○
国務大臣(
町村信孝君)
学校の果たす
役割、時代時代によって確かに大きく変わってくるんだろうと思います。ただ、変われるものと変わらないものもあるんだろうなと、こう思っております。
学校にどういうことを期待するのか。
一つは、やはり先人の築き上げた
知識あるいは知恵、そうしたものをしっかり次の世代に伝えていくという
部分があるんだろうと思います。
それと同時に、やっぱり
一つの場としての
学校を考えたときに、
知識の伝達だけなら場合によっては、ある
部分だけをとれば、インターネットで個別
学習をやっていけばある程度のことはできるようになるかもしれません。ますますインターネットが進めば、言うならば個人教授的な感じでプログラムに従ってインターネットでどんどん
勉強していくということがだんだん私は広がってくるんだろうと思います。
じゃ、インターネットでもう全部
学校は要らなくなるのかと。やっぱりそうではないんだろうと思います。やはりそこには
先生というものがあり友達というものがあり、また大勢の人たちがかかわりを持ってでき上がっている
学校という場でありますから、そこでのやはり切磋琢磨とかディベートをするとか、なかなかインターネット、まあ将来コンピューターがうんと進んでくればディベートもできるのかもしれませんが、ディベートはなかなか、やっぱり
学校という場でしかできないだろうと。
やっぱり
先生から見て、この子にはこういうすぐれた能力があるからそれを引き出していこうという、潜在能力を大いに開花をしていくといったような、そういう多面的な
部分があるんだろうなと思います。
それから、やはり一人で家にこもっていてできないのは、多分、先ほど
委員から御
指摘のあったいろいろな体験活動、奉仕活動等、あるいは道徳
教育などで、心の豊かさというものをはぐくんでいくというようなこともやはりこれからの
学校の中では引き続き、あるいはこれからますます重要になっていくんじゃないのかなと、こう思ったりしております。
ただ、昨今、よく若いお父さん、お母さんが、保護者の方が、うちの
子供は何にもしつけていないから
先生しっかりしつけてちょうだいねと言って
子供を
学校に連れてくると。見ると、本当にしつけていないなと。しかし、社会の、どう言うんでしょうか、極めて人間として
基礎的な
部分はやっぱり
小学校とか幼稚園に入る前にはしっかりと家庭でやっておいてもらいたいと、ここまで、のどまで出るんだけれども、
現実の
子供を見ると言えなくて大変悩む
先生方もいらっしゃるようであります。
やはり私は、だからといって何からかにまで全部
学校に期待をし過ぎるというのもまた行き過ぎであって、やはり家庭は家庭で、確かに家庭のしつけなどというものも最近とんと言われなくなってきておりますけれども、やっぱり私は家庭の
教育力をいかに
向上させていくのか、若いお父さん、お母さんたちにどうやって
子供を育てるということを考えながらやってもらうのかということは大変重要な課題であって、何でも、そこまで、しつけまで全部
学校というのは、私はある
意味では求め過ぎではないのかなという
部分もあろうかと思います。
したがって、家庭
教育手帳、家庭
教育ノートを、母子保健と一緒に手帳を渡して、あるいはこれからは子育て講座などもやって、やっぱり子育てを、特に妊娠をした瞬間から
子供に対する
教育が始まるという
意味での家庭
教育が非常に重要だし、また、家庭以外の面でも、例えば
地域社会における
教育というものもだんだんまた今見直されつつあると思います。
そういう
意味で、すべてを
学校に頼ってはやっぱりいけないんだろうと思ったりもします。しかし、
学校の果たすべき重要な
役割というのはこれからも、先ほど申し上げたような面で多々あるというふうに思っております。
それから、私学のお話がございました。
現実、今、私立の
小学校に通っている
生徒さんは〇・九%、私立の中
学校に通っているお子さんが五・七%ということで、確かにその
比率は大変少のうございます。
子供の数が今減っている中でありますから、私はこういう
状況の中でどんどん私立の
小中学校がふえていくだろうかというと、大学だって、こんなに
生徒の数が、十八歳人口が減っているときに私学の窓口がここ何年間ずっとふえ続けるというのは、私は率直に言って私学の経営者の方々は何を考えているんだろうかと思うこともあるのでありますが、それはそれとして、いろんな機会がふえるというのはいいことなので、一概には言えないかもしれませんが。したがって、どんどんできるかどうかわかりませんけれども、しかし、つくりたいと思う人にとってつくれる道は常に開かれていることは、これはいろいろな選択肢が広がるという
意味で大切なことだろうと思います。
そこで、
小中学校の設置
基準というのが実はないのでありまして、それを今回、二十一世紀
教育新生プランの中でもうたっておりますけれども、
平成十三年度中にこの設置
基準の策定をしようと、今年度中に。そして、その
基準を明らかにすることによって、私立の
小中学校もつくりたいというときに、ああそうか、そういう
基準でつくれるんだということがはっきりするということは大切なことだと思っておりますので、これをやっていきたいと思います。
最後に、私学の
役割、特に私学助成をどう考えるのかという御
指摘がございました。
私は、
公立の
学校も大変大切だし、しかし同時に、いろいろな選択肢がある、特色のある
学校、
公立も特色のある
学校にこれからはどんどんなっていってもらいたいと思っておりますが、やはり私学はもともと建学の精神というものがあってやっているわけでありますから、そういう
意味での私学助成。なかなかこれも財政が厳しい折でございますから、私学の皆さんの御期待どおりの予算
配分ができていないのは事実でございますけれども、苦しい財政の中ではございますけれども、一生懸命私学助成も鋭意拡大に努力をしているところでありまして、これからもまた私学の皆さん方が伸び伸びとした
教育ができるようにできる限りの助成を拡充していきたい、かように考えているところでございます。