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柳澤国務大臣 検査というものは、特に新しい行政改革後の検査は、事後チェック行政の一環ですから、当然、検査の基準日と言うんですけれ
ども、ある時点を選んでその
金融機関の
健全性をはかるということが主目的なのです。ある時点というのを基準日、こういうふうに言うわけですが、その基準日というのが、新しい
金融監督庁になってからの検査では直近の決算日、こういうことになっているわけでございます。
直近の検査日だということですと、例えば、九月決算はちょっとおいて、わかりやすく三月決算ということにすると実際上どうなるかというと、決算が三月三十一日に行われても、決算の書類ができる、財務諸表ができ上がるのはかなり時間がたってから、二カ月なり三カ月近くかかってからということも、これも御
案内のとおりです。
ですから、そういうようなこともあって、そこでもう二カ月半なり三カ月たつわけですが、その後また検査というものが行われるというのが、仮に事務年度というものを、わかりやすく例ですが頭に浮かべていただきますと、事務年度というのは七月からなのです、人事異動が一応終わってからというのが事務年度ということで。そうすると、事務年度が行われて新しい検査の
体制ができて、では検査の計画をつくる、そして検査の計画に基づいて検査に入るということで初めて三月期の決算が検査をされるわけですけれ
ども、そこまでに至ってももう既にかなりタイムラグがあるということは御想像いただけるかと思うのです。
では、検査の、
銀行の決算の中身というのはどうなのかというと、たまたまいろいろの方から御
指摘いただける企業の場合、二月、八月の決算なんですね。そうすると、二月決算の
数字が
銀行の三月決算に反映するかというと、反映いたしません。何となれば、事業会社といえ
ども決算の書類をきちっとまとめるのは二カ月半とか、大企業の場合にはそういうことですから、結局、三月の
銀行の決算に反映するのは八月の事業会社の決算なのでございます。ということになると、我が方の決算の活動の日から実際に
銀行の貸出先の決算との間にはもう一年くらいのタイムラグが生じてしまうというシステムなのでございます。
これが、では何で問題にしないのかと言われると、やはり今までは、そういうタイムラグという点についてよりも、むしろ対象になるそれぞれの時点でのいわば
数字の正確性だとか適正性だとかということに注力して検査が行われてきたということだと、あえて言えば言わせていただきたいところでございます。
〔奥山
委員長代理退席、
委員長着席〕
ところが、ある大手の小売企業が破綻したというときに、いろいろな格付会社が格付をしていらっしゃるわけですが、我々が常識として聞かされているのは、やはり投資適格から投機の債権だあるいは企業だという分類をされた。しかも、それが四段階一挙に下げられたというところが非常に大きなショックを与えたということでございまして、しかも、そういうことが六月に行われているわけでございます。
そういう時系列を考えますと、これは、このタイムラグというのをほっておけませんねと。例えば八月なり九月なりに我々が検査に入るとしても、去年の八月の話をしていたのでは、これは話にならない。ことしの六月の格付会社の格付との関連で、
数字は上がっておりませんけれ
ども、よく見ないといけないということになるんだろうというようなことを考えまして、もちろん今までの検査といえ
ども、ここまで言うと多分
事務方は、そんな、
大臣そうおっしゃいますが、我々だって
数字はなくても最近の
状況を頭に入れていろいろ
議論はしますよと言うのですが、何といっても
数字の上の
議論が中心だということになると、本当のやりとりというのは、出てきた
数字をもとにやるということだろうと私、推測するわけですね。
そうすると、やはりこのタイムラグの問題というのは看過できない。では、タイムラグをふさぐ新しい検査というものを取り入れなきゃならないんじゃないか、こういうことで今回の特別検査という
方式を取り入れたということでございます。
私は実は、検査というものと、その後の例えば資本注入、今先生例に挙げましたけれ
ども、そういう監督行政の手法との間にどういう厳格な
関係がなければならないかということについては、行政改革に私自身が党の事務局長として携わってきたころから非常に深刻に考えた問題なんです。
私は実は、昔話をしてもしようがないかもしれませんが、むしろ
日本の
金融行政では監督と検査を分けた方がいい、そこにこそウオールを置いたり、あるいは場合によっては別組織にした方がいいという説を吐いたのでございますけれ
ども、やはり検査は監督の一環だみたいな
一般論に押し切られて、そこのところは監督と検査が同じ屋根の下に置かれるということになったのです。
しかし、私は、検査の独立性、検査はひとえに検査の基準に忠実に厳格な検査をする、後、その検査を踏まえて監督行政がどういうことを展開するかというのは、それは監督にゆだねるべきだということで、厳格な検査、基準に基づいた検査というのは非常に強調してきた人間でございますので、これまでにも、そういう私の行政運営についての考え方というものを踏まえていろいろと御
説明をさせていただいてきた、こういう次第でございます。