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2001-06-07 第151回国会 参議院 内閣委員会 第15号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十三年六月七日(木曜日) 午前十時開会 ─────────────
委員
の
異動
六月六日 辞任
補欠選任
鹿熊
安正
君
野間
赳君
小山
峰男
君 直嶋
正行
君
市田
忠義
君
池田
幹幸
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
江本
孟紀
君 理 事 宮崎 秀樹君 森田 次夫君
小宮山洋子
君 簗瀬 進君 委 員
上野
公成君
仲道 俊哉君
野間
赳君 直嶋
正行
君 円 より子君 大森 礼子君
池田
幹幸
君 大沢 辰美君 照屋
寛徳
君
事務局側
常任委員会専門
員 舘野 忠男君
参考人
千葉大学文学部
教授
鈴木
春男
君
美術家
鈴木
共子
君
財団法人全日本
聾唖連盟
副
理事
長
黒崎
信幸
君 (
手話通訳
秋間 尋子君) (
手話通訳
岡安 澄子君) ───────────── 本日の会議に付した案件 ○
道路交通法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ─────────────
江本孟紀
1
○
委員長
(
江本孟紀
君) ただいまから
内閣委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御報告いたします。 昨日、
鹿熊安正
君、
小山峰男
君及び
市田忠義
君が
委員
を辞任され、その
補欠
として
野間赳
君、直
嶋正行
君及び
池田幹幸
君が選任されました。 ─────────────
江本孟紀
2
○
委員長
(
江本孟紀
君)
道路交通法
の一部を
改正
する
法律案
を議題とし、
参考人
から
意見
を聴取いたします。
参考人
を御紹介いたします。
千葉大学文学部教授鈴木春男
君、
美術家鈴木共子
君及び
財団法人全日本聾唖連盟
副
理事長黒崎信幸
君、以上三名の
方々
でございます。
参考人
の
方々
にごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ、当
委員会
に御
出席
をいただき、まことにありがとうございます。 本
法律案
につきまして、
皆様
から忌憚のない御
意見
をいただき、
審査
の
参考
にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、
参考人
の
皆様
から、
鈴木春男参考人
、
鈴木共子参考人
、
黒崎参考人
の順に、お一人十五分以内で順次御
意見
をお述べいただき、その後、各
委員
からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、
参考人
の御
発言
は着席のままで結構でございます。 それでは、まず
鈴木春男参考人
からお願いいたします。
鈴木春男参考人
。
鈴木春男
3
○
参考人
(
鈴木春男
君) 御紹介いただきました
千葉大学
の
鈴木
でございます。 本日は、
参議院内閣委員会
に
参考人
としてお招きいただきまして、
発言
の
機会
を与えてくださったことに心から感謝しております。 私は、
交通社会学
というものを
専門
にしておりまして、これは人、
人間
というものを中心に、
人間科学
の
立場
から
交通
安全の問題に取り組む、そういう学問でございます。 例えば、最近の具体的な
研究成果
といたしまして、
高齢者
の
交通事故
を削減するために、
自分たち
の町の
行動範囲
の
地図
をつくって、
自分たち
が冷やりとしたり、はっとしたりした
場所
にシールを張っていくと。そこでの
体験
とか、あるいはここをこう直してほしいといった提言について話し合う
ヒヤリ地図づくり
というのを私は提案させていただいておりまして、
全国各地
で数多く実行していただいております。 今回の
道路交通法
の
改正
につきまして、私はほとんどの
項目
について
賛成
いたしておりますが、以下、幾つかの
項目
につきまして
賛成
の
理由
及び私の見解を述べさせていただきます。 まず第一に、
運転免許証
の
更新
を受ける者の負担の軽減という大きな
項目
でございますが、その①といたしまして、
有効期間
を
現行
の三年から
初心者
や
高齢者
あるいは
一定
以上の
違反経歴者
を除きまして
原則
として五年とするという、こういうことに関する件でございます。 私の考えといたしましては、実は
更新制度
の
効果等
の
調査
結果というのがございまして、それによりますと、
免許証更新
の前後で
事故
が五・八%減少していると、そういう
数字
が出ております。そうした
意味
で、
更新制度
というものは
事故防止
からいっても重要な機能を果たしているというふうに考えます。したがって、
免許
を取りたての
初心者
であるとか
運転能力
に問題の生ずる
高齢者
であるとか
違反経歴者
、こうした
方々
に対しては
現行
の三年を維持する必要があるというふうに思われます。 ただし、
規制緩和
という
観点
だけではなく、
減点評価
という
方式
だけで安全を守ってもらうということは、それだけでは私は無理ではないかと。
減点評価
というのは、刑罰とか
行政処分
、例えばシートベルトをしていないと
行政処分
で
減点
一が加えられるというような、こういった形の
減点評価
という
方式
で安全を守ってもらうのではなくて、それももちろん大事なんですが、同時に
加点評価
による安全への動機づけということも重要だと考えておりますので、そうした
意味
からも、
優良
または
違反
の少ない
運転者
に対して五年にするということは、
加点評価
という
観点
からいっても大変有効だと考えております。 次に、
更新期間
を
現行
の一カ月から二カ月に延長するという件でございます。 単に一カ月延ばすという
意味
ではなくて、
現行
の
誕生日
前一カ月というのはそのまま生かし、もう一カ月ふやす分を
誕生日
の後一カ月としている点に私は大変共感いたします。
自分
の
誕生日
を
誕生日
当日に思い出したり、あるいは
家族
から指摘されるといった方も多くて、今回の
改正
はそうした人にも救いの手が差し伸べられているというふうに思います。
誕生日
には
免許証
を必ずチェックするという習慣もこれによって生まれるんじゃないかというふうに思い、
更新忘れ
は大幅に減るのではないかというふうに予想されます。 三番目に、
優良運転者
は
住所地
以外で
更新
の
申請
ができるようにするという件でございます。
更新手続
の
簡素化
、例えば
写真
なしでも
申請
ができるといった、こういう
簡素化
が伴えば、サラリーマンや
旅行者
、あるいは隣の県の
免許センター
の方が
自分
の家に近いといった方も時にはいらっしゃるわけで、そういった
方々
が大変便利になる、そういう方法でございまして、また、先ほど申しました
加点評価
による動機づけという
観点
からいっても大変有効だろうというふうに考えます。 次に、
運転者対策
の推進についてでございますけれども、二種
免許
の
取得
に関し、
路上試験
と
応急救護等
の
講習
を受けることとし、
運転代行業
の場合も二種
免許
を要することとすると、この件でございます。 お
手元
にコピーを配付していただいておりますが、これは、あらかじめ本
委員会
に
資料
としてお配りしたものからコピーしたものでございます。
審査資料
四十ページの別添3というのをちょっとごらんいただきたいんですが、この
資料
でも明らかなように、我が国では実は
プロドライバー
の方が
一般ドライバー
よりも
事故率
が高いという
状況
にあります。ごらんいただけますように、
事業用乗用ハイヤー
、タクシーの方が
自家用乗用
よりも高い、あるいは
事業用乗り合いバス
の方が
自家用
の
乗り合いバス
よりも高いというような
数字
がそこに出ております。 実は、欧米では、
一般ドライバー
と
プロドライバー
の間に大変大きな壁を設けておりまして、
一般ドライバー
の見本となるべき
プロドライバー
の
資格取得
、こういうものに関して大変厳しい
関門
を設けております。そのことが逆に、そうした
関門
を通過したという
意味
で
プロドライバー
に誇りを与え、
安全運転
への動機づけともなっていると思われます。その
意味
で、二種
免許取得
に
路上試験
あるいは
応急救護等
の
講習
を課すということは大変重要であり、また、きめ細かい
指導
が行われるためには
指定教習所制度
の
対象
とすることが必要であると考えます。 また、お
手元
にある
審査資料
三十九ページ、別添2の
資料
をちょっとごらんいただきたいんですが、この
資料
から見ましても、これは一億
走行キロ当たり
の
死亡事故件数
を
運転代行業
の
ドライバー
と
事業用普通乗用車
の
ドライバー
とを比較してある表でございますけれども、ごらんいただけますとおり、
運転代行
が
事業用普通乗用
に比べてはるかに高いという結果が出ておりまして、こういった点から見ましても、
死亡事故件数
の多い
運転代行ドライバー
に二種
免許
を要することとすることは大変重要であり、不可欠なことなのではないかというふうに考えております。 次に、
一定
の
障害
がある場合を
欠格事由
としてきたことを改め、
身体的能力
及び
知的能力
についてはすべて
試験
で判断することとするという件でございます。
障害
の内容や
運転能力
には
個人差
がございます。基本的には、個々の
ケース
で
指導
や
評価
が行われるべきだというふうに考えます。最初から
欠格事由
という形で拒否することは、本来、
運転
可能な人にもその
機会
を失わせることにもなります。また、仮に最終的には
免許
が取れないという方が出た場合であっても、
自分
で
運転教習
を受けてみてあきらめるということの方が御本人にとっては納得がいくのではないかというふうに思います。 ただ、車というのは、よく言われますように走る
凶器
という側面も持っておりまして、安全上の
観点
も考慮される必要がある、そういった
意見
ももちろんございます。また、それは確かに正しい
意見
だと思います。それには、あくまで厳密かつ公正な
運転技能評価
、
運転技能
の
試験
ということがなされることが必要になります。
更新
時に
高齢者講習
の
受講
を要する者の
範囲
を現在の七十五歳以上から
原則
として七十歳以上に拡大するという件でございます。 これは、別添4の
資料
をごらんいただきながらお聞きいただきたいと思うんですが、現段階では、
高齢者講習
の
対象
となっていない七十歳から七十四歳までの者が起こした
自動車等
による
平成
十一年の
死亡事故件数
は、今から十年前の
平成
二年の約二倍となっております。さらに、最近の
死亡事故件数
の
増加率
は、実は七十五歳以上の者の
増加率
を上回っています。 また、七十五歳以上の
高齢者講習
、その
受講者
のその後の
事故率
は、七十五歳以上の
ドライバー
全体と比べて
受講者
の方が約二三%低いというふうに言われておりまして、そこに
高齢者講習
を行うことの
効果
が明確にあらわれているわけでございます。 またさらに、
高齢者講習
を
受講
した者に対する
アンケート調査
というのもございますが、それを見させていただきますと、
講習
を受けてよかったと
講習
を
評価
する
意見
が全体の八七・九%と非常に高くなっているようです。そうしたことから、
高齢者講習
を七十歳以上に拡大することはやはり私は重要なことであるというふうに考えます。 次に、
運転免許証
の
記載事項
の一部を
電磁的記録
でもよいこととするという件に関してでございます。
免許証
の
国際化
あるいは
偽造防止
、こういった
観点
から見ましてもこのことは大変有効だと考えます。また、現在、
運転免許証
は
身分証明書
としても使われておりまして、今後、
IDカード化
というような方向がもし進むとするならば、その
意味
でも
ICカード化
は必要になるかもしれないと考えております。またさらに、
交通警察業務
の
効率化
、
合理化
といった
観点
からもそのことは大変有効であるように思われます。 次に、大きな三番目といたしまして、悪質・
危険運転者対策等
の
強化
でございます。 悪質な
ドライバー
に対する
罰則
が甘過ぎるという
評価
は確かに大きな世論となっております。
道路
を使用する者相互の信頼をもとに成り立っている私
ども交通社会
におきましては、ひき逃げ、
飲酒運転
、無
免許運転
、
共同危険行為
、そうしたものに対する
罰則
を
強化
することによって悪質な
ドライバー
を私
ども交通社会
から一応排除することができますし、またそのことによって
安全運転
への動機づけ
効果
ということも期待できると思います。 ただ、この場合も注意すべきことは、
罰則
の
強化
だけが安全への方策としてあるのではなく、
安全教育
や
道路環境
の
整備等
、この問題は多方面から総合的に検討される必要があると思われます。 四番目に、
交通
の安全と円滑を図るための施策についてでございます。 その①といたしまして、肢体不自由である
運転者
が
自動車
にマークを表示した場合に他の
運転者
は
幅寄せ
、割り込みをしてはならないこととするという件でございます。 このことについては、私は当然そうあるべきだと考え、大いに
賛成
でございます。 ただ、これから申し上げることは公道での
ケース
ではないので今回の
道路交通法改正
とは別の問題かもしれませんが、特に車いすを使用する
ドライバー
は、実は車の
乗りおり
をする場合にドアの横にかなりのスペースを必要とするということがよく言われます。そうしたことから、駐車の際の
幅寄せ
につきましても今後検討されるべきだというふうに考えます。 ②といたしまして、
交通情報提供
に関する指針を定めることとするとともに、
交通状況予測
を行う
交通情報提供事業者
に
届け出制
を導入するという件でございますが、このことについては、特に申し述べることはありません、
賛成
でございます。 以上でございます。 どうもありがとうございました。
江本孟紀
4
○
委員長
(
江本孟紀
君) ありがとうございました。 次に、
鈴木共子参考人
にお願いいたします。
鈴木共子参考人
。
鈴木共子
5
○
参考人
(
鈴木共子
君) 神奈川県座間市から参りました
鈴木共子
です。 本日は、このような席にお招きいただき、
発言
の
機会
を与えてくださり、ありがとうございます。 私は、
最愛
の一人
息子
を昨年四月、
交通犯罪
で亡くしました。
息子
は一年間の
浪人生活
を経て、あこがれの早稲田大学第一
文学部
に合格し、
入学式
を終えてすぐの
事故
でした。一番の
親友
とともに夢を語り合いながら歩道を歩いているところを後ろから、
飲酒
、無
免許
、無
車検
、無保険、おまけにパトカーの追跡を逃れて百キロのスピードで走ってきた
暴走車
に激突され、二人とも殺されました。あろうことか、
息子
もその
親友
もともに
母一人子
一人の
母子家庭
です。
息子命
とただただ我が子の幸せを願い、我が子のために頑張ってきた私
たち母親
から一瞬にして
最愛
の我が子が奪われてしまったのです。
加害者
は、八年ほど前にも
事故
を起こし、
免許
を取り消しになっていました。それにもかかわらず、無
免許
で
運転
を続けていました。その後、二度ほど無
免許運転
で捕まるのですが、余りにも軽い
罰金刑
で
加害者
は罪の
意識
を感じることがなかったのでしょう。その二年後、同じように見つからなければいいやという軽い気持ちで
運転
し、
息子たち
の命を奪ったのです。 三十歳になる
加害者
は明らかに未熟な
人間
と言わざるを得ませんが、それ以上に彼に罪を
自覚
させなかった処罰の甘さ、軽さがあったということは確かです。なぜ無
免許
で
罰金刑
を受けた者が車を
運転
していることが見逃されてしまうのでしょうか。また、無
車検
の車、これは
加害者
が
事故直前
に
友人
から購入したものですが、その車もまた二年前から無
車検状態
でした。ということは、その
友人
も無
車検車
を二年間乗り回していたということです。走らせてはいけない車、
運転
してはいけない
ドライバー
が放置され、その
対策
の甘さが今回の悲劇につながったのです。 そして、私を一番憤らせたのは、故意に限りなく近く、殺人と何ら変わりがないのに
業務
上
過失
、すなわち
過失
で裁かれ、その
最高刑
が五年ということです。悪質な
ドライバー
に対してなぜ
過失
なのでしょうか。こんな
体験
をするまでは
法律
は私
たち
を守ってくれるものと信じておりましたが、実際は普通の感覚で考えて納得できないことが多く、なぜ、どうしてということだらけだということがわかりました。 素朴な質問から
悪質交通犯罪
の量刑の
見直し
を訴えて
署名活動
を展開したところ、
総計
で二十六万人もの
署名
が集まり、法務省に提出しました。この六月二日、三日に
上野駅前
で
東名事故
の
井上夫妻
や多くの
遺族
の
方々
、また
運動
に賛同してくださるボランティアの
方々
とともに
街頭署名
を行い、
総計
で三十万人を超える
署名
も集まっております。近々、
森山法務大臣
に提出する
予定
です。そんな私
たち
の訴えが形になり、今回の
道交法
の
改正
につながったのだろうと思っています。 私は、余り
法律
に詳しくなく、
専門用語
が出てくると全くのお手上げなのですが、それでも、私なりに解釈をし、つたない
意見
ですが、述べさせていただきたいと思います。 まず、
道路交通法
というのは、国民の命を
交通事故
から守るための
法律
であるという
認識
をしております。このたびの
道交法改正案
を拝見しますと、
規制緩和
、
障害者
の人権、
罰則
の
強化等
が基本になっているようです。
規制緩和
の一つに
免許更新期間
の延長問題があります。確かに、多忙な
現代人
にとって、
更新延長
や免除というのは時間が節約され、便利となることでしょう。でも、
免許更新
は
ドライバー
の安全に対する
自覚
と
運転適性
の
定期的チェック
を兼ねた唯一の
機会
です。そうした
機会
を減らしてしまうということは、車を
運転
することの
自覚
を減少させ、
適性
を欠いた
ドライバー
を
野放し状態
にしてしまうことにつながるのではないでしょうか。 また、
免許更新
時の
講習
ですが、
視力検査
と
ビデオ講習
で済ませていますが、もっと工夫を凝らし、車は
使い方
次第で
凶器
になり得るという
認識
を強く持たせるようにしてほしいと思っています。 それと、
死亡事故
を起こした
ドライバー
には
免許証
を二度と与えてほしくありません。
過失
であれ何であれ、人の命を奪ったのだという事実の
重み
に目を向けてほしいのです。例え何人殺しても、
交通事故
であれば、現在の日本の
法律
は
加害者
が死刑、いや何十年も刑務所に入っていることなど絶対にあり得ません。
罰金
かあるいは数年の
懲役刑
でいずれ
社会復帰
ができるのです。でも、
被害者
は二度と
家族
のもとに戻れず、残されたその
家族
もまた生き方を根本から変えられてしまうのです。命の
重み
と比べたら、たかだか
免許
の
永久停止
などというのは当たり前の
罰則
だと私は思います。 それと同時に、
てんかん等
突然の
意識障害
で人命を死傷させた場合、それが
障害ゆえ
の無実となるような
情状酌量
はしてほしくありません。 何度も言わせていただきますが、車は
使い方
次第で
凶器
になり得るものなのです。
運転
する人は、
健常者
であれ
障害者
であれ、責任を伴うものであるということを明確にしなければなりません。また、
悪質運転
は、その
法定刑
が
強化
されることは当然のことです。それ以上に、軽微な
事故
、ありふれた
事故
にも
厳罰化
の意向を持って対処してほしいと思っています。なぜなら、ありふれた
事故
は悪質な
交通犯罪
につながる
可能性
が大きいのです。
息子
の
事故
の
加害者
を初め
悪質ドライバー
のほとんどが
累犯者
であるということが証明しているからです。
交通事故
・
犯罪
をなくすためには、
法律
や
制度
の
見直し
、あるいは
分離信号等
の
環境
の
整備
とさまざまなアプローチがあります。それらを
ハード部門
としてとらえるとしたら、私は今、
ソフト部門
として、人の心に働きかける
運動
を他の
遺族
の
方々
とともにスタートさせています。 お渡しさせていただきました
資料
にありますように、「理不尽に
生命
を奪われし
者たち
へのレクイエム
生命
の
メッセージ展
」という
展覧会
を
全国各地
で開催する
予定
です。
犯罪
や
交通事故
あるいは
医療ミス
、いじめによる
自殺等
で理不尽に奪われた命をキーワードに、
犠牲者たち
一人一人の人型に故人の
写真
、生い立ち、
事件
の概要を記した
メッセージボード
を取りつけ、足元に遺品の靴を置くという設定です。記号化され、
数字
の中に埋没され、いつしか忘れ去られてしまう
犠牲者たち
一人一人に光を当て、世の
人々
に、
犯罪
にしても
交通事故
にしても決して他人事ではないということと、命の
重み
をずしりと心に響く形で訴えていきたいと企画しました。 混沌としたこの時代、
生命軽視
の風潮はますます
人々
の心をむしばみ、その結果、痛ましい
事故
や
事件
を招いていると言っても過言ではありません。特に
交通犯罪
・
事故
の場合、少しでも人の痛み、悲しみに思いをはせることができたならば、
交通ルール
を無視したり、
飲酒運転
をしたり、
死亡事故
を起こしても保険屋任せという
自分
勝手な
行動
の歯どめとなるのではないでしょうか。
息子
の死をむだにしたくないという母の一念がかき立てる
行動
ですが、
母親
としての視点で世の中の理不尽さに対して素朴な問いかけをし、命の
重み
を訴えていきたい。今、また決意を新たにしています。 どうもありがとうございました。
江本孟紀
6
○
委員長
(
江本孟紀
君) ありがとうございました。 次に、
黒崎参考人
にお願いいたします。
黒崎参考人
。
黒崎信幸
7
○
参考人
(
黒崎信幸
君) 私は
手話
を言語としていますので、座ると
手話
に不便ですので、立ったまま話をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
江本孟紀
8
○
委員長
(
江本孟紀
君) はい、いいです。どうぞ。
黒崎信幸
9
○
参考人
(
黒崎信幸
君) このような
場所
に私
ども聴覚障害者
の代表を呼んでいただいて、ありがとうございます。 私
たち
は、去年四月に、
全国
の仲間でもって
運動
をしまして、耳の聞こえない
人たち
をいろいろ差別している
欠格条項
の撤廃を求めて、二百二十三万六千人ほどの
署名
を
衆議院
と
参議院
の議長さんにそれぞれ提出しました。また、別に、
全国
の千三十の議会から、
障害者
を差別する
法律
をなくすように
意見書
をそれぞれ関係の部署に提出しました。 そういうふうな
立場
から、本日は、私、耳の聞こえない
人たち
の
運転免許
の
欠格条項
について
意見
を述べたいと思っています。 私
たち全日本聾唖連盟
は、
昭和
二十二年に創立されまして、それからずっと五十年以上、耳の聞こえない
人たち
の福祉の向上と
社会参加
を目指して頑張ってまいりました。特に最近は、先ほど申し上げたように、
障害者
の
差別条項
、差別的な
欠格条項
をなくすための取り組みを続けてきたわけです。その中でもって、今回、
障害
を
理由
とした
欠格条項
を廃止するという審議を
皆さん方
にやっていただけることをとてもうれしく思っています。 ただ、私
たち
にとって気がかりなことは、
皆さん
にもお配りになっていると思うのですけれども、この
審査資料
の中でもって、十ページの一番下の方から十一ページの初めの方にかけては、「耳が聞こえない者、口がきけない
者等
に係る
免許
の
欠格事由
を廃止する」とありますけれども、次のページの
適性試験
の
項目
を見ますと、
聴力検査
に当たっては十メートル離れて九十デシベルの
聴力
が必要と書いてあります。このことは何か矛盾するのではないか。耳の聞こえない者、口のきけない者は、その
欠格条項
を廃止するといいながらも、次に
適性試験
ではこれはだめだというのは、私
たち
としてはとても残念なことに思っています。 私
たち耳
の聞こえない者の
運転免許
の経過については、一九七三年、
昭和
四十八年ですけれども、
警察庁交通局
の通達がありまして、補聴器で十メートル離れて九十ホンの音が聞こえれば
運転免許
の
試験
が受けられるというふうに変わりました。そして、それから現在まで二万八千人ほどの
聴覚障害者
が
運転免許
を獲得しています。そして、この
免許
を取った
人たち
の場合、日常的に
生活
の中で、通勤とかまたあるいは
自分
の
業務
の中で、
運転免許
のおかげで
生活
の中で役立っております。 ただ、今回まで二十八年間にわたってずっと耳の聞こえない
人たち
二万八千人が
免許
をいただいて毎日
運転
してきた、これに対して
警察
の方でもっていろいろ
調査研究
も進めてきたと私ども思っていますけれども、その
調査研究
を進めてきたことが今回の
改正
の中でほとんど生かされていないようでとても残念に思っています。 私
たち
としては、もう一歩踏み込んでこの
法律
の
改正
を検討していただきたいという
意味
でもって、例えばこの
資料
の十二ページのところで、「
運動
能力」のところがありますね。「
運動
能力」の中でもって、体幹の
障害
があるが、その者の身体状態に応じた補助手段を講ずることができると書いてあります。私
たち耳
の聞こえない者に補聴器だけが補助手段なのかどうかと思うのです。 実際、考えていただければわかることだと思うのですけれども、例えば足の悪い方がふだんの
生活
の中ではつえをついて歩く、または車いすに乗って
行動
する。しかし、車に乗ったときはつえはつかない、車いすも使わない。けれども、耳の聞こえない
人たち
に限っては補聴器の装着を求める。けれども、本当に音というのは耳だけで聞くものでしょうか。手で聞いてはだめですか。振動でもって、ここのところをブルブルブルとやってもらってはだめでしょうか。実際、私は今、携帯を持っているのですけれども、着信を振動で知らせてくれます。また、中に書いてある文字でいろいろ連絡ができます。 実際、
昭和
四十八年、一九七三年ごろ、補聴器を
警察
庁が求めたころは、まだ私
たち
が電話という機械を使えなかった。耳が聞こえないと電話は難しかったのですけれども、その間に、二十七、八年の間にファクスが広がった、また携帯電話も広がった。そういうときにずっと補聴器だけというのはいかがなものかと私は思うのです。もっと補助手段というのは幅広く考えていただきたいと思っています。 それからまた、日本の場合、
障害者
をいろいろ制限した私
たち
にとっては差別的な
法律
がたくさんあるのですけれども、アメリカの場合は、
障害者
を差別することそのもの自体が禁止されています。また、ヨーロッパ諸国でも聞こえない
人たち
が
運転免許
を取るのは当たり前だと。また最近では、アジアの国々でも、韓国とかタイの方で聞こえない
人たち
に
運転免許
が認められるようになりました。 前に伺った話ですと、外国の
交通
事情と日本の
交通
事情は違うから日本の場合は日本のルールでやるという話があったのですけれども、日本の
道路
交通
事情がアメリカ、ヨーロッパと比べてそんなに劣っているのかどうか。そんなに劣っていないと私は思うのです。また、アジアの国々と比べても日本の
交通
事情というのはすぐれていると私は思っています。日本のルールというのは、私
たち
聞こえない者にとってはとても恥ずかしい。耳の聞こえない人が
運転免許
を認められないということは、国際的に見ても私
たち
は恥ずかしいと思っていますので、そういう面も検討していただければうれしいと思っています。 それからまた、私
たち耳
の聞こえない者だけではなくて、聞こえる
人たち
の場合も、今の社会で車から全く切り離して
生活
ができるかどうかということを考えていただきたいと思うのです。また、私
たち耳
の聞こえない
人たち
の職業の中で、大工さんをやっている人もいる、印刷をやっている人もいる。けれども、この大工さんとか印刷をやっている
人たち
が、実際に道具箱を担いで現場を移動できるかどうか、また、これは一枚だけの紙ですので軽いのですけれども、これが千枚または一万枚印刷したものをどうやって届けるか考えていただければ、私
たち耳
の聞こえない者にとっても
運転免許
が必要だと、こう思っています。 最後に、私
たち
は、
運転免許
を取った後、耳が聞こえない、だから危ないという声を聞こえる
人たち
からよく言われます。確かに、聞こえるという
人たち
を一〇〇%にした場合、聞こえないというのはハンディがあるのは間違いないと思いますので、私
たち
としても、
手話通訳
をつけてたびたび
講習
会を開いて
安全運転
に努めるように聞こえない
人たち
に呼びかけております。 先ほどお二人の方がおっしゃっているように、
交通
のルールを厳しくと言いますが、厳しくということはともかくとしても、私
たち
がその
交通ルール
をきちんと守っていた場合は本当に
事故
が起こるのかどうかということも考えてほしいと思います。私
たち
も、
手話通訳
をつけた学習活動の中でもって
安全運転
に努める努力はやっております。 以上で私の話を終わりにしたいと思うのですけれども、耳が聞こえない、または体に
障害
があるということを
理由
にして、先ほど
鈴木
先生もおっしゃってくれたのですけれども、個人の能力まで否定するというふうなことのないように、
皆さん
で十分審議していい
法律
をつくっていただけるようにお願いして、私の話を終わりにしたいと思います。 ありがとうございました。
江本孟紀
10
○
委員長
(
江本孟紀
君) ありがとうございました。 以上で
参考人
からの
意見
の聴取は終わりました。 これより
参考人
に対する質疑を行います。 なお、質疑時間が限られておりますので、簡潔に御答弁いただくようお願い申し上げます。 それでは、質疑のある方は順次御
発言
願います。
森田次夫
11
○森田次夫君 自由民主党の森田次夫と申します。
参考人
の
皆様
方には、本日は大変お忙しいところを御
出席
いただき、まずもって厚く御礼を申し上げたいと存じます。 それでは、時間も少のうございますので、早速質問の方をさせていただきたいと思います。
道交法
の
改正
につきましては、七千四百万人を超えるすべての
運転免許
の保有者を
対象
とするもので、その
制度
のあり方は
交通
安全の確保と国民の利便に大きな影響を与えるということになることは言うまでもないと思います。こうした
認識
につきましてはお三方も共通しておられるのじゃないのかなと、このように思うわけでございます。 そこで、まず最初に
鈴木春男参考人
にお尋ねをしたい、このように思っておったわけでございますけれども、
鈴木
参考人
につきましては、
運転免許
制度
の懇談会のメンバーでもいらっしゃるものですから、本法案につきましては法制化からかかわっておられただろう、また、
交通社会学
の御
専門
家でもございますものですから熟知されておられると思いますので、そして、各項ともおおむね
賛成
だという今お話等もございました。こういったことを勘案いたしまして、後ほどお二方の御
意見
を聞いた後で、また今までいろいろと議論の中で出てこられたこと等もあろうかと思いますので、そういった考え方についてお話を承りたい、こんなふうに思っておりますので、大変勝手なことを申し上げて恐縮でございますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。 そこで、最初に
鈴木共子参考人
にお伺いをいたしますが、その前に、一人
息子
さんを亡くされたということで、心から
息子
さんの御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
交通事故
の御
遺族
などには、今回の
見直し
案について
交通
安全の
観点
から危惧する声があるわけでございます、今、
参考人
もおっしゃっておられましたけれども。そして、
全国
交通事故
遺族
の会からは、この法案については
規制緩和
の
対象
外とし、むしろ
強化
すべきとの要望が出ておるわけでございます。
最愛
の肉親を亡くされた者として、その気持ちというものは十分私としても理解ができるところでございます。
鈴木
参考人
も一人
息子
さんを亡くされ、その刑罰が余りに軽いので愕然としたと、ちょっと新聞等を見せていただきましたら、そういったこともお述べになっておられるわけでございます。 そこでお伺いするわけでございますけれども、今回の
見直し
では
罰則
規定を大幅に引き上げておるわけでございますね。例えば、
罰金
等については二・五倍から六倍ぐらいまでに引き上げておるわけでございます。このことについて
参考人
はどのように見ておられるというか、
評価
しておられるか。まあまあかなと、こんなものでは全然不満だよと、こういうふうに思われるか、その辺についてお聞かせをいただきたいと思いますし、またそのほかに、ぜひ言っておきたい、こういうようなことがあれば、お聞かせを願いたいと思います。
鈴木共子
12
○
参考人
(
鈴木共子
君) 私の考えとしては、いろんなことはよくわからないんですけれども、ただ、一つの
法律
が決められてしまって、それを
改正
するには何十年と言ったらおかしいけれども、それがおかしいからといってまたすぐ新しい
法律
をつくるとかということは今までの例から見てもあり得ないものですから、その
罰則
の上げ幅についても、わずかではなくて、かなりの部分で上げてほしいというのが私の気持ちなんです。 これで、おかしいからといって、一年、二年後にはじゃまた改めましょうという、そういう展開の仕方ができるのであれば今回の
罰則
の案は妥当だと思います。でも、今までの事例からいっても、
法律
って一度決めちゃうと次の
改正
まではかなり年月や時間がかかるというふうに私は思うので、その辺のところがちょっと疑問かなというふうに感じています。
森田次夫
13
○森田次夫君 将来のことを考えれば、まだちょっと不満だと、こういうことで大体よろしゅうございますでしょうかね。 そのほかに何かお述べになりたいことはございますでしょうか。
鈴木共子
14
○
参考人
(
鈴木共子
君) ですから、先ほどもお話しさせていただいたんですけれども、ともかく人の命ということを非常に明快にしてほしいというか、人の命の
重み
ということを考えていただきたいというのが私の一番の願いと。
森田次夫
15
○森田次夫君 時間もないので進ませていただきたいと思います。 次に、
黒崎信幸
参考人
にお伺いいたしますけれども、このくらいのしゃべり方で別に問題はございませんでしょうか。 今回の
見直し
案で特に問題としているのが
障害者
にかかわる
欠格条項
ではないかと思います。
障害者
の
立場
からすれば当然のことであろうかと思います。 そこで、御承知のとおり、
現行
法では、
一定
の身体
障害者
には
免許
を与えない、受験もできないと定めているわけでございますけれども、
改正
案では、てんかん、精神分裂症以外は
試験
に合格すれば
免許
を与えるとしていますが、全日本
聾唖連盟
の要望書を見ますと、既に事実上死文化している条項を削除するだけだと、このように厳しく批判をされておられるわけでございます。 そこで、先ほどもちょっとお述べになっておられましたけれども、
道交法
の施行規則の二十三条の
改正
を強く求めておられると、このように受け取ったわけでございます。いわゆる十メートルで九十デシベルということでございます。これは耳の聞こえない方でございまして、その他の
障害者
につきましてはかなり緩和をされているのではないか、このように私は見ておるわけでございます。そうした中でもって、
試験
に合格すれば
免許
は与えられるわけですから、相当緩和されたし、問題はそんなに今ないのではないのかなと。逆に、お気の毒なことを申し上げれば、十メートルで聞こえないというようなことになると、確かに
生活
の面等では不便だと思いますけれども、やはり
交通
安全というようなことを考えますとやむを得ないのかな、こんなふうにも思うわけでございます。 私も
障害者
に対して不勉強でございますので、その辺は全然問題ないんだということも先ほどお述べになってはおられましたけれども、もう少し詳しくその辺をお聞かせいただければと、このように思います。よろしくどうぞ。
黒崎信幸
16
○
参考人
(
黒崎信幸
君) 今のお尋ねですけれども、
道路交通法
八十八条の
欠格条項
が門だったとした場合、今この門の扉が開かれました。私
たち
、門から入ることもできるようになったと喜んでいます。けれども、肝心の玄関から先へは入れないということになります。ですから、とても残念に思っています。 ただ、先ほども申し上げましたように、耳が聞こえないということについての補助手段が、なぜ耳だけに頼らなければならないのかという問題。目で見ることもできる。例えば、今お話があったこと、私の耳には全然入ってきません。けれども、
手話通訳
という手段によって、おっしゃったことがすべて私に伝わっています。ですから、車を
運転
するときに、ほかの車のクラクションまたは緊急
自動車
のサイレンというのが、あれが聞こえないということを問題にされる人もおられるのだろうと思うのですけれども、その場合も、音をキャッチしてそれを振動に変える、または光に変えるなど、さまざまな方法がなぜ考えられないかというのが私どもの訴えです。ぜひ御理解いただければうれしいと思っています。
森田次夫
17
○森田次夫君 ありがとうございました。 それでは、時間も余りございませんので、
鈴木
参考人
にお伺いをいたします。 先ほどお願い申し上げましたとおり、ただいま
鈴木共子
、
黒崎
両
参考人
の御
意見
をお聞きいたしまして
参考人
の方はどのように思われたか。また、こういった問題につきましては懇談会の場でも相当議論されたのではないのかな、こんなふうに思うわけでございますが、
鈴木
参考人
のお考え等も含めましてお話をいただければというふうに思います。
鈴木春男
18
○
参考人
(
鈴木春男
君) 今、
鈴木共子
さんともうお一方の
参考人
のお話を伺いまして、大変重要なことをおっしゃっていただいていると思います。
飲酒運転
、暴走行為
運転
などによりまして起こされる
交通事故
が大変後を絶たないわけでございまして、御
遺族
、
被害者
の気持ちは察するに余りあります。そういう中で、刑事罰がどうあるべきかということを検討する、この重要性はもちろん理解できます。 ただ、この点につきましては、
交通事故
を防止していく上でどのように対応するのか、どのように対応するのが最も適当かということを、私は刑事法の
専門
家ではございませんが、刑事法の
専門
家を含めて、有識者を交えて十分に検討することが必要ではないかというふうに考えております。刑事罰に関しましては、ほかの場合とバランスがとれているか、刑事体系全体の中で整合性があるかどうかということも大変重要じゃないかと思います。 今回の
改正
につきましては、私は
罰則
の
強化
ということで大変結構だというふうに考えておりますし、懇談会でもそうした
意見
が主流を占めておりましたけれども、ただ、先ほど申しましたように、
交通事故
の防止を図るためには、刑事罰だけがそれを可能にするわけではなくて、
行政処分
の
強化
であるとか
交通
安全教育
の推進等、各種の
交通
安全
対策
をバランスよく総合的に講じていくことが必要じゃないかというふうに考えております。 また、
欠格条項
の件に関してでございますけれども、私どもが
運転
をするというのは、周辺の
状況
をまず認知して、そしてその認知したところからその後どういう
状況
になるかということを予測して、そして
自分
がその予測の結果をもって決断する、そして具体的に車の操作に入る、こういう四つの側面があるわけでございます。 私は、この四つの側面が本人に備わっているかどうかということを厳格に
運転能力
があるかどうかということでチェックしていただくという、そういうことが可能であれば、そしてそれが十分にチェックできるということであるならば
免許
を与える、しかし、そこに何がしかの問題があり、不安があるとするならば、やはり
免許
を与えることは差し控えるということが正しいのではないかというふうに考えております。 以上でございます。
森田次夫
19
○森田次夫君 では、あと一分しかございませんので、
鈴木共子参考人
と
黒崎参考人
にお伺いをいたします。簡単で結構でございます。 今回の
道交法
の
改正
、点数をつけたらば大体何点ぐらいか、それだけで結構でございます。
鈴木共子
20
○
参考人
(
鈴木共子
君) 五十点ぐらいです。
黒崎信幸
21
○
参考人
(
黒崎信幸
君)
欠格条項
の廃止を私
たち
聴覚障害者
から見た場合、これはもう零点、全く何にも変わっていないということになります。頑張ってください。
森田次夫
22
○森田次夫君 どうもありがとうございました。
円より子
23
○円より子君 民主党の円より子です。 本日は、
鈴木春男
さん、
鈴木共子
さん、
黒崎信幸
さん、お忙しい中をおいでいただきまして、本当にありがとうございました。また、大変いいお話を聞かせていただきまして、私どもこれからいろいろ
参考
にさせていただき、また御
意見
を生かしていけるように努力していきたいと思っております。 昨年の秋だったと思います。
鈴木共子
さんからお手紙をいただきました。そして、本当にひどい、
飲酒
、ひき逃げ、無
免許
といった悪質な危険な
運転
行為の結果、それも無
車検
で、先ほどもおっしゃっておりましたが、保険も入っていないというようなそういった車によって、
親友
の方と
息子
さんが大学に入ったばかりでこれからの将来の夢を語って夜道を歩いているところをその車によって命をなくされたという、そういうお手紙をいただきまして、この
委員会
の、今回の
法律
ではないんですけれども、
犯罪
被害者
給付金のときにその
鈴木
さんのお手紙とお話を紹介させていただきまして、それでも
業務
上
過失
致死にしかならないということの不当さを私も訴えさせていただきまして、
過失
の中でも悪質なものは未必の故意という適用をすべきではないかというふうに申し上げました。 民主党では、危険
運転
致死傷処罰法というものを出させていただきました。ただ、残念ながらこれは
衆議院
で廃案になってしまいましたが、これからも刑法の方できちんとした対応をしていきたいと思っているところでございますが、きょうは
道交法
の
参考人
質疑ということで。 実は、私は今まで一度も車を
運転
したことがございません。
免許証
も持っていないんです。といいますのは、私がちょうど
運転免許
を取りたいと思っていたころ、多分今の日本での車両台数の六分の一しかないようなまだ昔のことでございますけれども、うちの父親が、
被害者
になることはあっても
加害者
には絶対なるなと申しまして、いかに車が必要なものだといえ、本当に走る
凶器
だ、
加害者
になったときの大変さというものを考えれば、車に乗りたかったらバスだとかプロの
運転
手に任せろと、そう言われたものですから。 ただ、東京にいますからそういうことが言えますけれども、今のような社会の中でそれは極端な
意見
だということはよくわかっておりますし、地方に行けば本当に車が必要な方
たち
がいらっしゃることも、また
黒崎
さんのお話にありますように、
障害
を持って一人で暮らしているような
方々
は車が必要だということもよくわかりますので、
欠格条項
を廃止して、そして、おっしゃったように、音が聞こえなくても振動を利用できるような、そういった形で、きちんと厳正なルールを守られるような
障害
を持つ
方々
が
試験
を受けてきちんと
運転
ができるようにすることは本当に大事なことだと私は思っております。 そしてまた、
鈴木春男
さんのお話にありましたように、プロの
運転
手の方が今
事故
を多く起こしていることを考えますと、いかに
安全教育
、そういったものが必要か、それからまた
罰則
の
強化
も必要か、そういったことがあるんですが、きょうは
道交法
の関係ですからお話には余り出なかったかもしれませんけれども、お三方にお聞きしたいと思っておりますのは、交差点でも信号なしの交差点での
事故
が多いとか、それからしょっちゅう
事故
を起こす道というのは、やはり視界が悪かったり、いろいろ
道路
の
整備
のあり方というものに大変関係があると思うんですね。 そこで、まず
黒崎
さんには、大変必要なものであり、
運転
をすることができるようになることは大事なんですが、本当に
加害者
になることだって
障害
を持つ方もあり得るわけです。そうした場合に、
道路
の
整備
とかそういったものがどうあるべきか、交差点がどうあるべきか。先ほどおっしゃった音を振動に変えるということもありますが、交差点、信号等、どういった形であるべきか。また、車自体の
運転
のあれも、どういう形であれば
事故
を起こしにくいものなのか。やはり、それは
障害
を持つ
方々
から言っていただかないとわからないと思うんですね。それをお聞きしたい。 それから、子供がおなかにいる妊婦の方、それから子供を連れて歩いている方や
高齢者
の方、そういった
人たち
から見ると、
運転
の方だけではなくて、歩いている側から見ても本当に車が怖いこともある。でも、それは車が悪いわけではなくて、やはり
道路
の関係もあるかもしれない、交差点の関係もあるかもしれない、いろんな面で直すべき面が、もちろん先ほど
罰則
のことをおっしゃいましたから、それはもう十分私どもこれから配慮していきたいと思いますが、
鈴木共子
さんからは、そういう点で、何か
被害者
の側から車を
凶器
とさせないための方法がないのかどうか。 また、
鈴木春男
さんは、先ほどもおっしゃっていましたように、
交通社会学
を
専門
になさっておりますから、そういった
道路
事情ですとか交差点のことを。 私なんか、歩行者が通るとき、なぜあんなに信号が早く変わってしまうのかと。ちょっとでも足が悪かったり年をとっていたりすると、真ん中でもう点滅してしまって、怖くて横断歩道を渡れないなどということがしょっちゅうあります。それから、歩道橋が上にあって、なぜ車が下を通ってくれなくて、
人間
が階段を上らなきゃいけないかと思うことがたびたびございまして、もちろんこれは予算の問題とかあるんでしょうが、ぜひとも、歩く側、
運転
する側、
障害
を持つ側、それから
被害者
になった側、そういった側から走る
凶器
にさせないための方法というものをこれから私
たち
は考えていかなきゃいけない。 そういう点からお三方からお話を伺えればと思っておりますので、
黒崎
さん、
鈴木共子
さん、そして
鈴木春男
先生という順番でお伺いできればと思います。よろしくお願いいたします。
黒崎信幸
24
○
参考人
(
黒崎信幸
君) 走る
凶器
という言葉があったのですけれども、私
たち
障害者
にとっては、走る
凶器
ではなくて、一歩間違えると同じ仲間をふやすことになる。今の日本の場合、
障害者
に対して優しい町とは言えないと思うのですね。まだまだ
生活
する中ではさまざまな困難がたくさんあります。ですから、私
たち
の仲間をふやしたくはないという気持ちを私どもは肝に銘じております。 ただ、交差点についてという具体的な質問ですけれども、今まで私も、私自身も
運転
するのですけれども、交差点でもってはっとした経験があると言いますと、大体私も焦っていた。早く目的地に行きたいとかいうふうな場合、はっとするんですけれども、落ちついてルールをきちんと守っていた場合はほとんどどのような交差点でも大丈夫といいますか、安全に通行ができたと思うのです。 ただ、ここでもって気をつけてほしいのは、交差点というところはほとんど赤、黄色、青の信号があります。けれども、これが目の見えない
人たち
のためには、音楽とかまたは小鳥のさえずりとかいうふうに音に変えて
障害者
も安全に渡れるように工夫されているということを考えると、今の質問に対して私、どう変えたらいいかという答えはできないですけれども、やっぱりルールを守るということが一番大切ではないかと思っています。
鈴木共子
25
○
参考人
(
鈴木共子
君) 本当に、ルールを守るというのは、やはり基本的な、一番根本的なことだというふうに思っています。もちろん
道路
の幅が狭かったりとかという、そういう不備はもう至るところにあるんですけれども、そこに行ってみれば、無断駐車があったりとか自転車がとまっていたりとかして、
制度
上よく
整備
されていないところにもっともっと加速するような
状況
をつくっているというのが、やっぱりルールを守らない人の気持ちというか
意識
だというふうに私は
認識
しています。 ですから、
罰則
だけでこういった
交通事故
を防ぐことには絶対にならないんですけれども、やはり基本的に、どうしても
人間
って非常に愚かな動物だというふうに私はすごく思うんです。 と申しますのは、やはり車に乗ると何かすごく気持ちが強くなって、もうそこのけそこのけ車が通るという感じでもってすごく威張った
状況
に、私は本当に恥ずかしいんですけれども、やはり
息子
がこういう
事故
に遭う前まではそういう
意識
、やっぱり車に乗ると少し気分が高揚してしまって、非常に高みのところから歩いている
人たち
を見ていたというふうに今とても反省して思います。 それだけ
人間
って愚かなんじゃないか、だからやっぱり
罰則
というのは一つの大きな歯どめになるというふうに、それだけではないけれども、強いものだというふうに思っています。
鈴木春男
26
○
参考人
(
鈴木春男
君) 御指摘のとおり、危険な交差点というのは大変数多くあると思います。私ども研究者もそのことについてはいろいろ検討し、改善案を出していかなくちゃいけないというふうに考えておりますが、私は基本的には、そのことに対して一番
発言
すべきはそこを利用する方
たち
ではないかというふうに思っております。 私は、参加による動機づけということを基本に考えておりますけれども、やはり主体的にそこを利用する
方々
が参加的にいろいろ提言をしたりするという場をつくって、それが実は改善に結びついていくという方向性が、一番方向性としては安全を守ろうという気持ちになってもらうために重要じゃないかというふうに考えております。 先ほど陳述のときに申し上げましたヒヤリ
地図
というのも、冷やりとした
体験
を
地図
の上にみんなであらわしていって、それを材料に、例えば交差点の改善だとかそういうことを考えていこうという、そういう趣旨でございまして、きょう御審議いただいている
法律
なんかを
改正
したりする場合も、やはり民間の知恵というのが結構あるわけで、そういう知恵をどう吸い上げるか、そしてそこへどう反映するかということが非常に重要なんじゃないかなというふうに考えております。
円より子
27
○円より子君 お三方、どうもありがとうございました。 ルールというものを守ることは本当に大事なんですが、それでもこれだけの、今まで原爆で亡くなった方の数よりも多い
交通事故
死の方
たち
がいらっしゃるわけです。 そこで、例えば東京都では、荷物をおろすための車が駐車するために緑のところをちょっと減らしてでも中に入れて渋滞を防ぐとか、それは多分渋滞を防ぐためだけではなくて、人命尊重のためのそういった形にもなっていくんじゃないかと思いまして、今、
鈴木春男
先生がおっしゃったように、いろいろ民間の知恵を利用しながら、車を走る
凶器
にさせないための方策を本当に講じていかなきゃいけないと思いますので、
黒崎
さんからも、また
鈴木共子
さんからも、
被害者
の
立場
、
障害
を持つ人の
立場
からどう改善していけばうまくいくかといういろんなお知恵をこれからいただいていきたいと思うんです。 もう一つ、
交通事故
の死亡者を、
鈴木共子
さんの
息子
さんのような、その場で二十メートルもはね飛ばされて即死なさったりということはもう本当にあれなんですが、少しでも減らすために、例えばドクターヘリをもっと活用すればいいんじゃないかということがよく言われます。諸外国では、それによって、もちろんそれは物すごく予算がかかることですが、一人一人の命の重さから考えれば、すぐにドクターヘリが来てくれて、そこで治療ができれば随分死者が減るというちゃんと統計が出ているわけです。 そういったことについて
鈴木春男
先生はどう思われるか、御
意見
を伺いたいと思います。
鈴木春男
28
○
参考人
(
鈴木春男
君) 全く私も
賛成
でございます。そのことは大変重要だと考えております。 具体的にそういうことが少しずつ我が国でも行われ始めておりますが、そのことによる
効果
というのは大変大きく期待されますし、一層そのことが進むように私も念願しております。
円より子
29
○円より子君 今ドクターヘリについても
賛成
で、
交通事故
のルールを守ることは大事だけれども、そして少しでも
事故
を減らすことは大事ですが、
事故
が起きた場合の死者を減らしていく、そういった策を私ども立法府の
人間
がきちんとやっていかなきゃいけないことだと思います。
黒崎
さん、何か、先ほどおっしゃった音を振動に変えるとか以外に、車なり
道路
なりにこういったものをしてほしいということがありましたらどんどんこれから御
意見
を言っていただきたいんですが、今も、ほかにもございましたら最後にいかがでございましょうか。
黒崎信幸
30
○
参考人
(
黒崎信幸
君) 私
たち
の
運転
というのは、耳に頼らないで目でもって
運転
します。ですから、見通しというのがとても重要になるのです。 そのために、この見通しをよくするといいますか、例えば私が今走っている段階で、この先に何があるか、交差点があるとか次のところでどういうふうに曲がるとかいうふうな予知といいますか、前もって知るというふうなことがもっともっと
整備
されれば、私
たち
の
運転
もとても楽になると思うのです。特に、私
たち
が
運転
する車の前に大きなトラックとかバスがあって、その後ろを走っているときはほとんど目をふさがれたも同じですので、私としては離れて走るのですけれども、それでも全く何もない状態から比べると見通しが悪いので、前もっていろいろな案内板や何かをふやしていただければと思います。ただし、余りふやし過ぎるとどれを見たらいいのかわからなくなるので、その適切な配置もお願いしたいと思います。
円より子
31
○円より子君 どうもありがとうございました。 終わります。
大森礼子
32
○大森礼子君 公明党の大森礼子です。どうぞよろしくお願いいたします。 最初に、
鈴木共子参考人
にお尋ねするのですけれども、実は、今回
参考人
になられるということで、これは神奈川新聞ですか、二〇〇〇年四月二十五日付の「
息子
の死無駄にはしない」というタイトルの新聞ですが、読ませていただきました。 実は、私も検事をやっていたことがありまして、
業務
上
過失
致死罪、捜査の方も、それから公判の方も多くやりました。そのときに、
過失
の領域に入るわけですけれども、やはり
遺族
の方にとっては殺人であろうが
交通事故
であろうが同じ死であるということで、私自身も本当に、検事ですからやっぱり刑法理論に従って適用するわけですが、なぜこう扱いが違うのかということも実は思っていたわけなんです。 それで、
交通事故
の場合ですと、これはどこでも起こり得ることなんだから、よく
交通事故
にでも遭ったと思ってという表現がありますけれども、
加害者
の側がやはりそういう
意識
が少ないということを私は感じております。 例えば、四十年ぐらい前と思いますが、子供のころに、私の小さな町で電気屋さんをしていた方が
死亡事故
を起こしました。そのころは保険もきちっとありませんでしたので、人を殺した、死なせたという罪の
意識
がありまして、結局それが
加害者
の一家にのしかかって、そのお店も畳んでしまってという、こういうような責任というのがあったんですね。 これは、やっぱり保険
制度
ということで、だんだんお金で解決するようになって、それから
遺族
側の方と
加害者
側との接触も保険の関係で余り接触できないようになっておりますと、非常に変な関係になってきたと思うんです。 それで、この新聞の中で私の目にとまってしまったのは、こういう記事があります。
鈴木
さんの言葉として、男性、
加害者
ですね、取り調べのときには
息子
の無残な姿を撮った
写真
を男性の目の前に置いてほしいと
警察
の方に言ったと。これは事実でございますね、今うなずいておられますから。 このときの心境といいますか、嫌なことを思い出させてしまうんですけれども、どういう思いだったのか。なかなかこういう言葉というのは実は出てこないものだと思うんですね。そのとき、どういう思いでおっしゃったか、少しお聞かせいただければと思います。
鈴木共子
33
○
参考人
(
鈴木共子
君) その当時のことというのは、今も
自分
の中でフィードバックすると何かとてもつらいんですけれども、確かに最初に
警察
の方から説明があったときに、犯人というか
加害者
はどんな男なのかと聞きましたときに、やはり私に詳しく教えていただけなかったんです。と申しますのは、いわゆる
加害者
の人権という
観点
からだったと思うんですけれども。うちの
息子
の場合は、結局、橋の上の
事故
だったものですから、後ろからぶつけられて十九メートル下に落下したんです。ですから、もう一人の子は、確かに犯人はそこで彼の遺体を見ている、でもうちの子の場合は彼は見ていないんですよ、すぐにそこで
警察
の方に連行されましたから。 また一つ、ちょっとそのときにとても憤ったことがあるんですけれども、
加害者
に
警察
が事情聴取をするのに、そういう刺激的なことをしてしまうといわゆる真理というか事実がわからなくなってしまうと、そこでも否定された。 そういうこともありましたので、何かその辺の流れが今ちょっとよく思い出せないというか、あれなんですけれども、ともかく二人の
人間
を無残な形で殺したんだということをその
加害者
にはっきりと
認識
させたかったというふうなことでそういう言葉が出てきたと思うんです。でも、そのお願いは認められませんでした。
大森礼子
34
○大森礼子君 それは多分認められないと思う。 実は私も、仕事ではなくて雑談の中で、その行為によってこんな人がこのような死に方をしているということでやっぱり
写真
を見せた方がいいんじゃないかと思ったこともあるものですから、お気持ちはすごくわかります。要するに、
自分
のやったことを、もう亡くなったということは取り返しがつかないけれども、正しく
認識
してもらいたいという多分お気持ちと思うんですね。 それで、例えば刑罰、今回重くなりましたけれども、多分これはやっぱり十分ではないと思うんですね。ですから、みんなが
運転
しますので、こういう悪質な場合を類型化して特別に重く処罰するという、こういうことが必要なんだろうと私自身も思っております。どうもありがとうございました。 そこで、次に、時間の関係で
鈴木春男参考人
に伺うのですが、例えば、
高齢者
の問題、それから
障害者
といいますか、
黒崎
さんとか、非常に難しいんですね、この構図というのは。
高齢者
の方も、やっぱり都会地でない場合では足になってしまう、バスなんかありませんので。
生活
することに必要です。それから、聾唖者の方も確かにそうだと、バリアフリーにつながりますので。一方で、安全という
事故防止
等がありまして、それで簡単に、許された危険なんだとかと言って済まないことは今、
鈴木共子参考人
の言葉からしてもそのとおりだと思うんですね。この調和点をどういうふうにしていくか、非常に漠然とした大きな問題になるんですが、先生はいかがお考えでしょうか。
鈴木春男
35
○
参考人
(
鈴木春男
君) 本当に大変難しい問題で、私も即座にどうしたらいいかという回答を今、正直言って申し上げられません。 ただ、必要なことは、もちろん今、
障害者
の方にとってもまた
高齢者
にとっても車というのは
社会参加
の大変重要な手段だと思いますから、それが十分安全に
運転
できるという能力をお持ちであれば当然それは与えるべきだ。しかし一方で、やはりどうしても無理をなさるという
ケース
が、例えば
高齢者
なんかでも、都会の
高齢者
はほかに公共的な
交通
があるものですから比較的
運転免許
を返上される方が多いんですけれども、地方へ行きますと実は
免許
を返上する
高齢者
はほとんどいらっしゃらなくて、
皆さん
多分無理をして
運転
をされている。そういった社会的基盤といいますか、そういうものがやっぱり大変
事故
とかいうようなことにも結びついていると思いますので、一方でそういうものをどう
整備
していくかということが重要じゃないかというふうに考えております。明確なお答えにならなくてまことに申しわけないんですが。
大森礼子
36
○大森礼子君 非常に難しい問題。ただ、能力という問題と、それからやっぱり資質といいますか、例えば
鈴木共子
さんのここの
ケース
なんかは、もうこれ以上悪い態様はない、酒気帯びで無
免許
でということですね。だから、こういう人をどのように厳しく抑制、なくしていくかということが大事なんですね。 一つには刑罰の
強化
もあるんでしょう。それから、
交通事故
というと大抵執行猶予がつくんですが、どんどん実刑にもしていくという方法もあると思います。それと同時に、そういういいかげんな資質を持っておる
人間
に対してやっぱり抑制力を持たせるためには、こういう悪質な者については、
免許
停止とか
免許
取り消しとかありますね、実はこれがいいかげんな若者にとりましては一番困るわけなんです。ある
意味
では刑罰以上の抑止力になるかもしれません。 そこで、例えば悪質な場合には、
鈴木
さんの
ケース
の場合にはもう半永久的に
免許
を与えないとか、こういうことまでいかないと
ドライバー
への
悪質運転
の抑止力にはならないのではないかと私は思うんですが、先生はいかがお考えでしょうか。
鈴木春男
37
○
参考人
(
鈴木春男
君) 私もある
意味
では議員の
意見
に
賛成
でございます。 やはり、刑罰というのは先ほどの
減点評価
だとある
意味
では思うんですが、同時にそのことは、先ほどもちょっと申しましたように、今の
交通
社会というのはお互いの信頼の上に成り立っているわけで、そこに信頼を損なうような
ドライバー
がいたとしたら、それは排除していただかないと困るというふうには確かに思います。 ですから、その
意味
で、めり張りをつけて、本当に悪質な
ドライバー
はある
意味
では排除するという、これは終身にわたるということがよろしいかどうかはわかりませんが、排除するという方向性は重要だろうというふうに考えております。
大森礼子
38
○大森礼子君 本当にお互いの信頼で成り立っているわけですから、場合によってはそういう厳しい政策も必要ではないかなと私自身思っております。それによって初めて、先ほどの
高齢者
、
障害者
の調和がとれるのかなという気もいたします。 最後に、
黒崎参考人
にお尋ねいたします。 お話を伺っていまして、とても難しい問題だなと思ったんです。それで、例えば耳の聞こえない方、ある
意味
で、
自分
が注意していても、やっぱり
交通事故
というのは周囲との関係で起こるものですから、本人だけが
安全運転
をしていたから大丈夫か、そうでもないと思うんです。 そこで、結局、一つ具体的に考えることができることとするならば、今、十メートルの距離で九十デシベルの警音器の音が聞こえるものと。例えばこのデシベル数をもっと上げるといいますか、広くするとか、これは一つの具体的な考え方としてあるだろうと思うんです。ただ、耳の能力、
聴力
というものが
交通
の安全にですけれども、例えば警笛が聞こえるかは周囲の
状況
を判断することで必要なんだと思うんです。ですから、ここのデシベル数を例えばもう少し上げて結果的に
免許
を取られる方を広げることができるかどうかという、これは一つ考えてみるべき必要があると思うんです。 それから、あともう一つ、補助手段というのが当初聞いたときよくわからなかったんですが、質問に答えられたときに、周囲の音をキャッチする、振動でそれを伝えられるような、これは装置ということですね。またそれも、どちらの方向から来た音かとか、ここまでしないといけない、こういう装置もやっぱり必要になるだろうと思うんです。ですから、こういう開発をすることでバリアフリーが広がるということは非常に傾聴に値することかなと思うんです。 ですから、私としては、今すぐすべての方に、補聴器がなくても耳の方すべてにということはいささかのちゅうちょをいたしますが、ただ、非常に重要な問題提起をしていただいたと思いますので、何とかしなくてはいけないというふうには思っております。 先ほどのデシベル数とか、そこら辺でもう少し検討するとか、こういうことについては
黒崎
さん、いかがお考えでしょうか。まずそこら辺から、してほしい検討ということがあれば当然するべきことだと私は思っておりますが。
黒崎信幸
39
○
参考人
(
黒崎信幸
君) 逆に私は考えます。 私
たち
、聞こえないというのが当たり前の
生活
を毎日やっております。ですから、聞こえないために、さまざまな音をキャッチする工夫が進歩しているといいますか、進んでいるように私は思うのです。けれども、聞こえる
人たち
の場合、どうしても耳に頼る。なぜ耳でなければだめなのかというのが私
たち
の疑問。ただデシベルを上げるとか下げるとかという問題ではなくて、これは完全に廃止してほしいというのが私の願いです。 といいますのは、私自身も先ほど申し上げましたように
免許
を持っています。けれども、全く聞こえません。ですので、私が
免許
を取ってからかれこれ三十年以上になると思いますけれども、先ほどおっしゃったように、もらい
事故
といいますか、交差点で信号待ちでとまっているところに、曲がって交差点に入ってきた車が自転車をはねてそのまま私の車にぶつかったというふうな
事故
はあります。これは避けようがないといいますか、そういう
事故
があったのですけれども、耳が聞こえない、だから
事故
が起こったとは私は思っていないのです。 ですから、聞こえない
人たち
がどういうふうに耳ではなくて音をキャッチする工夫をやっているかということを理解いただいて、ぜひ、このデシベルや何か、十メートル離れているとかどうかではなくて廃止していただければと思っています。
大森礼子
40
○大森礼子君 非常にきょうはお話ができてよかったと思います。本当にバリアフリー、しかしやっぱり車を
運転
する場合には危険ということも十分考えなくちゃいけませんので、十分考えさせていただきます。 もう時間がありませんので、これは質問ではありませんが、
鈴木春男参考人
がおっしゃった
ヒヤリ地図づくり
ですけれども、これは私、本当に大事なことだと思うんです。 実は、
警察
庁の方と話したときに、危険な箇所、曲がり角でもどこでも、これを一番よく御存じなのはその町の方なんですよね。ですから、そういう情報、今インターネット社会ですから、こういう町のヒヤリ
地図
情報みたいなものを寄せて、それでお互い気をつける。と同時に、そこでまた
事故
が起こるようなら、それは国の方もそこを直さなきゃいけないというやり方が必要だと思います。ただ、これをやりますと、国がちゃんと直さなかったら責任が生ずるということになりますので難しい問題だと思うんですけれども、やはりこういう形でお互い危険な
場所
を知らせ合って、国もまたこれについて
対策
を講じていくという、この
ヒヤリ地図づくり
というのはとてもいい方法だと思います。これを最後に感想として述べさせていただきます。 以上です。
大沢辰美
41
○大沢辰美君
参考人
の
皆さん
、御苦労さまでございます。 今の
道路交通法
の審議をしている中で
皆さん
の指摘された問題点がとてもよくわかったわけですが、ちょっと数点、質問をさせていただきたいと思います。 まず最初に、
黒崎参考人
にお尋ねをいたします。 この
欠格条項
の存在によって、本当に今日まで
障害者
の
皆さん
がいろんな点で不利な
立場
にあった、
免許
を取りたいけれども取れなかったという、そういう
状況
が長年にわたってあった。やっと今回、条文上はなくなったけれども、あと施行規則の点でという指摘があったわけです。 私は、今日までやはり連盟に所属されているそういう方
たち
の人権そのものが侵されているという点も指摘があろうかと思いますけれども、そういう方
たち
の経験というんですか、まずそういう点での指摘がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
黒崎信幸
42
○
参考人
(
黒崎信幸
君)
交通
法規だけではなくて、さまざまな
法律
の中で
欠格条項
という言葉が使われています。けれども、私
たち
、耳が聞こえないというだけでなぜ欠格なのか。それは、
障害
を一つ持っている。
障害
だけは私
たち
も理解できるのです。けれども、人格まで欠格といいますか、
人間
的な欠格があるような社会的なとらえられ方、これが一番悔しいです。そうではないと思うのです。耳は聞こえないけれども、個人個人、能力を持っています。けれども、聞こえる
人たち
、また
障害
のない
人たち
から見ると、
障害
が重く見られて一人一人の人格が見えないということを一番残念に思っています。 ですから、今回、
運転免許
などの場合も、最初に
鈴木
先生がおっしゃったように、個人の能力ということをどう見るのか。聞こえないということは、これは事実。けれども、聞こえない上でさらに頑張って聞こえる
人たち
に負けないような
生活
をしている仲間もたくさんいます。ですから、私
たち
が、
欠格条項
という言葉一つをとらえて、まず
法律
で制限される、社会的な参加が認められないということはとても残念なことだと思うのです。 この
欠格条項
、また社会的な参加が認められないということは、社会全体の一般の
人たち
から見ると、その程度の人としか見ない。ですから、私
たち
個人個人が努力して頑張ってもなかなか認めてもらえないというのが今までの社会でした。ですから、個人個人の人格が尊重される、また人権が守られる社会をつくるために
欠格条項
をきちんと整理してほしいと思うのです。
大沢辰美
43
○大沢辰美君 やっと
欠格条項
が外されたけれども問題が非常に起こっているという指摘は同感でございます。 先進国である日本がやっとこういうところに到達したわけですけれども、まだこれでは解決しないと。先ほど述べられた中に、外国の例を少し述べられましたけれども、本当に国際的な
欠格条項
の廃止は流れになっていると思うんですね。そういう点で、アジアの問題、それから欧州の問題、アメリカの例を挙げられましたが、具体的に私は、最近特にやられましたアジアの内容など、もし詳しくわかっていらっしゃいましたら教えていただけませんか。
黒崎信幸
44
○
参考人
(
黒崎信幸
君) 韓国の場合は、二年前に聞こえない
人たち
に
運転免許
が認められたと記憶しています。 また、タイの場合は昨年認められるようになりました。ただ、タイの場合は、聞こえないという耳のマークを車につけるということが義務づけられています。それからまた、タイでは、
安全運転
のために、
手話
によるビデオテープが聞こえない
人たち
に配付といいますか、提供されています。
大沢辰美
45
○大沢辰美君 今、世界的な流れの中で日本が恥ずかしい状態になっているということも指摘をされたと思うんですけれども、私もそう思います。 それで、今回の
改正
によって条項が取られたわけですけれども、十メートルで九十デシベルの問題が残っていれば一緒だという指摘をされました。この点については今日までの経過があるんだと思いますけれども、そこを
改正
しなければ今、聴覚
障害
を持っていらっしゃる方が希望している
免許
を取ることができないと。門を入ることができたけれども玄関に入れないという表現をされておりましたけれども、今後
免許取得
に対する支援のあり方、光だとか振動だとか、いろんな
対策
をこれから研究していかなければならない点がありますけれども、ほかに本当に
免許取得
に対する支援をどうしていかなければならないかという点でお考えがありましたら教えてくださいますか。
黒崎信幸
46
○
参考人
(
黒崎信幸
君) 十メートル離れて九十デシベルが聞こえる、聞こえないということではなくて、すべての
人たち
に、能力に応じてきちんと
免許
を与えてほしいということを強くお願いしたいと思っています。
大沢辰美
47
○大沢辰美君 よくわかりました。 それでは、次に
鈴木共子
さんに一点お聞きしたいと思うんですが、新聞記事を読ませていただきまして、大変なこの間、御苦労をされたことに、そして、きょうこういう形で参加をしていただいたことに感謝を申し上げます。 私は、
遺族
の方にとって、自助グループですか、いろんなカウンセラーをしてくださる、その果たす役割は非常に大きいということを記事でお書きになっていらっしゃいましたが、これは本当に重要なことだと思うんです。 その点について行政がなかなかそういう役割を果たしていないという点があるんですが、そういう支援要請がありましたら、どうぞ教えていただけますか。
鈴木共子
48
○
参考人
(
鈴木共子
君) 私は現実に、個人的にすぐに東京都の都民センターの
犯罪
被害支援センターの方がすぐそばについていてくださったものですから、もう本当にラッキーな
ケース
として、私がおかしいなと思うことに関して説明がありましたし、それから、検事さんにも
警察
にもこういう書類を出した方がいいとかという、すべてアドバイスがあったんです。ですから、
法律
のことに関して、おかしいことに関しては、どういう働きかけをしたらいいのかというのも相談しながらできたので、心のケアとしては、今申し上げましたように、カウンセリングを受けられましたから、非常に早い時期に、決して一〇〇%の立ち直りではないんですけれども、
自分
がどういう方向で生きていったらいいのかというアドバイスは受けられました。 今、孤立無援の方がほとんどなんですよ。たまたまマスコミに登場したことでもっていろんな
遺族
の方からお電話をいただいたんですけれども、今までもう何をしていいかわからない、どこに訴えていいかわからない、たまたま私の電話番号が出たので必死になってお電話をかけてくださった方が大勢おりました。ですから、こういった支援のそういうシステムの
強化
というか充実というのは、いわゆる
交通事故
をなくすとかそういうことと並行して非常に大事なことだというふうに考えています。
大沢辰美
49
○大沢辰美君
鈴木
さんが
息子
さんを亡くされた
場所
は橋の上であったとお聞きしたわけですけれども、今の
交通事故
の発生率というんですか、本当にひどい状態の中で、交差点付近、それが圧倒的に多いという
数字
が出ているわけなんです。そういう中で今、
交通事故
をなくすることが亡くなる方をなくすることになるわけですけれども、そういう点で、先ほど分離信号などをやはりハード面で促進していただきたいという点も述べられました。 そういう
道路
整備
面で、今もちょっと質問がありましたけれども、具体的にこの間、
事故
の後、いろんな方との交わりの中で、こういう点はやっぱりやってもらわないとさらに
事故
が発生するという点でお気づきの点がありましたら教えていただけますか。
鈴木共子
50
○
参考人
(
鈴木共子
君) さまざまな角度から
遺族
となった
方々
が、少しでも
交通事故
をなくそう、
自分たち
と同じ被害に遭う人を少なくしようということでもって活躍されているというか、活動されています。 分離信号というのも、一つの
遺族
の方が起こした
運動
で、今本当に
全国
的に広がっているというふうに聞いています。ただ、私自身としては分離信号ということに詳しいわけではありません。本当に
遺族
の方が
自分
の
立場
で、私の場合は橋の上でしたから、分離信号の
運動
を起こされた方は交差点でお子さんを亡くされた方が、ですから、
自分
の
体験
したところから
交通事故
を少なくするための
運動
を展開しているというふうに聞いています。
大沢辰美
51
○大沢辰美君 ありがとうございました。 最後に、
鈴木春男参考人
にお尋ねしたいんですけれども、この法案については
賛成
という
立場
で報告を受けました。特に、
欠格条項
の問題で、もちろんこの点についても
賛成
をされたわけですけれども、個別の判断という点で今回の
改正
で問題点が今聴覚
障害
の方からも指摘をされましたけれども、そういう点で、総合的に考えまして、この
欠格条項
を外す今日の到達の上に立って、これからどうあるべきかという点を含めまして、御
意見
がございましたらお伺いしたいと思います。
鈴木春男
52
○
参考人
(
鈴木春男
君) 先ほどもちょっと申し上げたことと関連するんですけれども、私は
欠格条項
という形で外したことは大変重要なことだろう、それ自体が大変
意味
のあることだろうというふうに思います。 ただ、先ほど申しましたように、
運転
というのは、認知し、そして予測をし、そして決断をし、そして操作をする、この四段階があるわけでございますから、この四つの段階が十分できるかどうかということをどうチェックするかという問題が非常に大きな問題としてあるんだろうと思います。その
評価
のためのシステム、あるいは
評価
のための基準、こういうものがどういう形でできていくかということが非常に重要な問題であろうというふうに考えております。
大沢辰美
53
○大沢辰美君 ありがとうございました。
照屋寛徳
54
○照屋
寛徳
君 社会民主党の照屋
寛徳
でございます。 きょうは、
参考人
の
皆様
方には、貴重なお話を聞かせていただきまして、心から感謝を申し上げたいというふうに思っております。 私は、鉄軌道の全くない沖縄県に住んでおります。沖縄は鉄軌道がないだけに、いわゆる車社会というか、日常的に
交通
手段として車に頼らざるを得ないという
状況
にございます。一方で、私、三十年ぐらい弁護士をやっておりまして、
交通事故
に絡む
犯罪
、いわゆる
業務
上
過失
致死傷の被告人の
事件
を担当したこともございますし、逆に
被害者
の民事
事件
を担当したこともあります。そういう私の経験を踏まえて何点かお聞かせいただきたいのであります。 最初に、
鈴木春男参考人
にお伺いをいたしますが、私は、この車社会にどう向き合っていくかということを根本的なところで考えないと、
道交法
の刑罰の引き上げだとか、そういうことも大事でしょうけれども、なかなか言われている
交通
戦争という言葉があるぐらいの今の
状況
を解決していくのは難しいのではないかなというふうに思っているわけです。 車は確かに便利です。同時に、
人間
の何千倍もエネルギーを持っているわけですから、悪質な
運転
をしたやつは
免許
を取り消せ、あるいはもう生涯、
免許
を取れないようにしろといっても、一たん車の便利さというのをわかった人にとっては、無
免許
でも
運転
するわけですよね、間違いなく。そうすると、
鈴木
参考人
の御
専門
である
交通社会学
というトータルな面で、今、車社会と言われる日本で、国民一人一人が
免許
を持てば
加害者
にもなり得る、同時に
免許
を持たなくても今度は
被害者
にもなり得るという二つの
立場
を常に私
たち
は持っているだろうと思うんですね。 私
たち
一人一人の
人間
の生き方として、この車社会にどう向き合っていったらいいものか、そこら辺を先生の御
専門
の
立場
でお聞かせいただきたいと思います。
鈴木春男
55
○
参考人
(
鈴木春男
君) 一つは、やはりこれからの車社会の中で、私的な
交通
の便利さを味わった者がなかなか公的
交通
に全部行くということはまずあり得ないだろうと思います。したがって、公的
交通
と私的
交通
のバランスをどう保つか、そのことに対して当の
運転
をされる個人がどう考えるか。これは、
環境
の問題もありますし、いろんな問題がありますが、そういうことも含めて考えなくちゃいけない問題だろうというふうに思います。 私の
専門
、冒頭申しましたように、
人間
というものを中心に置きながら
人間科学
的な
観点
で
交通
の問題を考えておりますけれども、私は、今までの
交通
に対する
対策
というのは、
減点評価
といいますか、そういう
減点
主義がどうも中心であったようにすべて思います。安全を守るためにはやっぱり
減点
方式
でという感じがどうもあるわけです。 それで、私は、もちろんそれは大事ですし、今度の
罰則
の
強化
ということも、そのことについてはもちろん
賛成
でございますけれども、しかし本当の動機づけをするのは
減点評価
だけではだめで、どう
加点評価
していくかということが非常に重要なんだろうというふうに思います。 その
意味
では、
優良運転者
に対するある種のメリットを与えるという、そういう
方式
というのは非常に重要だと思いますし、それから、ある種の資格のようなものをもっと、例えばセーフティー・ドライビング・カードというのがございますが、十年無
事故
ですとゴールドのSDカードが与えられるわけです。これには幾つか段階があるわけですが、そういった資格というのも社会がもっと基本的に認めていって、それでもってより高い資格を取ることによって安全を守ろうという動機づけをしていくとか、そういった加点の方の部分のメリット制のようなことが非常に重要なんじゃないかなと。 今までの
交通
行政というのはどうも
減点
方式
だけで安全を守ろうというところにあったという、そのことが少し問題なんじゃないかなというふうに考えております。
照屋寛徳
56
○照屋
寛徳
君 それからもう一点、
鈴木春男参考人
にお伺いいたしますが、先ほどの
意見
陳述の中で、
更新
の前後で
事故
が五・八%減少していると、こういうお話でございましたが、この
更新制度
の
効果等
の
調査
というのはどういう
調査
だったのか、なぜ
更新
の前後で
事故
が五・八%も減るというように考えておられるのか、簡潔にお教えください。
鈴木春男
57
○
参考人
(
鈴木春男
君) この
調査
は、私がやった
調査
ではなくて、たしか
警察
庁さんの方のデータではなかったかというふうに考えておりますが、私は、明確なことをお答えできなくて申しわけないんですが、なぜ
更新
の前後にそれだけ減るかということは、やはり
更新
というものが持っている御本人、
ドライバー
にとっての重さというのがあると思うんです。 その前の方に
事故
がなくなるのは、やはり
更新
の前、例えば先ほど申しましたようにゴールドの五年の
免許
を今まで持っておりますと、次の
免許更新
のときに五年の
免許
が取れるところを、ここで例えば
事故
を起こしてしまったら三年になってしまうというようなことがあるんだろうと思います。これは、多分先ほどのメリット制というのが生きているんだろうと思います。 それから、
更新
後に
事故
が少なくなるというのは、やはり
更新
というものの中でいろんな学習をしてそれが
効果
を持つということではないかなというふうに考えております。
照屋寛徳
58
○照屋
寛徳
君 それでは、
鈴木共子参考人
にお伺いをいたします。
最愛
の
息子
さんを亡くされて大変つらかっただろうと思いますが、今、
鈴木春男参考人
からありましたけれども、
運転免許
の
有効期間
、これは
更新
とも関連するわけですが、これが今度法
改正
になるわけですね。わかりやすく言うと、
原則
三年から
原則
五年になると、こういうことのようですが、
交通事故
の
被害者
遺族
の
立場
で、それから
参考人
が経験をされたことを踏まえて、この
免許
の
更新期間
の延長、
有効期間
の延長ということについてはどのように考えておられるでしょうか。
鈴木共子
59
○
参考人
(
鈴木共子
君)
免許
の
更新
ということは、先ほどもお話しさせていただきましたが、
安全運転
をするための一つのチェック期間というか、
自分
自身の
意識
をチェックする期間だと思いますので、簡単に長くしたりとかというふうなことは少し考え物ではないかなというふうに思います、確かに
更新期間
が長くなったりすれば便利にはなると思うんですけれども。 それと、
優良
運転
手に対しては長くても、それなりのいろんなメリットがあってもいいと思うんですけれども、やはり何らかの
罰則
というか、そういうルール
違反
を犯した者に対しては
免許
の
更新
というか、いわゆる
講習
を受けたりとか
意識
改革というか、そういう
機会
をちょくちょく与えてほしいというのは思っています。 それと、やはり
死亡事故
を起こした
加害者
というか
ドライバー
に対しては、それ相応の処罰というか、
免許
を
永久停止
というぐらいまでの幅で考えてほしいと思っています。何年かすればまた取れるというのは非常に心外です。
照屋寛徳
60
○照屋
寛徳
君
黒崎参考人
にもお伺いをいたします。 きょうは大変いいお話を聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。
黒崎参考人
からは、耳の御不自由な方にとっては今度の法
改正
、
評価
すると零点だという話でございました。この零点の
評価
を受けた法案を審議している私も大変情けないなという思いをしておりますが、先ほど
意見
陳述の中で、耳は不自由でも目でそれはカバーできるんだ、振動で音は聞けるんだと、こういうお話を聞いて大変私も感動いたしました。そして、具体的な陳述された
意見
の内容から、なるほどというふうに思ったわけでありますが、一方で、耳の不自由な方にとっては、公的な
交通
機関を
整備
するということも私は大事だろうと思うんです。しかしながら、公的
交通
機関の
整備
だけじゃなくして、やっぱり
行動範囲
を広げる、社会的に参加をし活動をし生きていくという点では確かに車も必要なわけでありますから、見通しをよくするとか補聴器以外の補助手段の必要性、これはよくわかります。 そこで一点だけ。補聴器以外の音を光に変える、振動に変えるという、外国ではどういうふうな手だてというか補助手段が現につくられておるのか、おわかりでしたらお教えいただきたいと思います。
黒崎信幸
61
○
参考人
(
黒崎信幸
君) 外国では、
運転免許
に関してはそういうふうな補助手段というのは全くありません。補聴器をやって
運転
している人はいるだろうと思うのですけれども、これは
法律
の中で命ぜられてやっているというわけではなくて、本人が
自分
で自発的に補聴器をやっているだけです。ですから、全く耳の聞こえない
人たち
が
運転
するに当たって補助手段というのは考えていないようです、外国では。ただ、私としては、本来ならば補助手段というのは一切合財廃止してほしいというのが私の願いですけれども、やっぱり
皆さん方
にとっては音というのにこだわるようですから、音にこだわるならば、足の悪い人が車を改造するのと同じように私
たち
の耳のかわりになる工夫をやってくれないかという訴えを出しているわけです。 ただ、
法律
の
改正
に当たっては、私も
賛成
したいと思います。といいますのは、私
たち
、耳が聞こえない、聞こえるということに関係なく、やっぱり
一定
のルール、きちんと
交通
のルールを厳しくして、先ほど
鈴木
さんがおっしゃっているように、責任感のない
人たち
にもう少しきちんとけじめをつけるという
意味
で、私も
賛成
です。
照屋寛徳
62
○照屋
寛徳
君 終わります。
江本孟紀
63
○
委員長
(
江本孟紀
君) 以上で
参考人
に対する質疑は終了いたしました。
参考人
の
方々
には、本日は大変御多忙な中、貴重な御
意見
をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。
委員会
を代表して厚く御礼申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十五分散会