○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。
最後でございます。
林野庁長官に大分
質問が集中しておりまして、お疲れでしょうけれ
ども、なるべく細かいことは聞かないつもりでおりますので、
答弁書を余り見られないような
質問にしたいとは心がけるつもりですので、気楽に御
答弁いただけたらと思っております。
今回、この
林業基本法といいますか、ある面でいきますと、私の感想ではちょっとやっぱり遅過ぎたんじゃないかなという、こういうものはもっと早くつくるべきではなかったのかなというような気がしてならないわけでございまして、といいますのは、もう
森林に対する
国民の関心というのは随分前からあったんですね。私などは、
森林を担当いたしましたけれ
ども、直接的な関与は余りなかったものですから、逆に言いますと、
森林関係は何でこの追い風を、
小泉総理の内閣の追い風と一緒かもしれませんけれ
ども、なぜこれを利用しなかったかなというぐらい不思議に思えたわけでして、そういう
国民的な支持があれば今までにもう既に随分やれたんじゃなかったか。こういう
多面的機能をきちっと出して、
国民が
期待しているのは結局、
多面的機能だと
思いますので、その辺から、何か遅過ぎたんじゃないかなという感想を持っているわけでございます。
〔
委員長退席、理事
岸宏一君着席〕
私なりにそれがどうしてかなという疑問を考えますと、やっぱり
林野庁はどうしても
林業に、
森林というよりもむしろ
林業に最後まで目を見詰め過ぎたといいますか、ずっと
林業に偏り過ぎたところがあるんじゃないのかなと。ということは、
森林という面でとらえるとなかなか難しい面もあって、
林業という面の方が考えやすかったからということもあるかもしれませんが、そういうところから今こういうものに至ったというのが、遅きに失した、失してはいませんけれ
ども、遅くなったんだなというような気がするわけでございます。
そこで、私も
地方行政の中で
林業に携わった人間でもございますので、そういう面でこれからの
森林施策の展開の仕方について私なりの意見も含めて申し述べさせていただきたいんです。
要するに、
森林といっても非常に、
林業と言うと話が非常にごっちゃになるんですね。ということは、何といいますか、
森林というものを一言でなかなか言いあらわせない、
森林というのはいろんな要素から成り立っているからではないかという気がいたします。
一つには、地域性をとりましても、どこの地域も
森林資源に恵まれているわけじゃないわけですね。私の県、石川県ですけれ
ども、石川県なんというのは、歴史的に勉強しますと、どっちかというと余り恵まれていなかったんじゃないのかなと。前田藩のときに七木の制というのがありまして、七種の材木は切っちゃいかぬというような制度で
森林を保護したというような、そういうこともございますし、私の知っている限りでは、例えば三重とか和歌山とか、岐阜もそうでしょうか、大分とか、北に行けば秋田とか、青森もそうですか、そういう恵まれたところもありますし、そういう面でいろんなやり方が違う、つかみ方が違うんだと思うんですね。
それから、樹種
一つにしても、針葉樹でも違うでしょうし、広葉樹にしても、大体
日本の半分から南の方はいわゆる常緑照葉樹といいますか、常緑樹が中心ですよね。これによって山地の土壌もほかの北の落葉樹のところとも随分違うという、いろんな面があると思うんです。
それから、
森林の関係者について見ましても、例えば
森林の所有者、これは
昭和二十年、三十年、建築ブームのころは忙しくて、
林業に物すごく集中された時期があったかもしれませんけれ
ども、私がお聞きしたところでは、
森林、
林業といいますか、それは所有者にとっては貯蓄だと。よく言われると思うんですけれ
ども、いわゆるお金があって暇があるときに蓄えておいて、いざお金が必要なときにそれを切ると。したがって、その中間、毎日毎日飯を食う種ではないわけですね。それに比べて、一方の
林業労働者にしてみれば、これは毎日生活しなきゃいけない。行政の立場はその両方をうまく調整してといいますか、そういう両方のために
施策をしながら、ある
意味では国土資源という
観点からやっていかなきゃいけない。そういう思惑も随分違うと思うんです。
そういう
意味で、私はこの際、
林業のこれからの
施策を進める上では、ひとつしっかりと
森林の現状をつかまえるということが大前提じゃないのかなというような気がいたします。ということは、例えば人工林として、
林業としてやっていくところ、それからいわゆる保安林にもなるでしょうし、あるいは広葉樹林で、いわゆる多面的利用といいますか、そういう面の要素が多い地域、そういうものをきちっと分けて考えなきゃいけない時期に来ているんじゃないのかなという気がいたします。
それは、
一つには、
日本の国土という面から見ても、
都市は
都市計画法でそういうものをやっているわけですよね。その外側の農地は、農振法で一応土地利用の形態をとらまえて規制をしているといいますか、そういうもので計画的にやっている。それがもうそろそろ
森林に広まってきたんじゃないのかなという気がするんです。
そういう面からも、土地利用分類といいますか、そういうものをしっかりとつかまえなきゃいけないんじゃないのかな、それによって
施策を立てていかなきゃいけないんじゃないのかなと思っているわけで、これはかねて、こういう場ではないんですけれ
ども、前の
林野庁長官とも随分
議論をさせていただきまして、ある
意味では合意点も得たと私は思っておりますし、今回の法整備も恐らくそういう要素はきちっと入っていると思うんですけれ
ども、そういう面からしっかりと法的に整備して、そういう
森林の分類といいますか、そういうものを進めていくことについて
林野庁はどういうふうにお考えか。