○岡野裕君 ただいま議題となりました
平成十三年度
予算三案につきまして、
予算委員会における審査の経過及び結果を報告申し上げます。
平成十三年度
予算の
内容につきましては、既に宮澤財務大臣の財政演説において
説明されておりますので、これを省略させていただきます。
平成十三年度
予算三案は、去る一月三十一日、
国会に提出され、二月二十三日、宮澤財務大臣より
趣旨説明を聴取した後、二月二十八日には前参議院
議員村上正邦君に対する証人喚問を行い、衆議院からその送付を待って、三月六日より本格的な審査に入りました。
自来、本日まで審査を行ってまいりましたが、この間、三月十五日には公聴会を、三月十六日には財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団及び報償費問題等に関する集中審議を、さらに三月二十二日及び二十三日午前には委嘱審査を行ってまいりました。
以下、
質疑のうちその主な点について要旨を報告申し上げます。
まず、
森内閣総理大臣の辞意表明報道等をめぐり、「森総理は本当に辞任するのか」等の
質疑がございました。これに対し、
森内閣総理大臣より、「
野党から提出された内閣不信任決議案及び同問責決議案は、連立与党三党によっていずれも否決していただいた。現在は
予算審議の真っただ中にあり、いっときの政治空白も許されぬ重要な時期である。まことに適切な結論であったと感謝申し上げている。今後は、
予算及び関連
法案が一日も早く成立するよう全力を尽くしてまいりたい。また、一部マスコミは、自民党総裁選の前倒し発言について、これを事実上の辞意表明だとする一方的な報道を行っている。しかし、自民党五役との会談で、私は辞意表明などは一切していない。党の五役もそのような理解はしておらない。総裁選に出るか否かは、現時点では申し上げられない」旨の答弁がありました。
次に、KSD問題について
質疑が行われました。
「KSD事件で、小山、村上両前
議員が受託収賄容疑で逮捕されるに至った。総理はこの事件をどのように受けとめているか。また、KSDによる党費立てかえの
実態調査はどこまで進んでいるのか」等の
質疑があり、これに対し、
森内閣総理大臣並びに
関係各大臣より、「今回のKSD事件で、我が党所属
議員から二人も逮捕者が出たことは大変遺憾であり、深刻に受けとめている。今後は司法当局によって真相究明が進められていくものと
考えている。党としても、今回の事件を教訓として思い切った
改革を進めるとともに、改めて政治倫理の確立と政治の信頼回復に取り組んでまいりたい。また、党費立てかえ疑惑については、KSD側がどのように党員を取りまとめていたのか、承知していない。調査は、これを急ぐよう指示している」旨の答弁がありました。
次いで、財政、
経済問題について次のような
質疑がありました。
「
政府は、厳しい財政の
現状をどのように
認識しているか。
平成十三年度
予算のどこに力点を置いて編成したか。また、
我が国の景気は、株価の下落や物価が継続的に下落するデフレの様相を呈し、不良債権処理も思ったほど進まず、一段と厳しさを増している。景気の
現状についてはどのように
認識しているか。また、日銀は昨年、ゼロ金利政策を解除しながら、最近、金利の引き下げを行ったのはどのような
判断からか」等の
質疑があり、これに対し、
森内閣総理大臣及び
関係各大臣あるいは速水
日本銀行総裁より、「
我が国財政は、
平成十三年度末の国債残高が三百八十九兆円、地方債残高は百三十二兆円に達する見込みで、極めて厳しい
状況にある。根本的な財政再建を行うには、
我が国の将来を展望したマクロモデルを作成するなどして、国と地方との
関係及び
社会保障の
負担と給付など、バランスのとれた案をつくらなければならないと
考えている。十三年度
予算は、
我が国経済を本格的な景気回復軌道に乗せるため、三千億円の
公共事業等予備費のほか、総額七千億円の
日本新生特別枠を設けるなど、引き続き景気に軸足を置いた編成を行ったものである。
我が国の
経済は、企業の設備投資が引き続き増加の傾向にあるが、先行き懸念が見られるほか、個人消費が依然低迷を続けるなど、厳しい
状況にある。株安は、銘柄の入れかえや外国人売りも大きな要因と
考える。しかし、株安が
経済に与える影響も大きいので、株価対策については、景気対策の一環として、その
環境整備について今後検討していきたい。物価が二年続けて下落するような
状況は初めてであり、決して正常な
状況とは言えない。しかし、現段階では、景気後退と物価下落の悪循環という、いわゆるデフレスパイラルの
状況ではない。不良債権の処理額は、
平成四年以降今日までに六十八兆円に上るが、新たに発生する不良債権にその処理が追いついていないのが実情である。銀行の金融仲介機能を強化するためにも、直接償却などによってさらに不良債権処理を進めてまいりたい。日銀は、昨年八月、ゼロ金利政策を解除したが、昨年末以降、米国及び欧州諸国で景気が鈍化し始め、各国で金利引き下げの動きが出てきている。グローバル化した
我が国経済は海外の影響を受けやすく、企業及び消費者マインドへの影響を
考え、公定歩合の引き下げ等の
措置をとったものである」旨の答弁がありました。
次に、報償費横領事件についてであります。
質疑の
中心は次のとおりです。
まず、「外務省の要人外国訪問支援室の松尾元室長が、いわゆる
官房機密費の横領事件で逮捕されたことは
国民の大きな怒りと不信を買っている。なぜ六年もの間、不正が発見できなかったのか。外務省の組織ぐるみだったのではないか。報償費の使用については厳正なチェック体制を早急に
整備すべきではないか。報償費は減額修正すべきではないか。外務省から内閣官房に報償費の一部が上納されているとの報道があるが、事実か」等々の
質疑があり、これに対し、
森内閣総理大臣並びに
関係各大臣より、「外務省職員が
国民の信頼を裏切る不祥事を起こしたことは、極めて遺憾である。この事態を厳粛に受けとめ、
国民の皆様に心からおわびを申し上げたい。松尾元室長一人に、六年もの間、総理の外国訪問の際の宿泊費の見積もり、支払い、精算事務のすべてを任せていたことが大きな問題で、残念のきわみである。今回の事件は、松尾元室長個人の犯罪によるものであると
考えている。が、再発防止のために、要人外国訪問支援室の廃止やクレジットカードによる支払いの禁止など、諸
改革を進めている。先般、有識者から成る外務省機能
改革会議を発足させ、現在、精力的に議論を続けている。今後、提言をちょうだいすれば、できる限りそれを生かした
改善策をつくってまいりたい。報償費は、内政、外交を円滑かつ
効果的に遂行するため、その都度
判断して機動的に使用する経費であり、その使途等は公開しないことになっている。しかし、使用に当たっては目的に合致したものでなければならず、また、事後の精算も厳正に行われ、さらに、会計検査院の検査にも十分たえ得るものでなければならないことは当然である。報償費は、積み上げ方式ではないが、この十年ほとんど同額で推移しており、また、国政上も必要不可欠で、現在の
予算額をぜひ維持してまいりたい。なお、外務省報償費が内閣官房に上納されていたという事実はない」旨の答弁がありました。
質疑はこのほか、日米及び日ロ首脳会談の成果、水産高校実習船えひめ丸衝突沈没事故への
対応、有事法制の検討、沖縄米軍基地問題、特殊法人等行財政
改革、
地方分権の
推進状況、規制緩和への
取り組み、医療
制度改革への
取り組みと介護保険の
実施状況、
教育改革及び歴史
教科書の検定のあり方、安芸灘を震源とする地震への
対応など、広範多岐にわたりましたが、その詳細は
会議録によって御承知願いたいと存じます。
なお、三月二十三日、千葉委員より、内閣官房報償費を四分の一に、また外務省報償費を二分の一に、それぞれ削減することを主な
内容とする
民主党・
新緑風会、
社会民主党・
護憲連合及び自由党の共同
提案に係る
平成十三年度
一般会計予算及び
特別会計予算に対する修正案が提出をされ、以後、
政府原案とあわせて修正案
提出者並びに
政府側に対し
質疑が行われたことを報告申し上げる次第であります。
かくて、本日をもって
質疑は終局し、原案と修正案とをあわせて討論を行いましたところ、
民主党・
新緑風会を代表して内藤委員が修正案に賛成、原案に反対、自由
民主党・保守党及び公明党を代表して弘友理事が修正案に反対、原案に賛成、
日本共産党を代表して大沢委員が修正案に賛成、原案に反対、
社会民主党・
護憲連合を代表して照屋理事が修正案に賛成、原案に反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
討論を終局し、採決の結果、まず、修正案は賛成少数をもって否決され、
政府原案につきましては賛成多数をもっていずれも原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
以上、報告を申し上げました。(
拍手)
─────────────