○鈴木(淑)
委員 もう時間がなくなっちゃいそうで、はらはらして聞いておりましたけれ
ども、塩川
大臣の御
認識は、端的に言っちゃうと、賃金水準を下げるということを言っているようですが、
一つ大きな思い違いがありますね。
これは
本当に意見が対立する、この中でも意見が対立するかもしれません、学者の間でも対立していますが、過去の
財政政策、公共投資をふやしたり減税をしたりした、あれが何の役にも立っていなかったというのが塩川
大臣の
認識。それに対して私の
認識は、そうではなくて、積極
財政をしたときは間違いなく
景気は立ち直っていますよ。
例えば、九五年、六年と二年連続してプラス
成長に立ち直ってきた。もういいかなといって、三年目に橋本さんが物すごいデフレ
予算を組んだ。そして、九七がおっこって、九八が
マイナス成長。そこで、自自連立を組んでまた九・三兆円の減税をやったら、どうですか、今度はプラス
成長、プラス
成長と二年来たんですよ。それで、三年目がことし。ところが、去年の暮れに五兆円も前年より減らした
補正予算を組んだ。去年の
補正とことしの当初を足したら、前年に比べて五兆円またとんと落とした。それで、また落ちてきた。だから、効いていないんじゃないんですよ。持ち上げる面でも、たたき落として
マイナス成長をつくる面でも、
財政政策は効いています。
ただ、こういうことは言える。以前であれば、二年続けて
財政で支えれば、それで民間の好循環が生まれて持続的に回復した。ところが、今度はそれが生まれない。三年目になって、もういいかと思って手を離すと、すとんと落ちるんですね。つまり、
財政で持ち上げてプラス
成長にすれば、普通なら企業収益がよくなる、そうすれば、それで設備投資が出てくる、あるいは雇用と賃金がふえて消費が出てくる、それでまた企業収益がよくなるという好循環が出るんです。だから、手を離しても大丈夫だ。
今度はそれが出てこない
理由は何かといったら、企業のバランスシートが傷んじゃっているからですよ。企業はもうかった利益で、今までのように積極的な前向きな設備投資とか雇用増加とか賃金引き上げに使わないで、借り入れを一生懸命返す、バブルのときに買った不動産の損切り売りをする、バブルのときに浮かれてやったむだな設備の償却をする。そうやって一生懸命企業の体質、
財務体質を直す方に努力を傾注しているために、
財政で支えているときは上がってくるけれ
ども、手を離すとすぐ落ちるという
状況が続いているんですね。
しかし、これは永久にそうなんじゃないんですよ。かなり企業
財務の改善も進んできているんです。これはまさに、企業の
財務、企業経営の面での構造改革ですよ。これは進んできているんですね。それを見ないでさっと手を引くから、すとんと落ちる。
これは、
議論していると長くなるし、時間になっちゃったから言いっ放しでおきますが、当然のことのように塩川
大臣は、そして
小泉首相もそうおっしゃるが、
財政が全然効かなかったというのはうそです。効いているんだけれ
ども、手を離すとすぐ落ちる。それは、企業のバブル期以来の
財務の傷がある……(
塩川国務大臣「それは政治の違いです」と呼ぶ)