○土田龍司君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました
テロ関連三
法案について
質問いたします。(
拍手)
このたび、
米英両国は、予想されていた
軍事行動の一環として、アフガニスタンへの
攻撃を開始いたしました。
今回の
攻撃は、
米国の
個別的自衛権、
英国の
集団的自衛権の
行使であります。
我が国が
自衛隊を
派遣することによりこれを軍事的に
支援することは、
集団的自衛権の
行使に当たり、それは、これまで
政府が
憲法で禁じられているとしてきたものであります。NATOは、既に
集団的自衛権を
行使することを明確にした上で、平和のために戦う
活動に参加したのであります。
日本政府がこのことを真正面から論ぜず、新しい
憲法解釈を国民に明示することなく、人道
支援あるいは
国際協力という名の装飾を施して新法を通そうとしていることは、国民を欺く以外の何物でもありません。
この見地から、私は、以下数点にわたり、小泉
総理の御所見をただしてまいります。
まず、
政府案では、今回の
軍事行動への
我が国の
支援活動を、
国連憲章の
目的達成のための
活動と
法案名に明記し、いかにも
国連の旗のもとでの
活動であるかのように見せておりますが、これは、国民に誤った
認識を与えるもの、言いかえれば、国民に対するごまかしであります。
本来、
国際紛争を解決するのは、
国連憲章第四十二条による平和強制
措置、あるいは
国連の
武力行使容認
決議による
加盟国の共同
行動でなければなりません。今回の
米英両軍の
行動並びに各国が行い、または行おうとしている軍事的
支援措置は、
国連憲章第五十一条に基づく、
国連が動き出す前の暫定
措置としての、個別的・
集団的自衛の権利を
行使するための
行動であります。これらの
行動は、
国際紛争を解決するために陸海空軍を動かすこと、イコール
戦争、イコール
武力行使なのであります。ごまかしではなく、
国際法上、各国の
軍事行動がどのような性格を持つものなのか、小泉
総理から明確に国民に
説明すべきであると思いますが、いかがなものでございましょうか。(
拍手)
そもそも、
政府が今回の
行動をあくまで
国連憲章の
目的達成のための
活動と位置づけるおつもりならば、
国連憲章第四十二条に基づく
国連における
武力行使容認
決議の採択を
安保理各国に働きかけるべきではありませんか。こうした努力を行ったのでしょうか。
総理の御答弁を求めたいと思います。
米国が
テロという卑劣な
行為に対して
自衛権を
行使し、NATO諸国が
集団的自衛権の
行使を宣言して、前方あるいは後方に軍事力を展開しようというときに、
我が国は、
自衛隊は
派遣するが
集団的自衛権は
行使しないなどという
国際ルールにそぐわない論理が通用しないことは明らかであります。
戦争には前方も後方もありません。兵たんをたたくのが近代
戦争の常識であります。前線でしか
武力行使しないということはあり得ません。後方
地域であっても、いつ
攻撃されるかわからない、戦闘に参加している状態なのであります。戦闘状態には常に動きがあり、戦線も移動していくのもまた常識であります。後方
地域に戦線が拡大した場合に逃げて帰ってくるというような
対応をすることこそ、
国際社会の笑い物であり、
自衛官の誇りを傷つけるものであります。そのようないいかげんな
法律をつくってまで、
自衛隊を
海外に
派遣するべきではありません。
テロのような新しい形の現代
戦争には、戦場という概念そのものもなくなりつつあるのであります。
政治が
責任をとろうとしない、
武力行使と一体化しない
武器の
使用なら構わないが、
武力行使と一体化するのは
憲法で禁じられているからだめだなどという机上の論理を押しつけて、
現場の
指揮官が安んじて指揮をとることができるでありましょうか。
派遣するなら、堂々と、後方
地域であっても
武力行使することもあり得ると、
政府の
憲法解釈を変更して
派遣するべきであると思いますが、小泉
総理の御
見解を伺いたいと思います。
次に、今回の
自衛隊の
派遣は戦後の
我が国の
安全保障政策を大きく転換しようとするものであり、わずかばかりの
審議で慌てて
法律をつくって
自衛隊を
派遣すればよいというような安易な
対応は許されません。
我が国は、戦後、
米国との間に
日米安全保障条約を結んで、
我が国の安全を確保してまいりました。
我が国及びその周辺
地域において
我が国の安全が脅かされた場合には、日米両国が共同で対処する、すなわち、
日本の平和と安全を共同で守るというのが日米安保条約であります。今回、この
枠組みから大きく外れて、
日本周辺
地域からもかけ離れて、第三国の領土と領海に赴き、
米国と
日本が共同作戦を行おうとするものであり、これは紛れもなく、
我が国の
防衛大綱からの逸脱であり、日米同盟
関係の大きな変質であります。
言うまでもなく、我々も、日米
関係は最も重要な二国間
関係だと考えております。日米同盟の重要性も
認識しております。しかし、日米同盟を改める必要があるならば、どんな原則で、どこまで
米国と
行動をともにするのか、
政府がまずその方針を明確に示すべきであります。日米安保条約の改定もしないで、日米ガイドラインを見直すこともなく、ACSA改定協定も結ばずに、この
法律さえ制定すれば
米国とともに
自衛隊を
海外に
派遣できるという
態度は、およそ主権
国家、
法治国家として
我が国がとるべき
態度ではありません。この件に関する
総理の御
見解を明確にお示しいただきたいと思います。
このような泥縄的な
対応を予見し、警鐘を鳴らし、
政治としての明確な
対応が必要であることを常に主張してきたのが我々自由党であります。
自由党は、一昨年の一月、自民党との連立政権に加わるに当たり、
国家としての
安全保障の原則と方針を示し、具体的な
法的措置をとるよう要求いたしました。しかし、残念ながら、自自連立、その後の自自公連立において、自由党が主張した、
安全保障の
基本原則の確立も、有事法制など
危機管理のための
対応も、一向に進展を見ることもなく、我が党はそのために連立政権離脱の道を歩んだのであります。
当時の与党協議では、
国連の旗のもとに、中立も確保され、停戦の合意があり、当事国の同意もあって
自衛隊の
部隊を
派遣するPKFの凍結解除にさえも消極
姿勢をとり続け、現に今も凍結したままにしているにもかかわらず、今回は、
国連の
活動でもなく、中立的な
活動でもない、停戦の合意もない
活動に
自衛隊を参加させるという政策転換が行われたのであります。
与党三党はその決断をいつ行ったのか、PKF凍結がされたままであることのこの矛盾をどう
説明されるのか、最も肝心な有事法制の
整備はどうするのか、今まで何もしてこなかった
反省も含めて
総理の明快な御答弁をお聞かせいただきたいと思います。(
拍手)
自由党の主張は一貫しております。この見地から、自由党は、
政府提案の三
法案に対する対案として、国の
防衛及び
自衛隊による
国際協力に関する基本
法案を提出いたしました。
その要旨は、
日本国
憲法において
武力の
行使を含む
自衛隊の
軍事行動が認められるのは、一、個別的であれ
集団的であれ、
我が国が直接侵略を受けた場合、あるいは、放置すれば
武力攻撃に至るおそれのある
周辺事態における
自衛権の発動、二、
国連の
安保理または総会において
武力行使容認
決議がなされ、その要請に基づく平和
活動に限られる。すなわち、
国際紛争への
自衛隊の
派遣については、例えば、
湾岸戦争のように
国連の
武力行使容認
決議に基づく
活動には積極的に参加するが、ベトナム
戦争のような
米国等の
軍事行動には
米国の要請があっても参加しないというものであります。
今回の
テロ攻撃に対処するための
措置を含め、今申し上げました明確な原則に基づいた
対応を行っていくことが最も重要だと考えておりますが、自由党提出のこの
法案についての
総理の御所見を伺いたいと存じます。
次に、
我が国自身の
テロに対する
対応策について伺います。
我が国は、昭和五十二年九月、ダッカ日航機ハイジャック
事件において、
日本赤軍等九人の釈放と身の代金要求に屈するという、
法治国家、
民主主義国家として
国際社会における恥ずべき
行為を容認したという過去を持っております。我々は、今、その当時の経験を踏まえ、その
認識と覚悟を新たにしなければなりません。
我が国が
テロに対して断固として闘う
姿勢を示し、
テロ行為の
根絶を目指すとともに、すべての面において
我が国が怠ってきた
危機管理のための体制
整備に早急に着手すべきであります。各国との
協力体制を強化して、出入国
管理体制の強化や
関係者への資産凍結、資金洗浄対策など、可能な限りの対策を講ずるべきであります。
また、
我が国においては、重大な
テロ事犯を対象とした法制が未
整備であります。
テロ組織を対象とした、未然
防止、
情報収集と通信傍受、特殊
訓練部隊の設置、省庁間の連絡調整、各国との
協力、そして、まだ行っていない、
テロに関する
国際条約の速やかな締結、ジュネーブ人権条約追加議定書の締結と関連法制の
整備など、総合的な対策
整備をすることが必要であります。
これらの点について、小泉
総理の御所見を伺いたいと思います。
十月八日の電話会談で、小泉
総理に対してブッシュ米大統領は、忍耐強い冷静な
対応が必要だと述べたと言われておりますが、まさにそのとおりであります。国の
防衛という
国家国民の最も重要問題にかかわることであり、
日本政府は、今日の
米英の
軍事行動に沈着冷静に
対応すべきであります。無原則に
自衛隊を
海外に
派遣することは
日本の将来に大きな禍根を残すことになることを強く申し上げまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣小泉純一郎君
登壇〕