○谷口
委員 おはようございます。公明党の谷口でございます。
今回は、大胆なと申しますか、大規模な
証券税制の
改正の法案が提出されたわけでございます。今回のこの
証券税制については、従来から大変
国民の皆さん方も関心を持っていらっしゃったことなんだろうというふうに思うわけでございますが、
透明性また公正なルールのもとで、
個人投資家を
証券市場に参入させることを促進する、また、
証券市場を
活性化させ、この結果、
経済構造を現在のような銀行中心の間接
金融から直接
金融にシフトしていくといったような
構造改革の推進という大きな
意味合いがある、このように考えておるわけでございます。
そんな
状況の中で、今回のこの
証券税制、先ほどからおっしゃっていらっしゃいましたが、
一つは、
源泉分離課税を、現在は
申告分離、
源泉分離というように二本立てになっておるわけでございますが、当初は二〇〇三年の四月一日からこれを一本化しようというものを、三カ月前倒しで、二〇〇三年の一月から一本化をしようというようなことのようでございます。
また、従来から私
どもの党もこの一本化について申し上げておったわけでございますが、それとともに、
税率の
引き下げでございます。現行二六%の
申告分離課税の
税率を二〇%にというように言っておったわけでございますが、この
税率の
引き下げも二〇〇三年の一月から行われる。また、三年間に関しては、二〇ではなくて一割、一〇%の
税率というようなことになったわけでございます。
また、
損失の繰越制度が、今、現行の制度ではありませんので、これを入れてもらいたいというように申し上げておったわけでございますが、このような
損失の
繰越控除、三年間の
損失の
繰越控除が、これも二〇〇三年の一月からスタートする。
また、現行百万円の特別控除がございますが、これが今回延長されたということでございます。
また、緊急
投資優遇ということで、二〇〇二年の末までに株を買われるといったような方が、二年間保有する、そしてこれを売却しますと、これについては
非課税にしよう。
このような
証券税制の
改正の概要だというようなことのようでございます。塩川
大臣御自身も大変関心を持っていらっしゃって、大変な勢いでやられたということをお聞きいたしておるわけでございます。
冒頭、
お話をさせていただいたように、
証券市場の
活性化というのは大変重要な問題でございます。後ほど
ペイオフの質問もさせていただきたいわけでございますが、
我が国の従来の
証券行政、
金融行政が、行政主導型のやり方から、それを大きく開いて、
国民の皆さん方に
リスクというものをわかっていただくというような社会にしていかなければならない。そういう
観点で、間接
金融が中心の
時代から直接
金融にシフトしていくという大きな
意味合いの中での今回のこの
証券税制の
改正でございますので、私は大変前向きに、一歩前進の
改正である、このように評価をいたしておるわけでございます。
ただ、若干やはり複雑だなというようなこともこれは否めないわけでございまして、
国民の皆様方に、この法案が成立をいたしましたら周知徹底をしていただいて、今回のこの制度の御利用をお願いするといったようなことの方法を考えていただきたいというように思う次第でございます。
私も、与党の中で今回のこの
証券税制の
改正について議論の中に入らせていただいて、いろいろな私自身の
意見も申し上げたわけでございますけれ
ども、
一つのポイントは、現行二本立てになっておる、
源泉分離課税と
申告分離課税の二本立てになっておって、その中でいろいろな問題と申しますか、メリットといいますかデメリットといいますか、ある。
一つは、現行は、
申告分離また
源泉分離を有利な方を選択できるというようなところがございます。現実に
証券取引をやっていらっしゃる方は、これは非常に便利だというようなことになるんだろうというように思いますが、一方で、
源泉分離方式の持っておる、
一つは匿名性であるとか、
一つは簡便性、さっき申し上げました、どちらか優位な方を選択できる有利性、このようなものがあるのだろうというように思うわけでございます。
議論の中でも、
源泉分離はやはり残した方がいいのではないか、現行
取引をやっていらっしゃる中の、既に
取引をやっていらっしゃる方については、やはり匿名で行うということについてのメリットを大変大きく思っていらっしゃる方が多いというような議論がございました。
私は、現在のやり方は好ましくない、やはり
透明性という
観点から
申告分離でやるべきで、その後は総合
課税まで持っていくべきだ、このように申し上げたわけでございます。
先日新聞を見ておりましたら、日経連の奥田会長が、どんな条件を出しても約七〇%の人は株を買わないというような
調査結果があるというような
お話をされておったわけでございますが、その
一つの原因は、やはり不
透明性と申しますか、株の世界は何かわけがわからない。昔、親が亡くなったときに、遺言で株だけはするなといって息子に言い聞かせたというようなことも聞いておりますが、そのような後ろめたさが
一般投資家が
株式市場に参入しない
一つの原因でもあるのではないか。こういう
観点も考えられるわけでございまして、今回の
申告分離に一本化するといったことについては、これは大きく前進したというように考えておるわけでございます。
また、先ほど申し上げました簡便性ということがございます。
源泉分離におきましては、もう申告する必要がございませんから非常に簡便であるということがあって、非常に株の
取引がやりやすいといったことがあるわけでございますが、今回の
改正におきましては、この簡便性のところもやはり考慮に入れていかなければならないというようなことで、我々も主税局、また
金融庁の方に、この簡易な申告の方式についても検討してもらいたいというように投げたわけでございます。
これはまた新聞紙上等見ておりますといろいろな議論もあるようでございますが、例えばタッチパネルで申告をするといったような申告の方法等考えていただいておるようでございますが、この簡便な申告というのは今回の
証券税制の大きなポイントの
一つでもございますので、
国民の皆さん方が十分納得できるような簡便な申告方式をぜひ考えていただきたいというように思う次第でございます。
それと、先日、本
会議におきます野党の皆さん方の御主張の中に、今回の
証券税制につきましては配当の
観点からの
改正がないではないか、このような御
指摘があったわけでございます。
現行の配当
課税におきますと、一銘柄当たりの配当額が十万円未満の場合に、申告免除で
源泉分離税率が二〇%でございます。また、十万円超五十万円未満になりますと、総合
課税と
源泉分離課税と選択できるわけでございますが、
源泉分離課税の場合には
税率が三五%といったような
税率になっておる。現行の三五%の
税率は、私はやはりいささか高いのではないか。このような配当
課税の軽減ということも、今後の
証券税制の
改正の中には検討し、やっていかなければならない
一つのポイントなんだろうというように思う次第でございます。
もう
一つは、配当の二重
課税、このような問題が出ておったわけでございます。
配当の二重
課税というのは税の根幹にかかわることだと私は与党協議の場でも申し上げたわけでございますが、日経新聞の社説でこういうことが書いてあったわけでございますが、「法人には
株式の配当所得に
課税しない益金不算入の特典があるのに対して、
個人は配当に
課税される。配当は企業の税引き後
利益から支払われるので、
個人の配当は二重
課税されていることになる」このような記載ぶりになっておるわけでございます。
この書きぶりは正しくない、私はこのように思うわけでございまして、法人税の体系そのものについて、今どのような法人税体系の中の考え方があるか。法人というのは実在しているものなのか、最終的に
個人に帰着する間の擬制されたものなのかといったような考え方があるわけでございますが、現行法人税の体系は法人を擬制しておるといったような
状況でございますので、
課税された
利益を
利益処分する、
利益処分したものを配当する、配当したものが、株主が法人の場合と
個人の場合、法人の場合は、最終的に
個人に帰着するといったことですから、法人の受取配当についてはスルーするだけであって、本来、受取配当としての益金に算入しないといったことがやはり論理的構成上正しいんだろう。現行の
状況は若干の
課税をされておるわけでございますが、そういうことが正しいんだろう。その後、
個人に来た配当については
課税をされる、この
課税をされることは二重
課税ではないというふうに私は思うわけでございます。
現に、
利益処分で企業は配当を行い、また役員賞与を出すわけでございますが、役員賞与については
課税されておるわけでございまして、
課税された
利益から
利益処分したものがまた
課税されるといったようなことにはなっていないわけで、私は、二重
課税といったことのこの論拠は正しくない、このように思うわけでございますが、二重
課税について、御所見をお伺いいたしたいというように思います。