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山口那津男君 この自国の軍隊を国外に
派遣することに
国会がどの程度関与するか、こういう制度については国際的には国によってさまざまだと思います。
今回の
テロの対応に限ってこれを見てみますと、アメリカにおいては戦争授権法という一般法がありまして、今回の事態に武力を行使することに対して
国会の決議が
テロ後速やかになされているわけであります。これは、戦争授権法に基づく特別法の制定に該当するものだと見られておりまして、いわば特別法で直ちに
国会の議決を経て武力の行使が開始されていると、こういう構造になっております。
イギリスの場合はどうかといいますと、イギリスは制定
憲法がありません。そして、この軍隊の
行動については国王の大権と
理解されておりまして、議会の
承認を求めることは要求されておりません。ただ、慣例上、議会での議論というのがなされてきているのが実際でありまして、今回の場合もイギリスの議会では三回ほど議論がなされていると、こういうふうに聞いておりまして、事実上、
国会の関与というものが保障されているわけであります。
それから、ドイツの場合。ドイツの場合は、NATOに加盟しておりますので、NATOの域内に
派遣する場合には、これは
国会の議決を必要としないということになっております。現実に、今回AWACS五機を
派遣する中にドイツ連邦軍の兵士が加わっていたわけでありますが、このAWACSはアメリカ、つまりNATOの加盟国への域内
派遣という
理解でありましたから、これについては
国会の議決をいたしませんでした。しかし、またもう一方で部隊
派遣をいたしております。この部隊
派遣、約三千九百名規模で、NATOの域外、つまり北アフリカでありますとか中東地域あるいは中央アジアの地域に
派遣をしたわけですね。ですから、これは域外
派遣ということになりまして、これについて
国会の議決並びに閣議の
決定、
基本計画の閣議の
決定をして出しているわけですね。
このドイツの場合は、その
閣議決定と
国会の議決、これは
我が国の制度とかなり似た手続だというふうに思います。そして、
閣議決定の
内容がどのようなものかといいますと、
派遣する部隊の種類ですね、これは部隊の種類、衛生ですとか
医療ですとか、そういう種類を示すことによって
活動の
内容がある程度想像できるという
内容です。それから、それぞれの部隊の人数、この人数を示すことによってその
派遣の規模というものがおよそ想定されるわけであります。そして、
派遣の期間についても定めております。それから、もちろん、
活動する地域、これはある程度抽象的でありますけれども、
我が国と似たような
派遣地域を
規定しているわけであります。
そうしますと、
我が国の
基本計画で、このドイツと比較した場合に、人数を示すかどうかというところについてちょっと定かではないところがあるわけであります。今回の
基本計画決定の手続の過程におきましては、この
派遣の人数については当初なかなか示されませんでした。そして、最終的にはこの人数の規模についても明示されることとなったわけであります。
ここで、もろもろの国々の制度についてはいろんな違いがあると思いますけれども、今後、そうした
シビリアンコントロールといいますか、
国会の関与のあり方について、国際比較を通じながら、
我が国の制度が
国民に信頼され、
国際社会からも信頼される、そしてまた、実際に参加する
自衛隊の
方々が誇りを持って確信に満ちて
活動できる、そういう制度につくり上げていかなければならないだろうと、こう思いますので、今後の検討をよろしくお願いしたいと思います。
長官、いかがでしょうか。