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国務大臣(
塩川正十郎君) 私に対しましては、たくさんの
質問をいただきました。約八点あると思っておりますが、順次お答えさせていただきたいと存じます。
まず最初に
お尋ねがございました問題は、現在、
失業率が
最高になっておったり、また
倒産件数も多い、この
経済の
認識をどう見ておるかということでございます。
これは後で
竹中大臣からも御
説明があると思いますので重複は避けたいと思うのでございますが、私は、やはり現在、非常に悪い
状態にあるということは十分に
認識しております。特に
企業収益が非常に
収縮しておりますし、それがために
設備投資が行われないということ等ございまして、
景気は引き続き悪化しております。
そこへもってきて、さらには、
産業の
空洞化が起こりまして、
輸入物資が非常にふえております。これらが非常に低価で、安定な供給がされておるものでございますから、
中小企業の
対抗力が非常に弱いということも
認識しておるところでございます。
この
回復がおくれております
原因の一つといたしましては、やはり
IT産業が予想以上の深刻なダメージを受けたということもございますし、またさらに、先般起こりました
アメリカでの
テロ事件の
影響がございまして、
アメリカ経済に与える
影響は、非常に
先行きが暗いものがある、不透明なところがございます。
ぜひひとつ早期に
回復してくれることを願っておるのでございますが、こういう
状況の中にあって、
政府といたしましては、
状況の変化に細心の注意を払いながら、中長期的な視点から
経済、
財政の
構造改革に積極的に取り組んでいきたいと思っておりまして、十月二十六日に
改革先行プログラムを決定し、これを着実に実施するために、近く
皆さんに提出いたしますところの
補正予算に盛り込み、さらには本
予算におきましてもこの実現を図るようにいたして、
民需主導の持続的な成長を目指しておるところでございます。
同時にまた、年末にかけまして、これからの
先行きについての中長期的な
経済の見通しをお示しいたして、ぜひひとつ積極的に御
議論いただきたいと思っておるところであります。
日本経済の悪化の
原因は
資産デフレにあるということでございまして、これに対する答弁をしろということでございます。
私は、確かに、
資産デフレの
状態が起こっておるようにも思うのでございますけれども、これは、
バブル崩壊に伴う
株価と地価の
下落がこの主動因である、これが家計を圧迫して、また
企業の
体質改善にも非常に
阻害条件になっておることは承知いたしておりまして、このためにも、ぜひとも
資産価格の
下落をここで抑制しなければならぬと思うておりまして、いわば都市を中心といたしました積極的な小型の
公共事業等の
展開等をもってこの
対策を講じたいと思っております。
それから、債務の返済を優先するといったバランスシートの調整にも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
なお、このような
状況に応じまして、間接
金融中心の
金融構造や不動産
市場の低迷など、
資産市場の抱える構造問題を解決するために積極的に取り組めという小泉さんの御指示でございますが、私たちもそのことに一層の努力をしてまいりたいと思っております。
なお、この件につきましては
改革先行プログラムの中に盛り込んでおるものがたくさんございますので、この件につきましては、後でまた
竹中大臣から
説明があろうと思っております。
次に、
小泉政権発足以来の半年の間で
株価が四千円も下がってきておる、一万円台になって、これを割り込もうとしておるではないか、これによる
国民の
資産の喪失額及び大手十五行の含み損の額は
幾らぐらいになっておるのかということでございます。
この
お尋ねに対しましては、東証一部上場
株式の
時価総額を見ますと、
小泉内閣が
発足しました本年四月二十六日と昨日の
時価総額を比較しますと、おおよそ八十兆円減少しております。また、主要行の含み損につきましては、
金融庁の所管ではございますけれども、各銀行が保有する
株式の種類が異なることや、あるいはまた、保有株の時価が
日経平均に必ずしも連動されていないこと等を
考えますと、一概に申し上げられないと
認識しております。
次に、この半年間の
株価の
下落及び
株式市場の
活性化についてどう
考えておるのかという御
質問でございます。
我が国の
株価は、
下落基調での推移となってまいりました。先般の
テロ事件の発生後、一時、
日経平均株価が一万円を大きく割り込むなど、一段の
下落をいたしまして、私たちも早急に方策をいたしたのでございますが、やっと九月下旬以降はやや持ち直しまして、一万円台にまで復活してまいりました。しかし、これで十分とは申せず、もっと
株価の上昇を図るべきであると思っております。
株価は、
企業の業績見通し等を反映するものであり、
経済指標の一つとして今後とも十分注意してまいりますが、
証券市場の
活性化のためには、目先の
株価対策といった視点ではなくして、やはり貯蓄優遇から
投資優遇へ
金融のあり方を切りかえるということと、もう一つは、
企業自身が体質を強化して配当性向を高めていくというようなこともございますし、またさらには、
市場の
透明性、
公平性を確保いたしまして、安心をして
投資していただける環境をつくる必要があると思って努力いたします。
また、税制等につきましても、今回提示いたしました税制
改正の
内容の中に盛り込まれておるように、大衆の
皆さん方が
参加しやすいような方法をいろいろととってまいりたいと思っておるのでございます。これによりまして、証券・
株式市場の
活性化を図っていきたいと思っております。
なお、今後とも、
株式市場の
活性化のためには、
企業体質の強化並びに配当性向に魅力を持たすような方法につきまして、一層の
財政面からの努力もいたしたいと思っております。
さらに、
緊急投資優遇措置、これは、一千四百兆円の
国民の
金融資産のほとんどを占める
高齢者層に
株式投資に
参加してもらうための
効果が期待できないのではないか、こういうお話でございます。
私たちは、高齢者に限らず、より多くの
個人投資家が積極的に
株式市場に
参加してくれるきっかけをつくりたいと思いまして、今回の
証券税制の
改正をいたしたところでございます。
一定の期間の保有も
要件としておることから、
株式の保有を促進するということに重点を置いておるということも御承知いただきたいと思うのであります。
次に、御
質問ございました第七問目の問題でございますけれども、今回の
改正案以外にも、
株式市場の
活性化策としてどのような
対策を
考えておるかということでございます。
これには、
国民一般が安心して
参加できる、
透明性、
公平性の高い
市場の
構築といった
証券市場の
構造改革を進めることがまず先行するものでございますが、同時に、
企業体質が改善するようにいたしたいと思っております。
それと同時に、
個人投資家の
証券市場への
信頼向上のためにインフラの
整備をいたし、また、証券に対する魅力を、そして安全を確保するために、例えばETFの積極的な活用等を図ってまいりたいと思っておりますし、また、魅力ある
投資信託の実現等に対しまして、証券業界等の御協力をいただきたいと思っております。
最後の御
質問でございますが、国債の
格付についてどう
考えているかという問題でございます。
私たちは、この国債の
格付につきましては非常に神経を使っておるのでございまして、国債の
格付ということは、要するに、国の
経済力を
外国がどのように評価するかということに結びついておりますし、いわば国力の象徴ともいうことでございます。
格付におきましては、国の
格付を行う部門、ソブリン部門と申しますが、この部門では、通常、数名のアナリストたちがチームを構成いたしまして、
格付を行っていると承知しております。また、こうしたアナリストたちは、通常、
金融機関での勤務経験を持つ専門家であり、また、公認会計士等の資格を有する者でもって構成されております。
現在、国債は円滑に消化されておりますが、
格付会社は、国債発行等に対しまして、当局の姿勢というものに重点を置いて監視いたしております。私たちといたしましては、国債の安定的な消化に努力をすることに重点を置いております。また、幸いにいたしまして、国債の消化は順調に進んでおりまして、また、この消化の結果といたしまして流動性資金の十分な確保もできておるということは、
日本の
経済のいわば短期的な
観点といたしましては成功しておるように思っております。
特に私は、重点を置いていますのは、為替レートの安定的な推移というものに十分な注意をいたしておるのでございまして、そのこと等をわきまえまして、
格付会社等の
格付チームが訪日いたします場合は、みずから積極的に、その求めに応じて、国債の
状況並びに国の
経済政策等について理解を得るように努力しておることでございます。
なお、民間の
格付会社の最終的な判断あるいはこれに対する批判というようなことは、
政府といたしましてはコメントすることは差し控えたいと思っております。
以上、急ぎ申し上げましたが、非常に
質問が多かったもので、十分時間をかけられなかったことは残念でございますが、御了解いただきたいと存じます。(
拍手)
〔
国務大臣柳澤伯夫君
登壇〕