○小林(守)
委員 今
大臣の方から、
三つの主な理由を述べられ、そして
日本として、また
大臣としてこの問題についてどう
考えているかという
お話をされたわけでありますが、私たち
環境委員会で、盆の過ぎ、八月の十六日から二十三日までだったでしょうか、
アメリカに派遣をさせていただいて、たまたま
アメリカの全米科学アカデミーの皆さん方と、この
アメリカの
離脱の問題について議論をさせていただきました。
その
三つ目にありました科学的な不確実性という問題について、
アメリカの議会の中でそういう議論があったんですね。それらについて、その全米科学アカデミーの方でIPCCの第三次報告について評価をいたしまして、科学的に確実性はあるというような裏打ちがされて、いわゆる
政治家、政治
レベルでの不確実性の問題については否定されたというような経過があったようであります。そういうことで、
アメリカの
離脱の理由の
一つは消えたというか、そのように言えるんだろうというふうに
思います。
また、
アメリカの世論の中でも、上院のお一人の方が共和党を
離脱されて無所属になったという形で、力関係が一人の違いで逆転しちゃったような
状況になりましたね。そういうことで、かなり
アメリカの議会の力関係も変わりつつあるということなんですが。
たまたまワールドウオッチ研究所のフレービン所長さんにお会いすることができまして、いろいろ
お話を聞かせていただきまして、
アメリカ国民の六割ぐらいは、やはり
京都議定書に
参加すべきだというのが世論だというふうにお聞きいたしました。ただ、ブッシュ政権の選挙の公約な
どもあって、むしろ振り上げたこぶしがおろせないでいるのではないかみたいな
お話も、そのワールドウオッチ研究所のフレービンさんの方からもお聞きした経過もございまして、それで意を強くして帰ってきたというような
状況であります。
そういうことで、残された、
経済への損失をもたらすものなんだという
考え方、あるいは
途上国の問題について、
途上国の問題については、これまでの十年に及ぶ
交渉の経過、積み上げの中で、共通であるが差異のある協力というんですか、そういう形で
合意がされてきた経過もございますから、確かに中国やインドが
参加されていないというのは
環境の
十全性からいって大きな問題があるのは事実だと
思いますが、これをもって致命的欠陥だというように言う
アメリカの
考え方というのは、これはやはり国際協調の視点からいっても通らない話ではないか、このように思えてなりません。
そこで、残された大きな問題は、その
経済的損失を伴う
京都議定書については反対だという視点を、どうきちっとした論拠を持って、先ほど言いましたが、今後の国内
対策も含めて
考えるならば、これは相当のきちっとした政策体系を持って、理念を持って臨んでいかなければならない問題ではないかな、このように思うわけですね。
たまたま日経新聞などにも出ておりましたし、また最近の経団連などの主張を取りまとめたものをちょっと手に入れることができましたが、
政府は、二〇〇二年の議定書
発効に固執することなく、米国を含む国々が
参加できる国際的な枠組みづくりを目指すべきである、こういうことを言ったり、あるいは、
経済への悪
影響を考慮すべきである、さらなる
対策を産業界に求めれば、
環境コストの上昇によって国際競争力は失われ、国内の雇用情勢はさらに悪化する、こういうような論調で、
京都議定書の、
COP7に向けての国際的な
取り組みに対して非常に後ろ向きな論調がこれらの
経済界を
中心に起こりつつあるということでありまして、ひしひしとその問題については
環境省の方でも受けとめているのではないかと
思いますし、また、
経済産業省の方の産業構造審議会の
地球環境小
委員会の中でも、これに類する立場の発言がかなり目立ってきているということも私たちは大変
懸念を受けているわけであります。
そういう点で、先ほど来の議論の中にもありましたが、
環境と
経済の新たな統合、新たな枠組み、これはやはり新しい
経済の構造改革、今盛んにあらゆる
分野で構造改革ということが言われていますが、
経済社会の構造改革の大きな柱なんだろう、このように思えてなりません。
環境と
経済との統合の中で新たな枠組みをつくっていく、新たな持続可能な
経済社会の発展の枠組みをつくっていくということなんだろうというふうに思うんですよね。
そういうことで、資源リサイクルの問題、
地球環境の問題を
考えていっても、今までの二十世紀型の成長路線ではあり得ない二十一世紀ということを
考えるならば、まさにここで構造転換をしなければならないし、私は、ブッシュ政権の
考え方、あるいは、今それに同調するような形で出てきている
日本の産業界、
経済界の一部の
考え方については、やはりちょっと二十世紀型の延長線上にある論理ではないのかというふうに思えてならないんですが、その辺について、これを今後どう進めていくのか。
特に
大臣の場合は、
日米ハイレベル協議の中で、少なくとも
アメリカの
参加を求めるということになるならば、この説得というか、いろいろな
考え方を示しながら
アメリカ等の
参加を求めてきている経過がありますので、相当この辺がやはり自分自身の
考え方の整理の中でも問われたのではないかというふうに思うんですが、その辺をお聞きしたいと
思います。