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内閣総理大臣(森喜朗君) 入澤議員の大変予算の、いわゆる新たな発想で編成をしたらどうかという、総じて言えばそういうお
考えだろうと思います。
私も国
会議員になりまして三十二年になりますが、予算編成を自分なりに与党の立場でやってきまして、やっぱりかなり私は矛盾があるなと思っているんです。どうしてもこのシェアというものを大事にする。これはもう、例えば公共
事業一つとってもそうだと思うんですね。農業、
土地改良を中心にしたもの、港湾。旧の
建設省でいえば、道路、住宅、都市公園、下水。それぞれシェアがあって、結局はそのシェアを同じように伸ばしていくか、同じように減じていくかということになる。そうすれば配分もまた同じことになって、もう少し効率的に集中的に公共
事業等を進めていくことの方がより経済効果がある、あるいは採算効果があるというふうに私はやっぱり
考えます。
ですから、そういうことの一つの最初の試みとして、この十三年度予算案、今御審議をいただいているこの予算については日本新生枠というものにさせていただいて、今いろいろ御
指摘ございましたように、IT関連、都市基盤あるいは高齢化対応、そして
環境というものについてはアクセントをつけたわけです。完全とは言えませんけれ
ども、一つの予算の新しい試みとして
考えてみました。
我が党の政調会長を中心にし、与党三党で随分御議論をいただきました。公共
事業等についてもどうあるべきかといろいろ議論をし、また第三者の私的な審議
機関のようなものも設けられて、そして御議論もいただいたことも承知をしておりますが、結果的にはなかなかこの枠組みは超えられないという、これは政治家全体が
考えなければならぬことだろうと思います。ここにも各省御出身の大変力強い
方々もたくさんいらっしゃいますから、それなりのいろんな思いもおありだということも、よく私は自分の経験からいってもあるわけであります。
そこで、経済財政諮問
会議というのが今度できました。これを今、麻生経済
担当大臣あるいは宮澤
財務大臣、あるいは片山
総務大臣、政府側はそうした形で、さらに経済界からは実務的な経済をおやりになっている方、さらには学者の方、日銀総裁な
ども入れて議論が今まさに渦中に入っているわけでありますが、そろそろ予算編成のあり方というものについてやっぱり議論してみようという、そのことにいよいよ、その入り口のところに今立っているということでございます。
ですから、私、我田引鉄なんて言ってよくしかられましたけれ
ども、鉄道整備なんというのはなぜ公共でできないんだとか、もっと効率的に進めればずっと採算性があるはずなのに、あるいは空港も、関空のやり方あるいは中部国際空港というこのやり方、これはやっぱり本来いえば国のインフラとして国がやるべきことであるのかもしれない。新しい試みを関空でやってみましたけれ
ども、やはり採算面からいっても非常に難しい面があるということも数字としては出てきていると思うんです。
ですから、そういう
意味で、新しいそういう、今、
扇大臣もいろいろおっしゃっていましたけれ
ども、思い切った都市基盤の充実を図っていく
ための住宅の問題にいたしましても、それからやっぱり今一番問題になっているこの資産デフレ的な傾向を、これを何とかしてよみがえらせていくということになれば、土地をどうやって生かしていくかということだろうと思う。そういう
意味で、金融
機関等で整理をしつつあるそうした土地というものを、ある
意味では虫食い
状態になっているところも随分ある、そういうものをどう整理して生かしていくのか、こういうことも政府がやはりしっかり取り組んでいかなければならぬ、そういう命題だろうと、こう思っております。
いろいろ御批判もあろうし、いろいろ御意見もあろうと思いますけれ
ども、やはり十四年度の予算編成からは新しい思い切った予算編成のあり方、やり方というもの、こういうものにはやっぱり思い切って取り組んでいく必要があるし、そういう
意味で与党の
皆さんも、新しい時代が来たぞと、二十一世紀なんですよということで、これからの百年の計、そのまさに百年の計は私はこの十年にあると、こう施政方針でも申し上げたとおりでありまして、与党の議員の皆様方もやっぱり思い切ってそういう新しい予算の編成の仕組みに取り組むという私は心構えも必要だろうと思うし、従来のしがらみや枠組みの中に縛られては思い切った政治の転換というのはできないんじゃないかなというふうに
考えておりまして、今、議員の御
指摘ありました点などは大変参考になる御意見でして、またこれからいろいろと議論を進めてまいりたいと、このように
考えております。