○椎名素夫君 大変に時間も短いことでもありますし、ごくごく大づかみの話をいたしまして、参考にしていただければ幸いです。見当違いのことも言うかもしれませんが、その点はお許しを願います。
十年間の失われた時間というようなことを言いますが、今の時期に小泉
内閣のような大変に高支持率の
内閣ができたというのは非常にいいことだと思うんです。何にしても、一けたぐらいの支持率の
内閣というのはどこへ出ても心細いものでして、高過ぎるというようなことを言う人もいるけれ
ども、それは、九〇%ぐらい支持率のある
総理大臣がうちにはいるんだよというのは悪い話じゃないので、うまく利用して、やれることをぜひできるだけやっていただければ、これは
日本のためにもなるという気がいたします。
そういう気持ちを持った上での話なんですが、そもそも、でもこの
内閣の始まりというのは、ちょっと振り返ってみますと、前の森さんが
内閣をやっていた。そして、どういうわけか知りませんが、自民党の諸君が、このままじゃ選挙にならないといって騒ぎ始めて、うちの、しにせだけれ
ども党首をどけようじゃないかという話になって、あれよあれよという間にやめることになって、その後、次の後継ぎをどうするかというような話で一月ぐらいお使いになったわけですね。
その段階では、これは大変に私ごとだったと私は思うんですね。その間しばらく、
総理大臣は
法律的にはいることはいるけれ
ども、待ってくれというような話で、国会の方は開店休業みたいな話だった。
大臣みんないるんだからちゃんと
審議してくれと言うけれ
ども、もうちょっとたったらやめることになっておりますのでというような者を相手にやるわけにもいかないというので、一月ぐらいあいちゃった。
それで、自民党の総裁選挙というのをおやりになった。これは、中で範囲をお広げになったのは悪いことじゃないんですが、それにしても、とにかく自民党は政権にいることに大変に利益があるとお思いになった方々百三十万人ぐらいの投票によるものであると。全有権者からいうと一・三%ぐらい。ところが、うちの中だけでやったんじゃなしに表まで行っておやりになったものですから、何となしに国家的行事みたいになっちゃったんですね。
それで、非常におもしろいと思ったのは、四人の候補がおられたけれ
ども、
あとの三人はよき自民党総裁になろうという演説をやった。小泉さんだけが、極端に言えば反自民党演説をやったんですな。それで、すっかり
国民的選挙みたいな、一億マイナス百三十万人の人までが、おれたちも一緒になって選んだという気になっちゃったというのが、まあうまいことやったものだと私は実は思っているんですが、どういう経路であれ、支持率が高いというのは悪いことじゃない。その上に立派な御自身の
内閣をおつくりになった。これで相当また決定打、恐らくきのうの
ハンセン病関係の対処というのもまた点が上がったと思いますけれ
どもね。
ところが、所信表明をおやりになって、それからずっと衆参で、衆議院の
議論も拝見して、各
委員会でも始まっておりますが、いろいろ聞いておりますと、非常に立派な看板がどんと上がったので、これはこれはと思って店の中に入ってみるとまだ品物がそろっていないという感じなんですな。それで、目録が置いてある。目録も、こういう目録をつくろうと思いますという話ばかりと言っても過言ではないような気がする。結局よくわからないんですよ。
一つには、私は思うんですが、政権交代にも比すべき
内閣をつくったと、こうおっしゃるので、そうかもしれない。そうかもしれないんですが、そういうことだとすると、本当は所信表明じゃない。施政方針演説をやって、それから外交演説、
経済演説、財政演説と、大体全部はこんなふうになりますというのがありますね。これ、所信表明演説をやって、本
会議の
質疑も大体
総理が全部片づけたという感じで、例外を除いては。それから
あとは、いろいろ細かいことに入っても、きょうのお話でも、私が尊敬する
竹中博士が
大臣になられたけれ
ども、これもこういう目録をつくろうと思ってという話であって、野党の方のお聞きになる方も、我々の目録はという話で、目録と目録の話がまだ続いている。これをどうするかというのがこれからの本当の課題だと思うんです。
今のようなことになっているのは、大変に風が吹いているという話だと思うんですね。この風は、天然自然に吹いているのじゃなくて、合成した人工風だと私は思うんです。与党の各派閥の風というのは、とまったり動いたり、スイッチを入れたり消したり、消してしまおうかとかいうのがあるし、野党の方も、攻撃したいんだけれ
ども少しスイッチを入れておいた方がいいかなというような向きがある。そうじゃなきゃ九〇%にならないからね。それから、省庁も、各省庁は風を吹かそうか消そうかというような話も、様子見もあり、それから業界もあり、そういう風が吹いていて、その上に、扇風機なんか手に入らない
人たちはうちわを持ってきてけなげに風を送っているというような感じが全部ないと、これ九〇にならない。だけれ
ども、そういうことが起こっているんだろうと思うんです。
そういうことであるということをはっきり御
認識になっていろんなことをお進めにならないと、ぱたっととまると。一番すごい風はマスコミですね。いつでもスイッチを切れるようにスイッチのボタンに手をかけてにらんでいるような
人たちもいるので、これからが本当に勝負だと思っております。
そこで、一番大事なことは、省庁再編に伴って
内閣機能の強化ということがありました。そして、
内閣で、本当に
内閣全体を束ねながら調整機能を発揮して縦割りでないような行政を組み立てていくという任務を担っていらっしゃるのが、きょうここにお並びになっている
大臣だと思うんですが、この任務が非常に私は大きいと思うんです。
簡単に言ってしまうと、昔式の自民党の政治の運営のやり方から離れて、本来の議院
内閣制型の行政にはっきりとここで踏み込むということができるかできないかというのが一番大きなことじゃないか、勝負どころじゃないかと私は思っております。
昔は、私もやりましたけれ
ども、大体党で決めてしまったというのは、予算なんかもみんな書いちゃって、
大臣になった方は、党の政調でつけたせりふに乗っかって大蔵
大臣のところへ行って何か
お金をもらってきたりもらえなかったりやっていたような時代がありましたが、もうああいうことはだめだと。ただし、ほんのこの間まで、私はこういうことはやめた方がいいなと思ったんですが、
内閣で大体こういうふうにお決めになったのが、党の方で大声を上げるとまたひっくり返っちゃうとか、あれが一番いかぬのだと思うんです。
御存じでしょうが、イギリスでは、各国
会議員がじかに
官僚と接触するということは禁止されている。あくまでも政権をとった党が
内閣に全部乗り込んで、そこで物事が決まっていくと。
格好だけはできているわけです。副
大臣がおられて、政務官がたくさんおられて、部屋もたくさん持って、一体どうしようかなんと役所で言っているけれ
ども、しかし、本当の
意味はそういうことであって、ああいう外側で物事を引っ張ったり動かしたりする実力者というのがもしいるとしたら、それは全部
内閣の中で一緒になってやらなきゃいけないというのが元来の議院
内閣制の
責任あるやり方だと思うんです。
そこのところを束ねていらっしゃるので、今ちょっと入り口になると、特定財源の問題とかなんとかかんとか、いろいろあっちこっちでその風をとめようかというような話がありますが、こういうものを相手にしないという政治の形をきちっとこの際こしらえていただくということは非常に大事だと思うんです。
そうでないと、形があっても、実は森
内閣のときは、余り悪口は言いたくないけれ
ども、政策の丸投げを自民党にしたりしましたね。ああいう癖がつくと、民主党が例えば将来政権をおとりになってもまた似たようなことが起こってしまう。そこあたりを十分に気をつけておやりいただくようにお願いをしたいと思います。
ですから、ほかの
大臣の方ももちろん重要ですけれ
ども、この
内閣委員会に御
出席の
大臣の
責任というのは非常に大きなところがあって、いや政治というものはそういうものだなんと言って、つまらないところで妥協しないでいただきたい。
それで、目録と悪口を申し上げましたけれ
ども、必ずや六月ぐらいになるといろんなのが出てきますね。それを拝見した上でその話はするということに私はしたいと思っております。
そういうことをやるためには
内閣がきちっと同じような考えでやっていかなきゃいかぬ、これは基本ですよね。そうすると、そのおつもりでおつくりになったんでしょうが、小泉首相は一
総理一
内閣というようなことで、ひょいひょい取りかえるのはやめると。これもいいことだと思うんです。
ただし、機械でも初期のふぐあいというのはあるんですね、合わないような歯車をくっつけちゃったというのが。そういうのを見つけたら、余りどうしようどうしようと言わないで、早いところ取りかえておかないと、機械ががりがりといってとまっちゃうことがありますから、その点は、今だれというような話をしているわけじゃないけれ
ども、これは十分にお考えになっていただいた方がいいと思うんです、成功なさるためには。
大体あれですよね、おかしくなる
会社なんかでも、あいつは功績があったから、しようがない置いておくかというようなのが大体妙なことをやって
会社が破産に至るというのが多いし、機械でもさっき言ったとおりです。それが
一つ。
それから、たまたま参議院
議員選挙が七月にありますが、勝ったの負けたのというようなつまらないことを考えないで、それに向けたような不純な政策及び予算というのは断固として排除してもらいたい。それをやり始めると、本当にまたつまらない癖を将来の
日本の政治の形に持ち込むことになるので、その点を皆さんによろしくお願いを申し上げます。
最後に申し上げたいのは、参議院の選挙というのは、大体衆議院の下請じゃないんです。ですから、自民が勝った、民主が負けたとか、共産党が伸びたとか、そういう話じゃなくて、本当に長期、大局に立った、人間を個々の見識でやるというのが本来この参議院がやるべきことだと私
どもは思っておりますので、何か小泉
総理が、選挙へ出るときは派閥をみんなやめてやったらどうだと言って、いろいろ文句があるようですが、それを一歩越えて、皆さん、党をやめて個人で参議院
議員の選挙に臨んでいただくことができればということを、自民党のみならず、全政党の方々にこの機会にお願いをしておきたいと思います。
言いたいことはみんな言いましたが、御感想をどうぞ、ありましたら。