○
富樫練三君
日本共産党の
富樫練三でございます。
私は、
日本共産党を代表して、
内閣提出の
電気通信役務利用放送法案に対して反対の討論を行います。
近年の技術革新の進展によって、多様な形態によるテレ
ビジョン放送を
国民が享受するようになっております。これによる飛躍的なチャンネル数の増加をどのようにして民主主義の発展や
放送文化の向上に役立てるのか、このことが
放送行政に問われております。そのためには、インフラの整備や運用だけではなく、
放送する
番組の内容をどのようにして豊かで
国民の願いに沿うものにしていくか、この点が重要であります。
アメリカでは、独立した
番組制作
会社を育成するために、
放送局との競争から保護するための
規制が行われております。この政策によって、
番組制作
会社は再
放送やビデオの販売を通じてもその制作費を回収できるようになっておりまして、良質の
テレビ番組の供給に役立っていると言われております。このような腰を据えた
放送行政、これは、アメリカがFCCという行政から独立した専門性の高い独立行政機関を持っているからこそできたわけであります。
我が国においても、
情報通信をめぐる
環境の変化に対応し、真に
国民の期待にこたえられる
放送行政はどのようなものか、そして、それを担い得る機関はどうあるべきか、こういう根本的な
検討が急がれていると思います。政府は、小手先の対応のみに終始して、提案されている本
法案でも、
事業への参入を容易にし、
外資に門戸を開放することで
CS放送事業者の撤退に対応するという、この程度のものであります。
以下、反対の理由を申し述べます。
本
法案に反対する第一の理由は、新たに設けられる制度においても、
事業者は
総務省の監督のもとに置かれるということにされているからであります。
質疑の中で明らかになったように、内閣の一員である
大臣が直接
放送行政を管轄し
放送局の免許などを行う我が国の制度は、
世界の中でも特異なものであって、言論・報道の自由、
放送の自主性の確保という点から重大な問題を持つと言わざるを得ません。これは、与党である自民党がニュース
番組の誤報をとらえ免許剥奪のおどしをかけるなど、
放送への露骨な干渉を繰り返している近年では、なおのことその弊害は見過ごすことはできません。
反対理由の第二は、この
法案が直接意図しております
CS放送用周波数の有効
利用にも十分役立つものとなっていないからであります。
例えば、伝統芸能の保存や良心的な文化創造を目指す人々がそのためのチャンネルを持てるようにするとか、あるいは在日外国人が母国の
放送を中継で見られるようにするとか、また、さまざまな団体や
個人の意見や主張をそのまま
放送する制度をつくるなど、従来の
放送制度では
電波に乗りにくかった
情報が
国民の
参加によって豊かに提供されるような方向でこそ、
CSの多チャンネルという特質が生かされると思います。
国民の
参加を拡大することで、
CSという
メディアの受け手のすそ野が拡大するし、この新技術が民主主義の発展に役立てられることにもなると思います。それをしないで、商業主義的な方向で参入の自由化のみを行っても、視聴者を獲得できない
事業者は再び撤退していくことになることは明らかであります。
以上、反対の理由を申し上げて、討論といたします。