○橋本敦君 非常に今の御答弁は、私に言わせれば取引の
実態を深く考えない形式的な法解釈という、法の考え方を先行させた考え方だというように私は思わざるを得ないですよ。
現実の中小
企業あるいはその他商店等の取引というのは長年の取引銀行との間でいろんな蓄積があるんですよ。そういうことの中で、今の不況の中で苦労している中小
企業が正常な
債務、
債権として取引していたものが営業が非常に困難になって支払いが大変苦労してくるという、そういう
実態の中で取引を継続しながら事業を再建したいという努力をしている中で、そういう従来の何年も取引してきた
金融機関との間の取引が切断されて、
サービサー会社へ行って
サービサー会社の係員が取り立てに来る、話しに来るということとなるとこれはもう経営上大変なんですよ。
だから、そういう点についての深い配慮というのはなしに、簡単に法の解釈で
サービサー会社はこれまでもよく考慮していますからという、そういうことだけで判断するのは、軽々にできるような
経済状態じゃないということを私は申し上げたいんです。
週刊ダイヤモンドという雑誌がありますが、この雑誌によりますと、銀行が、本当に
破綻懸念先の
債権はもうこれはバランスシートの関係からいってつぶしたいと思っていると、そういうことがあるんだけれども、その大半の相手が中小
企業だから、最終
処理を強行すればその中小
企業が
倒産するし、失業がはね上がって、そしてデフレ循環にも拍車をかけるという、こういうことで、これは
金融機関にとっても大きな問題だという自覚がなきゃならぬということも書いているんです。私はそのとおりだと思うんです。
それでまた、東洋
経済によっても、上位大手行になると
破綻懸念先の社数は三千社前後に上る、今の不況の中で。その大半は中堅中小
企業だというんです。なるほど、そうでしょうね。大
企業はいろいろあるけれども、
サービサーに
債権譲渡して大
企業が大変なことになるというのは
余り聞きませんよ。やっぱり中小
企業が多くなるでしょう。
そういう状況ですから、中小
企業が
債権回収の円滑化という名目のもとで今の不況の中でさらに一層不況や
倒産に追い込まれるというふうなことにならないようにするのが私は政治の責任だと思うんです。この
サービサー法が特定
債権の
範囲を広げることによって中小
企業に今の
実態から見てそういうような不安や
倒産のおそれ、こういうものを及ぼさないと言えるのかと、こういうことですよね。
不良債権処理によって民間の調査機関でも百三十万の失業が出ると、こう言っていますよ。山家神戸大学大学院教授の試算によれば、百三十万の失業者が出るけれども、その
中身は七万五千を超える中小
企業の
倒産も考えられると、こう言っていますよ。
そういう問題について国会で追及して
質問いたしますと、
小泉総理は、確かにそういうことのおそれはあるが、定量的に申し上げることは困難だと言っておる。なるほど、困難かもしれない。しかし、多くの
倒産や失業がふえることは総理もこれは否定できないことですよね。
そういうことで、今度の
サービサー法の
改正案が中小
企業に一層の負担とそれから
倒産への危険を及ぼすおそれがあるのではないかという私の心配に対して、政治の立場で
法務大臣はどうお考えでしょうか。