○大森猛君 私は、
日本共産党を代表して、
小泉総理に質問します。(
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最初に、
財政演説に対する質問に先立ち、アメリカなどによるアフガニスタンへの軍事攻撃と自衛隊の参戦について質問します。
総理、アフガニスタンをめぐる現在の
状況は、極めて深刻になっています。米軍によるアフガン空爆が開始されて以来一カ月、日を追って、罪なき人々への犠牲が拡大し、まさに泥沼化しております。国連のNGOや国際赤十字の事務所、住宅、病院、老人施設が爆撃され、子供、女性、お年寄りを含めた多数の市民の命が奪われています。
しかも、米軍の攻撃は、クラスター爆弾、さらに、あらゆる生物が窒息死する燃料気化爆弾デージーカッターなど無差別殺傷兵器をも投入するもので、今、これに対する厳しい国際的批判も起きています。
インドネシアのメガワティ大統領は、軍事行動の継続は非生産的で、テロとの闘いでの
世界連合を弱体化させると述べていますが、米軍の軍事攻撃は、今や、テロ根絶の国際社会の団結に重大な亀裂をつくり出しているではありませんか。
とりわけ、今、重大なことは難民の問題です。アメリカなどの軍事攻撃がアフガン難民に対する人道支援の障害となっていることは、もはや猶予できない
状況であります。国連は、空爆が続けば難民の中で九十万人の餓死者が出る危険があると
報告しています。我が党のパキスタン調査団に対し、現地の国連関係者は、アフガニスタンにできるだけ多くの食料を運び込み冬に備える必要がある、ここ数週間が極めて重大、今援助が途絶すれば深刻な悲劇が起きると指摘をしています。だからこそ、アナン国連事務総長も空爆の早期終結を求めているではないですか。
総理、今、数十万のアフガン難民の命を救うため、直ちに空爆中止、軍事攻撃の中止をアメリカに要求すべきではありませんか。
総理の見解を求めます。(
拍手)
次に、自衛隊の参戦問題です。
政府は、きのうの安全保障
会議で、護衛艦二隻と補給艦一隻のインド洋派遣を
決定し、けさ、三隻の自衛艦艇が長崎県佐世保基地を出港しました。
総理、アメリカの報復戦争が泥沼化し、テロ根絶の上でもその道理のなさが国際的にも明らかになっているそのさなかに、憲法を踏み破り、自衛隊の参戦を強行するのですか。
しかも、今回の出動目的は、テロ特措法に基づき米軍の戦争支援に自衛隊を出動させるために必要な現地の調査だと言いますが、一体、いかなる現地で、何を調査するというのですか、調査期間はいつまでというのですか。
また、防衛庁設置法の調査研究を根拠にしたと言いますが、調査研究でどうして自衛隊が現実の戦場近くまで出動できるというのですか。明快な
答弁を求めます。
次に、
補正予算と
雇用、中小企業問題について質問します。
小泉総理、あなたが就任して六カ月、この間、すべての経済指標が悪化しています。この六カ月間で、中小企業の倒産は九千六百六十五件、完全
失業者は十五万人
増加、GDPも史上初めて二年連続マイナスになろうとしています。既に
国民は、かつてない痛み、激痛にさらされています。
ところが、
総理は、このような
国民の痛みに全く目を向けないだけではなく、むしろこのような時期にあってこそ
構造改革を加速させていく必要があると、驚くべき態度をとり続けています。これでは、不況、デフレの悪循環へどんどん突き進むことにならざるを得ません。
今回の
補正予算案は、
雇用や中小企業の
セーフティーネットなどと言っていますが、これが大量
失業、大量倒産を促進する
構造改革政策とワンセットで提起されていることが問題であります。これでは、
雇用、中小企業、
国民生活など、今日の深刻な問題の
解決にはならないではありませんか。
今、緊急に求められているのは、このような
構造改革路線をきっぱりと改め、
国民の苦しみを取り除く政治に転換することであります。生活と営業を最優先させる政策を実現してこそ、
個人消費の拡大を中心とする実体経済回復への転換を図ることができるのです。
小泉総理、あなたは、
構造改革のためなら
失業と倒産がどんなにふえ続けてもやむを得ないという冷たい態度をさらにとり続けるつもりなのでしょうか。
答弁を求めます。(
拍手)
次に、
雇用対策について質問します。
完全
失業率はついに五・三%、
失業者は実に三百五十七万人と過去最高、統計に出ない、
求職活動をあきらめた潜在
失業者、これを入れれば八百万人にも達する、文字どおり戦後最悪の事態となっています。
最大の問題は、大企業が相次いで数万人規模のリストラ
計画を発表し、実行していることであります。電機大手各社は、一方で巨額の内部留保をため込みながら、IT不況を
理由に、一万人、二万人という大量のリストラ競争を行っています。我が党の調査では、電機大手六社で、この十年間で、国内
雇用を五万五千人減らし、海外
雇用は二十万人もふやしています。その結果、わずか十年前、国内
雇用の約半分だった海外
雇用が、今や、国内の一・三倍にまでなっているのであります。
総理、あなたはこのような事態を放置しておいても構わないと考えているのか、
お答えください。
九月十四日の
予算委員会で、
総理は、企業には経営者としての社会的責任と同時に、会社を倒産させてはいけないという責任があると
答弁されました。では、これらの大リストラを進めている企業で、一社でも倒産しそうな会社があるのか、あるならはっきり答えていただきたい。
次に、解雇法制についてお聞きします。
今、大事なことは、これ以上
失業者をふやさせないことであります。
総理は、我が党の志位
委員長の代表質問への
答弁で、解雇の基準やルールを明確にすることは大切だと述べ、その後、
厚生労働大臣は、そのための立法化の意向を明らかにしています。
問題は、どういう
法律をつくるかであります。
政府は、これまでは、解雇四要件に基づく対応と労使間の話し合いにゆだねてきました。これに対して、我が党は、大企業の身勝手な解雇を許さない立場で、この最高
裁判例で確立された四要件、すなわち、一、人員削減の必要性、二、解雇回避努力、三、解雇
対象選定の妥当性、四、解雇手続の妥当性、これに基づく解雇規制法をこそつくるべきだとこれまで
提案してきましたが、立法化する以上、当然、こうした
内容とすべきと考えますが、
総理の見解を求めます。
次に、労働時間短縮と
雇用の拡大について質問します。
今日の厳しい
失業情勢を打開する上で、もう一つ重要なことは、労働時間の短縮によって
雇用を拡大することです。サービス残業は
もとよりのこと、長時間残業をなくし、年休の完全消化を進めることが、
雇用の拡大にとって
決定的に重要です。
さきの電機大手の労働者の年間労働時間は二千三十三時間、同じ電機でも、ドイツは千五百九十四時間、フランスは千六百七十二時間、これらと比較しても、今、過剰なのは、労働者ではなく、
日本の労働時間であることは明らかではありませんか。
今こそ、
世界の流れでもある、労働時間短縮による
雇用の拡大が必要です。それは個々の企業任せではできないことも明らかです。
政府がイニシアチブを発揮すべきではありませんか。
サービス残業については、坂口
厚生労働大臣は、九月十四日の
予算委員会の
答弁で、四月六日に出したサービス残業規制の通達について、現在、周知徹底を図っているところだと
答弁しました。通達を出してから、既に半年以上
経過しております。その
実態把握と指導は現在どのように進めているのか、
お答えいただきたい。
総理の見解を求めます。
次に、中小企業問題についてお尋ねします。
今、中小企業の経営困難はかつてないものになっています。にもかかわらず、
政府は、支援するどころか、不良債権の早期
処理を金科玉条として、長期にわたる不況で経営危機に苦しむ中小企業に対して、資金回収をますます激化させています。そして、厳しい中でも生き続けようと懸命に努力している中小企業の息の根をとめるようなことまでしています。
国会に
参考人として出席した、
総理の地元の湘南信用金庫の理事長は、ある大手銀行は、割賦弁済を一時決済に切りかえろ、承諾しなければRCC送りにするとおどかす、月末に手形の決済をするため銀行に送金したら融資の返済に充てられ、不渡りを出したため、無理やり破綻させられたと、生々しい
実態を話されました。
ゼネコンに債権放棄をするのなら、せめて返済を待つぐらいはしてくれ、こういう中小企業の悲痛な声が
総理には聞こえないのですか。
中小企業は、
日本の経済の土台を支え、労働者の七八%を
雇用するとともに、地域経済や社会、文化の担い手として欠くことのできない役割を果たしており、これを支え、発展させることは、
日本経済
再生にとっても緊急の課題になっています。
今やるべきことは、困っている中小企業をつぶすことではありません。困っている中小企業を助けることこそが、政治の役割、
総理の仕事ではありませんか。
総理の見解を求めます。(
拍手)
その際、金融機関の果たすべき役割は大変重要です。金融機関がその地域から預かっているお金はその地域の個人や中小企業に融資する、その度合いによって格付を行う地域再投資法、また、中小企業団体が
提案している金融アセスメント法の制定など、新しい中小企業支援の方向に今こそ転換すべきではありませんか。
総理の
答弁を求めます。
総理、今、景気を回復させるために一番大事なことは、GDPの六割を占める
個人消費を拡大するために、
雇用不安を解消すること、社会保障・医療
制度を充実させること、消費税の当面三%への引き下げなどを行うことであります。
国民生活防衛なくして景気回復なし、このことを強く指摘して、私の質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小泉純一郎君
登壇〕