○中林
委員 今、こういった
狂牛病の
発生を許してしまったというところの入り口のところで、やはり九六年という年、これは
イギリスでのあの大量的な
狂牛病の
発生の事実など知られておりましたし、WHOもこういう勧告をした。それを受けとめて、これでよかったのかという検証はやはり必要なのではないかという
指摘をしているわけです。それで、農水省の一片だけということじゃなくてとおっしゃるのですけれ
ども、具体的な、
政府として、では、
狂牛病についてこういう注意が必要だというようなことは何も出てきてはおりません。
それならば、もう
一つ問題を提起したいというふうに思うのですけれ
ども、ことしの一月二十五日に国連食糧農業機関、FAOが、
狂牛病は東欧、アジア、中東など
EU以外の地域に既に拡大している可能性が極めて高い、こういう見解を明らかにして、
EUが六月に
日本で
狂牛病発生の可能性があるとの
報告書をまとめているのを知りながら、
政府は
日本は安全だ、こう慢心して、ずさんな国内
対応に終始したというふうに思います。
八月六日に千葉で起立不能を呈していた乳用牛が屠
畜場で見つかったわけなんですけれ
ども、この起立不能というのは法定伝染病である
狂牛病の症例でもあって、本来ならば、「海外伝染病の鑑定及び取扱い」に基づいて、海外伝染病の取り扱いは、国内で
発生を見ている伝染病とは異なり、当該疾病を疑う症例を発見した場合は、原則として県
段階における病性鑑定を実施せずに速やかに
検査材料を
家畜衛生試験場に送付しなければならないはずだ。
それも、
検査材料は、「海外伝染病の鑑定及び取扱い」、ここでちゃんと決められているわけですね。
一つは脳幹部を含む脳、これは病理標本用、それからもう
一つは凍結した脳、ウエスタンブロット用、この二つを送付しなければならなかったはずなんです。ところが、送付したものは脳の一部の
延髄だけで、病理標本用の脳が送られませんでした。病理標本用の脳が送られなかったために、動物
衛生研究所はプリオニクステストしかしなかった。病理
検査をここでは行われなかったわけですね。たまたまプリオニクステストが陰性だったため、今回の乳用牛が
狂牛病の
疑いがある、そういうことが、千葉県の病性鑑定
検査の結果が出るまでの約一カ月間、時間がかかったということなんです。だから、ここにある「海外伝染病の鑑定及び取扱い」、これでしっかりと
対応していれば今回の事態にはならなかったというふうに思います。
今回、起立不能を呈していた乳用牛を
敗血症として
焼却処分もせず、
肉骨粉として
処理して、国内
流通も許してしまった、こういう経緯があるわけです。それも、農水省は
焼却処分をしたものと思い込んで、確認もしないまま、九月十三日までその事実を知らなかった、こういうずさんな
対応に終始しました。
農水省は、九月二十日になってやっと、
BSEの臨床症状を確認し、これを疑う場合は、
中枢神経症状を呈した牛を発見した場合は、
疑似患畜として
家畜伝染病予防法に基づき
BSEについての病性鑑定を行うこととする、該当する病性鑑定を行った屠体については必ず
焼却するものとするとの課長通知が出されました。こういうずさんな
政府の国内
対応の結果、
国民にはその間やはり大きな不安を招いて、畜産農家や酪農農家に深刻な今打撃を与え続けているわけですね。
だから、今
大臣はこの通知一片だけではなかったんだというふうにおっしゃるんですけれ
ども、現実はそういう形にはならなかったということが、あの九六年、ここの初動のところをちゃんとやっていただいていればこういう事態にはならなかったし、ましてや、今回の千葉で発見されたその扱いについても、「海外伝染病の鑑定及び取扱い」、これに基づいてやっていればこういう事態にならなかったのではないか。この点についてお伺いしたいと思います。