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五島委員 大臣のそのお
考えに対しては、その点については、私も全く同意するわけでございます。
問題は、盛んに、
医療の中における競争原理の導入とかさまざまな発言がございます。
医療のサービスの質を競争によって上げていくということについてはだれも否定しない。そのために必要な情報公開その他の措置をとっていくということは当然であると思うんですね。
しかし、市場経済の中における競争原理ということになりますと、間違いなく、
医療機関同士の中の競争だけではなくて、
医療を消費される患者さんの中においても、その利用に対して勝ち負けが起こってくる。すなわち、いい
医療を受けようと思った場合に、経済的な弱者はその
医療を受けられないという問題が起こってくる。そういう意味においては、その他の
産業における市場競争というものと同じような形で
医療というものをとらえていくということは、これはとんでもない間違いである。
何よりも、
我が国の
医療制度というのは、あるいは
医療保険制度というものに支えられている
日本の
医療制度というのは、社会保障をその財源として、保険原理、税でもって賄っているのであって、その原則として、やはり
国民だれもが必要な
医療を受けられるという、この原則を曲げた市場競争というものは当然受け入れることはできないというふうに
考えています。その点については、
大臣も恐らく御同意いただけるものと思います。もし違えば、後ほど御意見をおっしゃっていただきたいと思います。
そして今度は、厚生省がお出しになった案。結果的に私は、この問題を根本的に解決していない、現在の
状況を解決していないというふうに
考えています。
幾つかの問題がございます。例えば、老人
医療だけを取り離して老人
医療をどうするかという議論、七十五歳からというふうな話もございます。老人
医療の適用を七十五歳からにするとした場合に、私は、老人
医療というところだけ見てやるとすれば
一つの方法だと
考えていますが、問題は、七十五歳以上の老人
医療にした場合に、国保の方は約一千億ぐらいの負担増になっていく。国保の財源が非常に厳しい中において、その手当てはどうするのかという問題。
あるいは、老人
医療の問題を盛んに議論されているけれども、先ほどからも御議論がございますように大変
失業者がふえてきている。大阪市あたりになりますと、もう
失業者が男性でいえば十数%になってきている。そういう
状況の中において、この
方々の
医療保障はどのような
システムでやっていくのか。国保に加入してくれと言っても、そこのところで
失業になった人
たちが未保険者になっていくケースが非常に多い。そうした非常に不況の中で
失業者がふえてきている中において、これをどういうふうに処理していくのか。
例えばドイツやフランスのように、
雇用保険の中から
医療保険料を払うという
システムをとっている国もありますが、
日本の場合にはそこまで踏み込んだ検討は加えられていません。そうしたことはどうするのかということをきちっと議論せずに、出てきた財源の処理のためにどうするか、老人
医療が非常に伸びているから、その財源をどうするのかという議論だけではおさまらないのではないかというふうに思っています。
とりわけ、老人に関して、
介護保険制度が導入され、そして
介護療養型病床というのが
医療機関の中にも設けられたけれども、これの給付についても、例えば老健施設なんかとの間において非常に大きな格差が残されたまま。そういうふうな問題を整理していく気持ちがあるのかどうか。
あるいは、
医療の標準化ということをおっしゃっています。私も必要だと思います。
医療の標準化をやっていく。あるいは、そういうふうなもの、DRGにそこはつながっていくという
一つの方法はあるとしても、では、
医療の標準化なり病名の統一といったようなものを、厚生省としてはいつまでにどのように整理するのか、それを学界に期限を切ってお任せするというふうな措置をおとりになるのかどうか。
そういうふうなことが全然されないと、そういう基本になる部分が次々と後ずさりになって、結果的には財政上の処理でしか問題が処理できないということになってしまわないのかどうか。その辺について、
大臣の率直なお
考えをお聞きしたいと思います。