運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2001-10-24 第153回国会 参議院 外交防衛委員会、国土交通委員会、内閣委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年十月二十四日(水曜日)    午前九時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。    外交防衛委員会     委員長         武見 敬三君     理 事                 山本 一太君                 吉村剛太郎君                 木俣 佳丈君                 山口那津男君                 小泉 親司君     委 員                 桜井  新君                 月原 茂皓君                 福島啓史郎君                 舛添 要一君                 森山  裕君                 矢野 哲朗君                 海野  徹君                 佐藤 道夫君                 齋藤  勁君                 広中和歌子君                 遠山 清彦君                 吉岡 吉典君                 大渕 絹子君                 平野 貞夫君    国土交通委員会     委員長         北澤 俊美君     理 事                 鈴木 政二君                 山下 善彦君                 脇  雅史君                 藤井 俊男君                 弘友 和夫君     委 員                 荒井 正吾君                 泉  信也君                 木村  仁君                 北岡 秀二君                 野上浩太郎君                 松谷蒼一郎君                 森下 博之君                 吉田 博美君                 池口 修次君                 佐藤 雄平君                 谷林 正昭君                 藁科 滿治君                 続  訓弘君                 大沢 辰美君                 富樫 練三君                 山本 正和君                 大江 康弘君                 田名部匡省君    内閣委員会     委員長         佐藤 泰介君     理 事                 斉藤 滋宣君                 松村 龍二君                 森田 次夫君                 長谷川 清君                 吉川 春子君     委 員                 上野 公成君                 竹山  裕君                 仲道 俊哉君                 西銘順志郎君                 山崎 正昭君                 榛葉賀津也君                 山根 隆治君                 山本 孝史君                 森本 晃司君                 山本 香苗君                 緒方 靖夫君                 田嶋 陽子君                 島袋 宗康君    衆議院議員        修正案提出者   久間 章生君        修正案提出者   上田  勇君        修正案提出者   田端 正広君        修正案提出者   井上 喜一君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     片山虎之助君        法務大臣     森山 眞弓君        外務大臣     田中眞紀子君        財務大臣     塩川正十郎君        文部科学大臣   遠山 敦子君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   武部  勤君        経済産業大臣   平沼 赳夫君        国土交通大臣   扇  千景君        環境大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (男女共同参画        担当大臣)    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (防災担当大臣) 村井  仁君        国務大臣        (防衛庁長官)  中谷  元君        国務大臣        (沖縄及び北方        対策担当大臣)        (科学技術政策        担当大臣)    尾身 幸次君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君        国務大臣        (規制改革担当        大臣)      石原 伸晃君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        防衛庁長官   萩山 教嚴君        外務大臣    植竹 繁雄君        外務大臣    杉浦 正健君        厚生労働大臣  桝屋 敬悟君        農林水産大臣  野間  赳君        国土交通大臣  泉  信也君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        嘉数 知賢君        外務大臣政務官  山口 泰明君        国土交通大臣政        務官       木村  仁君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  津野  修君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君        常任委員会専門        員        杉谷 洸大君    政府参考人        海上保安庁長官  縄野 克彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国におい  て発生したテロリストによる攻撃等に対応して  行われる国際連合憲章目的達成のための諸外  国の活動に対して我が国が実施する措置及び関  連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関  する特別措置法案内閣提出衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○海上保安庁法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ─────────────    〔国土交通委員長北澤俊美委員長席に着く〕
  2. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) これより外交防衛委員会国土交通委員会内閣委員会連合審査会を開会いたします。  連合理事会の協議によりまして、本日は国土交通委員長連合審査会会議を主宰いたします。     ─────────────
  3. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  テロ対策関連法案審査のため、本日の連合審査会海上保安庁長官縄野克彦君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法案自衛隊法の一部を改正する法律案及び海上保安庁法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  昨日に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 海野徹

    海野徹君 おはようございます。民主党・新緑風会の海野徹であります。連日、総理は大変お疲れですが、よろしくお願いします。  九月十一日、私もワシントンにおりまして、ちょうど連邦裁判所に九時半ごろ入りまして、アメリカ司法制度改革についてレクチャーを受けるということで連邦裁判所の建物におりました。そうしたら、大変スタッフがざわざわしてきまして、何事かということで、向こうの大使館の方々に連絡とっていただいたら、ペンタゴンにハイジャック機が突撃した、WTCビルにも突っ込んだと。  これは、要するに我々がお世話になっているアメリカ方々にこういう事態になったときそのままレクチャー受けるわけにいかないんじゃないかということで、そのうちにアナウンスがありまして外へ出ることになったわけなんですが、それからのワシントン市内、あるいはCNN通じてのテレビ放送、そしてブッシュ大統領のいろいろな御発言。小泉総理がいつCNNに出てくるかなという期待も込めて見ていたわけなんですが。  大変オープンな、非常に開放的な、そして多様な価値観を持っているアメリカが、ニューウオーという言葉でずっと収れんしていったというそのすさまじさというんですか、それをじかに私は経験する機会を持つことができまして、大変貴重な経験であったわけなんですが。  それを踏まえて、若干確認意味でまず総理に御質問させていただきたいんですが、私は、今回のテロというのは大変な人類社会に対する冒涜である、非常に残虐卑劣な行為である、こういう共通認識日本人そのものが持つべきじゃないかなと一点は思います。  そしてそのテロが、同時多発テロが起こったところが我々が最も要するに近い存在である同盟国であるアメリカであったということ。そして、アメリカが今何を求めているか、非常に精神的な支えなんだろう。テロというのは暴力的、非常にものはあるわけなんですが、心理的な面の暴力行為という、非常に精神的なダメージを与えるということについては大変な効果がある行為だと思うんですね。そのためには、大変な困難をきわめている友人に対して我々がそれを手を差し伸べる、一緒に戦っていこうというメッセージを送る、世界に送るということは法以前の問題だろう、モラルの問題だろうと私は思っています。  ただ一方、これだけグローバルと言われた、グローバリゼーションが展開する中で、こういうテロリストの、ある意味では問題が起こるその遠因というんですか、それも内在しているんではないかな、あるいはデモクラシーというのはそういうのの、ある意味では誘発する装置としてもあり得ると私は思っています。  それだけに、今回の問題、大変大きな問題だなと思います。だから、軍事的な行動だけじゃなくて総力戦で戦わなくちゃいけない。それは軍事でもあるし経済でもあるし政治でもあるし外交でもある。そういう総力戦でこの国際テロリストネットワークに対する戦いを、我々が、日本人が国際的に名誉ある地位を得るために今こそ戦うべきだろうな、立ち上がるべきだろうなと私は思っております。  そういう私は認識しておりますが、総理は九月十一日の同時多発テロ、これから世界が変わった、九月十一日から世界が変わったと言われておりますが、総理は、世界が変わった、あるいは変わっていくだろうと。では、どうやって変わっていくのか、その中で日本が何をなすべきか、あるいは国際社会からは日本は何を貢献すべきと言われているのか、そういう点についてまず御確認をさせていただきたいと思います。
  7. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 議員が、九月十一日、米国に滞在してあのような事件を身近に感じたという貴重な経験を話されましたが、私も今、九月十一日どうだったかなと考えておりますと、日本時間では夜でした。ニュースであの飛行機がビルにぶつかる瞬間を見て、直ちに私も官邸内の危機管理対策室等に、危機管理監と各閣僚あわせて、これは大変な事件だと、日本としても誤りなき適切な対応をしなければならないということで、既にあの報告から受けて一時間か二時間後には緊急援助隊並びにどういう物資が必要かという用意を調えておりました。深夜です。  そういう中に、アメリカの方に何が必要かと言ったときに、物的支援は必要ない、精神的支援に感謝するという言葉が返ってきました。今、委員お話で、確かにそうですね、精神的支援に感謝する。あの悲劇に対して、卑劣なテロ攻撃に対して憤りを超えた何とも言えない憤慨と悲しみの中で、やはり一番米国民が、米国政府が求めていたのは各国からの激励と支援だったと思います。  いち早く私も支援を表明いたしましたけれども、そういうことを考えますと、今回の問題はアメリカだけの攻撃じゃない、全世界に対する攻撃だと、だからこそ日本人ごととは思わない。テロに対していかなる正当な理由づけもないと、今回のAPEC会合でも各国首脳はそういう認識を持ちました。背景があるんじゃないか、アメリカ責任じゃないかと言う方もおられます。しかし、テロを正当化する理由は一切ないという共有を持ち得たAPEC会合を見ても、全世界のこの卑劣な、横暴な、姿をあらわさない、民間人を巻き込んで何とも思わないこの卑劣なテロに対して、日本人ごとではない、主体的にアメリカ初め各国テロ撲滅のために協力するのは当然の責任ではないかと思っております。
  8. 海野徹

    海野徹君 一緒に戦おうというメッセージを発するという、これは当然のことでありまして、精神的なサポートがこれは第一義なんですね。  それから、政府のとった行動というのは非常にある意味では足元を固めないで、本来国際的に日本がどのような貢献をしてほしいと言われているかということを考えたとき、もっと足元を固める必要があるのではないかな、自衛隊派遣ありきという議論が先に行っているのではないかなという印象を私は持ったわけです。そういう観点から、今、日本世界が期待していること、やはりこれは経済をしっかりしてほしい、小泉総理がおっしゃっている構造改革断行してほしい。  今、アメリカは大変な状況になっている。戦時モード経済は入っている。非常に、今までアメリカ基軸通貨国ドル通貨国ドル基軸通貨ですから、アメリカ貯蓄率以上に消費をしてくれた。それが世界経済を引っ張ってきた。それがテロによってマイナス方向へ行く。明らかにアメリカ経済マイナスに行く。それが我々日本あるいはアジアに対する影響が多いということは、もう総理御存じだと思う。これは世界経済全体に対する影響なんです。  じゃ、マイナス部分をだれが役割を担うか。これは日本役割を担う。それが期待されているんではないか。それを十分総理は御承知なことだと思うんです。アメリカ肩がわりをする、これは世界貯蓄の三分の一を日本は持っているわけですから。あるいは、内需あるいは輸入型の経済への移行というのを視野に入れながら、日本経済構造改革断行して再生させて、そして世界貢献する。それが私は自衛隊派遣よりももっと前にやるべきことではないかな、そんなことを考えるわけなんです。  そういう中で、市場もよく注視しています。総理は余り株価で一喜一憂しないという話だったんですが、しかし株価というのは半年とか八カ月先をある意味では予想する指数でありますから、経済の体温計でありますから、非常にそういった意味では市場が注視しているわけです、改革断行が本当にできるのか、やるのか。  そういった意味で、経済的な問題から私は今回の問題へ入っていきたいなと思うんですが、一つ、構造改革をやるために、断行するために総理に約束していただきたい、あるいはそういう方向総理はおっしゃるだろうなと思われているのがペイオフ解禁。これは延期はありませんね。
  9. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 来年四月、延期するつもりはございません。
  10. 海野徹

    海野徹君 はい、わかりました。これで何もやらなかったら、来年の三月というのは非常に地獄を見るんではないかと言われています。私もそう思います。  構造改革、いろんな意味経済の転換を阻んでいるのは百五十兆円の不良債権の問題だと思うんです。竹中大臣が、三〇%ダウンした、貸し過ぎであると、いかにもそれも百五十兆円だ。我が民主党金融庁に求めた数字も百五十兆円だ。まさにその部分が残っている。それが全部不良債権じゃないかもしれない。しかしながら、期間収益を生み出さない部分がその中に相当あることも事実なんですね。それに対して、引き当てもまだやっていないというのも国際的なアナリストに言わせると四十兆円もあるんじゃないかと言われています。そういった不良債権百五十兆円の中のさらに根雪部分に対して総理はどのような解消をされていこうとされるのか。  不良債権、二年とか三年、一年とか二年、二年とか三年ですか、で解消しますという話をしています。ブッシュ大統領からも不良債権処理をやってくれというような要請を受けているはずです。本当にそれをやる気があるんだったら、私はそのために相当な裏づけのあるお金を用意しないといけないんじゃないかと思いますが、総理、どうなんでしょうか。
  11. 柳澤伯夫

    国務大臣柳澤伯夫君) 不良債権の問題の解決というのが構造改革一環であるという議員の御指摘はまさしく我々と認識をともにしているわけでして、我々も不良債権問題というものを構造改革一環としてこれに取り組もうということを決めているわけでございます。  今、委員は百五十兆円、これはまあ要注意先という範疇に属するものを、不良債権ではないかもしれないけれども問題債権だろうと、こういうお話をなさったんですけれども、これは文字どおり、今、議員も自覚的におっしゃったとおりでありまして、要注意債権というのが不良債権であるとは我々は認識しておりません。  要するに、最近もちょっと私いろいろ書物を読んでおったら、アメリカ銀行収益が低くなってきた、なぜだと。それは、貸し出しが厳格化して、正常先というか、そういうようなところばっかりに貸すようになってきたから収益が落ちてきたと、こういう分析が行われているわけです。  つまり、よく皆さんの側からも御質疑があるんですが、中小企業は非常に経営が苦しいところに貸さないというようなことで困っているんだよというわけですが、銀行というのはそういうところへ貸し出していかないと収益が、余り健全な正常な先ばっかり貸していると収益が下がっちゃうというような、そういうことでもあるわけでございまして、私どもは、要注意先というのを、問題はありながらリスク管理して貸し出していく、リスクをとってそこから収益を上げていくということが必要な債権だというふうに認識をしているわけであります。  問題はあります。金融というのは、お金を貸せば問題がそこにあることはもうわかり切っている話でありまして、そういうことは私ども今この不良債権問題の範疇の中に入れて考えておりません。私どもが入れて考えているのは、収益が上がらなくなった、要するに要管理以下の債権でありまして、要管理債権、それから破綻懸念先債権破綻先債権というようなところの問題にどう取り組むか、なかんずく破綻先以下の債権にどう取り組むかということであります。  これについては、私ども今度はオフバランス化をしよう、最終処理をしようということで構造改革貸出先構造改革、ここをもうかる部分ともうからない部分に分けて、もうかる部分があるところは再生させていこうというようなことでこの問題に対処していこうというふうに考えておりまして、総体として三年以内に、解消しようという先生お言葉を使いましたけれども、そうではなくて、正常化しようということを言っているわけであります。  それは、銀行というのは不良債権がない状態ということはまず考えられないわけでありまして、不良債権の金額というもの、あるいは全体の貸し出しに対する比率というものを正常なレベルにまで落としていこう、こういうことを目指してやっているということをぜひ御理解賜りたいと思います。
  12. 海野徹

    海野徹君 私、総理に対して答弁を求めたんですけれども金融庁の信頼はもう失墜しているんですよ、それは市場が答えを出しています。  総理、私はお願いしたいんですが、日本危機というのは世界的な危機なんです。それ認識一致すると思うんです。だから、構造改革しなくちゃいけない、そのためにも不良債権抜本処理しなくちゃいけない、それは共通認識だと思うんです。  そのためには公的資金注入、再投入というのはあり得ると思うんです。それをためらってはいけないと思っているんです。日銀でさえ数十兆円の公的資金が必要だと、日銀の内部でさえそういう話があるということを言われています。  私はこの際総理にお伺いしたいんですが、本当に世界貢献しようと、この同時多発テロに対して世界から要請されている世界貢献の中で抜本処理をしよう、不良債権抜本処理をしようという、そのために公的資金を投入する、そのお考えはございませんか。
  13. 柳澤伯夫

  14. 海野徹

    海野徹君 いや、総理に求めています。総理です、総理
  15. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ちょっと待ってください。  この際申し上げます。答弁者皆さん方委員長の指名で発言してください。
  16. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 不良債権処理経済構造改革に欠かせません。そういうことで進めているんであって、私は、無用な金融システム混乱を起こさないために、もし必要な場合は公的資金を投入する場合もあり得ると。しかし、今その必要はないと。しかし、無用な混乱世界金融危機につながるような、日本経済界に予測しがたい混乱を起こしかねないというような場合には大胆かつ柔軟に対応すると。しかし、現在のところ公的資金注入する必要はないと見ております。
  17. 海野徹

    海野徹君 資金を投入することはやぶさかでないと、現在はそういう状況でないということですか。いや、その辺が私はやっぱり、現在こそ査定でさえ甘いんです。その百五十兆円の中でどれが本当の要するに不良債権としての根雪部分としてそれを解かさなくちゃいけないのかどうか、それすら確定されていない。私はやっぱりもう即時にその問題について断行すべきだなと。それが私は世界同時不況回避への総理指導性の発揮とメッセージだと思います。  構造改革断行というのは官じゃないんですね、民間競争力あるいは生産性の向上なんですね。そういうことを含めると、やはり私は今こそ不良債権処理のために公的資金注入をためらうべきではない、そう思いますが、いま一度総理大臣答弁を求めたいと思います。
  18. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 不良債権処理に今政府は二、三年以内に正常化するという過程でいろいろ努力しているわけであります。現在の時点で公的資金注入する必要はないと思っております。
  19. 海野徹

    海野徹君 それから、たび重なって現在はという話だったんですが、金融システムへの公的資金注入あるいは経営陣の刷新、これは金融システムを健全化するためにはどうしても必要なことだと私は思っています。そのための、要するに今までやらなかった申請主義から強制主義強制注入、そういうシステムに変えてもいいと私は思っています。あるいは、預金保険機構債のようなものを発行して、それで資金的な担保をすると、それも考えてもいいと思います。私はそう思っています。これは結果として構造改革支援するための、私は改革支援型の国債になっていくのではないかな、そんなことを、若干の検討すればできると思いますから、その点は要望させていただきます。  その次に、質問させていただきます。  今後、このグローバルの進行が非常に影の部分としてテロリズムを生んだということは総理御存じだと思うんですが、それが絶対的貧困を要するに生んでいる。人、物、金がこれからは今までのような自由に動くというよりもある程度制約されてくる。セキュリティーの問題もありますでしょうし、コストの問題もある。  そういう中で、これから日本は日米同盟を基軸として新たな外交戦略を持っていかれる必要があるんじゃないかな。特にアジアに対してそう思うんですよね。APEC行って総理はそれを感じられたと思うんです。アジアの中の日本の存在、アジアの中でどれだけ日本が頼られているか、まとめ役になっているか、そういうようなことを日米同盟を基軸としながらビジョンを出していくという必要性が私は今こそあるんではないかな。非常にアジア諸国もそれを望んでいるんではないかな。アジアの金融危機を救った九兆円、これは大変感謝されている。そういう御認識あると思うんです。そういった意味では自前の戦略をこれから持っていく必要があると、今後の日本というのは。その点のビジョンをお聞かせいただきたいと思います。
  20. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日本外交は、日米同盟を基調として、アジアの一員としての認識を持ちながらも世界各国と友好関係を結ぶ、それが大きな方針でありますので、その線に沿って独自の外交を展開していきたいと思っております。
  21. 海野徹

    海野徹君 それでは、法的な問題に入らせていただきたいと思いますが、今度は自衛隊法改正で警護出動という概念が取り入れられました。非常にこれは警護出動という新しい概念、なかなかわかりづらいところがありまして、その点について若干御質問させていただきたいわけであります。  治安出動と警護出動の線引き、大変これは不明確です。治安出動下令前は警察が治安維持のために主として警備活動、警備行動をするということですが、なぜ警護出動という概念を、しかも対象を米軍基地、そして自衛隊ということに絞ってそれをやられるのか、自衛隊というのはじゃどんな活動を念頭に置いているのか、あるいは警察ではなくて要するに自衛隊が警備するというその理由は何なのか。その点について、国家公安委員長、防衛庁長官からわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  22. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) 自衛隊法の改正にかかわることでございますから私から先にお答えするのが適当かどうか存じませんが、基本的にはまず治安の維持というのは警察の任務でございます。その前提の上で、国内の重大テロ事件の未然防止のために情報収集活動を強化する等のいろんなことをやっておるわけでございますが、一方、警察力をもってしては治安維持ができないということの場合には自衛隊に治安出動が下令される、これが現在の仕組みでございます。  それにつきまして、現在、自衛隊もそれから警察も、両方ともある意味ではいわゆる実力を持った集団ということがございますので、テロ等のいろいろなことが想定されますような環境におきましては、少なくとも自衛隊が自衛隊本来の基地・施設、それから自衛隊とあわせまして日本の防衛に当たっている米軍の基地・施設等、これにつきましては自衛隊において警備に当たるということを制度的に導入することも一つの方法かということで今度警護活動という制度を設けるという形にした、このように理解をしておるところでございます。  あくまで基本的には警察が第一義的に治安の維持に当たる、これは当然のことでございますし、もう一度繰り返しますが、非常に大変な事態になりましたら現在でも治安出動というのはございます。しかし、防衛に関連するという一点に着目いたしまして警護出動という制度を認めた、このように私は理解しております。
  23. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) ただいま国家公安委員長がお話ししたように、一般的には一般の警察力をもって治安を担当するわけでありますけれども、今回、米国において同時多発テロ事件が起こった例を見ましても、これは新たな脅威だというふうに言われておりますし、国際的なテロ集団が行う非常に大規模かつ残忍な行為でありまして、やはりこういったものに対応するには防衛関係の組織を生かしていくということが重要ではないかというふうに思います。  そこで、現状において大規模なテロが外国で発生して、我が国においても同様のテロ攻撃のおそれのある場合、それだけでは治安出動の要件に該当するということは限らないわけでございまして、そういう治安出動に至らない事態において、特に治安出動の際に行動する自衛隊、また有事の際に行動する米軍、これら防衛関連施設はそういう事態においても警護出動等をもって警備するということが必要ではないかという観点で設けたわけでございます。そういう理由でございます。
  24. 海野徹

    海野徹君 大規模な破壊行為に対してそれを防止するためにということなんですが、目的がそうだと思いますね。それには必ず事前に情報があるわけなんです。相当確度の高い情報があって、それを要するに確度が高いということで対処するために判断権者がいるわけなんですね。  日常的な要するに情報収集活動というのはやはり警察がしているんじゃないか。職務質問一つとっても、これはやはり相当な技術が要る、あるいは年月を経てこの技術力が習得されてくるということになると、テロが大規模な、要するにある意味では火力とか兵器を持って仮に来るその以前に相当な情報を私は警察はつかめるんじゃないか。これはUSツデーにも書いてありましたけれども、CIAが相当今回のテロについて事前の情報を持っていた。ただ、それを要するにきちっと分析していなかったり、情報公開していなかったりというような、社説に書いてありましたけれども、私はそういった意味では日常の要するに警備活動というのは警察がほとんどやれるんじゃないかなと思うんですけれどもね。  そういう中で、情報の共有化、あるいは情報がどこへ集まって、それをだれが確度の高い判断権者となってやっていくのか、それにつれてこの警護活動が出ていくのか、その辺がどうも要するに鮮明になってこないんですが、これは国家公安委員長、お願いします。
  25. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) いろんな部署でもって情報は集めておるわけであります。委員の御指摘のとおり、警察の情報もございますし、また、これは治安関係でございますが、その他、防衛関係もございますし、また、国際性のある今回のような事件につきましては外務省において集める情報もあるというようなことでございます。  そういう各所から集まる情報は、日常いろいろな情報がございます。重要性のありそうなものとかそうでもなさそうなものとか、いろいろな情報がありますので、ひとまず内閣情報集約センター、内閣に置いてございますけれども、そこに集約いたします。そこでもって、その上に内閣情報官という職がございまして、その情報官がそれを最終的には整理して、それをどこに流すべきか、どのレベルに流すべきか、警戒を要することであれば警察の方に流すとかいったようなそういう処置をとるわけでございます。この内閣情報官が一元的に集約してそういう指示を行うと、こういう体制になっております。  今回、テロが発生しました。そのときには内閣情報官がその集約をいたしまして、その結果、関係機関の局長などの上級幹部を招集する、この内閣情報官のもとに招集いたしまして、そしてさらにその情報に基づいてどうするかということを検討したわけでございます。
  26. 海野徹

    海野徹君 警護出動について依然として不鮮明な部分があるわけなんですが、時間の関係がありますから次へ行きますけれども。  原発の警備についてちょっとお伺いしたいんですが、私の地元にも原発が、浜岡原子力発電所があります。ふだんは日本原子力防護システム株式会社というところが警備しているということなんですが、このテロ発生、九月十一日以降は海上保安庁あるいは警察が固定あるいは流動警戒をしているということなんですけれども、非常に、いろいろ専門家にも聞きましたんですけれども民間の業者にも聞いたわけなんですけれども、強固なつくりをしているから大丈夫だという話でした。ただ、航空機の突入というのは想定外ですから、これについては要するにそれなりの備えをしているとは言い切れないという話です。  九月十一日のハイジャック機のターゲットは原発だったというような報道もされておりましたけれども、あの当時、あのような要するに百トンを超える大型旅客機の衝突では少なくとも一・三メートルぐらいのコンクリート壁が破壊される。となると、相当要するにピンポイントでやらなくちゃいけないんですが、上からの原発に対する攻撃に対しては大変その辺には問題があると、これはやっぱり専門家が指摘しているわけなんです。  あってはならない、多分ないだろうなと思っては、でも要するに事実は小説より奇なりですから、実際ああいうことが起こってしまう。やはり守るべきは国民生活が我々の基本でありますから、こういうものに対する警備というものはなぜ警護出動から外されているのか。  本来、ある意味では上下水道にしても、あるいはたくさんの人間が集まるところ、あるいはガスエネルギーの機器、こういうものを含めて、本当に要するにむしろそういう大規模な破壊行為が起こり得るだろうということについては、やはり警護の対象とすべきじゃないかな。国民的な視点からいうとどうも納得いかない部分、その点についてよろしくお願いします。
  27. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) 原発の警護の問題点につきましては、ただいま委員が御指摘になられました点につきまして、確かに小型飛行機が炉頂に落ちる程度の話でございましたら十分対応できる強度を持っていると、このように承知しておりますが、大型のジェット機が落ちた場合にどうかということになりますと、これは確かに御指摘のような問題があると存じます。しかしながら、それ以外のことにつきましては現段階でも十分に守れる対応になっていると思っております。  それから、上下水道等のいろいろなインフラにつきましても御指摘ございましたけれども、私はこれにつきましてぜひ御理解いただきたいと思いますのは、もしそういうことが蓋然性として非常にあり得るというようなことになりましたら、先ほど官房長官からお答えがございましたような情報の集約を通じまして私はやはり治安出動なりなんなりという対応がなされることになるのではなかろうか。  現段階、御指摘のような上下水道等々を含めまして重要インフラ施設につきまして、これは施設管理者において警察との連携で十分な警戒を実施している状況でございまして、現下の情勢というのは私はこれで十分だろうと、こんなふうに認識しているところでございまして、先ほどもちょっと御説明を申し上げましたけれども、警護活動というのはあくまで防衛関連施設について警備する権限を自衛隊に新たに付与すると、そういう、それだけの話でございまして、あくまで一般的な治安の維持というのはこれは警察において責任を持っている、その状況を変えるような現在情勢にはない、そのような認識だということを改めて申し上げたいと存じます。
  28. 海野徹

    海野徹君 警護出動は防衛施設の警備だということでありますが、要するに国土防衛あるいは我々の民間の生活の、国民生活の防衛のためにもやはり我々は十分考えていただきたいと思うわけなんです。  これは総理にお伺いしたいんですが、この警護出動というのはやっぱり緊急事態に対する法整備が未整備であるために生まれた概念なんでしょうか。あるいは、治安出動待ちでは要するに自衛隊の活動が非常に手おくれになる、そういうような緊急事態も想定される。だから、将来要するに緊急事態法の整備が当然必要になってくると思うんですが、そのための要するに今回の自衛隊法の改正というのは初動と見てよろしいんでしょうか。
  29. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、新たなテロというこのテロリズムに対して国内的に考えた場合どのような対応ができるか。危機管理一環として、場合によっては治安出動が必要な状態が起こるかもしれない、あるいは今のテロリストの考え方によってはどこが標的にねらわれるかわからない、そういう状況で、警察とあるいは自衛隊、どういう連携協力が必要かなと。それぞれの役割責任、本来の任務があるでしょう。そういうのを調整してなされたものでありまして、将来の時点で、今後テロリスト行動がどこまで続いていくのか、どのような国に向かってなされるのか、またどのような施設に対してそのテロ行為が行われるのかというのはまだ定かにはわかりませんが、日本におきましてもいろいろな状態を考えながら、必要であるならばより警察官とあるいは自衛隊が協力して不安のないような体制をつくった方がいいという声が出てくればそれも検討しなきゃならないと思いますが、今の時点では今までの警護活動、そして今回若干自衛隊の新たな任務をふやしましたけれども、こういう連携のとり方で十分ではないかということで自衛隊法改正を提出しているわけでございます。
  30. 海野徹

    海野徹君 先ほど事実は小説より奇なりという話をさせていただきましたが、私もいろいろな本を読む機会がありまして、麻生さんという方が書いた「宣戦布告」という、麻生幾さん、今「ZERO」という小説も書いている。非常に私も興味を持って読まさせていただいたわけなんですが、こういう事態が本当に起こるかなと。ある国の不審船が原発を襲撃するためにゲリラ十数名を日本に侵入させた、そして警察あるいはSAT、そして自衛隊の出動にまで至るわけなんですが、それを克明に描写した小説だったんです。  そういう、ある意味では予想される、既に小説の中でも予想される事態なんですね。明らかにされたことは、やはり非常に緊急事態法が整備されていないということが大きくクローズアップされてきたわけなんですが、我々民主党も昨年の十二月に国家緊急事態基本法、仮称でありますが、これを発表させていただいた。  再度総理大臣にお伺いしますが、そういった法整備について総理大臣のお考えをいま一度確認させてください。
  31. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 緊急事態と申しますか、有事体制というか法制についてのお尋ねと思いますので、有事法制の準備について責任ある立場で申し上げます。  このことは総理も先般の所信表明で述べておりますとおり、一たん国民に危機が迫った場合に適切な対応をとり得る体制を平時から備えておく、これは政治の大変大事な責任である、こういうふうに思っておるところでございます。  現在、内閣官房を中心として準備的検討を行っておりますこの有事法制、これは、国家の危機においていかに政府全体として国民の生命、財産を守るかという観点、また自衛隊の行動の円滑化とともに、その際においては国民の権利をある程度制限せざるを得ないということ、またさらには米軍と共同して対処するという、そういう場合にはいかに米軍と適切に連絡をとっていくのかという、そういう行動の円滑化を図るといった観点が重要であるというふうに考えております。  そういうような考え方に立ちまして、この有事法制の基本的考え方や枠組み、これにつきまして所要の準備的な検討作業を現在進めておるところでございます。
  32. 海野徹

    海野徹君 それでは、次の質問に移らせていただきますが、私ども、やはり今回のテロ特措法でどんどんどんどん、ある意味では、総理も言っていましたけれども、無定限というんですか、その都度その都度いろんな意味で緩和されたり遠くへ行ったり拡大されたりというような状況があるわけなんです。今回、いろんな基本計画を今これから立てようと思っていらっしゃると思うんですが、私は、戦闘行為が行われると認められる地域では自衛隊は活動することがないからという話なんですが、テロというのはどこであるかわからないにもかかわらず、そういう場所というのは特定されないわけです。そこへ要するに初めて自衛隊を派遣するわけです。  五十年間、いろんな想定をして訓練はしてきたと思うんだけれども、実際、実戦をしたことありませんから、いろんな意味で技術的な問題、あるいはノウハウと言っていいんですかね、そういう問題もやっぱり私は要するに非常に不備なものではないかな、状態ではないかなと思うわけなんで、そういう自衛隊を一体どこへなぜ派遣するのか、基本的な部分で私はどうしても理解できない。もしそうするのであったら、自衛隊員のことを考えながら、我々は国会として、行政と我々が両方ともリスクを応分に負担するという意味でも、事前承認はやはり求めるべきではないかな、それが要するにシビリアンコントロールだろうと。初めて出すわけですから。  総理、どうなんでしょう、事前承認。
  33. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、この新法は二年の時限立法ですし、こういう審議をしていただいていること自体、私は事前承認的な意味も持つのではないかと。そして、この法案の目的、意図というのは明確ですし、そして非常に自衛隊の活動も限定されております。  私は、そういう観点から、今回の法案、審議をいただき承認していただくことによって、政府に行政の裁量権を与えていただいていいのではないかと、そう思っております。
  34. 海野徹

    海野徹君 総理、具体的な項目は基本計画なんですよね。実際、要するに事後承認といってもその間にもういろんな活動をしているわけなんです。途中帰ってこいと言ったって帰ってこれるわけないんです。  私は、法案の成立と、それと要するに支援行動というのは、これの承認というのは同じじゃないと思うんです。法律は、法案の成立、そして要するに支援支援行動の承認というのは、これはイコールじゃないということを私は前提にしていますから、やっぱり事前によく国民に理解できるような説明をしながら送り出していく、そういう事前承認が私は要するに国会として責任がある。我々は国会議員としてどうしても事前承認を求めていく、それが我々の責任ではないかな、私はそう思います。  非常に戦局が不透明で、アメリカ行動を中心にどのようにされるか全く不明なんです。そういう中から基本計画が出てくるわけなんです。やはりいま一度私は総理答弁を求めたいんですが、どうしても事前承認というのは、求めるというのは要するに無理なんでしょうか。
  35. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この法案の審議でどのような地域にどういうことをするかというのはかなり明確に議論しているわけであります。そして、そういう中で、(発言する者あり)いや、わかろうとしない、わかろうとしなければしようがありませんが、我々の立場から見れば実に明確だと。  そして、国民の支持を得られるような対応をとりたい、そのためには行政の裁量権を国会から与えられていいのじゃないか。だからこそ、新法を提出しているわけであります。
  36. 海野徹

    海野徹君 総理、自衛隊という軍事力を動かすこと自体が要するにもう武力行使に該当するというのは世界の常識なんです。世界はそう思っているんです。よく総理は常識だ常識だと言いますからね。特に、相手が軍隊やそれに準ずる武装組織でしょう、そうですね。そういうことで、応戦することにある意味じゃ巻き込まれた、自己の管理下に入る、必死になって要するに自己の管理下に入ろうとして来た人たちに対して入るまで待っているわけにいかないですから、いろんな意味で応戦せざるを得ない状況が出てくるんじゃないかな。巻き込まれてくるわけです。  それで、一つ一つの法律そのものについては、それは要するに法律の範囲内、枠内であるかもしれないんです。だけれども、結果として紛争に巻き込まれるというようなことが可能性としてあるわけなんですね。それはやっぱり違法行為になるんではないかな、それを心配しているんです。要するに、あってはならないと思います。ないだろうと言う。だけれども、あり得ることなんです。あり得ることなんです。だから、それだけに私はやはり事前承認はあるべきだと、そう思っています。
  37. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは外国の常識、軍隊が出れば武力、戦闘行為、当たり前だろうという、常識だと言っていますけれども日本は、外国は自衛隊を軍隊と規定するかもしれない。日本はそれすら認めていませんね。外国の常識と違うところもあります。自衛隊を派遣して武力行使したことがありますか。一度もありませんよ。自衛隊を派遣したから、PKO活動にしても武力行使をしたことは日本は一度もありません。これからもするつもりはありません。(発言する者多し)
  38. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 総理の御答弁に追加して私からちょっと申し上げますけれども、先ほど総理は……(発言する者多し)
  39. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  40. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こして。
  41. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 先ほど総理が限定的というふうに申されていますけれども、これは本当にテロ対策特措法は限定的なんですよ。要するに、九月十一日のアメリカにおいて発生したテロ攻撃、その攻撃の脅威を除去する、そういうことをするためにあるということは大前提ですよね。それからまた、行動する範囲も、いろいろと危険性はあるというような趣旨の御発言をなさいましたけれども、これは武力行使をしないということ、それから戦闘地域に行かない、戦闘が将来にわたって起こらないような地域を選んで行くということですから、かなり限定している、というか相当限定的な活動であると、こういうことになるわけです。  地域がどうのこうのというお話があるかもしれぬけれども、これは今流動的な情勢から、今すぐそういうことを決めるという段階にない、この基本計画をつくるときに決定すればよろしい問題だろうというように思っております。  そしてまた、この法案、与党の修正がございました。これによりますと、この対応措置を開始した日から二十日以内に国会に付議して、そして速やかに、もし不承認の場合には速やかにこの活動を終了するということも明確になっているということでございますので、私は、十分シビリアンコントロールも確保されているし、また御懸念のようなこともないだろうと。  また、もう一つ申し上げれば、テロが、単発のテロというのはどこでも起こる可能性はないわけじゃないですね、今のこの世の中で。そういうことで、テロが連続して起こるような地域というのは、これはもうかなり事前の情報でもって明確になっておりますから、ですからそういうことも御懸念をされることのない問題だというふうに私どもは考えております。  ですから、そういう意味において、情報収集を十分にして、そして相手国ともよく協議をして活動地域を決定し、またその行動内容も決定していきたい、こういうふうに考えております。
  42. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) この際、ちょっと委員長から申し上げますが、先ほどの理事協議は、昨日の総理答弁とただいまの答弁が違うということでありましたので、再度質疑者から質問をするということで御了解をいただきました。
  43. 海野徹

    海野徹君 いろいろ今、官房長官から御説明があります。そういう説明を聞けば聞くほどやはり事前承認が必要なんだなということを我々は思うわけなんです。  総理、やっぱり、ずっと衆議院の質疑あるいはきのう、きょうの答弁を聞いていまして、どうもいま一度答弁していただかないと私は納得いかない。総理も御存念があるかと思います。もう一度総理の御答弁を求めます。  自衛隊は戦力を持っている、軍事力がある。これだけの軍事力を行使できる自衛隊が世界に出るということは、世界にとってみればこれはまさに要するに軍隊が出てきたんだということと一緒なんです。武力行使をするということと一緒なんです。それは世界の常識だと思う。自衛隊という軍事力を動かすこと自体が、いいですね、自衛隊という軍事力を動かすこと自体が武力行使に該当するというのは、これは世界の常識じゃないですか。自衛隊はそれだけの要するに持っているでしょう、力を。
  44. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 大体自衛隊が動けば武力行使だという考えは私は初めて聞きましたね。そこら辺は私たちと全く違う。自衛隊は災害派遣にも行きます。あるいは訓練にも出ます。PKO活動にも出ます。自衛隊が出るから武力行使に参加する、戦力を持つ団体だから戦闘行為、武力行使だという考え方は今初めて聞いたね。  そういう自衛隊が出たって、平和活動の場合も災害活動の場合もあります。武器だって持たない場合もあります。みずからの保全のために小火器を持つ場合もあります。すべて自衛隊を活用しちゃいかぬという考え方ではないんですから、自衛隊も平和活動ができる、国際協力活動ができる、武力行使はしない、戦闘行為には参加しないという形でいろいろなテロ活動に対して協力できる分野があると思って新法をお願いしているんですから。
  45. 海野徹

    海野徹君 いや、総理の常識もあるんですが、世界の常識もあるんですよね。世界の常識もあるんです。  それと、やはり自衛隊が合憲である、あるいは総理が自衛隊は合憲であるというような発言をしておりましたけれども、その点について。
  46. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私、日本総理大臣として自衛隊が合憲でないと言ったらどうなりますか。私は、民主党も自衛隊合憲だと思っているはずですよ。どうですか。自衛隊は合憲ですよ。そう思いませんか。
  47. 海野徹

    海野徹君 総理、最高裁の判決、それと総理答弁、そのことを私ども言ったわけなんです。  もうあと私、時間がありませんから、この問題、憲法調査会等で話をしたいと思います。(発言する者多し)
  48. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御静粛に願います。
  49. 海野徹

    海野徹君 私に与えられた時間はまだ……(「はっきりしろ」と呼ぶ者あり)はっきりさせる機会はまた持ちますから。  それから、これは海上保安庁長官に話を聞きます。  これは、威嚇射撃で船を撃沈した場合の違法性の阻却についてお伺いしたいと思います。今度は今回の海上保安庁法の改正の問題についてのあれなんですが、船体射撃をして、それが四条件が整っていたとはいえ撃沈させてしまった、そういうのは国際的に見て実際違法性が阻却されることになるのかどうか、海上保安庁長官にお伺いします。
  50. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) 御説明申し上げます。  国際法上、沿岸国は無害でない通航を防止するために領海内におきまして必要な措置をとることができることとされております。これによりまして停船、立入検査、領海外への退去要請などの必要な措置を行うことができます。この目的を達成するために、武器の使用を含む必要かつ合理的な実力を行使し人に危害を与えたとしても国際法上の問題は生じません。これは実例によりましても、少なくとも結果的に撃沈をした場合でも非難されることはないということが国際法上の考え方になっておるというふうに承知をしております。
  51. 海野徹

    海野徹君 海上保安庁長官にもう一問お聞きいたしますけれども、四条件の中身について、無害通航の判断基準ということなんですが、武器の使用を認める四条件についてお伺いします。条件の一つだけお伺いしたいんです。  現行法では、車体射撃が、船体射撃が行えない理由として、外観等からだけでは船内でどのような活動が行われているか必ずしも確認できない。このような船内の活動がわからない不審船に対して、無害通航でない通航であると判断するのは一体どういうような基準で判断をされるんですか。
  52. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) 御説明申し上げます。  無害通航でない航行が行われると判断されるのは、私どもが提案しておりますこの法改正では、日本船舶以外の船舶が我が国の内水または領海において我が国の平和、秩序または安全を害する行動をとっていると認められる場合でございます。これは海洋法条約の十九条で規定をされておりますが、この点は、船舶の外観、航海の態様、乗組員の異常な挙動その他の事情から判断するものでございます。  具体的には、御承知の一昨年の不審船の事案のケースのように、日本船舶を偽装した外国船舶と思料される船舶が、荒天を避けるためなどの正当な理由がないのに領海内で徘回をし、あるいは滞留し、あるいは海上保安庁の立入検査を忌避して逃走するというような場合には無害通航ではないと、無害通航でない航行であると判断されると考えております。
  53. 海野徹

    海野徹君 今回、武器使用が許される事態の認定を海上保安庁長官が行うということになっておりますが、責任の重さから考えて、これは政治家、国土交通大臣が行うことが望ましいんではないかなと私は考えますが、その点について大臣はどんなお考えでしょうか。
  54. 扇千景

    国務大臣(扇千景君) 今のお話ですけれども、保安庁長官のおっしゃることに四条件がついておりますのは、法案の中で御説明申し上げておきたいと思います。  それは、何回停船を命じても停船しない場合、そういうときには、世界的な国際海内での国際法に反する行為、停船を命じても停船しない場合、それが一つでございます。なお、繰り返し停船を命令してもとまらない、これも二つ目の大きな条件でございます。三つ目には、巨大凶悪犯に、可能性として持っているという場合にもこれも大きな要因の一つでございます。最後には、立入検査しなければ今後重大な凶悪犯を起こしかねないと、こういう条件の四条件において今回の法案では武器使用を可能としたわけでございますけれども。  今、現場の判断で、海上保安庁長官ではなくて大臣みずからが判断すべきではないかとおっしゃいますけれども、これは、追跡の経緯、それから迅速性、そしていかに今までの法の違反をしているかという重大な判断をするときには、やはり現場に一番詳しく、詳細な、迅速をもってこれを国民の安全と安心のためにということで長官が判定するのが一番無難ではないかと。なお、最終責任大臣が負うというのは当然のことではございますけれども、一番国民のために、迅速な対応のためには、経緯そして判断、それが一番近い海上保安庁長官が判断するのには私は一番適していると思っております。
  55. 海野徹

    海野徹君 私に残された時間があと一分しかありませんから、先ほど中途半端になっておりました問題、それについて後日ということでありましたが、いろんな国際的な問題が取り上げられますとね、総理、いつも憲法、枠、中、外、そういう議論が非常に始まる、それに終始する。そこから生まれる法律論に対して日本の将来に向けてのビジョンが余り見えてこないと。非常に私はそれは不幸だと思う。だから、緊急事態法、あるいは有事法、あるいは憲法論議にしても、私は要するに、非常時じゃなくて平時できちっとした議論をすべきではないか。それがないから要するにいろんな問題が生じているんではないか。それを私は最後に申し上げて、質問を終えたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)
  56. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 関連質疑を許します。木俣佳丈君。
  57. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 おはようございます。民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。これから一時間ほどおつき合いをお願い申し上げたいと思っております。  今回の、九月十一日、私も実はカナダのオタワからフライトに乗って飛行機の最中でございました。オタワに引き返しまして、本当に大変なことが起こったなと。このテロに対しては我が国米国同盟国としても断固たる思いで兄弟国として徹底的にサポートをしなければならないという総理のお言葉は、本当に国際的なメッセージとして私は価値があるものだと非常に思っております。  ただ、昨日の参議院のこの場での討議を伺いながら、私は、その発言はともかくとして、総理御自身の憲法に対する余りにも軽い御発言というのがどうもここのところ続いている。これについて、私は、総理総理になられてから何回、前文は何度も読まれたというふうに伺っております。しかし、本文のまさに全体、全文を総理になられてから何回読まれたか、伺いたいと思います。
  58. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 総理になる前に何回読んだか数え切れないんですが、総理になってからは全文を各条全部読んだことはないですね。しかし、ここは要点、この何条、この何条。余り読み過ぎていますから、今まで、数え切れないぐらい。そういう点において、全文は一条一条読んでおりませんが、過去何回も読んでおりますので、憲法の意図するところは自分なりに十分理解しているつもりでございます。
  59. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ということであるならば、昨日、有事法制、そしてまたPKF、つまりPKOの本体業務、日本語で言う、要は日本で言うPKFの解除ということを言われたときに、これは議事録がございますけれども総理は、基本的人権の侵害も少しは仕方ない、これを何回も何回もこの御答弁の中で言われているわけでございます。基本的人権とは憲法の三原則の中の大きな大きな一つの柱であり、いや、最大の柱でありまして、この侵害も辞さないというのは、もう一度テレビの前で国民の皆さんに明確に御説明いただけますか。
  60. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) あえてそこを指摘したわけですよ。有事法制の場合には、場合によっては公共的な利益のために基本的人権がある面においては抑制される面もある。そこが難しいから今まで進まなかったんでしょう。平時からそういうことを議論すべきであるという意見は私も賛成です。しかし、まさに基本的人権とかかわる問題が有事のとき出てくるんですよ、非常時の場合は。非常時の場合はある面においては個人も、あるいはいろんな施設も、公共のために危機のために基本的なものが抑制される場合は当然幾つかあると思いますよ。それを議論していくことによって有事に対してはどう対処できるかということが議論できるんだけれども、そこになると、憲法に触れる、憲法違反だということが出てくるからなかなか今まで進まなかったんじゃないですか。  だから、そういう面において、今回の危機を契機に、やっぱり備えあれば憂いなしだなと。備えあるから憂いがあるという考え方も一部にはあるけれども、やっぱりそうじゃないだろうと。そういうために、平時から備えあれば憂いなし、危機の場合にはある面においてはいろんな自由が制約されるのもやむを得ない、その辺をどうやって議論していくかということでしっかりとした有事体制というものが準備されるのではないでしょうか。(「そのとおりだ」と呼ぶ者あり)
  61. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 後ろでもそのとおりだなんという言葉が聞こえておりますけれども、基本的人権の侵害を少しはなんという、そんな荒っぽい話をこの国会の場で軽々しくだから言うこと自体が私はおかしいと思うんですよ。  憲法の第十一条に、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」と、こう書いてある。だったら、憲法改正するつもりですか。基本的人権なんという大まかな話じゃなくて言ってくださいよ。
  62. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今の議論と憲法改正とは直接には結びつかないと思いますけれども、憲法の範囲内でどのような有事体制ができるかと。その場合には基本的人権の問題は出てくるでしょう、今言ったように、公共の福祉のために、いざ有事の場合に、危機のために、ある程度基本的人権を侵害する面が出てくるかもしれない。それを議論するのがやっぱり有事法制の一つの過程で必ず出てきますよ。それに触れないで有事法制をきちんとしようと言ったって、平時とは違うんですから。だから、そういう点を議論しようと。お互いけしからぬから議論しちゃいかぬと言ったら議論進みませんよ。政治家で政党も違うんだから、議論違っていいんですよ。違いをぶつけ合うことによっていろんな議論が積み重ねていき、理解が深まっていくんです。  私は、具体的に言ってどこが基本的人権かというのは、もし有事法制が出てくればわかりますよ。そういう問題も議論すればいいのではないかと。やはり、公共の福祉、平和の確保、生命、財産の安全、そういうことを有事に対してどう確保するかという場合でありますから、当然、ある面においては不自由さも覚悟しないと、有事法制というのはいざというときにできないという面があるということを私は言ったわけですから。
  63. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これは近代民主主義への否定にかかわるようなここは話なんですよ。マグナカルタから始まりまして、人権宣言、そしてまた権利の章典、こういったいにしえからのずっと続いてきたこの人権の議論、基本的人権というものを大ざっぱに全体として……(発言する者多し)静かにしてくださいよ。閣僚席から何ですか、静かにしてくださいよ。  我々も有事法制をもちろん深く考えておりますし、我が国有事のために何もない国なんておかしいですよ。だから、それは我々民主党はいち早く結党以来これは話をしてきておるんです。しかし、基本的人権を少しはもう侵害しても仕方ないと、いや有事だから何でもいいんだと、戦争ですよというような荒っぽい話を国会の場でするということ自体が私は非常におかしいと思うんですが、いかがですか。
  64. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 有事にどう備えようかということを国会で議論しなかったらどこで議論するんですか。国会でこそ議論すべきでしょう、国会でこそ。  私は軽々しくなんか言っているつもりはありませんよ。質問に誠実に答えているつもりですよ。ある場合、全部、土地収用法の場合だって個人にとっては基本的人権を侵害される場合があるでしょう。
  65. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 そういう話をすればいいじゃないですか。
  66. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、有事を含めて。(発言する者あり)言い逃れじゃない。基本的人権、一切触れない、そういう話とはまた別でしょう。だから、そういう不自由さも覚悟しなけりゃならないという議論は有事法制になると出てくると。そういう中で、反対論も出てくるからそんな有事の議論をすると厄介だからしない方がいいという雰囲気で来たということを反省しつつ、これからはやはり備えあれば憂いなしで、いざというときに考えていこう、そういうことを国会で議論しようと。  国会で軽々しく議論しちゃいけないと言うが、国会だからこそこういうことを議論するべきだと私は思いますよ。
  67. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) この際、委員長から申し上げます。  この議場内で発言のできるのは委員長の指名者だけであります。特に閣僚の皆さん方は、冷静さ、我慢強さはその資質の一つでありますから、よろしくお願いします。
  68. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 こういった話を国会で憲法議論をしたときに、総理は、要するに神学論争なんていうことじゃなくて常識でというような話をされてきた。ですから、私も要するに常識で話をしているつもりなんですよ、今回は。  つまり、基本的人権なんという大きな話を、侵害してもいいなんということをこの場で、この国会の場で総理大臣が、我が国の、そしてまた世界に冠たる日本総理大臣言葉に出すということ自体が私はおかしい。つまり、先ほど訂正されたように、所有権とか財産権とか、こういったものも侵害されるおそれもあるかもしれないと。こういう……(発言する者あり)うるさいな、もう。そういう話をされるならいいけれども、そういう話がないということ自体が非常に危ういんじゃないかという気持ちを、私は国民の皆さんにお伝えしたいということを質問の冒頭にお伝え申し上げます。  それで、今回のこのテロ対策法案でございますが、まず、私、初めに非常に思いましたのは、何度も申しますように、断固たる決意で我が国はこの行使を助けたりしなければいけない、世界と協調して、国際協調の枠組みの中でやらなければならないということは何度も申してまいりました。しかし、だからといってきちっとした外交をしないでおいて、即ああ同盟国だからとか、いや今回同盟国ということでやるわけじゃないと言いますけれども同盟国、兄弟国だからとか、いや国際協調だから何でもありだよということで、とにかく急いでやらなきゃいけない、これはちょっと私はいただけないだろうなというふうに思うんですね。  外交の基本は、それこそ大先輩方に失礼かもしれませんけれども、私は会うことが非常に大事ではないか。首脳たちと会って語っていく、こういうことが外交の基本であるのにもかかわらず、今回、例えばこれ比較しますと、要するに米英の閣僚の方々と比べて我が国外務大臣が何人の方と会ってこのお話をし、こういうふうに協調していきましょうと言われたかが全く出てこない。出てくるのは元の総理とか、あと偉い何人かの先生方ですか、こういう方々外務大臣のかわりになぜかしらあちらこちら行きまして話をしていると、こういうあり方なんですよ。  これは私は、もちろん軍事的オペレーションじゃないと総理は何度も何度もおっしゃる、官房長官もおっしゃいますけれども、しかしこれは兵たん業務をやるわけでございますから、日本から見ればフィフティー・フィフティーで集団的自衛権じゃないというふうに言い張ったとしても、同盟国やNATOの諸国から見れば一〇〇%集団的自衛権発動してくれてありがとうねという話に見せる話ですよね、これは。  これは、そのときに外交不在で、ただとんと物だけ出せば、いや、約束を小泉さんとブッシュさんだけでやるなんということで外務大臣いいんですか、これで。ちょっと伺いたいんですが。
  69. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 私が大変おとなしい性格なものですから、随分世間に誤解を与えているようでございますけれども。  どこの内閣でも歴代、特使とか総理経験者やそれに適した方たちがその場所に行くということはございますし、私がこの間パキスタンに行けずに副大臣が行かれましたのも、あれも国会が始まる日で、ひな壇に閣僚が並ばなきゃいけないというルールもあります。  それから、やっぱり国会のいろいろなスケジュールがありまして、先方と会うには先方の方の予定とこちらも合わなければいけないものですから、現職の閣僚がなかなか残念ながら行けないというケースもございますが、しかし外交が機能していないわけじゃございませんで、九月の十一日以降だけでも電話なりあらゆる会議等があって、お会いしている方は私は四十人以上ございます。何でしたら、これを全部読み上げたら十分ぐらいかかってしまいますから、時間が惜しいので申し上げません。  ただし、やはりこの間の上海のAPECにつきましても、これは極めて重要な会議であって、どんなことがあっても私が行って顔と顔を合わせて、今までの半年の人間関係の中で、総理がトップとなさったように、私が外務大臣としなければならない事態であっても、国会の御許可をいただけなかったという事態もございますので、外交は機能いたしております、二国間でもあり、それから周辺国等、多角的なものもありますし、あらゆる関係のところで、九月十一日以降もそれ以前も機能をいたしておりますということを申し上げます。
  70. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も最近、外交の重要性というのは、委員が指摘したとおり、日本にとっては世界の中での外交面の重要性を特に認識している国だと思います。そういう面において、国会開会中でも、できれば、外務大臣不在でも、副大臣あるいはそのほかのかわりの方で委員会の開催を認めていただけるような慣例をつくっていただければ大変ありがたいと思っております。
  71. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 私が外交当局、外務省に調べていただきまして、何回ぐらい外務大臣がこの件でお話をされたかというと一回。一回、メガワティさんとお話をされたという報告をいただいております。小泉首相は、ブッシュ大統領ほか五回会談、十回の電話会談。  アメリカやイギリスの大統領や首相というのは暇なんですね、それと比べますと。ブッシュ大統領は十六回、実は会談を持っております。そして、二十九回電話会談を持っております。パウエルさんも、恐らく外務大臣に言わせると暇なんでしょう、二十回会談を持ち、二十一回の電話会談。ブレア首相も九回会談をし、十四回電話会談をしている。  私が申し上げたいのは、ただの本当に一回、メガワティさんとそれとなくこの話をしただけの外務大臣アメリカでいうと国務長官と、これ、だから大分外交のスタンスが違うな。  先ほどから申しますように、これは外務大臣には非常に僣越な言葉でありますけれども外交の本質は、もちろん来てくれた方も入れて恐らく四十人というお話だったと思いますが、しかし、この重要なこの時節に対して、パキスタンに国会をサボってもこれは行っていただくというのは当たり前の話ではないかというふうに私は思っている。国会に出席をすることをやめても、だからこれは行くべき問題ではなかったか。それに比べて、要するに特使が四人もあちらこちらへ行っていると、こういうあり方が私はおかしいということを何度も言っておるわけでございます。  要するに、それはアメリカでも現在、戦いは二つあると言われておるわけでございます。これは総理もう御案内のとおり、国務長官であるパウエルさん、そして国防長官であるラムズフェルド、この間でどういった形で戦略を立てていくか。パウエルは非常に温厚で、慎重に運ばなきゃいけない、片方で国防総省はイラクまで攻撃しなきゃいけないんだと明言をしている。こういう間で駆け引きをしている、この戦いもあるわけです。  この内閣は、一致団結して行け行けどんどんで、やれやれと、これしか言っていないと私は思いますが、総理、どうでしょうか。
  72. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 一致結束してテロに主体的に積極的に取り組もうということで団結しております。
  73. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 まさに方便です。だから、そんな一致団結してという言い方もありましょうが、内閣としてウイング広く、あちらこちらへ外務大臣を遣わしたり、防衛庁長官に行っていただく、そういう中で外交を展開していかなければ、自主外交なんというのはあるわけないじゃないですか。もう一度、お願いします。
  74. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私のみならず、外務大臣財務大臣経済産業大臣、元総理大臣、元外務大臣、いろいろ人脈のある方、必要な方、必要な国に行って、目に見える外交も、見えない外交も展開しているということを御理解いただきたいと思います。
  75. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 総理外交の一元化という言葉、知っていますか。基本的に外交というのは、基本的には内閣としてはもちろん一本ではあるかもしれない。しかし、できれば、例えば総理または外務大臣、なるべく多くの人があちらこちらへ行って要するにいろんなことを言わない方がいいというのが外交の一元化の原則なんですよ。そういうことから考えれば、私は主体的な戦略的な外交というものが行われているとは言えない。(発言する者あり)うるさいな、本当にもう。  なぜ私が……(発言する者あり)委員長、ちょっと注意してください。
  76. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御静粛に願います。
  77. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 なぜ私がそこまで言うかといえば、このテロ対策法案の中に明確に書いてある言葉で、「国際的なテロリズム」、これは「基本原則」です、「テロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に我が国として積極的かつ主体的に寄与し、もって我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に努めるもの」、「積極的かつ主体的に」というふうに書いてあるからであります。  つまり、軍事的なオペレーションをする前に外交努力を積極的にかつ主体的に行っていない、なのにもかかわらず、こちらの軍事オペレーションでは積極的かつ主体的に。しかも、犯人の特定に代表されるように、我が国は情報も十分に持っていない。こういう中で、何度も言いますように、情報もない、外交もない中でこの軍事オペレーションだけが積極的かつ主体的にということはこれは本当にあり得べきことなのかなと私は思うわけでございます。  それで、そういう中で今回この法案を審議されるわけでございますけれども、その基本計画が閣議で決定され、そしてこれが今回の修文で衆議院で通った案では事後承認ということでございますけれども、先ほど総理お話を伺っておりましても、この審議自体がもう事前承認なんだと、こういう考えでよろしゅうございますか。
  78. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、いろいろ審議いただいて法律を承認していただければ、その後、内容、目的に従って国会の承認は必要ないと思っておりましたけれども、事後の承認があった方がいいのではないかということで修正してやったわけでありまして、私は別に、この法案の審議の過程でよく十分配慮していけば政府責任で行政の裁量権でしっかりとした対応ができると思っております。今でも、その考えに違いはございません。
  79. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ちょっと不明確なものですからもう一度伺いますが、この審議自体が国会の承認を、この基本計画も含めて、事前にとっているということでよろしゅうございますか。
  80. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、法律自体、それで十分ではないかと思っております。
  81. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ならば、その基本計画の中身についてこの場でお話ができるという前提ではないでしょうか。ですから、官房長官が手を挙げていらっしゃいますけれども、それでは官房長官でも結構でございますが、今から言う内容について明確にお答えください。  この武器の輸送、そしてまた医療活動、被災民支援、どこでどのような形で幾らぐらい使って行われるか、そのような予定であるのか、現在の時点でお答えください。
  82. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今、この審議をいただいておるわけですね。そして、これ、成立するということになれば直ちに基本計画の策定に入るという、そういう順序にあります。  今現在、状況というのは流動的だと私は思っております。ですから、今後どのような状況になるかということを見きわめた上で基本的な考え方を順次決めていくということになります。  その前に、やはりどういう役割を分担すれば一番いいのかということについて、米軍を初めとする関係諸国との調整とか、それから場合によっては、今話題となっております、これはもう仮定の話でありますけれども、必要に応じてパキスタン政府と話をするとかいったような問題が生ずるわけでございまして、今のところ、そういうことは具体的に申し上げられるような確たる状況にないと、こういうことであります。
  83. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 さっきと話が大分違うじゃないですか。  この国会審議を通じて、その別表に定めるところの基本計画について、要するにもう審議したことになるんだと。つまり、それが国会の事前承認なんだということを総理御自身が言われましたじゃないんですか。そして、かなり限定されているというふうに言われたじゃないんですか。限定されているということであるならば、じゃ、どこで何をどれだけ、要するにこの別表のところの基本計画、だからこれがどのようなオペレーションがされるのか、これ教えてください。そうでなければ審議できません。
  84. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今、私申し上げたとおりなんでありますけれども、具体的にということは、まさにそのニーズがどういうところにあるかといったようなことで、これはやっぱりこの法案を通していただいて、一日も早く通していただきたい、そういう意味では。その上でいろいろな調整を始めると、こういうことになるわけです。  それは、一般的な情報活動としてどんなふうなことがあるのかなというようなことは、いろいろ情報としては入ってきております。しかし、それでもって決めるというわけにいかないんでありまして、そういうことを、正確な情報とそれから協議というものは、これはこの法律ができてからやるしかないんだろうというように思っておるところです。
  85. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、何か言うことが二転三転しまして、法律を通してから要するにこれを決めるんだということ。だけれども、どんなことをどれだけということが審議されなければならないんじゃないですか。要するに、そういうことを明確に、かなり限られているという話を総理御自身がされているわけですよ。  ちょっと防衛庁長官、どうですか。こういう形で、だから長官だと、その具体的な実行部隊の方々を動かす立場の長として、これどのように思われますか。  だって、今の答弁では、法案審議をすること自体がもう既にすべての具体的な行動も含めてかなり限定的にというふうに総理が言われている。だけれども、私はちっともわからない。この別表だけです、わかるのは。これで、だから国会の事前承認を受けたなんということがあるわけないじゃないですか。どうぞ。
  86. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) アメリカの例を挙げますけれどもアメリカも大統領と議会の関係で、今回の行動にしてもいち早く議会からお墨つきというかマンデートをいただいて、その大統領の権限の内でいろんな作戦行動を展開しております。  翻って、我が国においても総理に対して議会がどのようなマンデート、お墨つきを与えるかということで、この法案はいわゆるルール、基本骨格、当然、戦闘行為は行わないとか、いろんな憲法の制約をはめたルールを皆様方に審議していただいて、そのお墨つきをいただいた範囲内で、内閣が事後の対処についてはその範囲内で行うという意味で、できるだけ内閣にも裁量権を与えつつ最善の行動をとる、しかもその法律の枠内ということで、私は総理と同じ考え方をいたしております。
  87. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、全然わかりません、これは全く。  それでは、具体的にもうちょっと申しますが、これは官房長官でも総理でも結構ですが、被災民救援活動については、これは国連等の要請に基づきと書いてありますが、現在時点で要請はございますか。明確に答えてください。
  88. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 現在、この法律に基づく被災民救援活動の要請はもちろんございません。まあそのほかにありますよ、UNHCRから先般要請がございまして物資の補給をしましたね。そういうことはあるわけでございます。
  89. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 そんなの当たり前じゃないですか。だって、今審議しているわけですから。そんな詭弁を弄さないでください。  要するに、今、国連、今、UNHCRというお言葉もありましたけれども、社会経済委員会でもいいですよ、そういった具体的な難民救済、そして避難民、合わせて被災民というんでしょうが、こういった救済の要請はございますか。イエスかノーかで答えてください。
  90. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) この法案に基づくものというものは、今、法案もないわけですからね、ですからあるはずがない。(発言する者あり)
  91. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  92. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こしてください。
  93. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 もう一度申し上げたいんですが、この基本計画について、この法案を審議すること自体がつまりはもうすべてその基本計画も含めて審議しておるんだと、こういう話をされるので、その基本計画のその内容について私は伺いたい、具体的に、ということを言っておるのであります。  その中で、さらに具体的に、この法案にのっとったと言われたって、それは法案ができていないわけですから、なんですが、今既にもう二百万、三百万、例えばパキスタンの国境沿いにもう避難民の、いや難民の人たちがいるわけですよ。そういった方々に対して何か支援をしてくれと国連の方から要請はあるんですかと、こういう話をしているんです。どの規模であるんですか、どのぐらいの支援をしてくれとあるんですかと聞いておるんです。
  94. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) だれに聞いているの。
  95. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 官房長官
  96. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 多少誤解があるような感じもするんですけれども、要するに承認というのは、基本計画をでしょう。総理が言っておられるのは、御案内のとおりだと思いますけれども、要するに極めて限られた、制約条件をつけたそういう法律であるから、だからこれはそういう意味において、まあ大体その活動の分野とか範囲とかそういうものはわかるでしょうということを言っておられるんだろうというふうに私は思います。  承認は、委員のおっしゃる承認というのは、これは基本計画の承認なんでしょう。これは、この対応措置をしてから二十日以内に国会に承認を求めると、こういうことになっているわけですよ。その承認の中身は何かといったら、実施すること、こういうかくかくしかじかの行動をすること、もう少し大くくりで言えば、協力支援活動とか捜索救助活動、被災民支援活動、そういうことを実施することについての承認であると、こういうことであります。御案内のとおりですよ、それはね。
  97. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 そんなことは説明を……(発言する者あり)
  98. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) それから、支援の具体的な要請というのは、この法律に基づいて行われるものについては、今のところございません。  ということは、まだそういう情報交換もしていないということですよ。
  99. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、私もとりあえず勉強しましたから、しっかり。  ですから、基本計画の国会承認なんて言っていませんよ、対応措置に対する。基本計画は、何度も言いますように、閣議でお決めになるわけでしょう。そしてその後、要するに対応措置についての国会承認ということは、もちろんそれは法文で読めばわかりますし、そんなことはわかっているんですよ。  しかしながら、我々は、何度も言いますように、総理が、限定的で、これはこのテロに対しての支援だと、限定的で、そしてまたこの審議を通じてここで賛成可決した場合には国会でしっかり審議したものとしてとらえるんだということを言うんだから、ならば、もう計画というものがあるんじゃないですかと。それをだから赤裸々にこの場でお示しくださいという話を僕はしているんですよ。限定的であるならばわかるはずじゃないですか。総理、どうですか。
  100. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) しかし、限定的な要求がまだないんですから、どこに行くかもわからない、どういう地域かも。まだ要請がない。これは、法律が成立すれば、またこのテロに対する対応、世界情勢も違う展開が出てくるかもしれない。  そういう情報交換をしながら、どこに支援協力活動をすればいいか、また自衛隊が必要かどうか、自衛隊が行かなくていいか、行く必要があるか、そういうものを総合的に情報交換し、判断して計画を立てると。そして、計画を立てれば、事後承認を国会で対応については受けるということですから、安全でしょう。
  101. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 総理は何度も何度も、私も報道で聞いていますと、我が国史上初めて自衛隊の方々を、危険な地域という表現はされておりますが、PKO以外で危険な地域に派遣をされるということを何度も何度も言われているんですよ。言われた方じゃ、本当にかなわぬですよ、本当に。危険な地域に送るんだと。命のことも含めてどうなってしまうんだろうと。本当に、だからそういう思いでこの審議がされておるのかということが私はわからないわけなんです。  それで、何度も何度も言われるように、この法案自体が事前承認でしょうと、この法案自体が事前承認でしょうと言われるから、それでは事前承認するような内容についてはここで教えてくださいと言うんだけれども、全くだからそれを教えることはできないと。いや、全く今、要請はないんだと。ならば、結局この法案で限定的と言われること自体も非常にあいまいではないかということを私は申し上げたいわけなんです。  先ほど官房長官の方からもお話がありましたように、米国では早々に十四日、四百億ドルの緊急歳出法というのを可決されて、五兆円規模で歳出をすると決めたそうでございますが、我々は、やはりその基本計画、そしてまた今回の、幾ら国際の協力とはいえ、国民の血税というものを今回使うわけでございます。そしてまた、十月五日に閣議決定したアフガン難民に対する実施計画について、費用の記載はありませんでしたけれども、十五日の衆議院の我が党の質問に対して二億円と、これは中谷防衛庁長官がお答えになっていることからしても、この費用の概算というものを基本計画の中に入れるべきだというふうに思うわけですが、官房長官、お答えいただけますか。
  102. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 基本計画の実施、記入、記載、必要項目の中にたしか費用は入っていなかったと思います。これは、その内容についてどの程度の規模のものかといったようなこともあろうかと思いますけれども、費用項目というものがその活動内容においてどれほどの、これは重要である、国税を使うんですから重要ではありますけれども、しかしそのことが、そんな規模になるのかどうかちょっとよくわかりませんけれども、極めて重要な項目でないというように理解しておるところでございます。
  103. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 冗談じゃありませんよ、そんなのは。私が申し上げたいのは、やはりアメリカのいいところをまねたらいいんじゃないですか、いいところはどんどんまねして、例えば四百億ドル、約五兆円近く支出するんだと決めて国民に理解を求めて、そしてだからその戦闘行為を行っていく。いいところをまねたらいいじゃないですか。そんなこと言わないでくださいよ。ちょっともう一回答弁してください。
  104. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今の基本計画にこれ入っていないんですけれども、他の、例えばPKO活動等においてどういうふうにしているか、この辺はちょっと調べて御答弁させていただきます。
  105. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 では、いつお答えいただけるんですか、いつ。
  106. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 今調べましたら、PKOの実施計画に入っていないんです。その事実だけ申し上げたいと思います。
  107. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、今この場で調べてくださいよ、できれば。
  108. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ただいま答弁しましたことを繰り返しますけれども、PKOの実施計画においては費用項目は入っていないということでございます。
  109. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) じっとしていると時間が経過しますよ。
  110. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 要するに、十月五日に閣議決定されたアフガンの国際平和協力事業実施計画については、費用の記載はそのときにはございませんでしたけれども、十月十五日の衆議院のテロ防止特別委員会において、我が党の議員に対して、二億円を支出するんだ、したんだということを中谷さんが言っているということを僕は言ったんです。  だから、要するに今回のものについても、いや、気持ちを聞いているんですよ、したらどうですかということを。要するに、アメリカが四百億ドルを使うんですよということを国民に明示して、そしてだからはっきりと了解をいただきたいとお願いをするわけですよ。  総理、どうですか、そういうことをしませんか。
  111. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) どの程度かかるかわからないのに、まだ決める必要ないでしょう。
  112. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 だから、先ほどから言っているじゃないですか、全然何も決まっていないと、今、実際。だから、具体的なものがここで審議されるというから、だから先ほどから言っているのに、結局具体的なものは何もないじゃないですか。では使いたい放題ですか、それは。お金は、何にもないんですか、そんな限定は。(発言する者多し)
  113. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) お静かに願います。
  114. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そこは大枠のルールは決まっているんですよ。そこに行政権、政府責任でやるんです。そのぐらいの裁量権は与えていただきたい。(発言する者多し)
  115. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  116. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こして。
  117. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 要するに、この修正者が出したものについては、事後承認を二十日以内に国会で行う、このようになっておるわけでございますね。  私も先般C130を愛知県の小牧で司令官とともに見送ったときにも、三日後には要するにパキスタンに着いている、遅くとも三日後には着いていると。このような状況があるわけで、二十日以内に終わってしまう、つまり国会承認が最大二十日とするならば、その以内にオペレーションがすべて終わってしまうという可能性だってあるわけですよ。そうでしょう。そう思いませんか。  それだったらば、総理何度も言われるように、この内容については限定されていると言うんですが、総理は何度も言われるように、どこでという場所だって限定なんか全然ですよ。言ってみれば、世界のどこでもと手を広げられて言われたじゃないですか、どこでもできるんだよと。全然だから違うじゃないですか、限定ということと。だって、お金もどれだけ使うかなんということは、国民はとにかく、自衛隊の方々を派遣することは、そうだ、今回はやっていただくかなと思っているかもしれないけれども、幾ら使うかわからないというんでは、これは今のこの不景気の中、血税をどれだけ使うかはっきり言ってくださいよ。そうでなければ全然審議が進みませんよ、これ。
  118. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、二十日後に国会の承認を求めることになっていますが、その前に終わっちゃうだろうと。終わっていればいいですよね、感謝されて、何にも問題がなくて。二十日以内に終わる活動もあるかもしれません。私は否定しませんよ。  そして、私は、事前から出す場合にしても、費用はどのくらいかかるかわからないと。実際そうでしょう。どういうところに行くか、何人派遣するか、どういう部隊を派遣するか、どういう人たち、どういう物資が必要かというのは、その地域、その状況にならないとわからないじゃないですか。わかって、必要だったらば予備費で対応できれば予備費で対応する。対応できなかったら補正予算でつくる。いろいろな対応がありますよ。そのぐらいは政府の行政権ですよ。(発言する者多し)
  119. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) お静かに願います。  この際、委員長から一言申し上げます。  不規則発言は、質疑の高まりのあかしでもありますが、発言者の意味がわからなくならないように御配慮を願いたいと思います。
  120. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 じゃ、財務大臣にちょっと伺いたいんですが、ちょっと通告しておりませんけれども、幾らでも使っていいんですか、今これだけ財政規律を求めて何とかしなきゃいけないというときに。全然、だから、計画がないということはそういうことじゃないですか。計画がないなんということはそういうことじゃないですか。湾岸のときだって一兆円使っているわけでしょう。おかしいよ、そんなのは。それが行政権……
  121. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、要するに先ほど来のお話ししておりますのは、政府が限定した今度のテロをうたう、だから法律の題目がずっと長いでしょう。というのは、この事件に関しての行動について、これを事前にこういうことをやりたいということを求めておるのでございまして、その意味において、この法律の中身そのものがやはり今後政府が行うところのことでございますので、ぜひそういう認識で見ていただきたいと思っております。  そして、財政上の問題でございますけれども、当面するのはどれだけ要るかわかりません。わかりませんけれども、そのことがございましたら、これは閣議で相談することでございますから、政府責任において決めさせてもらいたいと。そして、できるだけおっしゃるように血税を節約するということは当然でございますから、むだなことで出すことはいたしません。けれども、今のところ小規模な行動になっていくのではないかと思っておりますが、そうであるとするならば、予備費の流用等で十分賄えるものであると思っております。
  122. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それでこの法案をここで審議したら事前承認と同じだなんというのをよく言えたものだなと。何をだから審議できるんですか、予算もわからないのに。そうでしょう。予算というのは、一番のだから肝のところじゃないですか。それが出ないで、予備費でまあ何とかといって、常識でなんということをまた総理も言われていて、常識というのは何を常識と考えたらいいのか、私はちょっと非常識かもしれませんが、わかりません、本当に。  今、塩川財務大臣がいみじくも言われたように、小規模で終わるかもしれない、なるほどなと今ちょっと思ったことが一つありまして、私が十月六日に小牧に、私、一番機を見送りに、何が何としてもと思って、すべての予定をキャンセルして行かせていただきました。このときに閣僚の方はどなたか行ったのかな、これ、見送りに。
  123. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) だれに聞くの。
  124. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 防衛庁長官
  125. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 木俣議員におかれましては、十月六日に大変お忙しいところにもかかわりませずお見送りをいただきまして、大変感謝申し上げますし、日ごろからの御支援、非常にうれしく思います。  この日は、前日に派遣隊長を総理官邸に招きまして、総理、官房長官外務大臣、そして私から激励を行い、彼らに対する期待感を伝えたところでありますが、当日は幕僚副長が見送りを代表して行いました。閣僚が行かなかったというのは、私自身につきましては、当時、テロの関係で非常に全国の部隊に対して厳戒態勢を加えていましたし、また地上戦がいつ始まるかわからないということで、東京を離れた場合にすぐに対応できないという点で見送りに行かなかったということでございます。
  126. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これが、この言いわけがすべてを物語っていると私は言いたい。  副大臣の一人ぐらい行くものじゃないですか、こんなときは。自衛隊の家族の方々がどんな思いでその場にいたか。私は声をかけることもできなかったぐらいですよ。命がけじゃないか、そういう思いが。  しかもこのとき、行ったときの、六日から行って十二日まで帰ってきて、一人当たり幾ら支給されましたか、その日当は。トータルで幾らですか。  いや、なきゃもう時間もったいないよ。(「ちゃんと答えろ」と呼ぶ者あり)ちゃんと答えて。
  127. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 一日四千円でございますが、これは過去にもPKOの協力業務で実施しました金額と同じでございます。
  128. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 一日四千円なんですが、トータルで幾らですか、じゃ、トータルで一人当たり。
  129. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現在集計中でありますけれども、協力手当の総額は約三百万円程度になると見込まれます。
  130. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 隊員に払われたお金は一人当たり四千円じゃないですか。飛行機の機中では一切、日当に当たらないじゃないですか。これだけ命がけで六日から十二日まで行って一人当たり四千円ですよ、結局、払われたことが、手当が。そうでしょう、間違いないでしょう。答弁してくださいよ。
  131. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 通常、給料はいただいておりまして、その給与に加えて一日四千円支給をされておりますが、これは、過去、ルワンダとかチモールにも同様の物資輸送の協力支援を行いましたけれども、それと同額の金額でございます。
  132. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 本当に財務大臣、こういうところにきちっと。命がけで行っているんですよ。そういう人たちにけちって、それでだから、結局わけのわからぬ支給を、いや予備費でまあ何とかやりますよと。ふざけるなという感じですよ、私は。  そして、モラルサポートが大事だと先ほども海野議員が言われたけれども、本当にどんな思いでこの六機、六機じゃないんですよ、実は。予備機もつけて那覇まで行って、故障がないようにということで八機で行ったんですよ。報道されていないけれども、余り。そこまでやっているのにもかかわらず、閣僚からだれも要するに見送ることがない。そんなばかな話はないというふうに思っておるわけでございます。  とにかく、私も、質問もあとわずかになってまいりましたけれども、この自衛隊の方々のことを思いますと、本当に涙が出るような思いですね。総理、ちょっとそのあたり、どんな思いで、四千円ですよ、たった。六日から十二日まで、こんな長く行って。どうですか。
  133. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自衛隊に激励、応援をいただくことに感謝申し上げます。  自衛隊員は士気旺盛でありまして、むしろ日当よりもみずからの責任感、使命感で働いていただいているのでありまして、我々国民も自衛隊に対して敬意と感謝の念を持って接するような環境整備が必要だと思います。
  134. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 そんな、総理がそんな御答弁。それはもちろん、自衛隊員の方々お金が欲しくてやっているんじゃない、そんなことはわかりますよ、お一人お一人を見れば。まさに使命感の中で、我が国の誇りとして危ないパキスタンまで行かれている。わかりますよ、そんなことは。しかし、このあり方自体が私はおかしいじゃないかと。  例えば、PKOのカンボジアの九二年のときだってそうですよ。結局、自己防衛、自然権的権利ということで武器を使えない、携帯しながらも使えないから、選挙監視員の前に立って、向こうが発砲するのを待って、そして、だから撃つしかないということを自衛官がみずから考えて、自分が要は人柱になってやっていらっしゃる、こういうことなんですよ。それから、今回パキスタンに行ったときだってそうでしょう。C130の中に乗っていて、出るときにはパキスタンから武器の携帯を許されなかったじゃないか。どういうことなんですか、これは一体。  外務大臣、こういう地位協定的な、自衛隊員の保護をするような協定というのは結ばれているんですか、今。
  135. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) お答えいたします。よろしいですか。  本法案に従いまして外国の領域に自衛隊が派遣される場合ですけれども、派遣される期間の長さも考慮しつつ、任務の円滑な実施のために、受け入れ国との関係で派遣される自衛隊員の法的な地位を確保する必要があります。その具体的な内容及び形式は、受け入れ国の意向にもよるものでございますから、現時点では一概に言うわけにはまいりません。
  136. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 そんなばかな話がありますか。派遣しておいて、武器を持っていきながら武器を外に出せない。そんなことで、じゃだれが自衛隊の人たちを守るんですか。そんなでたらめな派遣の仕方がありますか。なれないならやめればいいじゃないか、だから。あなたが行けばいいじゃないか、総理が行けばいいじゃないか、だからそこへ、一番危険なところへ。最高指揮官として総理が行ったらどうですか、そんな危険なことをやるならば。どうですか。御自分でまず行って、安全を確かめて、安全だなということでこの法律にのっとって指揮をとったらどうですか。どうですか。
  137. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回、パキスタンは総合的、客観的に見て安全なところだから行ってもらったんですよ。自衛隊自身は、入隊のときから既に危険を顧みず職務に精励するという宣誓のもとに入隊しているんですよ。しかし、政府としては、海外、今こうであるから、できるだけ客観的に考えて安全なところに派遣しましょうということで、パキスタンは安全と判断したんです。そして物資を輸送していただいたんです。  最高司令官の総理大臣が行くよりも、訓練を受けて、しっかりとした装備をされて能力のある、それは持ち場持ち場の役割があるわけであります。総理大臣が行っても役に立たないところもあります。
  138. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今、パキスタンは安全だと。その当時はそうかもしれませんがね。しかし、そうじゃないんですよ。ペシャワールの周辺だってもう二百万人いるんですよ。国連の推計では、これから先、最高にふえた場合に避難、いわゆる日本で言う被災民がどれだけになるかという推計を知っていますか。一千百万人ですよ。国内避難民が六百万人、国外の難民が五百万人、合わせて一千百万人。これはきのうの新聞ですよ、これ。アフガン国境で難民数千人が突破して大変なことになっていると。こういうところにこれから派遣をしなきゃいけないわけなんですよ。だから、我々は結論として、国会の事前承認がなければならないと。提案者の方、ちょっとどうですか、久間先生。
  139. 久間章生

    衆議院議員(久間章生君) 衆議院においても同じような議論が行われました。政府は、今までも、PKOの法案のときもそうでございますし、周安法、いわゆるガイドラインのときも政府としては、国会の承認はなかったわけでございますけれども、国会の意思で修正があったわけでございます。今回も、そういう意味で修正を行うべきであるという意見が与党の中でも出てまいりまして、民主党さんといろいろと議論をいたしました。  ただ、今回は、先ほどから総理が申しておられますように、非常に目的を今回の事態の対応に限定した特別措置法であると、そういうようなことから対応を迅速に行う必要があるというような、そういう説明でございましたために、その辺の枠組みを残しながら、なおかつ迅速な対応をできるということにして国会を関与させるにはどうすればいいかということで、治安出動のときの例を引きまして二十日以内に付議するということにしたわけでございます。  ただ、付議することにしましたけれども、二十日以内に承認じゃなくて二十日以内に付議するということにしたわけでございますが、これはできるだけ政府としても一日も早く出してもらいたいということで、また附帯決議を衆議院としてはつけた次第でございます。
  140. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 提案者に、もう最後の答弁は要りませんが、要するに国内で、国内出動である治安出動の要件を国外活動である今回のものに当てはめるなんというのは、本当に場当たり的ということを私は思っております。  それから、きのうも何度も太平洋戦争のころのお話総理はされて、ミッドウェーのころに既にアメリカは占領政策を考えていたと、すごいんだと、すばらしいんだと、それが、ということを言われたんですが、内政干渉じゃないですか、そんな話は。アフガンの今後のことなんか、実際今、日本が考えられるような、そんな余地がありますか。そんなことを、無理なことを背伸びしてやるということよりも、我々ができることをしっかりと何ができるのか精査して、外交を中心にして、我々の憲法にのっとった、平和に、そして国際協調に資するように、だから、そして平和に資するような、そういう行動を求めて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)
  141. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 木俣君にかわり、関連質疑を許します。佐藤道夫君。
  142. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 関連質問をさせていただきます。  私、二院クラブではなくて民主党でございますので、ひとつ誤解のないようにしていただければと思います。  それから、きょうは十月二十四日、何の記念日かと御承知ないと思いますけれども、何と何と、これ私の誕生日でございます。何歳かということはちょっと差しさわりがあるので伏せておきますが、この光輝ある誕生日に私が日ごろから尊敬している小泉首相に質問をすると。大変光栄に存じておりますので、どうか答弁の際は頭の片隅に、ああ質問者のきょうは誕生日なのかということを考えながらお答え願えればと思います。  そこで、大変白熱の議論が朝から続いておるこの際に、いささか間延びしているのではないか、こう考える人も多いかもしれませんが、私はもっと基本的に、この国のマスコミも論じていない、また学者も評論家もだれ一人取り上げていない、そういう問題を取り上げて議論を進めていきたいと思います。一言で申せば、過去の歴史的な経験を今の人たちがどういうふうに教訓として受けとめているか。それから、今我々が経験しているこれは、三十年、五十年、いや百年先にまた同じようなことが起きるその際の教訓として後世の人たちにまた残すことができるのかどうか、そういう角度からの質問であります。どうか御了承くださいませ。  そこで、第一は、第一次世界大戦の教訓を今どのように生かしているのか、こういうことであります。  第一次大戦も今回と同じようにテロから始まったわけであります。バルカン半島に一九一四年に響き渡った一発の爆発音が、人類未曾有のああいう大惨事を引き起こしたわけであります。バルカン半島ではスラブの民族がいろんな国をつくっておる、そこにゲルマン民族のオーストリアが侵略、侵略というのか進出をしていく、そこで民族の対立が起きていたと。こういうことを背景に、一九一四年の六月、オーストリア皇太子夫妻が視察に行った、サラエボに巡幸していた、そのときにテロリストの投げた爆弾が二人の命を奪った、こういう事件であります。  何だ、たった二人か、今回のテロを見てみろ、六千人も命が奪われていると、こういう考えは今の人の考えでありまして、当時は帝国主義華やかなる時代でありますから、天皇、皇帝、王様というのは国の、国家そのものなんです。国の顔と言ってもいい。ですから、王様などを殺されたらもう国家そのものが破壊されたというふうに帝国主義者は考えた。何、人民の五万や十万の命が何だと、これは私の意見じゃございませんよ、昔の人のそういう考えなんでありましてね。  そこでオーストリアはどうしたかというと、直ちに宣戦を布告した。当時の考えでいえば当たり前といえば当たり前なんです。ゲルマン民族もまた固まってそれに応戦をする、オーストリアの背後にはドイツ、スラブ族の背後にはロシア、そしてドイツと対立していたフランス、フランスを支援していたイギリス、最後にはアメリカまでもスラブ側に荷担、加わって大戦争が行われた、こういうわけであります。  なかなかそういうことは信じられないなと、こういうふうなお気持ちもあろうかと思いますけれども、大津事件、御承知でありましょう。明治二十四年、ロシアの皇太子が日本に来まして大津市を巡幸中に、やっぱり護衛の警察官、津田三蔵といいますが、これが切りつけて相当な重傷を負わせた。これもテロの一種なんです。そのときに日本政府が大変恐れたのは、これをきっかけにソ連が、失礼、当時のロシアが日本に攻めてきたら一体どうするかと。当時は武力の差も隔絶していましたから、あっという間に日本なんかはもう侵略されてロシアの植民地になってしまうと。  さて、どうするかと。もう一刻も早く犯人を死刑にしろ、こう言ったわけです。当たり前の感覚といえば当たり前なんです、これが。そのときに児島惟謙、大審院院長の児島惟謙が、そうはいいましても、外国の皇族を殺害しようとした、未遂に終わった、これを死刑にできる条文はございませんといって政府の要求を断って、司法権の独立を保ったといって、今、神様のように言われておる。これもそのとおりなんですけれども。  私、大変評価するのは当時のロシアの態度、皇太子にあれだけの危害を加えられていながら、まあいろいろ都合もあるんだろう、これは日本の出方を少し見守ってやろうと。直ちに軍隊を派遣する、そんなことは一言も言わなかったわけでありまして、日本は最終的にあの津田三蔵という犯人を無期懲役にして、ロシアもまあそれぐらいでいいかということで軍を起こすようなことはしなかった。日本の歴史学者はこのロシアの寛容あふれる態度を全然思い浮かべない、いやただ児島惟謙が偉い偉いとこのことばかり言っている。もう少し歴史学者も事実をきちっと評価してもらいたいものだ、こう思っております。  いずれにしろ、一国の天皇とか皇帝とかを殺害する、それだけの重みがあった事件なんですね。そして大戦争が始まりまして、終わってみたら何と何と死者が八百万人、もう六千人なんというどころじゃありませんよ、八百万人の死者が出たと。  そのときにどうしたかというと、これ本当に歴史の皮肉だと思うんですけれどもアメリカのウィルソン大統領が乗り出してきまして、もう二度とこういうことはやめにしよう、国家間であるいはテロがあってこういうことが起きたらやっぱり国際の場に国際協調の精神に立って場を設けて、そこに関係国が集まって平和裏に穏やかに友好的に議論をして解決に導いていこうということを提案してできたのが国際連盟なんですよ。そのアメリカが今やいきり立ってわあわあ言っておる。  いずれにいたしましても、この件について、総理大臣の率直な御感想をお聞かせいただければと思います。
  143. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 非常に参考になる、また格調の高い歴史的な背景を説明していただきまして、改めて歴史に学ぶ重要性を感じました。  私も歴史は好きですが、第一次大戦のころの状況はほとんど読んでおりませんで、今お話聞きましてなるほどなと。我々、学校のころ習ったのはサラエボ事件という表題、最近政治家になって覚えた言葉にバルカン政治家という、権謀術数にすぐれた政治家のことをバルカン政治家と言いますけれども、そのころからバルカン半島の複雑な地形、複雑な国々が絡まっていろいろな権力闘争初め栄枯盛衰の歴史があったということを改めて思い起こしましたが、日本の明治時代の事件等、本当に歴史に学ぶ点は多いなと思いまして、感心しながら聞かしていただきました。
  144. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 そこで国際連盟ができ上がりましたが、これをつぶしたのはこの日本であることは当然御承知と思いますね、大日本帝国と言われておりましたけれども。昭和六年に満州を中国の領土の中につくり上げたと。それに対して中国は、当然のことのように抗議をし国際連盟に提訴をする。国際連盟はこれを真剣に受けとめて、調査会をつくって双方の言い分を聞いて、それからはるばると満州までリットン卿をリーダーとする調査団を派遣して地道に調査をして、その結果、これは日本の明らかな侵略行為である、直ちに満州から撤退すべきだという声明を出した。そのときに日本がどう対応したか。こんなばかばかしい会議に加わっていられるかと言って退席して、そして国際連盟からもう脱会してしまったと。それがきっかけのようになって国際連盟は以後無力化して、それが第二次大戦の一つのきっかけにもなった、こう評価してもいいと思うんです。  そして、第二次大戦が始まりまして、その結果どうなったかというと、日本じゅうは丸焼けになりましてもう大変な物的損害、人的損害をこうむる。世界じゅうで死んだ者が三千万人もいたんですよ、第二次大戦では。そのときに乗り出してきたのがまたアメリカ。もうこんなことは本当にやめにしようと。確かに国際連盟というのは余り力がなかった、ちょっと揺すったらつぶれてしまったと。今度はもっとしっかりしたものをつくって、あらゆる問題をそこに持ち込んで、そして友好裏に平和裏に解決していこう、こうアメリカが言ってつくったのが国際連合なんですね。  ところが、その後、国際連合の顔が余りにも見えてこない。朝鮮動乱、ベトナム戦争、それから湾岸戦争、これ、当事者の一方がアメリカだということもありまして、国際連合はアメリカの顔をうかがってなかなかいい提案をしてこない。何かどうでもいいような決議をするだけでおしまいにしてしまっている。  国際連合が本当にもうぴしっとしてほしいと思うわけです。今までは今までとして、今や二十一世紀、新しい時代が始まったと、そういうときですから、こういうときこそ国際連合が立ち上がって、中に調査会でもつくって、何か一片の決議案をつくるなんということじゃなしに、国際連合がみずから調査会をつくって、被害者であるアメリカ、これは当事者の一方ですから、これが証拠がある、証拠があるとわめいておりまするから、どんな証拠があるのか少し我々に示してほしいと。  国際連合も、法律の専門家を入れて、私も要請があれば入ってもいいと思うんですけれども、調査をして、そしてなるほどそれならラディンが、あれが犯人かもしらぬ、嫌疑は濃厚と、そう言ったら調査団をアフガニスタンに派遣する、あるいは国連の場に呼び出してもいい、そういうことで調べて、それから先はどうしようかと、裁判にかける。アメリカに引き渡したら、裁判なんか省略して、もうすぐ首つりになるのではないかと、こういうふうに考える人もいるかもしれません、西部劇時代はそうでしたからね。そこで、国際連合がみずから裁判所をつくって、司法裁判所、今、形はありますけれども余り動いていない、そこで裁判をする。それならばわかったと世界の人たちもアメリカもそう言うかもしれません。  こういうことについて総理はどうお考えか。今までブッシュ大統領ともう何回も会談している。当然、私が今思いつきみたいにして言っていることを総理の口からブッシュさんに伝えられて、ブッシュさんも、ううん、そう言われればそうだと、少し友好的な解決方法はないものか、国連中心主義、国際協調主義でこの問題を解決できないのか、二十一世紀の幕あけだと、多分そうおっしゃったんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。
  145. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ウサマ・ビンラーディンについては、既に国連安保理でも身柄引き渡しを要求しておりますが、出てきておりません。今回のアフガンに対しましても、タリバン政権はその身柄引き渡し要求に応じておりません。  そういう状況の中で、今までの過去の事件とのかかわり方、そしてあの組織的なテロ状況、いろいろ日本としてもアメリカの情報を伺い、そして国際社会一緒に立ち向かって、もうこれ以上の証拠は必要ないという中で、日本としても総合的に判断して、ウサマ・ビンラーディンが深く今回の米国同時多発テロに関与しているだろうということで今、世界が立ち上がっているわけでありまして、なかなか、今のような佐藤議員お話も一つの考えだと思いますが、その話が通じる相手でないところがますますこの問題を複雑にしているのではないかと思います。
  146. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 どうも申しわけありませんけれども、私の話を余り聞いておられなかったように思います。  アメリカが被害者の立場で出てこいと言ったって、そんなところに行く人はいないでしょう。行けばすぐ死刑になるか、ろくな裁判も受けずして直ちに処刑されてしまう。ですからこそ、第三国的な立場にある国連が呼びかけをする、国連が乗り込んでいって本人の弁明を聞く、そういうことが大事なわけで、けんかの場合に、お互い同士がわあわあ殴り合っておって、おれのうちに謝りに来いとか言ったって、だれがそんなところに行くものですか。そういうものなんですよ。  どうして国連の顔が見えないのか不思議としか言いようがない。国連自体がこういう問題を解決しよう、二十一世紀の手がかりにしようと、そういう気にならないのか。日本の国連大使はどういう人なのか、日本人の余り名前知らない人が多いんじゃないですか。私も知りませんよ。こういうときこそ彼が飛び回って、国連の中を説得して、方向づけをしていくと。何かパーティーで忙しいのかな。本当に新聞に名前の出ることもありませんよ。何をやっているんだろうか、この非常時に、と思わざるを得ないわけです。  それから、どんな場合でも証拠というのは大切なものでありまして、どうもあいつが犯人だと、オウム事件が起きたときに、オウムが犯人に間違いないと日本人全部がそう思ったわけですけれども、警察は慎重に慎重に数カ月かけてようやく麻原までたどり着いて裁判にかけることができたと。そう簡単に証拠なんというのは集まるものではない、実行犯はみんな死んでいるわけですから。実行犯がだれの指令で動いたかと一歩一歩証拠を積み重ねていく、それが警察の仕事であり、検事の仕事でもあるわけですけれども。  もう犯人だ犯人だとアメリカはそればっかり言っている。事件が起きてから二日後に国務長官があれが犯人だと。二日で犯人と。もう神様だってわからないと思いますよ。ブッシュ大統領は、一週間後にあいつが犯人だ、かくまうやつも同罪だと。こんな法律家が腹を抱えて笑い出すようなことを一国の大統領が平気で口にしているわけです。  私、一番疑問なのはタリバンに関する証拠が一切ない。今、ブッシュ大統領がかくまうやつも同罪だと。そこで空爆が始まって、タリバン、アフガニスタンじゅうを爆撃している、そういうことなんですよ。あれは証拠を見せていないでしょう。かくまっているから同罪だ、殺人犯をかくまったら、おまえも殺人犯だと。こんな法律を持っているのはアメリカだけかと言いたくなるわけですよ。世界じゅうの法律家が本当笑い出しますよ。そういうときにも、アメリカの法律家が百万人もいるわけですから、だれかがブッシュさんにちょっとおかしいですよと言う法律家がいてもいいと思うんです。穏やかに話し合いの精神で物を持ちかけていく。いずれにしろ、証拠を示してやることが大事だと。アメリカが一方的に犯人犯人と言ったって犯人かどうかわからないんですから、すべて裁判で決まることで。  私、大変評価できるという、十日ぐらい前の新聞を読んであっと思わず声が出た。あのタリバンが会見をして、証拠をアメリカが示してくれたら犯人を引き渡します、ただし第三国にと。これはしかし当然のことなんですよ。被害者に犯人を渡したらどういう裁判を受けるか、裁判なんか省略してもう撲殺してしまう、なぶり殺しに遭うかもしらぬ、そう考えるわけですよ、引き渡す方は。  そこで、第三国に引き渡しましょうと、これは当たり前の提案ですよ。第三国というのは、私、考えてみるに比較的中立の立場に立つイスラム国のエジプト、永世中立のスイス、あるいはこういう問題をかねてからよく扱っているベルギー、あのあたりを考えていいのではないか、そう思うんですけれども、ブッシュさんが何と言ったと思いますか。この犯罪者めが何を言うかと、一顧だにしない。そして、空爆を続けている。  なぜあのときにしっかりとタリバンの提案を受けとめて、じゃ、とりあえず話し合ってみようと言うのが普通だと思うし、もしアメリカが話し合うことに向こうが応じなければ、国連が乗り込んでいって、まずアメリカを呼び出して証拠を示してほしい、それならばタリバンに働きかけて第三国に引き渡させる。当たり前のことだと思う。だれだって、子供だってこのぐらいのことを考えますよ。考えないのはひとりアメリカ。こんなもの、犯罪者の言うことなんか聞けるかと。アメリカの悪口を言うわけじゃありませんけれども、この問題に関する限り、理性的な法律的な判断をしているのはタリバン側。ならず者国家はアメリカ。しかり、法律なんか無視してとにかく引き渡せと、これだけですからね。本当におかしいと思いませんか。  やっぱり世界の人たちが皆心配している。今話し合い中なんて言ってもだれも見えません、そんな話し合い中なんて。心配している世界の人たちに見えるようにきちっと話し合いを進めて、なるほどな、そこまで言ったのに応じない、それはもうアフガンが悪い、空襲もやむを得ない、そんなことになるのかもしれませんけれども、今まで、十日前のあの提案はもうぽいと捨ててしまって、あくまでも空爆を続けている。アフガンに対する証拠は一切標置しないんですよね。示さないんですよね。なに、かくまっているから同罪だと、こんなやくざ者の論理を掲げて空爆を続けている。    〔委員長退席、国土交通委員会理事藤井俊男君着席〕  私は本当におかしいと思う。日本の法律家も世界じゅうの法律家も、だれ一人こういう問題を取り上げて議論しようとしていない。おかしい。政治家もそうですけれどもね。アメリカは何しろ被害者で、六千人も殺された。日本人も二十人余り含まれている。もう悪いのはタリバンとビンラーディンだ、やつらをやっつけろと。  そして、もう何と何とタリバン後のアフガニスタンの政治まで考え出している。何を根拠にあんなことをやるんだ。アフガニスタンだって立派な、立派と言えるかどうかわかりませんけれども、一つの政府を持っている国家でありまするから、それを簡単に、こんなもの踏みつぶして新しい国をつくらせろと、さてだれがいいかと、北部連合とあとどこだと、こんなことを外部の者が考えること自身がおかしいと思いませんか。アフガニスタン人が真剣に考えてこうしようと、そこまで頭が回らないとすれば彼らの不徳のいたすところで、そういうふうに彼らが考えるようにしむけていくところが日本を初めとする文明国の役割だろうと私は思うわけでありますが、こんなことをだれも考えない。冷やかしばっかりしているんですけれどもね、その人だって何も考えていないことは確かだと思います。  どうでしょうか。私の今言ったことについて、総理大臣の御所見を承れればと思います。
  147. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、タリバンに対する態度は議員と私とは違います。既に、ウサマ・ビンラーディン、またそれを支援しているタリバン政権、今までの過去の行為から、各国との情報から、アメリカだけが確約しているわけじゃありません。ロシアもフランスもイギリスも各国ももう十分な証拠を得ていると。私も今までいろいろな情報交換の上で、これはウサマ・ビンラーディン、またそれを支援しているタリバン政権、このテロ行為に深く関与しているという状況だと認識しております。  なおかつ、アフガン後の私は復興戦略というのは、別に今から考えて悪いこととは思っておりません。アフガン国民を攻撃しているのではないと、テロリスト並びにテロリスト拠点を攻撃しているんだということでありますので、今からアフガン国民のための安定政権、一国だけで無理ならば各国が協調してよりよい国に再建してもらおうということを考えるのは私は悪いことではないと思っております。
  148. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 お言葉を返すようで申しわけございませんけれども、証拠は多分にあるということをおっしゃいました。衆議院の特別委員会で証拠の説明をしておられましたね。    〔委員長代理藤井俊男君退席、委員長着席〕  私はあれを聞いておりまして、これはもう情況証拠の段階までも至っていない、単なる推測を述べているだけだと、こういうふうに思いました。あんなので起訴したらどこの国の裁判所だって無罪を言い渡しますよ、具体的な証拠というのは何一つないんですからね。  しかも、今タリバンの証拠もあると言いましたけれども、タリバンに関する限りは犯人をかくまっているらしいというだけであって、いかなる証拠も、あのビルの破壊にタリバンがかかわったのかどうなのか何の証拠も我々に示されていないでしょう、世界の人民に対してね。ないんですよ、これ、恐らく。  あのオウム事件のときもそうですけれども、何カ月もかけてようやくたどり着いた、本当に一歩一歩ああいう証拠は積み上げていくわけですよ。思いつきでオウムが犯人に違げえねえ、捕まえてこいと、日本の警察いかにいいかげんであってもそんなことは決してやりませんよ。やっぱり一歩一歩踏み固めて主犯に迫っていく、それがどこの国でもやっていることなんです。  アメリカが大体、こういうことをルールづけたのはアメリカですからね、証拠、裁判、拘束ということを言い出しましてね。そのアメリカが、自分が被害者ということになりましたらもう血相を変えてあいつが犯人だ、すぐ捕まえてこいと、そればっかり言っているじゃないですか。かくまっているやつも悪い、うちに火つけてやれと。それと同じことですよ。やくざの論理です、これは。  余りこんなことを言うとアメリカから爆撃されてもかなわぬですけれども、しかし、やっぱり大事なことは言ってやる必要がありまして、言えばアメリカ人というのは極めて合理主義精神に富んでおりますからわかるわけです。だれも言わない、アメリカさん大変でしたな、アフガンけしからぬ、もうどんどんやってくださいよというふうに同盟国と称する人たちが皆そう言ってもみ手をしている。こういうことなんですね、今の現状は。  どうでしょうか、小泉さん、一国の指導者、もう最近あらわれた政治家として大変珍しい、国民もそこに引かれて拍手喝采、万歳万歳をやっている。どうかひとつ歴史に残るような提案をされて、アメリカを導いていくという気持ちぐらいのことをやっていただいたらどうかと、こう思うんであります。今、二十一世紀の初頭で小泉さん大変恵まれた地位にいる。世紀の始まりの総理大臣はだれだと、事実上は小泉だと、もう百年後の歴史家ですよ。その小泉はどんなことを言った、その直後に、アフガン、テロが起きて、そのときにこういう、世界じゅうを飛び歩いて説得、勧誘をして、そして何とか平和的な解決の方向に導いていったと。その際に、小泉なる者はこういう名言、ああいう名言を吐いている、日本の政治の中にこういう卓越した、偉人と言ってもいい、そういう人がいたんだなと、百年後の歴史に残りますよ。児島惟謙の名前が今さん然と司法部内というよりも日本国内に輝いて残っていると同じことだと思うんですよ。  いかがでしょうか。歴史に残るような解決策、名言を残されるおつもりはあるのかどうか、こういうことであります。
  149. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国内の刑事裁判みたいな証拠は確かにないと思います。しかし、アメリカはこれは個別自衛権の発動だということで、国際社会がそれを支持し、なおかつ、過去、タンザニア、ケニアあるいはUSAの艦艇のコール事件等、数々のテロ事件を受けて、いろいろ苦労に苦労を重ねた。しかし、そこに今回、ニューヨーク、ワシントンという、堪忍袋の緒が切れるような、限界を超えたと、テロも。だからこそアメリカが立ち上がり、国際社会が立ち上がったんだと思います。  我々も、今のような形で、証拠がないからもっとゆっくりやれ、何もするなというような態度は、日本としては、また首相としてとり得ません。
  150. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 何か法治国家のリーダーにふさわしくないことを平気でおっしゃいますね。証拠なんか何だ、アメリカは困っている、やれやれと言っている、それに協力しているだけだと。これはまさしく、さっきから何度も言っているやくざの論理ですよ。やくざが証拠なんて考えることはありませんからね。やれやれと言うだけの話であります。やっぱりどんなにつらくても証拠というのを一歩一歩踏み固めて前進していく、これが法治国家というものでありまして、これがテロだろうが外国の勢力だろうが同じことです。悪いのはあいつらだ、証拠はこれだけある、だからやつらと、あいつらと交渉しようと。そうだそうだということで国民がついていく。  今、アメリカがやっているのは、何しろ事件が起きたらわずか二日後に、あいつの犯罪だと。ブッシュ大統領に至っては、もうかくまうやつだって同罪だと。こんなことを平気で言わせておいていいんだろうか。第一次大戦の終息の際に国際連盟をつくって、話し合いの場というのを設けるようにしたのはアメリカ。第二次大戦後、国際連合をつくって、この場で話し合っていこう、力の解決はもういいかげんにしようやと、こう言ったのもアメリカ。そのアメリカが、自分の顔を殴られたと思ったらもう血相を変えて飛び出していって、けしからぬけしからぬと、それだけじゃないですか。おかしいと思いませんか。  それから、これも法律家とすれば放置しておけない問題なんですけれども、オサマ・ビンラディン、あれの国籍は今アフガンなんですね。だれでもが、いやサウジアラビアだと思っておりまして、私調べましたら、九四年にサウジアラビアから除籍されまして、九八年にアフガンに入籍している。アフガン人なんですよ、あれは。これは外務省にも確かめて、間違いないことですからね。  それで、国際法の大原則と言ってもいいんですけれども、自国民は引き渡さない。外国が、おまえのところのあいつがうちの国に来てこんな悪いことをしていて、引き渡してくれと。これは、日本アメリカは特別ですけれども、ほかの国が言ってきたって引き渡さない。そんな国に渡したら、日ごろ保護している国民が本当に残虐な刑罰に遭うだろう。できたら証拠を見せてくれ、自国で裁判をすると。あるいは、非常に軽微な罪だったら、もうこんなことはいいじゃないかと。いずれにしろ、自国民は引き渡さないというのがもう何百年来の原則だと、こう言ってもいい。それが、平気な顔をしてアフガニスタンにあいつを引き渡せと。アフガニスタンに、こんなことは知っているはずですから、そう言っているわけですよ。おかしいと思いませんか。  それで、日本はかつて生麦事件というのがありまして、薩摩の大名行列を横切ったイギリス人をお供の侍が一刀のもとに無礼者と言って切り捨てた。イギリスはもう本当に烈火のごとく怒って、東洋の野蛮国は何たることをやるんだ、行列をちょっと乱したぐらいでその場で殺してしまう、許しがたいことだ、すぐ犯人を引き渡せと、こういうことになったわけです。薩摩に法律を知っている人がいたんですね。薩摩藩士を引き渡すことはできない、その処分はこちらで考えると。イギリスは、何を生意気なことを言うか、薩摩なんかに法律があるわけがないと言って、軍艦、大艦隊を派遣して鹿児島城下を焼き払ってしまった、それでも薩摩藩は引き渡さなかったと。そして結論はどうなったかというと、イギリスがまず、東洋の地の果てにこんな立派な人たちがいたのかと、幕府なんというのはもうへいこらへいこらするだけですから、もういいかげんな、相手にもしない。ところが、自分の主張をきちっと貫く、城下町が丸焼けになっても犯人は引き渡すことができない、そういうきちっとした人たちがいたんだということで、イギリスは幕府と手を切って薩英同盟を結んで、これが維新の原動力になったわけですよ。  筋を通すということは、それだけアングロサクソンたちは評価するわけですよ。なるほど、小泉総理なる者はきちっとしたことを言っている、そのとおりだと、我々ももっと考え直そうかというぐらいの気持ちをいつも持っているんです、あの民族というのは。少々の悪口だって筋が通っておれば、ううんと言って考え込むのが彼らなんですよね。もうそういうふうに自国民は引き渡さないと。  あの第一次大戦だって、オーストリアは形だけ引き渡してくれと言った、もちろんセルビアが渡さないことは知っているんですけれども。セルビアは、いや、それは渡せません、国際法の大原則です、自国で裁判しますとはっきり言ったわけですよ。そして、オーストリアが生意気なと言って、当時ゲルマン民族から見たらスラブなんというのは本当の野蛮人ですからね、裁判ではろくなものをやっていないに違いないと、こう思って攻め込んでいったら、向こうも立ち上がって、しかし、第一次大戦のさなかにきちっと裁判しているんですよ、セルビアは。そうして、テロリスト八名中三名を死刑にしているんですよ。自国民ではあるけれども、あんな悪いことをしたやつは生かしておけないと。残りの者は無期懲役。  ゲルマン民族が野蛮国、野蛮国と言って軽蔑してきたスラブ族、それだけのことをあの当時やっていたわけでありますし、生麦事件の際も、薩摩藩は最後にあの下手人である侍に切腹をさせたわけです、武士の誇りを一応維持させまして。それだけ、野蛮国、野蛮国と言われて軽蔑されている人たちだって、物事を考えて対応をしてくる、これが人類の長い間の知恵が築き上げてきたことでありまして。  ですから、アフガニスタンに対して引き渡せと言っても、自国民ですから引き渡せません。アメリカに引き渡したら、多分アメリカ人は今頭に血が上っていますから、すぐ死刑にしろぐらいのことを言い出すでしょう。そういう国には渡せません。しかし、自分の国に裁判制度、私もよくわかりませんけれども、多分ないんでしょう、法律云々、そういうものはないんでしょう。そこで百歩譲って、第三国に引き渡しましょうと。  なぜそれをアメリカは受け入れないのか。あんな野蛮国の言うことを聞いていられるかと、自分がどれほど文明国だと思っているのか、本当におかしいと思いますよ。なぜ、十歩、二十歩、いや百歩も下がって、そうか、じゃ一応話だけは聞いてみようとか、あるいは国連にお願いして国連に聞いてもらおうとか、裁判をするにしてもどの国がいいのか、そういうことを真剣に議論するのが、私、文明国の責務だと思うんですけれども、どこの国のどのリーダーもこんなことを言っていないでしょう。アメリカの言うことはもっともと、もっともっとがんがんやれ、そしてタリバン後を考えろ、その方が手っ取り早いや、あんな野蛮人どもはもう抹殺してやれと、こんなふうに首相も思っているんじゃないですか、本当のことは。そう言いたくもなるわけです。  私、言っていることはごくごく当たり前のことで、ちょっとした法律家に聞けば皆このことを言います。引き渡し、それは無理です、絶対渡すことがありません。じゃどうするか、あの国に裁判やらせるのかと。いや、やっぱり第三国でも選んで、そこに送らせてそこで裁判をする、きちっと弁護人もつけて本当に正式な手続で裁判をやる。私、頼まれればまた弁護人をやってもいいんですよ、私も忙しくないものですからね。  いずれにしろ、近代法治主義というのはそういうことなんですよ。そういうことを築き上げてきたのがアメリカであり、イギリスであり、ドイツである先進諸国。その先進諸国が今束になって、アフガンけしからぬ、やっつけろやっつけろ、あんなやつは皆抹殺してやれと、こう言っているわけでしょう。人民に危害は加えていないと言ったって、随分何か人民に被害が出ているじゃありませんか。それは当然でしょう。あれだけの空爆をやれば、その被害が周辺にいる人民にも及ぶ。  一人の命は全地球よりも重いと、こう言われております。なに周辺にいたアフガン人の一人、二人何でもないやというのが我々の感覚なんでありまして、大変私、納得できない。いかがでしょうか。──私、こっちの方に聞いているんだよ。
  151. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ちょっと事実関係のこともありますので私から。じゃ、後、総理答弁していただくといたしまして。  まず、先ほど来お聞きしておりまして、国連がいきなり決議出して、そして米国その他の国々がこの活動を始めたと、こういうようなことでありますが、実はもう九九年、九九年十月にタリバンに対して国連決議でもってビンラーディンを裁判にかけるために第三国に引き渡すことを要請しているんですね。
  152. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 そんなことは言わなくていいよ。
  153. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ええ。  それからもう一つ、タリバンに対して一三三三号、これは二〇〇〇年です、二〇〇〇年の十二月ですけれども、ビンラーディンの引き渡しを求めると、これは国連決議しているんですよね。  そういうことを前提にしまして、このウサマ・ビンラーディンの引き渡し、これは今申しましたように既にしているということでございます。しかし、それに対して何ら返答がないということですね。  それから、自国民を引き渡すことが当然かどうかということでありますけれども、これは基本的には各国の法制によるわけでございまして、国によって違うんですね。ですから、それはその慣行、国際慣行というものがございますから、それに従うということでございます。ただ、このアフガニスタンが国内法でどういう規定を持っているか、これは私どもは承知しておりません。いずれにしても、タリバンの方でどういうように対応をするかという問題だと思います。
  154. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 国連が余り実効の上がらない決議をいっぱいしているということを私申し上げておるでしょう。それを実効あらしめるために、今や二十一世紀、国連みずからが乗り出して、アフガンに乗り込んでいくとか、いろんなやり方があるわけですからね、アメリカを呼んで証拠を聞いてそれを世界に知らせる、これだけの証拠があるのに引き渡してないんだとか。そういう具体的な態度で示すべき時期だということを言っているのであって、そんな決議がいっぱいあるなんというのは、そんなこと知っていると私言ったでしょう。  それから、自国民引き渡しは、国際法とは言えないまでも国際間の慣行だと、こう言ってもいいわけであって、各国によって法制が違うと。自国民を引き渡してもいいなんて、そんな法制をつくっている国はまずないと考えていいですよ。まあそれはそれとしていいですけれども。  総理、いかがでしょうか。もう少し真剣に日本国がこの問題に取り組んで、世界をリードするぐらいの働きをして、アメリカにも、ひょっとしたら考え違いもあなた方しているんじゃないですかと。もう少しこれは今の法制度に従って解決していく、相手の立場も尊重してやっていく、西部劇の時代じゃないんですよということをブッシュ大統領に本当に言ってほしい。ブッシュさん、どうも大変興奮して、テレビで見ておると血が何か頭に上っておるようなこともないわけではない。ああいうときにまあちょっとこらえてくださいと言うのもやはり小泉さんの役割ではないのかと、こう思います。いかがでしょうか。
  155. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回の九月十一日の事件だけじゃないんですよ。今、官房長官お話ありましたように、過去数年前からの具体的な事件でかかわりがあったからこそ国連の安保理決議でウサマ・ビンラーディンの身柄を要求しているんでしょう。全然応じないんですよ。応じないうちに今回のテロ行為がまた起こった。過去のいろいろな情報をもとに、今回、ウサマ・ビンラーディンがまたまたこの犯罪の陰にいる、あるいは実行犯の、直接実行犯ではありませんが、中心にいるということを今までの状況を絡めて判断し、国際社会もそれを認めているわけでありまして、これは法律家の立場からいえば佐藤議員の話もわかります。しかし、現在の状況を考えて、我々も、このまま話し合いに応じてくれ応じてくれということをやっていたならば、またテロを予告しているわけですから、今にまだやると言っているんですから、こういうテロリストに対して、実に難しいなと。  私も今度、ブッシュ大統領との会談で今回言いましたよ。人間には三種類の人間がいると。話せばわかる人、話してもわからない人、話さなくてもわかる人。私が一番好きなのは話さなくてもわかる人だけれども、政治家というのは話してもわからない人にどうやってわかってもらうか努力が必要、これが政治家の宿命なんだと。  今回、いわば話しても通じない相手のテロリストと戦うんだから、その困難は大変だなという話し合いをしましたよ。冷静に、忍耐強い、しかも多くの国際間の協調活動をもってこのテロとの戦いに対処しようという話し合いをブッシュ大統領としてきましたよ。  いろいろ考え方はわかりますが、今回のテロに対しましては、我々も国際協調の中で日本責任を果たしていきたいと思っております。
  156. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 またお言葉を返すようで恐縮ですけれども、確かに、話してもわからないやつに本当に時間をかけて懇切丁寧に話し合いを持っていくというのが、政治家の、特に一国のリーダーの私、責務だと、こう思います。話したってどうせわからぬから、もういいかげんにしようやと、そんな感じでしょう。  やっぱりいろんな方策を使って、裏から手を回してみたり、いろんなやり方をして彼らと話し合いの場を設けていく。いつかは心を開いてくることがある。日本でいっぱいこういう例を引き合いに出して、どれだけの苦労をしたのかと、そういうことがあるでしょう。もう少し真剣に……(発言する者あり)出てこなきゃこっちから行きゃいいんですからね、余り余計なやじ入れないでください。  それから次に、午後に回そうと、若干の時間があるので問題だけ提起しておきますけれどもアメリカが今回のテロ防止に本当に真剣に対処していたんだろうかと。私、本当にこれ疑問に思っているわけです。  自分たちがやることをやらないでおいて、いざテロが起きたら、同盟国アメリカ支援する義務がある、日本も手をこすり合わせながら何かをして御援助できることはありませんでしょうかと。アメリカが本当にテロ防止に真剣に取り組んでいたとは、ゆめ思えないわけですよ。国内便、航空機の国内便、あれはほとんど検査なしに通していたと、だからナイフを持ち込むやつもいる、爆弾を持ち込むやつもいる、そういうことになったんですね。  もうかねがねテロリストがいるとFBI、CIAが警告しているでしょう、ことしの六月も。フロリダ半島のマイアミにタリバンの手下が、ビンラーディンか、の手下が二十七名、何か知らないが数まではっきり言っているんですね、二十七名も集まってよからぬ企てをしていると。警告まで発している、自国にもいると。それじゃ、何の防護策も講じない、一体何だろうかと。そして、日本と韓国には、おたくにある米軍基地がテロリストにねらわれている、アラブのテロが何をするかもわからぬから厳重に警戒されたいと。直前ですよ、これ送ってきたの。それなら、まずもって自国は大丈夫かと考えるのが当たり前でしょう。それを一切やっていない。やっていないから、ああいう事件が起きたわけですよ。しようがないことだと、こう言うつもりなんでしょうかね。  飛行機をハイジャックして突入する、自爆テロをやる。これは、アメリカのベストセラー作家のトム・クランシーですか、彼が「合衆国崩壊」の中ではっきり書いているんです。航空機をハイジャックして議事堂に突入したんですね、自爆テロ。そして、その場にいた大統領以下数百名の合衆国の要人中の要人を皆殺しにしちゃった、そういうことをおもしろおかしく書いておると。これ、ベストセラーになった、アメリカで。アメリカ人のしかるべき人は皆読んでいるはずです。  ああ、我が方は、アラブのテロにハイジャックされてこういうことになったら、一体、しかもあの貿易センタービルは前にもねらわれているわけですから、あそこに飛行機が突入したら、自爆テロ起きたらどうなるのかと。これはもう今までのようなやり方ではだめだ、考えようと。検査も厳重にする、それからガードマン、警備員も乗せるとか、そういうことをやるのは当然といえば当然でありましょう。それを何もやっていない。(発言する者あり)そんなことは言わなくても、言うことは言いますから、黙っていなさいよ。  いずれにいたしましても、本人たちがやることをやらないで、事故が起きたら、さあ何とかしてくれと言われたって、おいそれと、大変でしたねと言うぐらいが関の山でしょう。アメリカがどんなガードをしていたのか、それは総理、やっぱりブッシュ大統領と会った際に尋ねておられるでしょう。申しわけないけれども、本当に完璧な防御体制をしいていたが、しかしどうしようもないことでやられたんでしょうねと。そうだそうだと言うに違いありません。うちは本当に不手際だったと、そんなことを大統領が認めるわけにいきませんけれども、それにしても聞いてみる価値はあるでしょう。なぜこんな大事なことをお聞きにならないんですか。聞いたんですか、それとも。いかがでしょうか。
  157. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) テロの準備をしていない方が悪くて、テロがいいというみたいな話に伺えますが、どんな厳重にしたって、こんなことはだれも私は想像できなかったと思いますよ。いかに厳重にしようと、民間機を乗っ取って、しかも関係ない人を殺しても構わないというテロリストのあの組織的な訓練と背後、そういうときにあれだけの犠牲者が出ているのに、おまえたち準備が不足だったんだから、おまえが悪いんだと。とんでもないことですよ、そんなことを聞くのは。私は驚いたね、それは。  そして、情報には限度がありますよ。だれも想像できたらテロなんか起こりませんよ、今まで。テロがあるのを予想していかに準備している、最もテロに対して警戒しているのはアメリカですよ。しかしながら、ワールドセンターだって過去爆破事件があった。今回確かにホワイトハウスをねらったんだろうけれども、間違ってペンタゴンへ行ったんだろうと思いますけれども、そういう小説で起こるであろうというのが現実に起こるだろうと思った人は私は一人もいなかったと思いますよ。それを準備していなかったからいけないと、そういう非難をする前に、テロをどうやって撲滅するかと考えるのが私は当たり前の普通の感覚だと思いますよ。
  158. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ─────・─────    午後一時開会    〔国土交通委員長北澤俊美委員長席に着く〕
  159. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ただいまから外交防衛委員会国土交通委員会内閣委員会連合審査会を再開いたします。  休憩前に引き続き、三案について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  160. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 それでは、午前に引き続きましてお尋ねをいたしたいと思います。  午前の最後の質問、アメリカは一体ハイジャック防止にどれだけの努力をしたのか、何もしていないのではないかということを申し上げましたが、それと並びまして、アメリカの情報機関は一体何をしていたのかと。これもやっぱり大事な問題だと思います。  御承知と思いますけれどもアメリカには世界に名立たるような情報機関が四つもある、CIA、FBI、その他。これの情報員が何と何と十二万人いる、そういうことなんです。使っている予算は三兆円、もう世界じゅうのあらゆる情報がアメリカに集まって当然なことであります。  今、一番神経を注いできたのは、やっぱりアフガニスタンのビンラーディンの問題だろうと思います。あそこに、もう六月にもああいう警告を発している。何しろフロリダのマイアミにはテロリストが二十七名も集結していると、こうなりましたら、情報員のやるべきことはもう決まっているわけで、もうぴったりとマークしてすべてを把握する、当たり前のことです。  アメリカの情報局というのは、冷戦時代には大変いろんなことをやっておって、それなりの成果を上げていた。私もある情報局にちょっといたことがありまして、彼らが本当に仕事熱心と、どうやってそんな情報を集めてくるのだと質問したら、いや、やっぱりスパイです、スパイを組織に潜り込ませる、あるいは組織のなるべく地位の高い者を買収して情報を提供させる、そういうことで苦心惨たんして情報を集めておりますと。  今、アメリカの情報局のやることは、ビンラーディン一味を一体、あれに限ると言ってもいいぐらいでありまして、それの情報、あれだけのことを集めたが、その後何もしていない、こんなことが許されるんだろうかと。もうハイジャック・テロのことは一切考えていなかったと、とぼけたことを言いなさんなと言いたくなるくらいでありまして、あの事件で犠牲になった人の遺族たちがアメリカ政府を相手に国家賠償訴訟を起こしたら、恐らく勝訴しますよ。私がまた弁護人を引き受けてもいいぐらいでありまして、当然のことであります。やるべきことをやっていない、それで死んじゃった、これでおしまいって、そうはいきません。そういうものなんです。  ですから、テロの肩を持つとか持たないとかいうことじゃなくて、やっぱり言うべきことは言う、そしてアメリカにも反省を求める、そして力を合わせて二十一世紀を築き上げていく、これに尽きるわけでありまして、どうか小泉総理、この次ブッシュ大統領に会いましたら、国内でこういう意見もあった、これを謙虚に重く受けとめて対策を十分に考えてほしいと、それぐらいの提言はしていただきたいと思いますけれども、いかがでありましょうか。
  161. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) アメリカ国内の情報管理なり情報収集なり諜報活動なりについて不備があったの、不十分じゃないかというようなことは、アメリカ国内で考えれば私はいいことだと思っております。日本政府としてその時点で何を話し合うべきかというのはその時点で私は判断いたします。  しかし、今回、何もしなかったからテロは起こったんじゃないかというよりも、そういう情報網をくぐり抜けてテロリストたちがあのような卑劣な攻撃を仕掛けた。私はどんなに準備しても準備し切れないものもあると思います。いかに情報活動を活発に展開しようが、お金をかけようが、それをかいくぐろうとする勢力もあるわけですから、そこは今回のテロを、私はもっとやるべきことはあったと思いますけれども、そのやるべきことが不十分だったからテロもやむを得ないじゃないかという態度はとりません。
  162. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 だれもテロがやむを得ないなんということは言っておりませんよ。  テロを厳しく処罰するのは当たり前でありますけれども、事前にそれを防ぐのもその国の責任なわけですから。日本だっていろんな情報を集めて犯罪を未然に防止している。どこの国だってそういうことをやっておる。あれだけの組織について、全くやっておりませんでした、ハイジャック・テロなんというのは予想外の出来事でしたと。十二万人の情報員がいて三兆円の予算を使って、そういう人たちの言うせりふなのか。これ、だれだって人間として、ちょっとブッシュさん、こういう疑問がありますよと。今、総理のせりふは向こうが言うことじゃないんですか。我々は一生懸命やっておりました、あなたはテロ支援するんですかと。そのときはあなたも、やっぱりそういうことではないんだ、お互い反省して進むべき道を決めていこうと。  これ、二十一世紀の後世に模範となる、教訓となるような事例でありまするから、本当に真剣にこのことは考えてもらいたいという気もいたします。何兆円という予算を使って自衛隊も出動してアメリカ支援する、それも大事なことです。しかし、やっぱり基本的にはアメリカに反省する点は反省してもらうということだって必要だと、こう思うわけであります。  それから、最後になりましたけれども、この事件が起きてアメリカのさる著名人がパールハーバーでアメリカ国民が受けたショック以来のショックを受けたということを言っておりまして、日本のこれまた著名な評論家もその言葉をちゃっかりと使用しましてそういうことを言って、アメリカ人のショックはよくわかると。これ、しかし、物の例えがおかしいんですよ。そんなことはないんですよ。パールハーバーというのは軍事施設ですからね。日本の海軍が民間施設をやったわけではない。巻き込まれて民間人に多少の犠牲は出ましたけれども、基本的には軍事施設を攻撃した。  当時、日米関係というのは極度に緊張しておって、いつ襲われるかもわからぬとお互いに緊張していて警戒を怠りなかった。それをかいくぐって日本海軍が襲った。これ、軍事施設ですから、当然反撃をして日本の戦闘機を皆たたき落としてもよかったわけです。あれはぼんやりしていたんですね。アメリカ人というのはそういうところがあるんですよ。そして、ぼんやりしていたのは、当時のルーズベルト大統領がわざとすきを見せて日本に襲わせてあれだけの被害を与えて、そしてアメリカ人の奮起を期待したんだということをもっともらしく言う人がいます。そんなことはないと思いますけれどもね。  もし例えて言うならば、第二次大戦で日本の広島、長崎に原爆が落とされて、戦闘員でない一般市民が二十何万人も殺害された、そのときに日本人が受けたショック以来のショックをアメリカ人が受けたと。ただ、犠牲者の数は全然違いますけれどもね。  そう言うならば、私もあえてこんなことを聞かないんですけれども、パールハーバーと今回のテロ事件とを同一に論ずるのは絶対にこれはおかしいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  163. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もちろん同一の事件ではありません。
  164. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 これで終わりますけれども、恐れ入りますけれども、もう少し心の込もったごあいさつをいただきたいと思います。
  165. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もちろん同一の次元で論じられるものではないと思います。だからこそ、アメリカのだれが言おうとも、ブッシュ大統領を初め、この事件に対してパールハーバーということは口にしていないはずであります。
  166. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 以上で終わります。失礼いたしました。(拍手)
  167. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 佐藤君にかわり、関連質疑を許します。榛葉賀津也君
  168. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。今国会で初めて国会議員にならせていただきまして、私は国会議員歴がただいま三カ月でございます。  本日、三名の先輩議員質疑を拝見させていただきまして、海野委員や木俣委員攻撃型、また佐藤委員の説得型など、さまざまな質疑のやり方があるものだなと勉強になりました。しかし、通じて思いましたのは、この国会の場で、そして委員会の場での言葉の力の重要性であります。そして、この言葉の力の重要性が今我が国が直面している一つの問題の大きな道しるべを示しているように私は思います。  本題に先立ちまして、総理にお伺いしたいと思います。  九月の十一日、アメリカ同時多発テロが発生をいたしました。ニューヨークの町やワシントンの町で逃げ惑う数千の人々の絵を見て大きなショックを受けました。無論、テロそのものもショックであったわけでございますけれども、その直後にアメリカのCNNで映された、パレスチナの子供たちがその崩れ落ちるニューヨークの町を見て喜び勇む映像が流れ、また違った意味で我々に大きなショックを与えました。しかし、後にこれが、この映像は一九九一年、あの湾岸戦争当時の画像であったことが判明をし、また違った意味で問題の根の深さ、そして報道を通じて大きな問題点を我々に投げかけてくれたと思います。どのような状態であれ、この事件が、アメリカだけでなく世界の子供たち、無論日本の子供たちに与えた大きな心理的影響は大きいと思います。  子供さんにまで人気のある小泉総理総理の母校であります横須賀市立山崎小学校は本年九十周年を迎えられるとお伺いいたしております。総理も恐らく小学生であったら、この事件を見て大きなショックを感じたであろうと私は思います。当時の山崎好次郎校長なら小泉少年にどのようにこの事件を諭してくれただろうか。日本の子供たちにその思いをお伝えいただきたいと思います。
  169. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 子供たちのみならず大人も、老いも若きも、男も女も、今回の事件に大きな衝撃を受けたと思います。このようなテロリズムをなくすためにどうしたらいいかということで今全世界が立ち上がっているわけでありますので、日本としてもこれは人ごとではない、二度と起こさせないようにお互いが協力して、このような卑劣な行為をなくさせるような、また根絶するような対応をとっていかなきゃならない、心からそう思っております。
  170. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、湾岸戦争を挟みまして三年間、中東のイスラエルで生活をしておりました。当時はインティファーダの真っただ中でございましたから、私自身も何回もテロに遭いました。友達も失いました。そして、我々がテロリストと呼ぶ者の中には女性も子供もおりました。そして、彼たちは自分自身をテロリストだとは思っていないということにある日気がつきました。  私なりに感じたことは、誤解を恐れずに言うならば、テロを起こす側にも起こされる側にも何らかの原因があり、理由があり、そして言い分があるということでございます。しかし、それ以上に大切なのは、総理が常々おっしゃっているように、テロには正当性がないということであります。そして、いかなる理由であれ、私たちの主義主張や思いというものをテロリズムという形で表現することは間違っているということであります。  テロをなくすには、今この委員会で論じられているように、緊急的な対策も必要でしょう。しかし、それと同時並行して、長期的な視野に立った根元的な問題解決が大きな重要な要素であると私は考えます。  その観点から総理にお伺いをします。総理にとってそもそもテロリズムとはどのような定義なのでしょうか。
  171. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) テロリズムということは許すことのできない卑劣な行為である。今回、APECの会合におきましても、いかなるテロも正当化する理由はない、だからこそ立ち向かっていかなきゃならない、毅然とした対応をとらなきゃならないという共通認識を持つことができたわけでありまして、一方にはそれなりの理由があるんじゃないかという方もいますが、今回のテロ行為を見ますと、このテロを撲滅するために、根絶するために、どうして、どのように立ち向かったらいいかというのが必要ではないかと。  また、定義の問題ですけれども、これは私の言葉から言えば許すことのできない卑劣な行為だと、そう言わざるを得ません。
  172. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 総理、今回の自衛隊法の改正案の重要さは私は一つここにあると思うんです。  今までこの国で、国会で一度もテロの定義について論じてまいりませんでした。ところが、今回、初めてその定義と思われるものが自衛隊法の第八十一条の二、緊急出動のところで、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で多数の人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊する行為」とあります。  私は、これはこの国において初めて法の立場でテロリズムが定義づけられたというふうに理解をいたしておりますけれども、それに相違ございませんか。
  173. 津野修

    政府特別補佐人(津野修君) この自衛隊法の八十一条の二で、先ほど先生が御指摘になりましたような内容でございますが、もう一度繰り返すのはちょっと差し控えますけれども、大体、テロリズムの概念として大体こういうようなことを考えて規定したものでございます。
  174. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。これは極めて国際的にも重要なことでございます。  総理にお伺いします。今の長官の御答弁をお受けして、今月十七日にイスラエルの観光大臣ゼービ氏が白昼ホテルで暗殺をされました。犯行声明はパレスチナ解放人民戦線、いわゆるPFLPが出しましたが、この殺害行為テロであったと御認識でしょうか。
  175. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは暗殺ですから、私はテロと言ってもいいんじゃないかなと思っております。
  176. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。私もそのように理解をいたしております。しかし、ほとんどのアラブの国々が、イスラム諸国がこれをテロとは認めてはおりません。ここに大変な難しさがあるわけでございます。  現在、国連において、国連総会の第六委員会のテロ作業部会が十五日、開幕をいたしました。まさに、この国連の委員会の場でテロとは何だという定義論争が紛糾をいたしております。それはなぜか。このテロという問題がその国や当事者によって大変その定義が異なるというわけであります。  例えば、パレスチナしかり、そして今回のアフガンの問題においても、ロシアや中国はみずからの国内問題として、みずからの国で起こっている少数民族の武力闘争をテロだと認識づけたい、そのために国連においてこのテロの定義もしっかりと論じようという力が働いているというふうに理解をいたしております。  私は、いたずらに定義論争をしているつもりはございません。我々は今アフガンと戦っているのではありません。我々は今国を挙げてテロと戦おうといたしております。そのテロとの戦いに挑んでいる以上、テロとは何かという認識をこの国としてしっかり持つことが私はこの戦いへの第一歩ではないかというふうに考えております。  先日、総理はAPECでさまざまな会談をされたと報道されました。このAPECでの席上でテロについて何が話し合われたでしょうか、また何らかの合意は得られたのでしょうか。
  177. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) テロの定義についていろんな意見が出ているのは承知しております。しかし、APECの会合においては、先ほど申し上げましたように、テロに対していかなる正当な理由もない、これに毅然と対決しなければならないということで共通認識が持てた会合でありました。
  178. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 非常にセンシティブな問題ですので、今の答弁で私は納得をいたしたいというふうに思います。  テロ特措法は、今まさに定義をされたこのテロというもの、今、総理がお答えになったこのテロというものを包括的にカバーをするものでなければならないと思います。そのテロをカバーしようというその視点が一つ一つのこの特措法の項目に反映されているのでしょうか。細かいところまで吟味する前に衆議院を通過してしまったこの法案、まさに拙速な議会審議を私は大変残念に思います。  そこで、テロ特措法について総理にお伺いをいたしたいと思います。  午前中から審議がございましたけれども、我々民主党は衆議院でこの法案に反対をいたしました。しかし、我々は反対のための反対を決してしているわけではございません。緊急性も理解をいたします。そして、この法の大切さも理解をいたします。しかし、我々は、やはり事前承認というものをしっかりと確保をしなければ国の代表としてこの法案を通すわけにはいかない、その思いから反対をいたしました。  あえてもう一度、総理にお伺いをいたします。それでも事前承認は必要ないと総理はお考えでしょうか。
  179. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、本来、政府責任を持って大枠を、この法案で審議終わって、その決められた大枠の中で基本計画を立てるわけでありますので、その大枠が決まっている限り、政府を、行政権的な裁量権もある程度認められていいのではないかということで、今でも事前承認は必要ないのではないかと思っております。
  180. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 大変残念ですけれども総理はずっと敏速な対応をしなければいけない、機動性を大切にしなければいけない、そして一刻も早くこの法案を成立させなければいけないということをおっしゃってまいりました。一刻も早くこの法案を通し、一刻も早く基本法案をまとめ、一刻も早く自衛隊を派遣したいという意思をきょうの午前中もお述べになっておられましたけれども、であるならば、当然基本計画策定に対してある程度の骨組みができているのかと思えば、今の段階では何も答えることはできない、地域活動もその場になってみなければわからない、内容も言うことはできない、幾らかかるのかもお答えすることができないということであります。  これだけ未確定要素が多い中で、私はあえて国会承認が要らないと言う総理の御見識に疑問を持たざるを得ません。このことは世論がよく承知をいたしているところであるというふうに思います。  確かに、テロ特措法は賛成が五七%、反対が三七%と、このテロ特措法そのものについては国民の皆様の御認識があるというふうに理解をいたしておりますけれども、それでは事前承認が必要か必要ではないかという問題に対しては、六〇%の国民が事前承認をするべきだと、まさに事前承認は要らないという三一%の倍、およそ倍上回っているということでございます。  総理政府の裁量でとか閣議で決定するというふうにおっしゃっておりますけれども、世論に大変敏感な小泉さん、この数字を見てもまだ事前承認は必要ないとお考えでしょうか。
  181. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 多数の国民は新法が必要だということで賛同を示していただいているわけですが、そういう意見も聞いて政府・与党は事後承認を修正案の中に入れたわけであります。私はこういう形で大方の理解を得られるのではないかと思っております。
  182. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 その事後承認なんですけれども、その前に、衆議院を通って参議院に参りましたから、国民の方は、さぞかし随分議論がこの国会の場で、もしくは特別委員会の場でされたんだろうというふうに思っていらっしゃると思いますけれども、実質衆議院は五日間しか審議していないんですよ。この大変重要な法案を五日しか審議をしていない、まさにもう少し慎重審議が必要なのではないか。  そして、今、総理のおっしゃった事後承認の件でございますけれども、この二十日という根拠はどこから出たのでしょうか。
  183. 北澤俊美

  184. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 違う……。
  185. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  186. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こしてください。  答弁者はだれがいいんですか。
  187. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 どなたでも結構です。
  188. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 手を挙げて。だれだよ、わからぬ。待ってよ、指名されないうちに来るなよ。衆議院議員上田勇君。
  189. 上田勇

    衆議院議員(上田勇君) 修正案にかかわる部分でございますので私の方から御提案をいたしますが、修正案では、この二十日間以内というふうに決めたのは、自衛隊の部隊等の対応が、自衛隊法に定めます治安出動のときの承認が開始後二十日以内というふうに定めておりますので、それに準じた形で協議の上決めさせていただきました。  以上です。
  190. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 通告をせずに今聞いたことは申しわけなく思っていますけれども、午前中でこの問題が議論になりましたので、大変重要な問題ですから今お伺いしたわけであります。  しかし、極めてこの大事な問題を官房長官が前に出られてわからなくて下がる、そして今提案者といって説明に来る、そしてそれが極めて、国の代表される方がよくわかっていないということは極めて問題であるというふうに思います。  二十日間では世の中は大分変わると思います。二十日前のこの状況を考えてみますと、空爆は起こっていませんでした。そして、アフガンの状況も大分今とは違う状況でした。そして、日本が自衛隊の派遣機を決めようとしていたのがちょうど二十日前でございます。まさに二十日では後の祭りとなりかねないということであります。  さて、次に自衛隊法の改正案についてお伺いいたします。  民主党といたしましてはこの法案には衆議院で賛成をいたしましたが、細かい点に疑問が残りますので、これに対する政府の御回答をちょうだいしたいというふうに思います。  自衛隊法の改正につきましては、秘密保全の強化、そして不審船、武装工作員関連で以前から検討がされていたと以前長官からの説明で理解をいたしております。しかし、そこに九月十一日のテロが起こり、警備出動を加えることになりました。それに相違ありませんね。
  191. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 御指摘のように、三項目ございます。そのような発言の内容で改正を提案したわけでございます。
  192. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、この件についてテロとの関連性も否定はしませんし、この改正案を審議することは極めて重要であるというふうに思います。  しかし、長官、この法律は恒久法ですから、私はある意味ではテロ特措法以上に神経を使わなければならない法案であるというふうに思います。また、国民の皆様が大変敏感になる要素をはらんでいる法律でもあり、私はテロ特措法としっかりと分けて審議をしてもよかったのではないかと思いますけれども、どうして今この問題を審議しなければならないのでしょうか。
  193. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 榛葉君に申し上げます。  答弁者を特定していただいて、特定できない場合もありますけれども、なるべくそうしてください。
  194. 榛葉賀津也

  195. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) この国会での御審議のやり方につきましては議会運営委員会とか国対委員会でお決めになられることでありまして、我々は国会に対して自衛隊法改正案を提出した立場でございますので、国会での御判断だというふうに思っております。
  196. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 これは、先ほど最初の質問に委員長がお答えになったとおり、今回の九月十一日のテロと大変深い関係が特に警護出動に対してはあるというふうに理解をいたしております。  しかし、このテロ特措法は時限立法ですから、テロが終わり、終わるかどうかわかりませんけれども、一応我々の国としてこの問題が解決したとなればこの法案はなくなるわけでございます。しかし、この警護出動に関する自衛隊法の改正の部分については恒久的に残る。すなわち、米軍が米軍基地に帰ってきても我が国の自衛隊は法律上それを守り続けなければならないというふうにもとれるわけでございますけれども、私は、自衛隊法改正案のこの部分についても、テロ特措法との関連性を持たせるのであるならば、時限立法等の措置が必要かと思いますけれども長官のお考えをお伺いしたいと思います。
  197. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 法案を提出した立場でございますけれども、今回のテロ事件が起こりまして、やはりテロリスト攻撃等にかんがみまして、我が国におけるテロ攻撃への備えに万全を期すという意味では早期に成立をさせていただきたいし、この委員会で御審議をいただいたことにつきましてうれしく思っておりますけれども、御指摘の法律の提案理由で、そもそも自衛隊の施設等につきましては自衛隊法においてもこれを警備するという根拠がございませんでした。  いわゆる隊法九十五条等の武器防護の規定で平時において自衛隊の基地・施設等は警護等を実施しておりましたけれども、やはり根幹である自衛隊自身の警備をできるというのは当然のことでもありますし、米軍の警備につきましては、これは今回法律に書かれておりますけれども、米側からの要請と警察との協議及び総理大臣の承認においてやることになっておりまして、いつもやっているわけではなくて、緊急を要する事態、治安出動に至る前の緊急事態において適用するものでございまして、そういう観点から今回自衛隊法の改正の中に盛り込んでおりますので、その点をぜひ御理解いただいて御審議をいただきたいというふうに思っております。
  198. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 警護出動の関連についてもう一点お伺いをしたいと思います。  将来的にこの警護出動のいわゆる守備範囲が広がる可能性があるのでしょうか、防衛庁長官
  199. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現在、改正法案に定めておる範囲は自衛隊施設及び米軍の施設でございます。  現時点におきまして、今審議をしている状況でございますので、将来どうするかという点につきましてはお話はできる状況ではありません。現在出した案が最良であるという観点で提出をいたしております。
  200. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、広げる可能性もあるということですね。
  201. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 現在、この法案を御審議いただいている段階でございますので、将来の見直し等につきまして言及するということにつきましては困難であるというふうに思っております。
  202. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 自民党の町村幹事長代理が、今月の十二日ですか、近い将来法改正をして自衛隊が国内の重要施設を守れるようにした方がいいと述べ、来年の次期通常国会で再改正すべきだとの考えを示したという報道がされているんです。こういった問題について極めて国民は敏感に反応します。  今確かに審議をされている法案でございますけれども、与党といたしましても、この辺のコンセンサスをとる、もしくは、しっかりと国民に不安を与えない、そのような思いが大事かと思いますけれども総理、どうでしょうか。
  203. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 確かに、自衛隊の警護活動、もっと範囲を広げろという意見は自民党内にも野党内にもありました。そういう中で、一番今の時点が理解を得られる範囲ではないかということで決めたわけでありまして、将来は将来の時点として、またもっと広げた方がいいという意見があれば、よく聞いて判断すべき問題だと思います。
  204. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 次に、秘密保持についてお伺いをしたいと思います。  今回は極めて秘密保持の問題は重要な問題であることは異論はございませんけれども、何が秘密であるかも秘密であるという性質を持っている以上、これはやはり慎重に審議をする必要がある。そして、それをチェックする第三の機構がないわけですから、これをしっかりと審議する必要があるというふうに思います。  秘密の判断基準についてはまさに長官がなさるということでございますけれども、日米安保関連の情報でも、アメリカの情報公開法の手続等でアメリカでは公開されるけれども日本では秘密になるということがあるのか。また、他国では何が秘密で何が秘密でないかということを明確にしている国が大変多うございます。  この点の問題について、ぜひわかりやすく、法律用語ではなくて、国民の皆さんにわかるように御説明をいただきたいと思います。
  205. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 国にとってやはり防衛をする上において知られてはまずいことがあります。例えば、暗号とか将来の自衛隊の活動の計画とか、そういう面で防衛秘密というものは必要だと思っておりますけれども、今、現状はこういう規定がなくて、一般の国家公務員の守秘義務ということで懲役一年の罰則規定があるにすぎません。ところが、昨年、防衛庁の中で秘密漏えい事件が発生をいたしまして、第三国の駐在武官に我が国のそういう情報が流れました。  そういう点を勘案すると同時に、冷戦が来たということで非常に気分的に緩みが来ておりますし、また米国等からもそんな日本に対して大事なことは教えることはできないというようなことになりますと、非常に日米安保体制においても問題ができるというようなことで、今回「防衛秘密」という項目を設けて、それに対する罰則規定を盛り込んだわけでありますが、じゃ、何が防衛秘密かということでございますが、これは法律の別表第四に十項目示しておりますけれども日本の防衛に関する必要な項目を挙げております。  これは現在においても実施をしておりますけれども、この中で、公になっていないということ、それから防衛上特に秘匿するものが必要であるもの、そして防衛庁長官が指定したもの、こういうものを防衛秘密といたしておりまして、この秘密の範囲を明確にいたしておりますし、実際には現行でも国家公務員の守秘義務に係っている秘密の中からのさらに厳選された防衛秘密の要件に当たるものでありまして、現在で、法律で罰せられる以上に秘密がふえるということではないという点をぜひ御理解をいただきたいというふうに思っております。
  206. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今、昨年のロシア大使駐在武官への秘密漏えい事件の話がございましたけれども、私は、この秘密保持を強化するために隊員の秘密保持を強化するという目的であるならば、法整備は無論ですけれども、それだけではなくて、やはり自衛隊員のモラルをしっかりと教育していく。ほとんどの方が一生懸命頑張っていらっしゃる方だとは思いますけれども、つい昨日も事件があり、報道されたばかりでございます。  このような自衛隊員のモラルの教育をどのようになさっているのか、またこの事件後どのように変わったのか、長官にお伺いしたいと思います。
  207. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 自衛官におきましては、やはり国を守るという使命に基づいた職業でございますので、非常に高い使命感と人間としての倫理観が必要であるというもとに、基本的には「自衛官の心がまえ」というものを制定いたしまして、日ごろから精神教育を行っております。  今回の秘密漏えいに関するその後の教育ということにつきましては、各自衛隊の教育機関、学校において保全教育を実施いたしておりますし、また職員の研修の場を通じて保全教育を実施いたしております。また、実際に職場において業務をする際に、上司からも部下からも、この秘密のものに対する取り扱いにつきましては厳に勤務中もそういうことに注意をしながらやっていく等の改善措置を講じて、中の服務課程におきましても秘密に対する教育等をさらに気をつけて行っていきたいというふうに思っております。
  208. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 最後にお伺いいたしたいと思います。  国民はいわゆる知る権利が侵害されるのではないかというふうに大変不安を感じていると思います。昨日も質疑がございましたけれども、もう一度、長官、秘密保持の正犯の対象はマスコミや一般国民には入らないのか、そしてマスコミの取材等に制約がかかることがないのか、テレビも入っておりますので、御答弁をお願いしたいと思います。
  209. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今回の罰則該当者は防衛秘密を取り扱うものを業とする者と定めておりまして、現にそれに従事する防衛庁の職員、また一般の公務員並びに例えば防衛上の秘密を取り扱う一般の人にしても、米国から来る兵器の秘密事項がないと仕事ができないような製造をする人、そういう人に限っております。この人を正犯といたしておりますが、さらに報道関係とか国会議員等につきましては現在においても教唆とかいうことで刑法上の罰則がかかっております。この教唆というのは贈賄とか脅迫といった不法な手段で秘密を知る行為でありまして、これは現在においても刑法で罰せられますけれども、今回は現在行っているもの以上に罰則を規定をするということは盛り込んでおりませんので、現状のままの状態でございます。今後の報道関係者の取材活動を制約したり、報道の自由を侵害するというような内容ではございません。
  210. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この問題につきましては、治安出動の点であるとか、さまざまなことをお伺いしたいわけでありますけれども、時間の関係で以上にしたいと思います。  ただ、私が中東で生活をいたしておりまして、軍の大切さというものを私自身、肌で感じているつもりでございます。私自身、パレスチナでテロに遭い、命を落としそうになったときも、私を助けてくれたのは軍でありました。しかし、それと同時に、その軍が力を、権力を持ち過ぎたときの悲劇もまた中東において私は学ばせていただきました。  やはり、この自衛隊法改正の問題しかり、そしてテロ特措法の問題しかり。私は、しっかり国会がこの問題に関与していく、特にテロ特措法については、そのためにも、シビリアンコントロールをきかせるためにも事前承認は絶対必要条件だということをあえて申し上げたいというふうに思います。  以上はテロについての極めて緊急的な立法措置、すなわち、今すぐどのようなことでテロと対峙していくのかという重要性でございました。しかし、それだけではテロ根絶にはつながりません。緊急的な対応と同時に根元的な対策を同時並行で進めていかなければいけない。それが私はいわゆる外交であるというふうに思います。  そこで、総理にお伺いをしたいと思います。  日本にとってこのテロとの戦いの出口はどこにあるのでしょうか。
  211. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) テロリストを根絶し、また拠点をいかに破壊し、支援する者をなくしても、またいつどこで似たような事件が起こってくるかわからない。実に厄介な困難な問題だと思っております。  過去、戦争をしちゃいけないと思いながら何回も戦争が起こってきたように、人間というのはなぜこのように戦い合うのかと不思議に思うくらいな動物でありますが、しかし今回、この米国同時多発テロに対しましては、どういう形で出口が来るのか不透明な部分があると思いますが、できるだけその根絶に向けての努力が今必要ではないかと。早くこの法律の時限立法二年以内に出口が見えればいいと思いますが、これにつきましては、どういう形で今の時点ではっきり出口が見えるかというのは断定しにくい。しかし、早くウサマ・ビンラーディン自身の身柄を引き渡し、アフガンに平和な安定な政権ができるということを一日も早く願いながらも、テロ根絶に向けての努力が必要ではないかなと思っております。
  212. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いや、総理、答えになっていないんです。出口が何かと聞いているのに、出口はわからない。では、わからないこの戦いに我々は挑もうとして、それに対しての事前承認も要らないということなんでしょうか。  今、総理がおっしゃいましたこのビンラーディンを捕獲して、そしてアフガンに平和が来れば、それで終わりじゃないかと。仮にビンラーディンを捕まえれば、それでこの戦いが終わりだというふうに思っていらっしゃるのでしょうか。
  213. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは必ずしもそうとは言えないと思います。現にビンラーディンはニューヨークにもワシントンにもいなかったんですから。それでもテロが起こったでしょう。テロリストが何十人世界に散らばっているかわかりません。そういう中での努力ですから、大変長期戦を覚悟している。短期に終わればいい。時限立法は二年です。二年でまだ終わっていなかったら、その状況を見て判断せざるを得ない、そう思います。
  214. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 極めて不確定要素の多い、そして出口のない戦いにこれから自衛隊を後方支援させようということだというふうに思います。  私は常に、日本にとって、そしてもしくはアメリカにとってでも最悪のシナリオを考えなければいけないというふうに考えております。それはなぜか。我々にとって最悪なシナリオがビンラーディンにとってはまさに一番望んでいるシナリオだからであります。地上戦に入り、アフガンに冬が来てなかなか戦いにくくなる。そして、ビンラーディンがどこにいるのかわからないまま第二、第三のテロが地球上で起こる。そして、仮にビンラーディンを捕まえても、それを釈放しろという第二、第三のテロが起こるかもしれない。仮にビンラーディンが死んでアメリカに行っても、まさに殉職者となって、ヒーローとなって、第二、第三のテロが起こるかもしれない。極めて総理がおっしゃるとおり難しい戦いを強いられているのであります。  では逆に、総理、我々にとって一番いいシナリオは、私は、ビンラーディン自身がタリバンによって糾弾をされ、内部からやはりビンラーディンはテロリストだと、イスラムの国々を、イスラム教を世界から誤解させたり文明対文明の戦いにしてはいけないという声をアラブの国々から、イスラム教の国々から上げさせる外交努力をすることが私は日本アメリカにとっての一番のシナリオ、一番最高のシナリオだと思いますけれども総理はどのようにお考えでしょうか。
  215. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いろんな努力が必要だと思います。いろんな努力をしてきても通じる相手ではなかったからこそ今回世界が立ち上がったわけでありまして、今言ったようなことは我々も望んでおります。望んでも実現しないところに困難があると。  しかし、出口の見えない戦いだからこのまま放置しておこうと思ったら、さらにテロを予告しているんですから。あくまでも我々の論理とは違って、さらにテロを予告している相手です。全然無関係の人を、無関係の飛行機を、民間機を自爆させて、何人ものテロリストに訓練させて、数千人以上の死者を出しても、後悔するどころかさらに新たなテロを予告しているテロリストを相手に我々も覚悟の上でこのテロ根絶のために戦いをしなければならない難しさはお互い理解できると思うのであります。
  216. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 まさに総理、そのとおりだと思うんです。だから、外交が大事なんです。平和外交に我々の国がどのように関与していくのか。そして、湾岸戦争のときもそうでしたけれども、戦争が起こって、さあどうするんだと、PKO法をどうするんだ、集団的自衛権どう解釈するんだ、自衛隊どうするんだと。戦争が起こってから、ショー・ザ・フラッグの話もありましたけれども、さまざまな議論が沸き起こる。  今回もそうです。テロが起こって、この短い間で、さあどうするんだ。湾岸戦争の轍を踏んじゃいかぬ、そして新法をつくらなきゃいかぬ、自衛隊法も改正しなきゃいかぬ。国民が心配をし、まさに国が一つにならなければならないこの法案で、与野党が割れ、極めて不本意な形で世界平和のために、この紛争解決のために我が国が関与をしなければいけない。  私は、まさにそのためにも予防外交をしっかりやっていく、外務大臣に率先して問題が起こる前の外交をどのようにやっていくのか、それをしっかりと私は論じていただきたいというふうに思います。どんなテロからも、どのような法案をつくろうとも、守れません。法案をかいくぐって、ルールをかいくぐって破滅行為を、破壊行為をするのがテロなんですから。まさに予防外交をこれからの日本外交の大きな柱に据えていただきたいというふうに思います。  そこで、先日、高村前外務大臣がサウジを回り、イランを回り、そしてアフガニスタンの平和復興会議構想までお示しになられました。私は党派を超えて高村前外務大臣の御努力には一定の評価を、敬意を表したいと、高村前外務大臣の御努力には一定の評価、敬意を表したいというふうに思います。  外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。先ほど木俣委員からも話がありましたが、こういった外交努力、まさに顔を見せる外交外務大臣のお仕事であるというふうに考えますが、大臣、どうなんでしょうか。
  217. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 予防外交の重要性は昨日の討論の中でも、そして衆議院の今までの討論の中でも出ておりまして、そしてあらゆる場面で、あらゆるステージで努力はされてきておりますけれども、冒頭から委員は、イスラエルにいらっしゃって、テロリズムとは何ぞやということからおっしゃったのは、私は非常に含蓄深いお話をたくさんなさるなと思って先ほど来伺っておりましたけれども。  このパレスチナに和平を持ってくる、要するに中東の和平プロセス、この重要性というものはもう十二分にわかっていますけれども、このことと今のテロというものはちょっと違うんですね。やはり今回のテロリズムというものに対して世界じゅうが一緒テロリズムをなくさなければいけない、そのスタンスがあります。そして、完全に離れてはいませんけれども、これがすべてこれに起因するものではなくて、中東和平は中東和平で同時並行として、同時並行で進めていかなきゃいけない。  私が着任して六カ月ですけれども、パレスチナのシャース長官でありますとかペレス外務大臣から何度も電話をいただいています。そして、現実には、本当はきのうのはずですね、シャース長官日本に来ることになっていました。そして、それは何かといいますと、日本からの意見ももちろん聞きたい、アドバイスも欲しいということですけれども、この間のキャンプ・デービッドでもって話があそこまで行ったことはフォローなさって御存じだと思いますけれども、今回、委員の質問の冒頭にありました観光大臣の暗殺もありますけれども、この前の段階で、もうつい最近、直近、この間私がシャースさんから電話をもらったころにはかなりもめていたんですよ。ペレスから電話が来、シャースが来、ペレスが来という状態で大変でした、両方から電話が来て。しかし、その後、ブッシュ政権が今回パレスチナ国家の創設を含む中東和平の包括案を作成していたと、(発言する者あり)いやいや、お答えしているんです、というところまで行っていて、かなりいい話し合いができるところまで行っていたんです。  そこで、現在、今回このようなまた観光大臣の暗殺も起こったりしています。ですから、暴力を使わないで、ミッチェル・レポートを大事にしながら、お互いに自制をしながら、暴力を使わずに知恵を使って、各国等の知恵もかりながら解決をしていく、そういうことがやはり紛争予防にコミットすることであり、我が国もそういうような努力をしているということを申し上げさせていただきます。
  218. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 どのように顔を見せる外交をやっていらっしゃいますかということを聞いたんですけれども。  それでは、今せっかく、余り話をすると時間がないと思ったんですけれども外務大臣がせっかくおっしゃってくれましたので。今、中東和平とこのアフガンの問題は多少リンクしているけれどもそう関係はないんだというような話がありましたけれども、それがとんでもない認識の違いなんですよ。  まさにこれは大変深く関係をして、この中東和平の問題が大きな今回のテロの起因となっている。そして、このアフガンでの情勢が中東和平に大きく影響を与える。どうしてゼービ観光相が、あれだけPLOとイスラエル政府が今は我慢しようと、そしてPLOでさえも今何かあったら誤解をされるからみんな我慢してくれとお互いが我慢し合った中でも暗殺が起こってしまった。まさにこれはPFLPという反主流派、過激派が、今だったらイスラエルもPLOも何もできないだろうと逆手にとった犯行じゃないですか。  まさにこの中東外交、中東和平が我々にとって大きな重要な問題である。そして、湾岸戦争のときもそうでした。このアフガンの後は必ずピースプロセスが大きな国際政治の問題点になりますよ。  外務大臣、どのように御認識でしょうか。
  219. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 中東和平を推進することの重要性はあえて言うまでもありません。G8でありましても首脳会合でも、一番最初にどのようにして中東に和平をもたらすかということは最初のイシューになっています。そして、私が参加しましたローマの会議でありましても、最初にミッチェル・レポートを履行してもらうべきだということはいつも最初のイシューとして出てきております。  ですから、その重要性はもちろんみんなわかってきておりますけれども、そのことと今回のテロリズムを直接ぴたっとくっつけてそれが原因であるからと言うことはできない。もっとあらゆるものが複眼的になって今回のアメリカでのテロが起こっているということ。ですから、今回もテロに対して国際社会が、世論が一つになって協力をしようということを私は申し上げているんです。
  220. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ですから最初に、そのテロに対する考えが、パレスチナとイスラエル、こちらの勢力とこちらの勢力とで違うから大変な問題ですよというお話を筋道を立てて、順序立てて説明をしたつもりでございます。  外務大臣、それでは外務大臣に最後に御質問をさせていただきますけれども、これからこの中東和平に外務大臣として、まさに顔を見せる外交としてどのようにコミットするおつもりでしょうか。  実は、先日のこの参議院の十九日の本会議において我が党の藁科先輩が代表質問をされました。大変格調高い質問であると、後輩として私も勉強させてもらいましたけれども、実はその本会議の席上に大臣が欠席をされておりました。いろいろな理由、手続上のこともあるんでしょうけれども、まさに一番大事な参議院の本会議外務大臣がいらっしゃらなかったというのは、私、正直言って大変一国民としても、そして国会議員としても残念に思いました。  大臣、これから中東和平にどのようにコミットするんでしょうか。
  221. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 参議院の会議にいなかったことは主管の大臣でないということで、それは衆議院も同じでございます。それは御理解いただきたいと思います。国会のルールでございます。  それから、どのようにしてこの和平に取り組むか。これこそ予防外交でございまして、このことは世界じゅうが本当に英知を傾けて、そして何とか当事者同士で和平に向けて胸襟を開いて話し合いができるようにあらゆる形でもってやっていまして、顔の見える外交というのは、自分が飛び歩くことだけが外交ではなくて、すべての情報を勘案しながら、必要なときに必要なボタンを適宜押すということも外交である、それも顔が見える外交であるということを御理解いただきたいと思います。
  222. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私も手続上のことは、今回初めて国会議員になりましたけれども、学ばせていただきました。私が言っているのは、これが担当大臣でない、むしろ大臣に質問がなかったということ自体が私は問題であって、この議論の中心になって田中大臣が質問を受ける立場というふうに思います。  それでは、最後に具体的なテロについての、炭疽菌についてお伺いをいたします。  この炭疽菌、大分アメリカでも被害が拡大をしているというふうにお伺いをしておりますけれども、この炭疽菌事件と一連の同時多発テロの因果関係はあるのでしょうか、総理
  223. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この炭疽菌に関する感染者は今米国で何人か出ているように聞いていますが、米国政府は今この炭疽菌事件につき捜査中であり、現時点では多発テロ事件との関係を示す証拠はないとしております。  我が国政府といたしましても、米国における炭疽菌事件につき重大な関心を持っておりまして、引き続き情報を収集し、どのような対応が必要か、今検討している最中でございます。
  224. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 この炭疽菌事件とニューヨークの同時多発テロが全く関係ないとは言い切れない、関係があるかもしれないということと思いますけれども厚生労働大臣にお伺いをしたいと思います。  日本も自衛隊を派遣する以上、この報復テロのターゲットになりかねない。そして、炭疽菌がいつ日本にも被害を及ぼすかわからない。実際問題として、昨日の審議でも話がありました。四十通の不審郵便物があり、また郵便局においてもエックス線等のさまざまな装置を設置しなければならなくなっている。これはまさに実際テロが起こっていなくても、まさに国民に対する不安を与えている、テロに近い不安を与えているということでは既に被害がもう及んでいるというふうに言っても過言ではないというふうに思います。  我が国では、九五年の地下鉄サリン以降、ケミカル、BCテロのCの方ですけれども、化学テロについての対応は大分、一応の対応はされているというふうに理解をされておりますけれども、バイオテロ、いわゆる生物テロに対しての対応はどのようになっているのでしょうか。また、国民に対して予防薬や治療薬等がどのようになっているのか、正確かつ具体的な情報をちょうだいできればというふうに思います。
  225. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 炭疽菌につきましては、厚生労働省の中にも緊急テロ対策本部をつくりまして今取り組んでいるところでございますが、特に炭疽菌につきましては、昨日も御答弁を申し上げましたとおり、この炭疽菌につきましてこれに直面したといいますか、そういうことは日本の医療の中で今までなかったことでありますので、現在の医療関係者の皆さん方がこの炭疽菌のことについて十分な知識をお持ちになっていないということが非常に大きな問題だというふうに思っています。  したがいまして、医療機関の皆さん方にこの炭疽菌並びに炭疽病に対します知識を十分に持っていただいて、もし万が一疑わしいものがありましたら早期にこれを発表していただくといいますか、連絡をしていただくということがまず大事だというふうに思っておりますので、皆さん方に今お願いをしているところでございます。  そして、ただ単に、医療機関の中で救急救命センターでございますとか、あるいは厚生省の国立感染症研究所に御連絡をいただくようにお願いをいたしておりますけれども、それだけではなくて、警察その他、関係の諸団体につきましても十分に連絡をとるように今言っているところでございます。  また、治療についてでございますけれども、これに必要な医薬品、特に抗生物質につきましては国内で十分に配置されているというふうに今理解をいたしておりますし、この分につきましては大丈夫というふうに思っている次第でございます。  以上、簡単でございますけれども、御報告申し上げます。
  226. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) 委員ただいま御指摘のように、いわゆるC、NBCのうちのC、ケミカルのテロでございますが、これは例のサリン事件経験が非常に貴重なものがございまして、これの関連で私どもかなり対応をきちんとできる体制ができていると思っております。例えば、化学菌の検知でございますとか防護服等につきましては整えている、これはぜひ国民の皆さんに御理解をいただきたい。  ただいま厚生労働大臣からお答えがございましたように、いわゆるバイオの方につきまして、生物テロ、生物兵器テロというものにつきましては、これ確かに難しい問題がございます。これにつきましては今お答えのとおりでございますが、私、あえてこの機会に申し上げたいと思いますのは、俗にいたずらなどと呼ばれておりますけれども、白い粉を郵便をもって送りつけるというような、大変嘆かわしいといいますか、けしからぬ事案がございます。  これによりまして、現実に社会に混乱が生ずるばかりでなく、またタックスペイヤーの皆様にも、警察官がむだにともかく出動しなきゃならない、それからそれが実際炭疽菌でも何でもない単なる砂糖の粉にすぎない、あるいは洗剤にすぎないというようなことを確認するだけに大変な手間を医療関係者の間でかけているというようなこと、これは私はある意味ではテロがねらいとしている社会の混乱というものをいわば共犯者として、言ってみれば共謀しているようなことでございまして、これは私どもいわゆる業務妨害罪ということで、懲役三年ということで私どももきちんと対応しなければならない事案でございます。  既にもういろんなケースがございますけれども、ぜひそういう意味でも国民の皆さんの御理解を得たい、このように思っております。
  227. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 時間が来ておりますので。
  228. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございました。  私はテロ対策は必要だと思います。しかも、緊急的に、ただ、全体的に網羅的にしっかりと考えていく必要がある。そして、それが決して二者択一になってはいけない。アメリカなどの、日米安保などの歴史から、今回、日本が積極的に参戦するべきだ、それは当然だという考えがある一方、まだ日本は中東では手を汚していないからもう少し調停役に回るべきでないか、そして、ただ、そういった自衛隊を送る、その役割が果たしにくくなるのではないかという意見がありますけれども、私はこれは両方を両立させることは十分できるというふうに思います。それが外交であるというふうに思います。  ぜひ平和外交を進めていただいて、これから日本外交努力に期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
  229. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。私は、テロ対策特措法について質問をいたします。  今回の法案は、テロ対策と銘打っておりますが、日本が戦後初めて現実に行われている戦争に自衛隊を海外派兵する、そしてアメリカの武器・弾薬の輸送などの軍事支援を行う、この点では私は、憲法上も、憲法九条の上からも大変重要な内容だというふうに考えております。その点で、この法案について、私、幾つか総理に質問をいたします。  まず、現在進行している戦争の局面、この点についての制服の認識であります。  二十日から総理出席をされてAPECの首脳会議が行われました。ここではテロ対策の共同声明が発表された。この中では、テロの根絶ということ、国連がその主要な責任を果たすということ、この点で私、大変画期的なものだというふうに思います。  私も、九月十一日のあの残虐非道なテロ、これは絶対に認めることはできない、二十一世紀にやはり人類が平和的に生存する上でこのテロの根絶というのは大変欠かせない重要な問題だというふうに思います。  その一方で、今度の共同声明では、アメリカの軍事攻撃について言及がありません。総理は会談後の記者会見で、この点については、無辜の市民、つまり罪なき民間人を、この爆撃によって被害を与えないようにしたい、こういう意見が出た、アメリカもこれに配慮しているという意見が出た、こういうふうに述べられていますが、なぜこのテロ対策の中で、共同声明の中にアメリカの軍事攻撃という問題が言及されなかったんですか。まず、そのことをお尋ねしたいと思います。
  230. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) アメリカの軍事行動は基本的に支持しているんですよ、皆さん。そして、ある面においては、イギリスは武力行使にともに参加していますけれども、現在、武力行使に参加している国は少ないが、アメリカの態度を支持している。  そういう中で、APECの会合におきましてもいろんな意見が出ました。首脳の名前は、会議ですから、外交関係上伏せますが、攻撃は空爆よりも地上戦の方がいいのじゃないかという意見も出た。なぜかといえば、空爆だと無関係の施設なり人に波及するおそれがある、それよりは地上戦の方が限定的に目標がわかるから、空爆よりも地上戦の方が好ましいんじゃないかという意見も出たくらいです。あるいは、こういう場合はできるだけ無実の人が犠牲にならないような方法も慎重に考えるべきだという意見も出ました。しかし、このテロに対して正当づける理由は何もない、結束してテロと対決していかなきゃならない、しかし各国対応はさまざまであろうというような意見がいろいろ出ました。しかし、結論的に言って、テロに対しては毅然として立ち向かうということでは一致しております。
  231. 小泉親司

    小泉親司君 私は、アメリカの軍事攻撃では一致していないということが、この共同声明からも明らかだというふうに思います。  そこで私、多くのAPECの、アジア太平洋経済協力会議の首脳の方々、この方々が、今のアメリカの軍事攻撃は大変民間人を巻き込む、大変被害を及ぼしているんじゃないか、こういう懸念を表明しているんじゃないかというふうに思います。  御承知のとおり、十月八日の軍事攻撃から二週間以上が経過いたしました。この間、軍事攻撃の被害を見ますと、昨日も国連報道官が記者会見やりまして、施設が、特に病院の施設が攻撃された。それから八日には、十月八日には地雷撤去NGOの事務所が爆撃をされて四名が死亡された。十五日には国連世界食糧計画、この事務所が爆撃を受けて職員一名がけがをされている。十六日には国際赤十字の倉庫が爆撃され警備員一人が負傷されている。誤爆誤爆といいますけれども、罪なき市民が大変被害に遭っている状況が今続いております。  私は、この軍事攻撃という問題については、軍事攻撃そのものには反対でありますけれども、たとえこの軍事攻撃を賛成している方であったとしても、私は、このような民間人の方を巻き込むような攻撃があってはならない。特に、国連のさまざまな仕事をしている事務所が攻撃されるようなことがあったらその活動に制約が出る。その点では私は、こういう民間人に対する攻撃というのは決して許されてはならない。  特に、今度のAPECでも、資料を見ますと、ブッシュ大統領から、この爆撃でできる限りの配慮をしているというようなことが述べられたというふうに伝えられておりますけれども総理は、これらの民間施設、こういう国連施設、こういうところへの爆撃、こういう点についてはアメリカは十分な配慮をしている、こういうふうにお考えなんですか。
  232. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 無関係の施設あるいは市民に犠牲の及ばないような最大限の配慮が必要であると私は思っております。
  233. 小泉親司

    小泉親司君 私、現在の米英の軍事攻撃というのは、当初公式にアメリカが表明していたこと、これとどうも目的が少し違ってきているんじゃないか。例えば、ブッシュ大統領は十月八日の記者会見で、軍事攻撃の目的というのは、タリバンの政権の軍事能力をたたくことだ、テロ組織のキャンプの破壊だと、こう説明してまいりました。しかし、十月十一日に入りますと、ラムズフェルド国防長官、この国防長官の会見では、地中深くに入って地中を破壊する地中爆弾、地中破壊爆弾、バンカーバスター爆弾と通称言いますが、それからクラスター爆弾、こういうふうなあらゆる爆弾を使用するということを繰り返し表明しております。十八日の記者会見では、新型の兵器なら何でも使うということまで言っておられる。  特に、私、このクラスター爆弾、これは一つの爆倉に二百個の小型の爆弾が入っている。クラスターというのは英語でブドウの房という意味なんですが、つまりそのブドウの房が一つの爆弾から飛び散る。この房は、ブドウにはパラシュートがついていまして、これを高度、高いところで爆発させると、その爆弾が、子爆弾が二百個にわたって広範囲に飛び散る。ですから、地雷禁止の国際キャンペーンのNGOの組織では、これは大変無差別の爆弾だ、非人道的な兵器だ、こういうことを指摘されております。こういうものが今使われているのは大変な問題だというふうに思います。  総理は、やはりこういうNGOなども指摘されます無差別の爆弾、非人道的な爆弾、こういうものが使われていることを承知されているんですか。
  234. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 具体的には、その銃器なり爆弾がどういう性能であるかというのは、私は専門家ではありませんからよくわかりません。しかし、テロ撲滅のためにあらゆる手段を講ずる、軍事的活動も行使しなければならないという状況の中でできるだけ無関係な犠牲者を出さないような配慮が必要ではないかと言っているんであって、既に、テロリストをこのまま放置していけば、多くの無関係の人が犠牲になっているわけですから、そういう中での難しい対応を余儀なくされているのではないかと思っております。
  235. 小泉親司

    小泉親司君 私、今の発言は大変ひどい発言だと思いますよ。クラスター爆弾もそれじゃテロのためには使っていいとおっしゃるんですか。
  236. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) どのような爆弾使っていいか使ってよくないかという、そういうことについて、私はその性能よくわかりませんので、その辺については私はここで議論するのを差し控えたいと思います。
  237. 小泉親司

    小泉親司君 これは、私はひどい御発言だというふうに思います。  NGOの地雷禁止国際キャンペーンは十月十七日に声明を発表しておりまして、この中で、十月十一日、米国はアフガン空爆でクラスター爆弾を使用し始めた、国際キャンペーンはクラスター爆弾のような対人地雷と同様の効果を持つ兵器の使用を憂慮すると、こういうふうに警告しております。  二十二日のNHKニュース、これは現地の特派員が伝えているんですが、ちょっと御紹介しますと、アフガンの北部ジャララバード近くのモルゲイフ村が爆撃に遭って、女の赤ちゃんが一人死亡し、十五人の村人が重軽傷を負った、使われた爆弾はBLU97と書かれており、これはちょうど写真が出ましたが、目標近くで一つの大型爆弾の胴体が開いて中から百五十個の小さな爆弾をまき散らす仕組みの新型爆弾であることがわかった、この爆弾は広い地域を一挙に制圧するために使われるものである、アメリカ側による民間人への爆撃は確実にふえています、これが特派員の報告でありました。  防衛庁長官、このBLU97というのはどういう爆弾ですか。
  238. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 先ほど話題になっていましたクラスター爆弾というのはCBU87ですけれども、BLU90というのは、私、今ちょっと承知をしておりません。
  239. 小泉親司

    小泉親司君 これは防衛庁長官、大変な不十分な御認識だと思います。これは航空自衛隊も持っているんです。  よろしいですか。CBU83というのは大型の爆弾、親爆弾なんですよ。BLU97というのは子爆弾なんです。こんなことがわからないんですか、防衛庁長官。ひどいじゃないですか、それは。私は……
  240. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 親子の関係ということで、今資料がありますが、BLU97というのは子弾のことでございます。
  241. 小泉親司

    小泉親司君 総理、こういうクラスター爆弾という、一つの親爆弾から二百の子爆弾が出る、それがパラシュートにわたって広範囲に広がる、こんな爆弾を使ったら民間人への被害が出るということは当たり前なんじゃないんですか、総理。  何でこんな爆弾を使うのか。国連関係者、NGOというのは、民間人を戦争に巻き込んで殺りくする、こういうクラスター爆弾は幾ら戦争といっても使うべきじゃないということを訴えております。この点、アメリカ政府に使用を停止せよということを総理は言うおつもりないんですか。
  242. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そういうことは確認しておりませんし、私は言うつもりはございません。
  243. 小泉親司

    小泉親司君 大変ひどい発言であります。  クラスター爆弾というのは、湾岸戦争で一万発が使われたんです。ニュージーランドの地雷禁止キャンペーンというのは、コソボの空爆で一千百個の親爆弾が落とされた、こういう報告をしております。国際赤十字は、クラスター爆弾の停止を大変強く求めているんですが、この国際赤十字のインターネット上に次のような報告がある。  これはコソボでの出来事ですが、通学中の子供たちがきらきら輝く黄色いソーダ缶のようなものを見つけた。それは朝日に輝いていた。しかも、この缶にはおもちゃのようなパラシュートがついていた。九歳の子供がこの外国産のおもちゃで遊び始めた。しかし、二分後、その子は死んだ。周りの何人かの子供が傷ついた。それはソーダ缶でもおもちゃでもなかった。クラスター爆弾だった。  これがクラスター爆弾なんです、総理。こういう爆弾が湾岸戦争、コソボの空爆、こういうものに続いてこのアフガンの空爆でも使われているんです。私は、このようなアフガンの軍事攻撃というのは、タリバンの軍事能力をたたくんじゃなくて、子供たちや民間人を巻き込むことになっている。  去年の十二月二十二日に、これは外務省の補助金を受けまして、難民を助ける会がコソボで地雷問題についての、対人地雷の除去作業をやっておられる。この難民を助ける会の報告書の中でも、このクラスター爆弾の使用、その危険性については非常に厳しく指摘しております。  こういう大変無差別の殺りくをする爆弾を使って、なぜアメリカ攻撃が限定爆撃だと言えるんですか。総理、そのことをはっきりと答えていただきたいというふうに思います。
  244. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、テロリスト、また拠点をたたくために今戦闘行為をしているのであって、できるだけの無関係の犠牲者を出さないような配慮が必要だと、そういう中でやっているんだと思いますよ。そういう中で、私は、どういう状況でそういう爆弾なりが使われているのか、はっきりした確認は持っておりません。  しかし、このテロに対して、なかなか話し合いが通じるような相手ではない、そういう状況の中でそれぞれ必死の努力をなされている中の行為でありますので、今の時点で私が、どういう爆弾を使ってどういう性能があるかという、そこまでの情報は持ち合わせていませんので、今お話を聞いているという点にとどめたいと思います。
  245. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 個々のことではありませんけれども、御参考になると思いますので申し上げますけれども、今日の国際法上で、文民や民用物を無差別に攻撃するということ、これは原則として許さないということになっているんですよ。ですけれども、このことは、米英両国が個別的または集団的自衛権の行使に際して、文民及び民用物の被害を最小限にとどめることに最大限注意を払った旨、十月八日に両国が安保理に報告した書面の中で述べていることでございます。  ですから、実際問題いって、軍事目標の具体的内容及び無差別攻撃の態様、そういうことについては必ずしも十分に明らかではございませんけれども、個々の攻撃とか爆撃のその法的な評価、こういうものは具体的事実に即して判断するしかないと、こういうように思っております。
  246. 小泉親司

    小泉親司君 だから、私は、こんなひどい爆弾を使っちゃいけない、これは人道上も、官房長官、こういう爆弾は使えないと言っているんですから、当然これは使わないということを総理がちゃんとはっきりと答弁すべきなんじゃないですか。そういうことをアメリカに対して総理がはっきりと言うべきなんじゃないですか、総理
  247. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 個々のことについては作戦上のことであって、必要に応じては特定の武器を使うということは十分あり得ると思うんですよ。そのことは、そのこと自身が無差別なものであるかということは、これはその事態に応じて判断すべきものだというふうに私は思っております。
  248. 小泉親司

    小泉親司君 ですから、私は、このクラスター爆弾というのは、先ほどもお話ししましたように、タリバンの軍事能力をたたくという当初の目的とは全く違って、それをたたきながらもっと広範な人々を傷つけている。それは先ほどもお話ししましたように、NHKの現地の報告だってはっきりしているじゃないですか。それなのに、なぜそれを使用禁止を要求する、こういうことができないんですか、総理。そこをはっきりと言っていただきたいと思います。  これは、私は、限定爆撃とは全く違う、民間人を殺りくする無差別の爆弾だ。実際にこのクラスター爆弾の前身というのは、東京大空襲をやった焼夷弾、これとベトナム戦争で使われたナパーム弾、ボール爆弾、こういうものを一緒にしたものなんですよ。だから、そういう残虐な兵器は使われてはならない、これは私は国際法上も当然だと思いますよ、総理。どうですか。
  249. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、あるいはタリバン側の、ウサマ・ビンラーディン側の軍事施設をねらってやった、それが外れる場合も一〇〇%ないとは言えないと思いますよ。しかし、軍事施設だったら有効な爆弾を使う場合もあるでしょう。そういう中でできるだけの配慮をすると。そして、テロリストの対決を今やっているわけですから、テロリストも必死でしょうし、攻める側も必死でしょう。そういう中で、全部限定的に一切テロリストだけ攻撃ということができればいいけれども、中には、一〇〇%確実に標的に当たるとは限りませんが、そういう中での配慮はされる必要があると私は思います。
  250. 小泉親司

    小泉親司君 私はやはりこういう、もうNGOなども大変指摘をしている無差別の爆弾、非人道的爆弾、こういうものについて、私はアメリカに対して、幾ら総理が軍事攻撃を支持されているといっても、これは停止を私は求めるべきだというふうに思います。  そこで、総理にお尋ねしますが、今度の法律の中ではこういうクラスター爆弾も自衛隊が米軍の要請で運ぶことができる、この点は間違いございませんね。
  251. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今回の法律、一部修正で地上における武器・弾薬の輸送はしないというふうに決められておりますが、いわゆる武器・弾薬輸送は洋上では可能でありますが、この弾薬の運搬についてはその項目の中に入っております。入っているんじゃないかと思います。
  252. 小泉親司

    小泉親司君 これは、長官、こういう非人道的な無差別の爆弾と言われるこういう爆弾も自衛隊が今度の法律の中で運ぶことができる、こういう仕組みになっているというのは、私、このひどい戦争になりつつある今の軍事攻撃、こういうものに対して日本支援する中身、これが大変ひどいものだというふうに私思います。  やはり、クラスター爆弾が湾岸戦争でもコソボの空爆でも使われたように、私は、こういう軍事攻撃をやりますともう泥沼になると。例えばAPECでも、総理が行かれてインドネシアのメガワティ大統領やマレーシアのマハティール首相、こういう方と、答弁された資料を外務省からいただきましたけれども、その方々もこういうやはり民間人を大変巻き込む今度の軍事攻撃に対して懸念を表明されておったわけでしょう。  ですから私たちは、幾らテロといっても、こういうやはり民間人を巻き込む残虐非道な兵器の使用、こういうものを私たちはきっぱりとやはり停止を求めるべきだというふうに思います。同時に私は、空爆も停止をして地上戦の泥沼に入る前に軍事攻撃をやめて国連中心の解決に切りかえるべきだということを強く要求をさせていただきたいというふうに思います。  次に、コンバットゾーンの問題について、総理にお尋ねをいたします。  総理は、今度の法案について、戦場に行かない、戦闘地域には行かない、こういうことを繰り返し言っておられます。(図表掲示)今アメリカがこの戦闘に当たって戦闘地域を設定されている、コンバットゾーンというものを設定している。これは大変広い区域で、アフガニスタン、その上空、その近海というものであります。  この問題が衆議院で議論になりまして、総理は、このコンバットゾーンについて、これははっきりしているんですよ、米軍が想定するコンバットゾーンと日本が今この法律で指定しようとしている戦場と定義が違うんですというふうに答えられている。  では、日本がこの法律で指定しようとしている戦場、これはどういう定義なんですか。
  253. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 戦闘が行われていない地域。そうであります。
  254. 小泉親司

    小泉親司君 私、そういう不真面目な態度で答弁されるのはおかしいと思いますよ。総理が何とおっしゃっておられるか。日本がこの法律で指定しようとしている戦場、これははっきりとしているんですと。戦場をこの法律で指定するんですか。
  255. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 戦場には行かないんですよ、自衛隊は。戦闘が行われていないところで物資の輸送とか協力、そういう支援活動をするのであって、戦場には行かないんですよ。戦闘行為には参加しないんですよ。
  256. 小泉親司

    小泉親司君 それだったら総理日本の定義なんてないじゃないですか。あなたは定義が違うとおっしゃっているんですよ。定義が違うとおっしゃっているんです。日本の戦場の定義とコンバットゾーンの定義が違うとおっしゃっているんです。日本の定義なんてないじゃないですか、そうしたら。
  257. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) 定義のことなので私からお答えいたしますけれども、この活動地域は我が国の領域、公海及びその上空、外国の領域と。これは外国の領域といっても当該国の同意が必要であると。そしてまた同時に、現に戦闘行為が行われておらず、かつそこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域という、そういう条件のついた公海及びその上空及び外国の領域と、こういうことになっているわけです。
  258. 小泉親司

    小泉親司君 それは戦場と言わないんですよ。戦場じゃない定義なんです。よろしいですか。だから、今度の問題については、総理が言っておられるように、戦場には行かない、戦闘地域には行かないと言うんですから、日本は戦闘地域というのを定義しないんですよ。そうなんでしょう。当たり前じゃないですか、そんなことは。違うんですか。長官、どうですか。
  259. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) ですから、その戦闘、行動ができる地域と、こういうふうに申し上げたわけで、行動ができない地域というのは今私が申し上げたところでない地域であると、こういうことになるわけですね。それは戦闘行為が行われる地域またはその期間を通じて行われるだろうというふうに思われる地域と、こういうことです。
  260. 小泉親司

    小泉親司君 これは極めて不明確であります。  実際に戦場の定義が、総理は、これははっきりしているんですよ。米軍が指定するコンバットゾーンと日本が今この法律でしようとしている戦場と、定義が違うんです。日本なんか定義ないんですよ、戦場に行くわけじゃないんですから。  だから、こういう私が指摘をしているように、定義はアメリカが定義するんです。そうなんでしょう。これは、ですからアメリカが定義しているところに日本が協力支援活動で行くんですよ。このコンバットゾーンの定義、私、アメリカの定義を調べました。これは戦闘部隊が戦闘行動にとって必要な区域なんです。  例えば九一年、湾岸戦争がありました。このときに、湾岸戦争が行われたコンバットゾーン、これはこの点線の区域であります。(図表掲示)大変広大な、赤い点線の区域であります。大変広大な地域なんです。ペルシャ湾、紅海、オマーン、アラビア海、アデン湾、イラク、クウェート、サウジアラビア、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、こういう広大な区域をコンバットゾーンに指定した。  コソボのときには、九九年のコソボ空爆では、ユーゴの全域、アルバニア、アドリア海、イオニア海、こういう大変広大な地域が戦闘地域に指定されている。  アメリカは大変こういうところに、危険な区域に兵隊を送るわけですから、この点ではやはり戦闘地域として指定している。日本がこの戦場、つまり戦闘地域であるコンバットゾーンに私、入らないことは明らかなんだというふうに思いますが、それでも自衛隊はこのコンバット地域でアメリカの武器・弾薬の輸送、燃料の補給、こういうことをやろうというんですか。
  261. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) はっきりしているんですよ。アメリカのコンバットゾーンと日本の言う戦場とは違うと、はっきりしているでしょう。  それで、確かにアメリカは、物資の補給を受けるところもコンバットゾーンに入るかもしれない。しかし、日本は、この地域はアメリカではコンバットゾーンの一部に入っているかもしれないけれども日本としてはここは戦闘が継続的に行われないなと、戦場にならないなと。テロですから、今度は国と国との戦いじゃないんですから、どこでもテロが起こる可能性がある。そういう中で、この地域はアメリカがコンバットゾーンと指定されたとしても、ここは戦場にはならぬなと、継続的な戦闘行為が行われないなということを判断すれば、そこで日本としては物資協力もできると。だから、アメリカのコンバットゾーンと日本で今考えている戦場が常に一致するとは限らないんです。一致する場合もある、しない場合もある。定義は、戦場とコンバットゾーン、言葉が違うように、違う場合もあるんです。  コンバットゾーンというのを日本語で訳せば戦闘地域と訳されますよ。しかし、軍の考え方が違うんですから、もう水も食糧も武器だという考え方もあるように、地域によって、これはコンバットゾーンだと言うけれども、ここでは今、今回、国と国との戦いじゃないですから、これは当分戦闘行為が行われないな、戦場にはならないなという範囲はコンバットゾーンでもあり得るんですよ。そういうところには当然、物資協力なりいろんな支援活動ができるんです。
  262. 小泉親司

    小泉親司君 それじゃ、総理は同じ、先ほど私が紹介した総理答弁と同じことを言われた。  それでは総理にお聞きしますが、この法案であなたが言う戦場地域、そのことの指定を書いてある案文はどこに書いてあるんですか。
  263. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 法律の第二条三に、「対応措置については、我が国領域及び現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」地域ということで、「公海」、「外国の領域」ということになっております。  この場をおかりいたしまして、このコンバットゾーンということについて私ども米国に照会をいたしました。米国が何のためにコンバットゾーンを設けるかという目的について聞きますと、これは米軍人の福利厚生の見地からみなされたものであって、この指定によって米軍人は免税とか、月単位での手当を受けることができるという目的でありまして、その地域で戦闘が行われるということではなくて、この地域に行く者の福利厚生を充実するという見地で設けたものだという紹介がありましたので、御報告させていただきたいと思います。
  264. 小泉親司

    小泉親司君 私もコンバットゾーンについてアメリカの文献をすべて当たりました。コンバットゾーンの問題について、米軍の陸軍の幹部学校でありますコンバットゾーンについての解説書があります。  コンバットゾーンにおいて指揮官は、近代兵器に簡単に打ち負けてしまう兵隊を扱っている。ライフルと大砲の射撃は毎日発生する。死の恐怖は広がっている。兵隊は次から次へと生き延びており、コンバットゾーンではいつどこで敵が突然あらわれるか全くわからない。ストレスのある状態は普通である。通信はしばしば途絶えがちになる。このようにコンバットエリアでは確実性が全くわからない。この知識の欠乏は指揮官を非常に不安にさせる。簡単に言えば、コンバットゾーンでは不確実性が充満しているんだ。  これがコンバットゾーンの定義なんですよ。  ですから、今、長官が言ったように、大変、危険手当とか、そういうものを手当てをするというのはそれは財政的な話で、軍事的にはそういうふうに指定するんです。こんなところに、総理、自衛隊が入っていけるんですか。自衛隊がこういうところに入ってアメリカの武器や弾薬を輸送したり燃料を補給したりすることができるんですか。
  265. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) コンバットゾーンといわゆる戦場という違いは今お話ししました。  今回、何を輸送するか。ある場合は武器も輸送できるでしょう、全然違う、水とかあるいは食糧とかを輸送する場合もあるでしょう。できるのとするのとは当然違いますよ。何をするかというのは、そのときの状況判断をしなきゃなりません。  ただし、今言ったように、アメリカのコンバットゾーンは広いでしょう。全然戦闘行為が行われない地域でもゾーンに入れるでしょう。そして、今回、国と国との対決じゃありません。例えば今アフガンでやっている。今言ったアラビア海の端の方で情報収集する場合もあるかもしれない。ここは当分アフガンのタリバン政権がミサイルを飛ばす可能性はないだろうと客観的な判断ができれば、そういう一応アメリカのコンバットゾーンに指定されていたとしても、これは客観的に見て継続的に戦闘行為が行われないな、安全だな、物資協力だなというんだったらばできるようになっているんですよ。そういうことで、ですから、アメリカのコンバットゾーンはすべて戦闘地域だということではないんです。
  266. 小泉親司

    小泉親司君 そんな定義はどこから来ているんですか。防衛庁長官はそんなこと一言も言っておりませんよ。総理、どうですか。防衛庁長官は言っておりませんよ。  防衛庁長官は、総理のようなことを言っていないんですよ。何と言っておられるか。兵隊の福利厚生、手当なんだ、そのためにこのコンバットゾーンを指定するんだと防衛庁長官は言っているんですよ。総理が言っておるのは、大変、総理自身が今、戦場のお話をされている、違うじゃないですか。防衛庁長官が言っているのは福利厚生の手当のことを言っているんですよ。全く違うじゃないですか、総理
  267. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) その前提でコンバットゾーンが指定されたというふうにおっしゃっておりますけれども、現時点において、アフガニスタンにおいてこのコンバットゾーンが指定されたということは私承知をしておりません、まだ。  それで、いずれにせよ、私の調べによりますと、米軍人の福利厚生の見地からなされたものであって、ここの地域に行く人は免税とか月単位での手当を受けることができるという地域の指定であって、ここで戦闘を行うというような作戦計画はこれはまた別の、軍のところで決めるわけでありまして、そういうアメリカの考え方と、私たちの今回の考え方においては、現に戦闘行為が行われているか否かという観点で区域等を考えていきたいというふうに思っておりますので、このアメリカのコンバットゾーンとこの法律に基づいて自衛隊が対応措置をする地域はそれぞれ違った観点から設定されたものであるというふうに認識をいたしております。
  268. 小泉親司

    小泉親司君 今度の戦場というのは、総理も言われているようにアメリカが設定するんですよ、今度の問題は。これは日本がやるんじゃないんです。何でかというと、総理は、武力行使はしない、戦闘地域には行かないと言っておられるんだから。やるのは、アメリカが、イギリスが武力行使をしているんです、だから戦場を決めているというのはアメリカなんです。  それから、先ほどまだ決めていないと言われましたけれども、湾岸戦争のときにアメリカが戦場区域を設定したのは一月十七日、開戦日であります。コソボでも九九年三月二十四日、空爆が開始された日であります。つまり、十月八日に今度の軍事攻撃が行われたときに既にコンバットゾーンというのは設定されているんですよ。これは私も調べました。具体的に作戦が終わるまではこれは秘密なんです。だから設定されているんですよ。だから、総理、今度のコンバットゾーンの問題はアメリカが定義するんです。  アメリカの方は何と言っているかというと、この区域というのは、単に、総理が言われるような、危ないところとか危なくないとかそういうのじゃないんだと。先ほど私、総理にお示ししましたように、幹部学校では、ひょっとしていつ突然どこで敵が遭遇するかわからない。これは総理も、テロの対策だから今度はそういうことがあり得ると言っておられるわけでしょう。いつどこが戦場になるかわからないという地域を、コンバットゾーンなんです。  こんなところに私行けないということは明白だというふうに思いますが、どうですか、総理
  269. 福田康夫

    国務大臣(福田康夫君) コンバットゾーン、これ大変危険な地域だと、全域が、というような趣旨のお話をされていらっしゃいますけれども、一つお聞きしちゃいかぬのかな、先ほど湾岸戦争のときのコンバットゾーン、もう十年以上前に設定されたわけですね。それは今解除されているのかいないのか。これは解除されていないんじゃないでしょうか。  としますと、あの広いコンバットゾーンで、今本当におっしゃるようなおどろおどろしい危険な地域といったような、そんなふうな感じのところじゃないんじゃないかというように思うんです。これはあくまでも、先ほど来防衛庁長官が説明しているように、福利厚生の目的のためにやっている、そういう趣旨のものであるというように考えるべきだと思いますけれどもね。
  270. 小泉親司

    小泉親司君 湾岸戦争については解除されていないのは、まだ依然としてイラクに対してアメリカは飛行禁止区域をつくって爆撃をやるときがあるんですよ、官房長官。だから設定は解除されていないんですよ。そんなことは当たり前じゃないですか。私、そんなコンバットゾーンというこういう危険な区域に入っていく、こういう支援をやるというのは大変私重大な問題だというふうに思います。  もう一つ、実際にはこのコンバットゾーンからさまざまな巡航ミサイルの攻撃、こういうことがやられている。私たちは、このコンバットゾーンと言われているところから巡航ミサイルの攻撃について、これは戦闘地域に当たるんじゃないか、こういうふうに指摘をしてまいりました。  この問題が衆議院で議論になりまして、まず法制局長官、初めに言われたのは、このコンバットゾーンから巡航ミサイルを撃っている艦船、これは撃ったときには、この法律では戦闘行為とは何かといいますと、国際紛争において人を殺傷し物を破壊する行為であるから、巡航ミサイルを撃ったときはまだ物と人を破壊していない、爆撃したアフガンは人を殺傷し物を破壊しているからこれは戦闘行為だ、しかし巡航ミサイルを撃ったところは戦闘行為ではないから戦闘地域じゃないんじゃないかと、こういう答弁でありました。  私たちがこんなひどい答弁はないんじゃないかというふうに指摘をいたしますと、今度は、確かに巡航ミサイルは撃ったときには戦闘行為にも当たるかもしれない、しかし少し時間のすき間があるんだ、撃ったら次に撃つまでに少しすき間があるんだと、だからそこは戦闘地域になるかならないかわからない。  私、総理、笑われているように、こんな珍答弁、私ないと思うんですよ。こんなでたらめな答弁はないというふうに思います。総理が戦場に行かないと言っておられるんだから、そこがはっきりしない限りこの問題というのはおかしいじゃないですか。総理、本当に時間的なすき間があって、そんなところまで自衛隊が行ける、こういう法制局長官の見解、これは総理、どうお考えになりますか。
  271. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、それは今、議員の指摘で、法制局長官がどういう見解をするのか、それを聞いてから答弁します。
  272. 津野修

    政府特別補佐人(津野修君) ただいま御指摘になりました答弁は確かにいたしましたけれども、その後で、その翌日に見解は、たしか御党の先生の御質問ございまして、こういうふうにお答えしております。  現に戦闘行為が行われている地域に殺傷または破壊の結果が発生した場所が入ることはもちろんであるが、問題の所在が、戦闘を行っている諸外国の軍隊等に対して行われる我が国の自衛隊の協力支援活動が当該戦闘行為と一体化するものとして評価されるかどうか、そういう点にある以上、この現に戦闘行為が行われている地域に該当するかどうかの判断に当たっては、結果の発生地だけではなく戦闘行為を総合的にとらえる必要がある。お尋ねのように、目標に向けて遠距離砲、弾道弾ミサイル等が発射されたときは、一般的に言えば、もはや当該戦闘行為が開始されている、ないしその戦闘行為の一部となるものであると見るのが相当である。しかしながら、一たんミサイル等の発射が行われたことのある場所であっても、現に戦闘行為が行われておらず、かつ活動の期間中を通じて戦闘行為の行われることがないと認められるそういう地域に該当する場合もあると考えられるので、そのような場合に協力支援活動を行うことはあり得るものと考えると、こういうことをその後の答弁でさせていただいております。
  273. 小泉親司

    小泉親司君 今の御説明、私全然わかりません。私のまとめたことを法制局長官が同じようにおっしゃいましたので、私のまとめたことは当たっているんだというふうに思います。  それから、防衛庁長官になると、もっとひどい。例えば、巡航ミサイルの場合は誘導型と非誘導型があるんだ、誘導型の場合は撃っても、つまり戻ってくる場合があるから、人と物を破壊する、ならない場合がある、だから戦闘地域じゃないんだ、非誘導の場合はそのまま戦闘行為になる。  私、こんなひどい定義でこの法案を一挙に成立させていくというのは非常に重大な問題だと、総理、思いますよ。総理、笑っている場合じゃないんですよ、こんなのは。実際、こういうやはり──いや、総理に聞いているんですよ。総理もその見解をお認めになるんですか、総理。(発言する者あり)いや、総理、どうですか。いや、委員長、私はもう防衛庁長官と法制局長官の見解は前からずっとお聞きしました、衆議院でも論戦がありましたから。総理にこの見解、同じ見解なんですかとお聞きしているんです。
  274. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 大変恐縮ですが、議場の整理権は私にありますので、御遠慮いただきたい。だれに答弁させますか。
  275. 小泉親司

    小泉親司君 総理に。
  276. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 防衛庁長官答弁を聞いてから、答弁します。
  277. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 中谷防衛庁長官
  278. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 委員長、どうもありがとうございます。  そのミサイルの答弁につきましては、一般論でありますけれども、現にミサイルを発射した以降、人がそのミサイルを見ながら右とか左とか誘導をする場合もありますし、途中でもう爆破する場合もありますし、またぐるぐる地域を回りながら指示を待つミサイルもございますので、一般論として言ったわけでありますし、また、その言った意味は、その発射した発射行為を言っております。  現に私、先生と今論戦をしておりますけれども、これは、本当にこれが戦闘行為と考えると、先生がもし事務所から出た、出発した行為が戦闘行為かというと、事務所を出た行為であって、ここへ来て初めて私と先生が論戦ということになるわけであります。そういう観点で申し上げたわけでございます。
  279. 小泉親司

    小泉親司君 総理、こんなでたらめな答弁でこの重大な憲法上の問題を通過させるというのは、私、重大な問題だと思うんですよ。  総理は、戦場に行かない、戦闘地域に行かないと言っておられるんですから、この点では憲法上の大変大事な問題がある。それなのに、こんなでたらめな答弁で、実際に本当にこれ、総理、その場しのぎのでたらめな答弁でこれを、戦場に行かないと言っても、私、だれも信用することができないと思いますよ。やはりこの皆さんの、政府の一連の答弁、これは、戦場に行かないと言うけれども、実際には自衛隊をできる限り前線に出す、戦場近くに出す、海外派兵を拡大する、私、こういう点でも、本当にやはり珍答弁を繰り返しているだけだと。私、絶対にこの答弁は認めるわけにはいかない、このことを申し上げておきたいというふうに思います。  次に、総理の武力行使はしないという問題であります。  今回の法律では、現に戦闘が行われている米軍に対して協力支援活動をやる。これは補給、輸送、修理、整備、医療など軍事支援で、いわば私はだれが見ても武力行使と見るのが常識ではないかというふうに思います。ところが、総理は、武力行使というのは直接の戦闘行為だけなんだ、兵たんは入らないと、こういうことを繰り返し言っておられる。  私、アメリカの議会調査局が今度の不滅の自由作戦について、各国の軍事・諜報支援の問題についての報告書をつくっております。資料でちょっと配付をさせていただきたいというふうに思います。
  280. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) この件については、さきの理事会で承認を受けておりますので、配付いたします。    〔資料配付〕
  281. 小泉親司

    小泉親司君 この報告書には、アメリカの議会調査局、この議会調査局が、七十カ国、五つの国際組織に対して、どのような軍事的な支援、諜報支援を行っているかということをまとめた十月十七日付の資料であります。  この資料の中に何が書かれているかというと、すべての国が軍事支援をやっているわけではありません。NATOの国々には、兵たん活動などをやっている、だけをする国、つまり日本の協力支援活動と同じようなことをやる国、これも大変たくさんあります。  特に重要なのは、日本支援の問題。報告書では日本支援について、日本国憲法で「攻撃行動や「集団的自衛」への参加を禁止されているにもかかわらず、」として、武器の輸送や物資の輸送ができると、こういう日本の軍事支援を大変高く評価しておられる。つまり、アメリカの議会の調査局がアメリカ議員に対して、今回の法律案にある日本の軍事支援というのは集団的自衛権にかかわるものだということを認める報告書を出しておられる。この点については総理はいかがでございますか。
  282. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 今、委員は、CRSリポート・フォー・コングレスをお出しになりましたけれども、これは米国議会の調査局というものですけれども、これは米国議会図書館の一部として設立された独立の調査機関でありまして、その報告の内容が米国政府あるいは米国議会の意見を示すものではないということでございますから、政府として正式なものではないということを申し上げざるを得ません。それを御理解の上、こちらの小泉さんにそちらの小泉さんがお聞きください。
  283. 小泉親司

    小泉親司君 私も「しんぶん赤旗」のワシントンの特派員で三年やりましたから、この議会調査局の資料がアメリカ議員に広く配られておる、アメリカ議員皆さんは、これを質問の資料などに使っておられる。実際に、こういうふうなアメリカの議会では、日本の軍事支援というのは集団的自衛権行使に当たるんだというふうに言っておられる。この点について、総理、いかがですか。
  284. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日本は武力行使しないんですから、集団的自衛権の問題ではないとここに書いてあるでしょう。「海上自衛隊の艦艇は、自衛のためにのみ武器使用することの命令を受けるだろう。」と、ちゃんと日本の方針を理解しているでしょう。
  285. 小泉親司

    小泉親司君 これは、総理、武器の使用のことについて言っているんです。それは、この法律にあるように、あなた方が自然権だとかという何かわけのわからないことを言って、つまり自衛のためにしか武器は使えないんだよということだけの話なんです、これは。  私、この問題では、報告書のもう一つの重要な点について、この報告書の中では、日本の海上自衛隊から少なくとも四隻の軍艦が物資と弾薬を積み込み続けている、海上自衛隊艦艇は諜報交換、医療支援、輸送、燃料、他の物資を含む支援を提供することにある、それらはインド洋に派遣することが予定されていると。この間、この委員会で審議されていて、防衛庁長官は、この点についてはまだ具体的に何にもないとおっしゃっている。  何でこれは米議会ではこういうことが報告されているんですか。日本の議会ではこういうことが報告されないで、なぜこういう米議会で報告されているんですか。これはおかしいじゃないですか。法律が通る前にもうやっておられるんですか、こういうことを。
  286. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) マスコミの報道でさえいろんなものがあります。米国の議会の調査局がどのようなソースに基づいてこのような報告書を作成したかということは、私、明らかではありませんので、この件に対してはコメントは差し控えた方がいいというふうに思っておりますし、海上自衛隊につきましては、常時勤務についておりまして、荷物の積みおろしとか燃料の補給等は常時行っておりまして、そのような行動がどのようにとられたのかわかりませんが、現時点におきましては、まだこの法律も通っておりませんので、物資の輸送とか補給等は行うような計画も命令も発しておりませんし、現時点においてそのような準備をせよというようなことを命じたことも全くございませんので、その点は御理解いただきまして、当方の行動を御信頼、信用していただきたいというふうに思っております。
  287. 小泉親司

    小泉親司君 理解できません。実際にアメリカの議会ではこういう報告がすべての議員に、先ほど外務大臣も言われたように、すべての議員に渡っているんですよ。  しかもこれは、集団的自衛権行使を日本の憲法は日本に禁止をしているにもかかわらず、四隻の軍艦が既に弾薬や物資をインド洋に派遣する前に積み込み続けている。これは、法律が通過をする前からこんな準備をしているとなったら極めて重大ですよ、防衛庁長官。おかしいじゃないですか。
  288. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) そのような準備は全く行っておりません。これはもう米国が自分の責任において調査をしたり報告をしたりすることでありまして、当方は全く関知するべきことでもありませんし、現にただいまそのような命令をして準備をさせているということは全くございません。
  289. 小泉親司

    小泉親司君 私は、米議会にこのような報告が出ていて、日本の議会では具体的なことはさっぱりわからないという答弁が繰り返されている。さっぱりやっていないということが繰り返されている。私、この点では大変この報告書は重大な内容を持っているというふうに思いますよ。(発言する者多し)
  290. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御静粛に願います。
  291. 小泉親司

    小泉親司君 一体、このような報告が現実にアメリカの議会では全部広く渡っているんですよ。そこが重大じゃないですか。私は、こういう法案が通過する前からこういうことが行われている、特にアメリカの議会で報告されている、私、この点では大変重大だというふうに思います。  私、日本政府は、六九年の国連では、武力行使というのは単なる直接の戦闘行為ではないんだと、兵たん活動もこの武力行使という中には含むんだという見解を表明しているのは大変有名な事実なんですが、この点についても私はきょう質問をしようと思いましたが、ちょっと時間がありませんので、特に私は、やはり湾岸戦争からアメリカが、自衛隊を海外に派兵させたいというふうな要求が大変突きつけられて、九〇年にこの武力行使の見解というのを変えてしまった。この点で、私は、この前、昨日の委員会でも総理は政治的に解釈した、憲法を政治的に解釈したという発言もされましたが、やはり私、このきょうの議論を通じまして大変でたらめな答弁で、こういうふうなやはり自衛隊を海外に出すことばかり考えているというのは重大な私は問題だというふうに思います。  その意味で、やはり私はこの憲法を踏みにじる法案、これは断じて私は認めることはできないということを申し上げて、緒方靖夫議員に質問をかわらせていただきたいと思います。(拍手)
  292. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 関連質疑を許します。緒方靖夫君。
  293. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  総理はアジア太平洋諸国首脳の参加したAPEC会議出席されました。そこでテロ対策に関する首脳声明が出されました。  私、これを読んで非常に大切なことが二つあるなと思いました。一つは、諸国首脳が一致団結してテロと戦うこと。そしてもう一つは、国連の役割を重視していることです。そこには、声明は、国連が主要な役割を果たすべきである、こう述べて、国連憲章と国際法に従った解決を強調しているわけです。  会議出席された総理に、まずこの点について御確認したいと思います。
  294. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) テロに対しては一致団結して対応しようと、毅然として立ち向かわなきゃならないということで一致いたしました。
  295. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そして、書かれているから明瞭だと思いますけれども、国連の主要な役割、これが果たされるべきだということが書かれていることも間違いありませんよね。  総理、声明御存じないんですか。
  296. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、国連安保理決議等されておりますとおり、アメリカの今回の行動を支持しているわけですから、国連機関との協力をしながらこのテロと対決していこうということでございます。
  297. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 総理出席して、総理自身が合意してきたこの声明には、テロの解決のために国連が主要な役割を果たすべきである、そして国連憲章及び国際法に従ってその解決を図るべきである、具体的に国連憲章の決議を挙げながら、具体的に書かれております。その点は文書があるわけですから、総理は余りおっしゃられたくないかもしれませんけれども、この点ははっきりしております。  ところで、APEC参加首脳の間でいろいろ御意見があったと先ほど伺いました。テロに断固反対するという点の一致、これは明らかです。私がお伺いしたいのは、アメリカの軍事行動について全面支持ということで一致があったのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  298. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 軍事行動に全面支持という表現はありませんでした。
  299. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そのとおりだと思います。  アメリカの全面をとっても、支持についても表明がなかった、このことは明らかだと思います。  ブッシュ大統領は、十九日、上海で記者団に対して、アメリカの支持がすべてから得られたとは言えない、ほとんどと言ってもいいかなと言いながら、すべてからは得られなかったということをブッシュ大統領自身お認めになっているところです。すると、APEC参加者の間ではテロ反対ということでは強い一致がある、しかしアメリカの軍事行動についてはその点では一致がなかった、このことははっきりしていると思います。  アメリカブッシュ大統領と会見した江沢民主席は、民間人の殺傷を避けるようにとくぎを刺しました。また、マハティール・マレーシア首相は、ブッシュ大統領を前にして、マレーシア通信によると、あなたと私は意見が違う、我々は意見を押しつけないけれども、我々は戦争を支持しない、こう述べたと。そしてさらに、民間人への死者、出ていることに懸念を伝えた、このように報じられております。  総理、なぜこうなったんでしょうか。私は、こうなった大きな理由の一つ、それは武力行使の中で無実の人々が傷ついている、そして犠牲者が出ている、ここに大きな理由があると思いますけれども、いかがですか。
  300. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それぞれの首脳の発言というのは一様じゃないんです。国情によって違うんです。マハティール首相にしても、マレーシア国内に多くのイスラム教徒を抱えています。また、マハティール政権に対する反政府ゲリラ組織がアフガンでテロの訓練を受けているという事実もあります。それぞれ違うんです。しかし、テロに対しては毅然として立ち向かわなきゃならないなということはマハティール首相も言っているんです。  そして、ブッシュ大統領も一様でないということも大事なんだ、各国それぞれ対応が違うんだけれどもテロに向かう対決は一緒にやろうと。ある国は武力行使に参加するだろう、ある国は参加しないだろう、ある面には経済面で支援するだろう、いろんな形があると。そういう国情に応じて、国力に応じて必要な協力をしてこのテロ撲滅に向かって立ち向かおうという表明ができ、結束した関係ができたということは、実に有意義だったというふうに私は思っております。
  301. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 総理、一様じゃないことははっきりしているんですよ。  私がお尋ねしているのは、どうしてそういう意見が生まれているのか。それはアメリカの軍事行動、これによってもたらされている犠牲、市民の犠牲、これが各国からいろんな形で、ここには私、言いませんけれども、それは表明されて、そういうことが生まれているのではないかと。その点に大きな原因があるのではないかと。先ほど、総理言われました。無辜の人々が傷ついている、そうしたことがあってはならないという意見が表明されたと言われた。そういうことはありますよね、当然。
  302. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それはできるだけ無辜の人たち、犠牲にならないような配慮はしなきゃならないと思います。
  303. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 アメリカの軍事行動をめぐって一致しなかった。その理由の大きな一つは、今、総理が言われたように、そこにあると思うんですね。さらに、今民間の犠牲がどんどん大きくなろうとしている。ちょうどけさのニュースでも、ヘラートの病院が爆撃された、国連の報道官の発表がありました。あるいは、先週、私自身訪問したことがあるカブールのチャールズ・サダール病院が爆撃され、百二十人の死傷者が出た。そして、死んだお母さんにしがみついている子供の姿が伝えられました。涙が出ます。今こういう形で、国連機関とか病院とか学校とか、そういう民間施設に対して次から次へと爆撃が起きております。  被害は直接のそういう爆撃だけじゃないんです。この戦争によって国連あるいはNGOの援助が中断する、それによって最新の国連の発表でも七百五十万人の人たちが死ぬかもしれない、この冬を越せるかどうか、そういう事態になっているじゃありませんか。まさに生きるか死ぬか、そういう事態です。  私自身、二十年以上前からアフガニスタン、パキスタンで難民問題をフォローしてまいりました。現地もよく知っています。ですから、私は、まさに今アフガンの大勢の方々が生死の境にある、そういう危機的な状況がこの戦争によってもたらされたんだ、このことを私は強調しないわけにいきません。  ならば総理アメリカの戦争目的、これは一体何だったんですか。ビンラディンらを捕まえて処罰する、これが目的だったはずです。我々はもちろん軍事行動には反対です。しかし、アメリカの目的からいったって、この目標、大きく外れつつあるんじゃないか、このことははっきりしていると思います。  テロによって多くのアメリカ市民が死んだ、日本人も亡くなった。だからといって、多くのアフガンの無実の人たちを殺していいのかどうか、犠牲にしていいのかどうか。戦いの相手、テロ集団がいるだろうというその国目がけて今のような形で国民全体に被害を及ぼしていく。アメリカだろうとどの国であろうと、一体こんな権利があると総理お考えですか。
  304. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在、アメリカ、イギリスがアフガン攻撃をする以前から、無実の、無辜の人が何千人死んでいるんですか。アフガン攻撃前からテロリストたちの行為によって、卑劣な行為によって多くの人が犠牲になっているんですよ。今回の米国発生以前からです。あの世界貿易センターはかなり前にもテロ行為によって爆破されて、多くの人が殺され傷ついているじゃありませんか。各国においても似たようなテロリスト行為があった。ほかの今までの事件に対してはみんな人ごとだと思っていた。今回初めてテロリストが限界を超えた卑劣きわまりない行為をやったんですよ。アフガニスタン攻撃をやっているからテロ行為が起こったんじゃないんですよ。はるか以前にテロリストが全く我々の想像できない理論によって、アメリカ攻撃しよう、アメリカ人を殺せといってやっているんですよ。そのために、多くのアメリカ人でない、アメリカの国以外の人が何人犠牲になっているか。それでようやく世界が立ち上がったんじゃないですか。  そういうこのテロとの戦いに、私は、それでは、アフガニスタン、無関係の人、無実の市民が犠牲になるからこのまま何にもしないでいい、じゃ我々無関係の市民が犠牲にならない保証はどこにあるか。そこに難しさがあるんですよ、今回のテロの根絶に向けての。  しかし、もう立ち上がらなかったらますます、今でもテロはさらなるテロ行為を予告している、みずからのあのニューヨーク、ワシントンの事故を反省すらしていないで、予告しているじゃないですか。こういうことに対しては毅然として我々は立ち向かわなければならないと思いますよ。
  305. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 テロと毅然に戦うのは当たり前です。しかし、その戦い方、手段がこれでいいのかということを問題提起しているんですよ。  総理、無実の人をどんどんどんどん殺していく、犠牲にしていく、こういう戦争を進めていったら一体どういうことになりますか。私はそういう点で、今、実態、何が起きているのか。パキスタンに逃れてくる難民が何と言っているのか。タリバンは安全なところに逃げ、犠牲になるのは一般市民ばかり、こういうことを言っている。私はその点で、私たちはテロをしっかり糾弾しながら、どういう形でこのテロと戦っていくのか。総理、その道が先ほど私が示したこのAPECの声明にはっきりと書かれているんですよ。これが大事だと思います。    〔委員長退席、国土交通委員会理事藤井俊男君着席〕  ここには、具体的に、加害者を裁判にかけるための協力を諸国でしていく。当たり前じゃありませんか。そして、国連憲章と国際法に基づいてこの戦いを進めていく。当たり前じゃありませんか。あなたがこれを署名してきたんですから。この戦い方にすべきだというのが、私、考えているところですよ。  じゃ、総理、お聞きしますけれども、今のアメリカが進めている戦争、これが一体どんなものなのか。  この戦争についてラムズフェルド国防長官がこんなことを言っている。十月十七日、カタールの衛星テレビのインタビューでこう言っているんですよ。我々は細心の注意を心がけているが、現実には、国じゅうにあのように大量の爆弾が飛び交えば民間人の犠牲は避けられない。つまり、戦争をすれば民間人に犠牲が生まれる、このことをはっきりアメリカの戦争の遂行担当責任者が認めているんですよ。いいですか。さらに、ラムズフェルド長官は、ニューヨーク・タイムズの十月十六日付で、アフガニスタンでの市民の死傷者は九月十一日のアメリカの死傷者と同じように苦しむべきだ、こう述べているんですよ。  私、これは重大発言だと思います。つまり、この発言は、誤爆で無実の人々が犠牲になった、たまたま不幸にして亡くなった、そういう話じゃないんですよ。アメリカテロによる犠牲者が出た分、アフガニスタンでも同じ分だけ犠牲者が出て当たり前だ、こういう考え方じゃありませんか。これを復讐と言うと思います。そうじゃありませんか。
  306. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、今アフガンを攻撃したから無辜の市民、無実の無関係の市民が犠牲になるということじゃない。そして、このままそれじゃアフガンを攻撃しなければ無実の市民が犠牲にならないかと。そうじゃないから厄介な戦いなんですよ。  このままそれではテロをさらにやるという、続行して、ウサマ・ビンラーディン、アルカーイダの理論によれば、我々も八十年間、百年間苦しんだ、この苦しみをアメリカも味わうべきだと言って攻撃しかけているわけでしょう。アメリカ攻撃して日本人も犠牲になった、世界数十カ国の市民が犠牲になった。アフガンを攻撃しているからこれだけの犠牲者が出たんじゃない。しなくてもしても出るんです。そこが難しい戦い。  しかし、このまま放置しているわけにいかないでしょう、この戦いをやめないんだから、アルカーイダも、ウサマ・ビンラーディンも。だから、できるだけアフガンの無関係な市民を犠牲にしないような配慮をしつつ、どうしてもこの非情なテロリストを壊滅する戦いに我々は協力するのが当然ではないかと思っております。
  307. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 答弁になっていないですよ。私が聞いているのは、アメリカが進めている戦争が、こういう復讐の考え方でやられている、あるいは戦争すれば民間人に犠牲が出るのは当たり前だ、そういう考え方で進められているということを総理は是とするんですか、そうしたら。
  308. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは戦争ですから、すべてゼロにしろというのは望ましいですよ。(「報復戦争がいいと言うのか」と呼ぶ者あり)報復戦争がだれもしたくてしているわけじゃないでしょう。そういう配慮をしつつこのテロリストたちをどうやってなくすかという、これをしているんですから。いろいろもっと共産党の気に入るような答弁を引き出させたいという気持ちはわかりますよ。できるだけその辺は発言を慎重にして、できるだけこのテロ行為を撲滅するための戦いに我々も主体的に参加していかなきゃならない、私たちはこのテロのおどしに屈してはならないと。今、アフガンを攻撃しているから死者が出ているんじゃない、攻撃する以前からはるかに多くの人たちがテロリストたちによって殺されているんですから。その点をよく理解していただきたい。    〔委員長代理藤井俊男君退席、委員長着席〕
  309. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 総理、重大発言ですよ、今のは。  いいですか。報復戦争をしたくてやっているんじゃないと言われましたけれども、じゃ、今アメリカがやっているのは報復戦争ということをお認めになったということになるじゃありませんか。  いいですか。私は……(発言する者あり)そんなことないですよ。私は今、私は、総理聞いてください。私は、いいですか、ラムズフェルド国防長官がこういう考え方で、アメリカで犠牲になったそういう人の分だけアフガン人も苦しんで構わないと、そういう発想でやっている戦争について、これを是とするのかと伺ったんですよ。  いいですか、総理。じゃ、それを強く支持されるんですか、この戦争。
  310. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、アルカーイダ初めウサマ・ビンラーディンが、自分たちが数十年間苦しめられた、その苦しみをアメリカも初めみんな苦しむべきだといってテロリストの正当行為を評価している、それはどう思うんですか。
  311. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 総理の質問に答える必要はありませんけれども、私は、テロに対して断固戦う、これはもう明確ですよ。  総理、いいですか、総理が上海で合意してきたこのAPECの声明、私は冒頭述べました。テロに断固として戦う、そして国連に主要な役割を与えながら、国連憲章と国際法に従って解決していく、そこには四項目の重要な、具体的に書いてあるんですよ。加害者を裁判にかけるための各国の協力の強化、これもはっきり書かれているんですよ。総理、あなたがサインしてきた、合意してきた方向、私はこれが非常に大事だと思いますけれども、あなたが言われるのは、結局アメリカ、報復戦争とも言えるかどうかは別として、今の戦争に対してこれだけのことをもたらしながら、別の手段でこの問題をきちっと解決する、それが大事ではないかということを私は問題提起しているんですよ。それに対して総理はきちっとお答えにならない。  私は一つ確認したいのは、そうしたら、このラムズフェルドが述べているようなそういう戦争をやれば民間人が犠牲になるのは当たり前だ、仕方がない、あるいはさらにはアメリカで死んだ人の数だけ、またその苦しみだけアフガン人も苦しむべきだというそういう考え方、そういう考え方の様相を帯びてきているこの戦争に対して総理は強く支持すると今でも言われるんですか。はっきり答えてください。
  312. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) こういう議論をやっていると嫌になっちゃうけれども、そんなことを言うわけないでしょう。アメリカ人が苦しんだだけアフガンが苦しんだなんてだれが言っているんですか。そんな考え全くないと思いますよ。我々はこのAPECで出したテロ声明、すべて必要だと思っています。今まで何回国連が決議したんですか、ウサマ・ビンラーディン身柄引き渡し。全然言うことを聞かなかったじゃないですか。  今回のアフガン攻撃してから難民出てきたんじゃないですよ。はるか以前からタリバン政権によってどれだけの難民が今出ているんですか。どれだけのテロ行為が起こっているんですか。どれだけの人が犠牲になっているんですか。それで立ち向かっているんじゃないですか。私はこれが答弁なんですよ。
  313. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  314. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 速記を起こして。  改めてお聞きになりますか。
  315. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 総理が、これまで国連決議が何度も上がった、しかし出てこなかった、言うことを聞かなかった、そう言われました。しかし、仮にケニア、タンザニアのアメリカ大使館の爆破事件のときと、三年前と今と比べてみてもテロ反対の国際的な機運が全く違いますよ。今、一致団結して世界じゅうがテロと戦うという決意に燃えていますよ、各国政府も。  三年前はそうじゃなかった、はっきり言って。だって日本政府はどうですか。国連決議を、経済制裁についての決議、それをきちっと履行、期限内にしていなかった。そして、アルカイダ等々のそういうテロ集団に対する資金源を断つという問題についても、つい先月から本格的に始まったばかりじゃないですか。それが現状なんですよ。だからやるべきことをやっていない。国連としてもやるべきことをやっていない。そういう中でこの事態があるわけですよ。  ですから、私が言うのは、こういう無辜の人たちを傷つけるような戦争ではなく、まさにこのAPECの、あなたがサインしてきたここに書かれている、そういう方向で国連憲章と国際ルールに基づいて、そしてここに書かれている四項目ですね、加害者を裁判にかける、これも国連でやろうと言ってきたわけですから、あなたがそのことを、当事者なんですよ、あなたは。私は当事者じゃないけれどもこれを強く支持する、この方向だと思いますよ。ですから、そういう方向でやろうということを私は提起しているんですよ。私は、その点で武力行使は無実の市民に犠牲を広げるだけじゃない、今、総理が言われているようにテロを本当に根絶したいならばその点でも役に立たない、このことをはっきり申し上げたいと思うんですね。  テロ容疑者を引きずり出して厳罰に処するためにも、またテロ勢力を根絶やしにしていくためにも一番肝心なこと、それは各国政府と国際世論、これがテロ撲滅のために結束することですよ。ブッシュ大統領は、世界六十カ国以上にアルカイダなどのテロ集団がいる、そう言っている。それならなおさら、アメリカや一部の国、そういう国々の武力行使でテロ集団、根絶やしにできるんでしょうか。まさに国際的な共同、これがあってこそ初めてできるんじゃありませんか。
  316. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国際協調が必要なんですよ。だから我々は協力してやろうという。国際協調必要です。
  317. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうですよ。だから、総理が署名してきたようにAPECではそのことを強調しているんですよ。だから、非常に重要なことが、あなたがどれだけ自覚しているかわからないけれども、APECのこの首脳のテロ反対の声明というのは非常に重要な中身を持っているんですよ。国際的にも国連に主要な役割を果たさせるべきだということを強調しているわけですよ。  そして、今大きな問題になっていることの一つ、それは、テロと戦うためには国際社会テロ勢力という構図をしっかりつくって、そしてテロ勢力に世界で逃げ場を与えない、その戦いを進めていくことが大事なわけですよ。ところが今、アメリカの戦争によって何が起こっていますか。まさにテロ勢力に絶好の口実を与えるアメリカ対イスラム、そういう構図があの戦争によってつくられつつあるじゃありませんか。イスラム諸国五十数カ国、人口十億人、そういう国々がこのテロ反対の戦いにともに国際共同体の中で戦う、非常に大事だし、既にこの用意を表明していますよ。イスラム諸国会議は、既に十日に行われた緊急外相会議で国連中心にこの問題を解決すべきだということを声明を出しているんですよ。  ですから、今の戦争が続けば、国際的にも、あるいはイスラム諸国を初めとするそれぞれの国でも、アメリカ日本も含めていろんな形で世論をめぐって、この戦争をめぐって世論がいろんな分岐をつくっていく。このことは、今、進行中じゃありませんか。  その中で、例えばラムズフェルド国防長官は二十二日の記者会見で、十一月中旬から始まるラマダン、イスラム教の断食月で、これは非常にイスラム教にとっては敬けんな時期でありますけれども、この時期にも軍事作戦を続行すると表明しています。それに対してインドネシアのメガワティ大統領は、ラマダン中にも軍事攻撃が行われたら自分の国は爆発する、イスラム世界も怒りが破裂する、こう述べているわけですよ。  今度の問題を、テロ勢力がねらうようにアメリカ対イスラムという構図にしては絶対ならないと思うんですね。国際社会全体とテロ勢力、この構図をつくっていくのは当たり前じゃありませんか。
  318. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この九月十一日にテロ発生以来、何度同じことを言ったでしょうか。これはテロとの戦いであって、テロリストたちがたとえアラブ人であろうとイスラム教徒であろうと、アラブとの対決でもないし、イスラムとの対決でもないと。しかし、テロリストの中には、これはイスラム対アメリカの対決にしたいと思っているのはあるでしょう。そこは我々、注意しなきゃならない。だから、国際協調の中で、日本としても中東諸国、アラブ諸国との外交関係を深めていくのも大事だと思って今腐心しているわけであります。  恐らく、テロリストアメリカ対イスラムとの戦いに持っていきたいでしょう。それに乗っちゃいかぬとどうやって、どれほど今我々努力しているかと。今回の戦いはテロとの戦いだと、テロリストたちとの、テロリズムとの戦いだということで、アラブ諸国ともイスラム諸国とも協力してこのテロに立ち向かっていこうというのが基本姿勢だと。また、そのように現実に着々いろんな対応を進めていかなきゃならないし、国際会議におきましても何度そういう発言が出たか。今回のAPEC会合においてもしかりであります。そういう点において、私は国際協調がこのテロとの戦いには必要であると思っております。
  319. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 イスラム対アメリカの戦いに乗っちゃいかぬ。戦争を続けるとその口実を、テロリストに絶好の口実を与える、このことははっきりしているんですよね。  タリバンは、戦争開始前までイスラム世界では非常に孤立した存在でした。この戦争開始の後、どうですか。反米を掲げながら、彼らは市民権をある場所では得つつあるじゃないか、逆に。あるいは、エジプトのムバラク大統領は、軍事報復がこれ以上続けばアメリカはイスラムから完全に信頼を失う、こう警告しています。  ですから、私はその点で、こういう方向、つまり国際社会全体がテロリストを孤立させるために戦う。今の戦争を続ける限りはそれが全く逆な方向になる。今それが進行しつつあるじゃありませんか。ラマダンで軍事行動を続けたらイスラム社会がどういう反発をするのか、これもはっきりしております。そしてさらに、私、イスラムの例を挙げたけれども、これは世界じゅうで同様な大きな分岐が起こるでしょう。
  320. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 緒方君、時間が迫っておりますので、まとめてください。
  321. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ですから、私は、その点でこの戦争、これは誤っている。そして、この戦争に日本が協力する、これはまさにアジアの国としてアジアの信頼を失う大きな誤りである、このことを指摘しないわけにいきません。ですから、私は、このAPECの声明で書かれているように、文字どおり総理がサインしてきたんですから、この方向で国連中心にこの問題の解決を切りかえる、このことが必要だということを強調して、質問を終わります。(拍手)
  322. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 田嶋さん、挙手をお願いします。田嶋陽子君、どうぞ。
  323. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 議員になってまだ二カ月ちょっとの田嶋です。よろしくお願いします。  私は、まだ半分しゃばにいまして、まだ政治家になり切っていません。ですから、ちょっとピント外れの質問もあるかもしれないですけれども、私にとっては必死な質問です。(「頑張れよ」と呼ぶ者あり)はい。  小泉首相にお尋ねします。  今、この法案はもしかしたら出さなかった方がよかったかなとか思っていらっしゃいませんか。
  324. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 出す必要があったと思っております。
  325. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 じゃ、出す必要があったとお考えになったということですけれども、そして、よかったと思っていらっしゃるわけですね。  私は、できればこの法案は廃案にしていただきたいと思っております。特に自衛隊法一部改正、それは余り意味がないように思っております。  ですけれども、そこに至るまでに、よく言われていますけれども、顔が見えないと言われた。あの顔が見えないという言葉、その言葉はだれがいつどこで言った言葉なのか。別に大橋巨泉さんのまねをするわけではないんですけれども、私は調べましたが、ちっとも出典がわかりません。どなたがいつ言った言葉と受けとめていらっしゃるんでしょうか。小泉首相、お願いします。
  326. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) わかりませんね。顔が見えない、テロリストの顔が見えない、いろんな言葉使いますね。
  327. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 そうですね。みんな顔が見えない。  百三十億円出したのに日本が評価されなかったということなんですけれども、そのときに日本は金だけ出して人を出さないで顔が見えないということを言われたわけですね。(発言する者あり)百三十億ドル。ありがとうございます。  それで、どうも、よく世間では、それがトラウマとなっているんじゃないかと言われるんですけれども、私も何かそういうものがあるんじゃないかというふうに考えているんですが、小泉首相はその件に関してどんなふうにお感じになっていらっしゃいますか。
  328. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 全然そんなトラウマ感覚はありません。日本が今何をしなければならないか、国際社会の中で日本責任をどう果たしていけばいいかということでこの新法を提出したわけであります。
  329. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 わかりました。  タクシーの運転手さんとか……
  330. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 田嶋陽子君。
  331. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 あ、ごめんなさい。  ちょっと世間の意見を聞きますと、みんなも……(発言する者あり)もっとゆっくりしゃべれ。はい。早口ですかね。
  332. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 後ろにはお答えにならぬで結構ですから。
  333. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 はい。まずいな。(発言する者あり)はい。何か──何だったかな。(発言する者あり)そう、タクシーの運転手さんたちの話を聞きますと、今度は兵を出さなきゃいけないんだろうな、自衛隊を出さなきゃいけないんだろうなって、やっぱりそんなふうに思っている人がもしかしたら国民の中には半分ぐらいいるような気もします。  すなわち、小泉さんに、自衛隊を出すことに賛成な人は約半分、そして反対の人も半分ぐらいという、そういう状況ですよね。そこにはやっぱりあのときに人を出さなかったのはという思いがあると思うんですけれども、私の考えでは、あのときに日本は顔が見えないと言った人たち、その人たちは同時に、そう文句を言いながらわかったことは、そうか、日本には平和憲法があるんだ、憲法があるんだからもう日本は兵は出せないんだということをみんな認識したんですね。ちょうど酒を飲めない人に一緒に飲みに行こうと言って、おれは行けないって言ったら、何回か言うと、ああそうか、おまえは下戸だったなというのを認めるのと同じです。  特に、個人主義の西洋世界では相手を認めるんですよね。相手を受け入れるんです。その上で物を要求してくるわけですよね。その証拠に、今回はブッシュ大統領も、ああ、日本には憲法があったんだなと言ったし、パウエル国務長官だって、別に──うん、発音悪いか。パウエル国務長官だって出さなくたっていいって言ったし、それから、もっと戦後の意味深い貢献はアフガン復興への支援なんだということをパウエル長官は言ったわけです。要するに、認めているんですよね。それなのに、なぜ。  もう一度お聞きしたいと思います。首相はどうして、自衛隊法までお変えになって、テロ法案までおつくりになって、みんながこれだけ反対しているかもしれない法案をお通しになるんですか。通したいんですか。
  334. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、社民党は反対しているかもしれませんが、国民多数は支持していると思いますよ。今回、自衛隊を派遣する場合におきましても、武力行使はしない、戦闘行為には参加しない、その他の面で自衛隊の能力を発揮できるところがあれば自衛隊にも活躍の場を与えて、しっかりとした法的裏づけのもとで精いっぱい、使命感、責任感のもとで働いてもらおうという法案でありますから、別に戦争に行くんじゃないんですから。一方では戦争に行く戦争に行くという不安をあおり立てている勢力もあると思いますが、そうじゃないんです。自衛隊としての能力、機能が必要なときには、戦争に参加するんじゃない、武力行使はしない、そういう前提のもとで自衛隊に新たな活躍の場を担ってもらおうというのが今回の法案でございます。
  335. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 先ほど小泉さんは、やっぱりアメリカ物的支援でなくて激励と精神的支援が必要なんだと言ったとおっしゃっていましたよね。だから、アメリカは別に自衛隊、法律まで変えて日本アメリカの後をついていくことは期待していなかった、私はそう見てますし、新聞にもそう書いてありますし、というか、そういう記事、私だけ集めたのかな。もうそういうふうに解釈しております。今回、必要なかった。  そして自衛隊の人たちは、これは新聞の記事です。新聞の記事だってインチキあるから一概には信じられないけれども、ましてやスポーツ新聞ですけれども、近ごろ自衛隊員は風俗に来る男性がふえているそうですね。そこに行って泣くんだそうです、自分は行くのは嫌だって。みんな、そんな自衛隊の能力を生かそうと言うけれども、別に生かしてもらわなくたっていいということもあるわけですよね。  答えてください。
  336. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自衛隊はみんな志願して入ってくるんですよ、志願して。徴兵制はないんです、強制じゃないんです。みずからの任務に誇りを持ちながら、そして日ごろ報われないであろう訓練にいそしみながら必死に努力している人たち、そういう方々が私はみずからの役割を十分認識して、もし自分たちの機能が生かされるのなら進んで働こうということで行ってもらうわけですから、無理やり戦争に駆り立てるとか戦場に行かせるとかいうのは全くのうそでありまして、日本政府としては、自衛隊だから働いてはいけない、自衛隊だから活躍の場を与えていけないという政党もいますが、そうじゃないんです。国力に応じて、日本としてのふさわしい国際社会の中でこのテロと戦う責任を果たしたい、普通の人ができないところを自衛隊がやらなきゃならない場合もあるかもしれません。普通の組織ではできないところを訓練している自衛隊だからこそできる……
  337. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 わかりました。
  338. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) という点もあると思います。そういうときには、民間が嫌がらないところをどうして政府はやらないんだという声もあります。できるところはまず政府機関がやろう、民間でできるところがあったら民間もやってもらおう、その活躍の場を与える法案であるということを御理解いただきたい。
  339. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 そういうことは何回も聞きました。もっとほかのことが聞きたいと思っていました。  しかも、自衛隊員は自衛隊員になるとき、今回アフガン戦争に行くなんて思って、アフガンの後方支援に行くなんて思っていなくてなった人たちですね。ですから本当は、これは私に言わせれば契約違反なんですよ。ですけれども、これは公務員だからそういうことはないと言われましたけれども、そうでしょう、入るときは死ななくていいということだったんだから、それが戦争に行くことになったんだから。(発言する者あり)
  340. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御静粛に願います。
  341. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 いいですか、次行きます。(発言する者あり)正確に質問しろ、言葉が正確でなかったんですかね、済みません。
  342. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 御静粛に願います。
  343. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 じゃ、どこが間違っていましたか。  私は、言いたいことは、日本小泉さんがよく主体的主体的ということをおっしゃります。小泉さんもイギリスに留学していらしたと思います。私も小泉さんがいらしている六〇年代に行っておりました。  小泉さんにお聞きしたいと思います。小泉さんはイギリスに留学していらしたときに、その反対側の国から日本はどんなふうに見えましたか。そしてどんなふうな国でありたいと思いましたか、お答え願います。
  344. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イギリスという国は多様性があり、多くの外国人も訪問し、ロンドンも緑が多いし、いい国だな、日本も学ぶべき点がたくさんあるなと。そして、インド人もパキスタン人も、いろんな方々が白人の皆さんと生活し、ある場合には仲よく、ある場合には人種差別的な運動を目の当たりに見て、そういう点では日本にはそういう人種差別運動というのがなくていい面もあるなと。いろいろ得るところが多かった、充実した留学期間だと思っております。
  345. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 私がそのロンドンに行ったときにはいじめられました。それはどういうことかというと……(発言する者あり)いじめられたんだよ。(発言する者あり)えっ、何ですか。  どういうことかというと、日本人が第二次世界大戦のときに捕虜の扱い方でひどいことをしたということで、さんざんどこでも議論を吹っかけられてつらい思いをしました。小泉さんはそういう思いをなさらなかったんですね。すなわち、自分たちの親のやったこと、戦争……(発言する者あり)うるさいな。黙れ。そういうことがありました。  それで、もとの話に戻ります。私が、後でそのイギリスのことをもう少し話しますけれども、私は、小泉さんが主体的主体的とおっしゃいますけれども、どうもこの主体的の意味が、私はアメリカの言うこと、アメリカの御機嫌伺いに終始しているような気がして、今回のテロ法案もポチ法案、ワン法案と呼んでおります。私はこの法案は好きではありません。  そして、私は、やっぱり顔が見えないと言われても、平和憲法を持っているこの国は世界に一つしかない国と考えていいぐらい個性のある独特の国だと思います。武力が強くなくてもいい、優しくて豊かで文化の豊かな国だという、そういう評判を得ることが日本の将来にとってはとても大事だと思います。ですから、例えば湾岸戦争のときに、顔が見えないと言われても、顔が見えなくて大いに結構、愚直にそのまま引き下がっていればよかったと思います。今回、それなのに、私は何か浮き足立っているような気がするんです。  そして、小泉さんのおっしゃる国際性とか、国際という言葉に私は非常に疑問を感じます。例えば、小泉さんはこんなふうにおっしゃいます。国際社会から孤立したくないとか、国際協力とか、そういう言葉を頻繁にお使いになりますけれども、質問です。小泉さんは、この国際という言葉をお使いになるときにどの国をイメージしていらっしゃいますか。
  346. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国際社会、まあ世界ですね。いろんな国がありますね。  これは、日本だけが唯我独善的な行動をとっちゃいかぬ、世界のいろいろな声に耳を傾け、独善に陥らないように、偏見を持たないように国際社会と協力していくことが日本の平和と繁栄の道だという意味で、国際社会と協調とか、国際責任を果たすとかいう言葉を使います。国際というのはいろんな使われ方があると思いますが、国際協調というのは大事な視点ではないでしょうか。
  347. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 いやいや……
  348. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) ちょっと待ってください。  この際、委員諸君に申し上げますが、極めて重要な法案を連合審査審査している議場であります。いささか常軌を逸した不規則発言も出ております。お気をつけをいただきたい。  なお、閣僚諸君においても不規則発言が出ておりますが、もう時間も迫ってきています中で、もう少しきりっとした参議院らしい審議をさせていただきたいと思います。  なお、ルーキーに対しては、いろいろ感情もありましょうけれども、優しく試練の場を与えるのも諸君のジェントルマンシップだと思いますので、よろしくお願いをします。
  349. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 議長、ありがとうございます。
  350. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 議長じゃないよ。
  351. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 済みません、間違えましたか。ごめんなさい。  小泉さんは、国際社会で孤立したくないからということをおっしゃるんですが、私は、小泉さんが考えていらっしゃる国際社会というのは、アメリカでありイギリスであり、あるいはもっとまとめてNATOであり西欧諸国であるように思います。なぜなら、靖国の問題、靖国参拝のことや教科書問題では、小泉さんは後からその国をお訪ねになりましたが、ちっともその国の言うことには、今、耳を傾けるとおっしゃいましたが、傾けていらしたようには私は思われません。  それから、今度のAPECの会議のときにも、やっぱりあんなに会議で暗い顔をした人たちを見たことがありません。どの写真を見ても、みんな苦虫をかみつぶしたような顔をしています。普通ああいう会議では談笑しているシーンが出たりするものですが、一つもありません。ということは、何も一致していなかったし、みんなが言いたいことが言えなかったと、私はそういうふうに見ています。  そして、実際に、例えばマレーシアのマハティール首相の言ったこと、あるいはインドネシアのメガワティ大統領が言ったこと、それはやっぱり武力行使には反対だということですが、このAPECの会議では全会一致で武力行使に賛成したということが言われています。でも、それはそうではなかったということですよね。すなわち、私はやっぱりここには西洋重視で、そして自分たちの近隣諸国である東南アジアだとか経済的に弱い国に対するそこはかとない、もっと言ってしまえば、はっきり言ってしまえば差別意識が私はあるように思います。  そして、もっと言うと、私は小泉さんの態度も余り好きではありませんでした。例えば、ブッシュ大統領にこう言った。三つ挙げましたね。兵力は出せないけれども、例えばこういうことはする、こういうことはすると言って、自衛隊、ブッシュ大統領の賛同を得たという言い方は、一つの同盟国として、独立国として私は嫌です。賛同を得たというのもおかしいと思います。賛同を得たってどういうことですか。それから、賛同を得るってどういうことですか。賛同を得るってどういうことですか、小泉首相。
  352. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私の言ったことに賛成したということです。いけませんか、賛成してくれて。反対するよりいいでしょう。
  353. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 同盟国ですよね。私がさっき言った、ポチ法案と言ったのは、賛同を得るとか……(発言する者あり)しようがないです、私はそう思っているんですから。  それから、もう一つ言っておきますけれども、さっき首相は私のことを社民党はと言いましたが、私は社民党の議員でありますけれども、その前に田嶋陽子が先に来ます。社民党は社民党はと、何かというとそういう批判がありますが、そういう言い方はよしていただきたいと思います。  続きに行きます。  私は、同盟国として小泉首相にとっていただきたい態度は、やっぱり大きな国の意見だけでなくて小さな国の意見を聞いて、それをむしろその強い国々に紹介するような、そういうような立場をとっていただきたいんです。ですから、例えば、賛同してもらうかわりに、そうでしょう、これだけのことを自分がするんだから、外交としてそれと対等な取引があっていいんじゃないですか、ネゴシエーションが。だから、だったら空爆はよしてほしいとか、何かもう一つ、単なる賛同を得ていい子いい子と頭をなでられるんじゃなくて、きちんとした取引をしてほしいと思うんですよ。  私は、あの空爆、そして──じゃ、もう一つ、その主体性ということ、国際性ということで日本が浮き足立っているんじゃないか、そういうことの一つの証拠に、日本で今起きていることをちょっと紹介します。  今、厚木の相模原補給廠でこのような状況が起きています。(資料を示す)それは、市民に向けて、これは市民は写っていませんが、ここには、この銃口は市民に向けられています。市民たちは非常に不安だと言っています。この記事が出たのは九月二十三日です。ところが、不思議なことに、私はおとといこれをコピーを頼んだんですが、その翌朝この状況はなくなったそうです。すごいですね。これは偶然かもしれませんけれども、ということをお伝えしておきます。  すなわち、もう銃口は向けなくなったということです。でも、だれがこういう指図をしたのか、米国がしたのか、日本がしたのか、それは知りません。  ただ、もう一つお聞きしたいことがあります。  十月八日に中部及び九州管区の機動隊が、四百五十人が沖縄県警の応援のために沖縄に派遣されました。そのことについて防衛庁長官にお伺いします。これは米軍からの要請なんでしょうか。──私は答えられる方で結構です。
  354. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) 委員御指摘のとおり、沖縄県警に対しまして機動隊、管区機動隊約四百五十名、これを派遣をいたしております。これにつきましては、念のために申し上げますけれども、沖縄県に在日米軍関連施設等警戒すべき対象が多数所在していることから、沖縄県警の負担を軽減する、その目的のために私どもの判断といたしまして派遣をいたしましたものでございます。
  355. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 済みません、ちょっと今、人が来たので気が散っちゃって聞こえなかったんですが、米軍からの要請ではなくて日本側からのということですか。
  356. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) 米軍の基地が存在することは一つの要素でありますけれども、あくまで警察としての判断で派遣をいたしたものでございます。
  357. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 ありがとうございました。  それでは、この米軍基地周辺の機動隊は具体的にはどのような任務についていらっしゃるんですか。
  358. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) 警備の任務というものは、これは警備の実施の上のいろいろな、警備の実施の上で支障を生ずるといけませんので、余り詳細につきまして御答弁申し上げるのは控えさせていただきたいと存じますが、警察官を米軍の基地の周りに常駐させましたり、あるいは基地周辺のパトロールをやらせましたり、そういうことで所要の警戒をさせているところでございます。
  359. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 それでは、これからは、自衛隊法一部改正されたら、この機動隊がやっていたことを自衛隊がやるということになりますか。
  360. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) まず機動隊がやっておりますといいますか警察がやっておりますのは、警察はいわゆる一般の治安の維持に任じているわけでございまして、米軍基地の、今、委員お尋ねの場合でございましたら、米軍基地の周辺につきまして警戒を行っていると、こういうことでございます。  その状態は、今お尋ねのお話でございますけれども、警護活動というものが新しく設定されますけれども、その場合でもなお一般の治安の維持というのは警察がその責めに任ずるということでございますから、周辺は基本的に警察がやる、そのように御理解いただきたいと存じます。
  361. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 すると、一部改正された場合、自衛隊がそのアメリカの米軍基地を守るというのは、非常事態に関してだけということで、常時守るというわけではないんですね。
  362. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) おっしゃるとおりで、総理の御命令がいただいたら守るということになります。
  363. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 お二方どちらでもいいんですが、ほかの国ではどうなっておりますでしょうか。
  364. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 他国においての実施要領等は、それぞれ能力等にかかわるものでありまして、明らかにしておりません、内容は。
  365. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) 外国における軍関係の施設の警備というような御趣旨かと存じますけれども、これにつきましては、一般的に申しますと、周辺につきましてはやはり警察が、周囲につきましては警察が治安の維持に任じているというのが一般であると、そのように承知しております。
  366. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 一般にはと言われるともうあれなんですけれども、でも、日本はこれからは自衛隊が守ると考えてよろしいんですか。それは非常時だけということですか。外国では、こちらで調べた限りでは、韓国もイタリアもドイツも全部警察が守っています。自衛隊ではありません。
  367. 村井仁

    国務大臣(村井仁君) 私は先ほども、仮に警備活動というものが発令されたといたしましても、外側はこれは警察がその治安の維持に任ずるということを申し上げたわけでございまして、その点では諸外国の場合と何ら変わりないと思っております。
  368. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 沖縄では今、四百五十人の機動隊が行ったということで、非常にみんな不安を抱えています。そのことに関しては、きのうも尾身さんから、尾身沖縄長官から答弁をいただいたので即刻対処していただいていると思いますけれども、こういうことに大変不安を感じるということを一言つけ加えておきます。  それから、要するに銃口が市民に向けられているわけですね、自衛隊の場合、厚木基地の場合もそうですけれども。ですから、自衛隊は一体だれから何を守るのかということを私たちにはっきり示してほしいということです。  ついでにお答え願えますか。
  369. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 最初に米軍の例を挙げて、米軍が市民に銃口を向けているということでありますけれども、田嶋議員は米軍人とお話をしたことがあるでしょうか。特に若手の、階級の下のクラスの人ともぜひお話ししていただきたいと思いますが、彼らは、日本がいざ危機に際した場合に、有事の場合に、命令があれば日本のために命をかけて戦うと、そういう意識を徹底しておりまして、決して日本を憎むという気持ちじゃなくて、日本を愛して、日本国民を非常に好きな人たちなんです。  そういう人が銃口を市民に向けるというようなことを聞いたら、非常に寂しい、残念だと思いますが、彼らの今やっている行為というのは、テロ攻撃に対して、そういった不測の事態に対応して警備活動を行っているということであります。  そして、米軍というのは、日米安保条約に基づきまして、我が国の安全に寄与するとともに、極東における国際平和、安全のために寄与している、そういう目的のために駐留しているということをぜひ御理解をしていただきたいと思います。  自衛隊も全く同じであります。日本国民のために、自分たちの仕事に誇りと名誉を持って日本の安全を守るために勤務しているという点もぜひ御理解いただきたいと思います。
  370. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 ありがとうございました。  次、行きます。  田中外務大臣にお伺いします。  今月の十日に開かれたイスラム諸国の、長い、会議機構、緊急、これ英語で言った方がよさそうですね、外相会議で、テロ攻撃を非難して、米英の攻撃に対する住民への被害に懸念を表明する共同声明を採択したということですが、具体的に少しお話しいただけませんか。  要するに、例えば、アフガンの国と国境を接している国は六カ国あるわけですけれども、その六カ国の方たちとどういうお話をなさったのか。先ほどの答弁では四十カ国の国と電話でお話しなさったということですが、私はその具体的な内容を聞きたいです。少し、空爆や地上戦に関してどんなふうに感じているか、お話しください。済みません、その国の人たちがです。
  371. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 二つのことを一遍にお聞きになったように感じましたので、別々に分けてお答え申し上げます。  まず、イスラム諸国会議機構の緊急外相会議についてお尋ねかと思います。これは今月の十日に開かれたものかと思いますけれども、これはイスラムですからもちろん私は行っておりませんけれども。  そこでは、要するにテロを断固として非難するという、イスラム、これはテロ世界の国々でありますから、私たちはイスラムの国全部を非難しているわけじゃないんですね。したがいまして、イスラム国家の中にも、テロリストテロリズムを憎むという国がたくさんございます。ですから、そういうテロに対して非難をし、そうした認識を基本で共有しながら、国際的取り組みを持っていこうではないかという意見がございます。そして、こういう意見は、トルコでありますとか、イスラム国家ですが、パキスタンとかエジプトとかジョルダン、そうした国々がこういうテロに対する考えを共有しておられます。これが一つです。  それから、二つ目のお尋ねですけれども、三十九から四十ぐらい、九月十一日のニューヨークのビルに対するアタックです、ワールド・トレード・センターに対するアタック等以降ですけれども、これは私が国際会議にシンガポールに参りましたり、その他のときにじかにお話をしていることもございますし、それから日本についおとといもアイスランドが来られたり、その前はオーストリアの外務大臣が来られたり、それからきょうもこれからはビルマの通産大臣が来られたりもいたします、外務大臣ばかりではございません。それから、電話ももちろんかけますし、かかってもきますが、そういう中でいろいろな話をしていまして、今現在起こっていることについての非難、批判というようなことではなくて、それぞれの国の立場でもって、テロリズムは決していいものではないということはどの国も共通して基本的認識としておっしゃっているということを申し上げます。
  372. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 残念です。私は内容を聞いています。  いつもこういう答弁を聞いているので、私は本当にその国境を接している国の人たちが何を考えているのか知りたくて、自分なりに会いに行きました。イラン大使館に行って、イランの大使に会いました。もちろん、大使の意見は公の意見ですからここで出すわけにいかないので、出す部分は許可を得てあります。  イランの人が何を考えていたかというと、何を感じているのかというと、イランという国は、アメリカにもイギリスにも、それからタリバンにもいろんな目に遭わされた国です。それでも今、簡潔に言ってしまうと、イランという国が何が一番困っているかというと、アメリカの空爆によって物すごい数の、九百五十キロメートル、日本の三分の一がアフガンに接しているわけですから、難民が入ってくるということですね。そして、入ってきた難民によって大変な経済的な不安が生じているということですね。だから、この空爆はあるいは内戦は、内戦じゃなくて地上戦はすぐにもやめてほしい、だからといってテロがいいと言っているわけではないけれども、ということを言っていらっしゃいました。  とにかく大使がおっしゃるには、一人一人の経済格差が大きいこと、教育格差が大きいこと、この貧困の問題をきちんと考えないとテロはなくならないという、そういうことを言っていらっしゃいました。  そして、先ほどの、小泉首相が日本の国をどんなふうにイメージなさりたいのか、なさるのか、そのことに関してですけれども、イランの大使はこんなふうに言っていました。遠くから見ると、日本という国は第二次世界大戦後平和を維持してきているすばらしい国だ、そしてみんな優しくて、そして豊かで、今こそそういうイメージを広めるときではないか、そんなふうにもおっしゃっていました。ですけれども、これは大使の個人としての意見です。その個人の意見に関しては、きょうここで話す許可をとってあります。  そして、それに関してですが、もしこの後方支援日本がするということになって、後方支援をした後にもなおかつ日本はアフガンの復興に参加できるんだろうか、みんなはそれを喜んで受け入れるのだろうかということを私はこの大使との話から感じました。  田中外務大臣、どんなふうにお考えになるでしょうか。
  373. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) たくさんのことを一遍におっしゃったので、なかなかうまく整理がつきませんけれども。  イランの大使、マジェディさんでしょうか、にお会いになったのかと思いますけれども、この方は大変興味深いことを、私が四十人近くお会いした中で大変興味深いことをおっしゃっておりまして、ハタミ大統領が文明間の対話というものを提唱していると、対話を通じてお互いに協力をし合うこと、文明の衝突があってはいけないということ、すなわち宗教とかその他の国籍等の違いを越えて共存するための知恵と勇気を出し合うべきではないか、それからイランもテロを非難しているんだという話をおっしゃっています。もちろんパキスタンにしろイランにしろ、難民の問題はございますけれども、基本的なスタンスとしては、テロリズムは決して許さないという考えを持っておられるということを正式声明として伺っております。  それから、アフガンとこうして、いろいろもめたこういう状態でいると、悪感情を一般の民衆の方が日本に対して持たれるのではないかということを多分委員は危惧していらっしゃるのではないかと思いますけれども、しかし結論として、結果としてアフガン及びその周辺国が安定的に発展できる平和、それを築くことが最終目的でありまして、そうした結論を早く導き出すために私たちは今一生懸命努力をして、苦労をして国際社会が手をとり合っているわけでございますから、そうした努力を導き出すということが私たちの今現在やっている措置世界のやっている行為が十二分に理解を得られることになるというふうに思っています。  アフガニスタンには永続的な和平を実現する、そのために私たちみんなが前から、紛争予防もそうですし、今後もしなければいけないことですけれども、ポジティブなエネルギーを出していく。そのことが究極として、アフガニスタン及びその周辺の一般の国民の皆様たちに御理解をいただけることに帰結するというふうに信じております。
  374. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 私は、APECの会議小泉さんを初めブッシュ大統領も、アフガンへの攻撃後の復興会議とか、どういう国つくりをするかとか、アフガンの頭の上でそういうことを話しているのを聞いて、しかも、小泉さんが引用していらっしゃいましたよね。日本の戦後をどう占領するのか、どういう国つくりをするのか、アメリカはもう真珠湾攻撃の、その前ですか、後ですか、そのぐらいから考えていたのを聞いて非常に感心したとおっしゃっていらっしゃるのを聞いて、私はとても残念に思いました。  今、小泉さんは日本の憲法を余り大事にしていらっしゃらないようなふうに見えますけれども、それも結局は、その憲法も日本人がつくったのでないということもあって、すなわち、そうやって勝手に国つくりを先にだれかがやっていて、そして日本という戦後の国ができたわけですが、それと同じことを小泉さんは大国のまねをしてなさろうとしているような気がして、私はそのことを非常に不愉快に思ったし、アフガンの人たちに対しても傲慢だと思いました。そのことをどうお考えになりますか。
  375. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私がブッシュ大統領に言ったのは、アフガンの軍事活動、戦争終結だけを考える問題じゃないと、この問題は。この軍事行動が終結した後、アフガンにどういう安定政権をもたらすべきか、アフガン国民にとってどのような政権が望ましいのか、復興していくためには各国どういう協力をすればいいかと。今はもうテロリストテロリストの拠点、タリバン政権をたたくのに必死でしょう。しかし、それだけに夢中になるべきじゃない。むしろ戦後、戦後のことも、後々を考えた、そういう長期的視点から今どういう軍事行動が必要かということを考えるべきだということを言ったんです。  そういうことで、私は、憲法を軽んじているとか、日本が大国だとか、そう言うよりも、日本としてはそういう中に軍事行動、軍事戦略には参加できないけれども、安定政権をもたらすための政治戦略、アフガン国民のための復興戦略、このためには日本は協力する用意があるということを言ったんです。
  376. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 私は、まださっきも言いましたようにしゃばに半分足を突っ込んでいますから、そっちからしか見えません。政治的視点からというよりも、むしろアフガンの土地の人たちの立場に立って見てしまいます。すると、自分たちの頭の上で戦後がもうトークされている。  そこで、現実に、さっき共産党の小泉さんがおっしゃったように、いろんな爆弾を投げられて死んでいる、日々犠牲になっている人たちがいるわけですね。それって何なんだろうと、変だと思うわけです。  それで、変ついでにお聞きしますけれども、イスラム、ビンラディンとタリバン政権を倒す、そして、イスラム教徒に対する攻撃ではないと言いながら、誤爆があったり、現実にはクラスター爆弾があったりして大勢の市民が、もう千人以上が亡くなっている。それに対して、仕方がない、誤爆が多少あっても仕方がない、小泉さんは自衛隊の人が多少は死んでも仕方がないとおっしゃったのと同じに、みんな多少は仕方がないと思っているわけですけれども、それってやっぱりおかしいと思うんですね。  私は、もし仕方がないと思ったら、アメリカの今やっていることは国家テロと同じだと思うんですね。もし国家テロでなかったら、そこで誤爆で死んだ方たち一人一人に私は補償すべきだと思います。どう思われますか。
  377. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) アメリカのやっていることは、今、国家テロだという認識を持っている国はほとんどいないんじゃないでしょうか。これには私はちょっと驚きましたけれども、見解が違うんだからしようがないでしょう。  私は、自衛隊員に対しても、多少死んでも仕方がないなんということは一言も言っていません。
  378. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 言いました。
  379. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 一言も言っていません。どこで言ったのかも、あったら教えていただきたいんだけれども。そういう余りうそを言わないでください。  それと、すべて安全なところであるとは限らないということは言いました。それは日本にいても安全じゃないんですから。いつテロリスト攻撃を受けるかわからない。そういう意味において、世界どこの地域も安全でなくなったのがこの九月十一日以来のテロ事件じゃないですかと、そういうことを言ったのであって、私は、自衛隊が別に戦場に行くのでもない、戦争に行くのでもない、多少死んでも仕方ないなんということは一言も言っていないということをよく頭に入れて、いいかげんなことは言わないでくださいね。
  380. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 いいかげんなことではありません。これはちゃんと引用したもの、今ここに持っていませんが、後でお見せします。  時間が来たようですけれども、頑張っちゃいますから聞いてください。  私は、イギリス大使館に空爆やめてほしいと抗議に行きました。そのときに、攻撃する理由として証拠を出せと言ったらこんな書類をぱあんと出してくれたんですね。ですけれども、衆議院ではちょっと小泉首相はお話しになりましたけれども、私たちこうやって参議院でこういうことを話しているのに証拠一つ見せてもらえない、アメリカが出しちゃいけない、うんだらくんだら言って証拠一つ見せていただけないところで後方支援を決めていくわけですね。  私は、小泉さんにまねしてほしいことの一つは、私はイギリスの空爆はいいとは思っていません。ですけれども、あの方は、空爆するに当たって、戦後二百人の国民が殺されたと、それも理由。それから、今あそこで麻薬がつくられていて、それで若い人たちがみんな麻薬で今イギリスだめになりつつあるから、どうしても麻薬はつくらせたくないという理由。それで、実際に麻薬畑を空爆して壊してしまいましたよね。でも、ちょっとそれは置いておいて、だから空爆はいいと言っているんじゃないです。ですけれども、その後ブレアさんは五つのイスラムの国々と会って、しかもアラファト議長まで自国に呼んで、そしてパレスチナとイスラエルの問題を解決しようとか、空爆と同時に物すごい外交活動をなさっているわけですよね。それでも、その証拠を出して、だから議会で空爆する了解を得たわけですけれども。  きょうのニュース、CNNによれば、イギリス労働党の若手四十名がブレア首相のアフガニスタンへの軍派遣、参戦、それをやめてほしいという運動を開始したそうです。すなわち、やっぱりこのテロ攻撃とはいえ、空爆すること、地上戦をすること、それに対しては、今世界じゅうが、日本もそうですけれども運動を始めているんですね。ここで万々歳で、イスラエル攻撃テロ攻撃は違うからといって空爆や地上戦を繰り返していくことは、私は本当におかしなことだと思うんです。これは絶対もうやめてほしい。そして、訴えです、もう。  さっき、最悪のシナリオと言いましたけれども、私は最善のシナリオを提案します。さっき、国家テロは変な考えだと言ったけれども、私はそういう考えを持っているんだから仕方がありません。  それで、どういう最善のシナリオかといいますと、ビンラディンを捕らえようなんてしないことです。ビンラディンを捕らえようとしてタリバン政権を打倒しようとすればするほど、軍需産業に手をかすことにはなっても、国の平和は来ないと思います。それよりも、さっき小泉さんは、あの人たちは話してもわからない人だと言ったけれども、国連憲章やいろんなものをいじくり回して法案、法律つくりましたけれども、出てくるはずないじゃないですか。それよりも、私は、代表を募って、ビンラディンがあんなひどいことをした、六千人もの人を、まだ見つからないようなあんなひどいことをした。そこまでした、何でそういうことをしたのか、その意図というものをきちんと受け取って、(発言する者あり)だからテロはいいなんと言っているんじゃない。だけど、戦ってばかりいたってどうしようもないでしょう。人が死ぬだけです。  だから、私は、最善のシナリオというのは、代表を出して、どういう条件をかなえたらやめるのか、テロをやめるのか、それをきちんと話し合っていく、それがネゴシエーションだと思います。それが交渉だと思います。笑わないでください、塩じい。  小泉さん、どう思われますか。
  381. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) どうですかと言われても、それは田嶋さんの御意見なんでしょう。我々は違うんですから。  だって、イギリスではそういう一部で反対運動が起こっているといいますけれども、この新法審議でも日本も反対運動は起こっておりますし、イギリスはやっぱり武力行使しているんですからね、アメリカ一緒に。イギリスの活動をたたえておられましたけれども日本は、日本とイギリスとは違うんです。日本はこのテロには毅然として立ち向かっていきますが、武力行使はしないんです。イギリスとは違うんです。それぞれの立場はある、意見が違いがある。多様な中で、お互い国情が違う、国力が違う中でテロに対して毅然と立ち向かうことが必要ではないかと思います。
  382. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 田嶋さんにお願いしますが、時間が迫っておりますからまとめてください。
  383. 田嶋陽子

    ○田嶋陽子君 はい、ありがとうございます。  私はやっぱり、日本は武力行使しないからいい、さっきのクラスター爆弾じゃないけれども、自分は使っているのを知らないからいいじゃ済まされないと思います。同盟国だったら、相手が何をしているのかきちんと調べるべきだと思います。  そして、私はやっぱり、確かに考えが違うで終わってしまえばそのまんまですけれども、みんな考えが違うから怒ったり泣いたり笑ったりしているわけですよね。そこをきちんとやるのが外交じゃないんですか。首相の役目なんじゃないですか。APECじゃないんですか、そうでしょう。  私は首相に頑張ってほしいと思います。違う考えに耳かすのが三人の人間のうちの一人だと、さっきおっしゃったでしょう。小泉さんはそういう人間でしょう、そうでしょう。だから、国民も支持しているんですよね。積極的に出てください。そういう意味で主体的に積極的に最善策で頑張ってください。  以上、終わります。(拍手)
  384. 田名部匡省

    田名部匡省君 もうちょっとの間ですから、おつき合いをいただきたいと思います。  きのう、夜テレビを見ていましたら、ショー・ザ・フラッグというのをだれが言ってどうなったかというのをテレビでやっていまして、アーミテージ副長官も何かはっきり言っているのでない、柳井さんもテレビに出ていましたが、いやいや、そういうのではなかったという話がありまして、結局日本としてはここでやっぱり日米同盟の関係もあって何かしなきゃならぬということで、いち早く空母の護衛をしてみたり、あるいはイージス艦をやってみたり、わからぬでもなかったんですが、何かきのうのああいうテレビを見ていますと、何だったんだろうなという感じを受けたのが一つ。  それから、相当期待をされて行動しようということでこの法案なんかも出てきたんだと思うんですが、中国でアメリカ大統領と会って、総理、話されているのを見ると、どうもそんなことよりも終わった後の対策を日本に相当期待しているのかなという感じを実は受けたんです。  その辺の考えを、まず一つ整理してお話しいただきたいと思います。
  385. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) アメリカもAPEC諸国も、日本が武力行使しないということについては理解を得ていると思います。そういう中で日本に対する期待の大きさをそれぞれの首脳との会談で感じました。  そこで、我々としてもそういうアフガンの安定した状況をもたらすために、またアフガニスタン国民の平和のために何ができるかということをやっぱり今から考えておくべきではないかなという話の中で、ブッシュ大統領日本のそういう支援に期待していると。もちろん、日本アメリカだけの問題じゃありません。まずはアフガン国民自身の問題であり、特にパキスタンや周辺諸国、イランやあるいはウズベキスタン、いろいろ周辺諸国があります。周辺諸国が当然大きな関心を持っているのはわかりますが、それだけでは足りない分がある。アメリカもロシアも多くの国々も協力する中で日本の協力も必要だなという話し合いをしたわけであって、今後そういう視点からいろいろな角度から意見交換、協力関係を密にしていこうという話をしたわけでございます。
  386. 田名部匡省

    田名部匡省君 十七分という大事な時間をちょうだいしておりますので簡明にお答えをいただきたいと、こう思います。  言ってみれば、総理、よく泥縄式だということをこの場でも随分発言されておりましたが、私もそう言ってきたんです。この国というのは泥棒を捕まえてから縄をなうようなことばっかりしているんじゃないか、そんな気がしてならぬのですね。戦後五十年たって世界に冠たる経済大国になった、そこまで成長した、世界の国々から国際貢献を求められるようになった、これは当然のことだと思うんです。それが、あの憲法ができたときと今ではもう相当違うにもかかわらず憲法ができたときのまんまを議論しているから、全くこっけいな話だと私は思って実はずっと聞いていました。  実は憲法には、よく国会でもやりますけれども、「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」というのがこの種のものが出てくると必ず議論の中に出てくることと、いま一つは、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、」、これがあるから、こういうことをしなきゃいかぬ、ああいうことをしなきゃいかぬというふうに必ず言われてくるんですね。そんなことで、平成四年に自衛隊の海外派遣に道を開きまして、紛争終了後の停戦監視、難民支援、いわゆるPKO協力法が成立をした。あくまでも武力行使を切り離した活動だと。  これがちょうど私は農林大臣の二期目のときで、恐らく総理も厚生大臣のときだったかなと思うんですが、カンボジアに高田晴行さんという当時岡山県警の警部補、この人が行っていまして、殉職したんです。閣僚もだれか岡山の葬儀に行ってくれというので、私は行きました。あのときのこんな小さい子供さんが、相当もう大きくなっているんだろうけれども、父親が亡くなったということをよくわかっていないんです、あの大きな会場で。私は、本当に気の毒なことをしたなというふうに実は思って、残念な気持ちだった。  その後、今度は平成十一年ですか、周辺事態法が成立をする、あるいはそして、この今回の法案が出てきたというこの一連のことを見ておって感ずるのは、防衛庁長官にこれちょっとお伺いしたいんですが、派遣する自衛隊の隊員というのは、やっぱり誇りを持って、使命感と責任を持って行こうと思うんです。こんな議論の中で、ややもすればそれは命を失うかもしれません、テロというのは見えない相手と戦うんですから。国対国は戦いやすいですよ、皆やっつけりゃいいんですから。ところが、その人の顔を見てやろうというこのテロとの戦いというのはなかなか容易じゃないと私は思う。  そういうところに派遣するのに、もうちょっとやっぱり行く人の身になって、行く人たちがこういうことならばやりやすい、武器を持つにしても何にしても、そういうことをしてあげたらどうなのかなという気がするんですが、防衛庁長官、誇りを持って行っていますか。
  387. 中谷元

    国務大臣(中谷元君) 今回の法律をつくる際には、実際に現職の自衛官が現地に行って困ることがないようによく、陸上幕僚監部がございますけれども、各陸海空の自衛隊の幕僚監部を通じて、実際の隊員がどのような心情で行けるかという点について綿密に話をして、そしてその意向が法案にも反映をされた内容になっておりまして、私としては、現状の法律を成立させていただいたら胸を張って活動ができる内容になっているというふうに確信を持っております。
  388. 田名部匡省

    田名部匡省君 この種の議論になっていつも感ずるんですけれども、憲法違反だとか何とかということがどうしても出てくる。皆さんもこれ、私は憲法をしょっちゅう見て、この間も、小渕さんが総理のときにもやりましたが、私も、これはもう第二章の戦争放棄、これを何回読んでみても、これだとやっぱり、最初は警察予備隊だ保安隊だ自衛隊だと名前を変えてきたけれども、持たないと書いてあるんですから、そうでしょう。「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と。  この後、海上保安庁のあれも法律で出てきます。あの不審船を追っかけるときだって、あれは空へ向けて機関銃を撃ちましたよね。あれだってあなた、厳密に言ったら威嚇なんですよ。憲法違反だということになるんだ、それも。  ですから、どうしてもこの「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」というのがある限りは、やるたびにこれはもめるんですよ。違いますか。だから、この憲法問題を、本当にこういう大国になってもあのときのままでいいのかどうかというこれを堂々とやらぬと、この先もいろんなのが出たらまた始まると私は思うんですよ。総理、どうですか。
  389. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 基本はやっぱりその憲法の解釈論をめぐっていろんな議論があるというのは御指摘のとおりであります。私が、確かにすっきりしない点がある、あいまいな点がある、あるいは解釈に幅があると言うのはそこなんですね。  しかし、それだけ日本国民はいまだにあの第二次世界大戦、戦争の後遺症が残っているといえばそういう点もあると思うんです。軍隊というものに対する非常な警戒感といいますかね。今後、確かに軍隊は戦争を起こしますが、同時に平和を守るというもろ刃の剣、どこの国もそうです、そういうもろ刃の剣であるということも認識しつつ、真剣な、神学論争みたいな形でない、この国の安全保障というのはいかにあるべきかという議論は、もう少し私は時間がかかると思いますね。今の時点ではそういう議論をするとまた法の字句解釈にこだわってしまうというような議論に入り込みますので、私は本来、憲法改正の議論というのは、もう少し時間がたてば特別の偏見がなくオープンに堂々と、日本国として、国のあり方としてどういう憲法が望ましいかということが何の偏見もなしに堂々と議論できるにはもう少し時間がかかるのではないかと思っております。
  390. 田名部匡省

    田名部匡省君 そういう議論になると、派遣される自衛隊というものは憲法違反で行っているんだ、こういうことになるんじゃないですか。だから、主権を守り、国民の生命、財産を守るのは政治の責任ですよ。  内閣法制局長官とも随分私はやり合いました。あくまでもやっぱり役所の立場ですよ。しかし、政治家が今も言ったように責任があるわけですから、その政治家がやらないで、時々にこういうものが出てくるとこんな議論をしている、私はそのことが本当に残念でしようがないんですよ。  それはどういうふうに決まろうとも、それをやらなかったらこれは本当に、この間の、私はあのときの防衛庁長官にも言ったけれども、有事立法でさえできていないでしょう。ですから、何が起きたらどうするかというのは何にもないときにきちっと決めておかなきゃいかぬと思う。  私は、スポーツ以下だと、この国は。どういう意味かというと、私はアイスホッケーをやりましたけれども、どう守るかわからぬ相手でもそれを破ってちゃんと点をとるように訓練するんです。攻める方だってどう攻めてくるかわかりませんよ。しかし、どんな攻め方をされてもきちっと守るように訓練しておるんです。なぜ、国がこういうことをできないんだろうといつも思うんです。  もう時間ですから終わりますけれども、もうちょっと、十七分なんて、二時間も三時間も質問するところがあるときに、私はもうちょっとやらせてもいいと思う。大体、自民党なんていうのは、私もそこでの経験があるから、朝飯会をやって、(発言する者あり)いやいやそれで起こしたと言うけれども、朝飯会をやって相当これ勉強してきているはずなんですよ。そんなに勉強して、まだ二時間も三時間も聞かなきゃならぬ。でたらめな法案なら審議したくないと言いたくなりますよ。(発言する者あり)ああそうそう、そう言わぬでも、もうちょっとやっぱりそういう機会を与えて、多くの意見を聞いてきちっとした対応をしてほしい。  以上、もうこれで十七分たったようですから終わりますけれども、しっかり対応をやっていただきたいということをお願いして終わります。
  391. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 無所属の内閣委員の島袋宗康でございます。よろしくお願いします。  テロは、その目的はともかく、手段として結果において人道と平和に反し、しばしば多数の無辜の民を犠牲にする卑劣で許しがたい行為であります。その限りにおいて、米国における同時多発テロは許しがたい行為であり、そこで犠牲になられたたくさんの方々に哀悼の意を表するとともに、なおその心身の後遺障害に苦しんでおられる方々に心からのお見舞いを申し上げるものであります。このようなテロ行為は再び繰り返されてはならないということは言うまでもありません。  一体、このようなテロがなぜ発生したのか、なぜアメリカがねらわれたのか、その原因、ここに至った根源的ないわゆる要因は何なのか、なぜ春秋に富む若者たちがみずからの命を犠牲にしてまであえてこのような行為を敢行したのかという重い問いかけに答えることも必要ではないでしょうか。  そこで、総理にこの問題についての基本的な考え方をお伺いします。
  392. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) このテロ発生以来、さまざまな対応が議論されてまいりました。また、各国によってそれぞれ対応の仕方も違うことを承知の上で、やはりテロを正当づける理由はないという観点から、今、世界の多くの国がテロに対して毅然と立ち向かおうとしているわけでございます。  我々としても、そういう認識のもとに日本としてもこのテロ根絶のために、あるいはテロ抑止のために、できるだけの支援、協力をしていくことが必要であると考えております。
  393. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 時間が限られておりますので前に進みます。  米国の中東政策、例えばイスラエルとパレスチナないしはアラブ諸国との対立等の問題について、米国はこれまで公平で中立的な立場で対処してきたかどうかということが問題ではないでしょうか。日本政府としてはどのような見解を持っておられますか、お尋ねいたします。
  394. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) このパレスチナ、イスラエルとの和平問題については、クリントン前政権からアメリカも必死に努力をしてきて、ぎりぎりの話し合いが行われてきたわけであります。残念ながらなかなか合意に至らず、今もこのこれからの中東和平を考えると大変な努力が必要だと思います。  日本としても、パレスチナ、イスラエル両方とも友好関係を維持している国として無関心ではいられません。アメリカの努力もさらに続けていくと思いますが、我々としても注目しながら、中東和平の一環としてこのイスラエル、パレスチナの問題についても常に注意深く関心を持ち、できるだけの和平に向けての努力が必要だと認識しております。
  395. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今回の上海でのAPECに出席したマレーシアのマハティール首相は、二十日、米国ブッシュ大統領との会談後、テロが起きる原因を取り除くことが必要で、パレスチナ問題が最大の原因だ。中東危機が解決しない限り国際的テロは終わらないと大統領に説明したということが報じられております。  総理は、マハティール・マレーシア首相のこの見解についてどういうふうな御見解でしょうか。
  396. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) APEC諸国の全員が集まる会議でもそのような意見も表明され、また私との二人との、マハティール首相との会談でもいろんな意見を交換をいたしました。  確かにテロの背景を考えると、一様ではない非常に複雑な問題があります。一方では、中東和平がうまくいかないから、あるいはアメリカが、今までのアフガン攻撃に対しても、これは報復は報復を呼ぶのではないかという議論も一部であるのを承知しながらも、また一方では、首脳の名前は、これは外交上伏せますが、この戦いは一様でないということを承知しつつも背景は深いと。  特に、ウサマ・ビンラーディン初めアルカーイダが、何十年戦争を覚悟していると。しかも、イスラムとアメリカとの戦いに持っていこうとすると。こういうことには非常に警戒をしなきゃいけないし、イスラム諸国も、もしこのテロに対して毅然として立ち向かわないと、自分の政権にも影響が出てくると。  というのは、今のテロリストの組織は、アメリカを敵だと言いながら、現実には現政府を転覆する意図を持っているテロリストもたくさんいるんだと。だから、アメリカがある地域から出ていけば、その政府を転覆しやすくなると。そういう意図があるということも考えなきゃならないと。一様な理論でこのテロの背景というのは説明できないという議論も交わされました。なるほどなと。  そういう中にあって、お互い各国には反政府ゲリラ組織を抱えている国もあります。そういう場合には、ある面においてはテロというのは圧制の理由だから一分の理があるんじゃないか、あるいは三分の理があるんじゃないかということを言う人もいたけれども、九月十一日のあのニューヨーク、ワシントン同時多発テロ以来、いかなるテロも正当づける理由はないということで大体の認識を得たのがAPECの会合でありました。  マハティール首相はそういう中でも、イスラム教徒をたくさん抱える国としての自分の国の立場の違いは理解してほしいと。ブッシュ大統領も我々もそれぞれみんな違う事情を抱えているんだから、違う事情、違う国の力、中でもテロに対しては一致結束して対抗していこうということを確認できたのは、非常に有意義だったと思っております。
  397. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 今回の米国における同時多発テロ事件後、テロを行った側の視点に立って考えてみるとどうなるのか。彼らは単なる殺人犯や暴力主義者ではないはずだ。彼らにとってはそうせざるを得ないようなやむにやまれぬ理由があるはずだ。それは一体何なのか。  去る二十二日の朝日新聞の「座標」欄で、船橋洋一氏の「国づくりあってこそ平和」という一文の中に、「国づくりには、少数派の権利を尊重し、その理念と利害を表現し、代弁する機能が大切だ。実はテロとの戦いにおいてはどの社会もその課題を突きつけられることになるだろう。テロは少数派の多数圧制への暴力的な異議申し立てという側面を多分に持つからだ。」と書いております。  私も同感である。なぜなら、私は少数派の沖縄県民として絶えず多数の圧制のもとに呻吟してきたからであります。  ことしは、時あたかもサンフランシスコ講和条約と日米安保条約締結五十周年の年であります。さきの衆議院本会議においても、与党代表の一人はその意見を自画自賛しておられました。しかし、これは我々沖縄県民の立場からは屈辱的な条約であって、その前後二十七年間、我々沖縄県民は自由と人権を標榜する米国の軍政下で自由と人権を著しく抑圧された経験を持っているからであります。  去る五日、九十四歳で他界された元衆議院議員瀬長亀次郎氏は、米軍の圧制に身をもって抗議の意思を表明された、沖縄県民の人権と自治を守る闘いの象徴でありました。日本復帰後二十九年たった現在でも、なお過大な米軍基地の重圧に苦しんでいるのが沖縄の現実であります。まさに沖縄は米国の軍事的植民地であります。  その上に、今回のような事件が発生すると沖縄は危険だといって本土から観光客が行かなくなる、沖縄県民は踏んだりけったりとは思いませんか。したがって、一日も早く米軍基地を縮小、撤去してもらいたい、それが多くの沖縄県民の心の底からの願いであります。  しかしながら、沖縄の現実はどうかといえば、普天間基地を返還するといいながら、一方では名護市東海岸の辺野古沿岸域に新しく米軍基地を建設しようとしているのであります。沖縄県民多数の意思に反する米軍基地建設の強行、これは圧制であると申しても過言ではありません。  政府は、名護市への新しい米軍基地の建設を直ちに中止すべきである、そして普天間基地の無条件返還を米国政府に要求するべきではないか。しかる後にテロ支援対策法という順序ではありませんか。  総理、お伺いします。
  398. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 沖縄における米軍基地の存在は、日本の安全保障、アジアの平和と安定に寄与しているところでございます。  しかしながら、この〇・五%の沖縄本島に在日米軍基地の七五%があるという状況のもとで、大きな負担を沖縄県民の皆様にかけているところでもございます。そういう中におきまして、私ども、このSACO合意に基づきまして、沖縄基地の整理、縮小、統合等を図ってまいっているところでございます。  普天間飛行場の移設・返還につきましては、これが市街地にあること等によりまして周辺住民の方々に不安感を持たせている、それを解消したいという考え方で、政府として全力で取り組んでいるところでございます。  これに関しましては、十一年の稲嶺知事の移設候補地に関する表明あるいは岸本名護市長による受け入れ表明等を受けまして、その年の末に普天間飛行場の移設に関する政府方針を閣議決定をいたしました。昨年の八月に代替施設協議会を設けまして、沖縄県の皆様、地元の皆様の御意見も聞きながら、米側とも緊密に協議を進めつつ、地元の御理解をいただきながら、本件の解決に全力で取り組んでいるところでございます。
  399. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 私はなぜこの機会にこういったことを発言しているかといいますと、先ほども申し上げたように、こういった事件によって沖縄の観光産業、いわゆる沖縄県は観光産業を大きな柱としております。それがもろに受けている。そういう事態をやはりやめさせるには、あるいは解消するためには、そういった沖縄県民の要求をもう少し耳に傾けていただいて、せめてこの機会に普天間飛行場の移設の問題は、アメリカに即刻普天間の飛行場全面返還を要求していただきたい、こういったことを強く要望をしておきたいと思います。  政府の今回の対米テロ対策支援法の制定を急ぐ心理は一体どこから来るものなのか。ある人は湾岸戦争の後遺症と言う。ともかくアメリカ政府の言を、意を迎えようとする幇間的な態度が極めて顕著である。国会の審議を短縮して成立を急ぐ態度、国会の事前承認を避ける態度、憲法解釈をうやむやにして集団的自衛権の領域に踏み込む態度、どれ一つをとっても全く理解に苦しむものであります。アメリカの意を迎えようとする態度が見え見えであります。対米迎合である。  これに反して、もう一つ沖縄のことを申し上げるが、現在の日米協定はしばしば沖縄県民の人権を守るに不十分との見地から、その改定要求は沖縄県民の総意となっております。しかし、歴代の政府は極めて消極的な態度をとっている。米国の要求には従順、国民の対米要求には軟弱と言わざるを得ない。  この沖縄県民の日米地位協定改定要求についてはどのように今御見解を持っておられるのか。外務大臣、お願いします。
  400. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 外務大臣だね。
  401. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 いいですよ、尾身さんでも。
  402. 尾身幸次

    国務大臣(尾身幸次君) 日米地位協定につきましては、まずはこの運用の改善により個々の問題に機敏にかつ適切に対応していくことが重要であると考えております。これが十分に効果的でないような場合には、もちろん日本だけで決められることではございませんが、その地位協定の改定も視野に入ってくるというふうに考えております。
  403. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 これはもう一九九五年のあの少女暴行事件以来の県民大会で決議された重要な柱なんです。それを、六年間たっているんですよ。それが県民にはなかなかわかりにくい。要求をしているのかどうかわからない。そういうふうな状況だから、この際、はっきりと政府の立場を鮮明にしてほしい。それが沖縄県の要求なんですよ。  それをうやむやにして、今わけの、私はわけのわからぬと言いたいんですけれども、余りよくわからない。何回こういったことを繰り返しているんですか、政府は。それをはっきりさせてほしいというんですよ。総理大臣、どうですか。日米地位協定の改定問題ですよ。
  404. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、尾身大臣が述べたとおり、まず運用の改善でできるだけ納得できる解決策を講じようと。それが効果的でない場合は、これはいろいろ両国の関係ですから、新しい改定も視野に入れなきゃならない。  しかし、当面、運用の改善でできるだけ協力していこうということで話し合いを続けて、それが今うまく機能しているという状況ですから、私は当面は運用の改善で対処していきたいと思っております。
  405. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 時間であります。
  406. 島袋宗康

    ○島袋宗康君 どうも、終わります。(拍手)
  407. 北澤俊美

    委員長北澤俊美君) 以上で質疑は終了いたしました。  本連合審査会はこれにて終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時五分散会