○内藤正光君 私は、
民主党・新緑風会を代表いたしまして討論を行います。
教育改革関連三
法案について、会期最終日前日のきょうまで本
委員会において精力的に審議を行ってきました。二週間にわたる審議の中で明らかになった多くの
問題点を踏まえ、私
どもの考えを以下に申し述べます。
第一に、
地方教育行政の
組織及び
運営に関する
法律の一部を
改正する
法律案についてです。
まず、指導が不適切な教員の都道府県への転職の問題です。
審議の中で、指導が不適切な教員として、例えば教える
内容に誤りが多過ぎるといった知識不足や生徒の
質問を全く受け付けないなどの不適切な指導、生徒とのコミュニケーションをとろうとしないといった意欲の欠如など、あくまで例外的な場合に対する措置であると審議を通じて
確認されました。
また、本制度の大前提として、免職と採用は一体のものであり、市町村職員としての免職のみが行われて都道府県職員としての採用がされないという事態がないこと、法の恣意的な適用が決して行われないこと、不服申し立てができることなどについて繰り返し
確認したところであります。
私たちは、指導の不適切な教員が
子供たちに与える
影響の大きさをおもんぱかり、厳格な法の適用並びに適正な手続の保証など、その
運用を監視していくべきことを訴えた上で、この
改正について是認することとしました。
次に、公立高等学校の通学区域に係る規定の削除についてです。
民主党としては、
教育の
地方分権化及び
学校教育の多様化という
観点から、この
改正については賛成でございます。しかし、いたずらに受験競争の激化を招くことがないよう十分慎重に取り組んでいただくとともに、
地域社会と結びついた高等
学校教育が展開できるよう、
地域住民の意向を積極的に反映するよう強く要望いたします。
第二に、
学校教育法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
まず、社会奉仕体験活動の導入についてはさまざまな
議論がありました。私
どもは、学校における体験活動の導入と促進については、知識の量を競うというこれまでの
学校教育の
あり方を
見直し、生徒一人一人の豊かな心や創造力、積極性などをはぐくむという
観点から、基本的に賛成であります。
しかし、社会奉仕などという少々古めかしい
言葉を今さらながら
法改正で使用することに多くの反対意見がありました。奉仕とは献身的に国家社会のために尽くすということであると言われます。しかし、奉仕の意識はボランティア活動などによって十分に培われた後におのずと醸成されていくものではないかと考えます。
学校教育段階においては、まずボランティア活動体験を通じて他者のために役に立つことの喜びや大切さを学ぶことから始めるべきであるとの認識から、衆議院において修正案を
提出し可決されました。修正の趣旨にのっとって、体験活動が
学校教育の場に生かされていくことを強く求めます。
次に、児童生徒の問題行動への対応として
出席停止を
法改正で取り上げた問題であります。
現在も、性行不良で他の児童生徒の
教育に妨げがあると認める者については
出席停止を命ずることができます。今回の
改正により、性行不良の要件、手続等について新たに法で明定することになり、
評価できるものと考えております。しかし、
出席停止は決して当該児童生徒の排除を目的とするものではなく、あくまで学校と家庭、
保護者、そして
地域が一体となって問題解決に取り組むワンステップであるということを改めて申し上げておきます。
次に、飛び入学問題です。
今回の政府
提出の
改正案は、現在、数学と物理の
分野に限定されている飛び入学をあらゆる
分野で可能とするものです。飛び入学については、現在、千葉大学と名城大学の二大学で行われているだけであり、まだ卒業生も出ておらず、その
評価は十分に定まってはいません。そのような中で飛び入学を拡大し、短大を含む全大学、全
分野を
対象に飛び入学を拡大しようとすることはまことに拙速であるとの感を払拭できません。
こうしたことから、
民主党は、衆議院において、飛び入学の
対象となる大学について「当該
分野に関する
教育研究が行われている大学院が置かれていること。」、「当該
分野における特に優れた資質を有する者の
育成を図るのにふさわしい
教育研究上の実績及び指導体制を有すること。」と限定し、短大を除くとともに、その
分野においても受け入れる大学を限定するという、
一定の制限の中で認める旨の修正案を
提出し可決されました。千葉大学における飛び入学についての検証が十分になされていない
状況下においては、本修正により最低限の歯どめはかかったと考えております。
なお、制度の
運用に当たっては、あくまで例外的な措置であること、その
実施に関する指針策定のための全国的な協議の場を設けることなどが
確認されております。
今後、情報公開を徹底すること、そして飛び入学制度に関する実証的な調査研究を継続的に行い、研究結果を広く公表していくことを要望いたしまして、真にそれを必要とする
子供たちのための制度として飛び入学の拡大を是認することといたしました。
第三に、
社会教育法の一部を
改正する
法律案についてです。
本案につきましては、
学校教育法と同様、社会奉仕体験活動の
部分について
民主党提出の修正案が衆議院において可決されました。この趣旨を十分生かし、ボランティアの持つ自発性、自主性を尊重しつつ、その奨励のための条件
整備に努めるよう求めるものであります。
以上、六つの
問題点について私
どもの考え方を示し、
民主党・新緑風会といたしましては、三
法律案に賛成の意思を表明し、討論を終わります。