○横光
委員 社民党の横光克彦でございます。
補正予算案にテロ対策費も計上されております。まず最初に、私もテロ問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
二十世紀は戦争の世紀とも言われました。そして、二十一世紀こそ戦争のない世紀でありたい、全
世界の人々の願いとともに二十一世紀がスタートしたわけでございますが、残念ながら、二十一世紀も、一年にも満たないうちに戦争の世紀としてスタートしつつあるわけでございます。
アメリカで起きたあの憎みても余りある
同時多発テロからちょうど二カ月が経過いたしました。そして、それに対する報復攻撃であります空爆が開始されてから一カ月が経過したわけでございます。この間、私たちは、朝、昼、晩と毎日テレビのニュースで空爆の映像を見せつけられてきました。そしてまた、新聞や写真報道、そういった活字の面でも全く同じでございます。
当初は、この空爆の悲惨さや残忍さや、あるいは誤爆の被害、さらには、先ほどお話がございました難民の発生、親に手を引かれて素足で歩く子供たちの映像なんかを見ますと、やはりほとんどの人は胸を痛めたのではなかろうかと思いますが、とりわけ私たちの国の同世代の子供たちが、ああいった映像を毎日見てどんなにかショックを受けたのではないか、このように思っております。
ただ、私が今心配をしておりますのは、一カ月間こういった映像を見てきますと、やはり、当初のあの空爆の痛みとか、そういった感覚がだんだん麻痺してきて、ああ、きょうも空爆かというふうに、そのことがまるで当たり前のようになってしまうことが非常に私は心配である。事細かに私たちは映像すべてを見ることはできませんが、やはり爆撃した後の噴煙の向こう側には、命を落とし、傷つき、そして恐怖におののいている、そういう人たちがたくさんいるということを忘れてはならない、そんな気がいたしておるわけでございます。
もちろん、
同時多発テロのことは忘れてはなりませんし、それで受けた被害、それは
アメリカの人たちの想像を絶する被害でございます。ですから、
アメリカの気持ちもわかり過ぎるほどよくわかります。ですから、報復攻撃についてもいろいろな意見があり、それが正しいのかどうかはまだわかりません。しかし、これだけは言えると思うんです。空爆が続く限り、先ほど申しましたが、
アメリカに次いで今度はアフガンで新たな被害が発生する、これだけは事実なんですね。このことを
考えると、先ほども出ましたが、アナン国連事務総長の言うように、空爆の一時停止というのが今求められているのではなかろうかという気がするわけでございます。
日本の子供たちは戦争を知りません。しかし一方、アフガンの子供たちは平和を知りません。私たちの国は、戦後五十六
年間、どこの国とも
ただの一度も戦争することなく、平和な国でやってこれました。これはやはり
国民の努力の総結集である、非常に重い重い五十六年であったと私は思います。今、あったと申しましたが、この五十六
年間の重みが今徐々に徐々に崩れ去ろうとしているのではないか、そんな心配をいたしております。
三日前、二〇〇一年十一月九日、海上自衛艦三隻がインド洋に向けて出港いたしました。国連に基づく国際貢献でもなく、いわゆる調査研究という法的根拠のもとで、自衛隊が戦後初めて戦闘地域に向けて出発したわけでございます。その瞬間を見ておりまして、私、あの三隻の自衛艦が港を離れていく映像を見まして、
我が国と
我が国の
国民は引き返すことのできない危険な道の入り口に立たされたんだな、そういう思いがしたわけでございます。戦争を知らない子供たちに決して戦争を知ることのないように、そのとき祈らざるを得ませんでした。
アフガニスタンでは空爆が続いております。そして、もうすぐ厳しい冬がやってまいります。しかも、四日後、十六日からはラマダン、断食の月が始まります。イスラム教徒の断食が始まる前、十月末でしたか、私たちの国でも、作家の瀬戸内寂聴さんが米軍によるアフガニスタン攻撃の停止を願い、三日間の反戦の断食を行いました。瀬戸内さん、大変な御高齢であったにもかかわらず、多くの賛同者とともに三日間の断食を行ったんです。そのときに、瀬戸内さんはこうおっしゃっております。受けた恨みに報復しても、恨みの連鎖は断ち切れません、よい戦争などありません、戦争反対の意見は少数かもしれませんが、少数意見がない
世界になってはいけません、このように瀬戸内さんはおっしゃいました。私たちも、このような思いの人たちと、たとえ少数意見であろうと、はっきりと主張してまいりたいと思っております。
私の思いを述べさせてい
ただきましたが、それではちょっと
質問に入らせてい
ただきます。
アメリカは、ラマダン中、いわゆる断食の期間でさえも攻撃を続けると表明しております。しかし、隣国のパキスタンのムシャラフ大統領は、ラマダン中の攻撃、空爆だけはやめてほしいと米英に強く申し入れたんですが、拒否されております。
アメリカのタリバン攻撃を容認して支持さえしているパキスタンの大統領が、なぜラマダンの間は空爆をやめてほしいと訴えたのか。私は、このムシャラフ大統領の思いを
世界各国は真剣に受けとめなきゃいけないと思うんです。
ラマダンとは、
世界のイスラム教国、イスラム教徒が
一つになって、神を畏敬し、そして感謝をささげることを目的に断食と祈りをささげる一カ月なんです。ですから、こういったときに空爆をされますと
世界のイスラム教徒がどのような行動を起こすか、そのことを一番よく知っているのはムシャラフ大統領であり、そしてまた、そのことを一番恐れているのがムシャラフ大統領だと思うんですね。つまり、隣国のパキスタンで、クーデターやあるいは内戦など、最悪の事態を招きかねない。パキスタンは御案内のように核の保有国でございます。私は、このことを大変ムシャラフ大統領は危惧して、空爆の停止を求めているんだと思います。
私たちの国は、あっという間に数の力でテロ特措法を成立させてしまいました。そこまでして
アメリカに協力姿勢を示すのであれば、
アメリカにももっと
日本の思いを、
日本の主張をはっきりと、私はこの際イエス、ノーを言うべきだと思うんです。あれだけの協力法をつくってしまったんですから、それなりのことは言わなきゃならない。ですから、
ただただアメリカに追従するのではなく、やはり、あのムシャラフ大統領の声、いかに危険であるかということをしっかりと受けとめて、ラマダンという無抵抗あるいは無防備状態のときの空爆は中止すべきである、このように私は
アメリカに訴えるべきだと思います。
総理にお聞きする前に、私は外交のトップリーダーでございます
田中外務大臣にお聞きしたい。
田中外務大臣は、個人的にはそういったラマダンの間に空爆をすることは、恐らく私は心配されておるだろうし、賛成するお
考えはないと思います。
日本のトップリーダーとして、このラマダンの途中の空爆だけは中止するように
アメリカに訴えてい
ただきたい。いかがでしょうか。