○山岡
委員 これは現実の世界でございますから、お役所の書類を行ったり来たりすることが
国会の論戦じゃないと思います。(
発言する者あり)この辺でけしからぬと言っているけれども、それじゃ
文書の読み合いをするのか、こういうことを私は申し上げたいのです。
総理の言っているように、戦いというのは最前線で戦うだけが戦いじゃないんです。その他の資金を断つことも重大な戦いですし、あるいは昔からよくあるのが、心理作戦というのが一番大きな戦いになるんです。豊臣秀吉なんというのは、その心理作戦の名人で天下をとったとも言われているわけでございまして、言うなれば、そこが
国民のいる世界においては戦いの一番重要な場面になる。言うなれば、戦いをする者、そのトップに立つ者は、ありとあらゆる、その国にとっては必要な、有意義な権謀術数を図るわけでございます。
我々も応援に参加する以上、そんなことは当然、ここにいらっしゃるのはトップレベルの
人たちですから、やはり頭に入れながら、
文書には書いていない、お役所のあれにはない、しかし、そんなことなら
政治家の
討論は要らない、そういうことを私は、どんなことを
認識しているか、
国民の
皆さんも知りたいと思うし、私も知りたいと思ってお聞きをしているわけでございます。
確かに、このニューヨークの事件は世界的な大事件ではありましたけれども、しかし、アメリカは、これは国連の問題ではない、アメリカがやられたんだから自国の問題だ、アメリカの個別的自衛権でやるんだ、こういうふうに言っております。したがって、国連軍の出動の要請はしない、そういうことで、アメリカはそのスタンスに今立っているわけでございます。
もちろんこの
テロというのは、アメリカのみの問題ではなくて世界共通の問題でもあり、他国もアメリカとのそれぞれの
関係において、その
立場においてできるだけの
協力をしていく。アメリカがそういう
立場であろうと、それは当然のことだろうと思うわけでございまして、アメリカもそれを望んでいるわけで、その
態度をそれぞれで鮮明にしてほしい、ショー・ザ・フラッグと、こういうふうに言っているわけでございます。
したがって、アメリカは、NATO諸国に集団的自衛権によってハードな、まあ、軍事的なバックアップをしていただければありがたいと。
日本は憲法や国情もあるのはよくわかっているから、PKO
支援法案や難民
支援のような、わかりやすく言うと、主に戦後処理的な、あるいは
総理のおっしゃったような
テロの資金源の遮断といったような、今の言葉で言うとソフト面を中心にやってほしい、こういうふうに言ってきているわけでございます。
しかも、アメリカ自身が冷静に、沈着に、長期戦に備えてと、こういうふうに言っているわけであるにもかかわらず、
日本の中には、湾岸シンドロームというのがなぜか蔓延しているような感じでございますし、
日本だけがかあっと燃え上がっている、ショー・ザ・フラッグとアーミテージさんに言われたら、
自衛隊にZ旗を掲げて進軍しなきゃならないんじゃないか、こんなふうな勘違いをしたような、思い違いの雰囲気が漂っていたことは全く事実であるわけでございます。
思い起こせば十一年前のあの湾岸戦争のときは、今度は逆にどうであったんでしょうか。今のこの熱気球と違って、国連の安保理が武力行使容認決議をしたんです。そして、世界が
協力して平和維持のために、当時の言葉で言うと、ならず者国家イラクを国連軍、言いかえれば、我々の言葉で言うと世界警察で制裁しなきゃならない、そういう決定をしたのでございます。しかし、にもかかわらず、
日本は金だけ出してまるで動かない。今と正
反対に、マスコミも極めて冷淡。そして、残念ながら、
国民の皆様も無関心であった、あるいは少しシュリンクしていたのかもしれませんが。
それが一転して、今回は、国連が武力行使容認決議を行っていないにもかかわらず、
国会を中心に
日本じゅうが興奮をして、戦争が突発した、大変だ大変だ、とにかく早く
法案を上げて、
中身は憲法違反のおそれがあっても、二年間の時限立法だから、失敗すれば変えればいいや、何となくこんな雰囲気で進んでいる。私が最初に申し上げたように、島国
日本国の悲しきシンドロームかな、こういうことをやはり念頭に冷静に置いて
政治は対処していかなきゃならないんじゃないかと思います。
一部の新聞も、まるで大本営発表をよいしょするような論調で書いておりますし、その新聞も、とにかく早く行け、どんどんどんどんと、
反対する者は本当に国の利益に反するんだと、そうとだけ簡単に言い切れる問題じゃないと思います。
政治家やマスコミが騒げば、
国民の
皆さんだってそうなのかなと思いますよ、それは。リーダーが騒いでいるわけでございますから。まだ記憶に新しいです。半世紀前、第二次世界大戦に突入したときのその初期の現象に、ある面では非常によく似ている、そういうことを我々は忘れてはならないわけでございます。
総理は、この間中国に行ってまいりました。十五日には韓国に行かれると思います。我々がアジア諸国に行くと、みんな経験があると思いますけれども、あちらの
政治家は我々に対して、みんな押しなべて同じようなことを言います。
日本は恐ろしい国だ、いつまた
我が国を攻めてくるかわからない、こういうふうに言うのでございまして、私はその都度答えているんです。
日本がどうしてまたあなたの国を攻めるんですか、
日本に一体どこにそんなムードがあるんですか、
日本に行ってみたらわかりますよと。国内は、余り言いたくないが、こんなことは考えられなかったけれども、援助交際だとか、ねえ、文部
大臣、文部
大臣が悪いというわけじゃありませんよ、幼児虐待。そして、捕まえてみたら犯人は学校の先生あるいは検事、警察官、裁判官。一体、
我が国にあなたの国を攻めようというような雰囲気がどこにあるんですか、私自身がむしろ逆に嘆いているぐらいですと。
こういうふうに言いますと、何て答えるか。何言っているんですか山岡さん、
日本はある日突然気が狂ったように変わる国じゃないですか、こういうふうに言うんですよ。言われてみるとそうかなと。どういうふうに変わるんですかと言ったら、戦前は英語を使うだけで捕まった。よしとかアウトとか、こんなふうに言っていたのが、一夜明けて戦争が終わったら、
総理もキャッチボールやっていますけれども、あのころキャッチボールなんて言ったら大変だったんですから。知らない人があそこでやじっていますけれども。
だから、歴史は繰り返すんですよ。五十年ぐらいたつとすっかり忘れて、そして同じことを繰り返すというのが人類のさが。だから、五十年ごとに戦争が起きるというのはそういうことなんですよ。あのときの雰囲気と今日の雰囲気がこれだけ違う。
ところが、それが、一夜明けたら何と親米一辺倒に変わっているじゃないですか。私らは何となく普通のことのように思っていましたけれども、まあ、あちらから見るとそうなのかもしれませんですね。もう戦後五十年たったのに、何で過去のことをいろいろ言うのよと、まあ、私なんかは個別になるとそういうふうに言いますけれども、何言っているんだ、足踏まれた者の痛みというのは踏まれた者じゃなきゃわからぬ、こう言われると、ああ、そうかなと、こういうふうに思いますよ。
石油がちょっと足りなくなった。トイレットペーパーをみんな買い集めちゃう。まあ、偉そうなこと言えませんけれども、私のおふくろもそうでしたからね。大豆の輸入が一時とまった。狂乱物価になっちゃったわけですね。大変だ、大変だと。
つい六年前も、天候が不順だったんですね。お米が余りとれなかった。武部
大臣いらっしゃいますけれども、そうでしたよね。そのときに、米がなくたって、パンもあり、うどんもあり、
そばもあり、お菓子もあり、食べ物なんてあり余っているんです。しかし、なぜかみんな米を買い占めちゃう。東京の親戚に送ってやる。今一万五千円割って農家大変なんですよ、
大臣。後でやりますけれども、頼みますよ、
大臣。
そのときに、それが、自主流通米が二万円になり三万円になり六万円になり、
日本で一番高いのは八万円にもなっちゃうんです。考えられない国ですよ。そして、なぜかはやり出したのが米泥棒。みんなどこだってあけっ広げて、財布だって置いてあるのに、どうして米とっていかなきゃいけないのか。異常心理なんですよ。そういう空気が
日本に漂い出すと、みんな米、米、米、米と。
よくも悪くも、この
日本のそういうムードに流されて、今度の
法案が、急げや急げ、
反対するやつは非
国民だ、こういうことになっていかないように、ゆめゆめ、そのことを留意してやっていただきたい。
総理、この
法案を急ぐのは、素朴に急いでいらっしゃるんだとは私は思っておりますけれども、しかし本当に
日本に急がれるのは、このことも大切なんですが、この
テロによって
日本が一番ダメージを受けるのは、もちろんニューヨークで亡くなった方はお気の毒の限りですが、しかし、
日本の中にもこのことによって間接的に命を失っている人もたくさんいるわけです。言うなれば、
テロによる世界不況で一番ダメージを受けるのは我が
日本国であるわけでございまして、そういう点においては、言うなれば、交通事故で亡くなっている人が年間一万人、自殺は一万五千人、こういうのが言われていたことなんですが、今三万五千人いるんですよ。(
発言する者あり)三万人を超えているんです。古いんだ、あなた方は。そして、その多くの
人たちは経営難、生活苦ですよ。
私、柔道をやっていましたけれども、私の同じ時代の
人たちに猪熊さんという
日本チャンピオンがいたんですよ。ついこの間自殺されましたよ。建設会社をやっていて、本当に一緒に戦った人が死んだとなると、まさに人ごとには思えないんですが、そういうこの不景気。
こういうものが、この
テロ対策だ、
テロ対策だ、こういうことに焦点が移されて、そして、何となくこれを先送りされているんじゃないか、あるいは、非常にうがった言い方をすれば、先送りしようとしているんじゃないかとさえ考えたくなる。言うなれば、
テロのことは
テロのことでいいとしても、そちらの経済対策については、
小泉総理、本来は、この
国会はそれをやる
国会であるはずだったんです。その点についても、ちょっと一言言っておいていただきたいと思います。