○黄川田
委員 自由党の黄川田徹であります。通告に従い、順次
質問していきたいと思います。
まず、米国のIT産業不況の影響を直接こうむるなど、我が国の
情報通信に係る産業は大打撃を受け、大幅な生産削減や人員削減を強いられております。今回の不況は、従来の在庫
調整による受給バランスが回復すればもとに戻る循環型のものではなくて、海外に生産拠点を移すことによる製造業の空洞化現象による構造的なものでありまして、完全にもとの生産レベルに戻らないのではないかと危惧する識者も多いわけであります。
このようなときこそ、政府は公正な競争原理を一層強化し、今取り組んでいるIT改革等による新規需要の開拓で、この構造不況を早く回復させる責務があると思います。しかしながら、その実行手段であるe—Japan戦略の重点政策分野は進行が遅く、早期達成が期待されますけれども、大きな不安を感じざるを得ません。
昨年十一月、本
会議にIT基本法が上程された折、私は、
世界各国がインター
ネットを初めとするIT戦略を進める中で、我が国が大きく立ちおくれている現状をどう改革していくのかの具体策が明らかにされていないなど、危機
意識が不足していることを
指摘いたしました。したがって、今回のIT不況は、単に経済環境の悪化だけから来ているものではなくて、政府の基本政策がこのIT不況を底支えし切れていない、こういう点にも大きな課題があると思っております。
また一方、今まで快走してきた携帯電話も飽和感が強まるなど、
通信産業は転機を迎え成長神話は崩れつつある中、巨大な市場支配力とブランド力を持つNTTのなりふり構わぬ安値攻勢や、ドコモの海外投資の失敗等、NTTの経営戦略は最近、国民から疑問視されているのではないでしょうか。また、宮内さんが会長を務められる政府の総合
規制改革
会議は、十二月上旬にまとめられるようでありますけれども、その意見書の原案ではNTT持ち株会社は廃止の方針と聞きます。まさに今こそ、IT改革など政府の
情報通信政策の真価が問われるときであります。
このような基本認識を踏まえ、本
法案の
質疑の前に、競争政策の促進に係る基本的な課題を幾つかお尋ねいたしていきたいと思います。
電気
通信事業法の改正の際には、
規制緩和と公正な競争促進の観点から、幾つか
質問させていただきました。公正な競争を促進する事業環境が整わない場合、政府はNTTの完全資本分離やNTT持ち株会社の出資比率引き下げの
検討を早急に行うべきであることを私は
指摘いたしました。
その後、
総務省は五月に、NTTに対し自主的実施計画の作成を要請し、地域
通信網開放の徹底、ドコモ、NTTコムへの出資比率引き下げ、NTT東西の経営合理化等を盛り込むよう求めました。また、公正取引
委員会とともに九月に電気
通信分野における競争の促進に関する指針案を提示するほか、NTTグループのみならず、NHKについても放送政策研究会において
ネット配信のあり方等を
検討中であるなど、積極的に取り組んでおると私は思っております。
最近、片山
大臣は、NTTに提出を求めている
通信市場の競争促進に向けた自主的な実施計画に関しまして、NTTドコモ現六四・〇六%、NTTコム現一〇〇%への出資比率の引き下げを求めておりまして、過半数以下を示唆しているのではないかと思っております。
そこで、
質問でありますけれども、今申し上げたNTTの自主的実施計画がやっと公表されましたが、子会社への出資比率引き下げの水準や時期等が不明確でありまして、今後、NTTをどう指導していくのでしょうか。
また、あわせて、電気
通信事業者区分の見直しなど、さらなる競争促進政策について、
情報通信新時代のビジネスモデルと競争環境整備の在り方に関する研究会ですか、これによって、どのような方向づけをしようとしているのでしょうか。あわせてお伺いいたしたいと思います。