○東(祥)
委員 防衛庁長官、自由党の東でございます。官房
長官、どうぞよろしくお願いします。
まず初めに、今回の
テロ対策
特別措置法に対しては、我が党は反対の
立場でした。その
理由は何かといえば、卑近な例を申し上げれば、建物を建てるに当たって基礎工事をしてない、そういう建物だ。多分、
政府・与党の場合は、ちゃんと基礎工事をやっていると。しかし、その場合でも、ある特定の条件下において、雨が降らない、台風も来ない、強風も吹かない、そういう条件のときだけに通用する建物をつくってしまった。多くの方々から、何で東さん賛成してあげないんだというふうに言われたときに、そのように申し上げたときに、あ、そういうことなのか、では、その基礎工事というのは一体何ですかと。
それはまさに、唯一の武力組織を動かすに当たっての基礎工事とは何かといえば、それは憲法論である。この問題を常にないがしろにして、そして横に置いておいて、そしてその問題には、深めることなく、
政府・与党が決断することなく、形だけ、格好だけつけて今回の特措法を成立させた。いずれこの問題というのは、必ず将来にわたって禍根を残すことになる。ちゃんと
政府として、その腹をくくった上で、そして唯一の武力組織である
自衛隊を動かすということであるならば、そのとき初めて議論がかみ合うのであって、それは今まで、戦後数十年間にわたってきた議論に決着も何もつけないで、その延長線上で今回の
テロ特措
法案をつくった。だから我々は明確に、そういうまやかしの、ごまかしのなし崩し的なものに対しては断固反対するということで、反対させていただきました。
当然、それに基づいての
自衛隊派遣というのは、根本それ自体がおかしいわけでありますから、我々は反対であり、きょうの議論が済んだ後、形式だけの反対討論をしても
意味がありません。その
意味で反対討論はしませんけれども、そういう前提の上で、なおかつ、今、戦後初めてですよ、戦争が行われているところ、また戦争を行っている連合国が展開しているその
地域に
自衛隊を戦後初めて派遣する、そのときに、総理もこの場に出ていないということは、何を考えているのかなと、いかにいいかげんな
国会審議といいますか、
国会を軽視した態度なのかなというふうに思わざるを得ないのであります。
しかし、それはそれとして、そういう前提のもとで、今回のいろいろな議論を通して明らかになりつつある問題点、それを指摘したい、また意見交換させていただきたいというふうに思うわけであります。
そこには、当然シビリアンコントロールという本質的な問題も入ります。さらにまた、政治家と、軍人と言っていいんでしょうか、いわゆる軍事を専門にしている人の
立場、それぞれ
判断の違いがあってしかるべきでありますが、ある
意味で政治の軍事作戦への過剰な介入、そういうものもこの議論を通じていろいろ出てきているのではないのか、そういうことも含めた上で質問させていただきたいというふうに思います。
総理
大臣が本日いらっしゃいませんので、一応、総理
大臣のもとで、総理のお考えを知悉していらっしゃる福田官房
長官に来ていただいて、そして総理に聞きたいところを官房
長官にお答えしていただきたい、そういう形で質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、今回、戦後初めて、ある
意味で
中谷防衛庁長官は、自衛官としての経験を有する自衛官
長官、戦後初めての自衛官
長官と申し上げてよろしいのでしょうか、そしてまた、戦後初めて
自衛隊を戦時に、紛争の最中に派遣することを決断された
長官であります。
海上自衛隊だけでも、全体で、この
枠組みの中で派遣される数が大体千二百名前後なんでしょうか、航空
自衛隊も含めると約千四百名弱の自衛官が、今、
中谷防衛庁長官の指示のもとに太平洋を下り、また
マラッカ海峡を抜け、アンダマン海を越えて、遠く
インド洋からアラビア海、さらには湾岸地帯まで派遣されようとしているわけであります。そこで
日本は、
米国や英国やフランスやイタリアや多くの他の連合国と合流することになります。
ある
意味で、大げさな言い方をさせていただければ、
日本が欧米列強を中心とする連合国の中に軍隊を、唯一の
日本の武力組織であります
自衛隊を送るのは、北清事変や、あるいはまた第一次世界大戦以来のことであります。また、戦後、真の民主主義国家に生まれ変わってから、まさに初めて
日本は武力紛争の真っただ中に自国の武力組織を送ることになるわけです。
今までの議論を通じていても、多くの国民は理解していないと思います。私も全然理解できませんから。たとえ
政府がこれを、この
自衛隊派遣を後方
支援と呼ぼうが、あるいはまた、
武力行使はしないという詭弁を弄しようと、結局、今やっていることは、かつての帝国海軍と同じ
海上自衛隊の旭日旗がアラビア海にたなびかされるわけでありますから、二十一世紀の最初の年に
日本が
テロリズムと闘うために連合軍に参加したという事実、これは世界の歴史に刻み込まれることになるのではないのか、一政治家として私はそのようにまず思います。
そこで、
中谷長官にお伺いさせていただきますけれども、
先ほど自衛隊を派遣するに当たっての
お話をされておりました。グローバルな国際
テロリズムとの闘いというのは、
テロリズムという卑劣な敵を相手とする、ある
意味で第三次世界大戦、これに匹敵するような闘いだと私も思います。
長官は、自分がそこに
自衛隊、自分の部下であります
自衛隊を参加させるという歴史的使命感、これを有しておられるのか、そしてまた、その重大な責任を本当に痛感しておられるのか。戦後初めて
防衛庁長官として
自衛隊を戦時に海外派遣し、連合軍の一翼を担って、愛国心あふれる自衛官を国際戦争に参加させるという責任を指揮官として持っておられるのか、大変僣越でございますけれども、まず最初にこの点をただしておきたいというふうに思います。