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平沼国務大臣 マクロとミクロで大変重要な御
指摘をいただきました。私は、実は二十一世紀の
日本にはそう不安は持っておりません。やるべきことをやれば、私は
日本の将来というのはまだまだ十分発展性があると思っています。
それは、少し長くなりますけれ
ども、私は昭和十四年生まれですから、終戦の翌年小学校に入りました。そのときは東京の区立の小学校へ入ったのですが、一面焼け野原で、最初の教室というのが、じめじめした地下の防空ごうで、裸電球が
一つある。周りは全くなかった。工場はすべて破壊されていた。また働き手は遠く戦場に行ってとうとい命を失われる、また傷ついて帰ってくる。そういう中から、みんな心を
一つにして、全く無から世界が瞠目するこれだけの
経済大国をつくり上げた。
あの時点と今とを比較しますと、私は天と地ほど違うと思うんです。それは、先行きが不透明ということもありますけれ
ども、バブルがはじけたとはいえ、まだ
個人に属する金
融資産というのは世界じゅうどこを探しても一千四百兆ある国はない。外貨の準備高
一つとっても、あるいは陰りが見えていると言っている産業技術をとっても、まだまだ
日本はポテンシャリティーがある。
そこで、マクロの点で、私は、やはりかつて三つ子の赤字を抱えて四苦八苦していた
アメリカ、あるいは英国病と言われていたイギリス、それがその中から繁栄を築いていったということは、政治が明確な
一つの目標を設定して、そして国民の皆さん方がそこに心を合わせた、それが原動力にあったと思います。
その中で、今小泉首相が提唱している
構造改革をやはり絶対にやるんだ、多少痛みは伴うけれ
ども、しかし、それを乗り越えたら必ず将来は約束される。ただ、今国民の皆さん方には、発足まだ半年ですから、そこが明確になっておりませんけれ
ども、私は、やはり今言った基礎の中で、先ほどの御
質問にもありましたけれ
ども、
日本は物をつくるということがやはり基本にあると思います。やはりイノベーションをしっかりと起こす。その中で、私
どもは新しい
企業が立ち上げやすいようなそういう環境をつくっていく。
同時に、今非常に制約要因と言われています少子高齢化。これも
考えようによっては、昔は人生五十年、こう言われましたけれ
ども、今八十年で、
実績と経験と知見を持った元気のいいお年寄りがたくさんおられる、そういった方々のパワーを逆手にとって活用する、いわゆる医療だとか介護だとか、そういう面でも私
どもはまだまだそこからパワーは出せる。
さらにまた言わせていただくと、環境というものも制約要因と言われていますけれ
ども、一九七三年のあのオイルショック以来、
日本というのはエネルギーをいかに効率よく使うかということに対しては大変な技術を蓄積しています。
そういったことを体系的に、私は、本当に国民の皆様方がわかるような形で、大きな
経済政策として提示をしていく。そういうことであれば、大げさなことかもしれませんけれ
ども、
日本のポテンシャリティーからいって、何といっても年平均五百兆のGDPを持っている国ですから、そう多くは期待できませんけれ
ども、三%ぐらいの安定的な
経済成長を持続的に維持することは可能だと私は思っています。
ですから、そのためのいわゆる産業政策、もちろん、マクロの問題でおっしゃいましたけれ
ども、いわゆる教育の問題。例えば、行政が信用
保証協会の窓口で、本当に使命感を持って、そしてその衝に当たるというようなことは、やはり行き着くところは、私は、みんなの自覚の問題、それはやはり根本的には教育の問題にあると思います。
ですから、戦後五十
年間、ある
意味では、取り残してきたことを反省の上に立って、マクロもミクロも、新しい時代を構築する、そういう形で力を合わせていくべきだ。そういう中で、私は
平沼プランというのも提示させていただき、
経済産業省も、高コスト
構造の是正も含めて、本当にわかりやすい、そういう
プランを提示して、国民の皆様方の合意をいただくことが必要だ、このように思っています。