運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2001-03-22 第151回国会 参議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年三月二十二日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十六日     辞任         補欠選任      菅川 健二君     和田 洋子君  三月二十一日     辞任         補欠選任      谷本  巍君     三重野栄子君  三月二十二日     辞任         補欠選任      三重野栄子君     谷本  巍君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         太田 豊秋君     理 事                 金田 勝年君                 岸  宏一君                 三浦 一水君                 郡司  彰君                 谷林 正昭君     委 員                 岩永 浩美君                 国井 正幸君                 田中 直紀君                 中川 義雄君                 森下 博之君                 羽田雄一郎君                 和田 洋子君                 風間  昶君                 渡辺 孝男君                 笠井  亮君                 須藤美也子君                 谷本  巍君                 三重野栄子君                 岩本 荘太君    国務大臣        農林水産大臣   谷津 義男君    副大臣        農林水産大臣  田中 直紀君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       国井 正幸君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 榮司君    政府参考人        外務省経済局長  田中  均君        文部科学省高等        教育局長     工藤 智規君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        長        遠藤純一郎君        厚生労働大臣官        房審議官     三沢  孝君        農林水産大臣官        房長       田原 文夫君        農林水産省総合        食料局長     西藤 久三君        農林水産省生産        局長       小林 芳雄君        農林水産省経営        局長       須賀田菊仁君        農林水産省農村        振興局長     木下 寛之君        食糧庁長官    石原  葵君        林野庁長官    中須 勇雄君        水産庁長官    渡辺 好明君        環境省環境管理        局水環境部長   石原 一郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十三年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十三年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十三年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (農林水産省所管及び農林漁業金融公庫) ○農林水産に関する調査  (平成十三年度の農林水産行政基本施策に関  する件)     ─────────────
  2. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日、菅川健二君が委員辞任され、その補欠として和田洋子さんが選任されました。  また、昨二十一日、谷本巍君が委員辞任され、その補欠として三重野栄子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 太田豊秋

  4. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 去る十九日、予算委員会から、三月二十二日の一日間、平成十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  まず、谷津農林水産大臣から説明を求めます。谷津農林水産大臣
  6. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 平成十三年度農林水産予算概要を御説明申し上げます。  平成十三年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係省計上分を含めて三兆四千三億円となっております。その内訳は、公共事業費が一兆七千四百億円、非公共事業のうちの一般事業費が九千六百五十一億円、食料安定供給関係費が六千九百五十二億円となっております。  平成十三年度の農林水産予算は、新たな基本法に基づく食料農業農村基本計画を受けた初年度予算であるとともに、林野水産分野においても新たな基本政策具体化を図るための予算であることを踏まえ、食料自給率向上対策等思い切った予算配分を行うなど、新たな政策展開に即して編成いたしました。  以下、予算重点事項について御説明いたします。  第一は、食料農業農村基本計画推進であります。  食料安定供給確保農業の持続的な発展及び農村振興といった基本計画の基本的な理念に即した政策展開を図ってまいります。  食料安定供給確保関係では、まず、食料自給率向上に向けて消費生産両面からの取り組みを強化する観点から、望ましい食料消費の実現に向けた食生活指針普及定着を図るとともに、麦、大豆、飼料作物生産の拡大、定着を目指した生産対策水田汎用化畑地かんがい等重点的に推進してまいります。  また、ITの活用により農業生産経営高度化食品流通効率化を図るなど、農林水産分野におけるIT革命を積極的に推進するとともに、食品の売れ残りや食べ残し等の食品廃棄物家畜排せつ物リサイクル対策を強化いたします。  次に、農業の持続的な発展関係では、まず、総合的な経営対策展開を図る観点から、意欲ある担い手に対し、経営診断をもとに、経営状況に応じた低利融資等のきめ細かな経営支援対策を講じてまいります。  また、農業者年金制度については、制度抜本的改革を行い、食料農業農村基本法理念に即した政策年金として再構築してまいります。  さらに、技術開発重点的推進を図る観点から、イネ有用遺伝子機能の解明や活用等イネゲノム研究強化等を進めてまいります。  次に、農村振興関係では、地域住民を初め多様な主体の参画を得て策定された基本計画のもとで、農村地域情報化高齢者の福祉の向上など、地域の多様なニーズに対応した整備を総合的に実施してまいります。  また、昨年創設した中山間地域等直接支払いの着実な推進により、中山間地域等における農業生産条件の不利を補正し、多面的機能確保してまいります。  さらに、都市農村交流を一層促進するため、農業農村体験活動を支援するとともに、緑豊かな田園滞在空間の創造や都市住民にやすらぎの場を提供する市民農園整備推進してまいります。  第二は、森林の多様な機能を持続的に発揮させるための新たな森林林業木材産業政策推進であります。  成熟期を迎えつつある人工林整備の新たな方向として、抜き伐りを繰り返しつつ徐々に更新を図る長期育成循環施業等の導入を図るとともに、崩壊等が発生するおそれのある保安林等について治山事業等公的関与による森林整備推進してまいります。  また、森林の適正な管理を図るため、多様な担い手育成し、これらの者へ経営、施業を集約化するとともに、木材品質確保が緊急に求められている中、国産材利用を促進していくため、乾燥施設整備乾燥技術普及等により乾燥材供給体制を緊急に整備いたします。  さらに、国有林野事業の抜本的な改革について、引き続き着実な推進を図ってまいります。  第三は、新たな水産政策方向に沿った資源持続的利用推進水産業漁村活性化であります。  国連海洋法条約の締結や韓国、中国との新たな漁業協定の発効等本格的な二百海里時代の到来を踏まえ、漁業担い手確保育成を図るための青年漁業者中心としたグループの創造的な取り組み等を支援してまいります。  また、資源管理等の課題に対応した漁協の組織事業再編を進めてまいります。  さらに、効率的、効果的な水産基盤整備漁業地域振興を図るため、漁港漁村整備事業沿岸漁場整備開発事業水産基盤整備事業再編統合し、漁港漁場漁村整備を一体的に行ってまいります。  次に、特別会計については、食糧管理特別会計等について、それぞれ所要の予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画については、農林漁業金融公庫による財政融資資金等借り入れ等、総額三千五百四十六億円を予定しております。  以上、平成十三年度農林水産予算概要説明を終わります。  ありがとうございました。
  7. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 郡司彰

    郡司彰君 民主党・新緑風会の郡司彰でございます。  大臣にはさきに所信を説明いただきまして、まずそれの質問をするのが順序だと思いますけれども、きょうは前例にしないという形、日程の中でのことでございますので、委嘱について質問をさせていただきたいと思っております。  まず、一月六日に省庁再編、所によりましては統合ということもあったわけでございますけれども農林水産省につきましては再編に伴う統合というものはございませんでした。そのことによって、これまで農水省として行ってきたことを振り返りながら、しなかったということについてのメリットというものがあるんでしょうか。ありましたらばお話しをいただきたいと思います。
  9. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生が御指摘のように、農林水産省といたしましては統合はございませんでした。しかし、農林水産省組織につきましては、食料農業農村基本法に対応いたしまして食料政策、それから農業政策、また農村政策のそれぞれを効率的に推進していくことが非常に大事だという観点から、内部部局を、前は一官房五局だったものを一官房四局、そういうふうに再編しまして、総合食料局生産局経営局農村振興局として本年の一月六日から抜本的に再編をしたところであります。  食料自給率向上に関しましては総合食料局が担当するなど、二十一世紀における新たな農政展開とこれに応じた組織体制整備を図りまして、農林水産省としてはその任務を達成するために一丸となって取り組んでいるところでございます。  特に新しい基本法は、農業関係者だけではなくて、商社あるいは国民一般、そして食品産業関係者にも理解をしていただく必要がありまして、生産消費との共生という考え方のもとで各般の施策の積極的な展開に努めていきたいというふうに考えております。
  10. 郡司彰

    郡司彰君 メリットということでお話をいただきました。  ほかのところが、時代の要請もあったんだと思いますが大幅な再編統合があった。農林省としてはこれがなかったということについて、何かデメリットと思われるようなことはございますでしょうか。
  11. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 私は、そのデメリットがあったというふうには思っておりません。むしろ、新たな農業の、あるいは林業、それは水産業も含めて同じでありますけれども環境との関係というのも非常に重点を置きまして、そういう中で新たな展開をするのには、今度のこの再編というのは非常に私は効率のある作業ができるというふうに思っております。
  12. 郡司彰

    郡司彰君 実は昨日、ヒアリングを行った際に、おおよそ今のようなメリットデメリットについての答弁があるのかなというふうに私自身も考えておりました。といいますのは、私自身の中には、メリットデメリットというような言い方しかしておりませんのでそのような答弁になるだろうと。  ただ、私自身は、今回の省庁再編、巷間言われておりますように、例えばこれまで官僚主導と言われるようなものがあったとすれば、それの中に正しく適正な形でもって政治というものが大きく広げていくような形というものがあってしかるべきだと。  そういう中で、例えば副大臣制あるいは政務官というような形の、それぞれ田中大臣それから国井政務官が就任をされたわけでありますけれども、ここのところについて言及がないということになると、大変恐縮でございますけれども大臣答弁そのものがやはりこれまでどおり書いていただいたものを読んでいるということになってしまうんではないかな、そういうふうに考えているわけでございまして、この際、その辺の関係と決意につきまして、大臣それから副大臣政務官、それぞれから思いを述べていただきたいなと思っております。
  13. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 実は私は、今度農水大臣を任命されたときに、副大臣政務官とも相談をいたしました。それは、副大臣政務官会議というものをきちっと位置づけまして、そこで政策も含めてひとつ議論をしていただいて、最終的にそれを実行するという段階になりますれば、これは大臣のもとでそれを実行させていくということで、政務官そして副大臣の方々のそういった御意見といいましょうか、一つ方向づけといいましょうか、そういうものがしっかりと生きていくように、それが政策の中に実行されていくように、そういうふうな形で、ほかの省にはない副大臣政務官会議というものを私は位置づけまして、そういう中で、政治主導のもとに農政あるいは林政あるいは水産業、そういうものが執行できるように、そういうふうな位置づけをさせたところであります。
  14. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 副大臣を拝命いたしました田中でございます。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  先生から御指摘をいただきましたので。一月六日から省庁再編ということで副大臣制度ができました。大変権限もございますけれども責任の重大さを感じて務めておるところでございます。  きょうも八時半から副大臣会議がございました。当面する問題についてしっかりと意見を申し上げ、政府の方針に活用していただく、こういうことで取り組んできておるわけでありますが、政治主導につきましては、今まで事務次官会議がございまして、やはり各省庁の調整が官僚主導といいますか、事務次官会議で行われていたのではないか、こういうことに我々も問題意識を持ちました。  したがいまして、事務次官会議議論された問題につきましては我々もしっかり理解をする、そしてまた、大臣を補佐して副大臣がしっかりと政策の中に関与をするということでございます。しかし、それだけ責任が生ずるわけでありますので、谷津大臣にもお願いをいたしまして、週一回、副大臣そしてまた政務官の省内の会議を持たせていただきました。  したがいまして、農林水産省、新たな体制になりましたけれども、名称は変わりませんが、特に食料、そしてまた農業農村と、こういうことで対処するわけでありますから、厚生労働省食料安全性という問題につきましては大変関係があるわけでありますから、そういう面でしっかりと連携をとりながら、敏速に政策が遂行されるように我々も参画をして、今までの農業あるいは農村政策に加えて食料のしっかりとした継続した安全な提供というものについて、縦割りではなくてしっかりと連携をとってやっていきたい、こういうことで努力をしていっていることを御理解いただきたいと思います。
  15. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) 今、大臣、副大臣からも御答弁ありましたように、私ども民意がどこにあるのか、このことをきちっと私どもなりに受けとめて、そしてやはり政策判断を適切にかつ迅速にしようというふうなことで、これは大臣の命令でもありまして、私どもも毎週月曜日は定例的に副大臣政務官会議を開催させていただき、かつまた随時それらに対しまして各局長等意見交換をしながら、とにかくやっぱり政策決定過程をできるだけ迅速にわかりやすく民意に基づいて行っていく、こういうことに心がけているつもりでございますので、一層の御指導をお願いしたいというふうに思います。
  16. 郡司彰

    郡司彰君 ありがとうございました。  今の大臣答弁、それから副大臣政務官、それぞれ大変重要な話が含まれていたのではないかと思っております。  私は、当初の質問のときにそのようなお答えを実際は本当はいただきたかったなと。多分、答弁からすると一番最初のような答えが来るだろう、これは今までと同じではないかというようなことで、今そのような質問をさせていただきました。  改めて、ちょっと通告という形にはしておりませんでしたが、どうもこの副大臣それから政務官、何がどう違うんだというふうなところが私どもを含めてまだ認識不足でございまして、その辺の副大臣政務官のあり方といいますか役割といいますか、その辺について若干お聞かせをいただけますでしょうか。
  17. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 実は、先ほど申しましたとおり、副大臣政務官におきましても責任を持って政策実行に当たっては対応していただきたいということもありますし、また政策の方もじゃんじゃん提言をしていただき、そしてそれを実現化するためのひとつ責任を持ってそういうふうなものもやってほしいということもありまして、実は副大臣任務を分けさせていただきました。  田中大臣には水産関係をひとつ責任持ってやってほしい、それから松岡副大臣には林と農の方をひとつやってほしいということで、その任務を分けて、そこには政策的な面も独自に出してもらって結構ですと、私も大臣としてそこは当然相談には乗りますけれども、もうしょっちゅう打ち合わせをしてやっておりますものですから、そういった面できちっとその辺のところを責任持ってやってほしいということをお願いしたところであります。  また、政務官ですが、一応大臣政務官ということにはなっておりますけれどもプロジェクトごと任務をひとつこれをやってほしいということで、今鋭意その方面についてもやっておるところでありまして、これも単にそれをいろいろ私の方に補佐するというのではなくて、むしろその辺のところはみずから政策を打ち出してそれを実行するような方向も、ひとつ政務官の中でもやってほしいということを申し上げておるところでありまして、また事実、そういった面でいろんな面についての対処をしてもらっているという状況であります。
  18. 郡司彰

    郡司彰君 大分頭の中が整理ができるようになりましたし、それが機能することによって、その方が新しいメリットとして一番のものかなというふうな考えがありますので、ぜひ今のような形でお願いをしたいと思います。  それから、新しい基本法に基づく施策というものはもう既に始まっているわけでありますけれども省庁再編に伴って、それぞれ国民の中で新たに省庁に対する思いというものが出てきているわけでありますが、残念ながら農水省の場合には、思い出すということも余りよくないのかもしれませんけれども、二年前からの構造改善局中心にした職員の不祥事というものがございました。  この中で私、今でもこの報告書を読みますと、随分衝撃的な言葉がこの中には使われていたんだなというふうに感ずるわけであります。  改めてちょっと読ませていただきますと、執行体制に関しましては、「構造改善事業等に携わる職員が二手に別れて対立し、互いに中傷し合ってきたことにより、これまで円滑な事務執行が妨げられてきた」とか。また同じような関係につきまして、「行政は、言うまでもなく、組織として対応することが要求されており、政策企画立案や公正・公平な執行を行うに当たっては、行政組織を構成する職員が同一の目的意識の下に、その機能を分担しながら一致協力して事に当たる必要があることは論を待たない。」と。しかしながら、感情のもつれ等から相手方を徹底的に批判する、あるいは外部に対してというようなことがございました。最後のところには、他の専門分野との大幅な人事交流を実施し、適正な人事を今後は行っていくと、そのような形になっていたわけであります。これは既にもう経過をしておりますから、これまでの中でももちろんそのような形が行われてきた。  しかし、今回は再編に伴いまして構造改善局というものが消滅をした形になっておりまして、それぞれ引き継ぐ事務もそれぞれのところに分担をされているんだと思いますが、この辺のところを含めまして、私ども地元に行って話をしますと、いまだに、結局農水省はおれたちのことじゃなくて自分たちのことばかりやっていたんじゃないかというような声を聞くわけでありまして、これから自給率向上を国を挙げて取り組んでいこう、このときに省の信頼を回復するということは非常に大事でございますので、この辺の反省を含めて現在どうなっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  19. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 実は私、大臣に就任したときに一番最初に申し上げたのは、現場主義現場主義でいけということをきつく申し上げたわけであります。  と申しますのは、今先生指摘のとおり、かなり農林水産省で出す政策と、それからそれを実際に農家方たちあるいは林業をやられている方たち水産業方たち理解をされ得ない。もっと極端な言葉を使わせていただくならば、農林省のやっている逆さをやればいいんだというようなことすら正直言って耳に入ってくるわけでありまして、私も農家方たち林業をやられている方たち、あるいは水産業をやられている方たちと話をしておりますと、どうも乖離が多過ぎる、その実態はどこにあるのか。  私ははっきり申し上げまして、その政策を立案する農水省の役職の方といいましょうか、そういう方たちがどうも現場を本当の意味において理解し得ないものがあって、そういう中で、どうしても出てくる政策そのもの理解し得ない。それだけではなくして、何となくひねくり回しているような議論が多過ぎて、そういうものが政策の中へ出てくるものですから、どこをどういうふうにとっていいかわからないようなそういう混乱すら私は起こっているぞということから、政策をやるにはとにかくきちっとしたものの中において、わかりやすく、しかもこうなるんですよというふうな目的というのも理解できるようなそういうものが大事なんだというふうなことを申し上げたわけであります。  まさにそういった面から構造改善局のああいった一つ事件が起きたわけでありますけれども、そういう理解されない中において、私はああいう問題が起こってきているんではなかろうかという認識があるんです。そうなりますと、どうしても個々の役人の方に聞きたがる、あるいは聞くとなればこうなるというようなところでだんだん、何と言ったらいいんでしょうか、人間関係みたいなのが深くなっていって、そういうところからいろんなああいう事件にもあるいはかかわったのかなという感じも持ったわけであります。  問題は、その政策が、あるいはやろうとすることがきちっと理解されてそれが実行に移されるという、言葉をかえて言えば、風通しのいいと言うんでしょうか、そういうふうなものをきちっと出さなきゃいけないのでありまして、私は少しそういった面では、私が自分の省のことを言うのはどうかとは思いますが、欠けていた面があるぞというふうに思っておりますから、そういうことのないように現場主義でしっかりとそれを踏まえながらやっていくことが大事だということを申し上げているところです。
  20. 郡司彰

    郡司彰君 ありがとうございました。  今まで多くの方と話をされる中で、どうも特殊のケースだよというようなニュアンスの言い方がされたりしましたけれども、今、谷津大臣の方で極めて明快にそういうところがあったということを踏まえてでございますから、今後期待をして、そのような人事の配置についても既に行われているというように理解をさせていただきたいとも思っております。  次に、UR関連の関係でございますけれども、既に当初の年月は過ぎているわけでありますけれども、公共部門については十四年度までということでございますが、おおよそこれまでの流れというものが一段落をする時期に来たというふうに考えております。特にこれは、期間を区切って、区域を区切って集中的に効果を出そうというようなことでございましたので、これまで中間的な評価はそれぞれ行っていると思いますが、まず公共部門について現在どのようなこの事業に関してのお考えをお持ちでしょうか。
  21. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) 今まだ、御案内のとおり、十四年度末が最終年度でございますので、中間ということでございますが、おかげさまで、UR対策によっておよそ省内で現在取りまとめている状況では、工事期間が特別対策を組んでいただくことによって一七%前倒しというか節減ができたということが一つ。それから、担い手経営規模がおかげさまでこの実施地区につきましては二・五倍になってきたと。さらには、稲作で申しますと、担い手の労働時間が、基盤整備等が進んだので、これは約六割その労働時間が縮減になったと、こういうふうな数字も出ているわけであります。  今日的な大変厳しい農業を取り巻く情勢にかんがみまして、一層その効果が発現できるように、これはいわゆるハード事業だけではなくてソフトを含めて省内でさらに詰めて、農業者の皆さんに利用しやすいような、そういうソフト事業を含めて我々も一層努力をしたい、このように考えております。
  22. 郡司彰

    郡司彰君 続いて、非公共の部門についても同様にお話をいただけますでしょうか。
  23. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) UR関連対策の特に非公共のいわゆる構造改善事業の部分でありますが、これにつきましては、特に農業の体質強化あるいは農村活性化というところに重点を置いて実施をしてきたところでございまして、御案内のとおり、育苗施設とかあるいは共同乾燥調製施設等の共同利用施設を一つは主に整備をしてまいりました。  そういうことで、この共同利用施設、八百九十地区導入したところでありますが、これらで見ますと、水稲育苗にかかる労働時間というのは四二%ほど縮減になったと。あるいは乾燥調製施設、これでコストが、みずから乾燥機を入れるということに比べるとおよそ一〇%ほど節減できたんではないか。それから、やはり共同利用施設等を入れたところについては、認定農業者の数、これは認定農業者でありますが、二・六倍ほどにほかの未整備地区に比べてふえてきた、こういうふうな状況があるわけでございまして、これらについては一定の評価をいただけるのではないか、このように思っています。  なお、農村活性化ということでいろいろ、例えば直売施設だとかあるいは都市農村交流施設等の整備等もやってきて、これらについても農村の雇用機会の拡大とかあるいは都市住民農村に来てくれる数がふえたとか、そういう意味ではそれなりの効果を発揮できているのではないか、このように思っております。
  24. 郡司彰

    郡司彰君 このURの関係については、まさしく前回のウルグアイ・ラウンドの決着のときに政治的な判断でもって予算としてされたものだと思いますので、国会としてもやはり検証することをきちんとやらなければいけない、そのように感じている次第であります。  それで、農水省の方も中間を含めてそれぞれやってきた。しかしながら、一般の評価のシステムとはウルグアイ・ラウンドは違う観点を加えなければいけないというようなこれまでの答弁もございました。どのような観点をほかの評価と違って行っているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  25. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) UR対策の効果につきましては、事業終了後も農林水産省政策全般の評価を実施するということで、特にこれは農林水産省だけということには限らないわけでありますが、全体的に行政評価をきちっとするということになっておりまして、当然その中で農林水産省においても、それぞれの効果というものがどれだけあるのか、その政策が本当に価値があるのか、こういうことを常に検証することが必要だということで、現在随時、UR対策だけではありませんが、全体的にその政策のいわゆる評価というものに私どもも取り組んでいる次第でございまして、その中から新たな国民のニーズにこたえた新たな政策の立ち上げもこれまた必要なのではないか、このように考えております。
  26. 郡司彰

    郡司彰君 以前に金田政務次官のときでございましたが、答弁の中で、報告については官房のしかるべく部署ということでありますから企画評価の方で行っているんだと思いますが、これも国会に対しましてもその都度遅滞なく報告をしたいというような話がございました。  私の方が勉強不足だったのかもしれませんが、余りそのような形の、遅滞なく報告というものがどのような形で行われているのか存じ上げませんで、この辺についてはどうなっておりますでしょうか。
  27. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) これはたまたま私も一緒に総括政務次官をやっておりましたから、そのときのことをよく覚えておりますものですから私の方から答弁させていただきますが、私どももその評価というものにつきましては農水省は他省に先駆けて一年前から実はやっているわけでございます。  そういう中で、ウルグアイ・ラウンド関連につきましても評価を今行っているところでありまして、もう何回もその評価委員会も開かれているところでありますが、そういう形のものがきちっと出てきたならば、私もこちらの委員会、いわゆる国会にもそこで報告しておきたいというふうに考えております。
  28. 郡司彰

    郡司彰君 時間のかかることもありましょうけれども、若干中間の評価等を行っているものもその都度私どもも目にしながら検証をしていきたいなということでございますので、計らいをお願いしたいと思いますし、それから、どこでどういう事業をやっているかという一覧のようなものが私どもではよくわかりませんで、例えば、この間の全国の事業を行った箇所、それから事業の規模、そのような一覧を御提出いただくということは可能でございましょうか。
  29. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) ちょっと事務的な点もございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  これは、先ほどの郡司先生の御指摘にありました事業の適正化の話とも関連するわけでございますが、私ども職員の倫理とあわせまして、事業執行の透明化と申しますか、こういったことにつきましても昨年来取り組まさせていただいているところでございます。  具体的に申し上げますと、個々の事業につきまして、地区の認定でございますとか事業費の配分、こういったことが行われております二百八十余りの事業、こういったことにつきましては事前に決定いたしましたならば公表するということで、これは農林水産省のホームページでございますとかプレスへの発表ですとか、そういったことをやっていくということをやっております。  また、そういった地区の認定基準あるいは事業費の配分基準、こういったこと自体につきましても省内に第三者の方々から成ります第三者委員会、ここにお諮り申し上げまして、こういった基準等々がいいのかどうか御意見を十分に賜りながらそういったものを決定し公表しているということで、事業執行の透明化、こういったことを図らさせてもらっているということでございます。
  30. 郡司彰

    郡司彰君 済みません、今の答弁、私も、ホームページは今度一月から変わって、またホームページの内容も変わったことも含めて見ておりますが、これまでの事業の箇所づけと事業規模、それを一覧表で出していただければありがたいなというふうなこと、そのことについてはどうなんですか。
  31. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生指摘の点につきましては、出させていただきたいと思います。
  32. 郡司彰

    郡司彰君 ありがとうございます。  それによって、私はやっぱり、冒頭申し上げましたように、期間を区切って、地域を区切って集中的に効果を上げるという目的でございましたので、それに沿ったような結果が出ているかどうかを私どもとしても十分に検討をさせていただきたいなというふうに思っております。  次に、食料農業農村基本法についてでございますけれども基本法ができ上がりまして、昨年の三月末に基本計画ができ上がって、八月でしょうか、プログラムといいますか、ができ上がったと。この基本計画についてはこの委員会の中でも審議をさせていただきましたけれども、八月のプログラムについてはでき上がったということで内容をいただいておりますが、改めてこの委員会の中で特徴的なところについてお話をいただきたいと思います。
  33. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) 食料農業農村基本計画は、昨年三月に閣議決定ということで、内閣全体の方針ということで、おおむね十年後の食料農業農村の姿、目指すべき方向ということで定められたところでございますが、具体的に施策をどういうふうにやっていくかということにつきまして、いわば個々の施策のスケジュールと申しますか、そういったことが必要ではないかというふうな観点から、昨年の八月でございますけれども、この基本計画に即しまして農林水産省といたしまして今後講じようとします施策、これは五年ごとに基本計画は変更するという仕組みになっておりますので、おおむね五年間、このタームの中におきましてどういう施策をやっていくかということを基本計画の各項目ごとに整理をしたものでございます。  その中でも、差し当たってすぐ行います平成十二年度、十三年度に行います事業、それからその後二、三年かかるような事業と分けましてこの基本計画の中のうちおおむね五年以内に講じようとする施策方向を明らかにしたいということで昨年の八月に公表させていただいたところでございまして、こういった方向に沿いながら、各年の予算要求あるいは制度改正、こういったことにつなげていきたいということで、施策の透明性の確保の一環ということで昨年それを公表させていただいたというものでございます。
  34. 郡司彰

    郡司彰君 中身について、特徴的なことを。
  35. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) 具体的には各項目ごとでございまして、基本計画で定められております新基本法の着実な推進でございますとか、食料自給率の目標の達成に向けた消費及び生産に関する施策ですとか、こういった項目ごとでございまして、例えば、望ましい食料消費の姿の実現に向けた取り組み推進という基本計画の項目でございますと、十二年度から十三年度におきましては食生活指針普及定着に向けた国民運動の展開等をこの十二年度、十三年度は重点に行っていくということでございますとか、食品ロス、この調査等は十三年度の予算要求で行っていくというふうなこと等をこの中に明らかにさせてもらっているということでございます。
  36. 郡司彰

    郡司彰君 続きまして、この基本法の中の八条に該当するということになるかと思いますけれども、各都道府県、地方の自治体もそれぞれ目標とするものを定める、策定をするということになっておりますが、こちらの方の進捗状況についてお知らせいただきたいと思います。
  37. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 食料農業農村基本計画におきます自給率目標を出しているわけですが、先生指摘のとおり、これは国だけで対応できる状況ではございません。当然のことながら、地方公共団体、生産者、食品関係事業者、消費者等、幅広い関係者がそれぞれの課題に積極的に取り組んでいただくことによって全体の目標が達成できると。  そういうことで、地域段階でこれらの関係者の参加のもとの、もちろんその場合、全国段階の目標と方向性が異なっては困るわけでございますけれども、そういう整合性ということにも留意していただき、かつそれぞれの地域の条件なり特徴、特色を十分踏まえた生産努力目標と、そういうことが必要だろうと、そういう取り組みは極めて重要であるというふうに私ども思っておりますし、八条もそういうことを想定しているというふうに思っています。  そういう点で、地域段階での生産努力目標の策定状況について私ども常に情報交換をいたしておりますけれども、現状、これまでに十八県で策定済みでございます。それぞれ県内の生産努力目標、具体的な、例えば米について現状何%の自給率を県内でさらに自給率を向上するというようなことも織り込んだ生産努力目標が十八県で策定済みでございまして、残りの都道府県につきましても大半今年度中に、今年度中と言ってももうわずかでございますけれども、十八県で策定する予定であるというふうに聞いております。  今後とも、地域段階におけるそういう意欲的な生産努力目標の策定、その実現のための施策の実施、地域の実情に応じた取り組み体制、そういうことが重要だというふうに思っておりまして、私どもも情報交換、情報提供、意見交換をしながら都道府県と密接に連絡をとって実態の把握と取り組みに対する支援促進ということに努めてまいりたいというふうに思っております。
  38. 郡司彰

    郡司彰君 今、局長の方からお答えをいただきましたように、一覧としてもいただいておりまして、例えば中には、私も目にして思ったんですが、七年ごろに既にでき上がっているんですよというふうなところもあって、これはおおよそ時期の問題ではなくて基本法にのっとった趣旨で作成をされていればそれでよろしいのかなというふうに感じますし、各県それぞれの特色が出てこその計画だというふうに思いますから、時期の問題も若干ありますけれども、それぞれ各県ごとにそういう目標を定めている、あるいは定める努力をしているということになるんだろうと思います。  私は、一応基本法のときに二十二年までに四五%にしようというような目標を立てた。それで、聞くところによりますと、十年四〇、それから十一年も四〇%ということで、何かここ一、二年を見ますと下げどまりのような感じも受けますけれども、必ずしもまだ楽観できるものではないだろうと。基本法の法律ができて一年たって基本計画、それからまた半年後そのプログラムができたと。各県もこういうような形をやっている。  実際にいつからその実行の成果というものが上がってくるんだろうというようなところにもなるわけでありまして、四五%に上げるというのは、これまでのそれぞれの努力を積み重ねるということの問題もあろうかと思いますが、これまでと違って、例えば谷津大臣のホームページなんかを見ますと昔からそうでありますけれども環境の問題大変ありますし、田中正造先生のことなんかも書いてありまして、大変環境にも留意をされてこれまで政治活動もされてきた。だとすると、そのような新しい農業に対する考え方も含めて実効性が上がるというふうなことにするために、今現在どうなっているかについてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  39. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 具体的な取り組み状況等についてのお尋ねでございますので、私の方から現状をお答えさせていただきます。  自給率の問題、先生指摘のとおり十一年の自給率も四〇%ということで、そういう状況になっております。これを自給率の四五%という目標に向かって引き上げに努めていくためには、生産者の御努力はもちろん重要でございますが、あわせて食品製造事業者、あるいはその他の食品関連の方、さらに消費者の方の理解と協力があって、いわば国民参加型の全体的な取り組みがあって初めて私ども実現できると、そういうことに思っております。  特に、私ども生産サイドの努力は従前からいろいろやってきたつもりでございますけれども食品事業者サイドとの取り組み強化、そういう点では販路開拓、新製品ということで農業サイドと食品サイドの結びつき、連携の強化、さらには、これもこの四月から全体の施行になりますけれども消費者の適切な商品選択に資するということで、生鮮食料品については昨年の七月から既に施行いたしておりますけれども、表示関係の徹底、あるいはさらに今まで比較的弱かった分野として消費者サイドに対する取り組みの強化、昨年三月に食生活指針を策定させていただきました。  さらに加えて、先月だったと思いますが、食べ残し、廃棄の状況等についても実態調査をし、そういうことも消費者に訴えていきながら、いわば関係者挙げての取り組みをすることによって、いわば生産面、消費面、流通面含めて、食料自給率向上に向けての取り組み国民的な運動として展開していきたいというふうに思っているところでございます。
  40. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 今お話をしたとおりでございますが、先生指摘のとおり、基本的には五割以上国内生産で賄うことを目指すことが適当であるけれども平成二十二年度までの期間内で実現可能な水準として四五%を目標とするということが食料農業農村基本計画で定められたところでございまして、実際に農林水産省として平成二十二年度までに努力を重ね、皆さん方の御協力を得て何とか達成をしていこうということで頑張ってきておるところでありますが、御指摘のとおり、下げどまりをしたんではないかという見通しも若干出てきておりますが、では自給率が上がったかといいますと横ばいであるということでございます。  今、生産調整の中で御努力をいただいておりますが、麦、大豆、あるいは飼料作物についてこれから本格的な生産にしていくということで、生産者の皆さん方にも御努力をいただく、そしてまた消費者の皆さん方にも米飯の学校給食をふやしていくなり、あるいは地産地消というようなことの中で、生産をする県の皆さん方には県の中でできるだけ多く消費をしていただくというようなことにも努力をさせていただいているわけでありますし、特に若い人たちに、私もちょっと感じますけれども食材について大変そういう面では無関心だというようなことも聞くわけでありますので、ぜひ食農教育を文部科学省ともよく相談をして、若い人たちが国産の食材を大事につくりながら、そしてまた食べていただくというようなそういうものを定着させていきながら、ぜひ平成二十二年には当初の目的が達成されるようにということで努力をさせていただければありがたいと思っております。
  41. 郡司彰

    郡司彰君 それぞれ今までと同様の、あるいは特定に大豆や麦ということも含めて取り組む、あるいは農地を確保するとか利用率を上げるとかいろんなことがあると思いますけれども、私は谷津大臣に期待をしたいのは、これまでと違って、JAS法の四月からの施行もございますけれども環境保全型というような形のものを日本の農業のベースにするような中で自給率の向上も図っていくべきだろうと。それから、日本の中においてこれまでどうも離れておりました耕すと買うということを組み合わせるというふうなこともあろうかと思います。  それからさらに、私は、今まで使ってきたカロリーベースを使うことがおかしいという意味ではございませんで、現実の問題としては、日本の食料の事情を多角的に見るためには、これまでも検討されてきた幾つかの指標というものを国民の間に定着させることもこれまた必要かなというふうなことがありますけれども大臣の方からコメントございましたらば。
  42. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生指摘のとおり、私は、農業の持つ環境面についての機能といいましょうか、こういうものを非常に重視している一人でございまして、農産物そのものが環境保全のためにこれを規制されることは非常に大事な要素であるというふうに考えて、特に水田等については水等も考えますと環境に寄与する面も多々あるわけでありますから、そういった面を私は農業政策の中に一つ確立をしていきたいなというふうにも考えておるわけであります。  そこで、私は、実は今、西藤局長の方からちょっと話がありましたが、今まで農林水産省としては生産面、これは農業においても林業においても水産業においてもそうですが、それには大変な力を注いでまいりまして、その発展策を考えてきたわけです。一方、消費の面ということについてはいささか私はちょっと足らなかった面があるんではないかというふうに考えておったものでございますから、この生産消費、これはまさに共生をするものであるというふうに考えておるものですから、自給率を達成するがためには国民の健康に食の面から貢献しているんだよと、これが生産の哲学の一つになっていかなければならぬというふうに私は思っているわけでありまして、そういった面で消費の方にもっと力を注ぐ必要があるであろうと。  そして、これは農家の一部の中には、つくりやすいものをつくって、そういう面では必ずしも消費者がどういうふうなものを求めておるかというふうな面についてちょっと違った、つくりやすいものをつくっていくという傾向がなきにしもあらず、そういうところもあったものですから、そういう点はひとつ共生という意味も含めて、その辺のところをきちっと情報をとって、そういう中での生産をやっていく。その中において、国民の方々の健康の面を食の面からやっていると、寄与しているんだというふうな意識をしっかり持って生産に結びつけていかないと私は自給率の達成はなかなか難しいぞというふうに考えている一人でございますから、そういった面で、消費者とそれから食品加工者、そしてまた生産者は共生するんだという中でこの事業展開していきたいというふうに考えておるところであります。
  43. 郡司彰

    郡司彰君 私は農業は、日本の国においてもほかの国においてもそうでありますけれども、基本的に国が一定の保護を行わなければならない産業だというふうに考えておりまして、その保護を行うについては、だから理解を得なくてもいいんだということではありませんので、幅広く理解をしていただく取り組みもまたお願いをしたいというふうに思っております。  次に、中海干拓についてお聞かせをいただきたいと思いますが、昨年、谷大臣のときに中海干拓について質問をさせていただきました。ちょうどその時期は最終判断を行う最中でございましたので確定的なところについては答弁をいただけませんでしたが、現在、本庄工区の干陸については中止ということで認識をしてよろしいのか。それから、淡水化の問題がございますので、これらについては今どうなっているのかをお聞かせいただきたい。
  44. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 中海の干拓、言うならば土地改良事業のうちの本庄工区になるわけでありますけれども、これについては中止ということでこれは農林水産省としても決定させていただきまして、また島根県におきましても理解をいただいたところでもございます。と同時に、これは淡水化事業というのが進められているということでありますが、実はこの事業については、先生御案内のとおり、今一時中断をしておるという状況であります。  そういう中で、淡水化事業というのは六十三年からやってきていたところでありますけれども、これはまた一方では農業用水の確保というのがその中にあるんですね、淡水化事業をしてその淡水で農業する。特に、あそこは出雲平野というんでしょうか、あの辺は非常に水が足らなくて一遍使った農業用水をもう一回戻して使っているという、その反復をしている現状を私も実際現地に行きまして見てまいりました。  そういったことから、淡水化をしないということになりますれば、別な面で水の確保というのが大事な問題になってきているわけでございまして、そういった面につきましては、淡水化事業は今中断はしておりますけれども、新たな水源を求めまして、鳥取県あるいは島根県等においても十三年度から関係市町村と、あるいは土地改良区ですか、そういうところとの協力をしながら新たな水源確保のためにいろいろと調査を実施するというふうなことを聞いておるところでもあります。
  45. 郡司彰

    郡司彰君 今そのような状況になっているわけでありますけれども、当時問題になりましたのは、では地元の振興はどうするんだと、工事がこれまでになかったような形でもって中断をする、それに伴う振興ということでございましたけれども、第一次の振興策については既に国の方に提出をされ、国の方もそれなりの形でもって地元の方にこたえたということになるかと思います。第二次の要望についてまとめたけれども、これは県議会の方で国の方には提出をしませんということも決めたわけでありますね。  この第一次の振興策について国として行ってきたもの、それから第二次については地元が提出をしないということに至った経過について、もしおわかりになればお話をいただきたい。
  46. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 私ども、島根県から昨年十月、第一次の要望を受けて、私ども関係省庁含めて調整を進めてきたところでございます。  その検討状況でございますけれども、例えば道路網の整備でございますけれども、国土交通省との調整を行いまして、県が一番最優先の課題というふうに位置づけておりました大海崎堤ルートにつきましては本年三月、県議会で路線認定が議決されたという状況でございます。私ども、県道として整備する方向として調整を進めていきたいというふうに考えております。  また、江島架橋の建設促進でございますけれども、十二年度の補正予算で前倒しの措置を実施したというところでございます。  このほか幾つかございました。西部承水路堤の対岸護岸の整備とか、あるいは上宇部尾埋立地区の譲渡等の問題がございます。私ども、地元の県で十分今後の計画が煮詰まるのを待ちまして私どもの対応を検討していきたいというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、地元の方でいろいろと振興策を練っているようでございますので、そのような地元から上がってくる要望につきまして誠心誠意対応していきたいというのが私どもの考え方でございます。
  47. 郡司彰

    郡司彰君 それから、一部の市民あるいは松江市もそうだというふうに聞いておりますけれども、堤防を開削していただきたいというような要望もあるそうでありますけれども、これは時といいますか地域によっていろいろ、功罪ということの表現がどうかと思いますけれども、効果がこういう面で出るよと、しかしこちら側ではそうじゃないよというふうなことがあるんだと思いますね。この堤防の開削については今のところどのような考えでしょうか。
  48. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 私ども委員指摘のとおり、松江市あるいは漁業者の一部の方からそういう御要望があることを承知いたしております。  ただ、私ども、本庄工区の検討委員会で水質のシミュレーション結果をやったところでございます。御案内のとおり、森山堤防あるいは大海崎堤防を一部開削した場合、本庄工区の水質には一定の影響が見られるという点でございますけれども、本庄工区以外の中海にはほとんど影響を与えない、あるいは宍道湖につきましても塩分濃度以外の水質には全く影響を与えないというふうな結果であったというふうに承知をいたしております。また、島根県におきましても同様に、堤防の開削につきまして中海あるいは宍道湖について影響を与えることはないというふうに承知をいたしております。  私ども、先ほど申し上げましたように一次要望に入っていないわけでございまして、地元での調整を待って私どもの考え方を整理したいというように考えております。
  49. 郡司彰

    郡司彰君 大臣にお聞きをしたいと思いますが、土地改良法の改正案も提案の準備をされているようでありますけれども、いずれにしましても、この土地改良事業は干拓にかかわっては当初から受益者がいるわけではございませんから申請によらないという形になるんだと思います。申請によらないこうした事業が中止あるいは変更という形をとるということはこれまで余りなかったわけでありますけれども、今後についてはまだ出てくる可能性もある。  今回の中海の問題を教訓に、このようなときには一つのルールをつくっておいてそのルールに沿った形を行うことが、いろんなときにそれぞれの対応をするということによる地域住民思いのたけというものが違ってくるわけでございますから、ルールをつくるべきではないかという思いがございますけれども、どうでしょうか。
  50. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生御案内だと思うんですが、私は実は公共事業の抜本的見直しの座長をやっておりまして、その中で中海のこの件につきましても中止を勧告した座長でございました。そのときに、今御指摘のあった問題がやはり議論の中に出ました。  そういったことで、国営とか県営、そういった事業については、はっきり申し上げますと廃止をするなんというのは想定もしていなかったわけでございますから、そういった面についてはどう扱っていくのかねといういろんな議論がございました。  そういうことから、今度提出しております土地改良法の一部改正案におきまして、再評価に対応した国営あるいは県営事業の廃止の手続、これを新設することになっております。
  51. 郡司彰

    郡司彰君 例えば今の答弁の中で、改正案の中、これは申請によるものについてはそうでありますけれども、よらないものがより問題であろうと思うんですね。その辺のところはどうなっているんでしょうか。
  52. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 委員指摘のとおり、申請事業と今回のような干拓の場合にいわゆる申請人がいないという場合がございます。私ども、今回こういうような法改正をする中で、具体的に申請人がいない場合につきましても土地改良区の同意を得る方向で具体的な指導を行っていきたいというふうに考えております。
  53. 郡司彰

    郡司彰君 時間がありませんのでまたそれは改正案の審議のときにもさらに行っていきたいなというふうに思います。  最後になりますけれども、今のお話をお聞きしますと、大臣は中海についても決断をなされたと。今回は有明海についてももし決断をなさると、干拓工事中止の大臣というようなことになってしまうのかなということにもなりますが、冗談ではございませんで、大臣の発言についてどうもマスコミを頼りにしておりますと二転三転をしたというようなこともございました。  現在に至っての考え方も含めて審議会の、取り出して読ませていただきましたが、一人でも反対というよりは多くの方が反対だという、開門、あけるべきだと、そういう意見もあったようでございますけれども、これまでの経過と現在のお考えについてお聞かせをいただきたいと思います。
  54. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 私は当初から申し上げているんですけれども、調査を必要とするために水門をあけるということが要望されれば、それをあけることもやぶさかではございませんというふうに申し上げておりまして、それは今でも一貫して同じであります。  ただ、御案内のとおり、今、有明海のノリの不作、これはノリだけじゃないんです。実はタイラギとか何か、貝もございますから、そういうふうなものを見まして、この原因が何であるかというのは全然わかっていないんです。  ですから、徹底的に総合的に調査をすることが大事だということから、第三者委員会、これは長ったらしいので第三者委員会という私どもは通称名で申し上げているわけでありますが、それを設置させていただきまして、三月三日、そして十三日と二度、その調査委員会が開かれました。その中でいろいろな議論がありました。  そしてまた、あそこをずっと研究なされている先生方、みんな研究の項目が実は違うんですね。その先生方は地元からの推薦を得て研究委員会を立ち上げ、また私は、そこの肌で感じている人たち意見というのも大事だぞということから、漁協の会長さんが四名各県ごとに入っておられる、そういう議論を聞いておりまして、私どもが想像していなかったような問題も確かに出てまいりました。  そういう中で、これから第三者委員会でいろんな方向を出されると思います。私はそれを尊重していきたいというふうに考えているわけでありまして、そこで、こういうことで調査する必要があるよ、あるいはこういうことで場合によっては水門をあけてこういう調査もしなきゃならない。  その前に、この間、要するに調整池の中の水質あるいはまたそこにある汚泥といいましょうか、そういう性質がどういうものであるかわからないからその資料を出せと言われたものですから、それだとするならば工事を一時中断してそういうものも調査する必要があるであろうということで、委員会の方の要請もございまして、今中断をしてそれを調べているということでもございます。  そういった面で、委員会の中で出されてくるものについては私はすべてそれを尊重してしっかりと対応していきたいなというふうに今思っておるわけでございます。
  55. 郡司彰

    郡司彰君 次回の委員会がございましたときに改めてこの有明問題は細かく質問をさせていただきたいと思います。韓国の方でも始華湖の例もございまして、結果がどちらにしても一朝一夕に出るわけではございませんので、慎重にこれからも検討していきたいと思います。  以上で終わらせていただきます。
  56. 谷林正昭

    谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。  郡司委員に引き続きまして、今度は農水の三本柱の一本であります水産関係について、少し御質問なり考え方をお聞かせいただきたいなというふうに思います。  最初に、私、谷林といいますから、谷、林ですから水産とは余り関係ないのかなというふうに思いました。しかしながら、私のふるさとは魚津でございます。魚に津と書きます。そして、じゃ魚という町は幾つあるかなと思って全国調べてみました。そうしたら、もっとたくさんあるのかなと思ったんですが、四つしか自治体がありません。長崎県に新魚目町というのがあります。それから、愛媛県に魚島村という、瀬戸内海の島だと思いますが、魚島村というのがあります。それから、新潟県に糸魚川という、魚がつきます。この四つしかないんですね、魚津を入れて。そうしましたら、私はやっぱり水産関係で頑張るべきかなというふうに思いましたので、少し水産関係で頑張らせていただきたいなというふうに思います。  そこで、いよいよ一昨年の十二月に基本政策大綱が出てまいりました。これを随分読ませていただきました。勉強させていただきました。そして、今いろんな法案が準備をされております。  そこで、大臣にぜひお聞かせいただきたいのは、いよいよ本格的な二百海里時代になる、そういったときに、水産業といいますか、それが健全にこの日本の国において発展をしていくためにはどういうようなことが必要か、あるいはこれからどういうものが大事なのか、そういうものを含めまして大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
  57. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生、魚という名のついている地区名というんでしょうか、四つしかないというので実はびっくりしたんです。もっとうんとあるだろうと思っておった。私は、実は魚津というのは、若かりしころ心躍らせたんですよ。当時、高校野球で村椿というピッチャーがいまして、それで魚津というのは頭から抜けないのであります。  そういう中で、今、先生、御指摘のありました我が国水産業については、本格的な二百海里時代を迎えまして資源状況が悪化しています。それからまた担い手が減少しております。そしてまた、一方では高齢化が非常に進展をしておりまして、内外ともに大変な状況にあるというふうに大きな変化が来ておるところであります。こうした中で、水産物の安定的な供給を図るためには、これはまさに今重要な役割を果たしているわけでありますから、我が国の水産業の健全な発展を図るということは、これは重要なことでもございます。  そういった中で、この諸情勢の変化に即しまして政策の抜本的な改定といいますか、見直しをしていかなければいけないというふうに私は考えているところでありまして、そのために今国会に新たな水産政策理念といたしまして、水産物の安定供給確保ということと、それからあわせまして水産業の健全な発展を掲げて、その実現のための基本的な施策方向を示す水産基本法を今国会に提出をさせていただいているところであります。  このような新たな基本法政策に沿ってこれから国民全体の御理解をいただきながら水産業の健全な発展策を考えていくつもりでございますけれども、まさに今先生おっしゃいましたとおり、日本は水産国でもあるわけでありますから、そういった面で間違いのない方向のひとつ施策をしっかりやっていきたいというふうに思っているところであります。
  58. 谷林正昭

    谷林正昭君 大変心強い決意を述べていただきました。ぜひ強いリーダーシップで水産業発展をぜひお願いしたいなというふうに、そのリーダーシップを発揮していただきたいなというふうに思います。  今ほどありましたように、これまで四十年間法律が変わりませんでした。沿岸漁業振興法というのがございまして、これをよりどころに皆さんが地域漁村など頑張っておいでになったというふうに思います。今、新しい法律をつくって二百海里時代に即応していきたい、こういうことになるわけでございますけれども、やはり私は何といっても沿岸漁業というものがそこの振興のかなめだというふうに思いますし、その活性化が今後の水産事業の新たな出発点だというふうに考えておる一人でございます。その辺の考えについて、御所見がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  59. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 私も新潟県で、お隣でございますので、私からお答えをさせていただきたいと思います。  今、甘エビが最盛期でありますし、入善で海洋深層水を早々と手がけられて大変感心をいたしております。  先生指摘の沿岸漁業振興につきましては、水産政策の中でも大変重要な分野であるわけでありますし、遠洋漁業、近海漁業ありましたが、今沿岸漁業漁業生産量の約四割、漁業生産額の五割以上を占めるということでありますし、漁村にとっても大変身近な漁業であるわけでありますので力を入れていくべきだということでありますし、水産基本法の中でも増養殖の推進ということを第十六条に掲げております。つくり育てる漁業推進していこうということでありますし、事業の共同化の推進、あるいは人材の育成確保、そしてまた漁村の総合的な振興など沿岸漁業を想定した規定を数多く設けているところでございます。したがいまして、水産基本法の成立を果たして、そしてしっかりと新たな漁業政策水産政策に力強く前進をいたしたいと思っております。  平成十三年度には、漁業地域振興のために二千二百七十七億円、あるいは漁業地域活性化二百四十五億円という予算の配分をいたしておりますので、着実に平成十三年度も実施をして沿岸漁業振興を果たしたいということでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
  60. 谷林正昭

    谷林正昭君 私の同級生で漁師をしているのがたくさんいます。魚津は漁港の町でございまして、こんな言い方をしたら申しわけないんですけれども、中学を卒業して、船に乗って、そして頑張って、今私五十四歳ですが、四十二、三歳ぐらいからそういう船の船長になったり漁労長になったり、そういう友達もたくさんいます。そういう人たちに、きょう質問するに当たりまして、いろいろちょっと話聞かせてくれよというような調子で聞いてきました。やっぱり都市へ行くと地元へ帰ってきたくなる、こういうような話をしました。  一方では、富山の水産試験場へ行ってまいりました。一生懸命頑張っておいでになります。そしてまた、これからはまさに水産資源管理、そして育てる、こういうようなものが必要になってくる。じゃ、その水産試験場というところで何をしているのかというよりも、これから何をしていくのかということを実は聞きました。  そしたら、やはり水産資源管理というのが大事である。ところが谷林さん、水産資源管理と一口に言っても非常に難しいんだ。なぜならば、浮いている魚と底にいる魚、これは別々であります。海流に乗って回る魚と、地べたで大きくなる魚、別々であります。特に沿岸漁業ということになりますと、定置網と、沿岸の底にいる魚をどうやって効率よく育てたりあるいは捕まえたりするかということになるわけでございます。  その水産試験場で私が感じたことは、魚の生態あるいはカニの生態、エビの生態、こういうものがいまだにはっきりしていない。例えば、私もびっくりしたんですが、甲羅がこれぐらいの約五センチぐらいのカニがいます。じゃ、このカニは何年物ですかと聞きました。わからないと言うんですね。じゃ、甲羅が十五センチとか十センチになるためには何年かかりますか、はっきりわからないと言うんですね。何回脱皮するのかもわからないというような話を専門家が言いました。  そうなってくると、私はこの資源管理というのは非常に難しいものではないかなと。口で言うのは易しいですけれども、金と人と時間がかかるんではないかなと。そしてまた、それを管理しながら漁業者の皆さんに理解と納得をしてもらって初めて管理漁業というのができてくる、そのためにはしっかりしたデータが必要だというふうに思いましたので、じゃ、その水産試験場、仮に水産試験場とします、そこでいろんなデータを集めるときに、漁業者の皆さんに納得してもらえるためには人と金と時間、先ほど言いましたように、かかるとしたら、水産庁、その先頭に立つというふうに思いますが、農林水産省として、その方向性をしっかりと出していかなかったら私はできないというふうに感じました。そこらあたりの思いをぜひ聞かせていただきたいというふうに思います。
  61. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 今、先生から本格的な二百海里時代というお言葉がございました。日本の周辺水域と言ってもいいと思うんですが、その水域内における漁業資源をきちんと保存、管理をする、そして持続的に利用する、これが今後の水産政策の最大の課題であります。その場合、やはり科学的な根拠、科学的なデータを持ってその資源の状態をきちんと掌握するというのが大事でございます。  今回、水産基本法の中でも、水産資源の適切な保存、管理のためには調査研究が不可欠であるということをきちんと位置づけをしております。私ども、実際にも毎年二十億近い予算を計上いたしまして、資源の状態、ただいまおっしゃられましたような生態系の問題も含めて調査をしているわけでございます。これに基づいて、資源状態がはっきりしているものについては、現在七魚種でありますけれども、TAC制度、きちんと漁獲量の可能量を定めております。  今後、このTAC法の改正をさせていただきまして、資源量が完璧にはつかめていないけれども傾向として大体こんな方向を向いているというふうなものについては、漁獲可能量ではなくて、むしろ投下資本、つまり漁獲努力量というものを一定程度に抑えていくというふうなことをやりたいと思っております。その場合かなめになりますのが試験研究機関でございまして、この四月からは独立行政法人になりますけれども、水産総合研究センター、これがかなめになると思います。そして、各県の試験場と連携をとって、資源の状態、生態をしっかり調べていくということになると思います。  今、おっしゃられたエビであるとかカニであるとか、そういった甲殻類などの資源あるいは生息の状況というのは非常に難しいものがあって、時間はかかりますけれども連係プレーをうまくやることによって状態がわかっていく、こういうところに力を入れていきたいと思っております。
  62. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひ力を注いでいかないと、私は漁業者の皆さんの理解だとか消費者の皆さんの理解だとかというのは得られなくなって、安易に輸入だけに頼っていくようなそういうような産業になることを非常に懸念をしておりますので、ぜひ人と金と時間がかかるということを思いながらその政策に取り組んでいただきたいというふうに思いますし、私も継続してこの問題を取り上げていきたいなというふうに思っております。  次に、大臣の口からもございましたが、担い手確保というのを少し議論をさせていただきたいと思いますが、大体今、沿岸で漁師さんになるという方は、先ほど言いましたように中学を卒業して頑張って頑張って家庭をつくり、子供を産みというような生活を支える、そういう方々がそれこそ三十年前、二十年前でしたらおいでになりました。四十年前でしたらおいでになりました。ほとんどそういう方でございました。ところが、今はそうじゃなくて、お父さんがもう年になったからサラリーマンをやめて後を継ごうと、その権利をもらおうというような方々が漁業を支えていると言っても過言ではないような状況になってきております。  私は、これじゃだめだというふうに思います。やはり専門学校をつくったり、あるいは専門学校で新たな知識、技術、こういうものをマスターしていただいて海原に乗り出していっていただく、そういうような夢のある漁業にしなければならぬというふうに思っております。そういう意味では、これからの担い手確保育成というのは非常に大きなポイントになってくるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  63. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) これ、漁業に限らず農業においても林業においても、もちろん漁業においても担い手育成確保というのは大変重要だというふうに思っております。今、委員指摘の内容、私もしみじみ見ておったのでありますが、一年間に新しく漁業に就労する方、これが昭和五十三年当時は千七百七十四人ほどおったようでありますが、現在はそれが五百六十四人ほどに、三分の一弱ですね、当時からすると。  さらに、沿岸漁業者の中での、沿岸漁業者全体が二十三万七千人ほどおるということになっておって、そのうち六十歳以上が十一万人だというんですね。その比率が何と四六・四%。昭和五十三年当時は一八・七%、六十三年が二七・二%ということから比べれば、委員おっしゃるとおり急速に高齢化が進んでおりますし、新規就労者が減少していると、大変私どもも強い危機感を持っておるところでございます。  そこで、今、当農林水産省といたしまして、新規就業希望者に対しては、一つは求人情報なりをこっちサイドから適切に発信をしていこうではないかと、あるいは新規参入者の就業を支援するための研修の機会、そういうものをしっかりと確立をしようということ、それから若い青年漁業者等が漁業経営を始めるに当たって必要な無利子の資金の貸し出しをしようということ。それから、水産業の改良普及事業において、将来の地域漁業の中核となる青年漁業者育成漁村助成、高齢者の活動の支援ということで、これ普及事業の中で今やっております。  それからさらに、やっぱり漁業に親しんでもらう、なじんでもらうということはどうしても必要だというふうに思いますので、漁業の体験教育支援事業とか、あるいは少年水産教室の開催、こういうふうなことなんかも今やらせていただいております。  特に、きょう委嘱審査ということでもございまして、十三年度からは青年漁業者中心としたグループが行う漁業経営改善のための創造的な取り組みを支援するというふうなことで、これは沿岸漁業改良資金の融資対象を改善することで、これまで総トン数が十トンほどの小型漁船を対象としておったわけでありますが、しかしもう少し規模を大きくして倍の二十トンのものを対象にして、やはりこれは沿岸漁業改良資金の融資対象にして少しでも支援をしていこうではないか、こんなことで取り組んでおるところでございます。  さらに、私どもといたしましても一層漁民の皆さん等の御意見を賜りながらこの点についても努力を重ねていきたい、このように思っております。
  64. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひ担い手確保水産業に限ったことではございませんけれども、特に水産業、それから二十一世紀は恐らく動物性たんぱく質ということになってくれば一方の柱になるというふうにも思います。  そういう意味では大変悲しいことでございますが、実習船のえひめ丸がああいう事故になりました。まさに船底一枚地獄という言葉がございますが、その船乗りの心意気といいますか気持ちが、どういいますか、ああいう事故で崩れないように、逆に言えばああいう事故をきっかけにしながらも、その対策をとることによっておれも船乗りになろう、おれも漁師になろう、こういうことができてくるんではないかなというふうに思いますので、ちょっと横道へそれましたけれども、私は大事なことではないかなというふうに、今一生懸命政府全体で努力をされているというふうにも思います。  次に質問させていただきたいのは、資源回復計画というのがこれから出てくるというふうに思います。そうなってきたときに、若い人たちがそこに入り込んでいくということも、やはり経営が成り立たなかったら、生活が成り立たなかったら私は入ってくる人もいないというふうに思いますし、あるいは回復計画をするときに網目をもう少し大きい網でやろう、あるいは小さいものは取らないようにしようとか、いろんなそういうものも大事になってくるというふうに思います。  そういったときに、中小の漁業者の方々やあるいは中小の中核漁業経営体の方々が新しいそういうものに対応できるためには、いろんなそういう経営安定策というものが必要になってくるというふうに思います。そこらあたりの対策について、ございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  65. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 資源回復計画とその実行というのはこれからの政策遂行のかなめだろうと思います。十三年度中には着手をして十四年度から資源回復計画とその実施をレールに乗せたいと思っております。  確かに、中長期的に見れば資源が回復してくるわけでありますので、相当いい影響が出ますが、短期的には我慢をするということで、減収につながります。こういった減船、休漁あるいは先ほどおっしゃられたような漁獲努力の低下ということに対しては手当てをする必要がございますので、新しい基本法案の中にもその旨は明定されておりますけれども、国としてきちんとした支援をしたいと考えております。
  66. 谷林正昭

    谷林正昭君 そこがこれからの漁業一つの大きなポイントになってくるというふうに判断をさせていただいております。ここらあたりも継続して、少し後ほど議論をまたさせていただきたいなというふうに思います。  ちょっと観点を変えまして、今お聞きするところによりますと、水産物の中で原料、原産地を表示するものはサバ、アジ、ウナギ、ワカメ、この四種類だというふうに聞いております。私が思うのは、やはりこれからの水産物というのは、もっと消費者に安心して食べていただくということになれば、一方ではブランド化を目指すというものも出てくるでしょう。一方では、そのブランド化にあやかって不正表示というものも流通の中で出てくるんではないかという危惧がされます。  一つの例でとりますと、こういう言い方をしたら申しわけないですが、コシヒカリの生産の数倍がコシヒカリといって流通している、こういうことを考えたときに、やはり水産物もこれからは消費者の理解があって、初めて水産物の消費がふえるというふうになります。  そういうことを考えましたときに、ブランド化とあわせまして不正表示防止という観点を考えていかなければならないというふうに思いますが、御見解をお聞かせいただきたいのです。
  67. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 今御指摘がございましたように、商品差別化をする、ブランド化をする、それとあわせまして、不当、不正の表示を防止していくというのが大事だろうと思います。  幸い、既に生鮮水産物については各種の表示が昨年の七月から実施されているわけでありますが、この四月一日からは加工水産物についても名称あるいは原材料名等の表示がJAS法によって行われることになっております。JAS法の中では、きちんとした内容の表示をするということ、品質の表示をすることと同時に、紛らわしい表示をしてはいけないということになっております。また、そうした表示をした場合には、それぞれ指導をする、公表をする、命令を出す等々の措置が講じられておりますので、そうしたJAS制度の枠組みを使いまして、きちんとした監視をしていきたいと考えております。
  68. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひきちんとした監視というものが大事だというふうに思います。それが消費がふえる、ひいて、言うならば漁業活性化をしていくというふうに思いますので、ぜひ御努力いただきたいと思いますし、私もそういう面について勉強をもっともっとしていきたいというふうに思っております。  続きまして、漁村活性化といいますか、漁業には多面的機能、いろいろあるというふうにも思っておりますが、多面的機能については後日また議論させていただくということにしまして、まず漁村活性化がやはり島国であるこの日本を元気づけてきた原点だというふうに私は思います。そういう意味では、この漁村活性化は、非常に今沈滞をしているといいますか、頑張っておいでになるんですけれども、もう一つ沈滞をしているというふうに思います。  そこで、漁獲以外の収入を何とか見つけ出し、あるいは漁獲以外でその漁村活性化していく努力がされているというふうに思います。例えば、民宿をやったり、観光に力を入れたり、あるいは遊漁船を出して釣り人に来ていただいたり、こういうように知恵を絞りながら頑張っているというふうに思います。  ところが、残念ながら、そういう民宿あるいは観光、遊漁船、そういう努力に対してこれまで国の支援というものが私はなかったんではないかな、あるいはそういう公的支援というものがなかったんではないかなというふうに思います。個人の一つ一つの仕事に支援するというのは、これは間違いだというふうに私は思います。しかしながら、漁村というものを守っていく、あるいは活性化をしていく、そういうためには何かものがあってもいいんではないかというふうに私は思いました。  御見解があれば聞かせていただきたいと思いますし、そういう支援策をこれから考えられないのか、ぜひお答えをいただきたいというふうに思います。
  69. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 漁村地域に人々が定住をしていく場合の最大の条件というのは、やはり所得機会の確保の問題であると思います。この場合、もちろん漁村地域でありますので水産業による所得というのが核になることは間違いありませんけれども、実態をかんがみまして、漁獲による収入を一としますと、最終製品になれば恐らく五倍ぐらいになるんだろうと思うんです。  ですから、水産を中心にして水産加工、流通、販売、サービス、ここに出ていくことが一つでありますし、今、先生がおっしゃられましたように、レジャーの場としても漁村地域を使っていく、あるいは都市漁村交流させるということが大事でございます。場づくりについては漁場漁港整備事業その他の中で、基盤整備事業と言っておりますけれども、フィッシャリーナをつくったり、あるいは沿岸漁業構造改善事業でいろんな支援がございます。  こういうハードの支援のほかに、ソフト面でもいろんなノウハウを交換し合うというふうなこともやっておりますので、今後やはりそうした所得機会がふえることが漁村地域活性化につながりますので、そういった点にも意を用いていきたいと考えております。
  70. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひそういう漁村活性化、それによって多面的機能というものも国民理解を得ていくというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  時間の都合で最後質問になりますけれども、今海洋深層水の研究あるいは利用活用、こういうものが緒についたところだというふうに思います。そういう意味では、農水省として、海洋深層水のこれからの活用あるいは利用、そしてそれを起爆剤にした町の振興というものも考えていかれるのではないかなというふうに思います。その海洋深層水についての今後の活用の計画なりあるいは施策なり方針なりがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  71. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 海洋深層水が持っている力というのは我々が考えている以上に幅広いものがあると思います。もちろん水産だけではなくて、食品とか飲料水、それから化粧品などにも現在分野が広がっておりますけれども、水産の分野だけに限って言いましても、この海洋深層水は有機物濃度が低いという清浄性がございます。それから温度が低い、無機栄養塩類に富んでいるというふうな特徴がございますので、現在、水産の分野では特に衛生の問題がうるさくなってきておりますので、この海洋深層水を使いまして、漁港等の荷さばきであるとか蓄養であるとか水産加工への利用ということで、言ってみればつくり育てる漁業の方に使っていく余地が相当あるのではないかなというふうに思います。  それから、では、それに対してどういう支援をするのかということでございますけれども、我々はこの技術開発とそれから取水施設への助成を行っております。もちろん取水施設というのがそれだけで水産全部をカバーするわけじゃございませんので、例えばアロケーションをすることなどを通じまして水産以外の分野にもその施設を使って水をとっていくというふうなことを応援したいなと。  とにかく幅広い可能性を持っているわけですから、水産だけということではなくて、いろんな余地を持った支援なり施設整備というのをやりたいと思います。
  72. 谷林正昭

    谷林正昭君 ぜひ力を入れていかなければならない分野だというふうに思います。  時間が来ました。私の魚津では、カニがそろそろ終わりまして、いよいよホタルイカがとれる時期になりました。ホタルイカというのは竜宮の使いと言われまして、これもなぞなんですね、深いところから波打ち際にだっと青い光を、きれいな光を出しながら打ち寄せてきます。そういうものを今、まだことしは食べておりませんけれども、今週あたり帰れば食べれるというふうに思います。手に入りましたら大臣の方へもお届けしたいというふうに思います。  これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  73. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。  きょうは野菜等のセーフガードの発動問題について伺いたいと思います。  私自身、ことしに入ってからも、愛知県、静岡県、三重県、岐阜県など各地に伺いまして、農業林業水産業関係者と懇談をさせていただきましたけれども、どこでも海外の低賃金などを利用した開発輸入の急増などで価格が暴落をして、そして箱代にもならない、離農や自殺という悲劇まで起こっている、種まきや経営をどうしたらいいかということで苦しんでおられました。早く発動してくれないと産地がもたない、切実な訴えを伺ってきております。まさに一刻の放置も許されない、そういう深刻な実態だと思います。  そこで、この間、野菜等のセーフガード発動を求めて、農家の方や消費者の方を初めとしてさまざまな声を上げられて、地方議会においても意見書が昨年十二月、そしてことし三月議会でも今どんどん上がっている、相次いで出されておりますが、農水省には現時点で、県議会それから市町村議会、そして合計どれぐらいこういう意見書が届いているか、答弁お願いしたいと思います。
  74. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) お答えいたします。  農林水産物についてセーフガードの発動を求める地方自治体の意見書の数、平成十二年議決分、都道府県議会からは延べで三十五件、市町村議会からは延べで千三百十三件、合計千三百四十八件いただいております。  平成十三年議決分、これは私ども整理をしたのが三月九日到着分で整理をいたしておりますけれども、都道府県議会からのものは件数はございません。市町村議会から五十八件来ているという状況でございます。
  75. 笠井亮

    ○笠井亮君 今言われた数を合わせますと千四百六になると思いますが、全自治体の四割を超える声が上がっているということであります。  セーフガード協定に基づいて、ネギ、それから生シイタケ、イグサ、畳表の調査が始まってちょうどきょうで三カ月が過したことになると思います。ちょうどきょうが利害関係者からの証拠提出及び証言の期限ということになっていると思いますが、調査の現段階はどうなっているか、報告をお願いしたいと思います。
  76. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) ネギと生シイタケといわゆる畳表、イグサの三点につきましては、十二月二十二日から政府調査を行っているところであります。そして、本日、利害関係者からの証拠等の提出を受けることになっております。そしてさらに、四月二十七日までの間に利害関係者からの意見表明の機会を設けることとしておるところでもございます。  具体的には、実態調査のために生産者、それから生産者団体、それから輸入業者、それから流通業者、消費者等に対しまして質問状を発送いたしまして、それが今戻ってきているところでありますが、その回答について最終的な取りまとめ作業を行っているところでございます。  このような政府調査によりまして、輸入の増加が国内産業に与えている損害等についての実態を的確に把握をいたしまして、関係法令に定めるところによりまして極力速やかに結論が得られるように努力していきたいというふうに思っております。    〔委員長退席、理事金田勝年君着席〕
  77. 笠井亮

    ○笠井亮君 資料はもう大体そろっているのか。それから、現段階でそれをごらんになって、今分析を当然やられていると思うんですが、どんなことが言えるかということで、現段階でおっしゃれることはございますでしょうか。
  78. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 昨日、私が報告を受けた段階では、生産者とかあるいは団体等からはもう一〇〇%近い資料が来ております。そして、これは資料が全部集まってから分析するのではなくて、来ている段階でもずっと分析を進めておるところでありまして、そういった面ではもう最終的な段階に来ておるということでございます。
  79. 笠井亮

    ○笠井亮君 各地を歩いて伺っておりますと、調査開始については、まだ三品目だけれども、これ歓迎されておりますが、それにしても調査に時間がかかり過ぎて対応が遅いんじゃないかという厳しい声や、それからニンニクやショウガの二の舞にしてほしくない、しないでほしいという危惧の声も聞かれます。先ほどおっしゃった四月二十七日という日があるわけですが、それ以降、実際に発動したとしても五月以降になるのか、いつになるのかという声もある。  農水大臣としては、先ほど極力早い結論ということでおっしゃいましたが、どういう見通しで、そして、ここまで来れば発動が必要ということを判断としてはお持ちになっているのか、その辺の決意のところをしかと伺いたいんですが、いかがでしょうか。
  80. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生は多分暫定措置のことを……
  81. 笠井亮

    ○笠井亮君 それもありますが。
  82. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 想定して今御質問なさったんではないかというふうに思うわけでありますけれども、今来ているものの分析を急いでいるところでございますけれども、もし暫定措置ということをやるとするならば、それはセーフガード上、この協定上認められているものでありまして、これが遅延すれば回復が難しいという、そういうような損害を与えているというふうなことが、認定と言ってはなんですが、それが存在するという場合には、これは輸入の増加が重大な損害を与えていること等について明白な証拠があるという仮の決定によってこれができるものというふうになっておるわけでございますから、そういう面が明らかになってまいりますれば、これは九項目にわたっておりますが、それが該当するということになってくるならば私は暫定措置もやぶさかではないというふうに考えております。
  83. 笠井亮

    ○笠井亮君 暫定についてはもうちょっと後で伺いたいんですが、その前に、先ほど申し上げた四月二十七日、その後の検討、最終的に判断の段階で、つまり、実際に伺っている声の中には、今度の夏には選挙もある、だからそういう点では、参議院選挙前だからいろいろこういうことで検討しているということをおっしゃっているけれども、ずるずる先延ばしにして結局やらないということにならないだろうかという、そういう危惧も実際にはあるわけですよ。つまりこのセーフガードそのものの発動についてですね。  そういう点では、そんなことにはしない、もうとにかく今こういうふうに出てきているんだから、極力早い結論としてとにかくやっぱり発動するということに向けて大臣としては決意されるんだ、頑張るんだということでの、そこのところ、まず大きな点で、暫定は暫定でまた伺うんですが、その辺をちょっと伺っておかないと、実際に全国ではその辺が、実際には検討はあるんだけれどもどうなるんだろうと思っているわけですから、その点をちょっと確かめておきたいと思います。
  84. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生、選挙にするほど私は落ちぶれていませんよ。冗談じゃないですよ、それは。
  85. 笠井亮

    ○笠井亮君 私が言っているんじゃないですから。心配しているんですよ。
  86. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) それは、そんなことじゃないですよ。  実際に、ネギにつきましてもあるいはイグサにつきましても、あるいはまた生シイタケにしましても、実態調査を今しておりまして、そういう中で大変な損害を受けているような感じを私は正直言って受けているわけでありますから、とにかく日本のこういった生産に携わっている人たちがそういう再生産に気持ちを持っていけないようなそういうダメージを受けているということであるならば、これは選挙だの何だのそんなのは論外でありますよ。きちっとその辺のところはやっていかなきゃならぬというふうに考えております。
  87. 笠井亮

    ○笠井亮君 きちっとやっていただくという決意があるということで伺いました。  私はやっぱり、当該政府が国内産業を守る、それから国内の農水産業を守るという確固とした姿勢、決意があれば、これは当然発動できると。冒頭に伺いましたけれども、地方の意見書、そして農業団体、農家の方々、消費者の方々の要望がある。しっかり受けとめて直ちに私は発動すべきだと。そして、価格の補てん制度の改善など国内野菜を安心してつくれる環境をつくるということが急務だと思います。  そこで、先ほど大臣、やぶさかでないというふうにおっしゃった暫定の問題をもう少し伺っていきたいんですが、調査開始の昨年十二月の時点よりも三品目の事態、これは輸入量の増加、価格の低落など、さらに深刻になっていると思います。  例えば、財務省が先月十九日にまとめた二〇〇〇年の統計を見ましても、一九九九年から二〇〇〇年の推移で、ネギの輸入は四三%増、生シイタケも三三%増で、畳表に至っては一五〇%増、すべて史上最高の輸入高になっている。そして、十年間ぐらいで見ますと、一九九〇年の輸入量と比べると、ネギで五・八倍、生シイタケで四六・六倍、イグサ、畳表の方は三・三倍ということであります。  また、ことし発表された農水省の統計を拝見しても、二〇〇〇年の卸売価格を見ますと、ネギが一キロ二百八十五円で、これが、二月中旬の農水省の野菜に関する月間情報を見ますと、さらに一キロ百七十四円という形で大変な状況です。畳表も一枚九百八十円に下がって、生シイタケは一キロ九百三十円という過去最低という状況で、状況悪化の一途をたどっていると。そして、輸入が増大していること、そしてすべての農民が価格暴落で損失を受けているということはだれが見ても明らかだと思うんです。  先ほどの質疑の中で大臣現場主義ということを強調されましたけれども、この三品目について、調査を始めてさらにその後のことしに入っての事態を大臣としてはどういう認識を今持っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  88. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 今、先生の御指摘の数字は私も今手元に持っております。そういったことで、相当大きなダメージを受けているんではないかというふうに私も認識をしておるところであります。  今来ております調査のいろんな資料、これを早急に分析をしているところでありますけれども、先ほども答弁申し上げましたとおり、その資料に基づきまして、今すぐに暫定措置をやらないと相当の損害を受ける、立ち上がることができないというふうなものがしっかりと結果として出てまいりましたならば、私はその暫定措置も辞さないというつもりで今対処しているところであります。
  89. 笠井亮

    ○笠井亮君 もうそういう意味では、結果というか、事態としてはそういう状況になっているということだと思うんです。  外務省にお越しいただいていますが、暫定セーフガードの発動要件について伺っておきたいんですけれども、発動するには協定の第四条で規定されている、先ほどありました九つの経済指標と、それから輸入と損害との間の因果関係の客観的な証拠というのがあるわけですけれども、これ全部そろわないと暫定セーフガードというのは発動できないのかどうか、そこのところはいかがですか。
  90. 田中均

    政府参考人田中均君) お答えを申し上げます。  暫定的なセーフガードの発動の要件というのは、まさに今大臣がお答えになりましたとおりでございまして、WTOセーフガード協定の六条に決められておりますけれども、明白な証拠があるという仮の決定に基づき、すなわち遅延すれば回復しがたい損害を与えるような危機的な事態が存在する場合には、加盟国は輸入の増加が重大な損害を与えているか、またはそのおそれがあることについて明白な証拠があると、こういう仮の決定に基づき暫定的なセーフガード措置をとることができるというふうに決めておるわけでございます。  この場合に、こういう輸入の増加が重大な損害を与えているか、そのおそれがあるという明白な証拠というのはどういう要件に基づいて判断をするかといいますと、当然のことながら、セーフガード協定の四条二に掲げられていますような九つの指標、そういうものを十分考慮しながら明白な証拠があるという結論に至る必要がありますし、遅延すれば回復しがたい危機的な事態が存在するということについても、やはり立証する責任があるということであろうかと思います。
  91. 笠井亮

    ○笠井亮君 十分考慮しながらと、それから立証する責任という言い方で実際言われました。そうすると、調査期間中でもこの暫定の発動はできるということは間違いありませんね。
  92. 田中均

    政府参考人田中均君) おっしゃるとおり、ここに掲げられていますセーフガード上は、遅延すれば回復しがたい損害を与えるような危機的な事態が存在する場合と、全部手続を尽くすのが間に合わない、そういう危機的な状況がある場合ということ、そういう前提の中で措置がとれるということになっております。  これはあくまで仮の決定でございまして、これが間違った措置であれば当然関税上の措置は返す必要があるということも手続上決めてございます。    〔理事金田勝年君退席、委員長着席〕
  93. 笠井亮

    ○笠井亮君 そういうことであります。  また、暫定の場合、手順も一般セーフガードよりも簡単だと。財務省の説明を伺いますと、三省連絡会議で提案されれば口頭でも可能だと。また、関税定率法で求められている審議会も、緊急関税等に関する政令の第十条で、この場合、開くまでもないということになっていると。  大臣、先ほども証拠がしっかり出ればやぶさかではないというふうに言われたわけですが、私、今の事態でいえば、まさにもう直ちに暫定に踏み切るということで発動に踏み切るということをおっしゃるべきタイミングではないかと思うんですが、改めてその点を伺いたいと思います。
  94. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) きょうまでに資料が全部集まってくるわけでありますから、それを今分析している最終段階に来ているわけでありますから、きょうそれを言えといっても、それは、その資料を完全に見て、その分析をしていかなければならぬというふうに思っております。  そして、今先生から御指摘のあったような手続上の問題というのも私も十分認識しておりますので、そのしっかりとした資料に基づいてやっていきたいというふうに考えております。
  95. 笠井亮

    ○笠井亮君 松岡副大臣が北京に行かれて、先日、会見その他でもおっしゃっているのを報道で拝見しているんですが、暫定発動をめぐって二十二日という、きょうですね、これから三、四日とか一週間程度のうちに決定するというようなことで述べられたというようなことが言われております。  そして、相手方との交渉を進める上でも、私、まず暫定の発動ということで腹を固めるということで示していくことがやっぱり大事ではないかというふうに思うわけですけれども、きょうが二十二日で、そして資料の公表が二十七日でしたよね。そうすると、二十七日までの間というのが一つのめどになって決断をする、腹を固めてそこまでにやるんだという、そういう範囲で考えてよろしいですか。
  96. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) いずれにしましても、きょうまでにその資料が全部集まるわけですから、その分析をとにかく急いでやりますし、先ほど申しましたとおり集まっているところからもう分析をしておりますから、そう長い時間かかるとは私は思っておりません。  そういう中で、今私の方から申し上げたとおり、重大な影響を受けて、しかもこのまま遅延すればもう破壊されるというふうなそういう状況が出てくるならば、そこで私どもは発動するのもやぶさかでないというふうに申し上げているわけでありまして、今分析を急いでおりますから、少なくともその結果を見なければ、私どもは今この時点でいつどうのこうのということは申し上げることはできません。
  97. 笠井亮

    ○笠井亮君 全国の状況はもうそういう、遅延すれば大変だという状況だということは先ほど大臣もおっしゃったわけです。そして、きょうが期限だということなので、立場上いろいろあるでしょうけれども、しかし腹としてはやっぱり、本当にそれまでやらなきゃいけないというところだなというぐらいはおっしゃれるんじゃないですか、気持ちとしては。
  98. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) とにかく資料がまだきょう一日待たなきゃならぬですよ、来るのが。
  99. 笠井亮

    ○笠井亮君 いやいや、もうほぼ一〇〇%来ているんで。
  100. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) いやいや、九九、近いし、実は流通関係の方とか、ほかにもありますから、それが八割強、そういう人たちのもありますから、きょう多分みんな集まるでしょうから、こちらも催促しましたから、そこでしっかりと分析をしてやっていきたいというふうに思います。
  101. 笠井亮

    ○笠井亮君 大臣としては分析をしながらそういう方向で考えるということで、きちっとやっていただきたいと思います。  三品目以外にも、タマネギ、ピーマン、トマト、さらにタオル繊維製品など、セーフガード調査要求がたくさん出ております。そして、農水省も既にウナギ、ワカメ、木材ということで調査対象にするように要請をしているということでありますが、私、これすぐに調査も開始せずに放置するということは、これらの品目でも許されないと思うんです。  しかし、昨年の例を見ますと、ネギなどについて農水省が当時大蔵省や通産省に要請を出したのが十一月二十四日で、そして実際に調査を開始したのが十二月二十二日。調査を開始するまでに実際一カ月近くかかっているわけです。事態はどんどん悪化する。特に、野菜などはやっぱり季節性、腐敗性などそういうことがありますから敏速な発動が要るわけですけれども、そういう点では調査を始めるまでにも時間がかかっている。  私、きょう委嘱審査でもありますが、やっぱり必要な予算とそれから体制確保して、そして三省の連絡体制をもっと密にすれば、三品目以外についても機敏かつ迅速に政府調査に入れるんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどのように考えていらっしゃいますか。
  102. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 実は、先生指摘のように、特に農産物なんというのは腐食するものでありますし、そういう生鮮品は状況がすぐに変わる可能性がありますから、これはWTOにも日本提案の中でこの期間の問題等も含めて提案をしているところでありまして、私も大臣に就任してすぐに、これは早くやらなきゃいかぬということから強く申し入れもしまして、二十二日から調査に入ったという経緯もあるわけであります。  ですから、こういった面につきましては、やはり本当に時間と勝負という言葉を使うとちょっといけないんでしょうけれども、そういう状況もあるものですから、そういった面はぜひひとつ関係省庁とも連携をとりまして、しっかりその辺はやっていかなきゃならぬというふうに思っておるところです。
  103. 笠井亮

    ○笠井亮君 時間との勝負と言われましたけれども、まさにそういう問題なので、暫定も含めてこの問題というのは本当に大臣としての強い決意が求められていると私自身申し上げたいと思います。  農業団体は大分以前から農産物へのセーフガード発動を求めております。そして、我が党もかねてから生産者団体からの要請を受けて調査をすべきだということを申し上げてまいりました。今回、一般セーフガードが発動されたとしても実際には五月以降ということになりますと、当事者から声が上がって一年、二年たってからようやくそこまで三品目が行くのかどうかということであります。  昨日の予算委員会の中で財務省の方から、調査に入るかどうかについては職権主義をとっている、しかし生産者の意向を的確に把握するための手続関係を明確にするということで、政令を関係省庁と協議して準備中だという答弁がございました。農水省も当然この協議には加わっていらっしゃるわけですね。
  104. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生指摘の政令改正の問題なんですけれども、現在、財務省でこの検討作業を進めているというものであります。  具体的には、セーフガードに係る政府調査について、産業所管大臣が利害関係者の求めその他の事情を勘案いたしまして、そして財務大臣それから経済産業大臣に要請することになっているわけでありますけれども、この改正につきましては当省としても相談を受けております。  そういったことから、この農産物の輸入増加による影響を受けている生産者等の要請がセーフガードの調査に係る手続上の問題で明確化されるものであることから、この改正は明確化するということでありますから、農林水産省としても望ましいというふうに考えております。
  105. 笠井亮

    ○笠井亮君 望ましいということでおっしゃいましたので、これは積極的に対応して、ぜひそういう形で調査開始、発動を推進するために生産者団体からの申請権を明確にしていただきたいというふうに思います。  私も今伺っておりまして、あちこちで伺ったときの話を思い出すわけですけれども、やっぱり農家の方々の中で、これだけ大変な状況の中、自分のお子さんたち農業を継ぎたいというふうに言われて、よかったですねと私申し上げたら、いや、よくないんだ、逆に本当に困る、こんな状況で後継ぎしてもらったら子供たちの将来が大変だ、農業だけはやめてほしいと言わざるを得ないという、そういう悲痛な声も伺いました。  食料はできるだけ国産でと、それから安全な食料は日本の大地からという声は、生産者とともに消費者、そして流通業者にも今広がっております。そういう点で、輸入急増による価格の暴落が日本の農業食料の現在と未来にとって放置できない問題になっているというふうに思います。  そういう点で、先ほど大臣の決意、私は非常に前向きに向かってもうぜひともやらなきゃいけないという方向で、きょうの最終の結果を、調査を見て分析して結論を出すんだというふうに伺ったわけですけれども、その点で、再度、最後になりますが、大臣の決意のほどを伺って、質問を終わりたいと思います。
  106. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生、きょうの夕方までに資料が全部そろうわけですから、それは分析は今までにもやってきていますから、来たものを早急に分析して、いわゆる最終段階に来ておりますから、その結果を見て私も対処していきたいというふうに考えています。
  107. 笠井亮

    ○笠井亮君 きちんと対処をお願いしたいと思います。  終わります。
  108. 須藤美也子

    須藤美也子君 私は、ノリの被害について、今回参議院の調査に参加しましたので、その点について質問をいたします。  この間のノリ被害を見まして、干拓の影響は有明海全体に広がっている、こういうことを本当に実感いたしました。昨年四月、当委員会で、私は周辺のアサリあるいはタイラギ、ワカメの漁業被害と干拓の関係について指摘をし、干拓事業の見直しを要求いたしました。そのとき農水省渡辺、今水産庁長官になっておりますが、そのときその渡辺水産庁長官は、諫早干拓事業が「漁業に対して影響があるとは判断できない」、こう答弁されました。今現在のこういう大被害の状況を見て、今でもその認識は変わらないのでしょうか。
  109. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 今、先生がまさに引用されましたように、判断できないということでございます。当時、私の説明の中でも、潮受け堤防締め切り前と締め切り後で漁獲量の低下傾向というものに顕著な差がない、違いがないと。有明海全体が力を失っているけれども、低下傾向が顕著に変わったということではないというふうに申し上げたと、判断ができないということでございます。  そういうこともございまして、今回大不作が生じましたことを背景に徹底した原因究明をいたしたいということで、第三者委員会に検討をお願いしているところでございます。
  110. 須藤美也子

    須藤美也子君 そうしますと、影響がない、こういうことではないんですね、調査をしているわけですから。予断を持たないで調査をする、こういうことであれば、昨年私に答弁なさった農水省のこの認識は撤回していただきたい、こういうふうに思います。  そこで、昨年同じように環境モニタリングについて質問をいたしました。あのとき、魚介類の直接の調査をし、漁業への影響調査を要求したのに対して、それも拒否をしました。そのとききちんと魚介類や漁業の影響について調査をしていたならば、今回このようなノリ被害を招くような結果にはならなかったのではないか、このように思うんです。そういう点で、今慌てて調査をする、そういうような事態を引き起こしているのではないか。  そこで、大臣にお尋ねをいたします。  工事を今中断して、第三者委員会ですか、二回これまで開かれております。さまざまなホットな意見が出ております。私も資料をいただきまして読みましたけれども、こういう意見が出ております。徹底的な原因の究明の結果、干拓で干潟の浄化作用を奪い、海流の流れで生物環境の変化によってノリ被害など漁業被害の原因になった。この結果がだれにも明快に改めて明らかになったとき、そのとき大臣はどう対応なさるのでしょうか。
  111. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生、私、大臣になって本当にすぐのときでしたが、このノリ問題等があるということを前々から聞いておったものですから、すぐ調査に入れと。実はまだそのときはノリの不作の問題が余り表へ出てこなかったときなんですが、すぐ調査に入ってくれということを申し上げたのであります。そのときに私ははっきり申し上げたのは、予断を持たないで調査する必要がある。ですから、農水省の方で仮にあそこが影響ないというのも予断だ、それから影響があるというのも予断だと。だから、そういう予断を持たないで総合的な調査をする、徹底的に調査をする必要があるであろうというようなことでこの調査に入らせたわけであります。  そこで、いろいろあそこを研究なされている学者の先生方もいらっしゃいますし、現場で実際に漁業をなさっている方たちもいるわけでありますから、その研究なされている先生方、そしてまた、水の問題というのは古老に聞けということをよく私のところでも言われるんです。ですから、私も一月二十九日に現場に行きましたときにその話をしましたら、全くそのとおりなんだという話も聞いたものですから、それでは肌で感じている人も委員の中に入れてほしいということもお願いをしまして、これは学者の先生方もみんな地元からの推薦という形をとったわけでありますけれども、そこで委員構成をさせてもらったわけであります。  そういう中で、予断を持たないでいろいろ調査させてもらうということでございまして、ですから、私自身がいろいろな発言をしますと予断を持たせるようなことにもなりかねないものですから、第三者委員会で出されてくる結論というものについては、これは多少時間がかかりますが、そういった中でそれを尊重していきたいというふうに私は思っているところであります。
  112. 須藤美也子

    須藤美也子君 ということは、干拓の見直し、これも選択肢の一つに入っているということですね。
  113. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) ですから、そういうふうに言うと予断ということになってきますから、私は予断を持たないで調べてほしいということを申し上げているところです。
  114. 須藤美也子

    須藤美也子君 じゃもう一つ。どういう結果が出ても、干拓先にありきで、これを何が何でもやり抜くということではないんですね。
  115. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) ですから、そういうふうに最初から断定をしていると予断を与えることになりますから、私は何回も申し上げますが、私自身が予断を与えてはいかぬということで、それで調査をさせてくれと言っておるわけですから、その辺は御理解いただきたいと思います。
  116. 須藤美也子

    須藤美也子君 それでは、この調査委員会の中で、第三者委員会の中で、今内部堤防の建設がどんどん進んでいる、あれが全部できてしまったらその後は、その結果、第三者委員会の結果、あの干潟は漁業にとって重要な干潟になっていると、そういう結論が出たときに、この第三者委員会の中では、もうどんどん内部の堤防が完成すれば干潟は元に戻らない、こういう意見もあるわけですね。私ももっともだと思うんです、あそこにたびたび調査に入りまして。  そうしますと、そういう結果、そういう学者先生やいろいろな第三者委員会の方々の意見を予断を持たないで尊重していろいろ聞くという対応であれば、これは大臣も同じそういう認識に立たなくちゃならないと思うんですが、いかがでしょうか。
  117. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 今、先生がお話しなされたことはかなり学者の先生方の第三者委員会に予断を持たせるようなちょっと発言が多いんですが、私は、そういうものも予断を持たないで調査をしていただく、そういう中であそこの第三者委員会一つ方向を出すんではないかなというふうに思います。それを尊重していきたいというふうに考えております。
  118. 須藤美也子

    須藤美也子君 予断を持たないで調査をする、その結果いろいろ対策をとるということであれば、少なくとも原因の結果がわかるまで干拓工事を中止すべきだと思うんですが、いかがですか。
  119. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) ですから、中止するとかなんかということをやるとこれは予断になってきますから、ですから、そこの第三者委員会でどういうふうにするか。例えばこの十三日の委員会においては、工事を一時中断して、そしてあそこを調査してほしいというふうな、そういうふうなこともありましたものですから、直ちに中断をさせていただきまして、そこで調査に入って、その資料を二十七日に提出するということになっておりまして、そういうふうな対処をしているわけでございますから、その辺のところは御理解いただきたいと思います。
  120. 須藤美也子

    須藤美也子君 予断を持たないということはいろいろなところで使われているようですけれども、予断を持たないでやるのであれば、今問題になっているのが、干拓によって影響があるとか、あるいはそうでないといういろんなホットな意見が出ているわけですよ。そういうことがはっきりするまで干拓の事業は当然中止すべきだと思うんですが、そういう腹構えがなければこの問題の解決には当たれないと思うんですよ。どうですか。
  121. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生、調査委員会が今いろいろ調査をやっている最中に私の方から、これはこうするんだこっちはこうするんだということは、これは申し上げられません。  例えば、先生も公開していますから全部その中身というのは御存じだろうと思うんですが、工事をしている中でも調査すべきだと言った人もいるんですよ。だから、いろんな形であそこの中にありますから、ただ一方的に私の方がそれはやめるべきだとかなんかというふうにやれば、委員でもない人間が外部から委員会に圧力をかけているような感じにもなりますから、それを私は予断と言うのでありまして、そういうもののない中でしっかりと調査をやっていただきたいというふうに思っているわけです。
  122. 須藤美也子

    須藤美也子君 くどく言うようですけれども、中断したわけでしょう、調査のために。工事中断をしたわけでしょう。まだその調査の結果が、はっきり結果は出ていないわけですよ。ですから結果が出るまで引き続き工事の中止をやるべきでないかと言っているんです。
  123. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 中断は二十七日までになっているんですよ。それはもう期限があるんですよ。その中で調査をするということですから、先生はそれを超えてずっとやれということを言っているんですから、それは予断になってきます。
  124. 須藤美也子

    須藤美也子君 予断、予断というふうになるといつまでも平行線でいくようですから、やはり私は、そういう腹構えがなければ、本当にノリ被害の問題について解決していくんだと、漁業被害等々についても解決していくんだという姿勢があるのであれば、これは徹底して調査をやるべきだと思うんです。その調査を徹底してやるには、やはり工事を中断してこれをやるべきだと、こういうふうに申し上げたいと思います。でも、返ってくるの予断、予断でしょうから、答弁は要りません。
  125. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) いや、それは先生、そういうふうに断定してやるんじゃなくて、何のために第三者委員会を立ち上げて、学者の先生方や漁民の方も入ってもらって委員会を今一生懸命やられているのに、それに先んじてこっちがこうだああだと言うのは、これはちょっと違うんじゃないですか。そういうふうに持ってくるのは先生の方がむしろ偏見を持っていると言わざるを得ない。
  126. 須藤美也子

    須藤美也子君 偏見より何より、私の方は一貫してこの干拓事業に対して見直しを主張してまいりましたから、その立場で申し上げているんです。その結果、いろいろな被害が出てきている、こういう点で、現にこういうのが何年間の間にいろいろな漁業被害が出てくる、環境被害が出てくる、こういう問題というのを申し上げているんです。  ですから、この諫早干拓はいろいろ歴史的な経過があるようであります。長崎県でいえば防災のために必要だ、あるいは県によって漁業者の皆さんもいろいろ対立しているわけですね、今。この水門の問題とか、いろんな形で対立しているわけでしょう。防災であるならば、防災工事は何も農水省予算でやるべきものでなくて、防災は防災、干拓は干拓、あるいは関係省庁との連絡をとりながらこの工事をしてきたならば、このような漁民の対立は起きなくて済んだと思っているんですよ。  ですから、私は、このような漁業者の対立を生み、いろいろな形で有明海を、本当に宝の海を取り戻せというのが漁業者の一致した気持ちなわけでしょう。そういう立場に立つならば、今この干拓を少なくとも結果が出るまで中止すること、さらには、私どもが一貫して主張してまいりましたように、干拓の見直しを私は強く要求したいと思うんです。
  127. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) それは先生の立場のいわゆる意見一つというふうに私どももそれは考えております。  実はきのう長崎県の県議会の議長が来られまして、あそこの県議会で決議をした中には、あそこだけじゃなくて全部調査してくれと、それはいろんな項目が出てきております。私は総合的に徹底的に調査するという中にそれも含まれていると思うんですが、そういう面も第三者委員会でも議論が出ていますから、そういう中で、第三者委員会の中でそういう調査をするというふうになってくるんではないかなと、予測で申し上げるとこれはなんですが、二十七日にはそういうのもあるいは出るかもしれません。そういう中で総合的に調査をしてみないとこれは何とも言えない。今の段階では原因がわからないんですから、それを最初からあそこが原因だという断定のもとに調査をしたり何かするというのは、私はそれは予見だと言っているのでありまして、その辺のところは先生の方でも御理解できるんではないかと思うんです。
  128. 須藤美也子

    須藤美也子君 時間がありませんので、干拓事業の抜本的見直しを要求いたしまして、この問題については所信で改めてまたさせていただきます。  終わります。
  129. 三重野栄子

    三重野栄子君 社民党・護憲連合の三重野栄子でございます。  私は、農林水産業に関する基本理念だとか、あるいはWTO農業交渉と米問題とか、あるいは林業基本法改正の問題だとか、農業者年金問題等々についてお伺いしたいと思っておりますけれども、何と申しましても、今、有明海のノリ問題が大変クローズアップをされまして、私も現地からのいろいろの御要望もございますので、その件をまずお伺いしてまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。  それで、有明ノリの問題につきましては、この委員会でも二月には現地調査をさせていただきましたし、私もその前に福岡県の方を調査いたしました。農水委員会としては佐賀と長崎でございましたけれども。そういうことを前提にしながらお伺いしたいと思います。  有明海は全国でも有数の種類の魚介類が生息しておりまして、ノリ養殖業を初め採貝、タイラギ潜水漁など、さまざまな漁業が営まれまして、年間五百億円を超える水揚げがあり、まさに海の宝庫と言われてまいりました。有明海沿岸の福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、四県では地域経済を支える重要な地域産業の一つとなっていること、今さら申し上げることはございませんけれども、そういう状況です。  そこで暮らしております人々は、親子代々漁業を継いでいる。それから、豊かな海に育てられているわけでありますけれども、市や県民もやはりそこに参りまして、暮らしの場でもあるわけです。しかしながら、ダム建設だとかヘドロの堆積、石炭採掘による海底陥没、生活雑排水による汚染、今も問題になりましたけれども、諫早湾の干拓事業に伴いまして潮受け堤防の建設等々、その原因は現時点では定かでないまま、近年、プランクトンの大量発生によりまして赤潮の多発、それから海水温の上昇及び潮位の変化などがございました。今まで、かつてない現象が続いているわけでございますけれども漁業資源が減じているわけでございますけれども、特に主幹漁業でありますノリ養殖業は、昨年度の不作に続きまして栄養塩不足による色落ちが激しく、この前現物も見せていただきましたんですけれども、最盛期にノリ網を一斉撤去せざるを得ない史上最悪の状態となっているところでございます。  そこで、何よりもノリ養殖業者などの直面する生活危機を救済し、豊かな有明海を再生するための緊急な施策を要請したいと思うのでございます。  まず、ノリ生産や魚介類採取の展望がない漁業者の生活の問題でございますけれども政府はいち早く特別融資制度を示していただきました。これは非常によかったというふうに思うのでございますけれども、しかし、実際の状況を見てみますと、乾燥機、大きな機械が何台もある、そして大変借入金が多うございまして、毎月返済をしている。それから、そういう状況の中でこの特別融資制度によって救済されるということについては、非常に現地では困ったというふうに思っているところでございます。ノリ漁師は今多額の借金を抱えているわけで、自転車操業のやりくりの状態でございますから、来年のノリ漁業が再開されますことしの九月までに何らかめどがつかないと、借りるにも借りられない。その見通しもつかないときに、今の政府が出されております状況では何としても安心感がない。ですから、命を絶つという状況もあるそうでございます。  やはり、国に今、九月にあるかないかわからないというときに、困っているそういう人々に対しまして直接的な生活保護を早く示していただきたいのでございますけれども、その点について大臣の御見解を伺いたいと思います。
  130. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生指摘のようにノリ養殖業者、この不作によりまして大変な苦境に立っているということは十分わかっておるものですから、私どもとしましても共済金の早期の支払い、また、この共済金の早期支払いといいましても、何か入っていない方も随分あるんだと聞きまして、私も正直言うとびっくりしたのであります。佐賀なんかは大体皆さん入っているんですね。ところが、きのうも福岡の方が来られてその話を聞いたらば、ほとんど入っていないという話を聞きまして、しかも、普通は農家ですと、一戸、一戸が共済に入るんですが、あそこは組織体、いわゆる漁業組合単位で入っているんだそうでありまして、そういうことがあるとぽかっとそこが共済に入っていないという状態だということを聞きまして、これは大変だなと、実は私自身がそういうふうに思ったわけであります。  そういうことから、地元の自治体とも相談をいたしまして、貸付利率の無利子化、今お話がございましたが、そういうこととか、あるいは限度額が二百万だったのを五百万までにするとか、こういうときの災害時における金融対策というのは、従来からいうと、無利子化なんというのは、三宅島とか有珠山とか強制的に動かされた方たちにやるものを、それをあそこに当てはめてやっているという状況でもあります。  それで、何といっても今先生がおっしゃいましたように、九月末ごろまでに私どもはきちっとした中間報告をしないと十月の網入れのときに非常に困るだろうというふうに思うわけでありまして、私も現場でいろんなお話を承った中に、準備はもっと早くからやるんだという話も聞いたものですから、それは九月末まではとてもそうはいかない、もっともっと前倒ししてやる必要があるだろうということから、実は四月から、新年度からやるべき第三者委員会を前倒しさせていただきまして三月三日から入ったということもひとつ御理解をいただきたいと思うんです。それで万全の対処をしていきたいというふうに思っているところであります。
  131. 三重野栄子

    三重野栄子君 いろいろと積極的にやっていただいているということは理解できますが、今申しましたように、いや、もう借りる能力がないというような状況についてはどのようにお考えでしょうか。
  132. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 具体的にはまだそういう話が直接来ているわけじゃありませんが、そういうふうなことになってくるということであるならばまたいろいろと相談をしていきたいと思っておりますけれども、そういった面はしっかりとしたそういうふうな方たちの要望というんでしょうか、そういうものは県からもまだ来ておりませんので、来たならばまたいろいろと考えをめぐらせていかなきゃならぬかなとは思います。
  133. 三重野栄子

    三重野栄子君 そうでございますか。社民党としては要請をしたと思っておりましたのですけれども、全然来ておりませんですか。  九月になりまして、どうしてももう今以上どうにもならないということにつきましては、いろいろ委員会もございましょうが、ぜひともその点について御検討をいただきたいというふうにさらに要請を申し上げたいと思います。  次に、やはりノリ業者だけではありませんで、ノリ関連の中小企業の皆さんもおられるわけでございますので、そのあたりのことにつきまして、加工とか販売等々の関連中小企業者の皆さんに対する、非常に深刻でございますので、具体的雇用対策についてどのようにお考えでしょうか。
  134. 三沢孝

    政府参考人三沢孝君) お答え申し上げます。  ノリ関連の事業者に対する雇用対策のお尋ねでございます。この点につきましては、私ども厚生労働省におきましては、有明海のノリ問題、これの雇用面への影響に対処するため、福岡県を初めとする関係四県の労働局による連絡会議を設置し、情報の収集に努めているところでございます。  三月二十一日、昨日の調査によりますと、ノリ生産者本人あるいはその御家族の方々、それから先生おっしゃっておりますノリ加工業者を初めとするノリ関係事業所の従業員の方々、これらの方々でハローワークに仕事を求めて求職の登録をされている方々は、在職中の方々も含めまして三十名と把握しております。そのうちノリ加工業等のいわゆる従業員の方々は九名、こういうふうに把握しております。私どもとしては、これら就職を希望する方々に対しましては、その希望に応じた求人の確保に努める、あるいはきめ細かな職業相談、紹介を行いましてその早期再就職に努めていきたいと、こう思っております。  また、今後とも関係の労働局間で緊密な連絡を図りながら、この問題に関する情報収集、これを機動的に行いながら、就職を希望される方々につきましては適切な就職援助、これに努めていきたいと思っております。
  135. 三重野栄子

    三重野栄子君 どうもありがとうございました。  九名であっても一名であっても大変な命と家族でございますから、よろしくお願いいたします。  次に、子供たちの就学とか進学援助あるいは心のケアの問題につきまして、政府の対策をお伺いしたいのでございます。  何せノリ業者の皆さんは大きなおうちに住んで、いいようでありますけれども、とってきたノリを乾かす、それから延ばす、裁断する、もう幾つも機械がありまして、そしてそれが、冬は例えば男性が船に乗っていくわけですけれども、夏になりますとその網を全部家に持って帰りまして、洗って、洗って、洗って、そして女性たちはずっと穴があいているところをつなげるとか、それから大きい子供もやっぱり応援してやっていくというようなことで、本当にもう家族ぐるみでやっている事業でございます。  私、このたび具体的に見まして本当にびっくりしたわけでありますけれども、そういう状況の中で、子供たちの就学あるいは進学につきまして大変心も痛む状況でございますので、これらにつきましてどのような施策がございますか。なければ積極的にやっていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  136. 工藤智規

    政府参考人工藤智規君) 経済的理由によりまして就学困難な子供たちに対する援助の仕組み、いろいろございます。  一つは、小中学校の場合、これは義務教育でございますけれども、経済的困難な場合に、学用品でございますとかあるいは修学旅行費用でございますとか医療費あるいは給食費等、市町村が御援助する仕組みがございまして、そういう市町村の御援助について私どもがさらに二分の一の補助をするという仕組みがございます。  さらに、学校に在学あるいは進学した場合の授業料等の扱いでございますけれども、国立学校の場合に減免措置を講ずることができるのがございますし、公私立学校の場合につきましては、それぞれの設置者の御判断でございますけれども、やはり同様の減免措置を講じている例が多いところでございます。そのうち特に私立学校の場合については、そういう援助、減免措置を講じた場合に、私どもの方からも私学助成の一環としてのさらなる支援をしてございます。  もう一つ、三つ目としまして奨学金でございますが、日本育英会が行っております奨学金で、災害等によりまして家計が困難になった場合に、緊急無利子の緊急採用奨学金制度というのを実施してございまして、さきの三宅島等の場合もそうでございますが、この適用は随分活発に行われているところでございます。  この件につきましては、私ども既に教育委員会や学校には周知しているほかに、水産庁の御協力も得て、漁協も含めて親御さん方への周知も図ってございまして、このような措置を通じまして子供たちの就学支援、遺漏のないように努めてまいりたいと思っております。
  137. 三重野栄子

    三重野栄子君 私も奨学金で学校へ行ったグループでございまして、大変助かったわけでありますけれども、しかし、それを募集するときの時期とかいろいろございますですよね。それからほかの問題、今も補助金、相当おっしゃっていただきましたんですけれども、例えば今こういうことで大変だよ、奨学資金も用意しますよ、それから給食費もこういうことがありますよということを、今の時期にやっぱり積極的に学校を通じて、あるいは市町村を通じて誘っていただきたいんですけれども、そこら辺はいかがでしょうか。
  138. 工藤智規

    政府参考人工藤智規君) 先ほど申した奨学金等も含めて随時受け付けして対応してございますし、これまでのところ、有明海ノリの不作に伴う就学援助として現に学用品等の御援助をされている例が一例聞いてございます。これからも御希望に応じて対応が可能でございます。
  139. 三重野栄子

    三重野栄子君 その点、私どももう少し広げてみたいというふうに思います。  次に、諫早の干拓の問題についてお伺いしたいというふうに思います。  ノリ不漁の原因の一つに、先ほどもいろいろ議論がございましたけれども、諫早干拓が指摘されておりますけれども、これはいわゆる調整池の水質検査に関しまして、九州農政局と島根、長崎両大学の先生方の調査が今まであったわけでございます。それに関しまして意見が違うようでございますけれども、そこらあたりについてはどのように、それは過去のことだったと言えば過去でございますけれども、そこらあたりはいかがでしょうか。
  140. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 実は、意見が違ったといいますか、確かに私もその場にいましたから、そういう意見が違う面がありました。そこで資料が少し足らないから資料を出してほしいということで、調整池の中の調査をすることになりました。そういうことで、二十七日までにその調査をした結果の資料を出すということになっているわけであります。
  141. 三重野栄子

    三重野栄子君 第三者委員会での積極的な御対応のようでございますが、よろしくお願い申し上げます。  それに関連するんですけれども、排水門の開放をめぐりまして、先ほどもありましたんですけれども、賛否両論が非常に激しく対立しておりますから、第三者委員会というのを設置されましてやっておいでと思いますけれども、死滅しつつある有明海をよみがえらせるためには、有明海全域の海底調査がやっぱりあわせて必要ではないかというふうに私ども思います。そういうことによって諫早湾を再生させていくということになろうかと思うわけです。  長崎県の森山町の田中町長は、有明海を臨んで生活する漁民と諫早湾住民が対立する構図は悲しい、宝の海を再生し、地域防災も維持できるような共生の道をとるべきだと強調されております。  これは、もう町長だけじゃなくて皆さんそう思っているわけでございますけれども、やっぱり有明海沿岸住民にとりまして現在の状況はまさに死活の問題でありまして、汚染原因究明と再生への抜本的対策が確立するまでの間どうすればいいかということであろうと思います。今は三月二十七日まで諫早干拓工事を中断しているということでございますけれども、やはり私も中断して調査をしていくのがいいだろうというふうに思うわけです。  ところが一方、この前テレビでやっていた方の御意見を聞いたんですけれども、かつて自分は貝をとるのが生業であった、しかし干拓事業で工事が始まって貝がすぐとれなくなった、だから募集がありました工事の仕事を始めた。しかし、今度はまた工事を中止してということになると、一体自分の生活はどうしてくれるんだ、どうなるんだ。いつも政府あるいは政府状況のところで生活を奪われ、また奪われ、また奪われていくということについての、本当にもう悲しむというか、もうどう申し上げていいかわからないような状況の話を伺いましたんですけれども、そういう中止をした場合の仕事の保障とかいうのは、そういうのはどうなっているんでしょうか。
  142. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生今お話の中にありましたように、長崎県とそれからほかの三県と対立するような格好であってはならぬ。きのうも有明漁民の方がいらっしゃいました。その方たちにも申し上げたんですが、同じ仲間じゃないですかと、仲間同士がいがみ合うなんということはこれはもう不幸なことだし、私もそれはもう絶対に避けなければならぬことであるから、冷静にこの調査をひとつ見守っていただきたいということをお願いいたしまして、それはそのとおりだというふうなことを有明漁民の方もおっしゃっていただいたわけであります。  実は長崎県の諫早の方たちは、あそこで漁業をやめられまして、そしてあそこの工事でいろいろとお仕事をなさっている方もいるわけであります。今回の中断によりましてそういう方たちのお仕事がなくなるということでありましたものですから、この調査のために、船はそういう方たちの船を使って調査しようとか、あるいはまたあの中にまだ災害のための工事をしなければならない点があります。こういう点も今工事をやっておりまして、そういうところでまた仕事をしてもらうとか、あるいはもう既に広い陸地になっている中で、いろいろ草刈りをやらなきゃならぬとか、いろんなそういう細かい事情でもありますし、そういうものも今やっていただくということで予算の方も実は措置をしたということでございます。
  143. 三重野栄子

    三重野栄子君 その点を伺いまして大変安心をしました。まだそういうことを御存じない方もあるかもわからないし、これから一体どうなるか心配の方もあろうかと思うんですけれども、その点につきまして私どもとしても精いっぱい皆様にお披露目しながら、安心して暮らせるように努力をしてまいりたいというふうに思います。  次に、諫早の干拓につきましては、防災対策ということでこれまたいろいろ意見の対立がございましたんですけれども、諫早の排水門の開放に反対する理由が、今申しましたように諫早の防災対策だったんだということになりますけれども、実際問題として、じゃ国や県はこの干拓問題、防災対策にどのようなことをなさいましたか。そして、それは成功しているのか、あるいはまたそれがなくなってもその防災は続いていくのか、そこらあたりはいかがでしょうか。
  144. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 排水門の開閉につきましては、谷津大臣がしばしば申し上げておるとおり、第三者委員会の結論を最大限に尊重して対応していくということでございます。  今御質問の、排水門を開放した場合にどういう影響があるかということを逆に考えてみますと、防災面については、例えば平成十一年九月の台風十八号の通過、あるいは同年七月の記録的な大雨がございました。最大時間雨量が百一ミリメートル、日雨量三百四十二ミリメートルの大雨の事態でありましたけれども、本事業による効果が調整池周辺の低平地で着実に発揮されて、地域住民の皆さん方から大変防災面で安心感を持って受けとめられておるということでございますので、歴史的に見て非常に災害の多い地域でございましたので、多くの近くの皆さん方はこの堤防によって長年心配をされておった災害から守ってもらっておるという意識が非常に強いというのが現状でございます。
  145. 三重野栄子

    三重野栄子君 その場合、この排水門を開放したらどうなるでしょうか。その点も大丈夫ですか。
  146. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 今調査中でございますけれども、第三者委員会の皆さん方からの御意見を拝見いたしておりますと、仮に排水門を開放した場合、一事例でありますけれども、大潮時の干満の差が四・八メートルから九メートルございます。  そうしますと、調整池の中が二・二メートルから、連動いたしますから二・五メートルということになりますと、中の堤防と大体同じような高さになりますので、そういう面では集中豪雨等がありますと防災の効果がなくなるといいますか、災害の危険性があるということを発言しておられるわけでありますが、その点につきましても第三者委員会の皆さん方になお一層御意見を伺えればということになっております。
  147. 三重野栄子

    三重野栄子君 その場合は、ほかにもうないのか、排水門の問題だけでほかにいい防災の方法はないのかということも検討いただきまして、やっぱり開放した方がいいという意見の方が、私はそう思いますので、そこらあたりの御検討もぜひお願いしたいわけでございます。  それから、干拓地の分は農地にしようというふうな初めの御計画のようでございましたんですけれども、今農地が、だんだん余ると言うとおかしいんですけれども、諫早でも荒れたままの農地があるそうでございますけれども、やっぱりここは農地として必要でしょうか。
  148. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 先生御案内のとおり、長崎県は非常に山間部が多くて、傾斜のある農地が多いという状況でございまして、平たんで広がりのある農地が非常に少ないという状況でございます。  また、諫早湾周辺地域でございますけれども、県内の四十歳未満の基幹的農業従事者の約六割が集中しておられるということで、ある意味では長崎県の中の一番先進的な畑作地帯だろうというふうに思っております。また、これらの地域におきましては、農地の借地とかあるいは施設園芸等の利用が進んでおりまして、規模拡大の意欲が非常に強いというふうに伺っております。  私ども、そういうような状況でございますし、農政局がいろいろ調査をいたしましたら、諫早湾周辺の農業者からは相当規模の農地についての購入希望が多いというような状況でございます。
  149. 三重野栄子

    三重野栄子君 終わります。  ありがとうございました。
  150. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ─────・─────    午後一時三十一分開会
  151. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  152. 岸宏一

    ○岸宏一君 きょうは、大臣が本会議で出られないそうであります。残念な気もいたしますが、こういう機会はそうあるものじゃないので、どうぞ、副大臣それから政務官思いのたけをひとつじっくりと思う存分お話をしていただきたい、こういうふうに思っております。  さて、我が国の農林水産業でございます。  私も山形県の片田舎に住んでおりますので、農村農業食料、この問題の重要性と深刻さ、こういったものは身にしみてわかっておるつもりでございます。世界の情勢を見ましても、なかなか二十一世紀は食料事情も難しいのではないか。  一つは、アフリカの爆発的な、あるいはアジアの人口増加、あっという間に八十億を超す、そういう時代が来るのではないか。また、中国という国の経済力の発展ということが我々の食料事情、特に穀物事情に非常に大きな影響を与えるのではないか、また与えつつあるというふうに言われております。何かといいますと、御承知のように、中国国民の経済力が強くなるに従って牛肉を食べる、消費する量が爆発的にふえている。その牛肉を大きくするには穀物をたくさん食わせなきゃいけないということで、穀物の需給のバランスが世界的にも崩れようとしているというふうなことをおっしゃる方もおります。  また同時に、我々よく聞く問題は、環境の問題から考えてみましても、どうも、多くの森林が伐採され農地あるいは採草地に変換されているわけですけれども、この問題、一つは温暖化をもたらしておる。さまざまなほかの事情もありますけれども、どうも、五十年後でしたか百年後でしたか、地球の温度は最高で平均気温で五・八度まで上がると予想されている。また、海水面も、何か八十八センチですか、最大、そういうふうに上がる。そういう大きな気象変動も私たちは考えなきゃいけない。これが我々の暮らしに大きな影響を与えるでありましょうと。  それから、農地の砂漠化というものもとんでもないスピードで進んでいるということも言われております。今や、我々が教科書でウクライナあたりは穀倉地帯だというふうな話を聞いておりますが、習ったわけですけれども、それももはや昔話になる可能性が高いなどと言われておりまして、私たちの二十一世紀、我が日本の食料事情というのは、考えてみましても非常に深刻なものがあるのではないか。  田中大臣も抱負を語られましたけれども郡司先生の御質問だったと思いますが、安全な食料というお話を強調されておりました。しかし、安全な食料を我々は求めなければなりませんけれども、その食料そのものが将来日本の国の国民が食べていけるかという大きな問題を抱えているのではないか、そんな気がいたします。だからこそ、この食料自給率を上げようという、新しい農業基本法をつくってその大きな柱にしたのはそういう意味合いがあってやったと思うんです。  ところで、まず一つは、一体、これは平成二十二年でしたか、四五%まで食料自給率を上げると、こういう計画をつくったわけですが、お二人の副大臣政務官、どのようにこの問題を考えておられるかということをまず一つ。  それからもう一つ、日本の農業にもう一回戻りまして、どうも高齢化が進む、それから米の値段は下がる、減反はふえる一方ですね。そういう面で、我が国の農家の皆さんの意欲の減退というんでしょうか、あるいは農業の未来というんでしょうか、そういうものに希望を持っていただかなきゃならない、そういう政策を我々は考えなきゃならないわけでありますけれども、必ずしもすべての農民が未来の我が日本の農業に希望を持っているかというと、どうもそうとは言えないんじゃないかという、非常にこれも深刻な問題があるわけでございます。  まず、この二つの問題に、副大臣並びに政務官、ひとつ思いのたけを述べてみてください。
  153. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 御指名でございますので、私からお答えを申し上げたいと思います。  山形は農業県でありますし、また今回は豪雪であったということで大変雪害がありまして、お見舞いを申し上げたいと思います。  大臣からも申し上げましたとおり、食料農業農村基本法、一昨年の七月に成立をさせていただきました。また、昨年の三月にはその基本計画を出させていただいたわけでありますが、第一に、所信表明でも申し上げておりますけれども食料安定供給確保に関する施策を強力にやっていきたいということでございます。その前提が、委員が申されていましたように、食料自給率平成二十二年に四五%まで果たしたい、目標を持って実現をしたいということで今臨んでおります。  したがいまして、生産調整の中で大変御苦労をいただいておるわけでありますけれども、麦、大豆あるいは飼料作物に転作をする、あるいは地域の作物をお願いしているわけでありますが、さらなる優良農地の確保をいたしまして、食料自給率を、消費に合わせて的確に拡大をしていきたい、そういうことで努力をしてきておるところでございます。現在、御存じのとおり、諸外国では大変口蹄疫を初めとして心配な環境にあるわけでありますが、一つは昨年の日本における口蹄疫の問題もございました。稲わらでの感染じゃないかというようなことも言われておりますので、やはり飼料作物を、畜産、酪農の皆さん方と連携をとりながら国内生産を何とかこの機会にふやしていきたい。そういうことで、平成十三年度には四十七億円の予算を配分しておるところでありますが、それぞれの、米あるいは麦、大豆に加えまして、飼料作物の国内生産を軌道に乗せたいというのが一つの大きな柱でございます。  それから第二に、農業の継続的な発展に関する施策でございます。  昨年来、先生方にも大変いろいろ御議論をいただいたわけでありますけれども、これからの意欲ある農家を育てていってしっかりと農業の中で役割を果たしていただくということでございまして、今いわゆる農業経営所得安定対策というものを農林水産省とまた有識者の皆さん方と議論をしている中で、この夏ごろまでにしっかりとした制度をつくり上げていきたいというふうに思っておりますし、先生方にもいろいろとお知恵を拝借させていただきたいと思いますし、意欲ある農家の皆さん方に継続的に食料の提供をしていただく農業農村の中核となってやっていただければありがたいということで努力をしてきておるところでございます。  そしてまた、加えまして、第三といたしましては農村振興がございます。  先般、中山間地域対策ということで七百億の事業予算を計上いたしましてスタートしたわけでありますが、これは五年間ということでございますけれども、私も就任のときに、やはり活力ある農村をつくっていくために、特に中山間地域の方々は大変御苦労されておりますので、五年のみならず、私の意見でありますが、やはり十年ぐらいしっかりこの制度を継続いたしまして、そして後継者に農業を引き継いでもらえるような、そういう安心した政策をやっていくべきではないか、そういうふうに主張いたしておりますし、努力をしていきたいと思います。  これから消費者の皆さん方にも安心した食料を提供していかなければいけませんが、生産者あるいは消費者の皆さん方のお知恵をいただきながら、二十一世紀の農業が展望が開けるように努力をしていきたいと思いますし、先ほど林業の問題あるいは水産業の問題もちょっとお触れになられましたけれども、この国会でいわゆる林業のみならず森林の多目的機能をしっかりと位置づけた林業基本法の成立を、あるいは水産資源確保、そしてまた漁村振興のために水産基本法を上程したいと思っておりますので、ぜひ成立を図って前進があるように進めていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  以上です。
  154. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) 御質問二つあったと思いますが、自給率の向上ということと、それから希望の持てる農業にするためにはどうするのかと、こういう御質問だったというふうに思います。  副大臣と重複を避ける意味で簡潔に申し上げたいと思いますが、やはり自給率を向上させるためには三つの要素があると思います。一つ生産サイドでどうすべきか、もう一つ消費者サイドでどうすべきか、それからそれをつなぐ流通上の問題でどうするのかということだというふうに思います。  特に、自給率の低い作物なりを生産するというのは、これはやっぱり生産サイドで重要な要素であるというふうに思いますので、今、農林水産省においても、大豆、麦あるいは飼料用作物、こういう低いものの生産振興に鋭意努力をさせていただいているわけでございまして、さらに、やはり農地を確保しなくちゃなりませんから、耕作放棄地の解消等々をやっているわけでありますが、しかしやはりベースは私は人だというふうに思います。農業者が農業を続けられる環境をどうしてつくるのかと。これは、先生指摘の希望の持てる農業というものとも深く関係するわけでありまして、おかげさまで制定をしていただきました食料農業農村基本法に基づいて基本計画も策定をさせていただきまして、これらに基づいて今、生産者の皆さんは自信と誇りを、消費者の皆さんには安全と安心を担保するということで、所得政策を含めて、副大臣がおっしゃられたように、鋭意立ち上げを検討中でございますので、これらをきっちりと進めることが必要ではないかというふうに思っています。  一方、消費サイドにおきましては、日本型食生活というものを消費者の皆さんにも御理解いただきながら、もう一度やっぱり見直してもらう必要があるのではないかというふうに考えております。特に、我が国の中で唯一自給可能だというのは米があるわけでありまして、この米というものの消費拡大というものを進めながら、自給率の向上を図っていくということも必要なんではないか。さらに、飽食と言われる中で、先般、農林水産省においてまとめた食べ残しの問題、これらにおいても、およそ八%弱の食べ残しがあるということでございますので、こういうものも十分にこれから多くの国民の皆さんに啓蒙をしていく必要があるだろうというふうに思っております。  それから、やっぱりもう一つは流通の段階で新鮮で安全な国産品というものを多くの消費者の皆さんに選択して消費していただく。このためには、表示の適正化、流通の適正化というものもこれまた重要な要素でありまして、品質表示を初め、あるいは原産地表示等々、消費者の皆さんの選択に寄与するような、そういう施策についても私どもがとっていくことがこれまた重要だと、このように考えております。
  155. 岸宏一

    ○岸宏一君 お二人それぞれ意欲を語っていただきまして、ありがとうございました。  田中大臣にちょっとお礼を言うのを忘れましたが、この前、予算委員会の折、雪害で被害を受けた東北地方を初め日本海沿岸の各県の被害に対する無利子融資を断行したいという即断即決の大臣とのコンビネーション、大変ありがたいと思っております。ひとつそんな気持ちでやっていただきたい。  今の御答弁の中で非常に重要な問題は、飼料作物の問題を副大臣が言っておられましたけれども、日本の穀物の自給率というのは、穀物だけに限って言うとたしか二七%かそこらしかないんじゃないかというふうに思うわけで、この飼料作物を何とかよその国から輸入しないで間に合わせられるものをつくるということは、確かに食料自給率を上げる上で非常に重要な問題であるということを指摘されておるということは適切だろうと思います。どうぞひとつそういったところに特に力を入れて頑張っていただきたい。  それから、国井政務官は人が大事だということをおっしゃっておられましたけれども、これも非常に重要な問題であるわけです。きょう、谷林さんも郡司さんも担い手という問題を出されておりましたが、まさにそういうところに尽きるわけでございまして、その点もしっかりひとつ頑張っていただきたい。  特に、私はそれに加えてお願いをしたいことは、この農業農村の果たす役割というのは非常に多面的な機能ということが新しい基本法でも話に出ておるわけでございますけれども、それによって国民的な農業に対する理解というのはかなり高まってきているというふうには評価できると思います。  しかし、やはり日本の農業を守り、また自給率を上げていく上では、農家農業関係者と役所だけが一生懸命になってもこれは絶対だめなんですね。やっぱり大事なのは国民理解を求める努力だと思うんですよ。これをどうするかということが私たち農業に携わっている者のいわば大きな義務ではないか、なすべき責務ではないか。これをどうしたらいいのかということを私も日ごろ悩んでおるわけでございますけれども、そうすることが国民に、農業をやっていない国民、今、農家戸数は四百万戸でしたですか、たしか全部の農家を入れると四百万とかなんとかだったと思うんですが、その農家だけじゃない多くの国民農業に対する温かい理解を持つことが農村農家のやる気を起こさせる、また再生させる大きな力になるということを私は信じています。  その点、副大臣、これは質問通告はしていませんが、どういうふうに考えますか。
  156. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 岸先生から大変重要な問題を御指摘いただいたと思っております。  私も農林水産省に入りまして、先般、消費者の皆さん方から、諮問機関でありますけれども、いろいろ話を伺いまして、そして提言ができればということで今取り組んで、女性の方八名ほどお出かけいただいて話し合いをしております。  その中で、やはり年代的なことが一つございまして、若い方々、学生の方も来ていただきましたけれども食料に対してそういう面では無関心であるといいますか、どこでとれて、そしてまたどういう料理がされておるかというようなことも余り関心を持たないで食生活を過ごしておるというような指摘がございましたし、それがどこに原因があるかというと、やはり食農教育といいますか、若い、子供のうちから、当然家庭的に日本食といいますか国産のものを、本物の食材にしっかりと触れていくというような機会が少ない。  そういうこともございまして、国民すべからく、この一次産業、農業を初めとする長年培ってきた努力といいますか、重要な食料というものを粗末にしていかないといいますか、身近なものとして、やはり教育の中で、あるいは地産地消といいますか、地域のものはもっともっと自分たち消費していこうというような中から関心が深まればというようなことでございましたので、当面の生産者あるいは消費者、流通の皆さん方の御要請をしっかりと受けとめてやっていくのに加えて、やはり国民の皆さん方一人一人が、自分の食料自分たち生産をして、そしてまた守っていくんだと、世界もこれから食料不足になっていくんだから、そういうときには日本が人道援助もできるようにと、こういう意識が培われれば大変いいんではないかというふうに思っております。  当面の問題としては、原産地表示等の問題も実施されるようになってきましたので、そういう面では消費者の皆さん方が非常に関心を持って、それぞれその特産品等、理解が深められてきておると思いますし、本物の食材、にせものが少なくなるようにと、こういう中で国民の皆さん方が農業にもっともっと理解を深めて、私も新潟県の農業県でありますから、その努力が多くの皆さん方に認められるように私も努力をしたいと思っております。
  157. 岸宏一

    ○岸宏一君 ひとつしっかりお願いいたしますよ。  それでは、時間がなくなりましたので、林業の問題です。  私、林業をやっておるわけですけれども林業に未来はないというふうな、何かこれもまた困った問題、何かみんな自信をなくしているみたいなんですね。ある方に相談しましたら、どうしたらいいんだろうと言ったら、セーフガードじゃないけれどもどおんともう関税をかけて、その関税をよその国に援助をして植林に回すようにしたらどうかと。そうすれば、大分日本の国の林家も助かるんじゃないかといったような、笑い話のような話があるんですけれども。  これは林野庁も大臣林業の問題では悩みが深いと思うんですけれども、どうですか、国民に、林家に、あるいは農村、山村に希望を持たせる林政というのは大丈夫ですか、任せてくださいと言えますか。
  158. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) いや、なかなか任せてくださいと言うのもあれでございますが、今度の中で林業基本法を新たに制定させていただいて、これからいよいよ取り組もうということでございますけれども。  従来と違うのは、やはり森林の持っている多面的機能というものを今、岸先生おっしゃられたような形で国民の皆さんに合意をいただいて、単なるこれまでの材価の問題だけで山を論じることなく、森林の持っている機能というものを理解していただきながら、どれだけ、特に材価が安くて山の手入れもできないような状況の中に公的な支援をできるかというのが一つのかぎになるんではないかと、このように私どもも考えております。  ちなみに、この間、私も友達からもらいまして、「森は海の恋人」という本がありまして、これは宮城の方だったというふうに思いますが、カキの養殖をしている方が、いいカキをつくるためにはやっぱり山の手入れをしなければならぬと、みずから植林をして努力をされていると。こういう状況もあるわけでありまして、まさに国民の皆さんの合意を得ながら、林家の皆さんが努力していることが正当に報われて、しかもやはり所得が確保できると、こういう方向を目指していくことが必要なんではないかと、このように考えております。
  159. 岸宏一

    ○岸宏一君 時間が少なくて議論を深めることがなかなかできなかったんですが、どうぞひとつ副大臣政務官、力を合わせて日本の農林水産業のために頑張ってください。  以上でございます。  ありがとうございました。
  160. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  平成十三年度の農林水産省関係予算に関連しまして、質問をさせていただきたいと思います。  田中大臣と岸委員予算委員会での質疑応答も聞いておりまして、山形県は大変今回の大雪で被害をこうむっておりまして、その対策に一生懸命取り組んでいただいているということで感謝申し上げたいんですが、この件に関しまして少し質問をさせていただきたいと思います。  だんだん雪が解けてまいりましていろいろ被害状況も調べやすくなってきていると思うんですけれども、東北六県での被害状況の集計がどの程度になっているのか、簡単にまずお教えいただきたいと思います。
  161. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 大変な雪害でございますので、万全の対策を講じていきたいというふうに思っております。  委員からの御質問の内容でありますが、三月二十一日現在ということで、東北六県でハウスや果樹等の農作物を中心に約五十六億円の被害が発生をいたしております。特に山形県においては果樹の枝折れ等を中心として約五十二億円の被害ということでございますので、東北でも大変な状況が山形県で起こったということでございます。  今回の農業被害の対策は、また御質問あるんでしょうか。内容につきましては、被害の状況はそういうようになっております。
  162. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 山形県が特に五十二億ということで被害状況で突出しているわけでありますけれども、私も山形県でこういう被害が出たときに現地の方を調査させていただきました。特にブドウ棚、そしてナシの棚あるいはサクランボのハウスとか、やはりかなりの被害を受けておりまして、特に山形県が大きな被害を受けたというその原因については何か分析をされておられるんでしょうか。この点、お聞きしたいと思います。
  163. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ことしの冬の被害の原因につきまして気象庁にも問い合わせたわけでございます。  ことしの冬は、北日本を中心に冬型の気圧配置になることが非常に多い、しかも気温が下がったということで断続的に強い寒気が流れ込んだために東北地方を中心に大雪になったということでございます。  特に山形県で被害が大きくなった理由でございますけれども、季節風がことしは弱かったということで、例年積雪量の多い山間部ではなくて、平野部、山形市などの平野部、それから海岸部に降り積もる里雪タイプであったということ、そしてふだんは積雪量の少ない地帯で短時間に湿った大量の雪が降ったということで、連棟ハウスといいますか、ハウスが連なっているその谷間だとか果樹の樹体に着雪がしやすかったということが原因というふうに考えております。
  164. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 被害の調査が明らかになってきますと、農業災害補償制度による支払いということもだんだん検討されてくると思うんですけれども政府の再保険の支払いが少しずつ額が決まってくるみたいなお話も聞いておるんですが、この点、現状はいかがでしょうか。
  165. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) ことしの被害に対する共済金の支払い状況でございます。  園芸施設共済と果樹共済があるわけでございますけれども、まず園芸施設共済につきましては、山形県等十六県に対しまして、一月の事故に係ります再保険金約一億一千万を既に支払っているところでございます。二月以降の事故あるいは十六県以外の県に係ります再保険についても迅速な支払いに努めたいというふうに思っております。  なお、この再保険金額を含めまして実際の農家に支払われました共済金額は、現在までのところ約三億七千万でございます。  一方、果樹共済でございます。現在、共済組合等におきまして樹園地等の損害評価の現地調査を行っているところでございます。この果樹共済の共済金の支払いは、基本的には共済責任期間というものが終了して損害額が確定する収穫後となる点につきましては、何とぞ御理解をいただきたいというふうに思っております。
  166. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 私も現地を農家の方と見させていただいたんですけれども、そのときにブドウ棚とか西洋ナシ、ラ・フランス等の棚の被害が山形県で約五億円というふうに見積もられているわけでありますけれども、こういう棚は共済制度の枠外といいますか、最終的に収穫共済の中で補償されるというシステムになっているということなんですが、このやはりブドウ棚とかそういう西洋ナシの棚については、もし全壊をしてしまいますと、それを取り外す作業があり、またそれを、壊れた器材を廃棄物処理しなきゃならない、そしてまた新たな棚をつくらなきゃならないということで、大変な労力と費用がかかるわけであります。しかし、収穫共済で見ますと、この年にはどれぐらい収穫が減ったかというところだけしか補償に入らないわけで、大変、棚を再建するという意味では困るということがありまして、山形県では単独でそういう方々に対して支援をしようという流れになっているわけでありますけれども、この点、国としてもやはり支援をしていただければ非常に農家の方にとって励みになるんじゃないかと、そのように思っております。  そういうものがないと、場合によっては耕作放棄といいますか、もうやめてしまおうということにもなりかねないので、この点、国の方としてやはり支援をしていくべきではないかと考えるんですが、この点、いかがでしょうか。
  167. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 先生指摘のように、現在の果樹共済、収穫共済と樹体共済ということでございまして、現在のところ、果樹棚につきましては共済の対象となっておりません。  ブドウとかナシとかの栽培に不可欠な支持物が栽培棚等でございますけれども、今後、農家の皆様方がそういうものについての保険需要について、ある程度まとまったニーズというものが見込まれるか否かというような点を踏まえて検討していきたいというふうに思っております。  よろしくお願いをいたします。
  168. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 果樹に関してもこれから自給率を高めていこうということになると思いますので、そうしますとやはり生産拡大をやっていかなきゃならない、そういう場合にやはりこういうリスクが伴いますので、できればこういう果樹の棚みたいなものも結構、雪害等で今回、壊れますと再建が大変だということもありますので、現場の方々と協議をしながら、私としては、やはりこれから生産を拡大していく上においてはこういうリスク対応のためにこういう果樹棚も共済保険の中に入れておいた方が安心ではないかなと、そのように思いましたので、よく検討いただきたいと思います。  それから、この果樹共済なんですけれども、ほかの共済の加入状況から見ますと低いような印象を受けるんですけれども、全国あるいは東北、そして山形での果樹共済の加入状況についてはどのようになっているか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  169. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 果樹共済、収穫共済の加入率を申し上げますと、樹種ごと地域ごとに差異はあるわけでございますけれども平成十二年度の面積ベースでの引受率で申し上げますと、全国で二三・七%、東北六県で三〇%、山形県で二六%となっておりまして、先生指摘のように、他の共済に比べますと低位水準にあるところでございます。
  170. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今のお話を聞いておりましても、まだまだ果樹共済に入る方が少ない、引き受け状況が二五%前後ということでありまして、そういうことになりますと、万一いろいろな災害が起こった場合に、再建のときには大変苦しんでしまうということになりますので、これから、先ほども申し上げましたけれども、自給率の向上を図るためにはそういう果樹関係も拡大していかなければならないということになると思いますので、やはりリスク対応もしていかなければならないと思います。  青森あたりですとリンゴで、それを一生懸命専業でやっているような方々の場合には、台風とかさまざまな被害とか、それから樹木の病気等もありますので、今回の雪害の方は、青森の方は果樹の方はそれほどでもなかったみたいですけれども、そういういろんなリスクが当然起こってくると思いますので、さまざまなこういうリスクに対応する果樹共済というものもやはり積極的に進めていく、あるいは現場で入りやすいような、加入しやすいような共済制度にしていくという試みといいますか、努力が必要であると思うんですけれども、今後の果樹共済の引受率の向上に関しまして、農林水産省としてどのように対応していくおつもりなのか、田中大臣の方にお伺いをしたいと思います。
  171. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 私の方で、技術的なことでございますので。  どうも果樹農家の方々に聞きますと、保険に対するニーズというものが非常に多様、自分は台風だけに備えたいんだ、あるいは自分は防災施設を完備しているからとかいうことで、そういう包括的な共済にこれがなかなか入らない、すなわち共済の引受率が伸びない原因もそういうところにあるのではないかというふうに分析をしております。  こういうことを踏まえまして、農林省としては、共済掛金を安くするために特定の事故のみを対象とした特定危険方式というものを導入しておりますし、また農家の不公平感を解消するために、防災施設を用いた農家に対する共済掛金については割引をする、あるいは被害の少ない農家の共済掛金は低くする、こういうものを導入しておりまして、そのほか農家のニーズに即した対象樹種というものを追加していく。  こういう努力を通じまして、農家のニーズを踏まえた制度改善をこれまでも行ってきておりますし、今後ともさらなる制度普及推進に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  172. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 今、技術的にはお答えを申し上げましたけれども、先般、山形の状況を、特にブドウ棚あるいはナシの関係、ビニールハウスが全壊しているというような写真も拝見をいたしました。予期せぬ大変な状況だということで、共済もちょっと入っておられない方が多かったということで非常に残念なわけでありますので、これからそういうニーズにこたえられるような共済制度をやってまいりたいと、こういうふうに思っております。  収穫がこの秋になりますから、そういうこともございますが、改植といいますか、つくり直される、植え直されるということでございますので、融資の面で、大臣とも相談いたしまして、また岸先生からも強い御要請も先般予算委員会でございましたので、県の方の皆さん方と相談して何とか無利子融資を実現して、そしてつないでいただこうと。  そしてまた、こういう事態にきっちり対応ができる、共済制度があっても入っておらないということは大変な機会損失でありますから、そういう面で、皆さん方に幅広く入っていただけるような形をとっていきたいと思っております。
  173. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今回の雪害ですけれども、いろいろ気象の関係で予想がちょっと甘かったというような面もありまして、気象庁の予測で甘かったという点もありますが、今後やはり雪害も起こり得る可能性があるわけでありまして、今回の教訓をもとにどういう対策を今後していったらいいのか、何点か検討されておりましたら御紹介をいただきたいと思います。
  174. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) 何点か技術指導をしたようでございまして、これらの中身について申し上げますと、一つは、果樹の場合、剪定をきちっとやってもらう。どうしても剪定ができていないと、雪の積もった圧力がある、それで枝折れとかそういうことがあるということで、まず剪定をきっちりやってもらう。それから、横に張っている枝なんかについても可能な限りやはり支柱を置くとか、さらに加温しているハウス等についてはできるだけ温度を天井の方に回すような、そういうやり方をしていくとか、早目に雪をおろすようにするとか、さらに破けたりなんかした場合は、そこで温度が逃げちゃいますから逃げないようにするとか、こういう考えられる部分について農林水産省としても技術指導はしているわけでございまして、これらの徹底を図って、ただ災害でございますので、これですべてが解決できるというふうには思いませんが、可能な限り被害の拡大を防ぐ、こういう観点で鋭意努力をさせていただきたいと思っております。
  175. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 済みません、ちょっと風間委員の方の時間を一分ほどいただきまして。  最後質問になりますけれども、建設省の方で雪害といいますか、そういう豪雪地域のバリアフリーということで道路交通網を整備しようという事業、そういう冬期バリアフリー事業というものを展開しようと考えておりますけれども農林水産省としても農村の豪雪地帯の冬期間のバリアフリーというものをやはり考えていくべきではないか。  今回も果樹棚を直そうとして行こうとしたんですが、道路が除雪されていないので農家の方々が行けなかったという、そういうことがありまして、やはりそういう豪雪地帯の農村の交通網というものを守っていくためには農林水産省版の冬期バリアフリーというものも検討していただきたいと思うんですが、この点お聞きしたいと思います。
  176. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 農林水産省としても、農林水産業との関連で何かいい制度が設けられるというふうに私個人は思っております。  今あります制度は、もう既に御存じだと思いますけれども、積雪寒冷地域特別法ということで、防雪施設、スノーシェルター、あるいは防雪棚、雪崩防護さく等、あるいはいわゆる融雪パイプを農道に敷設するとか、流雪溝とか、またいろいろ、散水施設等、施設がございます。  事業主体は都道府県でございますので、補助率は四五%ということでお手伝いをさせていただいておるわけでありますが、やはり地域に合うような、私も新潟県でありますけれども、昭和三十八年の豪雪以来、三八豪雪でありますが、大体、気象庁から聞いたわけではありませんが、経験的に十八年周期で、昭和五十六年、あるいはことし、こういうことで大変な豪雪があるわけでありますので、地域地域が早目に地域に合った御要請をされて、県とも御相談の上、しっかりした冬場のバリアフリー事業の対策を打たれるといいのではないか。しっかりお手伝いもさせていただければと思っております。
  177. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 よろしくお願いします。
  178. 風間昶

    ○風間昶君 続きまして、風間ですけれども、午前中も話題になりましたセーフガードの関係についてお伺いしたいというふうに思います。  野菜全体についても生鮮野菜の輸入が急増しているということがあって、昨年の十二月二十二日に政府が輸入量の増大したネギとそして生シイタケと畳表について調査を開始したということでありますけれども、確認ですけれども、この調査を開始したということはWTOに通告するんですか。
  179. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) WTOには通告してあります。
  180. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。それをまず確認したかったものですから。  それで、この三品目について輸入量がどのぐらいふえたのか。十二年度の全データは出ていないと思われますけれども、前年比でどのぐらい、倍数的にネギはどのぐらい、そしてシイタケはどのぐらい、畳表はどのぐらいなのか、教えてください。
  181. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) ネギとイグサについて申し上げます。  ネギにつきましては、輸入量でありますけれども平成十一年が二万一千百九十七トンから昨年は三万七千三百七十五トンということでありまして、対前年七六%の増加でございます。それから、価格の方でありますが、これは卸売市場価格でとりあえず見ておりますが、キロ当たりで見ますと、平成十一年の三百八十一円が昨年は二百七十九円ということでございまして、対前年二七%の下落でございます。  次に、イグサ、畳表の関係でございますけれども、輸入量でいきますと、平成十一年一千三百五十七万枚、これが昨年は二千三十万枚でございまして、対前年五〇%の増加でございます。価格の方は、これは産地の市場価格で見てみますと、一枚当たり平成十一年が千五十三円、昨年は九百八十円で、対前年七%の下落と、こういった状況でございます。
  182. 中須勇雄

    政府参考人中須勇雄君) 生シイタケについてお答え申し上げます。  生シイタケの輸入量、平成十一年は三万一千六百二十八トンでございました。これが十二年には四万二千五十七トン、対前年比三三%増と、こういう数字でございます。一方、価格につきましては、主要な卸売市場における国産の生シイタケの平均卸売価格を見ますと、一キログラム当たり平成十一年九百六十六円が平成十二年には九百三十円と対前年比四%の下落、こういうふうに相なっております。
  183. 風間昶

    ○風間昶君 かなりの国内生産者にとってみれば打撃なわけでありまして、これが数年前というか、六、七年前からどんどんどんどんこういう形で来ていると。輸入量はふえ、国内価格は下がっているという状況でありまして、特に野菜における輸入国が中国、韓国ということでありますけれども、中国のことについてお伺いしたいと思いますけれども、この輸入の増加と国内産の価格の下落との因果関係について中国政府との間で、松岡副大臣、きょうおいでになっていませんけれども、だけではなくて、政府としてどのような協議になっていたのか、まず、このこと自体が協議されなかったのかも含めて教えていただきたいと思います。
  184. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 先般、松岡副大臣が中国を訪問いたしまして、農林水産関係の要人と意見交換をしてまいりました。  副大臣政務官会議で省内で報告を受けましたので御説明をいたしたいと思いますが、松岡副大臣からは、中国からの農産物の輸入急増の実態を説明し、セーフガードについて暫定措置を発動するか否か判断すべき節目に近づいてきているという旨を述べて、問題解決のための具体的な提案を出してほしいという発言をいたしました。  特にネギについては、中国側の輸出統計における数値と日本側でとらえております統計の差が大変大きかったということがございまして、どうも中国側は、中国側の統計の数字が日本で言っているよりは非常に少ない数字が認識をされておるということで、大変そういう面では認識の違いということがございまして、訪問をして、日本に集中的に野菜の輸入が入ってきておるということを先方にも言いまして、大変な国内の産業に影響を及ぼしておるということを先方に話をしてきたところでございます。  日中両国間の情報交換は今回が、事務的には若干やっておりましたけれども政治家ベースでの交渉は初めてでございまして、引き続き、その認識のとらえ方というものについて、あるいは統計上の数字の差というものをもっともっと双方で詰めて我が国の今日の事情を認識させるべきではないかということで、報告を聞いたところでございます。
  185. 風間昶

    ○風間昶君 私の聞き方がちょっと中途半端だったかもしれませんが、最初にお聞きいたしましたのは、輸入の増加と国内産価格の下落との関係について中国側との協議をなされたのか否かということをお伺いしたわけであります。
  186. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 具体的な値段との関連については詰めてきたというふうには報告を受けてはおりません。数量において相当双方でやり合ってきたということが実情でございます。
  187. 風間昶

    ○風間昶君 それはネギのことだと思うんですけれども、私はネギを含めて、シイタケも含めてお伺いしたつもりですが、これちょっとまた聞き方が悪かったので、申しわけございません。  じゃ、ネギの問題については、今の田中大臣のお話ですと政治家レベルでの協議は今回初めてだということでございますから、少なくとも因果関係についてまでの議論には至っていないというふうに理解できると思います。  そこで、今副大臣からもお話がありましたように、きょうの日本農業新聞にも松岡副大臣とそれから、これは龍永図さんというんですか、対外貿易経済合作部の副部長との会談で、松岡副大臣から、とにかく中国が出している量しか受け取れないのだというふうに記事ではなっているわけでありますけれども、まさに今数値の、統計のとり方で問題があると。  新聞を読ませていただきますと、中国側の輸出統計では四千四百トン。日本では今ほど御説明があった三万七千三百七十六トン。これ全部中国かどうかは別にしましても、大半が中国だと思いますので、この問題について、一つは、日本のネギはネギ属、ニンニクの芽とか、それからリーキとかいうのも入れての輸入総量の統計ではないかと思いますので、そこでまず一つは、中国側が言っているのは単純にネギだけではないかと推測されるんですが、まずこの辺の事実認識をきちっとしておかなきゃならないと思いますので、御説明いただきたいと思います。
  188. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 先ほどの私の御説明のときに申し上げればよかったと思いますけれども、今先生おっしゃいましたように、ネギ属といわゆるネギというのは、これは概念が違います。先ほど申し上げましたのはネギの方でございまして、これは植物防疫統計を使っております。実は、昨年いろいろ御説明するときに税関の方の統計を使いました、貿易統計。あちらの方がネギ属で、リーキなんかも入っておりますので、私ども今度の調査では、いよいよこういった正念場に参りましたのできちんとしたネギのデータを使おうということで、今の三万七千トンはネギの数値でございます。  それから、先ほどのをちょっと補足しますけれども、中国の方とやっている数字はいろんな数字が出ておりますが、私どもはそういった数字を使っていますが、先方がどうかというのはまだそこまで確定してありませんので、これからの議論になろうかと思っています。
  189. 風間昶

    ○風間昶君 ああ、なるほど。向こう側は要するに松岡副大臣の要望、要請は聞いたと。中国側としては、これからじゃその部分については実際の輸出量も含めて検討していくと、こういうことでお帰りになってきたんでしょうか。
  190. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) ちょっとまた舌足らずで恐縮でございます。  今、私が申し上げましたのは、数字の意味がネギなのかネギ属かということでございまして、それで、先ほど副大臣からもお話ししましたように、今私ども政府調査をやっていまして、この政府調査の結果、例えば輸入急増と国内の生産の影響、その因果関係、こういったものをいわば政府として正確に調査、把握していくことになりますので、そういった意味ではまだそれは今作業中でございます。  一方、中国との関係では、そういった厳密なところまではまだ行っておりませんけれども、ただ先ほども申しましたように輸入急増があり、それによって国内の価格が非常に下落しており、その中で生産者の皆さん初め、また各地方団体からもその輸入急増による影響についてセーフガードの発動等のそういった動きが出ているということは、これはきちんと説明しておるところでございます。
  191. 風間昶

    ○風間昶君 新聞報道で言うのはちょっと甚だあれなんですけれども、どこかの党みたいなことはやりたくないんですが、いずれにしましても、中国側では、日本と中国の統計の違いを事務的に日中合同で検討することを副大臣にお約束したというふうに報道ではなっているんです。したがって、その報道どおりかどうかは別にして、両国に統計上の標本のマスのとらえ方とかあるいはグルーピングにどうも価値観の違いがあるような、あるいは手法に違いがあるような気がするわけです。したがって、そこのところのまず統一的な、両方できるような形のものが、両方相合意できるようなもののルールづくりというのはまさに大事じゃないかというふうに思うんです。  交渉の引き延ばしの材料にしてはいけないというように思いますので、それについて田中大臣の決意を伺いたい。これは事務的な話じゃないので副大臣の決意を伺いたい。
  192. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) 今の問題でございますが、実は昨日、省内において副大臣大臣政務官会議がありまして、これで松岡副大臣の方からも行ったときの事情について私どもも報告を受けたわけでありますが、そこの中で松岡副大臣は、統計上、今、風間先生がおっしゃられるような違いがあると。じゃ、そういうことで、あなた方が、中国当局があなた方の主張している量でいいと言うならば、あえてじゃそのことで、それを上限として我が国でその輸入を受け入れると、こういうことで考えてよろしいかと、あなた方がそういうことを主張しているということになれば。今後、お互いが違う話をしては仕方ないんで、実務的には詰めていくけれども、しかしあなた方がそういうことを主張しているということならば、それを一つの目安として我が国として受けとめていいかと、こういうふうな詰め方をしたところ、いやいやちょっと待ってくれと、こういうふうな話になって、先方もどうも主張しているものがそれなりに確証を持って言っているようではなさそうだと、こういうふうな話は実は私ども受けているわけでございます。
  193. 風間昶

    ○風間昶君 本当に松岡副大臣にお聞きしたいところなんですけれども、調査に時間がかかるということでお帰りになったわけでありますけれども。  また、先月の記者会見でも、年度末を一つの目安にして結果を出したい、ついては、それをやった上で暫定措置について検討するということをお話しになって、この間、十八、十九、二十と上海というか中国へ行かれた。その結果、一日しかまだたっていませんけれども、今お聞きしましたら、きのうの副大臣政務官会議で、検討結果について目安を出す、調査をして一つの目安を出す、暫定措置についての。検討結果を出すべくこれから鋭意努力していただくと思うんですけれども、その検討状況、今の時点でつまびらかにできる部分を教えていただければありがたいんだけれども。難しかったらいいですよ。
  194. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 先生指摘のとおり、きょうの時点では難しい面がございますけれども、若干補足させていただきますと、きょうが三省庁の調査が全部最終的にでき上がるという状況でございまして、あす以降、それを受けて早急に結論を出していきたいというふうに思いますし、その結果につきましては、あす以降時期を見て公表されるということになろうかと思いますし、その内容を受けて、三省庁のみならず、やはり生産者の皆さん方もいろいろと御意見もあろうかと思いますし、関係の方々の御意見も伺いながら適切な対処ができればということがきょうの時点でございます。よろしくお願いします。
  195. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  調査のことについてもちょっと一言言いたいんだけれども生産者や団体や、それから流通、輸入、それぞれの業者、それから消費者、これはアンケートを含めた調査をされたんだと思うんです、何万という単位だと思いますけれども。わかっていれば教えていただきたいんだけれども、きのうまでの時点でどのぐらい回収されているんですか、少なくともアンケートに関しては。
  196. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 全体で八割を超えている状況になっております。  なお、生産者側の方は、これは当然御要請の立場もあってほぼ一〇〇%に近いところまで来ている状況でございます。
  197. 風間昶

    ○風間昶君 重ねての質問ですけれども、先ほども議論になっていましたように、中国の輸出規制に関する暫定措置の発動については、要件を満たせば発動できるというふうに大臣も、答弁ではないですが、何もおっしゃいませんでしたからそれをお認めになっていると思うんですけれども、その三条件が絶対必要十分条件なのかどうかということがこれまた議論になってくると思うんですけれども、もう一回確認したいので、それでいいんですか。そういう理解でいいんでしょうか、暫定措置についての要件。
  198. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 暫定措置は、先生も御存じのとおり、セーフガード協定上、遅延すれば回復しがたい損害を与えるような危機的な事態が存在する場合に、輸入の増加が重大な損害を与えていること、あるいは明白な証拠があるということに基づいて暫定措置がとられるわけでございます。  セーフガード協定で定められております九項目、大変そういう面では客観的なデータによる評価があるわけでありますが、しかし三省庁の調査を受けてしっかりした判断のもとに措置を行えればというふうに思っております。
  199. 風間昶

    ○風間昶君 ちょっと聞き方が悪かったのであれなんですけれども、要するに、必要かつ十分条件が三条件なんですかということを聞きたかったんです。要するに、事情変化による輸入増加、国内危機に至るような大損害、それから国民生活上の極めて緊迫した状況、この三つが必要かつ十分三要件なんですかということを聞きたいんです。
  200. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 今申し上げたところが要するに基本でございます。そのために今九項目の調査をしているという状況でございます。
  201. 風間昶

    ○風間昶君 僕の言っていること、言い方悪いでしょうか。この三つのことが発動要件の必要かつ十分条件ですかということを聞いているんです。
  202. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 当然、私がすべて理解しているかどうかわかりませんので、ちょっと意が通じるかわかりませんが、暫定措置をするということになると関税定率法第九条の八項という項目で、関税の問題になるわけでありますから、政府調査開始後、その調査完了前に、十分な証拠により、輸入増加の事実とこれによる国内産業への重大な損害等の事実を推定することができ、今言われたように、国民経済上特に緊急に必要があると認められるときということでありますから、文言からいえばこの三項目が必要十分なものであると、私はこの文章上から見ますと解釈はいたしますが、しかし大臣もお出かけでありますから、政治的な判断もあるのではないかという推察もあります。  以上です。
  203. 風間昶

    ○風間昶君 時間ですから、質問を終わります。次回に譲ります。
  204. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  委嘱審査最後の二十五分をいただきましたので、よろしくおつき合いのほどをお願いいたしたいと思います。  私、基本的にこの委員会での私の立場といいますか、農水省に三十年近くおりましたものですから、そういう面では農水問題というのは勉強させていただいた期間が長かったわけでございますが、大体、地方自治体といいますか、地方におることが多かったもので、その面で地方の人とのつき合い、あるいは地方の物の考え方というのに染まり切っていると言ってはおかしいんですけれども、そっちの方が強いかなというふうに私自身は考えております。そういう面から、地方の立場ということでこれからもいろいろと御質問をさせていただきたいというふうに考えておる次第でございます。  そういう意味で、これは質問ではないんですけれども、最近、きょうの委員会でもいろいろ出ておりますけれども、やはり農業問題は大変難しくて、農水省も大変御苦労されているとは思いますけれども、やはり現地の農業者の立場から見ますと、農林省はどういうふうに考えているのか、どういうふうな方向に持っていこうとしているのか、そういう物の見方の疑問というのがかなりございますので、これは情報公開の面がございますでしょうし、そういう面からもぜひ必要なものでございましょうし、その辺これから、今までもそうでしたでしょうけれども、これからも一層そういう面に力を入れていただきたいと、こういうふうに思う次第でございます。  本日の質問は、まず一点は地方分権について、農水省が地方分権に対してどういう取り組みをされるかということについて御質問させていただきたいんですが、言うまでもなく地方分権一括法が昨年四月から施行されまして、このときもちょうど自治大臣質問する機会があったんですが、この地方分権、これを地方の立場から見ますと、確かに地方分権を取りまとめるにはいろいろな地方の見方なり、いろんな御相談もされたかもしれませんが、実態、実質的に地方の人はやはり東京がやっているんだなというふうな見方が強かったわけでございまして、それが実際に法律が施行されますと、これはやはり地方の実際の問題になりますから、そこで初めて地方も、自分らはどうしたらいいのか、この流れについてどういうふうに考えていったらいいのかという、地方にとっては地方分権のスタートが去年であったというふうに私は理解しておりまして、そういう面で、自治大臣に去年御質問したときも、自治大臣もそのとおりだというような御見解をいただきましてよかったと思っております。  そういう意味で、農林水産省というのは、地方分権の立場からいいますと、これは地方の産業の中心でございますから、ほかの省よりもはるかにそういう地方分権に対する取り組みといいますか、そういう方向にはあったんだろうと思いますし、先ほど大臣がいわゆる現場主義というようなことで物事を考えていかれると。こういう面からも、私はやはり農業は大変な問題ですけれども、この地域性といいますか、個別の問題をしっかり把握して、それで解決していかなきゃいけない面があるんだと思っております。  そういう意味で、余談でございますけれども現場主義というのは私が三年前に参議院に当選させていただいたときの第一のスローガンといいますか、これで当選してきたようなものでございます。大臣が同じお考えだということで我が意を得たりというような気がいたしておりますので、そのことをあえて申し上げさせていただきたいと思います。  それと、その地方分権をこれからやっていく場合に、やはりよく地方分権というのは権限と財源と人材ですか、この三つが三位一体となって進まなきゃいかぬ。今はまだ権限の問題でスタートをしただけですから、財源の問題もいろいろ言われているようですけれども、なかなかうまくこうしたらいい、税金をどうしたらいいというようなところまでは行っていないと思うんですけれども。  とはいいながら、やっぱり実効ある施策というのがぼちぼち出ているようでございまして、これは後でもまた質問させていただきますけれども、例えば統合補助金制度ですか、あるいは農林省あたりはメニュー方式というような物の考え方も入っていると思うんですけれども、そういう方向も、これ、一つの地方分権の流れだと思いますし、人材についても、やはり農林省というのは地方組織が随分しっかりしておりますから、農政局なんかで地方におられる。これが地方分権とつながるかどうかわかりません。私は、理想的には本当は農林省におられる方、定員を狭めてでも地方にどんどん出ていかれる方が本当は農林省のためにも農業のためにもなるんじゃないのかなというような考えですが、それは望んですぐできることじゃないと思いますけれども。  そういう意味で、財源とか人材についてもいろんな取り組みができるんだと思うんですが、その辺、農水省のお立場から地方分権に対してどのように取り組んでおられるか、また取り組んでいこうと思っておられるのか、大臣の御所見をお願いいたしたいと思います。
  205. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 今、岩本先生のおっしゃるような、農業とか林業とか水産業という面については、非常に地方の風土、気候あるいはまた地理的、そういうふうないろいろなものが加味されて、適地適作と申しましょうか、そういうものができてくるだろうと思うんです。それに、やはり私は、地方においてそういう独自な政策があってしかるべきでありますから、そういった面で、農林水産分野における地方分権というものはむしろほかの省よりも多く考えていかなきゃならぬというふうに思っておるんであります。  そういう中で、地方分権推進委員会の勧告や一次、二次の地方分権の推進計画を踏まえまして、都道府県への権限の移譲、今お話がありました地方公共団体に対する許可とか認可とか、そういった面の関与をできるだけ縮減しなきゃならぬ。それから、直轄事業の見直し、そして今先生のおっしゃいました統合補助金の創設を今着実に進めているところでございまして、これにつきましては、今回の中央省庁改革における農林水産省任務や、あるいは食料農業農村基本法においても地方分権の推進に十分に配慮をしているところでありまして、国と地方公共団体との適切な役割の分担といいましょうか、そういった地域の特性に応じた施策展開など、地域を重視したそういうものが盛り込まれているところであります。
  206. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 取り組む御姿勢、前向きであると私は信じておりまして、その辺よろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、先ほど言いましたように、メニュー方式あるいは統合補助金方式というのがあると思うんですが、具体的にどんなふうに現在取り組んでおられるのか、担当局長から伺いたい。
  207. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) お答えいたします。  統合補助金あるいはメニュー化等の関係でございますけれども、根拠となっておりますのは、平成十一年に閣議決定されました第二次の地方分権推進計画、こういうことになるわけでございます。  まず統合補助金の方でございますけれども公共事業のあり方の見直しの一環ということで、対象となっております事業農業農村整備事業関係、このうちの団体営の農業総合整備事業と集落地域整備事業、この二つ。それから、漁港漁村整備事業のうち市町村営の漁港環境整備事業、それから漁港漁村総合整備事業、これを統合補助金化ということで、平成十二年度予算におきまして統合補助金化の実施を図ったということでございまして、総額では三百八十億円と、こういう予算だったわけでございます。  この統合補助金化の具体的な仕組みでございますけれども、これは公共事業でございますので複数年にわたるということでございまして、当該年度におきます具体的な要望金額あるいは残事業費、こういったことを基礎といたしまして、国が都道府県ごとに全体的な金目、この配分枠は定めるわけでございますけれども、その範囲内におきまして、各都道府県が具体的に自分の県内のどの地区にどれだけ配分するかということが決定する、これが統合補助金化ということでのやり方でございます。  それからもう一つ事業のメニュー化の御指摘がございましたけれども、これにつきましても、平成十二年度の予算におきまして、都道府県のニーズに応じまして事業選択できるようにということで、細々したようないろんな予算の費目があったわけでございますが、これを再編統合いたしまして、中身につきましては、メニュー化しまして都道府県が自由に選べるようにということで、例えば農地保有合理化促進事業につきましては、それまでの六つの事業再編統合いたしまして事業メニューの簡素化を図る、あるいは水産業振興総合推進事業、これは従来の二十七の事業、これを一本化しまして措置を講じたところでございます。  こういったことによりまして、各都道府県はこのメニューの中から自由に選択が行えるというメリットのほかに、申請書類等の作成の面での事務効率化、こういったことが図られるというふうなことでやっているところでございまして、私どもは今後とも引き続き必要に応じましてこうしたことにつきまして推進してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  208. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ちょっと、もう少し詳しく中身について質問させていただきたいんですけれども、今、予算の枠を決めたら、あとのことは全部地方自治体に任せる、そういうふうに理解していいわけですね。今までも例えば地方に補助金を流した事業についても、結局最後は何をやるまですべて本省でチェックするというような仕組みがあったような感じもしますけれども、そういう考え方でなくて任せるということでよろしいわけですね。
  209. 田原文夫

    政府参考人田原文夫君) これは平成十一年、先ほど申し上げました閣議決定されました地方分権推進計画の中におきましても、都道府県はその範囲内、みずからの裁量により地区配分を行うということで決定されておりまして、そこは、配分につきましては各都道府県の裁量にゆだねられている、こういうことでございます。
  210. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 この制度、実は私、昨年は交通・情報通信委員会で、運輸省がもう既に採用されているということをお聞きして、そのときも申し上げたんですけれども、いわゆる地方分権の一つの流れ、最後の流れ、最後の結論じゃないと思いますけれども一つの流れとして大変いい方向であるというふうに思っております。  そういう意味で、この問題について、これからの取り組み、私はぜひこういうものを広げてもらいたいなと思うんですけれども大臣のその問題について御所見をお伺いします。
  211. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 地方分権の推進は、今先生おっしゃるとおり、これは非常に大事な要件だと私は思っております。また、政府の重要な政策一つでありまして、これは平成十一年の三月ですか、第二次地方分権推進計画を閣議決定したところでございまして、この着実な推進農水省としても図っているところであります。  地方分権、そういうことで、先ほども申し上げましたとおり、私は、農産物につきましても、林産物につきましても、あるいはまた水産につきましても、地方の特性というのは非常にあると思うんです。ですから、一つの基準に従ってこれをやれと言っても、地方によっては随分違うものが出てくるだろうと思うんです。そういう中から、統合補助金を積極的に進めてもらいまして、そして地方の本当にその地域に合ったそういう施策がしっかりとできるようにしなければならぬというふうに考えておりますものですから、今後とも、地方の主体的な取り組みを助長する、そういう観点からも、必要に応じまして統合補助金というのを積極的に進めていきたいというふうに思っております。
  212. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 大変前向きな御答弁、ありがとうございます。  次に、時間も大分進みましたので、農業後継者問題、先ほど担い手の問題等いろいろ出ておりましたけれども、それとも関連すると思いますけれども農業後継者問題。  これは、実は私、今、金沢に住んでおりますけれども、その金沢、水田地帯の中に建てられたような住宅地におるわけですが、住んで三年ぐらいしかまだたっていないんですけれども、周りの水田がどんどん宅地化、あるいは駐車場化ですか、あるいは荒廃地になっているというような、本当に寂しくなるような状況を目の当たりにしているわけでございまして、もともとが農振地域じゃない、市街化区域にもう指定されちゃったからそうなるのかもしれませんけれども、そのすさまじさというのは本当に恐ろしいような感じがするわけでございます。  そんなときに、まだ耕作している農業者の方にお会いしますと、やっぱりもう既に宅地化されたようなところ、去年まではここでもやっぱりやっていた、やっていたけれども、もう年で全然自分ではできなくなった、かといって子供も帰ってこない、そうすると、もうやめちゃうしかないんだというような、そういう感覚ですね、そういうお声を聞いたわけですが、そういう人が非常に多いような現状だと思うんですね。このままいきますと、何か減反だとか生産調整だとかという問題でない、もっと本当に、必要なだけつくれなくなるんじゃないかというような心配がするわけでございます。  そういう意味で、後継者問題というのは農林省も前からいろいろ御苦労されていると思うんですけれども、なかなかこれがプラスの方向に向いていかない。そういう大変なものはあると思うんですけれども、ここでひとつ、今の農業後継者の現状、これよく新聞なんかで何千人しかいないとかそういうことを言われているわけですけれども、現状はどんな状況なんでしょうか。
  213. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 農業の後継者の現状でございます。  将来の担い手となりますことが期待されます青年就農者、三十九歳以下の新規就農者の動向でございますけれども、これ平成二年の四千三百人というのを底にいたしまして、近年増加傾向でございます。平成十一年には約一万二千人ということになっております。  中を見ますと、いわゆる新規学卒、学校を出て直ちに就農するという人の割合は微増傾向でございますけれども、企業等を中途退職いたしまして就農するという、このケースが大幅に増加をしております。また、農外から全く新規に参入してくるというケースも、数は少のうございますけれども増加傾向ということで、いわゆる就農ルートが多様化をしているという現状にございます。
  214. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 確かに農業後継者というのは、農家の子供がそのまま入ってくるというようなことはないかもしれません。それと、今、農林省の方では法人化を非常に進めていると思うんですけれども、この法人というのが農業後継者を育てる一つの手段といいますか、全然技術がなくてもそこで働き出して、農業技術を身につけて、それで農地を持ってというのもあると思いますけれども、そういういろんな方策があると思うんですけれども、やはり担い手もあわせて、将来農業後継者というものをどういうふうに確保していくかという一つのビジョンが必要なんじゃないかなと思います。  これは、言うはやすく、考えてみれば、自給率をどの辺に設定するのか、あるいは農家所得をどうしたらいいのか、いろんな要素と絡んでくると思うんですけれども、その辺で、将来、農業後継者というのをどんなふうに確保していくようなビジョンをお持ちなのかをお聞きしたいと思います。
  215. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 現在、基本法の第二十一条によりまして、「効率的かつ安定的な農業経営」、これは、主たる従事者一人当たりの生涯所得が他産業と遜色のない水準の所得を上げ得る経営でございますが、こういう経営農業生産の相当部分を担うような農業構造を確立するということを目標にしておるわけでございます。  その具体的な姿を昨年三月、農林水産省として公表をいたしました。平成二十二年を目標に、こういう経営を約四十万経営体、家族と法人と合わせまして育成するということになっておりますけれども、こういう経営体を確保するためには、世代交代がございますので、毎年一万三千人から一万五千人程度の新規就農青年を確保することが必要になるわけでございます。先ほど申し上げましたように、現在約一万二千人でございますので、増加傾向にはあるものの、確保目標に対してはまだ不十分ということでございまして、新規就農対策を推進していくことが必要であるというふうに認識をしております。
  216. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それで、農林省のお考えになっている目標はわかるんですが、そのために例えばことしの予算なんか、きょうは予算委嘱審査ですので、平成十三年度ではそのためにどんなような予算を考えておられるか。
  217. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 多様な就農ルートに対応いたしまして、いろんな段階に応じた対策を講じております。  まずは情報を提供する、それから技術とか経営管理手法の研修をする、それから機械・施設等を購入するための資金の手当てをする、それから農地の手当て、こういう段階でございます。  平成十三年度におきましては、こういう対策の中身を拡充いたしまして、まず就農希望者の利便性に配慮いたしまして、現在、農業会議系統と普及系統と相談窓口が二つあったんですけれども、それを一本化するとともに、研修生を受け入れます農家に対しまして機械・施設を無償貸与する、それから高校生、大学生が在学中に農業体験学習を行う農業教育というものを充実する等の拡充を行っているところでございまして、今後とも新規就農対策ということをニーズに応じまして総合的に推進していきたいというふうに考えている次第でございます。
  218. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 そういう今のいろいろなやりとりがございましたが、農林省の方もこの後継者問題を大変重要視していると思うんですけれども、その辺について大臣思いをひとつお知らせください。
  219. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 農業をするに当たっては、単に農業の知識やあるいは技術だけでは私はだめだと思います。もっとこれからの農業に当たってはマーケティング、これも必要でしょう。それから、そういう販売能力といいましょうか、そしてまた会計、税務、そういう管理能力というんでしょうか、そういうふうなものも総合的に必要になってくるというふうに思うんです。  こういうことから、そういう能力を有して将来の担い手を目指す質の高い新たな人材確保、こういうことを期するためには、農業発展の基礎となるものをきちっと認識していただくということが大事でございまして、このような視点から、農業の後継者を含めた新規就農の支援対策を食料農業農村基本法理念のもとに施策の重要な一翼としてそれをやらなきゃならない。それを担っていく者、そういう方を、そういう人を位置づけまして、その推進に努めていきたいというふうに考えているところであります。  今後とも、農林水産省といたしましても、就農の相談あるいは技術、また資金、農地等の面におきましても、新規就農者が自信と誇りを持ってやれるような、そういう農業に取り組むことができるように基本的条件の整備を進めていきたいというふうに思っております。
  220. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。  この問題はそう簡単ではないと思いますが、私もこれからいろいろまた機会あるごとにこの問題も含めて質問させていただきます。  もう一つ通告したんですけれども、ちょっと時間がなくなりましたので。  これは通告していなかったんですが、先ほど冒頭で郡司委員省庁再編に伴うメリットデメリットというようなお話も出ましたので、それに関係するかもしれませんが、参考にということで、私、農林省に行ったときの経験を、この間、先日お伺いしたときの経験をちょっと話させていただきたいと思うんです。  実は、地元から県会議員とか市町村の町長さん、市長さんが来て、いわゆる提案型の陳情というんですか、皆さんにお会いするように、こういうふうに言って、先日、それが私の県から午前、午後お見えになりまして私は御案内したんですが、実は農林省で、八階に行くというのでエレベーターに乗ろうと思ったら乗せてくれないんですよ。ということは、どなたかがお見えになるのか、ここにお座りになっているどなたか知りませんけれども、そういうことで待たされたという経験がございまして、それが一日に二回もあったので、これは何なのかなと。  失礼な言い方をしちゃあれですけれども、やっぱり国会議員の先生方がふえたせいかなというような感じもいたしましたし、私がたまたまそんなところに居合わせただけなのかなというような気もいたしたんですが、何かちょっと開かれた農林省にあってはしっくりとしない、こんな経験を持ったものでございまして、地元の人は全然そんなことを意に介していなかったんですけれども、私だけかもしれませんけれども、そんな経験を持ちましたので、最後に、もう時間もありませんけれども、私はこれでおしまいにいたしますが、もし何か御感想でもあったらお話し願いたいと思います。
  221. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) もしそういうことがあったとすれば、それはとんでもないことでありまして、実はこういう話を一つ申し上げておきたいと思います。  過日、三月一日に有明海の漁民の方たちが陳情、要請に二百人ぐらい来たんですが、私はちょっと本会議があったものですからおくれて行ったんですけれども、何か二百人も来る、しかも鉢巻きをしてきたのでしょう、農水省の方も何かドアを閉めたり、あるいはエレベーターのところで腕章をしている者が何かそういう、制限というのじゃないんでしょうけれども、ちゃんとそこへ行けるように誘導していたんでしょう。  少なくとも、そういうことはやめろと私は言ったんです。農業者であろうと漁業者であろうと林業者であろうと、農林省から見れば仲間じゃないか、そういうことから、それはもう全部一緒にそれをやらなきゃいけないよと。そういうふうな、警戒ということはないと思うんですけれども、できるだけスムースに誘導したいということでやったんでしょうけれども、ちょっと私が見た面からいくと、そういうふうには見えない。だめだ、全部開放しろというふうなことで申し上げている。私自身も一緒に来た人たちとそのままそのエレベーターに乗りまして、エレベーターの中でいろいろな話もすることができたんですけれども。  とにかく、私は、農林省というところは役所の中でも一番開かれている役所だというふうに自負しておるものでありますから、そういった面で、もしそういうことで先生に不愉快な思いをさせたとするならば、それはもうとんでもないことでございます。いつでも開放しております。私は、ですから、大臣室でもいつでもいらっしゃいということで開放している。場合によってはあけっ放しにしておけというぐらいのことを言っているわけでありまして、そういった面では、私はこれからもそういった面には十分心してまいりますので、ひとつもう御遠慮なくじゃんじゃん来ていただきたいと思います、どうぞ。
  222. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 もう終わります。  質問通告しておきながら残しましたけれども、これまた次の機会に中山間の問題を取り上げさせていただきたいと思います。  それでは、以上で終わります。
  223. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 以上をもちまして、平成十三年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  224. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  225. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  226. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、三重野栄子さんが委員辞任され、その補欠として谷本巍君が選任されました。     ─────────────
  227. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会農林水産省総合食料局長西藤久三君、同生産局長小林芳雄君、同経営局長須賀田菊仁君、同農村振興局長木下寛之君、林野庁長官中須勇雄君及び水産庁長官渡辺好明君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  228. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  229. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 農林水産に関する調査のうち、平成十三年度の農林水産行政基本施策に関する件を議題といたします。  本件につきましては既に説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  230. 中川義雄

    ○中川義雄君 大臣、大変朝から御苦労さまでございます。  先ほど、予算委嘱審査を聞いておりましたが、ほとんど予算の内容がなくて、いろいろと一般的な質疑に終始しまして、本当に御苦労さんだったと、こう思っております。委員長委員長報告をどうやってつくるのか、非常に困難なことかもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。  それで、私は今ちょうど本議会におきまして、昨年の農業基本法に引き続いて林業そして水産業基本法が上程されていると、こう聞いておりますので、その点に主に話題を引きながらやっていきたいと思います。  最初に、これは農業の問題でありますが、一点だけ聞かせていただきたいと思います。  昨年新しく改定されました食料農業農村基本法において、食料の自給率を向上するということを非常に大切にしております。これが特徴的だったと思っています。そのため、策定されました基本計画においては、平成二十二年をめどに四五%まで、大体五ポイント向上させたいという計画ができ上がりました。向上を旨とするというようなそのために、特に小麦、大豆といった非常に輸入に依存度の高いものを重点的にやる、特に米の転作のためにそれを重点的にやるということはわかるんですが、それが北海道では大変困難な問題に発展していっているんです。  その一つは小麦の問題ですが、どうしても米地帯、これは非常に湿地帯でございまして雨も多くて、小麦はどちらかというと雨が少なくて乾燥地帯で盛んになって、ですから穂も上に向いていて雨を全部受けるぞというような形になっているわけです。それに対して稲穂は、実れば頭を垂れるというような形で、雨が降ってきてもみのかさがそれを守るというような形になっていますから、それが雨に強いわけでございます。その水田地帯に小麦をつくるわけですから、これはいろんな問題が起きているわけです。  そしてしかも、水田の小麦と大豆、二作を中心にした連作体系ということになりますと、初めのうちはいいんですが、年数が経てくると、二作で輪作体系というのは非常に無理なわけです。しかも、北海道の場合は、他の地域の畑作地帯というのは相当大型機械を駆使して、また施設も相当それに合った施設がされているわけです。それに対して水田地帯は非常にまだいわば畝などがあったりして、そこへ農業機械を入れながら畑作するというのは非常に難しいんです。  それが、それだけならいいんですけれども、最近はそれが水田地帯と畑作地帯の農家同士の感情的な対立にまでなりかかってきているんです。  一つは、大豆が、何十年と厳しい自然、風土の中でつくってきた畑作地帯の大豆、それがやっぱり国内では銘柄品として一定の評価を受けて、価格もそれなりの価格だったわけです。それに対して、輸入大豆は相当食用としては非常に評価が低かったわけです。ところが、転作のために大豆をたくさんつくり出しますと、国産の大豆というのが相当流通に入ってきますと、それが価格に転嫁されて、畑作地帯の、これまで苦労した畑作専業の大豆農家が大変苦しくなってきているというのも事実なんです。そこで、今度は大豆交付金に畑作専用に五百円プラスしたというのはそれなりに評価されていい、本当にありがたいことだと、こう思っているわけです。  その一方、小麦ではこういう問題が発生しているんです。小麦はつくってもなかなかできないものですから、御承知のように小麦は共済に加入することが義務づけられているわけです。そうすると、どういうことになっているかというと、この二、三年は極端に水田地帯の被害が多くて、畑作地帯は努力するものですからほとんど被害がない。それがどういう形になっているかというと、最近の数字では、十勝のような畑作中心のところは、みずから掛けた掛金の支払い、受取共済金が約一割なんです。〇・一倍ぐらいなんです。それに対して、空知だとか、北海道の、それから石狩といった水田専業地帯では五倍から八倍受け取っているんです。  それが昨年の暮れ、私自身、共済組合長といろんな打ち合わせをしたときに、何となく不穏な雰囲気になる、北海道で。それで、それはどういうことかというと、十勝の共済組合の幹部がひそかに収穫期に空知だとかそれから石狩といった水田地帯の小麦の収穫をどのようにしてやっているのか見に行ったんだそうです。そうすると、暗くなったらすぐやめてしまったと、作業を。ところが、十勝などは、私もよく知っていますが、収穫できる雨降る前に、なるべく被害を受けたくないということで、二十四時間でも三十六時間でも収穫できる間は寝ないでみんなして作業しているという実態なんです。それが、暗くなったらやめる、そして共済金でということになると、我々が払った共済金で水田地帯の小麦農家がやっていくのかというと、非常に感情的になってしまう。  しかし、私もわかるんです、水田地帯の人たちのその気持ちも。合わないところに転作を強いられて、しかも連作体系がきちっとしていない中で、やっぱりすぐだめになってしまう。だから、どうしてもおのずと人間の弱さで共済金に頼ってしまう。これでは、私は、将来大きな問題になると思う。  そこで、私は大臣に対して提案したいのは、北海道のようなところでは、転作は無理して小麦、大豆にするんじゃなくて、やっぱりその地域に合った転作をさせるべきだ。その一つとして考えられるのは、今飼料もほとんど海外に依存しているわけですから、北海道では幸いたくさんの家畜が飼われておりますから、粗飼料じゃなくて、えさ米を専門につくっていただいて、そして畜産地帯の農家にそれを供給することによって自給率にも貢献する。そしてまた、そのことによって水田農家も安心してえさ米をつくれる。そういうことも頭に入れてやっていただきたいものだと。しかし、ここでは大臣も、いかに大臣といえどもすぐ答えられないと思うんです。いろんな技術的な問題だとか何か、検討が必要だと思います。  どうか大臣の方から事務当局に技術的な検討、私も北海道庁だとか北海道農業団体、そういったところには提案しておりますので、国でも真剣にこの問題に考えていただきたいと、こういうお願いですが、大臣、いかがでしょうか。
  231. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 非常に大事な示唆をいただいたというふうに今思います。  確かに、適地適作ということもありますけれども、水稲しかできないようなそういうところもあるわけでございまして、そういうところに転作作物であるところの麦をつくれあるいは大豆をつくれと言っても、それは実際問題としてはなかなかそこで収穫を得るというふうな、どんな努力をしてもでき得ないようなところもあると思うんです。その一つが、今、石狩とか空知というんでしょうか、そういうところだろうというふうに思うわけであります。  そういう中で、一つの方法としてそういう飼料米といいましょうか、そういうふうなものをつくるということ、これについてはいろいろと技術的な問題もあるでしょうし、また飼料の体系的な面などもいろいろあろうかと思いますけれども、しかしそれは一つの非常に大事な御示唆でございますから、事務当局に、あるいはまた試験地もあるわけでありますから、そういうところで研究をすることも非常に大事でありますので、その点については十分心して対応に当たってみたいというふうに考えます。
  232. 中川義雄

    ○中川義雄君 この誘導策としては、一つの参考になるのが、昨年非常に苦労して、ホールクロップサイレージの問題が起きました。あれは粗飼料でございますが、粗飼料にもあれだけの援助措置、そんなことも参考にしながら、やっぱり誘導政策しないとなりませんので、その点もよく考えていただきたいものだと思います。  次に、基本法の問題でないのでもう一つだけ、林業に関することで、余り基本的な話じゃありませんが一点だけ聞いておきたいと思います。  それは、平成十年に森林管理署の設置、要するに再編についての文書が出されました。そして、その内容は、いろいろありますが、平成十一年三月に基本的な単位として九十八森林管理署に再編するという方針が出されまして、そしてこのたびそのことについてもっと具体的な話が出たわけです。  そこで問題なのは、北海道の管理署の管理体制。要するに、管理署にするということは、森林をこれまでのように木材を伐採して売ってという、そういうやり方じゃなくて、今、森は大切だと、国有林をどうやって管理して将来に際してきちっとしたものをつくっていくかということであります。  それで大臣大臣にこのことを聞くのも酷ですから林野庁長官で結構ですから、林野庁長官。まあどちらでもいいです、答えるのは。副大臣もおりますからそれはお任せいたします。  北海道の十勝が一つの単位になっているんです。その単位でそこに国有林は四十二万ヘクタールあるんです。それが再編計画では二カ所の管理署に統合されるというんです。それで一方、ほかと比較して一番わかりやすいのは四国。高知にその中心があるんですが、四国では面積が大体十八万ヘクタール。十勝は四十二万ヘクタールです。そして、再編された結果としては、そこに管理局が一カ所あります。それに管理署が六つあって、そして管理事務所というのが一カ所で、計八カ所。  しかも、北海道は御承知のように半年、国有林は山の奥にありますから雪に埋もれているという大変厳しい環境。それを管理するのに、この広大な十勝に二カ所、そして四国全体には八カ所というのは何か、何も私は地域のエゴの話をするのではありません。本当にこれからの大事な大事な森を守り育てていくのにこれぐらいの体制でできるのかどうかという私は本当に心配があるものですから、その点についての考え方をお示しいただきたいと思います。
  233. 中須勇雄

    政府参考人中須勇雄君) ただいま先生指摘のとおり、平成十年に国有林野について抜本改革に取り組むということで、四つの大きな柱を立てて抜本改革に現在取り組んでいる、こういう最中であります。  その中の一つの項目として、要員と組織について合理化、効率化を図るということが大変大きな柱になっておりまして、それに基づいて今先生指摘のようなお話が行われているわけであります。  実体的な問題としては、先生指摘のとおり、国有林野についても経済的な効率ということを求めるのではなくて、その森林の持っている公益的な機能を十分発揮するように変えていく、これが一番基本にあるわけでありますが、その経過期間において、やっぱり大変多額の借金、借入金を抱えている、これをとにかく返済をして道筋をつけていかなければならないということで、私ども大変地元にもいろいろ御迷惑をかけながら、そういう改革に取り組んでいかなければならないと思ってやっているところであります。  具体的な組織の話につきましては、御指摘のとおり十一年に、それまで二百二十九全国でございました営林署を九十八の営林管理署に統合する、こういうことを決定したわけであります。その際の考え方としては、基本的には今お話しの例えば十勝というふうに呼ばれるような流域ということを単位といたしまして、一つあるいは複数の流域に一つ管理署を置く、こういうことを基本にしつつ、実際には非常に国有林面積が一つの流域でも広いところ、小さいところがございます。そういう意味において、広いところでは二つの営林管理署を置く、あるいは、さらになお広い場合には管理署の支署を置く、こういうふうな形で対応するという考え方を基本に行ったところでありまして、現在、御指摘のとおり、十勝の区域内におきましては四十二万ヘクタールの国有林に対して二つの森林管理署、一つの支署、こういう形になっております。  私ども、大変そういう意味では、地元の問題あるいはこれからの森林管理ということを考えていった場合、厳しい側面あるわけでありますが、数々の管理行為を行うという第一線の森林事務所、これにつきましては現在の体制を維持し、今回の暫定事務所等の廃止に伴っては、そういう森林事務所の強化ということを含めて、できる限り末端市町村等に御迷惑をかけない、そして森林管理が適切に行われるということに最大限努力をしながら、大変厳しい状況ではありますが、こういう体制のもとで抜本改革の道を切り開きたい、こういうふうに思っておりますので、何とぞ御理解を賜りたい、こういうふうに思っております。
  234. 中川義雄

    ○中川義雄君 その今の答弁聞いても本当のことは理解できないんです。例えば、もっと中身のある、管理署の数は少ないが中身をきちっとして人員を適切に配置するとか、そういう話でもあるんならいいけれども、ただ管理署は流域に一つのところを広いから二つにしたなどという話は、これは全体見たら、大臣、後から見てみてください。本当にこれは大変なことであります。  しかも、私は十勝に生まれ育っているからわかるんですが、最近ちょっとした雨が降ると鉄砲水になって川下のいろんなところに、古老の話では、これぐらいの雨では今までは全然水なんか出なかったのに、すぐ出るようになった。大体みんなわかっているのは国有林が裸になってしまっているからだという話が返ってくるんです。そういう多面的機能と、今度の森林林業基本法でもそれをきちっとうたっている。その多面的機能が、国が管理している国有林が荒れることによって川下にいる人たちに迷惑をかけることがあっちゃいけないことなんです、絶対。  それを、体制をこの管理体制の中でやるとしたら、本当にこれでいいのか。箇所の話、それでできないんだったら中身の話ぐらいはしっかりしていただきたいものだと。これは答弁が用意してないようですからもう聞きませんが、もし問題があったときは林野庁長官にもこの点についてはしっかりとした責任をとってもらう覚悟で今後とも見てまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。大臣、この点もよくしっかりと認識していただきたいと思います。  それでは、本来の質問に返らせていただきます。  要するに、今も言いましたように、今度の林業基本法の中では一番きちっとうたわれているのは、森林多面的機能というものについてしっかりと書かれています。また、聞くところによると、その多面的機能をどう評価するか、これを定量的にきちっと評価したいということで、今、農林省林野庁は日本学術会議に対して権威ある数字を求めていて、これだけの価値があるんだから森をしっかりと守っていくということを出そうとしていることは本当に私は画期的なことだし、今後ともそういった意味でやっていきたいわけですが、それに対して、そういうことについても、要するに大臣の、森の持つ多面的機能についてどのように評価し、それを守っていくための決意みたいなものをまず伺っておきたいと思います。
  235. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生指摘のとおり、森林の持つ多面的機能、これは単に木材生産のみならず、国土の保全あるいはまた水資源の涵養、あるいは地球温暖化の防止、シンクの問題等もございます。こういったことで、自然環境の保全等の多面的機能を有しておりまして、実はこの件につきましては学術会議に私の方も大臣になってすぐ諮問をいたしまして、十一月にはしっかりとしたそういうものが、また答申を受けることになっているわけでありますけれども、こういった面で、その多面的機能についての位置づけというものをしっかりと認識していくことが大事だということで今やっておるわけであります。  そういう面から、林政改革大綱に基づきまして、森林所有者等による多様な森林整備推進していくということとともに、公益的機能の発揮に対する要請が高いものの、森林の所有者等の方々の林業生産活動が非常に今停滞しているんですね。どうしても価格の問題やいろんな問題がありまして、そういったことで停滞している。こういうようなことであってはならぬということから、公的関与による森林整備もやっていかなきゃならぬというふうに思っているところでありまして、これを推進していきたい。そして、これらの施策推進に当たっては、森林あるいは林業に関する国民による理解を深めながら、森林の持つこういった多面的機能を十分に発揮できるような、そういった施策をしっかりとやっていきたいというふうに思っております。
  236. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 速記をとめてください。    〔午後三時三十八分速記中止〕    〔午後三時四十九分速記開始〕
  237. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 速記を起こしてください。
  238. 中川義雄

    ○中川義雄君 今、御承知のように、非常に林業経営が一方では大変厳しくなっているわけです。その中でも、もうこれだけ厳しくなると担い手確保できないのではなかろうかというのがもう率直に言って山の実態であります。どうしても大切な大切なこの森を守っていくためには、森林を守っていくためには、担い手確保されなければなりません。そのためにはどのような施策をとろうとしているのか、担当されている大臣政務官のお話を聞きたいと思っています。
  239. 国井正幸

    大臣政務官国井正幸君) 今、御指摘林業担い手は、やはりこれは我が国の森林林業を守っていく上で最も大切なことだと、このように認識をいたしておるところでございますが、現在非常に材価が低迷をしておりまして、林業経営コストの増大などによって非常に林業経営そのものが意欲が低下していると、こういう状況にあるわけでございまして、林業収入をもって生計を立てているという方が非常に減少をしてきている。  したがって、数字で見ますと、昭和五十年当時は二十二万人おったようでございますが、平成十二年には七万人に減少したと、こういう状況でございまして、非常に林業経営そのものが停滞をしているために、即、今の時点では就業者が不足していると、こういう実態にはないわけでございますが、しかし、さりとてこういう状況をこのまま放置しておいたのでは将来の我が国の森林林業を守ることができない、このように考えるところでございまして、そういう面ではまさに先生指摘のとおり、中長期的にこの担い手というのを確保する必要があるということだというふうに思います。  そういう中で、じゃ、どういうことをやろうとしているのか、あるいはやっておるのかということでありますが、効率的で安定的に林業を行うことができる林家等の林業経営体や、施業あるいは経営を受委託する林業事業体に焦点を当てて担い手育成確保すると、こういうことで重点的にこれからやる必要があるというふうに思っております。しかし、やっぱりその中でどうしてもこれは農業あるいは水産業とも共通するわけでありますが、経営というものは趣味でやるわけではありませんので、やはりそこで一定の所得があって生計が成り立つということが基本だろうというふうに思います。  したがって、今度、森林林業基本法の制定等をいただきまして、国民の皆さんの幅広い御論議と合意形成に基づいて、そこに暮らす人、その業に従事をする人たちが生計が成り立つように、まさに多面的、公益的な機能を発揮するという面において公益な支援というものをベースにこれから考えていかなければいけないんではないかと、このように考えております。
  240. 中川義雄

    ○中川義雄君 そういう中で、この国は大変木材の問題になると世界を相手に敵に回しているような気がしてなりません。国内もそうです。国内の木を相当乱伐して、大変な環境問題に負担を与えていると。一方では世界じゅうに木を求めて、それが世界じゅうの自然保護論者など、砂漠化のもとだとか、特に後進国における大変な加害者だと、こう言われておるわけです。ですから、木材の輸入についても一定の節度というものが、私は、必要なんです。  きょうは、通告で輸入に対する制限をどうするかという話をする前に、その木材を日本が大変大量に戦後特に輸入したことによって世界じゅうで大変な問題を引き起こしているという話があるわけですが、しかし、これは感情的な話が中心で、具体的にそれがどうなっているかということになると、私もいろいろ調べてみたんですが、なかなかわからないんです。  そういう、日本は木の文化だ、だから木が必要だということで木材業者を中心にして大変な輸入した実態があったことは事実であります。そのことによって世界の木材資源にどんな影響を与えていたかということについては、やっぱり政府としては知っておく必要があると思いますが、その点について何か評価するものがあったらここで明らかにしていただきたいと思います。
  241. 中須勇雄

    政府参考人中須勇雄君) 御指摘のとおり、我が国が大量の木材を外国から輸入するということは、その外国においてそれだけの木が切られていると、こういうことでありまして、私ども、今、新しい基本法の中において持続可能な森林経営というか、それこそが一番重要な政策課題であると、こういうふうにとらえているわけでありますから、当然それは日本一国のみにとどまらず、外国においてどういうことかと、外国においても同じようなことが起きていなければならない、こういう気持ちで臨まなければならない、こういうことだろうと思っております。  率直に申しまして、これまでの我が国の輸入、我が国だけではないわけでありますが、多くの先進国中心木材を輸入するという中でしばしば言われてきたことは、例えば熱帯林地帯において大量の乱伐というか、そういうことが引き起こされたと、こういうふうなことが例えば言われておりますし、今でも例えばそのほか北洋材等においても違法な伐採が行われて、それが我が国に来ているのではないか、こういうような疑いというか懸念もあるわけであります。  ただ、率直に申しまして、この辺、具体的にどこの国からどういうふうな形でそういう乱伐というか、そういうものが入ってきているのか、必ずしも十分に数値的にも把握されているわけではありません。  昨年のG8で議論が行われました、違法伐採について各国が協調してできる限りのことをすべきだと、こういうようなことが大きな議論、項目の一つになると、こういう時代でございますので、私どもそういう点について、今これからも輸出国の実態を含めて現状を把握して、それに対してどういう手を打てるのかと、こういうことを真剣に考えていかなければならない、こういうふうに考えております。
  242. 中川義雄

    ○中川義雄君 一方では、今度の基本法の中で秩序ある輸入というようなことを項目にうたってあります。そして、それを調整するためには関税率の調整だとか輸入の制限も考えなければならないというような条項もあるわけであります。しかし、輸入の制限ということになりますと、非常に貿易自由化という大きな声の中で、そのことによって相手の国に影響を与えるということについては、世界で自由貿易を維持するということからいうと何か神経質になっていますというか、ぴりぴりしているわけです。しかし、木材に関する限りは、日本が輸入することが相手に利益を与えるんじゃなくて相手に害を与えるということであれば、それを一つのロジックにして節度ある輸入というものをやるということになったら、これはまた新しい観点になるんじゃないかと思うんです。  そういう点から、これもある意味ではセーフガードといいますか、大きな意味のセーフガードになると思いますが、その点も含めて、単に輸入を制限するということじゃなくて、世界の自然を守るという立場から節度ある輸入をするということで、その場合制限するということも含めて大臣の基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  243. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生、これは非常に大事な点を御指摘なされたわけでございます。それは、やはりこの問題については、先ほど長官からも答弁がありましたけれども、G8におきましても、その辺のところを踏まえて、不法伐採等の問題についてもこれは国際的な協議の中できちんとやっていかなきゃならぬぞというようなことをこれから各国において協議していこうということになっているわけでありますが、一番大事な問題は、やはりこの地球を守ると言ってはなんですけれども、そういった面で森林の果たしている役割というのは私は大きなものがあるだろうと思うんです。  そういう中で、環境を守り、地球の破壊からそれを守るという面からいけば、その森林を必要だからというだけの理由によってばんばん伐採していっていいものか、これは私は、そこにはやはり一つの哲学がなければならぬというふうに思うわけでありまして、そういった面では、我が国だけで考えてみましても、国内において、当然日本の国内でもやらなければならないものがあるわけでありますから、そういうふうなものを国内で満たして、それでなおかつ足らないというものがあるならば、そこで初めて私はよその国からの輸入というものになしていかなければならぬと思うのでありますけれども、その中においても、地球全体の中から考えたときの森林のあり方というものも当然あるわけでありますから、そういう一つの大きな理念のもとにこういった政策がきちっと行われていくようにしなければならぬというふうに考えております。
  244. 中川義雄

    ○中川義雄君 先ほど、日本のこの大切な大切な森を守っていくためには、やっぱり山村といいますか、そこにいる人をどうやって維持して管理させるかと。管理署も統合されて非常に疎になっていく、今、山を捨てて多くの人が出ていってしまう。それじゃ、だれが森を管理するのかということになると、本当に心配でならないわけです。そうすると、そういった貴重なところへ住んで森を愛して生きていく人たちに我々はいろんな角度から援助しなければならないと思うんです。そういう森の持つ多面的機能を維持するために、農業基本法では、いわば中山間地域等における直接支払いという制度を本当に思い切ってつくったと思うんです。私は、森こそは、山村こそはもっと川上にいて本当に大切な仕事をしているとうとい仕事だと思う。農業に対する直接支払いができるんだったら、私は、この大切な大切な山村に対しても直接支払い等を考慮すべきでないのか、そう思いますが、いかがなものでしょうか。
  245. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 森林の果たす多面的な機能、当然のこととしてそこには水源涵養の面、ああいう都市生活者に対して、そういう水の補給ということの面についても、森林の果たしている役割というのは大きなものがあります。また国土保全の面においても、そういった面では大きな役割を私は果たしているだろうというふうに思うわけであります。こういうことについては、私は、国民の皆さん方いずれの方たちもその辺のところはきちっと理解をしているんではなかろうかというふうに思うわけであります。  そういう面から考えますと、森が荒れる、それがために災害が起きる、あるいは水源の涵養ができ得ないようなそういう状況になってくる。あるいはごく私どもの最近の話の中に、例えば海においてワカメが育たない。その原因はどこにあるのかというのをたどりたどっていくと森林にあるということから、漁業者が森林に植栽をする、そこの山に植栽をする、そして海の幸を涵養させていくというふうなことすら今行われておるわけでありまして、そういう面から見ると、森林の持つそういう機能というのははかり知れない大きなものがあるというふうに私も考えておるところであります。  そういう面から見れば、森林を守る、あるいはまた森林整備していく、そして機能を大きく発揮させるそのもとをつくる人たちのために、いろいろな面で支援といいましょうか、そういうふうなものをしていくというのは私は国民の合意が得られるものというふうにも考えているわけでありまして、いろいろその辺のところも検討しなきゃならぬというふうに考えているところであります。
  246. 中川義雄

    ○中川義雄君 そういう意味で、先ほど言った、今回、日本学術会議にその定量的な分析、本当に我が国に対して金額にかえて毎年これだけの貢献していると。だから、これを守るためには当然何かを考えてやらぬとならない。そのためにも、例えば新たな財源対策も考えながらでも私はやっていただきたい、これは要望にとめておきます。  次に、水産問題に移らせていただきたいと思います。  さきに提案された水産基本政策大綱がありますが、その理念と今回この議会に提案しようとしている水産基本法との関係、そのことについて端的に伺いたいと思います。
  247. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 今国会に提出をいたしました水産基本法案、この点につきましては、一昨年の十二月に農林水産省が今後の水産政策の指針といたしまして作成しました、今先生から御指摘がありました水産基本政策大綱、これをベースにいたしまして、関係者の意見を聞きながら、法制的な整理をさせていただいたところでございます。  そういう中で、本法案におきましては、水産物の安定供給、そしてまた水産業の健全な発展を新たな水産政策の基本理念とさせていただきまして、その実現のために水産資源の適切な保存管理あるいは水産動植物の生育環境の保全、担い手確保、そして漁村振興等を基本的な施策として方向づけをしているものでございます。  我が国の水産政策については、これまで昭和三十八年に制定されました沿岸漁業振興法に示された方向に沿って、漁業生産性の向上経営の近代化等を主眼にいたしまして政策展開してきたところでございますけれども、これに対しまして、水産基本法は、水産をめぐる内外の諸情勢の大きな変化を踏まえまして、そういう中から、水産物の安定供給を初めとして、国民生活の安定向上等の視点に立ちまして、これまでの政策を抜本的に見直すということでございます。
  248. 中川義雄

    ○中川義雄君 そういう意味で私は、水産基本法を提案された、本当に画期的なことでありまして、日本じゅうの水産関係者がこの先に、何か暗いこの時代ですが、明るさを求めていると、こう思うのであります。  しかし、基本法基本法として、これはやっぱり理念法なんです。理念法ですから、具体性には欠けている。何を具体的にやるかということになると、これはこれからなんですね。  そこで問題になるのは、この基本法に基づいて基本計画をつくると、こう言っています。これも大事ですから、しっかりやってもらいたい。しかしまた一方では、この理念法に基づいて実施法として、今回、漁業法の改正それから海洋生物資源の保存及び管理に関する法律といったものを実施法として出しているわけです。基本計画、実施法、そしてこの理念法である基本法と。下手するとごちゃごちゃになってしまって、どこが何だかわからなくなるようなことになりますので、こういったものをどうやって整合性を保ってやっていくか、非常に大切なことだと思いますが、その点について考え方を伺いたいと思います。
  249. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 今、先生から御指摘がありましたように、基本法自身理念もしくは基本的な枠組みを定めます。この理念なり枠組みに沿って具体的にどういうことをやるべきかということを規定するのが個別法でございます。  一例を申し上げますと、基本法案の第十三条におきまして、二百海里水域内の資源の保存管理、それからそれを持続的に利用するということを規定いたします。ただ、これだけでは理念でございますので、具体的にどうやるかということになりますと、漁業法の中で広域の資源管理、浜がずっと共通しますので、そういう広域の資源管理をするために、広域の資源管理のための調整委員会を設けるという規定をつくります。  それから、いわゆるTAC法の中では、漁獲の可能量というのが今まで七つの魚種についてはありますが、このアウトプットだけではなくて、その投資、漁労期間とか隻数とか、そういうことを定める漁獲努力量というのをこれから定めるんだということでTAC法の改正をするわけでございます。  基本計画は、そういった基本法と個別法を受けまして、何をいつまでにどういう形でどこでやるかというふうなことを中期的な視点に立って定めるという、実施計画がついたものだというふうに整理をさせていただいております。
  250. 中川義雄

    ○中川義雄君 そこで、私は今回の水産基本法で画期的なのは、水産業また漁村といったものを大きく見た水産そのものについても多面的機能というものを一項起こしている、これは非常に評価していいと思うんです。  ところが、これは非常にまた一方ではわかりづらい話なんです。農業だとか林業というのは、御承知のように、そのものが水を涵養したり酸素を供給したり、非常に生きるものに対して貢献している。そういう本来のその業よりも、農業というその仕事よりも、ほかにもそういういいものを提供している、そのものが。ところが、水産業というのは、御承知のように魚をとる、そういう一面だけを見ると、魚をとってそれで農業林業のような多面的機能を認めるというのは非常に難しいという議論も一方にはあるわけです。  しかし、私は、多面的機能があるから農業林業国民にちゃんと理解されて、弱い産業であるがそれを援助していくという一つの根拠にしていることは大事である。水産業も今大変です。国がある程度援助していくためには、そういう多面的機能水産業に求めたというのは非常に評価されますが、この水産業について多面的機能を認めた論拠みたいなものをここで出していただきたいと思います。
  251. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 先生の御指摘のように、農業とかあるいは林業とかの多面的機能という問題については比較的わかりやすい面の事例が出るわけでありますけれども、水産ということにつきましてはその辺が難しいであろうと今先生おっしゃいましたけれども、そういう面もないわけではございません。しかし、水産業漁村におきましては、昨年、漁業白書の中にも紹介しておりますけれども、水産物の供給以外にも、健全なレクリエーションの場を提供しています。それと同時に、沿岸地域環境保全あるいはまた海難救助への貢献あるいは防災、それから国境の監視、なお伝統文化、そういうものの継承等、多面にわたってこの機能を有しておるというふうに私は思うんです。こうした機能については、今後豊かで安心できるそういう国民生活を実現するためにも欠くことのできない重要な位置を占めておると言ってはなんですが、そういうものを持っているというふうに思うわけなんです。  今回、この水産基本法案におきましても、漁村漁業者等の生活の場として水産業の健全な発展の基盤としての役割を果たしておりますことから、その振興を図ることを基本理念として位置づけているわけでございまして、水産業漁村が有する多面的機能に関しましては、情報提供を初めとする施策の充実を図っていくことの政策方向を明確に示しているとしておるところであります。
  252. 中川義雄

    ○中川義雄君 今、大臣のその決意を聞いて、全く心強く感じました。それによって、またこのことによって、日本じゅうの漁民の皆さん方も、水産業に携わっている皆さん方にも先に非常に明るさを持ったと、そういう点ではこれを非常に大切にしていっていただきたいものだと、こう思っております。  次に、いわゆる二百海里時代に入りました。二百海里時代に入れば入るほど、経済水域として日本が責任を持って経営できる水域が非常に広くなったと一方では言えるわけです。しかし、そのためには、特にその地域資源管理に当たっては非常に真剣にやらないと、やはりどうしても資源が枯渇して、これが漁業者やまたは消費者にも大変迷惑をかけることになりますから、やはり資源に優しい漁法といったものを考えていかなければならないんですが、今回の漁業法の改正でそういう資源管理する、要するに漁法やいろんな意味でどのようなプログラムを組んでいるのか、お伺いしたいと思います。
  253. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) これからは、やはり資源持続的利用を図るという点で、資源に優しい漁法というのがやはり一つのかぎになると思います。先ほど申し上げました広域でやはり資源管理をしなければなりませんので、その広域の漁業調整委員会、できれば法律を通していただきました後、十月にも設置をして、その中で関係者の方々が具体的に、どういう漁法で、どういう区域で、どういう期間、漁業をやるのかというふうなことをお話し合いをしていただきたいというふうに思っております。  これまでも委員会指示という形で網の目合いであるとか、漁具の大きさであるとか、禁漁区域、それから例えば底びきなどの夏場の禁漁といったようなことを定めているわけでございますけれども、今回あわせましてTAC法で漁獲努力量というものも入りますので、これには当然隻数であるとか漁労期間が決まります。そういったことも全部合わせまして、それを広域で管理していくというふうなことをできるだけ早い機会にやっていきたいと考えております。
  254. 中川義雄

    ○中川義雄君 一方、大切なのは、どうしても管理型の漁法、漁業ということを進めると、どうしてもとり過ぎを規制しなければなりません。秩序ある漁業を確立しなければなりません。これだけ今、海が、資源が枯渇しているということになると、このことは一方では、やはり減船等の思い切った漁業調整が必要になるわけです。しかし、浜へ出て漁民の実態を聞くと、もう共補償に耐えられない、残った漁民が共補償までして漁民としてやっていけないというのが本当の心だと思うんです。ですから、これまでのような共補償、減船する同士で補償し合いなさいというやり方ではどうにもならないところに来ているのではなかろうか。やはり政府のある程度の、日本の大事な大事な水産資源を守るためにやることですから、そういった観点から思い切った支援というものを、この際、考えていかなければならないと思いますが、いかがなものでしょうか。
  255. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) ただいま先生の御指摘は、資源回復計画の件だろうというふうに思うわけでありますけれども、我が国の周辺水域の資源状況が極めて悪化しているということから、その回復するために計画的にあるいは総合的にこれを進めていかなければならぬというのをやろうということでございまして、平成十三年度からその作成に取り組みまして、平成十四年度から実施する考えでございます。  この計画に沿って行われる減船あるいは休漁等の措置についても、中長期的に考えなければならぬということでありますけれども平成十三年度からは、その作成につきましては、資源状況の回復による漁業経営の改善と申しましょうか、そういうものに資していかなければならぬというふうに思いますし、短期的には漁業経営に著しい影響を及ぼす場合もあり得るということも考えられますものですから、そのために、資源回復計画に基づく減船あるいは休漁等の実施にあわせまして、その影響を緩和するための施策を講ずる必要があるというふうに思いますので、その検討を今しているところであります。
  256. 中川義雄

    ○中川義雄君 もう一方、先ほど担い手確保その他にしても、やはり住む環境をどうするかということが大事であるわけです。今、やはり一番私も、漁村そしてまた農村、山村などへ行って都会と比較すると、やはり漁村は相当、何というか、荒れていると言った方がいい、道路にしてもいろんな生活環境。ですから、住みやすい漁村、これだけの大事な漁村を守っていくための、漁村を明るく活性化を持たせる施策というのは大事だと思いますが、その点についての基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。
  257. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) 中川先生から水産及び漁村漁港の将来についての大変御心配の御質問だろうと思います。  都市に比べて立ちおくれている漁村の生活環境整備は当然必要でありますし、何といっても日本は海洋国家でありますから、三千の漁港がございます。そこに暮らす漁業者の皆さん方あるいは生活者の皆さん方にとって、都市並みのやはり生活環境整備するということは、もう前から要望の強いところでありますから、今回、多面的な機能ということできっちりと位置づけられた中で、それぞれの項目についてなお一層予算の獲得を、予算配分をしながら御要請に応じるという決意で臨みたいと思いますし、今ある漁業集落環境整備事業、あるいは漁港漁村総合整備事業、あるいは美しい景観づくり等、良好な漁港漁村環境の形成等いろいろあるわけでありますけれども地域の市町村あるいは都道府県の皆さん方にもなお一層御理解をいただきまして地域整備を果たしていきたいと思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  258. 中川義雄

    ○中川義雄君 それから、漁業の特徴というのは、漁場は本当に一番川下にあるわけです。川が流れ着いたところであります。ですから、漁場環境確保するためには、先ほども大臣もおっしゃっておられましたが、川上から一貫して整備して国民理解をもってやっていかなければならない。そのためには河川法だとか海岸法だとかいろんな複雑な法律があるわけであります、都市計画法だとか。  ですから、これは縦割り行政だけでは、私は、大事な大事な漁場環境を守っていかなければならない、そういった意味で他の省庁とも協調してやっていかなければならないと思いますが、その点についての考え方をお示しいただきたい。
  259. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) おっしゃるとおりでございまして、これは関係府省とも連携をとりながらやらなきゃならぬというふうに思っているわけであります。特に、水産基本法案におきましては、水産動植物の育成環境の保全あるいは改善に積極的に取り組むという規定を設けているところでございまして、この件につきましては、今先生から御指摘がありましたように、地域ごとの漁業の実態や周辺の河川あるいは森林等の自然条件を踏まえながら、地域の実情に応じまして総合的に施策展開していく必要があるというふうに考えておりまして、関係府省とも十分に連携をとりながら万全を期していきたいというふうに考えております。
  260. 中川義雄

    ○中川義雄君 まだまだいろいろと通告したんですが、いろんな事情があって、そうしますと次の質問者の時間がなくなりますので、この辺でやめさせていただきます。  最後に、次期WTO交渉に臨む、林業水産業農業、すべてに関連しますが、この点について大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  261. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 農業分野につきましては、昨年取りまとめた日本提案に基づきまして、多様な農業の共存というのを基本目標といたしまして、国内生産を基本とした食料安定供給農業の持つ多面的な機能というものについて、枠と言ってはなんですが、そういうふうな提案をさせてもらっておるわけでありますが、この水産分野につきましては、新ラウンドが立ち上がりまして、それで林水産物の交渉の対象となった場合には、地球規模の環境問題それから資源の持続的な利用、こういった観点を十分に踏まえまして論議が行われることが重要だと私は考えておるわけでございます。  このような認識のもとに、私は、我が国としましては、理解を各国に得るために、私も行きましたが、両副大臣あるいは両政務官を各国に直接派遣をしましてその意見交換を行ったのを初めといたしまして、今各国からまた我が国にも参られる方々も大勢おるわけでございますから、あらゆる機会を通じまして積極的に今働きかけを行っているというのが実情でございます。  さらにまた、二月の末から五月にかけまして省内の局庁の部長あるいは審議官をリーダーとするチームを編成させていただきまして、開発途上国約三十カ国に派遣をいたしまして、相手国の農業とか貿易とか外交の各部局の担当者、もちろんその中には水産、林業、そういった担当者の方たちにも我が国の考え方を理解してもらえるように働きかけているところでございます。  こういったことから、今後とも、EUやあるいは韓国等のフレンズグループがありますが、そういった国々とも連携を深めまして、関係府省とも十分にこれまた連携をして、そして粘り強い交渉をしていくということが大事だと思いまして、そういう積極的に今行動しているところであります。
  262. 風間昶

    ○風間昶君 大臣、お疲れのところ大変恐縮でございます。来週のことがありますから、きょうは精いっぱい頑張っていただきますようお願いしたいと思います。  セーフガードにつきまして、ちょっとまだやり足りていない部分があるんですけれども、一点だけ、ネギの話ですけれども、ネギ栽培は労働集約型の農業ですから、中国のそれこそ安いというとおかしいんですけれども、日本に比べて安い人件費と競争してもしようがないと、勝負にならないと、しようがないというか、勝負にならないと。  鹿児島なんかでは、ねぎサミットなんかを開催して、大規模経営で低価格時代を乗り切ろうという考え方もあるわけですけれども、ネギ一つ、キロ、日本だったら百円から百十円ぐらいですけれども、向こうなら生産者には十八円ぐらいでつくれるように、そのぐらい差があるというふうに聞いていますけれども、いずれにしましても、野菜の状況全般を考えてみると大変な状況だから緊急総合対策事業政府におかれましてもやられているということは存じ上げております。  ただ、あくまでもこれは緊急総合対策事業ですから、しょせん落ちつくまで、ずっといつまでも何年も緊急ということにはならないんだろうというふうに思います。したがって、恒久的な国内対策をどうするかということが大事だと思っておるものですから、この中国の大量の安い人件費に対抗するための果たして妙案ありやということで、大臣、何か考えていることあれば。大臣お疲れでしたら副大臣でも結構です。
  263. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 今、先生指摘のとおり、セーフガードの問題はセーフガードとして今調査中でありますし、それに資料がきちっとそろえば、その九項目に該当するということになれば、私どもはセーフガードをかけるということについてはやぶさかではないわけでありますが、一方、国内体制というのも実は非常に大事であります。  そういった面で、生産に携わる点、それから流通、こういうものも含めまして、もう一度国内のそういう体制もこの際しっかりと見直しまして、そういったセーフガードという一つの項目と、もう一つ、そっちの国内体制というのもしっかりやらなきゃいかぬというふうに思っているところです。
  264. 風間昶

    ○風間昶君 そこで、ですから恒久的な国内対策を必要だと思うんだけれども、どうもお考えがないようですから、そう言っては失礼かもしれませんが、総合的にということで、じゃ総合的に何があるのかなというふうに今思ったんですけれども、何かありますか。副大臣でも政務官でもいいですけれども
  265. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) これは今、総合的にといいましても、確かに私は、これははっきり申し上げておきますと、輸入されてきた、水揚げされたもの、これは当然輸送費とかあるいは関税もかかりますね、それから農家の庭先で出る価格というものも実は比較をさせてもらっているわけなんです。そういう面で、私もいろいろとそれを見てみますと、国内の流通面についての経費というのがかなり大きなものがあるということもわかってまいりました。  それから、それだけではなくして、実際に今度は店頭で売る場合においても、どうも元数にパーセンテージでそこのマージンというんでしょうか、それを取ろうとしていることがあるものですから、ちょっと値が外国のものより上だとなると倍々みたいになっていってしまいまして、国内で庭先で出たものが実際に消費者に渡るときの価格というのが平均で二・七倍ぐらいに行っちゃうというふうな状況もございまして、これはちょっと少し合理化を図らなければだめじゃないかということで、こういう対策等も早急に農水省としましても打つ必要があるぞということでありますし、また一方、私どもは農協等に対しましてもその流通面について少し考えてほしいというような面も指示をしていると、指示と言ってはこれはちょっと言葉が過ぎますから、要請をしているというところもございますわけでございます。  それからもう一つは、やはり生産に当たりましての機械化とか、あるいはそういった面も今具体的にそういう方向に向けて支援をしていくことも考えておりますし、いろいろな面で、総合的というのはそういう意味で申し上げたわけでございまして、具体的に今対策を考えているというところでございます。
  266. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) ちょっと、御指名もあったようですから、一言つけ加えさせていただきます。  セーフガードを発動いたしますと、当然構造改革というものがWTOの中で提示をしなければいけないということでありますから、したがいまして、今から何といってもネギの、特化していくといいますか、当然北海道から九州までネギはつくられておりますが、深谷ネギだとか、新潟でいうとヤワハダネギというのが前はあったようでありますが、相当品質がよかったと、こういうふうに言われております。  したがいまして、適地適産というのはちょっとどういう形になりますか、そういう全国でできるとしましてもやはり都道府県で取り組む農産物だということで、今からやはり生き残りを図ってやっていく、そしてまた、都道府県、市町村が後押しをしていく、当然国もやっていくというような方向をもうすぐにでも取りかからなきゃいけない、そういうふうな認識を持っております。
  267. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  話題を変えまして、口蹄疫についてちょっとお伺いしたいんですけれども。  どうもマスコミ報道が、過大報道もあるわけでありますけれども、いずれにしても、イギリスを中心として被害が拡大してEUにも大きな影響を及ぼしている。じゃ、我が国に対してはどうなのか。きょうちょっと新聞記事にも出ておりましたけれども食品はオーケーで、化粧品はだめだと。牛や豚の胎盤から出るやつですけれども、ちょっと新聞報道もありましたが。  まず、禁輸地域の拡大についてどう考えているのかが一つ。  それから、韓国では食肉市場を一たんクローズにして一斉消毒するというような報道もありますけれども、我が国でも、そこまで過敏というか、そこまでやる必要はないのかもしれませんが、しかし、水際作戦でそのぐらいの大胆な措置が必要ではないかと思うんですが、どうかというのが二点目。  それからもう一つは、結局は国内産の飼料をどう流通拡大していくかということだと思うんです。そこについてどうか。この三点にわたってお伺いしたいと思います。
  268. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) まず、私の方から今の禁輸の状況等について御説明申し上げます。  御承知のように、口蹄疫につきましては、これは従来から南米とかそういったところでも結構発生しております。そういう中で、いわゆる清浄国ということで認められている国は、OIE、国際獣疫事務局でいきますと大体五十カ国、その中で、私ども現在清浄国として日本として認めている国は二十九カ国でございます。  こういう中で、九七年以降、こういった発生がちょっと目立ってまいりました。これは御承知のように台湾あり、韓国あり、昨年は我が国でも九十二年ぶりということでございましたが、ことしに入ってからはイギリス、ヨーロッパが大きな問題になっております。ちなみに、実は昨日オランダでもこのおそれありということになりまして、私ども事実上の輸入停止をしておりましたところ、きょうになりましてオランダでも発生だとなりましたので、従来のイギリス、フランスに合わせましてオランダからの輸入停止ということで臨んでいる状況でございます。  それからもう一点、韓国につきましての御質問がございました。  韓国では市場取引を今停止しているという状況がございますが、これは韓国の方の報告、報告といいますか説明によりますと、三月二十三日から四月十六日まで口蹄疫の予防措置として家畜市場を閉鎖したい、その間に消毒等を行いまして防疫体制の強化を図るという内容だと聞いております。  多分この点につきましては、今の欧州での口蹄疫の発生でありますとか、それから台湾、それからモンゴルでも起きているといった、そういった状況、それから、さらには韓国におきましては昨年口蹄疫が発生して、ことしまたその発生時期に近づいておるということがございますし、また現在、韓国は清浄国に復帰しておりません。したがいまして、今申し上げましたような国内的な対応というものを強化しているというふうに私どもとしては理解しております。  以上でございます。
  269. 田中直紀

    ○副大臣田中直紀君) もう一問、口蹄疫防止の観点から国産飼料の量的確保及び流通網の整備が必要ではないかという御指摘でございます。  先ほど、中川議員からも指摘がございました。自給率の向上のためにも飼料作物のさらなる増産を図っていくという必要性が言われておったわけでありますが、昨年の口蹄疫の原因が、これは確定はしておりませんけれども、輸入わらによる伝染ではないかということも言われております。したがいまして、世界的に大変な問題になっております口蹄疫が非常にそういう面では空気伝染もするというようなことも言われておりますから、しっかりとやはり飼料の確保をすることがまず我が国で口蹄疫を防止する最大の政策ではないかというふうに思います。  そういう意味で、昨年から、国産稲わら緊急確保対策協議会の設置をして、五十五億円弱の予算を配分しておるところでありますが、引き続きやはり対策を継続していくべきじゃないかと私は思っておりますが、なお一層推進をしていきたいと思っております。
  270. 風間昶

    ○風間昶君 今の国内産の、国産の稲わら、流通する仕組みがないというふうに現時点では思っているんですが、協議会はつくられているということでありますけれども、じゃ、その仕組みをどうつくるのか、それを含めての整備について。さらに、大臣も十五日の所信で「稲わら等のリサイクルを促進」と明確におっしゃっていますから、その流通させる仕組みがないわけですので、その協議会は、だれでも会議はやれるわけですから、私だってやれるわけで、どう実効性を持つかということについてお伺いします。
  271. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 協議会を通じまして具体的に今推進している内容について御説明申し上げたいと思いますが、協議会はまず全国レベルで開いております。これは、飼料につきましては、つくる方のいわゆる耕種サイドとそれから使う方の畜産サイド、こちらがいかにうまく結びつくかにかかっておるわけでございまして、そういう意味では、そういった認識といいますか協調の形を全国レベルの団体を含めてつくっていきたい。これをまた県レベルといったところにおろして、そういった一つ推進運動、これをやっておるわけでございます。あわせまして、具体的なモデル的な事例等も紹介しまして、そこで現場で、耕種農家からどういった形で畜産農家に使ってもらえるかというようなことも普及をあわせて進めていく、それが基本でございます。  そういった中で、今、この稲わらもありますし、ホールクロップサイレージもございますし、そういったいろいろな飼料作物推進につきましてあちらこちらで取り組み始めている。具体的に県レベルでも、まだ集計には至っていませんけれども、あちらこちらで去年よりも積極的にやりたいという、そういった具体的な報告も出てきつつあるという、そういった状況でございます。
  272. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  それでは、また話題を変えますけれども、有明海の問題については、まさに、午前中、大臣は、予断を許さず調査をし、二十七日までとにかく開門した上でのさまざまな調査をされると、されていると。──ごめんなさい。開門していないけれども、二十七日まで調査をすると。済みません、事実関係をちょっと。
  273. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 事実関係をちょっと申し上げます。  開門ではございませんで、今やっている工事を中断させていただきまして調整池の調査をさせてもらっているということです。
  274. 風間昶

    ○風間昶君 それで、じゃ、その部分における調査を終わってからのいろんなファクターが入っての結論を出さざるを得ない時期が必ず来ると思うんですけれども、どのぐらいの予定考えていらっしゃるのか、今。
  275. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 実は、これは第三者委員会でその調整池の中の水質とか、あるいは浮泥といいましてそこにあるもろもろの試料がないということからこれを出してほしいということで、それを試料を出すために実は二十七日まで工事を中断させていただきまして、その試料を得るための調査をしているということでございます。そして、二十七日にその調査についての資料を提出することになっておりまして、それに基づきまして、この第三者委員会で次の調査はどうあるべきかということが私は決められるのではなかろうかというふうに思います。  そういうことで、第三者委員会のそういった結果を最大限に私どもは尊重して対処していきたいというふうに考えております。
  276. 風間昶

    ○風間昶君 それで、じゃ、干拓事業中止に伴う、土木業者が今まで働いていたんだけれども、これ、何日間か働けないわけですよね。その土木業者などの損失については、細かなことですけれどもどうしますか。
  277. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 実は、十二年度の事業等につきましてはほとんど終わっておりまして、その中で幾らか防災事業等があります。こういったものは今も続けておるわけでございます。そういう状況でございますので、そういう契約をなさった業者の人たちに対しましても大きなそういう損失を与えるということはないと思っております。
  278. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  ちょっといろいろ、次から次で申しわけございません。  先ほども食料自給率について議論がありましたけれども、要は自給率計算する上で国内消費仕向量と生産量、分母の部分をもうちょっときちっと、大きくしないようにするためにはどう消費に対して手を打つかと。  もちろん、食生活の指針というふうに大臣はおっしゃっていますけれども、分子で自給部分を拡大することももちろん大事だけれども、分母の食生活に対する、あるいは消費に対する、それを、分母自身を大きくしないということの観点から国民の食生活に政府が介入するようなことぐらいの気持ちが必要でないかと、ここに至っては。そうしないと実効的に二十二年まで自給率を上げていけないんじゃないかというふうに私は思っているんです。  食生活の指針は指針でいいんだけれども、ちょっと具体的にどういうふうにしていったらいいかということについてお考えを明確にしておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  279. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) これは実は先生、非常に大事な問題でございまして、そういうことから食生活の指針というのを出させていただきまして、そういう中で健康を保持していくためには何が一番大事なのかということを提示させてもらって、その普及と言ってはなんですけれども、それに当たっているところでございます。  特に、最近非常に脂質、脂ですね、こういうのをとるのが多くなってきておりますし、また一方では非常に栄養バランスが偏って、また食べ残しなんかも相当あります。この間、資料をいただきましたところが、何か宴会なんかでは相当の量が捨てられていると。何か一番ひどいのが結婚式の披露宴ですか、これが二五%ぐらい、宴会場がその次とかで、大量のものが捨てられているということでありまして、こういうふうなものも問題があるというふうに考えているわけであります。  その食料消費構造の変化等によりましてそこの自給率が低下をしているということも実は事実でございますから、そういった面で好ましい食べ方といいましょうか、そういうものは非常に大事であります。特にお母さん方にも、そういった面で子供たちの将来のためにも食べ方というのは非常に大事でありますから、そういった面をその指針の中でいろいろとして方向を出しているということでございまして、これをできるだけ国民の皆さん方に御理解を得て、そしてこれがまた国民の健康の源でもあるというふうに私は考えておりますから、そういった面できちっとそれをやっていきたいというふうに考えているところであります。
  280. 風間昶

    ○風間昶君 お言葉ですけれども、女性の方が余り物をたくさん食べる今までの日本の家族制度ですから、男性側にインセンティブをどうやって与えられるかということが物すごい大事なことだと思うんですよね。そこについては、一私人としてでも結構ですから。
  281. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 何か我が身を考えて、ちょっと考えさせられるところがあるわけでありますけれども、確かに私なんかも食べ方ということになってくると、ちょっと暴飲暴食に近いようなところもあるわけでありますが、やはり自分の健康というようなことを考えれば、バランスのとれた食事のあり方というのは非常に大事だろうというふうに思うわけであります。  そういった面では、やはり男の方というか、男性側の方がどうもそういった面ではちょっと注意緩慢と言われるところがなきにしもあらずでありますから、そういった面はあらゆる機会と言うとまた漠然とし過ぎるというふうに思われるかもしれませんけれども、いろんな面でそういった面はしっかりやっていかなきゃならぬなと思うんです。  例えば、アメリカなんかのレストランに行きますと、ピラミッド型でこう提示されているんですね。これはどうこう、どうこうというのが。ああいうふうなことも一つの方法ではないかというので、この間、外食産業の方たちと会合を持ったときに、そういう提示もできませんかというふうなお願いもしたところでございまして、そういった面でしっかりとその辺は啓蒙していかなきゃならぬというふうに考えております。
  282. 風間昶

    ○風間昶君 大臣からまさに食品廃棄物のリサイクルの、リサイクルというか廃棄物の話も出ました。  リサイクルに関しては今回、従前から私どもの党も食品廃棄物のリサイクルについて推進を要望してきて、今回も四十七億ですか、予算化されているということで評価していますけれども、問題は、大手のホテルなんかでは一定の残飯を堆肥化して契約農家に分配してリサイクルを進めるというようなことを、結構あるようなんですけれども、このかいわいのホテルでも。  ところが、外食チェーン、ここが物すごく実は実際には輸入食品というか輸入農産物が極めて多くて、そういう場合、契約農家もいないような場合には結局、農家に送り届けるいわば静脈産業ともいうべき、そこの手当てが僕は大きなかぎを握っているんじゃないかと思っているんですけれども、実効性をどうやってそこのところをつけていくかということについての取り組み、教えていただければありがたいと思います。
  283. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) いわゆる食品リサイクル法におきましては、食品廃棄物を排出する、今先生指摘のありました外食産業等の食品関連事業者に対しまして、発生の抑制なりリサイクルなり、減量の取り組みを求めて、その円滑な取り組み推進する上でそのリサイクル製品といいますか、肥料等のリサイクル製品が実需にきっちり結びついているということが重要だということは御指摘のとおりだろうと思っております。  そういう観点から、リサイクル法では登録再生利用事業者の登録制度、排出事業者、再生利用業者、リサイクル製品を利用する農業者が共同で作成する再生利用事業計画の認定制度を設けまして、リサイクル製品の安全性確保をしながら関係者の連携を図っていく、それでリサイクル製品の需要を確保するという仕組みで動いているわけでございます。  さらに、これを具体的に動かしていくためには、先生も御指摘ありましたが、そういう排出事業者、再生利用事業者、農業者の関係者によるそういうシステムを構築するためにモデル的な取り組みに対して支援していく、あるいはそこでの新たないろんな技術開発に対して支援をしていくということで、十二年度の補正予算及び十三年度の予算でそういう手当てを準備させていただいているところでございます。  さらに、食品のリサイクルにつきましては、農業者が今御指摘がありましたような事例、肥料なり飼料なりに利用するほか、これはメタン発酵等のエネルギー利用、従来にない先進的な取り組みも行われつつありますので、そういうものを含めて全体的なリサイクルの推進を図っていきたいと。農林水産省としてはそういう取り組み全体を支援する、かつ、いろんな取り組みなものですから、関係者にいろんな情報を発信していくということで全体的な取り組み推進していきたいというふうに思っております。
  284. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。  それでは、お金の問題を少しお聞きしたいと思います。  中山間地域等直接支払いの交付金について、現在、対象面積で当初予定の七割程度にとどまっているという報告をいただきました。市町村の判断で見送ったり、あるいは市町村が模様眺めが多かったりということもあるんでしょうけれども、いろんな、七割にとどまっている理由についての分析を政府としてどういうふうに見ておりましょうか。
  285. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 今、先生指摘のとおり、十二年度の実績でございますけれども、当初見込みました面積の約七割程度になっているところでございます。これにつきまして私ども一つが我が国農政史上初めての制度でございまして、市町村の担当者あるいは農業者段階までの制度普及、浸透が不足していた面があるというふうに考えております。  このように制度の運用が地域の裁量にゆだねられているという面がある中で、早くから体制整備に取り組んでいる道県におきましては実施見込み面積が約八割を超えているというような県も見られます。また一方で、実施見込み面積が五割を下回る地域もあるということで、いわば都道府県ないし市町村の取り組み状況によりまして相当差異があるという状況でございます。  私ども農林水産省といたしましては、十三年度でございますけれども、これまでも累次にわたるいろいろな取り組みをやってまいりました。大体三百五十市町村が十三年度新たに取り組むというふうに聞いておりまして、対象の市町村でやりますと大体九割以上が取り組んでいただけるというふうな状況になっているところでございます。  今後一層この取り組み推進するために、本省、地方農政局、都道府県、市町村段階、それぞれ推進会議の開催を行いたいというふうに思っておりますし、また取り組みがおくれている市町村に対する重点的な指導、それから農協系統組織と市町村が一体となりましたような取り組み推進等々を通じまして、制度の一層の普及定着を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  286. 風間昶

    ○風間昶君 結局、ですから、市町村の取り組みが十分でなかった、あるいは市町村ということに今集約されているような印象ですけれども、むしろやっぱり対象者までどうやったら十分な説明が行くのかということについての、要するに農水省というか、どこを通してか、結局、県を通してやるんだろうと思うんだけれども、そこでやっぱりきめ細かさが必要じゃないかと思うんです。そうしないと、幾ら市町村のマスでやっても、今九割と言ったけれども、できなかったらどうするんですか、あなた、責任とりますか。
  287. 木下寛之

    政府参考人木下寛之君) 私ども各般の対策を講じているところでございますけれども、十三年度、先ほど申し上げましたように、大体、今の見込みでございますけれども、新たに三百五十市町村が取り組んでいただけるというような報告を都道府県からいただいているところでございます。そういたしますと、先ほど申し上げたように、市町村の数でいきますと大体九割程度が本制度に取り組んでいただけるというふうに見込んでいるところでございます。  いずれにいたしましても、いろいろな取り組みを行う必要があるというふうに思っておりますし、県を通じた取り組み、あるいは農業者を通じた取り組み等々ございますので、このような取り組みの中で一層の普及定着を図っていきたいというふうに考えております。
  288. 風間昶

    ○風間昶君 ぜひその事業達成のことをきちっとやっていただきますようお願い申し上げます。  あと、個々の農家の負債の問題ですけれども、借りかえについて融資枠が新設されたということは非常に、二千百億もついてありがたい話なんだけれども、しかし、結局、金利が減ったとしても元本を返せるかどうかということはいつもついて回るわけであります。その辺のキャッシュフローの的確な予測に基づいた借りかえかどうかということが大きく問われるんじゃないかと思いますし、新たに借り入れる場合も、やっぱりそういう意味では農協系統自身が、何といいましょうか、資金のさまざまな指導、動かし方、あるいはその回し方についてのファイナンシャルアドバイズが物すごく大事だと思うんですけれども、ここについては政府としてどういうふうに強化に取り組もうとしていますか。
  289. 須賀田菊仁

    政府参考人須賀田菊仁君) 今回の公庫法の改正等におきまして負債整理資金の充実を図ることにしているところでございます。  現実にこういう資金を貸すに当たりましては、先生指摘にございましたように、融資を受ける方の経営内容をどのように変えていくか、そして変えた経営改善計画に基づいて本当に新たな資金、負担が軽減された新たな資金が償還期限内に返済ができるのか、こういう点が最も重要でございます。  現場において私どもが伺っておりますのは、農家側の判断とそれから融資機関側の判断が一致しない、農家としては意欲的に見込みまして、このぐらいなら借りれるんだというふうに思っておるんですけれども、客観的に見ますとなかなかそれは諸般の情勢から見て難しいんではないかというようなことで、なかなか客観的判断が一致しないということにもめごとの原因があるというふうに私ども認識しておりまして、現在は、普及でございますとか農協でございますとか、あるいは公認会計士、税理士といったそういう財務会計の専門家から成ります経営支援グループというもの、経営支援センターと呼んでおりますけれども、こういうものによって農家経営内容、それから改善しようとする経営改善計画の内容を診断いたしまして、適正なものにしてこの資金の活用を図っていただくという体制にしているところでございます。
  290. 風間昶

    ○風間昶君 結局、融資枠二千百億もつけてくれて、だからこれが生きたものにしないと意味がないんじゃないかと思うので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  次にまた、果樹や加工原料乳についての経営安定対策、これを創設することになったんだけれども、要するに移動平均をとる年数についての議論、これは私いろいろあったと思うんですけれども、特に値段がずっと長く低落していくような傾向がある場合には、もっと年数を三年ではなくて長くとったりとか、あるいは平均価格をちょっと高目に設定するとかという技術的なことをやっぱり配慮していく必要があるんじゃないかなという気がするんです。そうしないと本当に、さっきの果樹共済とはちょっとまた別ですけれども、果樹と加工原料乳の経営安定対策は若干質が違うにしても、総じて言えば、この問題については期間と平均価格の設定のところにおける配慮、これはもう一切そういうことをしないという前提でいくのかどうか、お伺いしたい。
  291. 小林芳雄

    政府参考人小林芳雄君) 果樹の価格・経営安定対策、また加工原料乳につきましては来年度から新しい仕組みが発足いたします。  その中で、まず果樹でございますけれども、年につきましては、果樹の場合には御承知のように表年、裏年ございますので、それぞれの三年、計六年という形にしております。これによって各年の変動が大分平均化された、そういった数字になるんじゃないかというのが一つと、それから非常に、これはリンゴ、温州ミカンが対象でございますけれども地域によって価格差もありますので、そういう意味では、都道府県別あるいは消費地、生産地の市場別という形できめの細かい価格をはじいていくと、そういった形にしておるところでございます。  なお、この価格につきましては、来年度でございますが、十二年度の価格の実績が出てからということで、ことしの夏にかけて具体的な水準を設定していくという予定でございます。  それから加工原料乳でございますが、こちらにつきましては、ほかの価格・経営安定対策と同様に三年間の形のものを持っていこうということでやっておりますが、ただ、こちらも制度の発足時点でございまして、ベースになりますいわゆる市場の取引価格、今までの制度は、国の制度で決めております基準取引価格というものがベースになっておりますので、市場的な価格がございません。したがいまして、来年度は、十二年度の基準取引価格、これをベースに進めていくと、そういった経過的な対応をしている段階でございます。
  292. 風間昶

    ○風間昶君 価格の問題でちょっと目先を変えた話で恐縮ですけれども、農産物の価格に市場原理を導入する際には、商品先物市場も公共インフラとして整備を進めることが非常に大事だというふうに思うわけであります。  先物市場は、現物の価格が乱高下するわけで、それに対するリスクヘッジの役割を果たしていますから、今後、農業者の所得の確保一つのツールというか道具というか手段で、これは全部が全部できるとは限りませんけれども、極めて有力な、天候デリバティブ等と並んで有力な手段ではないかというふうに思うわけであります。  そういう意味でお聞きしましたところ、省庁再編によって、農水省の中に商品取引専門官、なかなかすばらしいポストが新設されたものだなというふうに思いますが、副大臣、知っていました。──ああ、知っていますか。  ですから、取引専門官が新設されたわけですから極めて役割は大きいだろうというふうに思うわけでありますけれども、ちょっとお聞きしたいんですけれども、市場の透明性をどうやって確保するのかというのが一点と、もう一つは、売買委託手数料を自由化していくことについて前倒しできるのかできないのか。これは難しいと思いますけれども、一概に言えないと思う、両極端あると思いますから。それから、将来、米の上場を含めた品目の増加について、専門官のお仕事ではないにしても農水省としてどう考えるのか。  この三つ、お伺いしたいと思います。
  293. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 商品の先物取引についての、まず、三点のお尋ねのうちの透明性の確保をどういうふうに図っていくのかという点でございますけれども平成十年に商品取引所法を改正させていただきまして、利便性と信頼性の向上ということで取り組んでおります。  その中で、特に透明性の確保を図るということから、各商品取引所に市場取引監視委員会を設置しまして、市場のそういう不公正な取引があれば監視し、いろいろ意見を言うと。そういうことで、透明性の確保を図るという観点で所要の措置を講じておりますし、各市場ごとに現実に、業務規程に基づきまして、取引の内容についてディスクローズしてきているという状況にございます。  二点目の手数料問題。  これも平成十年の制度改正で、平成十六年末までに段階的に手数料の自由化を図っていくということで、現在まさにその過程にございまして、十年末には商品投資販売業者、ファンド法に基づく販売業者、投資顧問業者からの契約、あるいは一定の電子取引、インターネット取引の場合のもの、さらに本年の二月一日からは当業者に係る取引の自由化を図っているところでございます。  こういう点で、既に段階的に取引の自由化ということで進んでおります。私ども、商品取引員の収入の大宗が手数料であるという状況も踏まえながら、現在計画的に進めているのを着実に実行していきたいというふうに思っております。  それと、最後にお尋ねの先物での米の取り扱いの問題。  私ども、米につきましては、先生御案内のとおり、現在、食糧法に基づく米政策の一環として、自主流通米価格形成センターで価格形成が行われております。それは、その時点時点での需給実勢や品質評価を反映した価格の形成を目指すということで取引が行われていると思います。  現在、センターの運営や取引の場としての機能強化等取り組みも行われておりますし、こういう現物取引の整備があって初めて先物取引というものの議論があるんだろうと思うんですけれども、ただあわせて、先物取引については、生産者、生産者団体、流通関係者、いわば当業者からその必要性について十分理解があり、あれがなければなかなか難しいんではないかと。そういう状況の中で、当面、米を先物取引対象として上場するというのは現在の状況では難しいんではないかというふうに思っております。
  294. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。  農業自体は公共事業と切っても切っても切れない関係の中で生産、流通、消費が行われてきているわけでありますけれども、しかし公共事業全体の見直しについては与党三党で抜本的見直しに関する合意をしたわけでありますけれども、今回の予算の作成過程の中で農水省独自の見直し基準を作成したというふうに伺っています。  まず、その基準をきちっとお伺いした上で、じゃ与党三党合意との整合性はどうなのか、この二点について大臣から伺いたい。
  295. 谷津義男

    国務大臣谷津義男君) 与党三党における公共事業の抜本的な見直し、実は私が座長をやっておりまして、そういったことで決めさせていただいたわけであります。四点にわたって基準を決めまして、ちょっと乱暴な面もなきにしもあらずだったんですが、何せ五万件からありますから、公共事業、これは当時の建設省あるいは運輸省、農水省を入れましてあったものですから、その基準を四点つくりまして、それに合わせてやったわけでございます。  そういうことで、農水省はそれに加えまして、過去の再評価において基幹となる施設の中止決定を私どもでしました。それによって、農水省ではさらに加えまして、地区全体の見直しが必要だというふうな事業であること、またはその採択後三年たっても着工の見込みがない、こういうふうなものも基準に設定しまして、それで農水省として中止を前提に抜本的な見直しをしたということがあるわけでございまして、私は、そういった面については、そういう独自基準に該当する十二事業につきまして、各地域において学識経験者あるいは第三者機関の意見を聴取した後に再評価を行いまして、さらに本省レベルで第三者委員会にこれを諮って、そういう中ですべての事業を中止取り扱いにしたというふうに聞いておりますし、今また改めてそのことも聞いたわけでありますけれども、そういう今回のひとつ趣旨を踏まえまして、農業農村整備事業効率的な、あるいはまた効果的な推進に努めていくというふうに考えているところであります。
  296. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございました。  終わります。
  297. 太田豊秋

    委員長太田豊秋君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時十分散会