○西
委員 公明党の西
博義でございます。
私は、まず初めに、先ほど
村井大臣の方からごあいさつの方で若干触れられました南海
地震対策について御質問を申し上げたいと
思います。
政府の
地震調査委員会は、ことしの九月に、マグニチュード八を超すと想定される東
南海地震と
南海地震について、今後三十年以内に起きる確率は四、五〇%に達する、こういう評価の結果を発表されました。さらに、東海沖から四国沖にかけて二つの
地震が同時に
発生するおそれもある、その場合は、マグニチュード八・五の巨大
地震になり、大
津波や強い揺れによる
被害が心配されている、こういうことが言われております。
これを受けて、
政府は、これら
東南海、
南海地震に備えるために、先月、
中央防災会議の
専門調査会を発足いたしました。
調査会では、マグニチュード八、九の巨大
地震による揺れの大きさや
津波の高さを
地域ごとに予測し、建物や人的
被害などを推計して、事前の
防災対策と事後の
応急対策の
あり方を来年度末までにまとめる
予定というふうにお
伺いをしております。
先日、私の出身地である和歌山県の広川町で
津波祭りが行われました。この催しは、安政元年の大
津波で犠牲になった人々の霊を慰め、取り入れるばかりになっているたくさんの稲の束に火を放ち、多くの人命を救い、この悲劇が二度と起こらないように堤防を築き上げた浜口梧陵の遺徳をしのぶとともに、住民の
津波災害に対する啓発につながっているというふうに思うわけでございます。
この安政元年の大
津波は、前々回の
南海地震によって引き起こされたものでございます。浜口梧陵の話は、迅速な警報と適切な避難勧告がいかに大切であるかということを我々に教えてくれておりますが、平成五年、北海道南西沖
地震の
津波被害を踏まえた「沿岸
地域における
津波警戒の徹底について」という申し合わせを平成十一年七月に見直して、市町村長が、強い
地震を感じた、これは
震度四
程度以上というふうになっておりますが、そのときや、弱い
地震であっても長い時間ゆっくりとした揺れを感じたときは、住民の避難勧告・指示をするものというふうになっております。実際に市町村長の立場に立ってみれば、これだけの記述をもとにするということでは、なかなかこの避難勧告・指示を行う
判断材料としては不十分であろうと私自身感じております。
京都大学の
防災研究所の河田惠昭先生によれば、
地震津波に備えるために正しい知識を持つこと、適切な情報伝達というソフト
防災が大事である、こう言われております。そして、
津波は、マグニチュード六以上の
地震で、岩盤の破壊が海底から百二十キロより浅いところで始まったときに初めて
発生する、
津波が伝わる速度は海の深さにより異なり、
津波の大きさは、また地形でも決まる、紀伊水道のように外海に向かってラッパ状に開いている地形だと、波が非常に大きくなる、こういうふうにおっしゃっておられます。そういう意味で、
津波防災を防波堤などのハード設備のみによって行うのは大変大きな費用がかかります。それもまた必要なことではあるのですが、想定を超える
津波が起きたときに十分に効果を発揮するかどうかというのは、その設備だけでは決まるわけではないというふうに思われます。情報の迅速な伝達によるソフト
防災に力を入れる必要があるのではないか、こう先生は述べておられます。
ことしの六月に発表された
内閣府の
調査によると、洪水や土砂崩れの
防災対策で、住民に避難勧告を出す発令
基準を定めている市町村は全国でまだ二割
程度にとどまっているということが明らかになりました。また、半数以上の市町村で、避難
場所が安全な
場所にあるかどうか、例えば洪水とか土砂崩れとか
津波とかいろいろなケースがあるのですが、それが安全な
場所にあるかどうかということの確認が行われていないというふうに発表されております。
内閣府の聞き取りに対して多くの市町村が答えたことは、
基準をつくるだけの知見が不足している、小さな市町村ですね、こういう回答になっております。中央で申し合わせが行われても、実際に各自治体では
対応できないという問題点がここであらわれているのではないか。市町村の立場に立てば、市町村には
専門のスタッフがいない、そして、権限だけを与えても、発令の
基準また
判断材料など決定的に情報が不足している、そんな中で、実際には避難勧告を出すことにちゅうちょしているというのが現状ではないかというふうに
思います。
災害対策が絵にかいたもちとならないように、また地方自治体をバックアップするために、
津波に限らず、震災、
風水害、
火山などさまざまな
災害時における避難勧告の発令
基準の例を地方自治体に示していくべきではないかと
思いますが、
政府の考えをお尋ねしたいと
思います。