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大臣政務官(
水島裕君)
松村先生、
質問していただきましてどうもありがとうございました。最後の倫理面は
大野副
大臣が多分
お答えいただくと思いますので、その前の二つに関しまして、ではまとめて
お答えしたいと思います。
委員の方々も御存じのように、結構
日本も頑張ってきたわけであります、やや不満なところがございますけれども。今御
質問の今までのヒトゲノム
計画というのは、シークエンス、順列の解析というふうに理解させていただきたいと思いますけれども、それに関しましても、よく御存じのように、例えば慶応大学の清水教授は二十二番目の染色体の解析をしましたし、それから理研の榊さんは、これは東大の医科研と共同ですけれども、二十一番目の染色体のシークエンスの解析をしたということで結構頑張っているんですけれども、トータルで、今、先生量と
科学的というふうにおっしゃいましたけれども、量ということですと六対三対一ぐらい、今までの世界の貢献度。アメリカが六、それからヨーロッパが三、
日本が一と、大体そんなぐらいであります。でも、この数字は大変私、我が省にとっても不満でございまして、
日本はもっとできるべきだと思います。
そこで、多少反省ということになると思いますけれども、例えば一九八六、七年だったと思いますけれども、今横浜の理研のゲノムセンター所長をしている和田先生という方が国際学会なんかでシークエンスを自動的にやれやれということを随分提案して、
日本にも提案したわけでありますし、また松原謙一先生という方がいらっしゃいますけれども、その方も一生懸命言った。だけれども、余り国として十分それを取り上げなかった。取り上げていればもう少しできたんではないかという反省点もあるわけでございますし、松原先生なんかは、しょっちゅうお会いしますと、何か百万円ぐらいしか文部省は
研究費をくれなかったとかと言っております。でも、そういう多少問題のある、だけれども恐らくやむを得なかった事情でそういうことになったと思います。
それからもう
一つが、シークエンサーというので配列を見ているんですけれども、これも日立ともう
一つ別な会社が試作品までつくったんですね。これ一九九〇年だったと思いますけれども、つくりまして、ですから
日本もそれでばあっとやればもっと早くできたんだけれども、これも国の
責任も多少あるかもしれませんけれども、それがうまくできなかったということであります。
そういう反省材料を生かしまして、
日本は一度軌道に乗るとうまいんですけれども、出だしのいいものをキャッチするというところが下手なわけでございますので、今例えば再生医学あたりでも
日本で欧米をしのぐようないい芽が出ているんですけれども、そういういい芽がありましたらぜひ我が省としましても、
文部科学省としましても積極的にそういうのを進めるようにこれから反省点を踏まえてやっていきたいというふうに思っております。
それから、
科学的にどういうふうに貢献したかということが、今のもそれに入るわけでございますけれども、もう少し具体的に申し上げますと、アルツハイマーとかダウン症候群というのがあるんですけれども、その遺伝子がどこにあるかという、特定するといいますけれども、それが
日本で行ったということと、もう
一つたんぱくを合成するのには、ちょっと難しいですけれども、完全長cDNAというのがあるといいんですけれども、そういうシークエンスに関しましては
日本がトップぐらいということで、結構いろいろ貢献もしているわけでございます。
それから、次の
お答えに入りたいと思いますけれども、今までそういうことでシークエンスの解析、塩基がどういうふうにどういう順番で並んでいるかというものの解析は
日本は随分実力以下の成績だったんで、これからはポストシークエンスでは頑張っていかなくちゃいけないということで、これは今は改組しましたけれども、昨年末の
科学技術会議でもその
戦略は十分練っているわけであります。
そのポストシークエンスとしましては何が重要かといいますと、まず第一は、これ御
質問が医学というようなことをおっしゃいましたのでそちらで言っておりますけれども、きょう
お答えする医学以外には食料、例えば菌に強い植物とか
環境問題にもこのポストシークエンスは非常に重要な
役割を果たすわけでございまして、時間がありましたらそれについても
お答えしたいと思いますけれども、一応御
質問のように医学に限っていきますと、ポストシークエンスで一番大切なのはたんぱくの構造決定とその
機能の解析なんですね。ポストシークエンスで見つかったたんぱくがどういう構造をしているかというのをはっきりつかまえないと、その後の応用ができないということなんです。
たんぱくの構造は、ちょっと専門的になりますけれども、普通どういうふうにするかと申しますと、
一つがエックス線解析、もう
一つが核磁気共鳴を使う方法。エックス線解析は
日本の兵庫県にSPring8というのがあって、これがもう物すごい強力なものなんですね。アメリカにはSPring7で、ヨーロッパはSPring6だと思いましたけれども、つまり
日本のエックス線解析
技術が世界一である。
それからもう
一つ、核磁気の方はNMRというのでやっているんですけれども、これは横浜の理研に世界一のものが、大きなものができた。つまり、液体の中に溶けていても構造が調べられるようなものができたということですから、とにかくハードは
日本が一なんです。あとはいかに運用するかということでありまして、今の
文部科学省あるいは
科学技術会議の
予定ではシークエンスの方は六対三対一だったけれども、たんぱくの構造解析は少なくとも三分の一は
日本でやろうというふうに考えております。
しかし、たんぱくの構造がわかっても、これが実際に
実用化しなければ
意味がないわけでございますので、その後のたんぱくの
機能を調べるとか、それを
実用化に結び
つけるということも一生懸命やろうと思っております。
それから、ポストシークエンスとして第二番目はオーダーメードの医療でございまして、これはシークエンスのわずか
一つが違っている、これはSNPと言うんですけれども、これを調べますと、この人はどういう病気になるのか、薬を使うと副作用が出るとか、どのくらいの量で済むかとか、そういうことがわかるわけでございますが、そのSNPを
日本で中心に行って、オーダーメードの医療を
日本から発信できたらというふうに考えているわけでございます。
以上でございますけれども、我が省としても今省内で
検討していることは、今までは
技術の
開発あるいは
研究というのは
文部科学省、いいところまでいきましたら
審査なんかは
厚生省がする、それから大量に物をつくるのはベンチャーとかあるいは製薬会社がつくる、そういうふうになっておりますけれども、その
連携がどうも今までうまくいかなかったということで、先ほど
大野副
大臣もおっしゃっていましたけれども、これからは
技術の
開発と同時に、その後がうまくつながるように
厚生労働省とも相談しながら一緒にやっていくというふうなことを、
文部科学省あるいは
町村大臣も含めた五人
会議というのをやっているんですけれども、そういうところで十分話し合っているというところでございます。
以上でございます。