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2001-09-19 第152回国会 参議院 予算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年九月十九日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  九月四日     辞任         補欠選任      大門実紀史君     池田 幹幸君  九月十七日     辞任         補欠選任      弘友 和夫君     魚住裕一郎君  九月十八日     辞任         補欠選任      木村  仁君     山内 俊夫君      南野知惠子君     加納 時男君      木俣 佳丈君     池口 修次君      櫻井  充君     山根 隆治君      内藤 正光君     本田 良一君      峰崎 直樹君     広中和歌子君      浜田卓二郎君     木庭健太郎君      池田 幹幸君     大門実紀史君      紙  智子君     緒方 靖夫君      平野 達男君     広野ただし君  九月十九日     辞任         補欠選任      江田 五月君     高橋 千秋君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         真鍋 賢二君     理 事                 加納 時男君                 佐々木知子君                 常田 享詳君                 山内 俊夫君                 吉村剛太郎君                 齋藤  勁君                 高嶋 良充君                 魚住裕一郎君                 小池  晃君     委 員                 愛知 治郎君                 荒井 正吾君                 有馬 朗人君                 有村 治子君                 入澤  肇君                 岩城 光英君                 小野 清子君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 斉藤 滋宣君                 陣内 孝雄君                 野沢 太三君                 日出 英輔君                 保坂 三蔵君                 松谷蒼一郎君                 松村 龍二君                 池口 修次君                 江田 五月君                 小川 敏夫君                 高橋 千秋君                 広中和歌子君                 藤原 正司君                 堀  利和君                 本田 良一君                 柳田  稔君                 山根 隆治君                 木庭健太郎君                 遠山 清彦君                 山口那津男君                 緒方 靖夫君                 大門実紀史君                 宮本 岳志君                 福島 瑞穂君                 平野 貞夫君                 広野ただし君                 松岡滿壽男君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        総務大臣     片山虎之助君        法務大臣     森山 眞弓君        外務大臣     田中眞紀子君        財務大臣     塩川正十郎君        文部科学大臣   遠山 敦子君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   武部  勤君        経済産業大臣   平沼 赳夫君        環境大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官)        (男女共同参画        担当大臣)    福田 康夫君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (防災担当大臣) 村井  仁君        国務大臣        (防衛庁長官)  中谷  元君        国務大臣        (沖縄及び北方        対策担当大臣)        (科学技術政策        担当大臣)    尾身 幸次君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君        国務大臣        (経済財政政策        担当大臣)    竹中 平蔵君        国務大臣        (規制改革担当        大臣)      石原 伸晃君    内閣官房長官        内閣官房長官  上野 公成君    副大臣        内閣府副大臣   松下 忠洋君        総務大臣    遠藤 和良君        外務大臣    植竹 繁雄君        厚生労働大臣  桝屋 敬悟君        厚生労働大臣  南野知惠子君        農林水産大臣  田中 直紀君        経済産業大臣  松田 岩夫君        国土交通大臣  泉  信也君        環境大臣    風間  昶君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        平沢 勝栄君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        内閣法制局長官  津野  修君        郵政事業庁長官  足立盛二郎君        公安調査庁長官  書上由紀夫君        外務省中東アフ        リカ局長     重家 俊範君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事選任及び補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○予算執行状況に関する調査     ─────────────
  2. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) ただいまから予算委員会開会いたします。  議事に先立ち、一言申し上げます。  去る十一日、米国において発生いたしました同時多発テロ事件により、罪のない数多くの方々がとうとい生命を落とされました。さらに、いまだ行方不明の方もいらっしゃることを聞くにつけ、胸の締めつけられる思いがするとともに、その安否が大変気遣われるところでございます。  この憎むべき事件により犠牲になられた方々並びに御遺族方々に対し謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に対して心よりお見舞い申し上げる次第でございます。  ここに、亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。  御起立願います。黙祷始め。    〔総員起立黙祷
  3. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 黙祷を終わります。御着席願います。     ─────────────
  4. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 理事選任及び補欠選任についてお諮りいたします。  去る八月八日の本委員会におきまして後日指名することといたしておりました理事二名の選任を行いますとともに、委員異動に伴い現在一名欠員となっている理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事加納時男君、山内俊夫君及び魚住裕一郎君を指名いたします。     ─────────────
  6. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  予算執行状況に関する調査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  8. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 予算執行状況に関する調査についての理事会決定事項について御報告いたします。  本日の質疑総括質疑方式で行い、質疑割り当て時間は六十二分とし、各会派への割り当て時間は、自由民主党・保守党二十分、民主党新緑風会二十分、公明党七分、日本共産党七分、社会民主党護憲連合二分、自由党四分、無所属の会二分とすること、質疑順位につきましては、それぞれお手元に配付いたしておりますとおりでございます。     ─────────────
  9. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 予算執行状況に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。齋藤勁君
  10. 齋藤勁

    齋藤勁君 民主党新緑風会齋藤勁でございます。  本予算委員会は、総理出席をする閉会中審査としては実に三十五年ぶりの開会というふうに聞いています。  米国での同時多発テロ、これに起因するニューヨーク市場東京市場での株価急落日本経済の先行き不安、史上最悪を記録した失業情勢参議院選挙における高祖憲治氏派の選挙違反事件、後を絶たない外務省不祥事、狂牛病をめぐる農水省、厚生省の対応など、我が国政治が当面する課題は山積をしております。こうした中で開かれる予算委員会は、全国民注視の的になっており、国権の最高機関たる立法府がこのような山積する課題に対し適切な審議を行い、一致して有効な対策が立てられるであろうことを国民は期待をしていると思います。  良識の府参議院に議席を有する私たち参議院議員、こうした国民の負託に真摯にこたえるべく、与党、野党という立場にこだわらず、当面する課題に一致して立ち向かわなきゃならないということを質問に先立ち強調しておきたいと思います。  まず、米国発生した同時多発テロで亡くなられた方に心から哀悼の意を表し、御遺族と今なお行方不明の方々とその御家族にお見舞いを申し上げます。  五千人を超える死者、行方不明者を出した今回の大惨事は、自由と民主主義、人間の尊厳、世界の平和と安定を求めるすべての国民国家に対する許しがたい挑戦であります。テロリズムは人道と正義に反する行為であり、我々はこれを断じて許すことはできません。世界が一致して、暴力に屈することなくテロに対して毅然として立ち向かっていくべきだと思います。テロ防止根絶への最も有効な対策は、テロに対してこのように毅然たる態度を示すことは言うまでもない。  もう一つ、誤ってはならないことは、毅然たる態度をとるということは、武力による報復攻撃だけということではないということについても述べなければならないと思います。  幾つかこういった前提におきまして、総理関係大臣にお尋ねしたいと思います。  まず、今回の事件発生時、いわゆる官邸、総理テロ対応に甘さがあったんではないか。事件発生後の総理、このことについての対応について、こういった指摘がありますが、このことについての見解をお述べいただきたいというふうに思います。
  11. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まず、結論から申し上げますと、対応には全く誤りがなかったと思っています。迅速に適切にやるべきことは全部やったと思っております。
  12. 齋藤勁

    齋藤勁君 この事件発生をする前に、九月六日に、我が国日本、韓国の北東アジア地区米国関連施設に対する大規模なテロが行われる可能性が高い、米国国務省情報警察庁に入る。このことについて、伝達はどのように政府内で行われましたか。
  13. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 警察庁報告によりますと、九月六日に在京米国大使館から警察庁に対しまして、日本の、日本にございますということでございますけれども、米軍関連施設等に対するイスラム関連でのテロのおそれがあるという情報が伝えられました。  しかし、これはいろんな情報がございます。いろいろな確度情報があるわけでございますけれども、この確度とか出所の不明の情報なんですね。またもちろん、ビンラディンというふうな名前も出てきていないというような情報でございました。それから、あくまでも日本国内施設等に関する情報であって、今回のような米国内でのテロを予告したものではありませんでした。  警察庁では、この情報を受けまして、国内米軍関連施設等の警戒、警備指示する等の所要処置をとりました。  私がその情報を聞きましたのは、翌日九月七日に、これ、実は一般情報として聞いたわけでございます。この情報自身は、警察庁から総理秘書官内閣官房長官秘書官内閣情報調査室などに報告がなされております。  そういうふうなことで、私自身が聞いたのは九月七日でございますけれども、そういうような所要処置が十分とられている、それから、その確度出所というものが不明であるという点から、警察当局関係部署もそういう処置で十分な処置がなされたと、こういう理解をしておったところでございます。
  14. 齋藤勁

    齋藤勁君 このことに関して幾つかの報道が出ているんですけれども、外務大臣あるいは防衛庁長官にこういった情報が伝えられていなかったというふうに明らかになっておりますが、それぞれ関係大臣、こういった連絡体制でよろしかったというふうに思われているのか、外務大臣防衛庁長官に伺いたいと思います。
  15. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 本件につきましては、ただいま総理大臣及び官房長官がおっしゃったとおりでございますが、私が、事実関係から申しますと、実際に知りましたのは九月の十二日でございました。  そして、それは、七日の日にサンフランシスコ講和条約の五十周年並びに日米安保の五十周年の会合がサンフランシスコでございまして、防衛庁長官と同じ飛行機で出発をいたしましたが、その滞米中にはこういう話は聞いておりませんで、帰ってきましてから、そういうふうな未確認情報というものがあったということを北米局長から聞きまして、事実関係をただしました。  そして、国内治安につきましては関係省庁が適切な措置をとったという報告を受けましたが、その席で私は関係局長、幹部に対しまして、こうしたことは確実に速やかに情報を上げてくれなければ困るではないかと言って厳しく注意をいたしました。
  16. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 本情報につきましては、在京大使館から警察庁連絡があって、治安に関することということで警察の方で適切な処理をされたというふうに思っておりますが、いろんな見地から判断の上、防衛庁にも情報連絡が来るわけですけれども、やはりテロへの対処という見地から、このような情報につきましては、内閣のもとで防衛庁も一緒に情報を共有することが望ましいのではないかというふうに思っております。
  17. 齋藤勁

    齋藤勁君 私は、事件が起きたから言うんではなくて、我が国には残念ながら国内サリン事件というテロ事件がございまして、緊張感がないんではないかということを申し上げたいなというふうに思います。  それから、総理対応に甘さがあったんではないかということで、何ら全く手抜かりというか段取りは誤っていないということでありますが、総理東南アジア歴訪の延期をちゅうちょされた。それは、もう既に約束をされたというのはあると思うんですが、時間的に二日かかっている。あるいは、アメリカに対して事件発生メッセージを出すということについて、官房長官メッセージを出し、各国首脳はすぐ、イギリスもフランスもあるいは中国の首脳も、場合によれば江沢民国家主席電話ブッシュ大統領と話をしている。その後、総理自身電話で話し合いをしておりますけれども、この時間的な差というのは極めて国際的には大きなことではないかと思うんですが、そのことはいかがですか。
  18. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 既に、一報を聞いてから二時間か三時間ぐらい後に政府声明を私は出しました。日本政府並びに私としての談話をアメリカに伝えてあります。  また、深夜でありましたけれども、政府専用機等、いかなる支援活動にも対応できるような国際緊急援助隊等、羽田に、真夜中でございますが待機の手はずを整えておりまして、危機対策管理室等、しかるべき情報収集対応というのは、今までにない速やかな、いかなる要請にも今の日本の法的の範囲内ででき得る限りの体制はとっていたわけでありまして、発表の仕方とかマスコミ等記者団に対して見える形での発表についてはいろんな批判がございますが、やるべきことはすべてやってきたと、万全の体制をとっていたと言ってもいいと思います。
  19. 齋藤勁

    齋藤勁君 私が指摘しているのは、総理が答弁された後段の方だと思います。  総理自身が目に見える形で、アメリカに対し全世界に対し、テロを憎む、このことについての率直なメッセージを発するべきだったと。そのことが、東南アジア歴訪に対し中止をするという時間的な決断についても遅くなったということにもつながっていくんではないかという関連性があるんではないか。総理自身メッセージを早く全世界に、アメリカに発するべきだったということを私は申し上げているので、そのことについて再度お尋ねします。
  20. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それぞれの役割があると思います。官房長官もおりますし、私の役割もある。すべての必要な指示を出した後、この発表官房長官がいいなと思って官房長官指示を出したわけであります。
  21. 齋藤勁

    齋藤勁君 過ぎたことを誤っていましたとか、決断は今言われても今はもう過ぎたことだから仕方がないとお思いかもわからないけれども、こういった重大事におけるトップの速やかなみずからの言葉で語るということについてが何よりも私は重要ではないかというふうに思いますので、そういった意味指摘をさせていただきたいというふうに思います。  さて、今度のテロ事件、私ども、我が国にとっても大変危険な、ある意味では国民生命、財産を守るという意味で大変な状況だと思いますが、現在の我が国警備体制、このことについてはどういう状況でございますか。担当大臣にお伺いいたします。
  22. 村井仁

    国務大臣村井仁君) 十一日あのような事件が起きまして、十一日の深夜と申しましょうか、十二日になる直前でございますが、米軍サイドから米軍施設について防護を、米軍関係施設について防護を少し重くしてくれと、こういうような要請がございました。こういった要請を受けまして、警察は直ちに体制の強化に入りまして、全国米軍関係で二十都道府県、約百五十カ所というところでございますが、これらにつきまして、例えば一例を申しますと、警護に当たります警察官の人数を非常にふやす、あるいは今まで全く対象にしていなかったところも警護対象にするというような措置をその日の、十二日の午前五時までにすべて完了をいたしております。  そのほかに、全国で合計して今の数を含めまして三百五十カ所の警護対象につきまして、現在なお非常に重い警護体制を組んでいるというのが現状でございます。
  23. 齋藤勁

    齋藤勁君 総理にお尋ねいたしますが、今、現段階アメリカ政府から我が国政府に対し、今度のテロ事件後具体的に支援要請、具体的にどういう要請がされておりますか。総理だけでなく関係大臣でも結構ですが。
  24. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 現在のところ、米国から具体的な支援要請というものは参っておりません。
  25. 齋藤勁

    齋藤勁君 具体的な支援要請がない。しかし、想定される日米同盟関係あるいはテロ根絶に対し可能な限りの対応をとろうということで、今、政府内で準備をされているというふうに思いますが、この今、政府内で準備をされている内容についてお伺いいたします。
  26. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回のテロに対しては、米国に対する攻撃のみならず、これは自由に対する、また平和に対する、人類に対する卑劣きわまりない攻撃だと私はとらえております。こういう全く罪のない、関係のない方々を死に追いやったテロ行為に対しまして強い憤りを覚えるのは我々だけではないと思います。全世界ほとんど共有しているのではないか。  そういう意味から、これは米国に対するテロリスト攻撃だと思いますが、我々はテロ行為に対して、今後とも二度とこういうことが起こらないような対策アメリカ初め関係諸国連絡、協議するのは当然でありますが、同時に、日本国として予測し得ないようなテロ行為が今後起こる可能性がある。信じられないような今回のテロ行為に対しましてどういう対策をとるか、またこのテロ行為に対して米国がどういう行動に出るか、それについてどう我々が対策をとるかというのは日本国として主体的に考えるべき問題でもあると思っております。
  27. 齋藤勁

    齋藤勁君 報道を見る限り、政府米国がいわゆる報復攻撃に踏み切った場合の支援策について、米軍基地専用基地警備自衛隊ができるようにする自衛隊法改正あるいは有事法制定、国際的なテロに限定して自衛隊による米軍などへの後方支援を可能にする新法制定等々を考えて、あるいは防衛庁長官周辺事態法範囲内に含まれるんだ、こういうことではないかという、るる毎日のように流されているんですけれども、これは相当具体的に検討をされている、これを今せっかくこういう場ですから、政府はこういうことを検討しているんだということを明らかにしてもらえませんか。
  28. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 御指摘のとおり、また新聞報道などにも出ておりまして、いろんな案があるようでございます。また、私どももその検討をしている課題もございます。  ただし、今現在いろいろな方策がある、どれをとるべきか、どういうものを、また必要あれば国会で御審議願うということもあろうかと思いますけれども、どういうものがあるかということを今検討している最中でございますので、お求めでございますけれども、ここで申し上げるわけには、今そのような段階になっていないということを申し上げます。
  29. 齋藤勁

    齋藤勁君 防衛庁長官中谷さん、相当具体的に記者会見等で言われているので、いかがですか、防衛庁長官
  30. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 現在行っている検討というのは、我が国の憲法においてとり得る限りの判断でありまして、ことでありまして、いかなる対応をとるかということにつきましては米国行動やらそのときの状況によるものでありまして、現時点におきまして、例えば周辺事態法においても適用できないというような判断を下す時期ではないというふうに思っております。
  31. 齋藤勁

    齋藤勁君 総理官房長官、あれですか、今ここで私が持ち時間を何分使おうが具体的な検討内容というのは出てこない、幾ら質問しても。具体的にこういう今検討状況ですというのは出てきませんか。
  32. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在の法律でできることは既に検討しております。しかし、どういう対応をとるか、まだわからないんです。御理解いただけると思いますが、アメリカは、攻撃を受けて、テロリスト容疑者であろうということは何人か特定しているようでありますが、まだ決まっていない。今回のアメリカテロに対する断固たる措置というものが、テロリスト個人に及ぶものなのか、テロリスト組織によるものなのか、テロリスト支援している組織に及ぶのか、テロリストをかくまっているといいますか、擁護している、支援している政権によるものなのか、また国に対するものなのか、全然まだはっきりしておりません。その対応によって我々の対応も違ってくる、その点を御理解いただきたいと思います。
  33. 齋藤勁

    齋藤勁君 十四日付の報道ですけれども、これは報道というより記者会見をしたことが報道で出ているんですが、今回の米国同時多発テロを受け与党内で有事法制の整備や自衛隊法改正を急ぐよう求める声が相次いでいるということで、先ほど村井国家公安委員長からも警備体制について御答弁いただいたんですが、十三日、これは十四日の報道ですから十三日の閣議の後、日本国内米軍基地自衛隊警護できるよう自衛隊法改正論議についてこのように述べていますね。治安維持や米軍警備には、一義的には警察が任に当たる、今、警察全国米国関連施設の警戒を強化をしており、何が不足なのか、何で自衛隊が出なきゃならないのか正直よくわからないと否定的な見解も示した。石原行革相も記者会見で、有事法制の議論は唐突な印象を受ける、一義的には治安警察に依存する、以下、同じような見解を述べています。  これは今なお変わらないですか。
  34. 村井仁

    国務大臣村井仁君) 先ほども御答弁申し上げたところでございますけれども、米軍あるいは米国関連施設、それから空港その他、当然に私どもとしまして警戒をしなければならない施設、これに対しまして、私どもとしては現在得ています情報のもとで所要と考えられる警備体制を組んでおるという事実だけ申し上げさせていただきます。
  35. 齋藤勁

    齋藤勁君 一生懸命やっていただいているのはこれは多としますが、何で警察がやっているのに自衛隊が出なきゃならないのか正直わからないということをおっしゃっているので、この法改正に向けての見解だなというふうに思って、このことに関して国家公安委員長としてどうお考えですかと。
  36. 村井仁

    国務大臣村井仁君) 立法論としてこれからどうするべきかというような御議論は、これはいろいろあるんだろうと思います。ただ、現在の、今起きています、私どもが掌握しています警備情報等々の観点からしまして、私どもは今所要と思われることをやっているということを申し上げたわけでございまして、議論としてこれからどうするべきかということは、これは私はいろいろな形で御議論をいただくことは大変結構なことではないかと思っております。
  37. 齋藤勁

    齋藤勁君 石原大臣、いかがですか。
  38. 石原伸晃

    国務大臣(石原伸晃君) 私の趣旨は、国家治安に関する問題の一義的な担当部局は警察権力、警察庁にあると、そしてそこで賄い切れないものが発生したときに自衛隊治安出動が出るという現行の枠組みの中で議論がなされているものと承知しているということを申し述べたところでございます。
  39. 齋藤勁

    齋藤勁君 記者会見で改正論議についてということで明確にそれぞれの大臣が語っているということが国民に明らかになっているということが、お尋ねするとどうもそうではないような発言になって、これは一体大臣のそれぞれの記者会見の発言というのはどういう重みがあるのかなということに甚だ疑問を感じざるを得ません。そういうふうに主張しているならずっと主張すればいいわけであって、今になると何か違うみたいなふうにもどうも受けとめるというのは大変問題があるなというふうに思います。  さて、先ほど私が、テロ防止への根絶に対して毅然たる態度をとると、こういうことについてこれは一応していくということだと思うんですが、一方でテロを生み出す土壌というのをやはりきちんと私は見詰めていかなきゃならないと。こういうことでテロリストが国際社会で孤立化していくということが、やはりさせていくということが大切だというふうに思いまして、そういう条件づくりをすることもまた立派な毅然たる態度であると思うんですね。  テロを憎み、これを防止し、根絶することに異議を唱える人はだれもいないわけであって、たとえ今回のテロ行為が、伝えられるようにこのビンラディン氏らのイスラム過激派組織が行ったとしても、もし直ちに武力による攻撃を行うということではまた報復がテロを生む、第二、第三のビンラディンが出るんではないかという多くの指摘もこれあるわけでありまして、こういった意味での悪循環に陥るおそれもまた指摘をしなきゃならないと思うんですね。  ラディン氏の組織世界三十カ国にまたがっている、組織報復攻撃だけで壊滅に追い込むのは至難のわざだというのもまた伝えられています。報復攻撃がまたテロリスト関係のない多くの無実の市民を戦闘に巻き込む、犠牲を強いるということも私たちは忘れてはならないわけであって、テロリスト、国際秩序の破壊者である、ならばテロの指導者、協力者を国際社会が一致し協力して摘発をする、逮捕する、国際司法裁判所の場で裁く、こういったことも求めなきゃならないと思います。  我が国アメリカとも同盟関係であり、一方アラブ諸国からも私たちはさまざまな外交チャンネルがあると思うんです。この心配されるアフガニスタンへの空爆、今後あるんだろうか、あるいは地上戦、世界に非常に緊張感が広がっています。我が国はやっぱり、一方、テロを撲滅するということも同時ですが、この世界緊張感が広がっていくということについて冷静に理性的に立ち向かっていくという、これは中心的な外交姿勢、外交努力をしていかなきゃならないと思います。  これはもう御承知のとおり、今、佐世保でも沖縄でも私が住む神奈川でも、もう事実上NLPが自治体に事前通告なしに連日連日行われまして、もう臨戦状態みたいな状況、非常にもうぴりぴりぴりぴりしております。  大変な私たちは今状況にあると思うんですが、こういった今申し上げたことについて、総理並びに外務大臣に、こういった外交努力をしていくべきだということについての基本的な考え方についてお尋ねしたいと思います。
  40. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) テロに対する毅然たる態度というのは、今、議員おっしゃったとおりだと思いますが、これに対してどういう対応をとるかというのは、各国それぞれ事情が違ってくると思います。  今回、アメリカにとっては、これは戦争状態だとアメリカ大統領自身、また多くの国民がそう思っている状況で、まさに臨戦態勢のような状況でどういう対応をとるかが、その準備が進められていると思いますが、我々もこのテロというものは人ごとではないと。その、いつどのように起こるかわからないテロに対して、しかるべき対応は当然必要だなと。また、サリン事件を見ても、想像できないような事件日本においても起こっております。  そういう観点から、我々は国際社会と協力しながら、この卑劣きわまりないテロ行為に対してどのような今後対策をとるかということを真剣に考えていかなければなりませんし、同時にこれが、テロがまたテロを生むというようなことが起きないような対策はどうあるべきか、そういう点についても、世界各国もそれぞれどういう包括的な世界平和に向けた対応をとるかということを考えておりますし、我々としても、単にテロに対する懲罰的な、攻撃的な対策ということだけでなく、世界平和に向けた対応というのはどうあるべきか、また日本としては、特に武力行使と一線を画した対策はどうあるべきか、そういう点についても十分危機管理対策として最悪の事態を想定しながらどういう対応をとるかということを日ごろから考えていかなきゃならない問題だと認識しております。
  41. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) お答えいたします。  今現在は、アメリカ政府はどのようなアクションをとるかということはまだわかっていないわけでございますけれども、いずれにいたしましても国連という場もございます。それからG8、サミットの場におきましても、世界じゅうがこうしたテロということについては非常にアラートになっておりますので、日ごろから、今はもちろんでございますけれども、関係諸国と緊密に連絡をとり合いながら、テロが起こらないように最善の努力、注意をしていきたい、そういう努力を積み重ねております。
  42. 齋藤勁

    齋藤勁君 総論としてはあろうと思うんですが、これまでも、今、大臣最後に言われたし、積み重ねてきているはずなんですね。チャンネルがあるはずなんです。今はそのチャンネルを今どういうふうに生かしているかというか、どういうふうにさらに生かそうかということだと思うんですね。  総理自身は危機管理ということをお話しになりました。危機管理ということで幾つかのアプローチがあるわけですから、南北問題あり、そして民族対立あり、宗教対立ありと、これは長い歴史の問題なんで、そういうことがベースにあるんだということが外交であり、経済援助だというふうに思うんですが、こういう観点というのが大切だと思うんですね。そういうことで、何をしてきたか、今何をしなきゃならないかということだと思うんです。  そういうことに関して、いかがですか。御答弁いただけますか。
  43. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 過去のことをちょっと申し上げたいと思いますけれども、一九九六年、リヨンでサミットがございまして、G8といたしましては、ことしのジェノバのサミットは総理も御出席になりましたけれども、そこにおきましても、テロ行為の実行者の動機のいかんにかかわらず、あらゆる形態のテロというものを非難をするという旨の声明は発出してきております。  そしてまた、G8は、緊密な情報の交換をお互いに行うとともに、国連におけるテロ防止に関する諸条約の作成、条約のことでございますけれども、その作成やその締結の促進に一致して取り組んできておりまして、日本といたしましても総力を挙げてテロの撲滅のために積極的に協力をしていく所存でおります。
  44. 齋藤勁

    齋藤勁君 政府は、パキスタンへの、いわゆる核実験、九八年に核実験を行いまして、それからいわゆる人道的以外の支援をストップしていると思うんですが、報道によりますとそれは制裁を解除するんだと、こういうことですが、これは事実ですか。
  45. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) お尋ねのインド及びパキスタンに対する経済措置の解除でございますけれども、現在、私どもはアメリカを強く支持いたしておりまして、必要な支援及び協力は惜しまないという決意、立場をとっております。  そして、具体的にはどのような措置をとるかということにつきましては、あらゆる角度から今現在、引き続き検討を行っている最中でございます。
  46. 齋藤勁

    齋藤勁君 何のために検討して、何のために支援をしていくかということが、これは目的がなければならないわけであって、戦後一貫して我が国は、どうですか、一兆円ぐらいパキスタンに、中断は九八年にありますけれども、支援しているんじゃないですか。  今回、どうなんですか。パキスタンというのはやっぱりタリバンとの関係でしょう。そういう我が国とパキスタンとのそういう外交関係でどういうふうに解決をしていくかという一つのチャンネルじゃないんですか。そういうためのインド、パキスタンとの関係じゃないんですか。そういうふうに系列的に御説明いただければありがたいんですけれども。
  47. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 時系列のこともございますけれども、今現在、与党三党連立でございますので、両国によるCTBTの署名がないという状態もありますし、総合的に内閣として意見を集約しながら方向を定めていくということになっております。
  48. 齋藤勁

    齋藤勁君 大変な今は緊迫している状況なんですね。パキスタンがタリバンへ行って身柄引き渡しとかいろいろやっているわけでしょう、交渉を。非常にもどかしいという感じですね。ずっと続けてきているんですから、パキスタンとは。  要するに、パキスタンがタリバンを説得するということに日本としてもパキスタンとという話になる。だから、私はそういったことで今動いているのではないかなというふうに思うんですね。  それから、日本政府はアフガニスタンとの独自外交というのはこの間いかがでしょうか。だれかわかる。もしあれだったら政府委員でもいいですよ。
  49. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) ちょっと通告のない質問でございますので申しわけございませんが、とにかく安定のため……(発言する者あり)
  50. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 御静粛に願います。
  51. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 過去、努力もいたしてきておりますし、最終的には世界じゅうの国々が平和に、そしてテロによる犠牲がないように努力をしていくということではあります。
  52. 齋藤勁

    齋藤勁君 田中大臣ね、アフガニスタンとの外交について質問しますよとか、そういうことを答えてくださいと書いていなくても、今この時期に、焦点がアフガニスタンじゃないですか、焦点の。このことについて我が国の外交関係、今までどういうチャンネルがあったのかというのは、質問をするしないではなく、毎日毎日考えて、大変な状態の問題じゃないですか。答えられないこと自体おかしいですよ。日本の外交はないということじゃないですか。
  53. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 昨年の三月でございますけれども、アフガニスタン内の両方の対立した勢力を呼びまして、話し合いを続けるような努力も、外交努力も続けてきております。
  54. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  55. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 速記を起こします。
  56. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 大変細かいことで、過去の経緯もございますので、お許しをいただきまして事務方からお答えをさせていただきます。正確を期させていただきます。
  57. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) 先ほど大臣から御答弁がございましたように、去年の三月でございますが、両派の代表を東京に呼びましてそれぞれの会談を行ったことがございます。また、ことしの春、実は同様のことを行いたいと思っていろんな努力をしたわけでありますが、うまく実らなかったという経緯がございます。今後ともそういう努力を続けていきたいと思っております。
  58. 齋藤勁

    齋藤勁君 今の御答弁ですと、田中大臣田中大臣がお答えいただいても十分な内容ですよ。緊迫した、事件発生後今日まで何日かたった、そういうときの今外務省内の僕は連携じゃないなというふうに思いました。これを聞いている国民は一体どういうことなんだろうかというふうに思い総理テロ根絶をしていく危機管理に対し、さまざまなチャンネルを使ってというのは、私はよくチャンネルという言葉を使う方ですけれども、南北問題あり、宗教対立あり、あるいは民族対立ありということで、これは外交ですよ、外交、主として。あるいは経済支援もありますけれども、こういうことが今出てくるわけですね、今こういうときに。大変不満足ですね。非常に不満足で仕方がない。  さて、時間が少なくなりましたので、また来週から臨時国会が始まりますので、また同僚議員にゆだねるとしましても、あと残る時間、不良債権問題についてお尋ねしたいというふうに思います。  不良債権問題。柳澤担当大臣、不良債権処理は完了したということをこの間ずっと、答弁でも今日までもずっと言われていますね。このことについてどうですか、認識は。
  59. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) かねてこの席でも申し上げておりますとおり、不良債権処理という場合の処理の意義をどうとらえるかということについて複数の考え方がございます。一つは間接的な処理、引き当てを済ませるということによって処理が行われたという考え方もあるし、やはり最終的にバランスシートから不良債権残高を除去するということまで至らなければ不良債権処理とはなかなか申せないというような立場もあるわけでございます。  私ども最初に、一九九九年に私どもが資本注入をしたときの主たる不良債権処理の眼目は、引き当て不足を解消して十分な引き当てを行うということでございまして、それは現実にそのようにいたしまして、その後、金融機関に対する信頼というものも上昇いたしまして株価等にもそのことが反映した、こういうことはございました。そのことを私は、そういう意味での不良債権の処理は一段落したというか、終えた、こういうことを申し上げてきたわけでありますが、今日直面しているのは、私が本年一月から提唱いたしております、不良債権の処理ということを、最終的にバランスシートからその残高を落とすこと、このことをやろうということで、今日の不良債権問題の処理ということの課題を新たな形で私ども俎上に上げている、こういうことだと御理解を賜りたいと思います。
  60. 齋藤勁

    齋藤勁君 大臣は再三、もう不良債権処理は大手銀行、さきの公的資金注入のときに終わったんだ、基本的に終了したということを言っているわけで、どうも最近は、今言った発言等がありますが、時間がないので次の方に移ります。  金融危機。金融危機があるのかないのか、これは総理にもお伺いしたいんですが、総理大臣、金融危機についての見解を伺いたいと思います。
  61. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 金融危機という非常に概念的なお話でございましたけれども、これはこの前の一九九七年、八年にあったような金融危機というものを考えますときには、やはり強度な金融機関に対する不信があり、また金融機関の側にもいろいろな心配があって本来の仲介機能が発揮されなくなってしまう、いわゆる貸し渋りというものが、クレジットクランチとも申しますが、これが強度に進行する、こういう事態。さらに、金融機関自体の資金調達、このことについても、金融機関に対する不安が根拠になってなかなかそれが思うに任せない、いわゆるジャパン・プレミアムというようなものを上乗せしないとなかなか調達ができない等々、諸般のいわば金融危機かどうかということを判断するに当たっては視点があろうかと思うわけでございます。  そういうもろもろのことを考えますときに、私どもは、例えば金融危機対応の会議がございますけれども、じゃ金融危機とは何かと、その対応会議が開かれる事態とは一体どういう事態かということについては、私ども、これをあらかじめ明確にすることは避けさせていただいていると、こういうことでございます。  そういう意味で、金融危機があると思うかといえば、世の中のことですから、ないとはこれは言えないわけでございますけれども、今日、我々が近い将来において日本の金融がそういう危機に直面するような事態が近づいているかというようなことかと問題を解させていただけるならば、そういうことは私はないと、このように考えております。
  62. 齋藤勁

    齋藤勁君 政府与党の中で私は驚くべき検討をしているというふうに、これはもう新聞を見てびっくりしたんですが、整理回収機構、RCCに不良債権を簿価で買い取らせることを検討していると。もし本当だとすれば大変ですよ、これは。すべて責任をうやむやにして、しりぬぐいを国民に押しつける、国家的な不良債権の飛ばしじゃないですか。  簿価百億円の不良債権がある。しかし、不良債権だから例えば時価は三十億。仮にそれをRCCが銀行から三十億円じゃなくて百億円で買うとしたら、七十億円を実質的に銀行に差し上げる。その際、本来厳しく問われなきゃならない銀行の責任が不問に付されますよ。RCCがいつか七十億円の債権放棄をしてその債務者を救済すれば、損失はまた国民の税金で穴埋め。これまで八兆円の公的資金を実施してきた不良債権処理は完了したと大臣は言っている。どういうことですか、これは。不良債権を簿価で買い取らせる等々を検討している、こんな国民を愚弄することは許されない。  小泉総理、本当に検討しているんですか、こんなことを。
  63. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 整理回収機構の拡充強化策については、いろいろな意見が出ていることは承知しております。今、議員が指摘したような問題も、それぞれ、今までの国会の議論、そして現在の不良債権をいかに有効に処理するかという中で出てきた議論であります。そういう中で、我々としては、この整理回収機構の具体的な拡充策としてどういうことがあるかということをそれぞれの担当者、政党関係者が言うのを、するなとは言えません。  ですから、我々としては、いろんな今までの金融検査等、不安がないような、信用秩序に疑念の持たれることがないような対策をこれからいろんな議論を踏まえてやっていかなきゃならないということでありまして、今言ったようなものを政府はやるなんというのは一言も言っていません。  それは柳澤担当大臣から聞いていただければわかりますが、そういう現在の不良債権処理等について何が有効かという中で出てきた議論でありまして、私はそういう議論があることを承知しておりますが、政府として今言った議論がもう決定だとかあるいは改正するだとかいうのは一度も発表していないということを、また検討していないということを御理解いただきたい。詳しいことは柳澤担当大臣から説明いたさせます。
  64. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 御質疑は、今、総理がいろいろ御説明いただいたようないろんな論議の中で、ある機関が一つの案としてこういうことができないのだろうかということを提示されたということと私どもは承知をいたしております。議論の過程ですから、どういう議論があっても私どもはそれを封じ込めるとかというようなことはやっぱりなすべきではない、すべて俎上にのせて慎重に検討すべきものだというふうに考えております。  要は、この不良債権の償却、最終処理を進めるに当たって整理回収機構の機能というものを強化して、それをさらにこの今の目的の一助といたしたいと、こういうような考え方のもとで機能の強化の方策としてどのようなものが一番適切であるかということを現在検討しているということでありまして、そういう幅の広い議論の中で今、ある機関がそうしたことを提示したというわけでありまして、別に政府として何か決定したというような事実は、総理もおっしゃられるくらいでございますから、全くございません。
  65. 齋藤勁

    齋藤勁君 総理、簿価で買い取らせると検討、だれかいろいろ担当していろんな人が言うのはいい、総理はそんなことは断行しないとはっきり言った方がいいんじゃないですか。
  66. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私もよく勉強しましたよ、この件は。いろいろ、知らないんじゃないかとか、わかっていないんじゃないかとか言われたから、よく勉強しました。そういう中で、専門家の中で出てきた議論なんです。今、柳澤大臣が言った答弁のとおりであります。
  67. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 齋藤勁君、時間が参りました。
  68. 齋藤勁

    齋藤勁君 終わりますけれども、大変大問題です。このことがもし具体的になったら小泉総理の公約、これはもう国民に言ったことがすべてだめだ、破産したということですよ。このことを明確にお伝えしまして、終わります。
  69. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で齋藤勁君質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  70. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、吉村剛太郎君の質疑を行います。吉村剛太郎君。
  71. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 自由民主党の吉村でございます。  本日は、自由民主党並びに保守党を代表しまして当予算委員会総理並びに関係大臣に御質問をしたい、このように思います。  まずは、先ほども我々一同黙祷をささげましたが、過日のアメリカにおきますあの大変な惨事、亡くなられた方々に対して心から御冥福と、そして、なお今日までも日本人を含め安否が懸念されておられる多くの方々がおられるわけでございます。心からお見舞いを申し上げますと同時に、この事件に当たりまして、大変これは全世界の人々が大きな驚きと恐怖と怒りを覚えただろうと、このように思っております。  それと、同時多発、非常に狡知にたけた戦術ですね。戦線を拡大すると守る側はこれによって一点集中の防御ができない、こういうことです。もしこれに核、放射性物質、また生物兵器、また化学兵器、そういうものもともに搭載しておれば今あの地域は放射能に汚染されておるかもわからない、そうしたら救助活動もままならないというようなことになったかもわからないというようなことを考えますと、まさに戦慄が走るわけでございます。  それと同時に、もしこれに余裕があれば、戦術としては戦線を拡大する、さらに二次攻撃、三次攻撃ということも普通ならこれは考えるわけですね。今回は幸いそれがなかった。しかし、まだわからないというような状況でございます。  いずれにしましても、このような今までかつて我々が経験したことのない、また想像を絶する今回のテロ事件に対して総理はどのような御認識を持っておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  72. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先ほども申し上げましたとおり、このテロ米国のみならず全世界、人類に対する卑劣きわまりない攻撃だと認識しておりまして、我々も人ごとではないなと。いつ、どこで起こっても不思議でないような現在の状況から考えますと、これは今までとは全く違う対応も想定しなきゃならないということで、今考えられるような事態を想定しながら対策を練っているところであります。  また、今回のあのような、テロリスト個人だけでなくて、全く関係のない乗客までも巻き込んで民間機を武器に使うというような、およそだれも信じられないようなテロでありますので、私は、米国大統領のみならず全世界の人々が驚き、あきれ、憤りを感じているんだと思います。これに対しての対応というのは本当に難しい。予測できないことを予測しろというのはもともと無理なんですけれども、そういう事態に今我々直面しているのではないか。  なおかつ、今このテロに対してどのような攻撃とまた防止策があるかということを真剣に各国それぞれ考えておられると思いますが、まず、犯人もまだわかっておりません。何人か、一人でないことは明らかでありますけれども、何人かもわかっておりません。どういう組織かもわかっておりません。また、このテロリストたちを、テロ組織支援している政権も定かでありません。一つであるのか複数であるかわかりません。  そういうことがありますので、これはよく事態を見きわめながら関係諸国とも連絡を密にし、そして日本としても主体的に何をすべきかということを考えるのが大事じゃないかなと思っております。
  73. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 今、総理がいみじくもおっしゃった、今回のテロは一アメリカに対してのみのものではない、全世界の自由と民主主義、そして平和を愛するそれぞれの人々に対する挑戦だと。そして、我が国もそのねらわれる対象から逃れることはできないかもわからないという御認識でございました。  私は、こういう認識を我々日本国民、また世界の自由を愛する者たちが持たなければならないことであろうと。それに対して我々は毅然として、そして冷静な怒りを持って私は対応すべきであろう、このように思う次第でございます。  そして、じゃ、今日、我が国がこれにどう対応できるかということは、やっぱりその認識の上に立って、そして我々が今持っております憲法初めいろいろな法律、その中でどう対応できるかということであろうかと、このように思っておりまして、じゃ、今どう対応できるかということを先ほどもちょっと話が出ましたけれども、過日成立をさせました周辺事態法、ガイドライン法、まさに我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼす事態だと。特定の地域を想定しているものではない、その事態を想定しておるんだというような形の法律と私は解釈をしておるところでございます。  そういう中で、今申しましたように、今まで想定もできなかったこのテロ、戦争なのかテロなのか、そういう認識に立ちまして、じゃ、これに今どう対応できるかというときに、私は、一つの考え方は、もうそれぞれマスコミ、新聞でも言われております、今あります周辺事態法、いわゆるガイドライン法が適用できないかどうかという考えを私は一方では持っておるところでございますが、これについて総理はどのような御見解でしょうか。
  74. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、テロがいつ、どこで日本に起こるかという問題と、今のテロに対する対策と、両方に対する対策が必要ではないかと。  いつ、どこで起こるかというのはわかりません。対策をして、恐らく、ねらうテロリストの方から見れば警備のされていないところをねらうんでしょうし、全部ハリネズミのように警備しようといったってそれは無理な面があると思います。  しかし、現在の起きたテロ行為に対してどういう対応があるかというと、これは、アメリカが軍事的な対応をするのか、そして軍事的な対応をした場合には日本としてどのような対応ができるか、そういう点について今検討しているところでありまして、もちろん日本としては各国と違って武力行使と一体となったような支援はでき得ないわけであります。武力行使と一体でない協力、支援がどの程度できるのかということが大事でありますので、その点については、予定し得る、予測し得る範囲内で今鋭意検討している最中でございます。
  75. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 若干すれ違いもあるようでございますが、まさにガイドライン法というのは我が国の平和と安全に重大な影響を及ぼす事態なんですね。地域的なものではないということなんです、法律自体は。そういう事態が、今回もう既に日本人数十名の方があの被害に遭っている。  そして、これは正しい情報かどうかわかりませんが、我が国にもそういうグループに属する者が侵入をしておった、そのような計画もあったんではないかなと、このように言われております。そして、この組織は全世界にネットワークを持っておるということもほぼわかっておると。だから、先ほど申しましたように、今回はアメリカだけでも四カ所の、四機の同時多発、これはもう戦術としては非常に狡知にたけた、いわゆる防御側はこれはどうしようもないほど戦線が広がるわけですよ、一極集中じゃないんですから。それから、二の矢、三の矢ということ。これをちょっと規模を大きくすると、全世界、そしてそれに日本も含まれるというようなことは当然想定されると。それを否定するような危機管理というのは、私は日本の国ではなり得ないと思うんです。これは、当然想定の中にこういう認識は持っておかなければならないというときに、今現実どう対応できるかということを考えますときに、新しい法律をつくるのか、ガイドライン法で適用するのかということは、これは当然検討しなければならない一つのポイントではないかなと、こう思っておるところでございます。  これは私の個人の考え方かもわかりませんが、総理、もう一度、答えられる範囲で結構ですが、お答えいただければと思います。
  76. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現行法でできること、あるいは現行法でできないこと等も含めまして今総合的に勘案しながら、政府部内におきましても、あるいは与党内におきましても協議しているところでありまして、まずどういう事態が起こってもできるだけの支援、協力体制をとる必要があると思いまして、我々鋭意検討している最中でございます。
  77. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 この件についてはその程度であろう、このように思っております。  そして、今想定もできないような、これは武力の行使ですね、テロなのか戦争なのか、何とも言えませんが。通常、今まではミサイル、あるいはミサイル対ミサイル、核、あるいは核対核と。ところが、いわゆる対称性がある武力の衝突といいますか、そういう認識から防御、攻める方、防御もあった。今度はまさに非対称ですね、最新の技術を持ったアメリカに対して全く違う形で戦いを挑んだということでございますから、これはもう大変非対称性のある戦いだと。  防衛庁長官、防大から、それから制服も着られたわけでございまして、戦術論としては、恐らく古典は孫子から、クラウゼヴィッツの戦争論から、こういうことから学んで各戦史を学び、いろいろな過去の戦いをひもといておられたと思いますけれども、こういういわゆる殉教、殉教をもとにした戦いを挑むということは、これは恐らくその辺の古典にもあるのかないのかわからないが、いわゆる国防の衝に当たる、最先端で、場合によっては武力も使わなければならない長官の御経験から、これからのこういう戦いに備える、何といいますか、検討しなければならないと、今こういう事件が起きた直後の直観としてで結構なんですけれども、お聞かせいただければと、このように思います。
  78. 中谷元

    国務大臣中谷元君) このような事態は、昔から宗教とか民族とか経済的理由で対立はございましたが、冷戦の時代はある程度力の均衡によって冷戦構造がずっと続いておりました。しかし、冷戦が崩壊した現在におきまして、このような紛争やテロが散発して世界の秩序を壊すということは今回の件で明らかになりまして、今、世界的な言葉ですけれども、新たな脅威、また新たな事態ということで、このテロ、ゲリラ・コマンドー、核、ミサイル等が新たな脅威として取り上げられておりまして、数年前からも米国政府もこの対応ということを国防の基本政策の中心に据えておりました。現在の我が国の国防政策も、平成八年度に防衛計画の大綱の見直しを行いまして、テロリズムによってもたらされた災害等に対しても自衛隊が対処していくような方針で防衛庁としても従来のようにこうした危機に対して対処するようにいたしております。  そういうふうな観点で私は、テロというのは当然警察作用であって、国家警察作用であり、かつまた国家の国防作用、安全保障作用であるというふうに認識をいたしております。
  79. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 いずれにしましても、もう警察対応できる範囲を大きく超えるようなケースがこれから当然想像できるわけでございますから、国防のまさに第一線で衝に当たる防衛庁もよろしくお願いをしたい、このように思います。  先ほどもちょっと齋藤議員が触れられましたけれども、アフガニスタンの隣国、まずアフガニスタンについて、事務レベルで結構ですから、このアフガニスタンは我が国国家承認はしておるんですか。
  80. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) 我が国とアフガニスタンの関係でございますが、一九三四年に我が方の公使館を開設しております。しかし、その後内戦が激しくなりまして、ソ連軍が侵攻して以降、我が国はいずれの政府も承認していないという状況が続いているというのが現状でございます。
  81. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 政府は承認をしていないということですね、国は承認をしておると。  いや、ちょっとごめんなさい、誤解があってはいけませんから。いわゆる今アフガンを実効支配しているタリバン、タリバン政府なんでしょうが、そのタリバン政府は承認していない、アフガニスタンという国は承認をしておる、こういう理解でいいですか。
  82. 重家俊範

    政府参考人重家俊範君) そのように理解をしております。
  83. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 これがその悩ましいところなんですね。  アフガニスタンという国がある、アフガニスタンに国民がいる。それを実効しておるタリバンという政権は、しかしこれはアフガニスタン国民の総意で支えられた政権ではない。そして、そのタリバンがビンラーディン氏をかくまっておる。そこには一体性があるのかないのかわかりませんが、今アメリカは武力攻撃をこのアフガニスタンにしようとしている。国民にとっては大迷惑なんです。国民は、多くはビンラーディンというのはどこかへ行ってくれれば一番いいなと、こう思うかもわからない。また、蜂起してタリバンを倒して、同時にビンラーディンと一緒に国民がみずからの手で処置すれば、それはそれで一番いいことなんだけれども、それがなかなかできない。  しかし、今現実はアメリカがこのアフガニスタンに攻撃をしようとしておるというところ、この辺が非常に私は難しいところで、そこで外務大臣、このあたりはやっぱり日本外交の果たすべき役割ではないかなと思いますね。アフガニスタンとも、また周辺、パキスタンともいろいろとそれぞれのルートがあるのではないかな。そういうときに、やっぱり国際貢献というのは、またアメリカの同盟国としてやるべき仕事というのは幅広いものがある。お金もありましょう、兵たんの問題もありましょうが、こういう側面が私はあるんではないかなと思うけれども、いかがでしょうか。
  84. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 委員指摘のとおりでございまして、アフガニスタンにつきましては非常に複雑な側面がございます。中で、要するにタリバンとそれから北部同盟というふうな二つの勢力に分かれておりますものですから、日本もいずれも呼んで、治安も悪くもなっていますので、以前から、ことしの例えば五月もアフガニスタンに外務省から出張した職員が働きかけをしたり、両派の代表と話し合いをしたりもいたしております。  それから、私もおとといパキスタンの沼田大使に直接電話をいたしまして、役所から話を聞きましたけれども、やはりパキスタン政府も積極的に働きかけをしてほしいと、そういう間接的な玉突き方法といいますか、そういうふうな努力もしておりますけれども、さっきおっしゃったようなテロを行うような考えを持っている人もいますし、それをまた支持しない人たちもいるわけでございますから、なかなか大変入り組んだ状態であります。  そしてまた、この地域におきましては、アラブ首長国連邦ですとかサウジアラビアとか、パキスタンはもちろんですけれども、それぞれまた違った姿勢といいますかというものを持っておりますので、直接ではありませんけれども、周りの国々とかを使いながらといいますか、にお願いをしながら、あらゆる形でもって接触はいたしております。
  85. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 どうぞ頑張ってください。  まだまだこのテロ事件についてはいろいろと質問したいところがありますが、時間がありませんので経済問題に移っていきたいと、このように思います。  まず、端的に今回のテロ事件日本経済及び世界経済にどのような影響を及ぼすか、総理はどのようなお考えでしょうか。
  86. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) テロに対する対策は経済問題でも重要だと思います。  不要な混乱を起こさないようにしかるべき対策をとらなきゃならないということで、注意深く為替市場、株式市場を見守っておりましたけれども、市場も冷静に反応してくれまして、今回のテロに対してそれほど混乱した状況ではない。テロ発生した後も日本の株式市場は正常に機能しておりましたし、暴落するのではないかという不安も一部にはありましたけれども、必ずしもそうでないということでありますし、私どもとしては、今後ともテロによって不要な経済的混乱が起こらないような万全の措置をとっていきたいと思っております。
  87. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 日銀も公定歩合引き下げをしましたし、マネーサプライもふやすということですから、欧米との協調ということでは大変迅速に対応したなと、このように思っております。  ただ、今日までのいろいろと政府の経済政策、特に総理のお考えということで構造改革、財政構造改革を含め構造改革、国債も三十兆で抑えるという、ある意味では財政的な抑制策をとっておる、一種のこれはデフレ政策ではないかなと私は思うんですよ。一種のデフレ政策じゃないか、このように思っております。  我が国の歴史をひもといても、デフレ政策というのは戦前から戦後にかけて何度かとってきている、このように思っております。私は子供のころだからよく覚えていませんが、財務大臣なんかは覚えておられる戦後のドッジ・ラインというのは、急激な緊縮政策、プライマリーバランスを一挙に黒字に持っていこうとしたぐらいですね。そういうデフレ政策というのを何度かとっておるが、それはすべて背景としてインフレのときなんですね。インフレのときにデフレ政策をとってきておる。それが成功したかどうかは私はわかりません。  というのは、その折々の、例えばドッジ・ラインのときは朝鮮戦争なんかが起こりましたから、あれで何かよく政策が成功したかどうかわからないが、いわゆるインフレを背景にしたデフレ政策だったんですね。ところが、今デフレ傾向だと言われているときにデフレをやる、一種のデフレ政策。ということは、今までかつてやったことがない政策を我が国はやろうとしておる、それはしかし、どうしてもやらなければならない政策である、これは私は理解できるんですね。だから、ここのところは一番私は難しいところだと。  そして、景気対策は一応金融の方に投げかけておると私は見ております。ゼロ金利、それからお金の量をふやすという、当座残高もふやしていこうと。さらに、インフレターゲットというようなこともありますが、しかしこれも、インフレターゲット論というのも逆にインフレのときの、今まで幾つかの例はインフレのときの対策なんですね。だから、デフレのときにデフレ政策、デフレのときのインフレ政策、なかなか難しい局面、しかしやっていかなければならないというこの状況の中で、じゃ国民にどのようなインフォメーションを流して、そしてこの時期を通り越せば必ずいい時代が来るんだと。  我々は子供のころにも、欲しがりません勝つまではと言って頑張ってきたときがあるんですよ。これは財務大臣なんかが一番覚えていらっしゃる。欲しがりません勝つまではで頑張ったけれども、負けちゃったんですね、戦争に。だから、これは水泡に帰してしまった、大変な被害を受けたという経験もまた一方では持っておるというときに、今我々が経済政策の中でやろうとしていることは今まで経験したことがないことをやろうとしておる。じゃ、どうなるんだということ。我々も地方に帰りますと、中小企業のおやじさんなんかとよく話すと、どうなるんだどうなるんだと。今一番怖いのはそういう方々が若干投げやりになってきつつあるというのを私は肌で感じておりまして、そこが一番怖いんですね。そこが一番怖いんですよ。  その点について何か御意見があれば、財務大臣でも竹中大臣でも結構ですけれども、よろしくお願いしたいと思います。お二人、お二人。
  88. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 何か、吉村先生はデフレ政策を今進行しておるように思っておられますけれども、私たちはデフレ政策は絶対とっておらないで、むしろ物価が若干ずつでも下がりつつあるものを、これを何とか押し上げたいと思うて一生懸命になっております。  そのために一番効果があるのは何かということを、やはり私は円レートを少し安目に持っていくのが一番いいと思うて努力しておるんですが、なかなか、これは市場が決定することでございますので、まあやっていません。  一方、御質問の中で、こんな中であって、もう財政の三十兆円にこだわって非常に緊縮財政をしていくということは非常に不安を与えるんではないかという、こういうお話でございますが、しかしこれをまた冷静に見ますと、総理がよく言っていますように、五十兆円の税収しかないのに三十兆円の借金をして財政を合わしていくということ、これは実は借金の膨大、膨張であって緊縮財政じゃないという、こういう説もございまして、そこで私たちの思っておりますことは、できるだけ国債の発行を縮めてむしろ現在の財政構造の中でうまく効果的に使う方法を考えたらどうだろうと。それは行政コストを見直していくということと、それからめり張りのある行政をやっていくということ、こういうことでございますので、決して私はデフレ政策をとっているということはないということは、これしっかりと認識していただきたい。できれば一刻も早く物価水準をゼロ以上プラス幾らにしたいと思っております。  幸いにして、今、日本の経済全体を見まして、名目成長率とそれから実質成長率と比べましたら、要するに実質成長率を少ししっかり、名目成長率よりしっかりしておるというところがございますので、その点から見まして、潜在的供給力はまだしっかりしておるなという感じを持っております。
  89. 竹中平蔵

    国務大臣(竹中平蔵君) 委員指摘のように、財政政策、金融政策とも非常に厳しい中で未知の領域の中での政策運営を強いられているというふうに厳しい認識をしております。  今、財務大臣のお話もありましたように、財政に関しては引き続き三十兆円の国債を出すわけですから、昨年三十三兆円の国債発行を比べますと、とてもやっぱり緊縮とは言えない、わずかに少しコントロールしている程度で何とかやっていこうと。それに対しては、しかし財政に無理がききませんから、金融政策も規制緩和も、規制改革も政策を総動員してやっていくというのが今の体制でございます。  ただ、委員まさに御指摘になったように、一体じゃどういう姿が、経済が描かれるだろうかということだと思います。六月に骨太の方針をまとめたときに、当面の運営ということで二年ないし三年を集中調整期間というふうに書いたシナリオを出しておりますけれども、その後、IT不況さらには今回のテロで大幅にシナリオが狂いつつあるということは事実でございます。  経済財政諮問会議では、この年末にかけまして中期の経済財政見通しを出して、その中で国民の皆さんにそういうビジョンを少しでも示していけるようなそういう方向を考えております。
  90. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 財務大臣、私はデフレ政策をとっておるという認識を持っておるわけではないんですね。あの橋本内閣時代の経済諸指数、それに比べると今随分悪いんですよ。経済成長率から失業率から全部悪いんです。あのときに国民は、私も三年前選挙をしましたが、あの緊縮といいますか抑制策にノーという判定を下したんです。そのときよりも今日の方が条件悪いんです。その中であのときよりもまだ激しいリストラ策をしていこうとする。だから、これはよほどの決意がなければならない、このように私はそれを言いたいわけなんですね。  それと同時に、今、金融緩和する、お金がふえれば投資に回るじゃないかという期待があるんだろうと思うが、さあ資金の需要が本当にあるのかどうか。今、各企業は、私は昭和三十七年に学校を出て会社に就職したときはオリンピックの直前で、だから右肩上がりですから、やれ行けどんどんなんですね。今言われるROEとかコーポレートガバナンスなんという言葉も聞いたことがなかった。どんどんやっていけばよかった。そして、株主に対してもそんなに経営者は気にしていませんでしたよ。どんどんやっていました。今は、しかし、経営者は株主に対して非常にやっぱり気を使っていかなければならない時代に入ってきておりますね。そして、今確かに投資家は、株価を見れば、非常に憶病なんです。そういうことで、金融を緩和して、じゃ投資に回るのかどうかという心配を実は私は個人的にはしておるところを言っておるんです。  これに対して、財務大臣、いかがでしょうか。
  91. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) いや、私ももう吉村さんと同じ心配をしておるところです。やはり私は、株式の不信感、今起こっておりますことの一つは、何といいましょうか、思わぬIT産業の不況からナスダックを中心とした株の下落が続きまして、それが一般にずっと浸透してきたということがあると思っておりますが、それともう一つは、やっぱり株に興味を持ってもらえなくなってきたということが言える。それは、さっきおっしゃるオリンピックの当時は、株を持っておったら増資増資でどんどんと、もう配当なんか当てにしなくても、いわば株の増殖によって資産がふえるという、そういう要するに妙味がございましたけれども、今ございません。  そこで、株式のやり方を、自社株の消却であるとか、いろんな方法をしていくと同時に、税制がやっぱり大事だろうと思っております。今回の開かれるであろう臨時国会にぜひひとつ証券税制を法案として提出させていただいて御審議いただいて、それによって多少とも刺激剤にしていただいて、証券の見直し、そして預金から直接資本投資の方へ回るような傾向に持っていきたい、こう思っております。
  92. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 経済問題もまだまだお尋ねしたいことがたくさんあるんですが、最後、二分でございます。  参議院からただ一人閣内におられます片山大臣に御質問をしたいと、このように思いますが、我々にとりましては、大変残念なことでございますが、この参議院選挙におきまして、郵政省であのような違反事件が起きました。大変残念なことでございまして、我々、本当に身を引き締めなければならないと、このように思っておりますが、所轄の大臣として、今回の件について、まず現状認識、どのような御認識をお持ちかということをお聞きしたいと思います。
  93. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、御指摘がありましたように、過般、七月の参議院選挙で近畿郵政局におきまして公選法違反ということで多数の逮捕者を出しましたことは、郵政事業の責任者として、また同時に、公務員の人事管理、服務規律を担当する者としてまことに遺憾だと、そういうふうに思っております。  まだ、全体の解明はできておりません。捜査中でございますが、いずれにせよ、解明が進みますれば、関係者、管理監督責任も含めまして、しかるべき厳正な対応をいたしたいと、こう考えておりますし、こういうことは二度とあってはならないわけでありますので、再発防止対策につきましても万全を期してまいりたいと、こういうふうに思っておる次第でございます。
  94. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 再発防止対策ということを、今お言葉ありましたけれども、具体的に何かもう念頭にございましたらお聞きしたいと思います。
  95. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 先ほども言いましたように、捜査当局、捜査中でございますが、現在明らかになりつつある事実をもとに、やっぱり再発防止対策の議論を始めなければならない、検討を始めなければならないということで、先週の九月十二日に全国の地方郵政局長、地方郵政監察局の合同会議を開きまして、そこでいろいろ状況を聞きました。幸い、近畿以外では、例えば特推連という公的活動と特定郵便局長会という私的な活動の混同はなかったようだと、あるいは極端な服務規律違反もないようだと、こういう報告を受けましたが、いずれにせよこれは当局の捜査の進展を待ちたいと、こういうように思っております。  そこで、局長さん方と大いに議論いたしまして、当面、少なくとも特定郵便局長さんを含む全職員に公職選挙法なり国家公務員法を含めまして服務規律の研修をやってもらう、その指導を徹底するということが一つ。それから、よくいろいろ指摘されております、先ほども申し上げましたが、公的活動である特推連活動と私的な任意団体であります特定郵便局長会の活動を一緒にやらない、これはしっかりと公私を分ける、区分する、外から見ても、実質も。こういうことを徹底していただくということが二つ。さらに、郵政監察局というのがありますので、これは主として業務の監察でございますが、今後は服務の監察等も中に含めながら、とりあえずは特別査察を全国的にやっていただくと、こういうことを考えておるわけでありまして、今、大変郵政事業そのものが国民の関心が高うございますので、ぜひ、郵政事業というのは国民の信頼の上に成り立つものでありますから、失われたとすればぜひ国民の信頼を取り戻すように関係者全員努力いたしたいと、こう考えております。
  96. 吉村剛太郎

    吉村剛太郎君 郵政事業は明治の開国以来本当に我が国社会の発展に大変な大きな貢献をしてきたと、私はそのように高く評価もしておるところでございます。それはまさに国民と一体となって、特に地域と一体となって運営されてきたところに大きな基盤があったんだろうと、このように思っておりますが、今、大臣がおっしゃいましたように、こういうことで国民の信頼を失ったのであれば、早く回復して国家社会のために頑張っていただきたい、そのような御指導をいただきたいと、このように思っております。  最後に、あと一分になりました。経済政策、それからこのテロ事件も含めまして、いまだかつて我が国が遭遇したことのないようなこと、この小泉政権はそれに立ち向かおうとされておるわけでございます。  これは私の要望でございますが、閣内に三人の民間の方々がおられます。折々の内閣に民間の方々が入って新しい発想なりアイデアなりを注入していただくのは大変結構だと、このように思います。しかし、今我々がやらなければ、国民がやらなければならないこと、そのリーダーシップをとっております小泉内閣、今この時期に私は、願わくば民間の諸大臣も政治家になってもらいたい、今度の選挙に立ってもらいたい。そして、この政策は、やろうとしていることは政治が全責任を持つんだ、小泉内閣は全部政治家だと。そして、政治が全部責任を持って今までやったことのないことを断行するんだという決意の表明をそういう形で国民に示すのも一つのやり方ではないかなと、このように私の私見を申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  97. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で吉村剛太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  98. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、魚住裕一郎君の質疑を行います。魚住裕一郎君。
  99. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。  同時多発テロから一週間たちました。先ほども冒頭黙祷をささげたわけでありますが、今回のテロは平和と民主主義の根幹を揺るがす、世界人類また文明に対する挑戦だと、このように思いますし、このような残虐なテロは断じて許すべきではないというふうに考えております。  犠牲となった市民の皆様には哀悼の意を表するとともに、家族、関係者の皆様には心からお悔やみとお見舞いを申し上げる次第でございます。  そこで、我が国の立場でございますが、今回のテロ事件に対する我が国の立場として、総理大臣米国を強く支持し、必要な援助と協力を惜しまない決意、それからこのようなことが二度と起きないよう世界関係国とともに断固たる決意で立ち向かっていかなければならない、それから憲法の範囲内でできる限り協力をする、こういう三点かと思いますが、総理、これでよろしいですか。
  100. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) はい、結構です。
  101. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 それで、先ほど文明に対する挑戦というふうに申し上げましたけれども、挑戦された文明の側、どう対応するのか、文明に対応する、値する対応というのが必要ではないかと、非暴力の道といいますか。先ほど総理は最悪の事態を想定しながらというふうな表現もされましたが、最悪の事態を回避するためにどう最大限の努力をするのか、そのことが一番大事ではないだろうかなと思っております。  それで、この回避措置として、早い話、言われているビンラディン氏が出てくればいい話なので、今パキスタン政府、一生懸命説得しているというような形だと私は思いますけれども、この努力あるいは対話というものに対して、パキスタンなりに日本としてもいろいろ最大限に働きかけていってしかるべきだと思うんですね。  その点につきまして、外務大臣あるいはもちろん事務当局でも結構でございますが、どのような働きかけをしているのか、教えてください。
  102. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 先ほどの吉村委員の御質問にお答えしたこととかち合いますけれども、パキスタンの今こちらから行っています大使を通じてももちろん働きかけておりますし、それから周りの近隣の諸国に、反タリバンの、テロリストに対して対抗しているようなところを通じても働きかけておりますし、あらゆる手段を使ってお願いをしているところでございます。
  103. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 さらに頑張っていただきたいと思いますが、先ほど対話、話し合いという、私、観点でずっと考えておったんですが、外務大臣はジェノバ・サミットを挙げられました。テロに関してはサミットでもかなり積み重ねられておりまして、昨年の沖縄サミットでも、議長国ですが、G8コミュニケでも、わざわざアフガニスタンのタリバンの支配下にある云々と、国連の決議一二六七、完全な実施を呼びかけると、そういう文言が使われている。あるいは、宮崎で行われた外相会談の中でも、テロリズムということを項目を挙げて、国連安保理決議の一二六七あるいは一二六九を挙げてのコメントがなされているわけでございます。  こういうことは、ちょっと振り返ってみると、例えばパンナムの飛行機を落としたロッカビー事件というのがありました、一九八八年ですが。リビアへ逃げ込んだ二人をどうしようかと。制裁決議もやった。そして一昨年ですか、ようやく英国に引き渡したという形で、今裁判やっているようでございますけれども、やはりそういう話し合いの努力というのが大事だと思うんですね。サミット文書も、何も言い放っただけでいいという話ではなくて、やはりそういう国際世論をつくっていかなきゃいけないだろうと私は思うんですね。  文字どおり、ここにきょうお座りの政治の指導者の皆さんが動いて、テロテロを呼ぶといいますか、憎悪と暴力の連鎖を断ち切っていくようなそういう努力が必要かと思いますが、この点はいかがですか、総理と外相。
  104. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 確かに、先ほど来の議論の中でもございますけれども、こういうテロリズムというものがだんだん頻発し、そして質も変わってきているわけでございまして、これはもうG8の、サミットでの共通の悩みの種と言ってよいと思います。  G8でもそうですし、それからこの間のジェノバ・サミットでももちろんそういうことがテーマに上がっているわけですけれども、今、委員がおっしゃったようないろいろな、パンナムの航空機事件とか、その他時系列的に言いますとたくさんありますから割愛いたしますけれども、要するに、具体的にじゃ何ができるかということで今検討されていることは、テロに関するやっぱり情報を正しく正確なものを収集するということが一点とか、それからあとはテロの資金源ですね。この資金源対策というものは非常に強化しなければならないと思っています。それからあとは関連の条約の締結。これはいろいろ各種、何種類かございますけれども、現在もテロ関係でも十二本ぐらいの国際条約は今でき上がっておりまして、引き続きまたいろいろと検討もされております。  ですから、その情報を集め、資金源に対する対策、そして条約をつくるというようなこともいたしておりますが、今回のテロリズム、ウサマ・ビンラーディンと言われておりますけれども、このことにつきましては、やっぱりテロのキャンプを閉鎖してもらうとか、具体的にですね、そういうふうなことなどをこの間の安保理でも決議もいたしておりまして、あらゆる知恵を動員しているところでございます。
  105. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 引き続きぜひ最大限の努力をお願いをしたいと思います。  今、条約締結というような、そういう努力のお話もございました。人道に対する罪といいますか、そう思いますと例のユーゴスラビアの問題があると思うんですね。あれもミロシェビッチがことしの六月二十九日ですが、引き渡しになりました。これも旧ユーゴ国際刑事裁判所、臨時の裁判所でございますが、設立されてそこで引き渡された。  一九九八年に国連の方でICC、国際刑事裁判所、この設立条約というのが我が国も積極的に参画した中で賛成多数で採択されたわけでございますけれども、これをどんどん我が国としても推し進めていくべきではないか。あるいは、今回の事態でも、もちろん間に合いませんでしょうけれども、少なくとも旧ユーゴやルワンダのような安保理決議による裁判所をつくるべきではないか、そういう働きかけを今からやっていってもおかしくないんではないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
  106. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) おっしゃいましたとおり、一九九八年に国際刑事裁判所の機能につきましての採択がなされておりますが、これは委員御存じのとおり、現実にはまだでき上がっていないものでございますね。それをさらにつくるように努力をしろという御指摘だと思いますけれども、これまで国連その他の国際機関におけるテロ防止に関する条約、先ほど申し上げましたが、それの作成ですとか、それから締結することを促進するということ、そういうことを我が国もともにやることによりまして、国際テロ根絶のための抜本的な対策をしようということを今までにやってきております。そして、引き続きテロ防止に関しては今度は新たな条約も新しい視点からつくる必要があると思いますし、同時に既存の今でき上がっている条約、これの実効性を高めるためにどのようなことをすればいいかということも検討いたしております。  いずれにしましても、今の状態では、この国際刑事裁判所というものができていない段階では、国内でそれぞれが自分の範囲で裁くことをまずやるべきであるということが今考えの基本にはございますが、そうはいいながら、さはさりながら、今こうしていろいろな事件も起こっておりますので、御指摘も踏まえながらさらに検討していきたい、国際会議でも発言をしていきたいと、かように考えます。
  107. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 ただ、この設立条約についてはまだ署名も批准もしていないわけだと思うんですね。国内法の整備をしっかりやらなきゃいけないと、それを言いわけにしているからいつまでたっても、じゃ、いつやるんですかと、こういう話になるわけですから、早速手をつけていただきたいという趣旨で私は言っているんですが、もう一度お願いします。
  108. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 各国それぞれの見解、おありになると思いますけれども、緊密に連絡をとりまして、そうした方向に私どもも意見を述べていきたいというふうに考えます。
  109. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 新聞等、報道機関等を見ますと、いろんなハードな、いざというときに報復措置に出たらどうなるか、そういうことが大きな話題となっているといいますか、それを見て不安になる方もいるというような状況でございますが、しかしやはり毅然とした態度をもちろんテロに対してはとっていかなきゃいけない。全く私もそうなんですが、新聞記事等であれば自衛隊法改正云々というふうなことも出ている、あるいは先ほども話に出ました後方支援どうなるか、あるいは新法だとかいろんな表現が使われて伝わってくるわけでございますけれども、総理、もちろん冒頭確認しました我が国テロに対する立場の中でも三項目めにございましたけれども、憲法の枠内で、範囲内でということで、こういう後方支援とか新法とかいう問題についてもその中で、枠内で対処をするということでいいわけですね。
  110. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 憲法の枠内でできるだけのことをやるということであります。
  111. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 もちろん、今までの憲法の解釈の範囲内だというふうに私は理解をしておりますけれども。  それで、今回、あのニューヨークの悲惨な状況をいろいろ見ておりますと、もう大変な状況で、一生懸命ボランティアも含めて復旧作業といいますか、まず救済活動を一生懸命やっておられる。その中で、ジャンパーを着ている中でFEMAとかそういうのがあったと思いますが、連邦危機管理庁ですが。  これはやはりいろいろ災害対策基本法とかございますが、自然災害とかそういうのはいろんな対策はできてきておるんですが、事件災害のときにどうするかというのができていないと思うんですが、そういう災害、いろんな状態に対する対処をどうするかということをもう一度見直すべきではないかと思いますが、官房長官、いかがでございましょうか。
  112. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) FEMAというのは災害時の米国対応組織でございますけれども、そういうことも含めまして、緊急事態に際しまして被害を最小限度にとどめるということの最大の要点、要諦と申しますか、これは迅速に情報を収集、集約するということと、早期に政府としての総合力を発揮できる体制を整える、このことだと思います。  このため、今現在、三百六十五日二十四時間、内閣情報集約センターが稼働しておりまして、危機管理を担当するという内閣危機管理監の設置をするなど、今決めておりまして、危機管理体制の整備充実に努めておるところでございます。  また、ハイジャックとか重大テロといった事案への対処につきましては、それぞれ閣議決定をするということによりまして政府対策本部を設置する等の対処をすることができるようになっております。  今後とも、今回の米国におけるような大規模なテロ事件発生した場合においても十分な対処を行い得るよう、我が国の危機管理体制の一層の整備に努めてまいりたい、このように思っております。
  113. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 違う話題に入らせていただきまして、私、地元、今千葉なんですけれども、今千葉では狂牛病、今だんだん全国的な範囲で大きな関心を集めているわけでございますが、日常生活に関連して、本当に我々は今まで食べてきたのは大丈夫かというようなものもありますし、今後どうするんだと。  それから、農水省の対応等を考える場合、本当に狂牛病と疑われる牛はもう廃棄処分した、焼却処分した。私も聞いたら、今度、焼却処分していなかったというのが次に出てきて、その対応自体でももう大変な不信を実は醸し出しているところでございます。  また、いろんな対応策の中で、家畜防疫員による立入調査というけれども、現場的対応では、牛を見て、なでて、それで安全宣言出せるかというような率直な意見もありまして、危機意識が本当にあるのかなと、そういうように思わざるを得ないところでございますが、今後の体制につきまして、農水省あるいは厚生労働省におかれましては、私はもうヨーロッパ並みの、屠畜段階で全牛の検査をするというのが大事かと思いますけれども、風評被害対応も含めて、お二人の大臣に御答弁をいただきたいと思っております。
  114. 武部勤

    国務大臣(武部勤君) 委員指摘の、危機管理意識というのはあったのかというそういう御指摘、これは国民の皆さん方の間に非常に大きくあると、このように思います。  何でこういう間違いがあったのかというのは、まず第一に縦割り行政の問題があったと思います。  と畜場法では、これは厚生労働省の所管でありまして、食品に供さないものは廃棄と、そういう用語を使っておりますし、また農林水産省では、廃棄したものの取り扱いについては、これは牛海綿状脳症の発生後、これについてのサーベイランスを徹底すべく焼却もしくは化製工場に回して衛生上問題のないようにということになっていたわけでありまして、我々の所管する立場からすればもう当然焼却と、こういうふうに考えていたわけであります。  しかし、実際には、屠畜検査の後廃棄されたものをどうするかということについてレンダリング、いわばえさの方に回っていたと。これはやっぱり検査体制に問題があると、こう思っておりまして、厚生労働省も、EUでやっているように三十カ月齢以上の牛については全頭検査するということを十月中旬ごろまでにおやりになると、これは厚生労働大臣から御答弁あると思いますが、その間までについては農林水産省が全責任を持って生産者に出荷を繰り延べてもらう、そうしたことを初め徹底した対策を立ててまいりたい、かように存じます。  いずれにいたしましても、大変不安を与えているということにつきましては責任を感じておりまして、今後、私が先頭に立ってこういった不安解消のために全力を挙げてまいりたい、かように存じます。
  115. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今、農林水産大臣から大体お答えをいたしましたとおりでございますが、三十カ月以上のものにつきましてはこれから全部検査をすることに決定をいたしました。年間百万頭でございますから大変な数字でございますけれども、やらせていただくことにいたします。  今までは、いわゆる脳症、いわゆる起立不能でありますとか、そういう症状を呈するものだけやってまいりましたが、これは今まで七十頭ぐらいございましたけれども、幸いにして今までは陰性でございました。しかし、そうしたもののないものも含めてやるということに決定をしたところでございます。  一生懸命やりたいと存じます。
  116. 魚住裕一郎

    魚住裕一郎君 終わります。
  117. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で魚住裕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  118. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、緒方靖夫君の質疑を行います。緒方靖夫君。
  119. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 日本共産党緒方靖夫です。  アメリカでの卑劣なテロ行為から一週間がたちました。  今、軍事力による大規模な報復の準備が進められている。私たちはこのことに大変心配しております。私たちの党の不破議長と志位委員長は、おととい連名の手紙を世界各国首脳に送りました。総理にもお届けしております。私は、この内容総理、閣僚の皆様によく知っていただきたいと思います。同僚議員にも、またテレビをごらんの全国の皆様にもこの内容を知っていただき、ともに考えていきたいと願っております。  テロは、どんな理由であれ、絶対許されない野蛮な行為であるということは言うまでもありません。今回のテロで直接攻撃されたのはアメリカですけれども、しかし、このテロは国際社会全体に向けられた攻撃であります。したがって、国際社会全体で対処すべき問題であります。  私たちの提案は、国連が中心になって国連憲章、国際法に基づいて、テロ犯罪容疑者、犯罪行為組織し、支援した者を逮捕し、裁判にかける、そして法に照らして厳正に処罰する、このことです。そのためには国際的な協力が欠かせません。  今度の事件でも国連安全保障理事会が決議を採択しておりますが、そこでは、すべての国がテロの実行犯、組織者、支援者を法に照らして処罰するために緊急に協力する、このことがうたわれております。国際社会ではこうした事態に対処するルールがこれまでつくられてまいりました。一九八八年にアメリカのパンナム航空機の爆破事件が起きたとき、国連はリビア政府容疑者の引き渡しを要求しました。経済制裁など幾重もの決議を上げ、そしてそうした制裁を通じて、その努力の結果、容疑者は国連に引き渡され、今裁判が進行中です。  テロの規模は違いますけれども、私は基本的にはこの今度のテロもこの方向で国際社会が全力を尽くすべきだと考えます。容疑者アメリカ国外にいるときには身柄の引き渡しを国際社会が共同の意思として関係政府に求め、国際的に包囲し、経済制裁などの強制措置を含めて対応することが重要だと思うんですね。可能な限りすべての国と国際世論によってテロ勢力を包囲し、告発する。国連による経済制裁を加えるなど、テロリストを法に基づく裁きのもとに置くために国際社会として可能なあらゆる手段を尽くす、このことが肝心だと思います。  国際的な共同を広げてテロ勢力を包囲することが大事なときに軍事的な報復が行われるならば、この報復に賛成か反対かで各国政府と国際世論が分断される、こんなことにもなります。これではテロ根絶できませんし、地球上に新しい戦争、巨大な被害をもたらすことははっきりしています。テロと報復の悪循環が続き、事態は泥沼化する、このことははっきりしていると思います。  今、日本でも世界でも、テロを強く糾弾しながら、しかし同時に軍事報復が行われたら、そういう不安が広がっております。ですから、そうした中で、私たちは今こそ無法なテロに対して国際社会全体が法と道理で戦う、このことが強く求められていると思います。その意味で、私は現在、二十一世紀の世界というのはまさにこの岐路と試練に立たされている、私はそういう思いでおります。私たちの党の不破議長と志位委員長が各国の首脳に手紙をあてて、国際で共同してやろう、このことを呼びかけたのはそういう意味があるわけですね。  私はちょっと、こういう、しばらく私たちの立場を、考えを話すことになりましたけれども、総理、私は率直にお話しいたしましたけれども、総理のお考えはいかがかということをお尋ねしたいと思います。
  120. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) テロにどう対応するか、テロ防止策あるいはテロ根絶策、これについては世界の各国と協力していかなきゃならないと思います。  また、その方法については、いろいろ各国が国連の場をかりたり、あるいは当事国同士との話し合い等いろいろあると思いますが、その中でも、現にテロが起こった場合、犯人が平和的方法で出てくればいいです、あるいは捕まればいいです。今のところ、今回の起こったテロに対して、犯人がまだはっきりと断定された段階ではない、犯人が何人なのかもわかっていない、どういう組織であるかもわかっていない、それを支援している組織がどういう政権であるのか、どういう国であるかということもまだ明らかでありません。  そういう中にあって、今平和的解決をするためには、ある場合には軍事的圧力も必要な場合があると思います。しかしながら、今のところまだ解決の方途は見えていない。そういう段階については、今、委員指摘されたような国際協力も大変大事なことであると、そういう国際協力の中でテロ対策テロ防止策を日本としても考えていく必要があるのではないかと思っております。
  121. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 総理が言われたように、容疑者支援者も、その組織もまだはっきりとしていない。そのために、やはり国際協力が当然必要だし、そのことを抜きに、とりわけ情報収集を抜きにしてはこの問題解決できないし、あるいはその容疑者がはっきりしたときにはその逃亡のルートを封鎖するとかさまざまな形の、全世界の、まさに国際社会全体挙げての協力、共同がなければこれ通じません。  ですから、総理が最後に言われたように、まさに国際協力が必要だし、私はその点で、それが国連だと思うんです。一番最近の外交青書には、国際連合は二十一世紀の国際的な協調を進めていく上で中心的な役割を果たすことが期待されていると書かれております。大賛成です。ですから、私は、この二十一世紀の冒頭に起きたこの蛮行に対して、文字どおり今、総理が言われた国際社会、国際共同体挙げて戦う。そのときに、国連を中心にしていく、国連をもっと大きな形で、もう既に安保理決議が上がっておりますけれども、それをしっかりと進めていく、日本もそのために必要な役割を存分に果たしていく、そのことが求められていると思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
  122. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国際協力なくして今のいろんな事態には対処できない面が随分あると思います。我々としても、当事国の対応、そして国際協調、そういうことを十分配慮しながら、我が国として何ができるか、何をしなければならないかということを真剣に今検討しているところでございます。
  123. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 国際協力というのはいろんな形があると思います。二国間、多国間の話し合いもあるでしょう。あるいはまた国際会議があるでしょう。あるいは国際機関のいろんな話し合いがあるでしょう。しかし、そうしたもとで私は、やはり国連が中心に座る、そのことが肝心だと思いますけれども、大臣、その点の御所見はいかがですか。
  124. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国連という場は大変重要だと思っております。そういう点から安保理の理事会の決議と、あるいは今G8参加国でも新たな声明を発表しようという動きもございます。国際協力、国連の場、そしてあらゆる国際関係の協調を図りながら対策を練っていくことが極めて重要であると認識しております。
  125. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 その点で、国際社会全体がこのテロに反対して戦っていく、立ち向かっていく、国連でいろんなイニシアチブが考えられております。例えば、国連主催で特別のテロ反対の国際会議を開くべきだという、そういうイニシアチブが幾つか生まれております。あるいはまた、特別法廷を開設すべきだという、そういう声もあります。これは過去の経験にかんがみて、そのことも将来あり得るかもしれません。そうした可能性について総理のお考えを伺っておきたいと思います。
  126. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国連の場を活用して、関係国、全世界、いろいろ協力しながらテロ対策をしようという機運が盛り上がっています。日本としてもそういう機運を大事にし、国連の場を重視しながらも、いろいろ国際協調の視点から日本としてどういう対処をするべきか、大変大事なことであると思っております。
  127. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 私は、ここに政府の安全保障会議の十二日の「政府対処方針」というのを持っております。六項目書かれているんですけれども、この中には、五項目に「国際テロに対しては、米国をはじめとする関係国と力を合わせて対応する。」、そういうことがあって、この中にはどこにも、国連もあるいは国際社会もそういうことがないんですね。  ですから私は、今後やはり日本政府がこの問題に立ち向かっていくときに、あるいは国際協力を今、総理が言われたように進めていくときに、こういう形じゃなくて、やはり国連を重視していただきたい。このことを、今もう総理は述べられたわけですから、改めて要望しておきます。  そして私は、テロと戦うには、軍事力による報復ではなく国際社会全体による法の裁きこそが問題解決に一番大切だと思いますけれども、その点、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
  128. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国内テロ対策についても当然大事なことであります。今予測し得ること、予測し得ないことを予測しろという状況で、難しい時代でありますが、あらゆる可能性を考えながら危機管理対策に今重点を置いているということを御理解いただきたいと思います。
  129. 緒方靖夫

    緒方靖夫君 国内問題についてはまた別の機会に質問させていただきますけれども、私は、今、世界と人類が直面している脅威を前に、大所高所からどう対応するかということを問題提起させていただきました。その点で、理性ある冷静な態度対応、これが今、日本でも世界でも求められている、このことを強調して、質問を終わります。
  130. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で緒方靖夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  131. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、広野ただし君の質疑を行います。広野ただし君。
  132. 広野ただし

    広野ただし君 自由党参議院比例全国区の広野ただしでございます。  今度の国際テロ、本当に非人道的な卑劣な行為だ、こう思います。  総理は、先ほど、万全の対応をとっておられる、こうおっしゃっておりますが、今度の国際テロについては国連及び各国と連携をして対応をするということが極めて大切なことだと、こう思っております。  アメリカの話が先ほどございましたが、じゃイギリスのブレアあるいはシラク、サミット諸国の首脳に対してはどういう連絡をおとりをされましたでしょうか。
  133. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、関係各国とも、G8の諸国間とも協力しながらこのテロ対策に対処していこうということで話し合いは進めております。
  134. 広野ただし

    広野ただし君 今回の場合は特にアメリカで起こった事件ではありますけれども、事故ではありますけれども、日本人も数十名行方不明だと、こういうことでございますね。そうしますと、我が国に対する攻撃だと、こういうふうに見ていいわけであります。そういう意味では、日本がもっと積極的な意味対応をしていくと、こういうことが必要だと思います。  そういう中で、国連において九月の十二日、安保理の決議がございました。さらに次、突っ込んで安保理決議ということに具体的に対応していくあらゆる措置を、権限を付与するというような、湾岸戦争のときのような話になっていくんではないかと思いますが、そういうときの根回しといいますか、各国との協調関係、これについて日本はどういう積極的協力をしておられるんでしょうか。
  135. 田中眞紀子

    国務大臣田中眞紀子君) 総理がおっしゃる前に一言申し上げたいと思いますが、先ほどおっしゃった安保理の決議一三六八というのがございますけれども、中身はもう御存じでいらっしゃると思いますからあの五点については申し上げませんけれども、やはりこうしたテロで今回も三十七カ国以上の国の方たちが犠牲になっておりますから、ですから、起こったのはアメリカでございますけれども、やはり国際的な問題として危機感を持って取り組むためには国連というところをやはり舞台にして取り組むと、今、委員がおっしゃっているような視点というのは絶対大事だと思いますけれども、残念ながら、私どもの今国は、安保理との関係からいきましても、この発出されたものを大事にしながら、関係各国ともやっぱり緊密に連絡をとっていくというふうな情報交換の中で日本が何ができるかということのイニシアチブをとっていくことから始めるべきだというふうに思っております。
  136. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回のテロについては、米国民のみならず、あの世界貿易センターには日本人も犠牲になり、また日本企業も入っておりました。  最初から申し上げていますとおり、米国に対する攻撃のみならず、日本国民に対しても世界人類に対しても卑劣きわまりない攻撃であるという強い憤りを我々は共有しながら、このテロに対してどういうような対応をとるかということが必要ではないかということで、今関係諸国と協力しながら、協調しながらこの対策を練っているところでございます。
  137. 広野ただし

    広野ただし君 そういうときに、どうも日本がもっともっと積極的にいろんな対応をしなければならないと思うんです。  先ほど福田官房長官が具体的な要請はないということをおっしゃったわけでございますけれども、私は、日本の場合は特に日米安保条約があり、そしてガイドラインがあるわけですから、特に調整メカニズムといいますか、日米安保協議委員会とか日米安保高級事務レベル協議あるいは日米共同調整所の開催を積極的に働きかけて、あらゆるレベルでどういうことが協力できるのかというようなことをこっちから問いかけをしながら向こうのいろんな本音を聞いていくということが必要なんではないかと、こう思いますが、いかがですか。
  138. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) このテロに対しては、一義的には、米国が自国の領土内で自国の国民が犠牲になり、自国のビルが、また国防省が攻撃されたということで、アメリカがこのテロに対する攻撃をあらゆる面から今考えている。  日本としては、このアメリカの姿勢を強く支持してあらゆる支援、協力を惜しまないということで対策を練っているわけでありまして、アメリカがどのような支援体制要請してくるかというよりも、日本がこのテロ対策に何ができるかということを主体的に考えるべきだということで今対策を練っているわけです。  そういう中にあって、アメリカは、このテロに対する対策としてはあらゆる手段を行使してと、武力行使も軍事対策もすべての対策をこのテロに用いるということを公言しております。日本としては、そういう中で武力行使はできません。あらゆる対策を積極的にやりますが、それは当然憲法という枠内がございます。その点は当然対応は違ったものが出てくると思いますが、そういう憲法の枠内で、武力行使はしないという中でどういう活動があるかということを考えていくのが日本の責任ではないかと思っております。
  139. 広野ただし

    広野ただし君 日本の協力といったときに、やはり相当な汗を流す、そういうことがないと、また湾岸戦争のときのように結局いろんなことをやったけれども評価が低い、そしてアメリカ日本の最重要の友好国、同盟国なわけですけれども、そこに対する信頼をまた落とすということになってはいけないわけで、その点、本当にどんなことをやろうと思っておられますか。
  140. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 武力行使以外のことを憲法の枠内でできるだけのことをやりたいと考えておるわけでありまして、事態の進展を見ながら、推移を見ながら判断していきたいと思います。
  141. 広野ただし

    広野ただし君 それと、当日の国内における態勢ですけれども、先ほどありましたように、警察の方に警備の強化を指示したと。防衛庁に対しては部隊が警備の強化をするということであったわけですが、日本の場合は、何しろ北朝鮮といったテロ支援国家があるわけで、そしてまたこれだけの大規模な国際テロということであったわけですから、私は、防衛庁治安出動、少なくとも待機命令ぐらいは出したらよかったんじゃないかと。そして、安全保障会議も実際開かれていたわけですから、そうすればいろんな事態に対してすぐ自衛隊が出動できると、こういう事態になったんではないかと思いますが、いかがですか。
  142. 中谷元

    国務大臣中谷元君) 命令による治安出動につきましては昭和二十九年に自衛隊法でつくられたわけでございますけれども、これの発動の時期は、間接侵略その他緊急事態に対して一般の警察力をもっては治安を維持することができないと認められる場合に発令されるものであり、この待機命令は、事態が切迫し、治安出動命令が発せられることが予測される場合、これに対処するために必要と認められるときは総理大臣の承認を得て発令されるということで、かなり敷居が高くつくられております。  防衛庁としては、これまでのところ、これを発令すべき場合であるというふうには考えておりませんが、全自衛隊施設並びに米軍との共同使用施設につきましてはその警備を強化をするように全部隊に指示して実施させているところでございます。
  143. 広野ただし

    広野ただし君 今後、アメリカ及び先進諸国、世界の諸国と連携をとりながら、日本の信頼を決して下げないように御努力いただきたいと思います。  終わります。
  144. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で広野ただし君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  145. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、福島瑞穂君の質疑を行います。福島瑞穂君。
  146. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 社会民主党の福島瑞穂です。  今回のテロに対して、軍事力による報復ができる国際法上の根拠は何ですか、総理。──いや、総理大臣お願いします。
  147. 津野修

    政府参考人(津野修君) これは国際法の問題でございますので私からお答えするのが適当かどうかわかりませんけれども、アメリカが考えておりますのは、どうも自衛権の行使というようなことで考えているのではないかというふうに推測しております。
  148. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 自衛権の行使のためには正規軍が侵略をしたという武力の攻撃が必要です。今回のテロは犯罪であって戦争ではありません。自衛権の行使はできないと考えますが、総理アメリカの軍事報復は可能だと考えますか。
  149. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 可能だと考えます。
  150. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 法にのっとって説明をしてください。(発言する者あり)違います。国際法上なぜ可能かということを言ってください。総理、重要な問題で、アメリカの軍事報復を認めるか認めないか、なぜ認められるか、話してください。
  151. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 法的な問題に対しては専門家に答弁は任せますが、政治的に考えて、アメリカがどういう対応をとるか。軍事行動をまだとってないんですよ。アメリカはあらゆる手段をとってこのテロ対策をすると言っております。しかし、アメリカがこれを戦争状態と認識しているわけですから、当然軍事行為も想定しながら今対策を練っているんだと思います。私は、アメリカの姿勢を強く支持しております。
  152. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 ある国が軍事行動だと考えれば報復ができるというわけではありません。国際法にのっとって各国は行動することが求められています。小泉総理は、アメリカに対してすべて支持する、白紙委任をおっしゃいました。ですから質問をしているのです。  アメリカの軍事報復、法律上、国際法上なぜ可能なのか。政治的に行動するためには法律的に適法でなければなりません。なぜ可能なんですか。
  153. 津野修

    政府参考人(津野修君) ちょっと先ほどの答弁も含めまして御説明いたしますと、現在、米国が武力行使をするというようなことが確定的に決まっているわけではございませんので、そういうようなことは仮定の問題でございますから非常に議論の前提を欠く問題だと思いますけれども、先ほど言いましたのは、仮にそういうことがあれば、いろんな事態を推測して、国際法上の妥当な根拠を求めるとすればそういうところであろうという推測をしたということが一点でございます。  それから、国連憲章の、あれは五十一条だったですか、集団的自衛権と個別的自衛権の行使の根拠がございます。それにおきましては、武力攻撃発生した場合には集団的あるいは個別的な自衛の措置をとることができるという国連憲章上の規定がございますので、もしもそういう規定に該当するとすれば、それに基づいていろんな措置をとることはできるであろうというふうに考えられるわけでございます。
  154. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 この武力の攻撃は正規軍だと言われています。また、自衛権の行使のためには緊急性と均衡性が必要です。いかがですか。総理、どうですか。
  155. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この攻撃はとおっしゃいましたけれども、まだ攻撃してないんですよ。
  156. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 違う、武力攻撃
  157. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) だから武力攻撃してないんですよ。
  158. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 相手方の武力攻撃に対して。
  159. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 立って質問してください。
  160. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 これは、テロは犯罪であって戦争ではありません。なぜ軍事報復が可能なのか。テロの、つまり国連憲章に基づく自衛権の行使のためには武力攻撃が正規軍によってなされることが必要です。つまり、アメリカの軍事報復には国際法上大変問題があります。それに対して白紙委任をすることが非常に問題であると思い、質問をしています。
  161. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在、日本はこのテロに立ち向かうアメリカの姿勢を強く支持しております。そして、どのような行動をとるかというのはこれからの問題であります。その行動を見ながら判断すべき問題ではないかと思います。
  162. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 日本国民は、アメリカが軍事報復をするのか、日本がその軍事報復にどのようにかかわるのか、不安を持つと思います。アメリカの軍事報復が可能なのかどうかは非常に重要な問題です。ですから、総理大臣としてアメリカの軍事報復が許されるのかどうかお考えをお聞かせください。
  163. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、アメリカは戦争状態と認識しているわけですから、アメリカ判断する、あらゆる手段を講じてこのテロに立ち向かうと言っているんですから、可能だと私は思います。
  164. 福島瑞穂

    ○福島瑞穂君 アメリカの軍事報復が可能なのかどうか、そのことで日本がどういう態度をとるのか、そして全面的な白紙委任は許されないと考えます。  パウロ二世ローマ法王もダライ・ラマも、暴力と報復の連鎖は断ち切るべきだというふうに言いました。私は、それは日本でも極めて重要なことだと考えております。  では、以上で質問を終わります。
  165. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で福島瑞穂君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  166. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、松岡滿壽男君の質疑を行います。松岡滿壽男君。
  167. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 無所属の会の松岡滿壽男です。  今回のテロの犠牲になられた方々、また被害に遭われた方々にお悔やみとお見舞いを申し上げたいというように思います。  今の報復の件ですけれども、米軍の軍事報復をやはり国民は恐れておると思うんですね。昨日の私どもの地元の毎日新聞で「市民の感覚、不安の声」というのが出ておりまして、二十人のアンケートですけれども、これについてやはり、米国の軍事報復には賛成が五人、反対が十人、どちらとも言えない五人と、こうなっています。  だから、危機管理に弱い日本、そういうことで国民は随分不安に思っている。やっぱり軍事基地はそれなりに守れるでしょうけれども、例えばこういう報復のシミュレーションというのも出ているわけですよ。そのときに、皇居とかあるいは国会議事堂とか、あるいは大きなテーマパーク、ディズニーランドとか、こういうのは一体どうなるんだろうかと。  今回のテロの特徴は、やっぱり大量殺人をねらっている、それとシンボリックなところ、これに対する対応はできているんだろうかという不安が背景にあると思うんですが、いかがでございましょうか。総理、お願いします。
  168. 村井仁

    国務大臣村井仁君) あくまで仮定のお話でございますので、ちょっと御答弁、どういうふうに申し上げたらいいか私も悩むところでございますけれども、少なくともいろいろな形で、私ども得ております情報によりまして対応を十分に整えるように努めているところでございます。
  169. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 今のお話ですと、国民はやはり不安が募ってくるんではないかというように思います。  しっかりした対応をお願いいたしたいと思うんですが、今回の動きを見ていますと、数年前にサミュエル・ハンチントンが言った、いわゆるイデオロギーの後は文明の衝突だということなんですね。それが大きく背景にあると思うんですよ。  それで、真珠湾だとか特攻隊だとかいう言葉が一部ひとり歩きしました。今回、テロリストたちの遺書を見てみると、私も靖国神社に時々参拝をいたしておりますけれども、軍人たちの遺書、いわゆる自然と運命ともたれ合いながら輪廻転生に生きる一つの知恵、そういう部分が、ある面では共通した部分があるんですね。  昨年に、イランのハタミ大統領が十一月に来られて衆議院で演説しておられる中に、国会を意味する英語パーラメントがフランス語のパルレ、いわゆる対話ですね、これに由来することから話をされて、対話で真に重要なのは相手の思想に敬意を払うことだというように述べているんですよ。また、東京工大での講演で、イスラムや仏教思想、詩や文学をも広く論じながら、西欧流の近代化を批判的に受容し、受け入れて、そして問題を克服していくためには東洋的な自然との共生意識が重要と訴えて、文明間の対話を提唱しておられます。  総理は、この前、京都議定書の問題で、アメリカとヨーロッパとの橋渡し、これを非常に進められる決意を述べられて行動しておられますけれども、長いタームで見て、こういう橋渡しといいましょうか、文明間の衝突が起こらないように、その中にバッファーになっていくという部分は非常に大事なことだと思うんです。この問題についてのお考えをお伺いいたしたいというふうに思います。
  170. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回のテロに対決する問題というのは、我々としても、テロリストとの対決であり、たとえテロリストたちがイスラム教徒だろうがアラブ人であろうと、アラブとの対決とかイスラムとの対決では決してないと。  今回のテロ行為に対しては、アラブ諸国も非難しております、イスラム教徒も非難しております、多数のアラブ諸国もイスラム教徒も。でありますから、たとえ、今いろいろ言われております、テロリストがどこの国であろうとも、どこの宗教を信じていようとも、それは間違ってはいけないんであって、テロリストとの、テロ行為との戦いであるということが大事ではないか、混同すべきでないと。それが日本としても非常に重要な一つの視点ではないかなと思っております。
  171. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 私の発言が誤解されては困りますので、もう少しゆっくりこの議論をしたいんですけれども、二分しか時間が与えられておりません。ルールはルールでございますので、終わりたいと思います。
  172. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 以上で松岡滿壽男君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会