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橋本敦君 今お話しになった前段の話であれば、法制審は要らないことになっちゃいますよ。法務省に頼んで適切に意見を聞いてもらったと。法制審にしっかり審議にかけるということはルールとして大事なんですから、そういうことは、今あなたがおっしゃったように、急いでやるという経済事情があったということならば、それ自体が
一つの問題になるわけですよ。そのことは早くからそういう議論はあったわけですよ。
例えば、経団連は、二〇〇〇年十月十七日に発表した「
商法改正への提言」という意見の中で明確に、「将来の環境変化に備えるなど
経営の選択肢を拡大するため、
目的を限定しない
自己株式の
取得と保有(いわゆる
金庫株)を容認すべきである。」という意見を早く出していますよね。それから、経済同友会も同じく二〇〇一年、ことしの一月十六日に発表した「「
株価対策」についての意見」ということの中で同じように「
自社株の
取得・保有を自由化する。」、このことを主張していますよね。
だから、緊急経済
対策の一環としてこういう財界の意見を入れておやりになったというプロセスはよくわかるんだが、そういう財界の意見は結構緊急性があるということで入れながら、
商法の
根本原則に関するこの問題について法制審で既に、議論が全然なされていないなら別ですが、
一定の議論がなされようとしているときに適当に意見を聞いただけでこれを議員立法で法案化するというのは、私はどう考えても法制審を軽視するというそういうそしりは免れない重要な問題だと思いますよ。
次の問題に移りますが、先ほど
指摘した
商法原則の大転換の問題であります。
先ほど民事局長は、
金庫株解禁に関して問題点を四点挙げられました。記録を見ますと、九七年の
改正のときにも、当時の法務省の濱崎民事局長は
自己株取得規制の
理由があるとして次のように言っておられますね。まず、「
会社の
資本の充実を害し、
会社債権者の
利益を害するおそれがある、あるいは
会社の資産の
健全性を害するおそれがある。また、
取得の
方法、その対価のいかんによっては
特定の
株主を優遇する結果となって、
株主平等の
原則に反するおそれがある。
会社経営者の
会社支配を
維持する
目的に利用されるおそれがある。
取締役等の
会社関係者が
株価操作、
インサイダー取引を行って一般投資家を害するおそれがある。そういうおそれがあるということ」を
指摘して答弁されている。これは、民事局長、先ほど答弁なさったあなたの御認識と変わりはないと伺ってよろしいですね。