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土井たか子君
小泉総理は、八月十五日には
靖国神社にもうでるということをおっしゃっています。
ところで、国賓で外国を訪問されるという場合、その訪問国の無名戦士のお墓に花をささげるというのは、もう今や国際的な慣例になっております。これは、国際的な慣例というのは、三木
総理時代に既にもう
国会での質疑応答の中での
答弁にもはっきりおっしゃっている。
そしてまた、厚生省が、
日本において国立の
墓苑をつくらなければならないという閣議を受けた形で、四年前に監修をして出されている「援護五十年史」というのを見ますと、こういう部分があるんです。かなり分厚い五十年史ですが、いわゆる「無名戦士の墓」に関しては、いずれの国も、
国民崇敬の霊域として、最大の敬意を込め、国としての深い心遣いが払われているのみならず、慣行としても、国際礼儀上の重要な一要素を伴っていると、これはよろしいですね。三度
厚生大臣をお務めになった
総理ですから、当然これはよくおわかりのはずの問題だろうと
思いますが。
先日、
外務大臣が
アメリカを訪問された場合に、アーリントン・ナショナル・セメタリーにいらしたというのは、これは私は大変よかったというふうに思っています。
総理もやがてこの月末には
日米首脳会談に臨まれる、
アメリカを訪ねられるわけですから、またこれに対してどう対応されるかというのが、実は国際的にやはり注目されますよ。
ところが、
日本に来られる国賓は、
戦没者の
方々の
慰霊のためにどこに行かれるんでしょうか、これ。
靖国神社に御案内するわけにはどうもいかないようですね。なぜ私がそういうことを言うかというと、かつてニクソン副大統領が来日の際、
靖国神社に御案内しようということを計画しておられたのが
政府なんですが、これを断られました。イギリスのエリザベス女王は、
靖国神社にもうでられるという計画を中止されましたよ。
そういうことから考えましたら、
日本で国立
墓苑というのがないんだろうかということになるわけですが、これはもう
総理もよく御存じのとおり、先ほどは
鳩山さんの御
質問の中に少し出ましたけれ
ども、
千鳥ケ淵がそうじゃないんですか。
千鳥ケ淵墓苑というのがそうではないんでしょうか。
私は、毎年八月十五日は、
戦没者の
方々に対して追悼の
気持ちを持つと同時に、恐らくは、亡くなられた
方々は、再び
戦争をするようなことがあってはならないという、声としては聞こえることがないけれ
ども、恐らくそういうお
気持ちというのを私
たちがしっかり受けて、生きている私
たちがしっかり受けて頑張らなければならないという決意を新たにする日なんですよ。
千鳥ケ淵のこの
墓苑のあり方が、したがって、外国から来られる
方々に対して、ここでございますと、どうぞ、
日本の国立
墓苑はここでございますと言えるようにしないとならないと私は思うんですよ、本当に。
千鳥ケ淵の
墓苑に対して、そこで申し上げたいことがあります。
私は、いつも
千鳥ケ淵に、
墓苑に参りますときに、六角堂の納骨室がその正面にあるわけですから、そこしかないと思っていたんですね。そうしたら、十年くらい前に約三十三万二千柱でここが満杯になりまして、そして、あふれる遺骨に対してどういう取り扱いをしたかというと、その六角堂の裏手につくられている納骨の施設、そこに納骨するという形になっているようであります。私は知らなかった。先日、その施設の処遇というのが、雨露をしのぐ屋根も献花台もないという粗末なものだということを知りまして、これは御遺族の
皆さん方が憤りを込めて、これが果たして国立
墓苑なんでしょうかとおっしゃるというのは、実に私は、胸が本当に痛みましたよ。
やはり、この国立
墓苑というのを、
日本としてはしっかりこれは取り組んで、外国からの国賓の
皆さんに対しても、
アーリントン墓地にいらっしゃると同じように、ここに対してやはり献花をしていただけるということにしないと、
日本は、国際社会の一員として名誉ある地位を占めたいと思うと言っている国でしょう。これはどうですか、
総理。ひとつそういうことについての御所見と、それから対応に対して聞かせていただいて、私は終えたいと
思います。