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国務大臣(笹川堯君)
科学技術政策担当大臣として私の
所信を申し上げます。
二十一
世紀を迎えた今、
我が国は、高齢
社会や
情報通信革命への
対応、地球規模での
環境問題並びに資源、エネルギー及び食料の不足への
対応など、解決すべき数多くの
課題に直面しております。こうした諸
課題を克服し、二十一
世紀に向け
日本経済の新生を
実現し、豊かで潤いのある
社会を構築していくために、
科学技術は重要なかぎを握っております。
さきの施政方針演説において、
内閣総理大臣は、二十一
世紀を
国民一人一人が夢と希望を持って生きられる希望の
世紀とするために、先導的、創造的な研究開発を
推進することによって輝かしい未来を切り開いていくことを掲げられました。私としても、尽きることのない知的資源である
科学技術の振興により、希望の
世紀実現に向けた未来への先行投資を的確に進め、
我が国が直面する諸
課題を克服してまいりたいと考えております。
こうした中で、今般の
中央省庁再編において、
重要政策に関する
会議の
一つとして
内閣府に設けられた
総合科学技術会議は、
経済財政政策と並ぶ国家
運営の
基本にかかわる
課題である
科学技術政策についての
調査審議等を行うこととしております。
総合科学技術会議は、第一に、国家的、
社会的
課題に
対応するための
科学技術に関する総合戦略を立案する、第二に、人文・
社会科学を含み、倫理問題等の
社会や人間との関係を重視する、第三に、
内閣総理大臣等の諮問に応じ答申するのみならず、みずから意見具申できるという特徴を有しています。私としては、この特徴を生かし、この
会議が
内閣総理大臣及び
内閣を補佐する知恵の場としての
機能を最大限発揮するよう努力するとともに、
関係省庁の先頭に立って、
我が国が質の高い
科学技術活動を展開していけるよう
全力を尽くします。
まず、
総合科学技術会議は、
科学技術振興の
基本となる総合戦略を策定します。現在、総合戦略の理念、戦略的に取り組むべき
分野の
重点化について
議論を進めています。今月中に総合戦略を答申し、
平成十三年度から五年間の次期
科学技術基本計画が今年度中に策定されるよう尽力いたします。
さらに、
総合科学技術会議は、専門
調査会を設けて、第一に各
重点分野における
推進戦略の策定、第二に
科学技術に関する
予算、人材等の資源配分の方針の策定、第三に大規模な研究開発その他国家的重要な研究開発についての評価、第四に
科学技術システムの
改革等に関して、専門的な知見に基づき
調査検討を行い、その結果を踏まえて、国全体としての整合性を持つ効果的、効率的な
施策の
推進を図ります。
また、こうした中で、
生命倫理をめぐる
議論にも見られるように、
科学技術の振興に当たって、
社会との関係を十分考慮した上での
政策を展開していくことがますます重要となっております。昨年十一月にヒトに関するクローン技術の
規制に関する法律が成立いたしました。最近では、諸外国の一部でクローン人間を産生する
計画が進められている
状況の中、
内閣総理大臣からの指示により、クローン人間産生禁止という
我が国の考え方を国内の研究者は
もとより、
国民の
皆様に発信するとともに、国外に対しても、本件にかかわる
我が国の考え方、法律の趣旨などを外交ルートを通じて各国に
説明しているところであります。本件に対しては、今後とも、文部科学
大臣を初め関係
大臣と連携しつつ、この問題に
対応してまいりたいと考えております。
一方、原子力につきましては、
我が国のエネルギーの安定供給、二酸化炭素の排出量の削減に寄与している
我が国の基幹電源であり、安全確保を大前提に、
国民の
理解を得つつ研究開発利用を
推進してまいります。
原子力
委員会は、国
内外の
理解と
協力が得られるよう、いつでも、どこでも、だれとでも対話することを心がけます。その上で、昨年十一月に策定された原子力の研究、開発及び利用に関する長期
計画に示された
基本方針に基づき、
我が国における核燃料サイクルの
確立を図りつつ原子力発電を最大限に活用するとともに、放射線利用の普及や原子力
科学技術の研究開発が着実に進められるよう取り組んでおります。
また、原子力安全
委員会は、原子力安全のかなめとして、その独立性と
機能がさらに
強化され、
規制行政庁の
体制強化とあわせ、原子力安全確保のための多重補完的な
体制が
整備されました。この枠組みの
もとで安全
規制の実効性を高めるために、
行政庁の
規制活動を把握、確認する
規制調査や、
情報公開の
促進、緊急時
対応体制の
整備などを通じ、その役割を果たせるよう努めていきます。
私としても、今後とも両
委員会が着実にその役割を果たしていくよう最大限努力いたします。
終わりに、私は、二十一
世紀の
我が国を担う総合的な
科学技術政策の
責任者としての使命を自覚し、
全力を尽くす
所存であります。
委員長を初め、
理事、
委員各位の御指導、御
協力を心からお願い申し上げます。