○八田ひろ子君 私は、
日本共産党を代表して、ただいま議題となりました
地方財政計画、
地方交付税法改正案、
地方税法
改正案などについて
質問いたします。
小渕、
森内閣が
景気対策を優先したはずのこの二年半、
国民の暮らしと
日本経済は深刻な事態に陥りました。国がリストラ支援をする中、大企業はバブル期に匹敵する利益を上げていますが、働く
国民の可処分所得は減り続け、二年半前より月二万円も少なくなりました。個人消費も世帯平均で月一万三千円も減り、失業率は四・九%と史上最悪、企業倒産も中小零細企業を中心に最悪になっています。
こうした国の
経済政策の失敗は、
地方の
税収減をもたらし、
地方自治体の困難を一層ひどくしています。今、国がやるべきことは、
危機的な
財政状況の中で、
住民の暮らしや
福祉、
教育を守るため懸命な努力をしている
地方自治体を支援することであります。ところが、あなた方のやってきたことはそれに背を向けることばかりだったのであります。
その一つは介護保険の問題です。
日本福祉大学の近藤助教授の調査では、最低所得層は最高所得層に比べて要介護高齢者が五倍も多いとの結論が出ています。所得が少ないほど介護を必要とする高齢者が多いのです。それなのに、介護保険
制度は所得にかかわらず一割の利用料を徴収するため、低所得者にとって大変な打撃となっています。低所得者に対する
自治体の利用料、保険料の減免に対して、厚生労働大臣は「もう少し推移を見守らせていただきたい」と衆議院本
会議で
答弁されましたが、こんな無
責任な態度は許されません。
住民の声にこたえて低所得者
対策を抜本的に拡充するのが
自治体とともに国の
責任ではありませんか。厚生労働大臣及び総務大臣の
答弁を求めます。
二つ目に子供の問題です。
子供
たちが健康に育つことはすべての親の願いです。その
対策の一つとして、乳幼児医療費無料化のための助成
制度があります。これを全国すべての
市町村で行っているという事実は、
国民の要望の強さを示すものです。例えば六歳までの医療費無料化は、国の
負担を二分の一とすれば一千二十億円で実現できます。乳幼児医療費の無料化を国の
制度として直ちに実現すべきではありませんか。厚生労働大臣、総務大臣の
答弁を求めます。
また、授業がわからない子供、学校がおもしろくないという子供がふえています。基礎学力が身についていないと心配の声も広がっています。その解決のために三十人以下の学級の実現を求める要請・意見書が全国半数近い
自治体から出されています。なぜすぐに取り組まないのか、文部科学大臣、総務大臣の
答弁を求めます。
三つ目は災害
対策についてです。
阪神・淡路大震災から六年、震災前から住んでいた
地域に戻れた方が三、四割台にとどまる
地域も少なくありません。
最大の
原因は、住宅再建を自助努力に任せてきた
政府の姿勢にあります。その後も、有珠山、三宅島、東海豪雨、鳥取西部地震と災害が相次いでいます。鳥取県は、住宅支援に手をつけなければ道路やがけを直しても人が住まなくなるとして、住宅再建に所得制限なしで最高三百万円の支援金を一律に支給しました。住宅を含めた被災者の生活再建に対する公的支援
制度の抜本的拡充は待ったなしです。防災担当大臣、総務大臣の
答弁を求めます。
次に、
危機的な
状況にある
地方財政の再建そのものに対して国がどうかかわるのかという問題であります。
借金返済分である公債費
負担比率が警戒ラインの一五%を超えている
自治体が二千を超え、全体の六割以上になっています。新
年度の
地方財政計画を実行すれば、来年三月には
地方の
借金は百八十八兆円とさらに膨らみます。まさに、
地方財政は
危機的な
状況です。今何より必要なのは、国が
責任を持って道筋をつけることでありますが、提案されている
法案からはその方向が全く見当たりません。
そこで、伺います。
ここまで
地方財政が
危機的
状況に至った
原因は、長引く不況による
地方の
税収減、大企業優遇
減税による
税収減とともに、国による開発型
公共事業の
推進にあったことは今や明々白々であります。
先日、リゾート法第一号として鳴り物入りでつくられた宮崎県の大型リゾート施設シーガイアが、第三
セクターとしては
最大の二千七百億円の負債を抱えて倒産しました。衆議院の質疑の中で
片山総務大臣は、国の
責任という
指摘は当たらないなどと
答弁をされましたが、リゾート法をつくり、全国の
自治体をゼネコン型の巨大
公共事業を
推進する開発会社へと駆り立てた
自民党政治の行き詰まりと破綻は明確であり、その
責任は重大であります。にもかかわらず、無
責任、無反省のまま引き続き中部新国際空港など大型開発の
公共事業推進の誘導を改めないなら、国の
借金とともに
地方の
借金をますますふやし、一層の
財政破綻を招くことは火を見るより明らかでありませんか。総務大臣と
財務大臣の
答弁を求めます。
総務省は、
地方財政が厳しいことを理由に、既に現在でも十万円を超えている高校授業料をさらに引き上げることを初め、
地方自治体の使用料、手数料の引き上げで不況にあえぐ
住民に一層の
負担を押しつけようとしています。しかし、例えば
法人税、法人
事業税の税率引き下げをもとに戻せば一兆三千六百億円の増収になるではありませんか。また、株式譲渡益課税の申告分離の一本化を予定どおりに行うならば年三百億円の増収です。
地方財政が厳しいというなら、なぜこうした大企業、高額所得者優遇税制の是正を行わず、
住民にだけ
負担を押しつけるのですか。総務大臣の
答弁を求めます。
宮澤財務大臣が
地方にも迷惑をかけたという
地方単独事業に思い切ってメスを入れることも急務です。そもそも、毎年多額の計画額を残しているのに、昨年実績に四兆円も上乗せして新
年度十七兆五千億円もの計画とするなど無謀としか言えません。もし、これを実行すれば
地方の
借金はますますふえる仕組みではありませんか。
今回、
財源不足を
赤字地方債で補てんするとしていますが、これは禁じ手ではありませんか。一九七九年二月十五日、当時の澁谷自治大臣は、大蔵省から
財政不足を
赤字地方債で補てんする提案に対し、「
地方自治体の
赤字公債の
発行は法のたてまえからいっても断じて容認することはできない」と明確に拒否されたのではありませんか。その
赤字地方債を今回なぜ認めるのですか。総務大臣の明確な
答弁を求めます。
この
赤字地方債の
元利償還は後
年度交付税で見るとしています。あたかも国が後で面倒を見てやるという態度でありますが、そもそも
交付税は
地方の
財源ではありませんか。それでどうして国の責務を果たしたと言えるのですか。明確にお答えください。
最後に、
市町村合併についてであります。
政府は、
与党合意を受けて、行政
改革大綱の中に
市町村合併の目標
自治体数として一千という数字を盛り込みました。このような
政府の動きに対して、
市町村議会から、強制的な
市町村合併の動きは
住民自治の理念に反するものとして強く反対するとの決議や意見書が寄せられています。
勝手に数値目標を上から設定し、知事に合併パターンをつくらせ、さらに合併促進のための
市町村への勧告権を付与するなど、これではまさに上からの合併そのものではありませんか。これでどうして自主的、主体的と言えるのですか。総務大臣の
答弁を求めます。
与党向けには
退陣表明、外向けには続投ポーズという
二枚舌を使い分け、
国民と
国会を欺く森政権の存在は、
日本の
経済、外交にはかり知れない打撃を与えるばかりでなく、
地方財政をも破局へと確実に導くでありましょう。森自公保政権の一刻も早い退陣を強く求めて、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣片山虎之助君
登壇、
拍手〕