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阿南一成君
遠山大臣の前向きの御答弁、ありがとうございます。
サッカーくじについてはできる限り
文部科学省当局で予算を措置していただくということでありまして、もし措置されなければ知恵はあるぞと、こういう
意味でありますので、スポーツ
局長、そう心配しなくてもいいと思うんですがね。できるだけ概算要求に向かって頑張っていただきたい。私らもそれなりに応援をいたしたいと思います。
次は、刑法改正について少し触れてみたいと思います。
新聞
報道によりますと、今回の
事件の被疑者は過去に傷害
事件を起こし、その際、責任能力がないと精神保健福祉法による措置入院の行政処分を受けておったわけでありますが、わずかの期間で退院をして
社会に復帰しておった、そして今回このような大
事件を引き起こしたということであろうかと思います。
この
事件における容疑者の刑事責任能力の有無につきましては今後の検察当局の判断にゆだねられておるわけでありますが、その動向には極めて
国民は関心を持っておると思います。もちろん、この
事件と精神障害者の問題を直ちに結びつけることには慎重でなければならないというふうに私も思います。しかし、一般的な問題として、この
事件が二度と起こらないように、またこの種の
事件に不安を抱く
国民のためにもやはり手を打つべきであるというのが私の立場であります。
精神障害者の再犯防止については、法務省がいわゆる保安処分の立法化を
検討したことが過去に二度ほどあるのを承知いたしております。しかし、そのたびに、医療の充実が先決である、あるいは人権上の問題が大きいなどの批判を受け、断念をした経緯があります。今や保安処分については口にすることすらもタブーとする
関係者もいるとの
報道もありました。
法務省と厚生労働省においては、既に本年一月から、
重大事件を起こした精神障害者の処遇などについてワーキンググループをつくり
検討を始めていると承知をいたしております。今回の
事件の重みをしっかりと受けとめ、それぞれの立場を超えた踏み込んだ議論が行われることを多くの
国民の皆さんが期待しておるところであろうと思います。言ってみれば、爆弾をお互いに押しつけ合うように批判を恐れて踏み込んだ議論を行わず、問題を先送りするというようなことは断じて許されないと私は思っております。
今、
国民が求めていることは、問題先送りによる現状維持ではなく、早期かつ具体的な
対応、すなわち思い切った決断ではなかろうかと思うのであります。そうであるからこそ、小泉総理も、この
池田小学校事件発生と同時にあのように刑法改正、保安処分にまで踏み込む勢いでの前向きの発言をされたものと理解をいたしております。
遠山大臣においても、法務省等の問題として傍観するのではなく、大切な
子供を預かる
教育現場の最終責任者として、二度とこのような
重大事件が
発生することのないよう早急な立法的手当てを強く求めていくべき立場であると私は
考えております。
次に、
事件を起こした精神障害者の処遇を話し合う法務省と厚生労働省の合同
検討会が六月十二日に開かれたと新聞に
報道されております。その
会議の冒頭で法務省担当者が、大阪池田市の
児童殺傷
事件については、
事件と精神障害者問題を直ちに結びつけることは慎重にとくぎを刺す発言をしてこの
会議はスタートをしたと新聞では
報道されております。この法務省の担当者というのは一体だれなのか。そして、その人の見解は法務省としての
考え方なのか。もしそうであるとすれば、過去二度にわたって法務省は保安処分導入を含む
改正案をまとめながら、人権上問題だとする精神科医や弁護士の反対で刑法改正を断念したときの法務省の
考え方と変わってきているのかいないのか。それはなぜか。そして、もし仮に
報道がミスリードであるとするならば、マスコミに対して抗議をしたのかどうか。法務省の責任ある刑事
局長に答弁を求めたかったのでありますが、刑事
局長は法務
委員会に引っ張られるということで、
文部科学委員会としては
審議官に
お答えをいただければいいと思います。
なお、坂口厚生労働
大臣は記者会見で、罪を犯した精神障害者への
対応をめぐり、
事件があると専門家がそれぞれの立場でさまざまな
意見を出すので、その均衡をはかって現状維持となる結果が続いてきた、
国民はこのままでいいのかという気持ちを持っていることは間違いない、我々は何らかの形で改善する必要があると述べ、政治主導で現状を変えることに意欲を示したと
報道は伝えております。
閣法による刑法改正となりますと、法制審による長期の
検討が行われ、人権派の学者、弁護士などの
意見が大勢を占め、結局何らの
対策も行わず問題が先送りされてきたのがこれまでの現状であろうかと思うのであります。しかし、前国会の少年法の改正におきましては議員立法でいきました。少し粗削りでありましたが、
国民の皆さんのニーズにも的確、適合にこたえられたと私は判断をいたしております。
法務省としては、もし仮に刑法改正について議員立法による
対応を我々政治家が打ち出すとするならばどのようなお
考えであろうか、お伺いをしておきたいと思います。そして、今回の
事件を受け、法務省としては今後どのような
対応なり立法措置をしようとしておるのか、その辺もあわせてお願いをいたします。
仮に
法案化するという場合には法制
審議会に諮問することになると思いますが、その場でこれまでと同じような議論が起こり、またしても問題の先送りになるようになっては、今求められている
国民のニーズに対する早急な
対応ではないということを念を押しておきたいと思います。その際は議員立法ということであろうというのが私の持論であります。
そして、治安維持に最終責任を持つ法務省においては、
国民の声に真摯に耳を傾けて
対応する責任のある官庁、最終的治安維持官庁だと思っております。もし仮に法務省が泥をかぶることを避けて責任回避の姿勢をとるとするならば、まじめな多くの
国民の怒りは爆発し、私的制裁、リンチの衝動が渦巻き、法秩序の維持が困難に陥ることを心配するものであります。法務省には、法匪あるいは曲学阿世のそしりを招くことのないよう勇気ある判断を求めたいと思います。
私は、六月十二日、
会議冒頭の法務官僚のくぎを刺す云々の発言がマスコミの伝えるごとく真実であると仮にするならば、坂口厚生労働
大臣の記者会見での発言がよほど多くの
国民の皆さんの気持ちを十分にくみ上げ理解をしておるものと
考える次第であります。法務省としては、
国民の求めに応じて粛々と立法措置を講じていくべき重要な時期であろうと思います。
事件現場の生々しい修羅場のような
状況を聞くにつけ、法務省の担当者にはいろいろと力こぶを入れてお聞きをしたところでありますが、要は法務省は今後どのような
対応方針で臨まれるのかということについて簡明に
お答えをいただければありがたいと思います。