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衆議院議員(平野博文君) 内藤
先生に答弁をさせていただきますが、まずこの
委員会にまでお呼びをいただきまして大変恐縮に思っております。心から喜んでおります。
まず第一点でございますが、飛び入学
制度に対して修正者としてどのような見解を持っているか、こういうお尋ねでございますが、私
どもも、飛び入学の意義に関しては全面的に否定をする、こういうことではございません。
ただ、我々の
考え方としましては、やっぱり優秀な人物にそれなりの機会を与えるということは
学校教育の中でも必要だと思いますし、逆に学習のおくれがちな生徒には進度に合わせた
指導も必要である。そういう中で、特にゆとり
教育を進めていく中での
学校教育における個別化では対応できないような才能のある生徒に対してはより高度な
教育を求めて上級
学校へ進む道も開かれていかなければならない、こんな
考え方にあります。したがって、特にすぐれた生徒に飛び入学の機会を与えることに対しては十分な意義がある、このようには思っています。
また一方では、かつては年齢ごとにはっきり分かれていました社会的な
役割、活動の区別化は、だんだんと少子高齢という、こういう時代の変化の中にあって流動化しつつあります。将来的には、これらをさらに一層進め、エージレスな社会を目指すべきであると私は
考えています。その中で、いずれは大学も、子供から高齢者まで、あらゆる世代の入学者を区別なく受け入れるようになっていくだろうと私自身は推測をしているわけであります。
しかし、現状においては、発達段階にある高校生を大学に入学させる飛び入学
制度は、心の問題を含めて、本人の予期しないいろんな問題が飛び入学者の負担となるおそれがございます。また、飛び入学は高校
教育制度を混乱させる可能性も含んでいることも私は確かにあると思っています。そうした危惧される点を十分に考慮いたしますと、飛び入学の門戸を拡大することは拙速には行うべきでない、このように私は立場として思っております。
そういう中で今回修正をした
趣旨はどういうことかという
先生の第二点目のお尋ねでございますが、政府から出されました原案どおり、
実施校をすべての大学、短大、専門
学校へ無限定に拡大すれば、先ほど
先生からの御
指摘もありますが、大学等に青田刈りを招き、生徒の受験戦争が逆により激化をしかねない、高校のカリキュラムにまた支障を来したりするおそれがある、こういうことであります。そしてまた、数学、物理の限定を外して全分野に拡大するということは拙速であり、特に当該大学等における高度な
教育研究が行われていないような分野にまで飛び入学を
実施させるべきでないと私は
考えています。
また、特にすぐれた資質を有する者に対して機会を与えるという
制度の
趣旨及び高校
教育を中断して進学するということにかんがみますと、飛び入学
実施に当たり、
教育研究、心身のフォローその他、十分な
指導の
体制が整っていることが必要であります。こうした
指導を行う
体制のない
学校にまで飛び入学を
実施すべきではない、こういう
考え方に立っています。
数年前より、先ほど副
大臣から御答弁もありましたが、千葉大学及び名城大学において物理、数学に限定した飛び入学が先行
実施されていますが、飛び入学した生徒がどのような環境下にあるか、どのような影響を受けているかという検証がまだ不十分でございます。そういう中に対して、飛び入学に対する社会の認知、国民の理解が例外的な
措置とはいえ私は必要だと思っております。そういう
意味での認知は不十分であります。
基本的に、飛び入学の拡大は、これら先行した事例の
評価をきちっとした上でやっていくべきだと
考え、少なくともいろいろな懸念を踏まえて慎重に
実施すべきであると
考えておりました。しかし、
文部科学省の方針は、十分な検証、
評価が今、現段階でない中で、各
学校の自主的判断に運用が任される、こういう域にとどまっておった、そういう視点から、必要な限定を加えていくためには
法案自体を修正する、しなきゃならない、こういうことで修正協議に入った次第でございます。
そこで、当該大学の定める分野に関する
教育研究を行う大学院が設置されていること、かつ当該分野における特にすぐれた資質を有する者の育成を図るにふさわしい
教育研究上の実績及び
指導体制を有する大学に
実施を限定するように、法文に修正を加えた次第でございます。
最後に、いろいろ
委員御
指摘の懸念もあるわけですが、多少ダブるかもわかりませんが、危惧される点でございます。
まず、一人一人にふさわしい
教育を受ける機会を保障するという
観点からの意義であります。そういう視点では飛び入学というのは本当にそれに合っているのか、こういう点が危惧されるわけでありますが、先ほど申し上げましたような
観点から、それも了解をしていこうということでございますが、飛び入学についての
実施する
学校及び分野を限定、修正する、こういうことでありましたが、分野を限定するというのが本当にこの飛び入学
制度に対していいのか、こういうことも一方では大いなる議論があるところでございます。しかし、限定したところで、しなくても本当に成果が生まれるのかというところが十分に検証されていない、こういうところは
一つ危惧されるところでございます。
また、その子供の人生にとって大きな影響を与える、こういう視点から見ますと、その年代の子供が急激な成長発達段階にあることを
考えますと、慎重な運用をしていただきたい、こういうふうに
一つ危惧するところであります。
また、そのためには、特にすぐれた資質の発見、飛び入学後の
指導のあり方などについて、生徒の出身高校と十分な連携をとっていただきたい、また連携をきちっと確保すべきである。また、受け入れ大学には慎重な選抜
指導が求められるとともに、
実施の
状況をきちっと点検、
評価していただきたいと思いますし、第三者がきちっと検証、公表していただかなきゃならない、このように思っております。
したがって、この点を
考えますと、特に高等
学校と大学との連携をより一層進めてもらう、こういう
制度評価システムをきちっと今後確立していきたいということと、最後に、その子供が飛び入学後に、どうしてもその大学になじまないとか、あるいは人生の進路を変えたい、こういうときに、今の
制度でいきますと高校中退という資格しか与えられないわけでございます。しかし、飛び入学されるほどの方でございますから、やっぱり高校の卒業資格ぐらいは与えていくようなことも
考えていかなきゃならない、こういうふうに思います。
以上でございます。