○佐々木(憲)
委員 ですから、そこがやはり機械的、画一的だというんですよ。
最初に確認したように、
中小企業というのは地域経済にとって極めて重要な役割を果たしているわけで、この不況の中で、信金、信組の貸出先というのは七割が
赤字だと言われている
中小企業です。
赤字になっても、返済が多少おくれても、必死になって債務を返そうと
努力をして、歯を食いしばって頑張っているわけですね。ところが、
金融庁は、信金、信組に対して、圧倒的に
中小企業が多い、そういう場合に、その特殊性を考慮しないで、大
銀行にも同じようなことを適用する、中小信金、信組に対しても同じような基準で債務者区分をいわば押しつけているわけであります。
だから、例えば三期連続
赤字あるいは返済が六カ月延滞した、こういう場合に、直ちにこれは破綻懸念先あるいは実質破綻先というところに債務者区分を変更していくわけですよ。実際には、今まで中小の信金、信組は、そういうところでも相手の顔を見て、おやじさんが信頼できる、だから多少のことがあってもしっかりと貸し出しを継続する。ところが、このマニュアルでは、そういうところに対しても、大
銀行と同じような一律のやり方でこの基準を当てはめて、これは債務者区分が間違っている、もっとこれは
倒産しそうな破綻懸念先あるいは実質破綻先だ、あるいはもう破綻している、こういうことで、どんどん輪切りにして、その実情を無視して債務者区分を下げる。
そうなるとどうなるかといえば、それに対して引当金を積まなきゃならぬ、あるいは
償却をして切り捨てなきゃならぬ、こういうことになるわけですよ。それで、引当金の積み増しで、これは大変だ、何十億という引当金積み増しを要求されて、信金、信組は、これはもう耐えられないということで次々と破綻に追い込まれるということになるわけであります。
ちょっと
資料を配っていただけますか。
これは、例えば昨年の破綻を見ても、信組は十三、信金は五、合わせて十八の信金、信組が破綻しておりますけれ
ども、この表を見ていただくとわかりますけれ
ども、ことしに入ってから経営が破綻した信金、信組はもう本当に大変な規模であります。
この表はことし一年だけの今までのデータでありますけれ
ども、手元の
資料だけでも、七つの信金、三十以上の信組が破綻しているんです。しかも、年末にかけてこれが急増しているという状態です。そのほとんどが、
金融庁の画一的な
検査で、そして債務者区分、これはもっと厳しくやるんだ、引当金を積みなさいということで破綻させられている。
例えば、十月十九日に破綻した、一番上にある栃木の宇都宮信金、これは三十億の
償却・引当金の追加を求められたのが破綻の引き金になっているんですよ。債務超過は二十三億円。
同じ十月十九日に破綻した愛知県の常滑信用組合、これは二枚目の上から三番目にありますけれ
ども、私も現地を
調査してまいりました。ここでは、厳しい
資産査定で債務者区分を変更させて、
償却・引き当ての積み増しを三十七億円要求されたんです。増資に走り回ったけれ
ども、実際にはそれがうまくいかないということで破綻をした。債務超過は二十二億円であります。
十一月二日に破綻した大栄信組、これはことしの六月二十九日に
検査結果が通告され、二十九億円の引当金を積むように言われた。九月には引当金を七十五億円にするように求められて、結局、四十一億円の債務超過で破綻させられている。
ですから、一々挙げたらもう切りがないわけですけれ
ども、この
一覧表を見ると、かなりの部分は、
金融庁の画一的な
検査で債務者区分の変更を迫られて、引き当てを積まされて、積まなきゃならぬという
状況に追い込まれて、それで破綻しているわけです。健全性を確保するなんて言うけれ
ども、健全性どころか、一生懸命
努力をして、本当に今経営が大変な状態になっているにもかかわらず、これが何で
検査によって破綻させられなきゃならぬのか。
柳澤大臣にお聞きしますけれ
ども、大量破綻の原因というのは、やはりこういう
検査マニュアルによる画一的な適用、この
検査にあるということは明らかじゃありませんか、これだけ大量の破綻が出ているというのは。いかがですか。