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柳澤国務大臣 ちょっと時間的な制約もあるようですので、できるだけその範囲内でとりあえずお答えをいたしたいと思うんですが、まず第一に、先生お触れになられた、最終
処理というものが
企業の破産と裏腹になっているんじゃないか、こういうことなんですけれ
ども、もちろんそうした形での最終
処理も全面的に否定するつもりはありません。しかし、現実に私
どもが最終
処理をしようとしているものは、要するに
破綻懸念先以下の
不良債権であるということでございます。
破綻懸念先というのは、もう申すのは釈迦に説法ですけれ
ども、要するに、債務超過である、しかもそれが一過性的なものではない、これが要件でありまして、債務超過、つまり破綻を既にしてしまっているということが実質的には基本になっているわけでございます。
そういうものについてオフバランス化というものをしたらどうか。それからまた、その過程で、何回も言ったわけですけれ
ども、
企業の
再生を図れる部分は図るという形で最終
処理をする。つまり、残債についてはむしろ上に昇格するというようなこともできるだけ
考えて、とにかくこの
不良債権のオフバランス化を図りなさい、こういうことを言っているわけでありますので、即清算というような形での破産というものと裏腹になっているものではないということを改めて御認識賜りたい、これが
一つ。
それからもう
一つは、今先生がお触れになったいろいろな
比率は、与信費用
比率のことをおっしゃっておられるわけでございますが、これについては、まあ正直言って私
ども、〇・三ぐらいのところが非常に
金融が安定していたころの与信費用
比率だというようなことなものですから、そういうものを念頭に、座標軸にして
事態の推移を見ております。
これについては、
経営健全化計画では、これは自主的に彼らが出してきているものですし、それから、この前のいわゆるモデル推計というものは我々が一定の条件を置いて推計したもの。きょうあたり新聞に出ておる、今御指摘の
銀行のものについては、そういうことをやることによって来期からはもうすごいV字形の回復をするんだということで、いわば
特別検査なぞというようなことで多分結果として招来するであろうものを全部先取りした形で
処理をするということでございますので、私、ちょっと先ほ
ども言いましたように、
特別検査というのは、今までのテンポからすると、ちょっと前のテンポからすると、もうちょっと先で行うべきようなものを集約的にやるという側面を持つでしょうということを申したんですが、そういうもののあらわれだというふうにぜひ御
理解を賜りたい、こう思います。
私
自身が、マーケットの方々を含めて外側からの人との見解が、あるいは感触がちょっと違うなということを、率直に言って私認めます。それは何から来ているんだろうか。私も、まあ今こういうことでございますので、
考えないわけじゃないんですけれ
ども、結局、私
どもの話というものがあくまで非常に手仕事的なミクロの仕事だということなんですね。つまり、
債務者の
区分にしても、あるいは
引き当てにしても、要するに、ルールがきめ細かく決められておって、それに従って手仕事的に
一つ一つ片づけていくという性格のものなんですね。
私も、マクロの人たちが、マクロの中には非常に取るに足らないような物すごい雑駁なのもあるんですが、いろいろな方がいろいろなことを言うときに、じゃ、私がある
銀行に行って、そうですな、あなたのところは大体三兆円ぐらいことしはひとつ
不良債権があると思いますよ、マクロからいって、
貸し出しの
比率からいうと、あなた、三兆円ですよ、ひとつ三兆円分
債務者を見繕って
不良債権出してくださいよと言って
債務者区分をする、これはマクロ的なアプローチですね。こういうことが可能なのか。絶対不可能ですね、これは。それは、一人一人の
債務者にとっては自分たちの運命を決められるわけですから、
銀行から。そうすると、また仮にそういう過剰な
引き当てというようなことをやった場合には、今度は
銀行の
経営者は
株主代表訴訟を受けることになってしまいます。
ですから、私、あえてわかりやすく言っちゃうと、私たちの仕事というのは手仕事的だし、一件一件について
裁判所につながるような私法の、非常に私法的な世界に近い。つまり、民事の裁判のようなことに近い。それに対して、経済学者だとかアナリストだというような人たちというのは、マクロ的に、こうではないかと。だから、あの
銀行の
不良債権というのは大体このぐらいだよと見当をつけられ、あるいは
日本の
金融システム全体の
不良債権はこのぐらいであるというふうに目見当をつける。これを、この見当をつけられたことを、じゃ具体的に今の私法で一件一件、
裁判所に訴訟として持ち込まれるようなそういう案件にそういったことがどうやって適用できるんだ。
私はこのブリッジの仕方というものについて、いろいろゆうべあたりもちょっと
考えてみたんですが、方法がないですね。つまり、我々のはあくまで積み上げなんです、手作業の積み上げ。しかも、その手作業の積み上げは
ディスクローズできない、こういうものなんです。外側の人は、だからマクロ的にアプローチして、大体
日本の
不良債権というのはこのぐらいだよ、このぐらい出てこないというのはおかしいじゃないかとやりますね。それをブリッジする方法が何かあるのかということ、これが、大変雑駁な議論かもしれませんが、私が直面している問題で、結局、その手仕事の積み上げの作業とマクロの分析というのは、どうやってこれをつなげたら、ぴたり合えばそれは信用されるでしょうね。しかし、その方法はないんじゃないんだろうかというふうに今現在は
考えているわけです。