っているところから、実は私たちの声が、現場の声がうまく吸い上げられて、このことを言ってもなかなか
児童相談所
から家庭訪問が来なかったり、あるいは
調査
がされなかったりというのがたくさん
事例
としてこれまではありましたと。ですから、それが本当にこのネットワークの中でシステム化されているかどうか。 殊に
民間団体
、入りにくいというふうに言われている無認可の民間の保育所ですとか、そういうところをいかに生かしていくのかということについてはいかがですか。
政府参考人(岩田喜美枝君)(岩田喜美枝)
34
○
政府参考人
(
岩田喜美枝
君) 中央のレベルで協議会は早い段階で設置いたしましたし、またすべての都道府県で設置されております。市町村レベルになりますと、先生御指摘のとおり、今整備されつつあるということでございまして、我々が
把握
している限りにおいては約五百ぐらいの市町村で既にネットワークができております。また、三百程度の市町村では今まさにつくりつつあるというふうに聞いております。 五百程度の既にでき上がっているネットワークの構成員を見ますと、ボランティア団体などの
民間団体
が構成員の中に入っているケースも一六%程度ございます。 また、先生御指摘のように、日ごろから
子供
に日常的に接している施設でございますが、例えば保育所ですとか
児童
養護施設などの
児童
福祉
施設、また幼稚園、小学校などの
教育
関係
の施設、あるいは小児科医などの医療
関係
の施設、こういう日常的に
児童
に接しているところにこの協議会の中に入っていただくというのは大変大事なことであるというふうに思います。 保育所、幼稚園は大変進んでおりまして、保育所が入っているケースが八割近くになっておりますし、幼稚園、小学校も入っております。幼稚園、小学校などがメンバーになっている協議会が全体の六割あるいは七割ぐらいになっておりますので、そういう意味ではそれなりの参画をいただいているというふうに思います。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
35
○
岡崎トミ子
君 ありがとうございます。 そこで、それぞれ、私の偏見だったらお許しいただきたいんですけれども、これまで
警察
あるいは
法務省
、そして最高裁判所といいますと、NGOとの
連携
、ネットワークは大枠ではやるし、その中には入るというのはよくわかるんですけれども、そういう
連携
を
強化
していかなければいけないと思うんですね。 今の詳しい
事案
ではありませんでしたけれども、たくさんそういうところから上がってくるものもありますので、まず、
警察
はNGOとの
連携
という点で、そしてこのネットワークの中でどういう働きをするのかということについてお知らせいただきたいと思います。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
36
○
政府参考人
(
黒澤正和
君) ただいま御指摘の件でございますが、
児童虐待
に必ずしも限ったことではありませんけれども、私ども、やはり安全、安心の確保のために、国民の平穏な生活を確保するためには、
警察
が最大限しっかり安全を確保する仕事をしなければならないのは当然であります。 しかし、
警察
だけでは安全というのは確保できないわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、やはり
関係機関
との
連携
、特に安全の問題については自治体でありますとか地域住民でありますとか、あるいはその中にNPOでありますとかNGOでありますとか、そういったある分野について必ずしも
警察
がやり切れないといいますか、やれない部分といいますか、限られた公共財の資源配分の問題でございますので、そこはやはり御指摘のような諸団体とも
連携
を深めて安全というものを確保していかなければならないということで、特に地域安全
活動
等で私どもそういったことに留意をしまして、諸施策を現在進めておるところでございます。 また、
児童虐待
からやや離れてしまうんですけれども、
児童
の商業的性的搾取の世界
会議
が来月行われますけれども、ああいった問題につきましても
警察
は積極的に参加をいたしまして
関係
諸団体との
連携
を深めておるところでございますが、そういったことはこの
児童虐待
の問題についても、先生御指摘のとおり、全く私は同様だと思いますし、そういった
観点
から今後、
連携
の
あり方
、そしてまた深め方というものをよく考えて適切に
対応
してまいりたいと存じます。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
37
○
岡崎トミ子
君
法務省
にも、短くお願いします。
副大臣(横内正明君)(横内正明)
38
○副
大臣
(
横内正明
君) そういうネットワークの中で
法務省
がどのようにかかわっていくのかということだと思いますけれども、先生御案内のように、各
地方法務局
、
法務局
に
人権擁護
組織がございます。
人権擁護委員
さんを通じたり、あるいは直接そういった
児童虐待
の
事案
が上がってくるわけでありますけれども、
相談
があるわけでありますけれども、それについてはもう原則全部
児童相談所
に
通告
をして、そしてそういうネットワーク全体の組織の中で
解決
をしていくというような考え方に立っております。 例えば、昨年は六百二十件この
人権擁護
組織から
児童相談所
に通報をしたというようなことで、常にそういうネットワークの中で一緒に
解決
をしていく、そういう仕組みで進めております。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君)(安倍嘉人)
39
○
最高裁判所長官代理者
(
安倍嘉人
君)
家裁
といたしましては二つの場面がございますが、まず
事件処理
という
観点
から申し上げますと、個々の
事件
が来たときに、これまでかかわってきた
関係機関
からの
情報
収集、
児相
が
中心
になりますけれども、
関係機関
の
情報
収集がこれは
中心
になるわけでございます。またさらに、仮にその
当該事案
について施設収容を承認したといたしましても、その後、その親子の再統合をどうするかという問題があるわけでございますから、その意味でその親子の再統合に向けたバトンタッチもしなければいけないと、こんなことを留意しながら
事件処理
に当たっているところでございます。 他方で、これは
事件
を離れた一般的な
観点
から申し上げますと、各地のネットワークができているわけでございますが、今ざっと見まして、全国都道府県のうち四十余りの都道府県において、県単位あるいは市単位いろいろありますけれども、
家庭裁判所
の方が要請を受けましてネットワークあるいは連絡
会議
等に幹部のベテランの
家裁調査官
を派遣しているところでございまして、この場面においては、個々の問題の
解決
についてどうすればいいかというところは、判断
機関
の性質上、なかなか私どもそこに関与するのは難しい面がありますけれども、ただ、一般的な形で
子供
の持つ問題は何だろうかということについて、これまでの
家裁調査官
の実務の蓄積等を生かせるようにそこでの関与を考えていきたい、こんなところでございます。 以上でございます。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
40
○
岡崎トミ子
君 アメリカの例などでは、
家庭裁判所
というところは、今の再統合、親子の再統合という意味では、
子供
と本当にずっと遊んで、あるいはキャンプに連れていって、そういう具体的なところまで裁判所がかかわっているんですね。ですから、そういう意味も含めて、ノウハウはいろんな市民団体から学ぶことが非常に多いのではないかなというふうに思いますので、今後ともそうした
連携
をお願いしたいなというふうに思います。
警察庁
にお伺いしたいと思いますが、これまで百二十三件の
援助要請
があったということなんですが、実態としてどういうものがあったのか、全く形が違うものについて簡単にお知らせいただきたいと思います。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
41
○
政府参考人
(
黒澤正和
君) これは一般的に申し上げてでございますが、
保護者
あるいは
保護者
以外の第三者から物理的に抵抗を受けるおそれがあるような場合でありますとか、あるいは
児童
が今まさに
虐待
されているような場合、
児童相談所長等
だけでは
職務
執行をすることが困難で円滑にいかない、そういうような場合に
援助
が必要だということで
援助
を求められてきておるものと承知をいたしております。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
42
○
岡崎トミ子
君 その後、今度は一緒に介入する場合、具体的に言いますと、これもまた直接
警察
ということではなく
児童相談所
と
連携
をして、ストレートに顔を見せるのではないという形で
警察
は介入をするのかなというふうに私も想像するんですけれども、介入の仕方はいかがですか。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
43
○
政府参考人
(
黒澤正和
君)
援助
の
対応
につきましては、これもケースによっていろいろあろうかと思いますけれども、事前に調整できる場合には、どういう形でどういうふうにして
対応
をするか、この辺のことにつきまして、時期もそうですけれども、よく詰めまして
対応
するということになるわけでございます。そういったいとまがないとき、事前に打ち合わせができない、事前協議ができない場合もございますけれども、一般的に申し上げますと、あくまでもこれは
児童相談所
の
職員
が
職務
執行をするということでございます。 例えば、現場付近で
警察官
は先ほど申し上げましたようなことが予想されるというような中で待機をする、あるいは内容によっては
職員
とともに中へ入って
職務
執行に立ち会う、そういうこともあるという
報告
を受けておるところでございます。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
44
○
岡崎トミ子
君 いろんなことをお聞きしようかなというふうに思いましたのは、いろんなパターンがあると今おっしゃったので、本当にいろんなパターン、千差万別、背景も違うだろうというふうに思うんですね。そうした
経験
の蓄積をどのようにしていらしたのか。ちょっと事前にお聞きしたときには余り蓄積という形ではしていないということなんですが、これはマニュアル化することが大事だと思うんですね。だれが行くかわからない。 そのマニュアル化についてはいかがでしょうか。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
45
○
政府参考人
(
黒澤正和
君) おっしゃられるとおりだと思います。 先ほど申し上げましたように、
法施行
から約百二十件ほど
事例
が集積されておりまして、そういった中からいろいろ分析、検討をいたしまして、マニュアル化して今後の
対応
に資する、そのようにいたしたいと考えておるところでございます。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
46
○
岡崎トミ子
君 その点、よろしくお願いいたします。
法務省
にお伺いしますが、先ほど
人権擁護委員
の生かし方ということでお話をされている中で、改革をしていかなければいけないと、パブリックコメントもとってその中間
報告
もなされたということなんですけれども、実は私もこの
人権擁護委員
の
あり方
について、これでいいのかどうなのかということでしばらく調べてみましたところ、これまでに障害者差別ですとかDVとか、そうしたさまざまな
人権侵害
の問題に関して
人権擁護委員
に
相談
した人というのは皆無に近かったんですね。 ここに数字が上がっているんですが、なかなか生かされていないと。しかも、全国に一万四千人もいる。平均年齢が六十五歳で七十歳以上は再選できないというような形なんですけれども、市民からはほとんど信頼されていないというような、大変申しわけない、この言葉だけではくくれない、たくさん活躍されている方はいらっしゃるだろうというふうに思いますけれども、
相談
、
救済
について十分に
対応
できる
体制
になっていないというのは、これは無償に近い形で、ボランティアという形でやっているのと名誉職だというのが問題なんだと私は思うんです。 それで、代表する意見、全部網羅することはできないと思いますが、二万五千もあったパブリックコメントのうちから代表する意見、よくないといったところ、三つ、どんな点でしょうか。
政府参考人(吉戒修一君)(吉戒修一)
47
○
政府参考人
(
吉戒
修一君) 今、先生お尋ねのとおり、
人権擁護推進審議会
におきまして、現在、
人権擁護委員
制度の改革について
調査
、審議しております。 ことしの九月十一日から十月三十一日までの間におきまして、論点項目につきましてパブリックコメントを
実施
いたしました。今御指摘のとおり、全国から通数にいたしまして約二万六千件、意見の数にいたしまして約四万三千件の意見が寄せられております。この結果につきましては、さきの十一月九日の審議会の場におきまして
報告
をいたしたところでございます。 寄せられた意見は非常に多岐にわたっておりますけれども、こういうふうな御意見もございます。
人権擁護委員
の選任基準等に関しまして、例えば
人権
感覚にすぐれている者を選任すべきである、あるいは
人権
問題に関する
活動
実績を有する者から選任すべきである、あるいは多様な年齢層から選任すべきであるというふうな御意見がございまして、実際、今平均年齢六十五歳、一万四千名おる者のうち四千名が女性の
委員
でございます。 そういうふうな
実情
でございますので、こういうふうな意見を踏まえて、今後、年齢の若年齢化と、それから女性
委員
の割合をふやしていくというふうなことを審議会で議論されているものと承知しております。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
48
○
岡崎トミ子
君 総理府の
人権擁護
に関する世論
調査
でも、
人権擁護委員
を近くで知っていますかという問いに対しても、知らない、わからない、これは五〇%も、もちろん知っている人もいるんですよ、四〇%近く知っている人がいて、そういう人たちは、この人たちは
人権
の問題について仕事をしているのだという認識はあるんですけれども、知っている人がいない、わからないという人も含めますと六〇%もあるものですから、私はむしろ、無償でボランティアで働く
人権擁護委員
よりは、少し有償でケースワーカー的な仕事に変えていかないとこれからの
人権
の問題やこうした
児童虐待
などには
対処
できないだろうというふうに思うんですね。 今回はその中から六百人ほど
子供
の専門
委員
というのを選んでいらっしゃいますが、その選考基準はどんなふうですか。
政府参考人(吉戒修一君)(吉戒修一)
49
○
政府参考人
(
吉戒
修一君)
子供
の
人権
問題を専門的に扱う
人権擁護委員
といたしまして、現在約六百名の方にお願いしております。この方たちは多くは元学校の
関係者
でありますとか、あるいは命の電話
相談
といいましょうか、自殺の
防止
のための電話の御
経験
のある方とか。先ほど申し上げましたように、
人権擁護委員
の中では三割が女性でございますけれども、
子供
の
人権擁護委員
に限りましては比率が高うございまして四割ぐらいを占めております。 そういう形で、お子さんの
教育
問題、あるいは
人権
問題に非常に深い関心のある熱意のある方をお願いしているという
実情
でございます。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
50
○
岡崎トミ子
君 何か、本当にこの
児童虐待
のことに関して
人権擁護委員
に相当
窓口
があったらいいなというふうに思うものですから、ぜひともケースワーカー的な形で研修を積まれて、そして
対応
できるような形で、殊に電話
相談
などもあるようですから。 これは直接
子供
の声も来ます。地元で直接電話をかけたという例が、民間のNPOに対してなんですが、四歳の
子供
がかけられるんですね、カードさえあればかけられる。そういう
子供
たちに
対処
して、そこから何か発信されるものを受け取れるというようなことで仕事をしていただきたいなというふうに思います。よろしくお願いいたします。 もう
一つ
、
法務省
にお伺いしたいのは、再発
防止
というのが大変重要なんですけれども、この問題について、親と子が離れる、引き離しになったときのそのチャンスに、
子供
に対して、親に対して
教育
プログラムがしっかりあることが大事だというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
政府参考人(吉戒修一君)(吉戒修一)
51
○
政府参考人
(
吉戒
修一君) おっしゃいますとおり、
虐待
の
防止
、再発
防止
、これは非常に大事なことでございます。私どもでは
事件
、大体は近隣の方からの通報が多うございますけれども、そういう方から
児童虐待
の通報がございますと現場に参りまして
関係者
、もとより親の意見も
事情
も聴取いたしまして、
事案
を
把握
いたしまして
児童相談所
の方に
通告
いたしまして、
児童相談所
と一緒に
連携
協力して
処理
に当たっております。 そういう中で、再発の
防止
でございますけれども、まず第一はやはり緊急の場合にはお子さんと親を引き離すということが大事でございますので、これは
児相
の
役割
だと思いますけれども、一時
保護
所を利用していただくというようなことを考えております。 それから、私どもの方としては加害する親に対しまして、
啓発
という
観点
から説諭といいましょうか、こういうふうな
児童虐待
をしてはならないということを
子ども
の権利条約の
資料
とかを使いまして説諭しております。 そういう形で、再発
防止
をとりあえずやっております。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
52
○
岡崎トミ子
君 本当に簡単なことではないので長い期間多分かかるものだというふうに思いますので、これからそうしたシステムをつくって
教育
のプログラムをしっかりしていっていただきたいなと思います。 最後に、最高裁判所にお伺いしたいと思いますが、
児童相談所
の判断で
親権者
の同意が得られない状態で親子を離れ離れにしなければいけないというとき、
子供
を
保護
するというこの状態のときに、
家庭裁判所
に申請して、そして
児童相談所
に
措置
することができるんですが、今まで大変時間がかかっていたと。この
法律
ができてからはそれが、必ずしも短いことがいいというふうに私も思っていないんですけれども、もし今までむだなことがあって長引いてしまったとかいうのであれば、やっぱりこの期間は短くしていかなければならないなというふうに思うんですが、その辺、改善されたかどうかお伺いしたいと思います。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君)(安倍嘉人)
53
○
最高裁判所長官代理者
(
安倍嘉人
君) 正確な統計を
手元
に持っておりません
関係
から、
施行
前と
施行
後でどう変わったかということに的確な御
説明
になるかどうかというふうに思いますけれども、今回の
法施行
後に
申し立て
がありまして、そして九月の末までに終局した
事案
について見ますと、七十九件が終局しているようでございますが、これらの
事件
を見てみますとおおむね二カ月で
解決
がついている、認容か却下か取り下げかということになっているのが
現状
のようでございます。 これ、どう評価するかという問題はあろうかと思うのでございますが、現場の感覚からいたしますと、
保護者
の方に
面接
をすることもなかなか容易ではない。もともと同意をしないケースでございますから非常に拒否反応が強い方が多いわけでございまして、その
保護者
への
面接
に非常に苦労するという面があったり、あるいは
児童
自身について
面接
をするについても二次被害が発生しないようなきめ細やかな配慮をしながら行っていくと、こういったことなど工夫をしている
関係
から一定の時間を要するものがあるということを御理解いただきたいと思っております。 ただ、今後におきましては、もちろん
事案
によりけりでございますけれども、
緊急性
の度合いにも差があると思います。緊急な
対応
が必要なものについては速やかな
対応
ができるようにこれは一層の工夫をしてまいりたいと考えているところでございますが、各
家裁
においても、先ほど申し上げたような形で共同
調査
を
実施
するなどいたしまして、その緊急
対応
にはそれぞれの工夫をしているという
状況
にあるように考えているところでございます。 以上でございます。
岡崎トミ子君(岡崎トミ子)
54
○
岡崎トミ子
君 終わります。ありがとうございました。
山本香苗君(山本香苗)
55
○山本香苗君 公明党の山本香苗と申します。 この
児童虐待防止法
施行
からちょうど一年がたちました。この
法律
は参議院の女性議員の先輩方が
中心
となって進めてこられたとお伺いしております。中でも、我が党の女性
委員
会は
児童虐待防止
の法制化のために七十四万人余りの署名を集めましたし、我が党としても本当に思い入れの深い
法律
なんです。 先日、私も実は
児童虐待
を受けた方と一時間近くお話しする機会がございまして、その方は本当に今なお幼いころ
虐待
を受けた心の傷を負っていらっしゃいました。
児童虐待
で
子供
が亡くなるたびにすべての新聞報道を集めてファイルにしていらっしゃいまして、
児童虐待防止法
ができたのにこうした
事件
がなぜなくならないのかと本当に憤りをあらわにしていらっしゃいました。私は、こうして国
会議
員となった以上、こうした声も国政に届けていくのが私の使命だと思っております。 今回、きょうは
法務省
、
警察庁
、裁判所の
方々
に来ていただいておりますが、
施行
三年後に見直すことになっておりますこの
法律
、一年たったときどういった点を改善しなくちゃいけないかという点で御質問をさせていただきたい、御意見をお伺いしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 まず、
法務省
の方にお伺いしたいと思っておりますが、先ほど副
大臣
の御
説明
の中にございました
子ども
の
人権
一一〇番、何か非常に聞いた感じ、どんなものかな、もっと詳しく知りたいなと思ったんですけれども、どういった
観点
から設置され、またどのようなことが行われているのか、もうちょっと詳細をお伺いしたいと思います。
政府参考人(吉戒修一君)(吉戒修一)
56
○
政府参考人
(
吉戒
修一君) 先生御指摘のとおり、
子供
の
人権
問題、非常に重大な問題として従来から私どもで扱っておりました。
平成
六年に
子ども
の
人権
一一〇番というものを全国の
法務局
あるいは
地方法務局
で備えるようにいたしております。これは、
法務局
、全国に八つございます、それから
地方法務局
四十二ございますけれども、その
法務局
の本局に
児童虐待
を含む
子供
の
人権
問題を専門に取り扱う電話
相談
の
窓口
を設置いたしております。これは、先ほど申し上げましたように、
人権擁護委員
の中から選任されました約六百名の
子ども
の
人権専門委員
がその
相談
の受付の担当をいたすということで
相談
に応ずるものでございまして、内容的にはもうお子さんからあるいはその親から、あるいは学校の
関係者
からさまざまな
子供
に関する
人権
問題の
相談
を受けております。 具体的に申し上げますと、この受け付け時間は原則といたしまして午前八時三十分から午後五時まで受け付けております。それ以外の時間帯につきましては、ファクシミリあるいは留守番電話等を利用いたしまして時間外の御
相談
にも
対応
いたしております。したがいまして、
法務局
の
職員
が毎朝登庁いたしまして最初にいたす仕事が、昨日夜中にありました留守番電話の録音をもう一度再生いたしましてどういうふうな
相談
が来ているかということを確認するというのが日常になっておるというふうに聞いておりますけれども、こういうふうな形で
子ども
の
人権
一一〇番、これを運用させていただいております。
山本香苗君(山本香苗)
57
○山本香苗君
人権
という
観点
から
法務省
は
児童虐待
に
対応
されているとお伺いしておりますが、この
人権侵犯事件
として
法務省人権擁護
機関
が扱っていらっしゃる
事件
の全体の中で、
児童虐待
が占める割合というのはどれぐらいでしょうか。また、それの増減についてお伺いしたいと思います。
政府参考人(吉戒修一君)(吉戒修一)
58
○
政府参考人
(
吉戒
修一君)
法務省
の
人権擁護機関
が過去三年間に
取り扱い
ました
児童虐待
の
件数
でございますけれども、数字を申し上げますと、
平成
十年が四百九十六件でございました。
平成
十一年が五百九十二件、
平成
十二年が六百三十四件ということでございまして、年々、残念ではございますけれども
増加
の
傾向
にございます。特に
児童虐待防止法
が
施行
された昨年以降はそういう形で数字がふえているものと思っております。 私どもで扱っております
人権侵犯事件
でございますけれども、大体年間全国で約一万六千件から七千件でございます。したがいまして、今申し上げました
児童虐待
の
人権侵犯事件
の
件数
は、
平成
十年が約三・〇%、
平成
十一年が約三・四%、そして
平成
十二年が約三・六%でございますので、
件数
的にも割合的にも年々ふえてきておるということが言えようかと思います。
山本香苗君(山本香苗)
59
○山本香苗君 やはり本当にふえているんだなというのを改めて感じるわけです。
児童虐待
がふえた、そのような報道がよくなされております。この
児童虐待防止法
が成立したおかげで、今まで家庭という密室の中でしつけだというふうに言われていた暴力が
虐待
になることが判明して、今まで潜在化してきた
児童虐待事件
が顕在化したのではないかなと思っておりますが、先ほどちょっと質問の中にもありましたけれども、その
児童虐待事件
に対して具体的にどのような
対応
をされていらっしゃるのでしょうか。
政府参考人(吉戒修一君)(吉戒修一)
60
○
政府参考人
(
吉戒
修一君) これは先ほど来から御
説明
の中にあったと思いますけれども、この
児童虐待
の問題を
解決
するために
関係機関
との
連携
を図ることが重要であるということは先ほど副
大臣
からも申し上げたところでございます。 繰り返しになるかもしれませんけれども、
法務省
の
人権擁護機関
におきましても、中央レベルにおきましては
児童虐待
対策協議会に参加しておりますし、
地方
レベルにおきましても、府県単位あるいは市町村単位で同種の協議会あるいはネットワークに参加して
活動
状況
の
報告
とか
情報
の交換をしております。これは大きな意味での
活動
でございます。 個別の
事件
でございますけれども、先ほど申し上げましたように、近隣の方からの通報あるいは学校
関係者
からの通報等々によりまして
児童虐待
の
事案
を
人権擁護機関
で
認知
いたしました場合には、私どもで
処理
はいたしますけれども、それとともに
児童虐待防止法
六条の
趣旨
にかんがみまして、直ちに
児童相談所
に
通告
をいたすということにいたしております。
児童相談所
と協議しながら私どもの方で
調査
をし、
調査
というのは具体的には
関係者
、特に親からの
事情
聴取をするという形で
事案
を
把握
いたしまして、
処理
といたしまして、一時的にお子さんを親から引き離す必要があれば
児童相談所
に御
相談
して一時
保護
所に
保護
していただくと。そうでなければ、親に対して今後そういうふうな
虐待
をしないように私どもの方から説示をするというようなことで
対応
いたしております。 いずれにいたしましても、この
児童
の問題は非常に大事な問題でございますので、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
山本香苗君(山本香苗)
61
○山本香苗君 ありがとうございます。 先ほど、一番最初にお伺いいたしました
子ども
人権
一一〇番、八時三十分から十七時まで、時間外はファクス、留守電で
対応
していますよというお話がありましたけれども、この電話や手紙、ファクス等で
相談
を受けている以上に、例えばもっと
子供
たちの声を吸い上げる、今IT化等々進んでいると言われておりますが、電子メールとかの受け付けというものは検討していただけないんでしょうか。
政府参考人(吉戒修一君)(吉戒修一)
62
○
政府参考人
(
吉戒
修一君) この
児童虐待
の問題につきましては、
被害者
が
子供
でございますのでなかなか事態が外に出てこないということもございます。したがいまして、
早期発見
ということは非常に大事だと思っております。 そこで、私どもでは
子ども
の
人権
一一〇番という形で専用の電話回線を設けておるわけでございますけれども、
委員
御指摘のように、電子メールというものも
一つ
のアイデアかなと思っております。 ただ、先ほど申し上げましたように、回線が込んでおる場合とかあるいは時間外の場合に
対処
するためにファクシミリとか留守番電話の用意もしておりますので、まずそちらの方を利用していただいてと思っております。電子メールの点につきましては、今後の課題として考えさせていただきたいと思います。
山本香苗君(山本香苗)
63
○山本香苗君 メールというのは非常に手軽なものですから、もしそういうのもできたらなと思って御提案させていただきました。 次に、
警察庁
の方にお伺いいたします。 先ほど、御
説明
はしていただきました。私の地元の大阪でやっておりますこのチャイルド・レスキュー・チーム、これが発足いたしましてちょうど一年たつわけですけれども、具体的な
活動
及び一年たってほかの県等に勧めてもいい点と、あとまた課題、こういう点が困った、そういうのがありましたら教えていただけますでしょうか。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
64
○
政府参考人
(
黒澤正和
君) ただいま御指摘の大阪のチャイルド・レスキュー・チームでございますが、女性によるチーム、滋賀県にもCLARAというチームがございますが、そのほか茨城にもハートフル・アドバイザー、女性のチームがございます。大変成果が上がっているんじゃないかと考えております。 例えば、大阪のチャイルド・レスキュー・チームにつきましては、やはり
専門ユニット
として位置づけたことによりまして、先ほど来出ております
児童虐待
の早期
認知
あるいは
保護
に迅速、的確に
対応
できるようになった、あるいは
関係機関
との
連携
による
保護
措置
が円滑化することができた、さらに地域ぐるみの
取り組み
、これがある程度盛り上がってきたのではないか、そういったいい面が出ておるのではなかろうかと考えております。 全国にいろんないい
事例
があるんですが、やはりいい
事例
、それぞれ特徴がそれぞれのチームにございまして、総合的にすべてすぐれているモデルとして示すというのはなかなか難しいかもしれませんけれども、こういったチームがあってこういったところがすぐれている、そういったことを全国にも示して普及を図ってまいりたい、そんなふうに考えております。 また、課題といいますか、これは一般的な話になってしまいますけれども、ネットワークをつくるだけではなくて、つくることに意義があるわけではなくて、実際に動くことに意義があるわけでございますので、実際に動く
方々
、実務家といいますかそういった方が真に
連携
をとれるようなチームでなければならないのではないかと、そういったことが
一つ
の課題かなと思っております。
山本香苗君(山本香苗)
65
○山本香苗君 先ほど、
法務省
の方の御
説明
の中におきまして被
虐待経験
と
非行
との関連についてお話がございましたけれども、私も、
虐待
を受けた方の約半数ぐらいが
非行
に走っている、すごいことだなと思ったわけなんです。
警察庁
としましては、この事実をどう受けとめられますでしょうか。
非行
と被
虐待
児童
との
関係
を
警察庁
としてはどういうふうに、先ほど、
問題行動
を
防止
するという
観点
から
児童虐待
への
取り組み
を
強化
しているというふうなお話がありました。 済みません、
通告
していなくて。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
66
○
政府参考人
(
黒澤正和
君) ただいま御指摘の点でございますけれども、私ども、そういったことが世上言われておることも十分承知をいたしておりまして、また実際に
非行
少年の
事例
等を見ていった場合に、例えば
虐待経験
がある、そういう
事例
もございまして、そういう問題意識は持っておるところでございまして、
非行
少年が例えばこの
児童虐待
とどんなふうにかかわっているか、そんなことも
調査
をいたして、今整理をいたしておるというのが
実情
でございます。 そういった問題認識のもとに、いろんな
研究
、またその整理も踏まえまして適切に
対応
してまいりたいと思っております。
山本香苗君(山本香苗)
67
○山本香苗君 ということは、
警察庁
さんの方でも同じような
研究
をされているということでよろしいですね。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
68
○
政府参考人
(
黒澤正和
君)
非行
少年何人か、実際に
非行
を犯した少年につきまして、過去に
虐待
を受けた
経験
があるのかどうか、そういったサンプルといいますか
調査
を行って整理しておる。 もちろん、
非行
一般の
観点
から
調査
をいたしておるものでございまして、
非行
の背景、原因にはいろんな要因が複雑に絡み合っておりますので、直ちに
児童虐待
から
非行
ということには、そのことのゆえにということにはならないかもしれませんが、そういう問題意識のもとに
研究
、整理もして、またそういったことを背景に
非行
防止
の諸施策を展開しておる、こういうことでございます。
山本香苗君(山本香苗)
69
○山本香苗君 しっかりと取り組んでいただきたい。 済みません、いろんな方が質問されていらっしゃるのでどんどん質問が少なくなってまいりますので、ちょっと
通告
していないものもふえてまいるかと思いますが、次に裁判所の方にお伺いしたいと思っております。
早期発見
のためには
関係機関
との
連携
が密じゃないといけないといった話がずっとございました。先ほどちょっとこの報道のものがありますけれども、最後のページのところの分ですね。このようなものは本当に有意義でいいなと思っているわけなんですが、こういうことを行ったことによって何かいい結果が出たとか、そういった御
報告
は現場の方から上がってきていますでしょうか。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君)(安倍嘉人)
70
○
最高裁判所長官代理者
(
安倍嘉人
君) このような協議会は、実は一般的な形では家事
事件
を担当する
関係機関
ということで、従来から、
児童相談所
でありますとか
福祉
事務所とかとの協議会は持ってまいりました。今年度は、特にその
児童虐待
に特化したものを始めたわけでございますが、実際の協議会を始めてまだ間がないこともありますので、これが直ちにどこかの成果にあらわれるということではまだないかと思いますけれども、しかしながら、このような協議会を持つことによって、
児童相談所
の側は
家裁
の仕組みであるとか考え方を理解いただいただろうと思いますし、また
家裁
の側も
児童相談所
の手続の流れであるとか、どんなことに御苦労されているかということについての理解も深まっただろうと思います。 そういったことから考えますと、おいおいこの効果があらわれてきて、しかるべき
対応
をしなきゃいけない
事案
が適切に模索されるものだろうと考えているところでございます。 以上でございます。
山本香苗君(山本香苗)
71
○山本香苗君 先ほどの
段本
先生も言われておりましたが、何かちょっと敷居が高いな、裁判所って何かちょっと遠い感じがするわけなんですけれども、こういう協議会を頻繁に持っていただきまして、本当に
関係
各所とうまく
連携
していただければなと思っております。 先ほども御
説明
ございました
児童福祉法
第二十八条に基づいて、親の同意を得ないまま
子供
を施設へ入所させたり親権を喪失させるためには
家裁
への
申し立て
が必要になります。この
申し立て
件数
というのがこの
法律
の
施行
前と後でどのような数の変化というか、そういうのは教えていただけますでしょうか。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君)(安倍嘉人)
72
○
最高裁判所長官代理者
(
安倍嘉人
君)
施行
前の数字で申しますと、
平成
十二年に
事件
が百四十二件ございました。私ども統計をとってその
施行
後、つまり昨年の十一月二十日以降十月の末までの数字をとったものでございますので一年間ではないんですけれども、その期間の数字で見ますと百五十九件でございますので、一年間通して見れば
増加
していることは間違いないだろう、こう考えておるところでございます。
山本香苗君(山本香苗)
73
○山本香苗君 この
児童虐待防止法
によって
児童相談所
の権限、これが
強化
されたわけなんですけれども、親が来たときに面会とか通信とか事実上親権を一部制限できるようになっているとお伺いしておりますが、しかし、親が例えば親権を盾にとって、入所してきた
子供
を強引に連れ戻そうとしたらどうするんですかときのうちょっと聞いてみましたら、それは施設の方の問題ですというふうに言われました。 先ほどの御
説明
でいただきましたこの表を見ますと、入所後、親と
子供
を分離した後に
家裁
がかむところがないのかなと。でも、実際現場のことを考えたときに、尼崎で起きました
事件
、このときも親が何回も何回も行って返してくれと言って、親の言葉だからそれを信じてあげなくちゃいけないなとか、
子供
と親を本当に離していていいのかなと、そういった現場の迷いがあったんじゃないかと思うんです。 そこで、一部に、入所した
子供
を強引に連れ戻そうとするようなケースで、
家裁
が親権を一時的に取り上げたらどうかという声もあるんですが、この点についてどのようにお考えになりますでしょうか。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君)(安倍嘉人)
74
○
最高裁判所長官代理者
(
安倍嘉人
君) 親権を取り上げる制度をつくるということになると立法論の話になるものですから、私ども裁判所としてこれについてどうこうということを申し上げる
立場
ではないと考えているわけでございますけれども、現に実際、親権喪失宣告の
事件
で宣告をされた場合においても、その
事情
がやんだ場合にはそれを取り消しすることもできるという仕組みになっておりますし、今、
委員
御指摘のように、
児童相談所
においてもいろんな手だては今回講じられているということでございますので、そういった手だてで十分じゃないのかといったことについての慎重な検討は必要なテーマだろう、こう考えているところでございます。
山本香苗君(山本香苗)
75
○山本香苗君 私自身としても何でもかんでも強制力を使って
解決
するというのはちょっと考え物じゃないかなと思っていますので、ぜひとも慎重な
対応
をしていただきたいと思っているんです。 本当に、この
虐待
に遭っている
子供
の様子が目に浮かぶと、逃げることもできず頼ることもできずひとりで苦しんで死んでいった
子供
のことを考えると全く眠れなくなるんだと言ったのが、先ほど一番初めにお話しした
児童虐待
に遭った方がもう繰り返し繰り返しおっしゃっていらっしゃったことなんです。 もう本当に、こうやって責任ある私たちの
立場
としても、彼らぐらいの思いを持ってこの
児童虐待
に当たらないと
児童虐待
というものがなくならないんじゃないかなと思っておりますので、これからも全力で私自身も取り組んでまいりたいと思います。 以上にて質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
林紀子君(林紀子)
76
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。 今までいろいろな皆さんが質問をいたしまして、私が質問をしたいと思っていたところと大分重なっておりますので、私も
通告
をしていないけれども、今御
説明
を聞きながらここはお聞きしたいと思う点もありましたので、ちょっと外れるところもあるかもしれませんが、お許しいただいてお答えいただけたらと思います。
虐待
は
子供
への最大の
人権侵害
だということが今まで何度もお話にありましたけれども、まさにそのとおりだと思いますし、
児童虐待
の話を聞くと、ほとんどの方たちが大変心を痛めている。やはり
子供
たちがこの日本の社会で安全で安心して生活をして育っていくこと、それは本当に大人の責任だということを私も今改めて痛感をしているところです。 まず、
法務省
にお聞きをしたいんですけれども、
平成
六年から
人権擁護委員
の中に
子ども
の
人権専門委員
というのをつくられたということで、私もこのリーフレットをいただきましたが、「
子ども
の
人権専門委員
」という、こういう
子供
の漫画のような絵がかいてあるかわいらしいリーフレットなんですが、ここには
児童
の権利に関する条約というのを主な内容ということで掲げて、全部仮名を振って、「
子ども
は暴力や
虐待
(むごい扱い)といった、不当な扱いから守られるべきです。」ということもきちんと書いてくださっているわけですね。これは問い合わせ先ということで
子ども
の
人権
一一〇番の電話番号、これは関東甲信越のところ、配る場所によってなのかもしれませんが書いてあるんですけれども、こういうリーフレットみたいなのはどういうところに配って、電話で
相談
をしたいというような
子供
たちの手にどうやって渡っているのかということをお聞きしたいと思います。
政府参考人(吉戒修一君)(吉戒修一)
77
○
政府参考人
(
吉戒
修一君)
平成
六年から
子ども
の
人権
一一〇番を設けておりますけれども、もちろんこれはお子さん方にこういう一一〇番があるということを知ってもらわなければ利用されませんので、今、
委員
御指摘のとおり、こういうふうなリーフレットをつくりまして、これは
人権擁護委員
さんが地元の学校を訪問して、その際に
人権
に関するお話をお子さん方にわかりやすくされて、それと同時にこういうリーフレットを配られるということもあります。それから、学校の要請に応じまして
法務局
の
職員
が必要な部数をお届けするということもございます。 それから、今、
委員
御指摘のほかにも、実はちょっと私、今持っているんですけれども、テレホンカード程度の大きさの小さな一一〇番のあれを書いたカードがございまして、これも相当部数学校の現場にお持ちいたしまして、小学生の皆さんに、あるいは中学生の皆さんにお配りしております。これは東京
法務局
が作成いたしましたものですけれども、四十万部つくっておりますので都内の学校の相当のところにはこのカードが行っておりまして、お子さん方はお持ちだと思います。 そういうこともありまして、私も東京
法務局
の
人権擁護部
に行きましたけれども、お子さんから直接一一〇番の電話がございまして、それを実際聞いたということもございます。
林紀子君(林紀子)
78
○林紀子君 私もNGOが行っております
子ども
一一〇番とかチャイルドラインとかいう方たちのお話を聞いたんですけれども、そのカードを配ることそのものが大変
努力
をしながらやっているというお話を聞きました。行政側はそういう意味では、なかなか大変ではあっても配るルートというのがもっと広範囲にあるんじゃないかというふうに思いまして、
子供
たちがそれを手がかりに電話をかけてくるということがあると思いますが、その電話の
件数
が五千五百件ぐらいというふうにきのうお聞きいたしましたが、そのくらいの
件数
あるんでしょうか。 済みません、これを直接お聞きしますと言っていなくて。
政府参考人(吉戒修一君)(吉戒修一)
79
○
政府参考人
(
吉戒
修一君) 今、
委員
御指摘のとおり、ことしの一月から九月までの累計で五千五百三十七件の
子ども
の
人権
一一〇番への御
相談
の電話があったということでございます。
林紀子君(林紀子)
80
○林紀子君 先ほど来、
人権擁護委員
というのがなかなか見えないという話はありましたけれども、この電話ということでは、
子ども
一一〇番では
子供
たちが頼りにしながら電話をかけているという姿があるんじゃないかと思うわけですね。その中で、
虐待
ということでかけてきて、そしてこの一一〇番をかけたために
虐待
が見つかって
対処
ができたというような例がありますでしょうか。 済みません、これも
通告
しておりませんので
件数
などは結構なんですけれども、そういうところがあるかどうかというのをお聞きしたいと思います。
政府参考人(吉戒修一君)(吉戒修一)
81
○
政府参考人
(
吉戒
修一君) 電話を
一つ
のきっかけにして
虐待
を
把握
したというのは、ちょっと今、私、直ちにお答えできないんですけれども、きょうお配りしております
資料
で三つほど
虐待
の
事例
をお書きしております。 その中で、地域の
人権擁護委員
が積極的に関与したという
事例
が最初の
事例
として書いてございますので、
人権擁護委員
も
児童虐待
の問題については十分に関与をさせていただいているというふうに思っております。
林紀子君(林紀子)
82
○林紀子君 そして、
人権擁護委員
会そのものがニーズに応じたような改組もしていくというお話が先ほど副
大臣
からもありましたので、この
児童虐待
の問題も含めまして、ぜひ改組のときにはきちんと位置づけていただきたいということもお願いしたいと思います。 それから、もう一点お聞きしたいんですけれども、この
子ども
人権
一一〇番の受け手、六百人ほどいらっしゃるということですけれども、簡単で結構なんですけれども、どういうような専門的な研修をしているかというのも一言伺わせていただきたいと思います。
政府参考人(吉戒修一君)(吉戒修一)
83
○
政府参考人
(
吉戒
修一君) まず、六百名の
委員
でございますけれども、先ほど申し上げましたように、六百名のうち四割が女性の
委員
でございます。もともとどういうふうな御職業をお持ちかといいますと、元学校の
関係者
、学校の先生方が非常に多うございます。それから、弁護士さんというような方もなっていただいております。
子ども
の
人権専門委員
の方はもともと
子供
の
教育
問題について相当造詣の深い方を選んでおりますけれども、一般的に
人権擁護委員
につきましては各種の研修をいたしておりまして、ちょっと簡単に申し上げますと、新任の
委員
を
対象
とする研修、それから二年目の方を
対象
とする
委員
第二次研修、それから
人権擁護委員
は任期は三年でございますので、三年たってさらに再任された方についての
委員
四年次目研修などをいたしております。 そのほか、特定のテーマで、男女共同参画問題とかあるいは同和問題についての研修もいたしておりますし、今お尋ねの
子供
の
人権
問題に関しましては、その研修の中でカリキュラムの
一つ
として、いじめ、体罰問題の議論とかあるいは
相談
の
事例
を
中心
とするケース
研究
とかそういうものをやっておりまして、
人権擁護委員
の方の専門能力の向上に努めているというところでございます。
林紀子君(林紀子)
84
○林紀子君 ありがとうございました。 次に、最高裁の方にお聞きしたいのですが、今まで
児童福祉法
の二十八条に関する
事件
についてのお話がありました。大体この
審判
が下されるまでに二カ月ぐらいだというお話を今伺いましたが、これは特別な例かもしれないんですけれども、私がじかに聞いた話では、
審判
が出るまでに一年以上もかかってしまったと、そして結局これは引き離すのを認めないということになってしまったという例をお聞きしたわけなんですね。親元に帰すわけにはいかないから、
審判
が出なければ一時
保護
委託という形になるんでしょうか。 ですから、宙ぶらりんな形というのもおかしいんですけれども、
審判
が出ないまま、そのまま施設に預かってもらっていると。そして、最終的に、その
審判
を下すときに親を見ると、もう一年以上も
子供
と接していないわけですから親の方も大分変化をしていて、それが
家裁
の裁判官の心証になったのか、引き離す必要はないという判断が下されたんじゃないか。そういうことを考えますと、やはり早く
審判
を下してほしいと。 DV法では十三条で、「裁判所は、
保護
命令
事件
については、速やかに裁判をするものとする。」というふうに、この言葉がどうしても早く判決を出してほしいということで入っているわけなんです。
子供
の
事例
というのもむちゃくちゃに早ければいいということではないんですけれども、やはり早くこの
審判
を下していただくということはひとつ大事じゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君)(安倍嘉人)
85
○
最高裁判所長官代理者
(
安倍嘉人
君) 確かに、
委員
が御指摘のとおり、この種の
事案
については、
子供
を非常に不幸な
状況
に置いておく時間をなるべく短くするといったことを配慮することは当然だろうと考えております。 そういう意味で、
家庭裁判所
においても基本的には迅速な
対応
をしていこうということで工夫をしているつもりでございますけれども、ただ、
事案
によって、最終的に認容にならないような
事案
を見てみますと、これは例えば身体的
虐待
というよりはネグレクトのケースなどにおきまして親が生活を改めるといった兆候が出てきて、様子を若干見てみようということもあり得るんだろうと思うのでございます。 承認してしまいますと、まさに親子を分離するという非常に強い効果を与えてしまう、将来的にはいずれまた再統合しなきゃいけないと、こういう
関係
にあるものでございますので、その意味において、判断をするについていま
一つ
見きわめをしたいという
事案
もあることは確かだろうと思っております。 ただ、その辺、
事案
を見誤って早く
対処
すべきものが遅くなることはないように、これは十分注意してまいりたいと考えているところでございます。
林紀子君(林紀子)
86
○林紀子君 ケース・バイ・ケースということは確かにそうだと思うんですけれども、
体制
としまして、先ほど図を示していただきましたが、
家裁調査官
の
調査
ということで、この
家裁調査官
というのがかなり重要な
役割
を果たすんじゃないかというふうに思うわけです。
家裁調査官
というのは成年後見制度というのも法改正になりまして大変忙しくなっていると、そしてまたこの
児童虐待
の
法律
ができ、DV法もできとかと、いろいろこういうふうに重なる部分もあると思いますので、
家裁調査官
の人数が十分なのかどうか、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君)(安倍嘉人)
87
○
最高裁判所長官代理者
(
安倍嘉人
君) 今回問題になっております
児童虐待事件
の
審理
期間につきましては、
家裁調査官
の数が足りないから長期化しているということではないと私は理解しているところでございまして、現在も、
事件
数が百四十二件ということでございますが、
事件
が来れば先ほど申し上げたように速やかに
面接
をさせていただくと。そして、裁判官を含めた
処理体制
の検討会を持って
対処
しているのが
現状
でございます。 ただ、
家裁調査官
の数については、今、
委員
御指摘のとおり、家事
事件
においては成年後見
事件
があり、また少年
事件
も数こそは多くありませんけれども複雑困難な
事件
もあるということでございます。その
状況
を踏まえて、その
事案
の、その
事件
の推移等を見守りながら適切な
対応
をしてまいりたいと、こう考えているところでございます。
林紀子君(林紀子)
88
○林紀子君 最後に
警察庁
にお聞きしたいんですけれども、「
児童虐待
の
防止等
に関する
法律
を踏まえた
児童虐待
への適切な
対応
について」という文書、ホームページに出ているということでこれを見つけまして拝見いたしました。これに沿って先ほど御
説明
いただけたんじゃないかというふうに思うわけです。 この点で、
児童相談所
と
警察官
の
連携
というのは先ほど来言われておりますけれども、
立入調査
のときですね、特に、その
援助
ということで、例えば
児童相談所
の方から
援助
を頼むと、近所にいるから何かあれば連絡してくれとか、見えるところにいるよということで一緒に行くという場合があって、それで、
児童相談所
の
職員
に聞きますと、いや、殴られない限り守ってくれないのかなというような声を聞いたわけですね。 それから、
警察
は
児童相談所
に協力することでは不満足だと、やっぱり手柄を挙げたいということで、単なる協力者では手柄にならないので逮捕できる
状況
があると逮捕を最優先するのじゃないかと、もう一方の
児童相談所
の方はそうおっしゃっているわけですね。 二つのかなり極端な話を私はお聞きいたしまして、それこそケース・バイ・ケースなのかもしれないけれども、こういうことがないように、
児童相談所
とのケースごとの事前の協議というのが非常に大切だと思います。その辺というのは、
児童相談所
、厚生労働省からお話聞きましたらかなり細かな
対応
の手引というのを出していらっしゃるんですけれども、
警察
の方も、
援助
を求められる第一線の
警察官
に対してかなり細かに、何というんですか、協議ができるようなそういう手引、先ほどマニュアルのお話がありましたけれども、そういう手引というのは今は出していないのか、マニュアル化というのを待って今つくっているところなのか、その辺をお聞きしたいと思います。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
89
○
政府参考人
(
黒澤正和
君) マニュアルという点でございますけれども、これは
法律
の十条を踏まえた
援助
要領ということで、かなり小まめに書いたものを一線に示しておるところでございます。 それから、もちろん事前協議ができない緊急の場合、これは別でございますけれども、
通常
、
援助要請
を受けますと事前協議ということで、
警察
と
児相
とが
事案
にかかわる共通認識を持つということで
虐待
の態様でありますとか
児童
の
状況
等について
情報
を共有しまして、
援助
の中身、時期、
体制
はこうしよう、そういったことを具体的に検討を行った上で
連携
して
対応
をいたしておるものと承知をいたしておるところでございます。 今、殴られない限り出てきてくれないと、こういうお話がございましたけれども、これは、この
規定
があるからといって
警察
がどこまでどういうふうに何ができるかというのは、まさにケース・バイ・ケースだと思いますけれども、抽象論で申し上げますと、
警察
法なり警職法で認められた権限を行使する、抽象的にはそういうことになるわけでございます。 それから、
援助
ではつまらない、手柄にならないという御指摘、そういうお話があるとのことでございますが、その点につきましては全くそのようなことはございませんで、私ども、先ほど民事不介入のお話も出ておりましたけれども、国民の生命、身体、財産を守るという
観点
から、これはまさに
連携
が大事だということで、可能な限り最大限
連携
をとってケースに応じて適切な
対応
をいたしておる、またそのように
指導
もいたしておるところでございます。
林紀子君(林紀子)
90
○林紀子君 ありがとうございました。
田嶋陽子君(田嶋陽子)
91
○田嶋陽子君 社民党の田嶋陽子です。よろしくお願いします。 最初は、
警察庁
に対してお伺いしたいと思います。 現場で
児童虐待防止
のために働いている人たちが、ことしの六月に
児童虐待防止法
の改正を求める全国ネットワークを結成しました。九月に行われたシンポジウムで、これまで各地の
虐待
防止
ネットワークに参加してきた生活安全部局、
局長
さんのいらっしゃるところですね、そことは
連携
がとれて、とても生活部局に対しては評価が高いんですけれども、一方で刑事部局が
児童虐待
の最前線に立つことに関してはいろいろ批判があるようなんですね。 そこで、三つほどお伺いしたいんですけれども、
警察
は生活安全部局を
中心
にして、これまでほかの
機関
と、先ほどのお話もありましたように、いろいろ
連携
して
児童虐待防止
に取り組んでいらしたわけですけれども、刑事部局は、生活安全部局が持ってきたノウハウをどのくらい共有していらっしゃるんでしょうか。簡単にお願いします。
政府参考人(吉村博人君)(吉村博人)
92
○
政府参考人
(吉村博人君) お答え申し上げます。
警察
署で考えますと、いろんな仕事を
警察
署でやっておるわけでありますので、その中で刑事課がありましたり、あるいは生活安全課、あるいは
少年係
がありましたり、いろいろ仕事を分担してやっておりますから、いわゆる
事件
の
捜査
をするというのを直接、特に刑法犯の
事件
を
捜査
するというのは刑事課になると思いますし、いずれにせよ、この種の
児童虐待事案
について、刑事課としましても、その署の中の生活安全課なり
少年係
と十分
連携
した上で、
事件
に……
田嶋陽子君(田嶋陽子)
93
○田嶋陽子君 その十分な
連携
というのは、さっきからずっと生活安全
局長
がおっしゃっているので、じゃなくて具体的にお聞きしたわけですが、なさそうですので、次に行きます。 刑事部局には
捜査
上の守秘義務があると思うんですけれども、そのせいかどうか、
児童相談所
とか医療
機関
などのほかの
機関
と
連携
して動くという、そういう認識は先ほどからあるあるとおっしゃっているんですけれども、具体的にそういうことをしていらっしゃるのかどうか。 ということは、私の
手元
にありますところでは、弁護士とか
児童相談所
職員
などの意見をまとめると、
児童相談所
から
警察
に対して刑事告発するケースがふえてきているというんですね。なぜかというと、
児童相談所
は
警察
に対して
情報
を提供するけれども、
警察
の刑事部局は
児童相談所
に
情報
をフィードバックしないと、こういう
情報
があるんですけれども、例えばこういうことを
一つ
とっても、そのあたりをどのようにお考えでしょうか。
政府参考人(吉村博人君)(吉村博人)
94
○
政府参考人
(吉村博人君) 先ほど申しましたように、刑事部門はあくまで
捜査
の仕事をやっておりますから、
警察
の中においては主として生活安全部門が
中心
になって平素から
児童相談所等
との
連携
をしているということでありまして、刑事部門はですから当該生活安全部門と
連携
を図ることを通じて、
児相
あるいは保健医療
機関
、学校等と
連携
をしているというふうに整理できるのではないかと思います。 それから、
児童相談所
からいろいろ告発を受けて
事件処理
をする過程におきまして、先ほど御質問にもありましたが、これは
事件
の性格に応じて、
児童虐待
の
事件
に限りませんけれども、例えば被疑者が少年の場合等々のケースでは、刑事だけではなくて、中に
少年係
の
職員
を入れたり、そこを具体的な
連携
ということでは今申し上げましたようなこともしております。 今、先生がおっしゃった
情報
のフィードバックという、その
情報
がどういう意味かというのがちょっと必ずしも明確でない面もあるんですが、こういうことで
刑事事件
になります、やってくださいということで署の刑事課に
事案
が寄せられますと、それは当然
事件処理
をしていきます。それを一〇〇%全部
被害者
の方等にお教えできるのかどうか、
関係者
にお教えできるかというのは、確かにちょっとケース、ケースで考えていかなきゃいかぬ面もあるのではないかと思います。
田嶋陽子君(田嶋陽子)
95
○田嶋陽子君 ありがとうございます。 じゃ、その刑事部局と今
局長
さんのいらっしゃる生活安全部局と、そして
児童相談所
と三位一体どころでなくて、いろんなことで
連携
しなければいけないと思うんですけれども、ぜひその辺を密に、あるいは知的に効率よく、あるいは思慮深くやっていただきたいと思います。 じゃ、
法務省
の方に質問いたします。 私の感じでは、まだ日本というのは家父長制のもと、
子供
は親の附属物というそういう考え方がはびこっていて、いろんな意味で
子供
の側に立ち切れていないところがあるんじゃないか、そんなふうに思っているんですけれども、例えば八百二十一条に「子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。」とか、
子供
という未成年に居場所を定めなければならないと義務づけたりしているわけですよね。 それに対して、例えば、去年ですけれども、十一月十六日に開かれた衆議院の青少年問題に関する特別
委員
会では、民法の親権の身上
監護
権の中の懲戒権に関して、八百二十二条ですね、これに関して当時の細川清
法務省
民事
局長
がこういうふうにおっしゃっていらっしゃいます。「
親権者
が子の
監護
上、子の
非行
や過誤を矯正して、それを
指導
するために、必要かつ相当な範囲内で子に対して一定の
措置
をとることを認めたものでございまして、私どもとしては、これは合理的な制度だと思っているわけでございます。」とお答えになりましたけれども、その後、
児童虐待防止法
を成立させるに当たって、衆議院の青少年問題に関する特別
委員
会でもこの懲戒権、八百二十二条はなくすべきだという意見が多く出されたんですけれども、それは三年後の見直しの課題とされたわけです。 現在は、
法務省
の見解はそれ以後変化していらっしゃいますでしょうか。
副大臣(横内正明君)(横内正明)
96
○副
大臣
(
横内正明
君) 確かに懲戒権というのがありまして、そしてその懲戒権の中には一定の合理的な範囲内で体罰も含まれるわけですね。したがって、この懲戒権というやつが
児童虐待
を助長するのではないか、廃止したらどうか、こういう御意見があることは確かなんです。 しかし、この懲戒権というのは親が子のためにやるものであって、
子供
を死に至らしめたりあるいは
傷害
をさせたりあるいは心理的な
虐待
を加えるというような、いわゆる
児童虐待
と言われるような行為がこの懲戒権の行使として許されないものであることは当然でありまして、懲戒権の行使というものと
児童虐待
というのは明らかに区別されるべきものだというふうに考えておりますので、当時と考え方は変わっていないということでございます。
田嶋陽子君(田嶋陽子)
97
○田嶋陽子君 変わっていない。でも、大体親はあんたのためだよ、愛のためだよと言いながらむちを振るって殺してしまう、もうこの経過というのは決まっているわけですよね。ですから、そこのところをこれからもう少しお考えいただきたいと思います。 それでは、先ほど、ことしの八月に
法務省
法務総合研究所
が発表した、二千三百五十四人の
少年院在院者
を
対象
にした
児童虐待
に関する
調査
で、とてもいい
調査
をなさったと思います。
少年院
に在院している少年少女の半数以上が
虐待
された体験を持つということが明らかになったということですよね。 このことに関しては、
法務省
、先ほどの
調査
計画として、来年は一般人を
対象
にまた
調査
をしていくということで、こちらで得ている
情報
ですと、
虐待経験
の
有無
だとか、被
虐待経験
者にはどのようなサービスが必要だったのかとか、それから、例えば
虐待
されても人に暴力を振るう人と振るわない人がいるけれども何が歯どめになっているのかとか、こういうことを
調査
していこうとしていらっしゃるわけですね。そして、これまで
少年院在院者
など
非行
化した人を
対象
にした
調査
はあったんですけれども、この一般人を
対象
にした
調査
をすることによって比較対照できるということはすばらしいことだと思うんですね。 私としては、これにさらにつけ加えていただきたいのは、先ほど
段本
議員もおっしゃったんですけれども、何でしたっけ、
段本
さんは抜本を見なきゃいけない、
虐待
の抜本を見なければいけないというようなことをおっしゃったんですね。 私は、その抜本を見るためには、ここでとまらないで、その
父親
、
母親
のバックグラウンド、生い立ち、これを調べないと、よく言われている
虐待
のサイクルというのはなくならないんじゃないか。だから、
虐待
の場合はやっぱり親まで、あるいはおじいさん、おばあさんまで、そこまで調べていっていいと思う。この
虐待
の毒というのは私はある種の遺伝だと思っていますから、環境による、環境遺伝子ですね、ですからそこまでできれば調べていただきたいなと。親の個人史ですね、背景まで、祖父母の背景までも調べていただけば、そこで
一つ
の根っこがわかってくるんじゃないかということを思うので、ひとつお願いしておきたいと思うんですが、そのことに関してはどうでしょうか。
副大臣(横内正明君)(横内正明)
98
○副
大臣
(
横内正明
君)
委員
が御指摘になりましたように、来年は一般市民に対して同じような
調査
をしたいというふうに考えておりまして、大体一万人ぐらいを
対象
にしまして、その
虐待
の内容だとかその他もろもろの
調査
を行いたいと……
田嶋陽子君(田嶋陽子)
99
○田嶋陽子君 それは知っています。次をお願いします。
副大臣(横内正明君)(横内正明)
100
○副
大臣
(
横内正明
君)
委員
のおっしゃった親のそういった過去の履歴、経歴といいましょうか、そういうことまでやるということについては今のところ考えておりませんが、しかし
一つ
の御指摘として将来の検討課題にしたいと思います。
田嶋陽子君(田嶋陽子)
101
○田嶋陽子君 ありがとうございます。ぜひぜひ頑張ってください、予算をとって。 それからもう
一つ
。私が一番、神戸の勢田恭一君のことで怖かったのは、今もって考えると震えちゃうんですけれども、親が恭一君を相手にして、家と施設とどっちがいいか答えなさいと言ったら、勢田君は怖いから家がいいと言ったら、お母さんが、うそ言うんじゃないよ、本音言えといって殴ったわけですね。そして、恭一君が正直に施設の方がいいと言ったら、そのときから殴られて死んじゃったわけですね、脳内出血で。 一体、ここをだれが見て、だれがこの
状況
から恭一君を救えるかということですね。
警察庁
も裁判所も、その後のこととか予防のことはいろいろ考えていらっしゃるが、私が一番怖いのはここなんです、ここですよ。 だから、ここをどういうふうに考えていらっしゃるか、もしかしたら管轄外とおっしゃるかもしれないんですけれども、御意見をお聞かせください。 どなたに聞きましょうか、家庭
局長
さん。
最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君)(安倍嘉人)
102
○
最高裁判所長官代理者
(
安倍嘉人
君) 私どもといたしましても、本当に今、
委員
が御指摘のような痛ましい
事件
を見るにつけて、どこで手を差し伸べれば
防止
できたんだろうかということを考える材料でございまして、いろいろ考えているところでございます。 ただ、
家庭裁判所
といたしましては、一般的な形でいろいろ
ネットワーク等
に御協力することはやぶさかではございませんし、現に参加してきているわけでございますが、やはり
事件
が来て初めてのことでございます。
家庭裁判所
は、進んで
事案
を探すことはなかなか難しい、その制約があることは御理解いただきたいと思っております。
田嶋陽子君(田嶋陽子)
103
○田嶋陽子君 わかりました。ありがとうございます。 さっき、結局、この
児童虐待
というのは命のとうとさがわかっていない親がやると言うけれども、これは違うんですね。命のとうとさがわかっていてもやってしまうのが
児童虐待
なんですよね。ここを何とかしなきゃ。要するに
一つ
の病気で、インフルエンザにかかったものと私はこの間言いましたけれども、そういうところがあるのと、それから、説諭されてやめる親とそれでもやめられない親がいるわけですよね。 ですから、
子供
に対する
カウンセリング
と同時に親に対する
カウンセリング
が必要なわけですが、私は、とりあえず
子供
に関しては、
虐待
サイクルを絶つために
子供
自身の問題で見ていくと、
法務省
の
法務総合研究所
の古田薫
研究
官が
研究
して出したところに、自己評価が低いとか自尊心が低いとか、不遇感、不信感、それから愛情欲求が強いとか、自分のことしか考えないとか、自分のことしか考えないのは自分がそれだけ苦しんでいるからですよね、そういうものを挙げているわけですが、私は、これは従来の、これまでやってきた、日本でやっている
カウンセリング
ではだめだと思うんですね。 私が大学でも、元教員のときにやっていましたのがリエバリュエーション
カウンセリング
というので、自己再評価、再評価
カウンセリング
というんですね。これはちょっと違うので。 例えば、私はこの間テレビを聞いていましたら、町で見つけた中絶した女の子に何ということを言うかというと、あんた、女でしょうというような言い方から始めて、それから、好きな人ができたときに本当に好きな人の
子供
を産めないよとか、そういう言い方のアドバイスなんですね。でも、その子たちは、さっきもお話しくださったように、
児童虐待
を受けていると薬物だとか飲酒だとか
家出
だとかあって、根はもっと深くて、そんなことの説諭ではどうにもならない
状況
にいるからその辺をふらふらしているわけでして。 ですから、私は、
子供
に対して、それから親に対しても新しい
カウンセリング
の方法で、日本ではまだ入ってきたばかり、十年ぐらいのものですけれども、ぜひRCと言われているリエバリュエーション
カウンセリング
をやっていただきたいなというふうに提案したいんですね。 それで、そのことに関してはどんなふうにお考えでしょうか。もしかしたら管轄外だとおっしゃいますか、でももしかしたら、御意見聞かせてください。
政府参考人(鶴田六郎君)(鶴田六郎)
104
○
政府参考人
(鶴田六郎君) 今のお答えのうちの少年に関する部分は、
非行
少年、そのうちの
少年院
送致の決定を受けた少年を収容して
矯正教育
をするというのは
少年院
の仕事ですので、その
観点
から申し上げますと、
少年院
に対しましては、いろいろ個別
面接
とか、そういうふうな形でやっておりますけれども……
田嶋陽子君(田嶋陽子)
105
○田嶋陽子君 そのことはいいです。もう調べましたからわかっています。今のリエバリュエーション
カウンセリング
に関して、率直に。
政府参考人(鶴田六郎君)(鶴田六郎)
106
○
政府参考人
(鶴田六郎君) 恐らく、過去に
虐待
の体験を持っている少年に対して、その更生させる
一つ
の方法として、そういったRCという方法があるという御指摘だろうと思います。
虐待
がある少年に対しましてどういう処遇をしていくかということは、今の法総研の
研究
を踏まえて
研究
をしていきますけれども、御指摘も踏まえて、今後また
福祉
心理学その他の知見も参考にしながら
研究
していきたいと思います。
会長(小野清子君)(小野清子)
107
○
会長
(
小野清子
君) ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
会長(小野清子君)(小野清子)
108
○
会長
(
小野清子
君) 速記を起こしてください。
田嶋陽子君(田嶋陽子)
109
○田嶋陽子君 要するに、考えてくださるということですね。それだけで結構です。ありがたいです。 それで、もう
一つ
ですけれども、私は生活安全
局長
にも、それから家庭
局長
にも、皆さんにお伺いしたいんですけれども、私は、そういう、例えばさっきテレビで見た忠告の仕方、生活安全局の人たちの説得の仕方を見ていて、ああ、これじゃだめだな、
子供
はもっと悪くなっちゃうなと思うんですけれども。
一つ
には、ジェンダー
教育
をどれだけ取り入れていらっしゃるか、具体的におっしゃってください。これまでジェンダー
教育
を、例えば
家裁
の
調査
官とか家事
審判
官とか、生活安全局でお巡りさんたち。私が出会うお巡りさんはとてもいいお巡りさんが多いんですが、みんな善意によってセクハラするんですね。えっ、まだ結婚していないのとか……
会長(小野清子君)(小野清子)
110
○
会長
(
小野清子
君) 田嶋さん、時間になっておりますから。どなたに。
田嶋陽子君(田嶋陽子)
111
○田嶋陽子君 全員です。
会長(小野清子君)(小野清子)
112
○
会長
(
小野清子
君) それは時間上ちょっと無理ですから、どなたかに絞ってください。
田嶋陽子君(田嶋陽子)
113
○田嶋陽子君 それでは、生活安全
局長
、お願いします。
会長(小野清子君)(小野清子)
114
○
会長
(
小野清子
君) 短く御答弁お願いします。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
115
○
政府参考人
(
黒澤正和
君) 御指摘の点につきましては、いろんな学校
教育
の場でありますとか、学校
教育
というのは
警察
部内における学校教養でございますけれども、そういった学校教養、あるいは各種
会議
等で、昨今の諸情勢にかんがみましていろいろと
指導
、
教育
をいたしておるところでございますが、先生には、まだまだ……
田嶋陽子君(田嶋陽子)
116
○田嶋陽子君 いろいろというのは、ちょっといいかげんですね。
政府参考人(黒澤正和君)(黒澤正和)
117
○
政府参考人
(
黒澤正和
君) いろいろと
指導
をいたしておるところでございます。
高橋紀世子君(高橋紀世子)
118
○
高橋紀世子
君 私は、本当に
子供
たちへの暴力というのは痛ましいことだと思いますし、その
子供
たちに被害に遭ったときに
通告
してくれというのも、またなかなか難しいことだと思います。やはりこういうことがなるべく起こらない社会にしていかなければいけないと思っています。 それで、私は、この前と重なりますけれども、やはり皇室の
あり方
と日本の私たち庶民の
あり方
のことについてアプローチしていきたいと思います。 まず、皇位継承なんですけれども、皇位は皇族に属した男子のみ継承するというふうになっております。「皇族以外の者及びその子孫は、女子が皇后となる場合及び皇族男子と婚姻する場合を除いては、皇族となることがない。」ということになっています。つまり、皇位継承は必ず男性であり、そして男性の普通の人が皇族になるということはあり得ないと。つまり、明らかに男女の差別があります。大きく開きがあります。そのことは、やはり私は、今この現代に皇室が男性と女性の
あり方
がまるきり違うということは、私たちの生活に大変何か大きな不安定さ、暗さを呼んでいると思います。 そのことについてはどうお考えでしょうか。どなたか御返事ください。
政府参考人(羽毛田信吾君)(羽毛田信吾)
119
○
政府参考人
(
羽毛田信吾
君) お答えをさせていただきます。 今、先生の方からございましたように、女性の方については、皇位継承のことについては、皇室典範において、「皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」という形で、女性の方の皇位継承ということはない、逆に男性の人が皇族の女性の方と御結婚なさっても、その男性の方が皇族になられるということはないということにつきまして、事実としてはそのようなことになってございます。 それにつきましては先日もお答えを申し上げましたけれども、やはり皇位継承制度というものにつきましては、皇室の歴史、伝統、そしてそれらを踏まえました国民の皇室に対する気持ちといったさまざまな背景によりまして現在のような形になっておるわけでございます。 したがいまして、男女平等ということは大変大事な考え方ではございますけれども、この皇位継承制度の
あり方
を考えます場合には、そういった男女平等という
観点
だけではなくて、幅広い
観点
から考えていかなければならない問題だと思いますし、また、そういった男女平等という
観点
だけで議論していいかどうかというところについても、国民の皆様の中にもいろいろ意見もあると思います。そういう意味で、幅広い
観点
から考えていかなければならない問題であろうというふうに考えておるところでございます。
高橋紀世子君(高橋紀世子)
120
○
高橋紀世子
君 これもこの間と重なって大変恐縮なんですけれども、私はこのことは大変大きな問題だと思っておりますし、どうしても共生の社会にとって
一つ
の大きな要素だと思っておりますのでしつこく言わせていただきます。 今までの歴史といっても、歴史をひもとけば女性が天皇になったこともございます。私たちは、やはり精神的に男女平等だと、そういうことが大変大事だし、共生の社会を進めていくにも男女がそれぞれ
役割
を持って平等に働くということが大事だと思います。そのときに、天皇制がそれとまるきり違うやり方でやっているということは、私は、私たち国民に対して暗い影を落としているというか、不安定要素になっていると思いますので、またぜひお考えおきください。 それからまた、天皇の
人権
というと大変恐縮ですけれども、天皇は退位できません。どんなに望んでも退位することができません。それは皇室典範に、「皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、」「皇室
会議
の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる。」、つまり皇室
会議
をしなければ天皇は何の理由があってもやめることができないということなんです。 これは天皇も人間ですから、天皇の
人権
にかかわる大きな問題だと思っておりますし、そのことはやはり天皇自身が望まれたときは退位なされるようにした方がいいと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
政府参考人(羽毛田信吾君)(羽毛田信吾)
121
○
政府参考人
(
羽毛田信吾
君) 現行の皇室典範が御指摘のように天皇の意思によります退位の制度を認めていないということはそのとおりでございます。 そういうふうになっておりますところのゆえんのものは、
一つ
には、退位を認めるということが、歴史上いろいろ見られましたようないわゆる上皇でありますとか法皇的な存在というもののある種弊害を生ずるというおそれがありはしないかということ、それから、必ずしも天皇の自由意思に基づかない退位ということの強制があり得るということです。 いろいろ政治的な思惑の中でそういうようなことが起こるというようなことがありはしないかということ、あるいは天皇が恣意的に退位をされるというようなことになりはしないかというようなことを懸念をいたしまして、そういったことを挙げて、天皇の地位を安定させるということが望ましいという
観点
から退位の制度を認めないということに現行法なっておるわけでございます。 そういった皇室典範制度の制定当時の経緯というものをやはり踏まえていかなければならないと思いますし、さらに今、先生もちょっとお挙げになりましたけれども、天皇に心身の疾患あるいは事故があるというような場合につきましては、現在も国事行為の臨時代行でありますとかあるいは摂政の制度が設けられておりますので、そういった事態の起きました場合にはそういった
対応
をする制度もあるということを考えますと、現在の段階で退位制度を設けるというようなことについては私ども考えていないところでございます。
高橋紀世子君(高橋紀世子)
122
○
高橋紀世子
君 天皇制を守るというふうな
観点
でおっしゃいましたけれども、やはり人間一人一人の
人権
のことを思いますと、このシステムも私は共生の社会を発展させる意味で何か障害になっているように思えてなりません。 それからもう
一つ
、憲法の中に書いてあることに整合性がないように私思います。 第一章に皇位の継承とあります。「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」。それから、第三章に、貴族の禁止、すべての国民は法のもとに平等であって、差別がないと書いてあります。 しかし、片っ方では、皇位は継承のものであって、皇室典範に定めてある、だから皇室というものは特別なものであると、そして片っ方では、人類は皆平等であると、その二つが同じ憲法の中に入っていることに私は少々ギャップを感じるんですけれども、いかがでしょうか。
政府参考人(石木俊治君)(石木俊治)
123
○
政府参考人
(石木俊治君) 御案内のところでございますけれども、憲法では第一条で、天皇の地位を日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であると定めておりまして、ただいまおっしゃられましたように、第二条において、こうした天皇の地位が世襲されるということを定めているところでございます。 また、憲法第十四条は「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的
関係
において、差別されない。」ということを定めているところでございます。 このように、天皇の制度というものと法のもとの平等ということについては、いずれも日本国憲法において定められているものでありますことから、両者はいわば両立するものといいますか、言いかえれば、法のもとの平等を定めた憲法第十四条は、天皇についての制度を定めた憲法第一章の
規定
が存在することを前提として理解されるべきものであるというふうに考えておるところでございます。 この点につきましては、いわゆる制憲議会において金森国務
大臣
も、現在の憲法の第十四条は、天皇が我が国の象徴であるということと相伴う限度において理解されなければならないということは自然の結果であろうと考えるという
趣旨
の答弁をされているところでございます。
高橋紀世子君(高橋紀世子)
124
○
高橋紀世子
君 それはわかるんですけれども、やはり同じ憲法の中に違う
趣旨
のものが混在するということは、私たち大衆の気持ちを少々不安定にしているように思いますけれども、そういうことでありがとうございました。
会長(小野清子君)(小野清子)
125
○
会長
(
小野清子
君) 他に御発言もなければ、本日の
調査
はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時四十一分散会