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鯉江参考人 ただいま御
紹介にあずかりました
全国商店街振興組合連合会の副
理事長並びに
三重県
商店街振興組合連合会の
理事長を務めております
鯉江盈でございます。
三重県津市の
中心部におきまして、私は、ビルあるいは
レストラン業等々を
経営いたしております。
先生方には、平素何かと商店街、
中小小売商業の振興のために御支援、御協力を賜り、まことにありがたく、深くお礼を申し上げる次第でございます。また、本日は、私
ども中小小売商業者にこのような
発言の
機会をお与えくださいまして、まことにありがとうございます。あわせて厚くお礼を申し上げます。
なお、私
ども商店街振興組合は、昭和三十七年に制定されました商店街振興組合法に基づく商店街の法人組織でございます。また、商店街の組合員が共同して商店街のハード整備やソフト事業を実施する、いわば組織そのものが町づくり組織でございます。
全国商店街振興組合連合会傘下の組合数は二千二百、会員組合員は十四万二千人でございます。
さて、
先生方御高承のとおり、商店街は、私
ども商業者の懸命な努力にもかかわりませず、長期化する
不況に加えまして、郊外型大型店や低価格専門店等の熾烈な競争、市街地大型店の撤退、
中心市街地の空洞化、さらには同時多発テロや狂牛病問題が追い打ちをかけ、極めて困難な
状況にございます。また、
金融機関の
不良債権処理の加速等による
貸し出し姿勢の萎縮や
地価の
下落に伴う
担保価値の
下落等を要因に、
金融調達もますます厳しくなっておる
現状でございます。
平成十一年度商業統計速報によりますと、
平成六年から
平成十一年までの五年間に、
小売業全体の商店数は
中小小売店を
中心におおむね九万店減少し、百四十万店となっております。減少率は六・二%であり、これは
中小小売商業者の
経営環境の厳しさを如実に示しておると言えます。
また、
中小企業庁の
平成十二年度商店街
実態調査によりますと、商店街への来街者は、五年前と比較いたしまして、来街者が少なくなったとの回答が全体の八〇%を占め、多くなったとする回答はわずかに五%でございます。商店街における空き店舗率も、
平成十二年度には八・五三%と
平成七年度
調査時より一・六六%増加し、また、商店街の最近の景況についても、停滞及び衰退しているとの回答が九一・四%を占め、繁栄しているとの回答はわずか二・二%であります。このような数字からも、
中小小売商業、商店街の非常に厳しい
実態が浮き彫りにされております。
また、
責任の所在がはっきりいたしておりますので、私の地元のことを申し上げますと、
三重県の商店街におきましても、郊外大型店の出店等で
中心市街地の空洞化が進み、シャッター通りと呼ばれるほど疲弊した商店街が多数ございます。
例えば、
三重県において、桑名市から伊勢市、近鉄沿線の駅前あるいは都心と言われております
中心市街地は大型店が続々撤退して、かわって郊外では増床あるいは出店等々、一言で言うとラッシュでございます。
恐らく
三重県の
実態は、
全国の
実態と必ず同じだと思うのですね。大変申しづらいのですけれ
ども、言うなれば、
中心市街地の列島メルトダウンがやはり
三重県において象徴されるということを私は申し上げたいと思います。
また、当丸之内商店街においても、Dの撤退に続きましてJの撤退という
状況で、
中心市街地は、本当に懸命の努力にもかかわらず、最初は共存共栄して一緒にやっていきましょうやというのが、都市型に逆行して都市化はどんどん進んでいるという
状況でございまして、町そのものが大変危機的
状況にございます。
こうした中で、私
ども商店街は、個店、商店街、町が再び元気を取り戻すように、
地域住民や行政等と密接に連携し懸命の努力をしているところでございます。
私は、商店街を元気にするキーワードは、
一つは個店の魅力、もう
一つは
地域との連携ではないかと思っております。
魅力のある個店は町、商店街の活力、発展の源泉であり、魅力ある個店なくして町や商店街のにぎわい、楽しさ、ひいては
地域住民の暮らしの向上はあり得ないと考えております。
また、商店街が
地域の住民組織やNPOと連携し、商店街を舞台にさまざまな活動を行うことにより、
地域住民の信頼を得、人々が集うことにより町や商店街が元気になってまいります。
個店の魅力づくりに取り組んでいる商店街に、品川区の中延商店街がございます。この商店街では、以前すべての個店に
経営コンサルタントが評点した通信簿を配りました。それぞれの個店に自覚と改善意欲を持ってもらうためでございます。また、通信簿の配付後に、
経営指導を受けたい希望店を募りまして、毎年五店舗ずつモデル商店として組合経費で
指導を行いました。その結果、
指導を受けたお店は
売り上げが向上したということでございます。
一方、
地域との連携に関しては、再び私の地元の話となりますけれ
ども、
三重県津市におきましては、TMO
株式会社まちづくり津夢時風や丸之内商店街振興組合にその事例がございますので、簡単に御
紹介をさせていただきます。
津市においては、TMO構想の推進役といたしまして、
平成十二年三月に
株式会社まちづくり津夢時風を第三セクターで立ち上げました。そして町づくりに取り組んでおります。
皆様のお手元に御案内のとおり、
平成十七年の春には中部国際空港が開港することになっておりますが、その
三重県側の海上アクセスの拠点として津市が名乗りを挙げ、市民一丸となって開港に努力をいたしております。津市の
中心市街地はその港湾にほとんど隣接しておりまして、そういった意味でアクセス道路も、フェニックス通りの愛称で親しまれたすばらしい道路もございます。
まちづくり津夢時風においては、これらの地の利を生かした町づくりを市民一体で行うために、津夢時風のパートナーシップを募集し、タウンミーティングを数回開催しております。これは各種のNPOとか任意
団体とか同好会とか、そういった方々みんな出ているのです。そして、そういった中で積極的に市民の
意見を町づくりに反映することに努めております。言うなれば、これこそ市民がつくる
中心市街地の活性化であると自負しておる次第でございます。
港と道路そして
中心市街地、この
三つをうまく絡ませた町づくりが市民みずからの手で行えるように導いていく、このような取り組みをやっております。
先ほ
ども申し上げましたが、
中心市街地の活性化には
地域との連携は欠かせません。この連携をどのように保っていくかが非常に難しく、また
地域商業の、
地域中心市街地の将来を占うことになると実は思っております。そういった意味で、津市を
中心とした、市民を
中心とした活性化への取り組みを、今懸命の努力をしながら、都市の再生に努力を傾注しておるところでございます。
このほか、その他の
地域でも、NPOと連携し、空き店舗を活用し、託児所とかあるいはNPOの活動拠点をつくるとか、あるいはいわゆる観光の案内所をつくるとか、さまざまなケースもございますし、また地元の大学や高校とも連携して町づくりについて一緒に考える等々、近時、
地域と商店街が連携し
地域活動を行っている事例があります。まさに
地域社会のいわゆる一端を担って、ともに
地域のいわゆる明るい豊かな未来を築き上げようというような心意気でやっております。
それでは、商店街の活性化のために今後何が必要かについて、要点を述べたいと思います。
私はただいま個店の魅力と
地域との連携がキーワードと申し上げました。しかし、これだけでは正直言ってまだまだ足りません。まず
一つは、TMOの
役割、機能の強化、二番目として、町づくり三法の一体的な
運用、
三つ目として、一元的な
土地利用規制の確立等の実現がぜひとも必要であります。
TMOの強化については、
資金、運営面での基盤確立を図り、
中心市街地活性化に係る作業を円滑に進めることによりまして、早期に当初の目的を達成しなければなりません。
また、町づくり三法については、整合性を持った一体的な
運用がされることが必要であり、特に、大店立地法の指針にある
地域づくり、町づくりへの配慮を生かした厳格な
運用がなされることが絶対に必要であると思っております。
一元的な
土地利用規制につきましては、町づくりに
地域の
意見をより一層反映させるために、早期に都市計画法と農地法、農振法等の関係のあり方を含め、一元的な
土地利用規制の実現に向けて検討に入っていただきたいと実は願っております。
このような大きな柱に加えて、当然のことながら、効果ある
景気対策、
金融対策を講じていただかなければなりません。
次に、その
景気対策や
金融対策等を含め、幾つかお願いをさせていただきたいと思います。
まず第一に、一刻も早い
景気回復の実現でございます。
我が国経済は、デフレスパイラルが懸念される極めて深刻な
状況にございます。これを回避するためには、適切なマクロ経済運営を図る必要がございます。このために、
政府におかれましては、特に
中小企業が活力ある成長を遂げることができるように、経済
状況に十分配慮し、構造改革を推進するとともに、大胆かつ効果ある
景気浮揚策を講じていただく必要がございます。特に、適切な補正予算の編成、成立と早期の執行を強く要望いたします。
二番目は、
金融対策の一層の充実でございます。
景気低迷を背景に
中小小売商業者の収益
状況は悪化しております。また、
地価の
下落等、
担保力も低下しておりまして、
貸し手の
金融機関においても、自己査定の厳格化、
金融庁による特別
検査の実施による
不良債権額の増加から、貸倒引当金を積み増しし、また、株価低迷による含み損、この拡大に伴い
評価損を計上する等、赤字決算となる
銀行も続出することが懸念されております。
そうした中で、一部
銀行においては、
自己資本比率維持のため、
融資回収の指示をしているとの新聞報道もございます。借り手の信用力の低下並びに
貸し手の信用収縮の動きを勘案しますと、
中小小売商業者の
金融調達環境は非常に厳しい
状況となってまいります。
つきましては、まず第一に、
信用保証協会の
保証制度の充実と
運用に当たっての弾力的な対応を実現していただきますことをお願い申し上げます。
第二に、
政府系金融機関の
融資制度の
充実強化でございます。
その関連で、現在、特殊法人改革に当たって
政府系中小企業金融機関の見直しが実施されておりますが、同
金融機関の
金融機能の縮減に強く反対するものでございます。
政府及び組合出資により効率的に政策運営をされている商工中金の民営化は行うべきではない、かように思っております。
第三に、
ペイオフの
解禁につきましての十分な御議論であります。
私
ども中小小売商業者の多くが取引を行っております地元
金融機関である
信用金庫、
信用組合に
ペイオフ解禁により
預金の流出などの
影響が生じるとすれば、
地域に重大な
影響が生じると憂慮するものでございます。現在の
景気状況を勘案いただき、
ペイオフ解禁の是非については十分に議論をしていただき、
中小小売商業者が
金融調達にそごを来すことのないように対応していただきたい、かようにお願いする次第でございます。
三番目に、個店対策の拡充強化でございます。
先ほど来申し上げておりますように、元気ある個店とは町、商店街の活力、発展の源泉でございます。
中小小売商は顧客に支持される魅力のある店づくりに最大限努力しなければなりません。しかしながら、
経営資源の不足する
中小小売店の自助努力にはおのずと限界がございます。
そういうことから、国はその補完と真摯な努力に対して、一、商品力強化等の
経営革新への取り組みの支援、二、
経営改善のためのアドバイザー派遣、三、創業、業種転換支援等々、きめ細かな個店対策を抜本的に拡充強化していただきたいということをお願い申し上げます。
最後に、町づくり、商店街対策の一層の充実でございます。
元気をなくした町、商店街にいま一度活力とにぎわいをもたらすために、国は、商店街等が
地域と連携もしくは一体となって取り組むTMO等の事業活動をしやすくする、二番目に、NPO等、
地域との連携活動、三番目がコミュニティー施設等集客施設の誘致等々への支援を
創設していただきたい。そして、それを強化するとともに、商店街IT対策、商店街等組合強化対策、商店街マネジメント対策等をさらに充実し、骨太の町づくり、商店街対策を確立していただきたいということを切にお願い申し上げます。
続いて、牛海綿状脳症問題の
現状と要望を行います。
商店街の食肉店、焼き肉店等が甚大な
影響を受けております牛海綿状脳症、いわゆるBSE問題に対して、全振連が実施しました
影響調査に基づき御報告を申し上げますとともに、抜本的な問題解決策と
対象業者への手厚い
経営支援についてお願いをさせていただきたいと存じます。
この
調査は、都道府県連合会を通じ、
全国の商店街に対し、電話、ファクス等で
実態把握を行ったものでございます。実施期間は十月二十五日から三十一日までの一週間、
対象先は商店街にある食肉店、焼き肉店、レストラン、牛乳店ほかでございます。回答数は三百七十九店でございます。
調査回答先全体の対前年同期比の
売り上げの減額率は、店全体の
売り上げでは、安全宣言前三四・四%減、安全宣言後三一・九%減、うち牛肉関係の
売り上げのみでは、安全宣言前では四五・二%減でございます。安全宣言後においても三九・五%減と大幅に減少いたしております。中でも、食肉店、焼き肉店につきましては、現在においても
売り上げが半減したままの
状態が続いております。
続きまして、BSE問題に関して困っていることとして挙げられましたのは、まず
一つが、
売り上げが大幅に減少しており、このままでは店を存続させることができない、二番目に、この
売り上げ不振がいつまでも続くのであれば
従業員を解雇せざるを得ない、三番目に、
売り上げの減少に伴い
運転資金が不足し、仕入れ先への支払いができない等、事業縮小、
廃業、
倒産の危機に直面している業者も少なくございません。憂慮いたしておるところでございます。
次に、
売り上げの減少や困っていることへの対応策についての
調査回答では、牛肉は安全である旨のポスターやチラシ等を掲示、配布あるいは
お客様に説明しております。それから、牛肉以外の肉の品ぞろえや総菜の充実、牛肉を使わないメニューの追加等を行っております。アメリカ産とオーストラリア産の牛肉のみを扱うことにし、その旨店内に掲示した等々、
現状いまだ消費者に牛肉の安全性に対する不安感があるため、不安感を取り除くためのPR、説明や、不安感のない商品へのシフト等に努力している姿が見てとれます。
BSE問題について、
政府は現在、相談窓口の設置、
セーフティーネット保証、
貸し付けの実施などの対策を講じておられるところでございますが、今申し上げたように、関係者は本問題で大変苦労しております。
したがいまして、
政府におかれましても、一刻も早く国民の懸念を払拭し、安心して牛肉が食べられるような抜本的な対策を講じていただきますようお願いを申し上げます。
以上、私の
意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(
拍手)