○鍵田
委員 民主党・無所属クラブの鍵田でございます。
本日は、矢野
参考人さらには
龍井参考人も大変貴重な時間を割いていただきまして、ありがとうございます。
参考人のお時間の都合もございますので、若干
質問の順序を変えさせていただくことにしましたので、御了承をいただきたいというふうに思っております。
実は、先日来、今の
お話にもございましたけれども、政労使の会談が行われまして、その中で、日経連と連合で
雇用に関する社会合意の推進宣言というものが出されておるそのことに関して、政労使
雇用対策会議においてもこれを
評価し、政府もこれを側面から応援していくというふうな申し合わせをされたように仄聞をしておるところでございますが、そういう課題につきまして、若干前半で
質問をさせていただきたいというふうに思っております。
私は、やはり今の
日本の置かれております
状況というのは、もう国難といいますか、国全体が病んでおって、本当に各界の
皆さんが協力をしながらこれを乗り切っていかなくてはならない、こういう
状況にあるというふうに思っております。まして、
雇用問題というのは、働くことによって人間は生活をしておるわけでありますから、その働く場がないということは、これは決定的なダメージを受けるわけでございますから、そういう面では、労使と、さらには政治の
分野も一緒になってこの
雇用問題の解決に当たらなくてはならないわけでございます。
実は、小渕内閣や森内閣のときには、政労会見などにつきましても、
会議はすべて政府の方で拒否をされるというふうなことが続いておったわけでございまして、これは大変異常なことではないかなというふうに私どもは思っておったわけでございますが、小泉政権が誕生しましてからは、総理も積極的に連合の大会に
出席をしたりメーデーに参加をされたり、また、
坂口労働
大臣のもとで政労使の
雇用問題に対しての
会議を持たれたりということで、そういう合意形成づくりに大変努力をしていただいておるということに関しましては高く
評価をしておるところでございます。
そこで、この社会合意というのは非常に重要なことでありますし、この合意そのものに私は
評価をしておりますけれども、
現実の今までの労使関係を見てまいりますと、特に日経連と連合といいますか労働団体というのは、常に対立をする
状況にあったんじゃないか。日経連は財界の労務部だと言われたりしまして、総評、同盟時代から、連合とは常に対立をするというような
状況がありましたけれども、今回、この
雇用問題で社会合意をし、さらにそれを推進していくという宣言をされた、こういうことでございますが、今までのそういう労使間での対立というものもありましたけれども、しかし、そのほかで、それぞれの持っておる、日経連の持っておる性格、それから労働団体が持っておる性格、この両面からして、いろいろな例えば話し合いをされて合意されても、なかなか実効が上がってこなかったというふうなことはあるのではなかろうかと思うわけです。
例えば、ワークシェアリングにかかわります問題としましては、やはり時間短縮というのも
一つはあるでしょうし、また、それにかかわっての割り増し賃金の引き上げというふうなことにつきましても、常に問題になりながら、なかなかそれが解決をしない。いつまでも基準法の最低の水準に張りついておるというふうな
状況がずっと長年続いてきたわけでございます。
また、有給休暇の消化率にしましても、大体まだ五〇%前後でいっておるわけでございまして、これも一〇〇%休暇が消化をされるとかなりワークシェアリングになるんじゃないか。これを一〇〇%に消化されたとしたら、日経連としてはけしからぬと言えるのかどうかというと、そういう問題ではないはずでございまして、これは使わない方も悪いんじゃないか、こう言われることになるのかもわかりませんが、いろいろな企業内での労使の
事情もあったりしましてそういう
状況にあるわけでございます。
そういうことを考えますと、今の社会合意、さらにそれに基づく推進宣言というものをされましても、それが実際に実効を上げるのにどうすればいいのかということで、先ほど井上議員の御
質問にも若干触れられましたが、それらにつきまして、公労使三者の方からのひとつ御
意見をちょうだいしたいなというふうに思っておるわけでございます。
オランダのワッセナー合意のことにつきましては、よく引き合いに出されますのでよく御存じだというふうに思っておるわけでございますけれども、先ほど
大臣のお言葉の中に、こういう課題につきましては労使の自主的な取り組みによってなされることが望ましいというお言葉がございました。私も、こういう課題というのはできるだけ労使の自治といいますかそういうものが大切で、それが基本であって、政治なりまたは他の団体からこれに対して横やりを入れるというふうなことについてはいかがなものかという
考え方を持っております。できるだけなら労使の自治というものを大切にする、そういう
考え方を基本にしながらも、今日のこの国難とも言うべき
雇用の
状況のときにはそうも言っておられないのじゃないか。
オランダでワッセナー合意が取り入れられたのは、一九八二年でしたか、オイルショックのときでございます。したがって、オイルショックによる大変なインフレの中で、所得
政策も各国で言われておった時期でありますから、賃金の高騰を抑制しなければ国際競争力にも負けていく、さらには社会保険料やそういうものに対する負担も非常にふえてくる、
失業率は一〇%を超えておる、こういう中で、何とか公労使が協力し、国民もこれに協力する形で合意をしようというのがワッセナー合意であったのではないか。
今の
日本の置かれておる社会環境、背景は違います。どちらかというとデフレに近い
状況でありますけれども、少子高齢化社会というのはもちろん現在置かれておる環境の中では大きな要因でもございますし、さらには
失業率も五・三%と過去最高になってきておる。これも、見ようによっては、パートタイマーなどが今千三百七十七万人とも報道されておりまして、二七・七%にも達しておるわけでございます。
日本のパートタイマーというのは、低賃金、低労働条件ということが
一般的になっておるわけであります。こういうことが
日本の労働者にとって必ずしもいい環境ではないのではないかというふうに私は思うわけでございますけれども、ワークシェアリングの
一つの手法として、オランダでとられておるような短時間勤務というような手法も必要でありますが、しかし、それが低賃金、低労働条件ということにならないような、そういう仕組みも考えなくてはならないということを考えた場合に、やはり政府が積極的にこれらに関与をし、労使の自主的な合意形成にいかに協力をし、それを進めていくのか、こういうことで、政府としての責任といいますか、そういうものが出てくるのではなかろうかというふうに今思っておるわけでございまして、まず、
坂口大臣の方から、それらのお考えについて
お答えをいただきたいと思います。