○東(祥)
議員 渡辺先生、よく聞いてくださいました。ありがとうございます。
先ほど来からの
お話を聞いていても、もう先生御案内のとおり、
日本というのはこれまで、国際の平和のために一生懸命頑張るんだ、頑張るんだと言っておきながら、現実に
PKO法案をつくり上げたときに、
自衛隊法を見てください、第百条の七、雑則ですよ、雑則に入れているわけですね。それを国際社会の
方々が見たときに、結局口だけじゃないかと。私たちは、ちゃんと
自衛隊法第三条、いわゆる本来
任務ですよ。第一項というのは、国土がもし危機に瀕したときにどうするのか、あくまでも専守防衛、
攻撃に対して反撃する。その部分において支障が伴わない限り、国際の平和と安全のために積極的に頑張っていきましょうということで第二項に新たに加えさせていただいているわけです。これを見ていただければ一目瞭然で、本当に国際の平和と安全のために、
日本として国際社会に明確に発信していくんだということであります。
それからもう一点、これはまさに前提になることですけれども、政治家が
日本の進路といいますか、そういうものを決めていかなくちゃいけないんじゃないでしょうか。
僕は、一九九〇年に政治家になりました。そのとき、安全保障の
議論というのは
内閣法制局長官がやるのかと錯覚に陥ったんですよ。多くの若い政治家の人たちは、その錯覚に陥っちゃって、多分マインドコントロールされているんじゃないでしょうか。つまり、国際平和
活動、あるいはまた
国連を中心とした
平和維持活動、回復
活動、これは本当に
憲法九条と抵触するのかどうなのか、これを政治家みずからが提案しなくちゃいけないんだろうと思うんですよ。
私たちは、それを踏まえた上で、そうではないんだと。
国連憲章と
憲法第九条というのは同じですから、
国連憲章の第二条第四項、戦争というのはやっちゃいけないんですよ。しかし、戦争というのはやっちゃいけないんだけれども、国際社会においてならず者があらわれてきたときどうするんですか、それは各国が
自衛権を発動してやるんですか、そうじゃないでしょうと。国際社会が一致団結してそのならず者に対して制裁措置を加える、それがまさに
国連憲章の基本的な考え方であり、それが本当に機能しているかどうかというのは別ですね。
では、それに対して、一九五六年、
日本は国際社会に
国連加盟国の一員として復帰していくわけです。そのときに、国際社会の平和と安全のためにどうするのかと本来覚悟してこなくちゃいけなかった。だが、それを基本的にしてこなかったんじゃないでしょうか。
私たちは、ある
意味で、新進党時代から、真正面からこの問題とぶつかり合いながら、そしてつくり上げ、自由党の中でも、自自連立政権をつくっているときも、この問題に対して決着をつけなくちゃいけない。大変失礼ですが、名前は控えさせていただきますが、自民党の多くの政治家の
方々から、東さん、今度やるから今は待ってくれと。僕は、今度とお化けというのは絶対に出ない、今ちゃんとやらなくちゃいけないんだということで申し上げ、そして、内閣
法制局の考え方というのは
憲法だけですから、あくまでも国際の平和と安全に関しては、
憲法と
国連憲章と
自衛隊法、そういうものを兼ね合わせた形でもって
日本の政治家が発信しなくちゃいけないでしょうと。したがって、例えば、私たちは、
国連の
平和維持活動のみならず、
国連の平和回復
活動、
国連を中心とした、
国連の安全保障
理事会でそういう決断をすれば
憲法上クリアされますよ、こういう
判断を下しているわけです。
さて、やるかやらないかという問題は、それこそ
憲法論議ではなくて、
日本が持っているちゃんとした能力に応じて政治
判断、政策
判断をしていけばいいわけですよ。ところが、今までのこういう
議論をすれば、必ず、政治家がいわゆる軍事作戦の問題まで介入してこなくちゃいけなくなるわけですよ。渡辺先生がおっしゃるとおりですよ。
現場に行って、あの当時も
議論されました、機関銃を持っていっていいのか、一丁ならばよくて合憲で、二丁ならば違憲だ、こういう
議論がなされていることがナンセンスでしょう。国際社会から見れば、
日本の国会というのは安全保障
議論に関して何をやっているのかという形で見られてしまいますよ。
そういうものを全部踏まえた上で、
日本として、国際の平和と安全、とりわけ今回は
PKO問題でありますから、今までのありようといいますか、
憲法論議の、何というのでしょうか神学論争的に、いわゆる政策論を
議論していると
憲法解釈論に戻ってきてしまい、こういうものを全部クリアカットしましょう、その上で本来、政策論を論じなくちゃいけない。政策論を論じていると
憲法解釈上抵触する、全くナンセンスな
議論がずうっとこの十年間行われてきた。
九二年、三年のときというのは、渡辺美智雄当時
外務大臣が、若葉マークだからこれはしょうがない。もう十年近くの一つの経験があるわけです。それを踏まえた上で、政治家がちゃんとこの問題に対してどのように決着させるのか、そういう視点に立って新しい
法案をつくらせていただきました。
渡辺先生とほぼ同じような意見でございますので、民主党内をまとめていただいて、ぜひとも御賛同していただければと思います。