運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2001-05-29 第151回国会 参議院 総務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年五月二十九日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月二十五日     辞任         補欠選任     日下部禧代子君     山本 正和君  五月二十八日     辞任         補欠選任      久世 公堯君     中原  爽君      菅川 健二君     内藤 正光君      高嶋 良充君     角田 義一君      鶴岡  洋君     白浜 一良君      富樫 練三君     市田 忠義君      八田ひろ子君     筆坂 秀世君      山本 正和君     梶原 敬義君  五月二十九日     辞任         補欠選任      世耕 弘成君     中島 啓雄君      中原  爽君     久世 公堯君      角田 義一君     高嶋 良充君      白浜 一良君     鶴岡  洋君      市田 忠義君     富樫 練三君      筆坂 秀世君     八田ひろ子君      梶原 敬義君     山本 正和君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         溝手 顕正君     理 事                 入澤  肇君                 岩城 光英君                 海老原義彦君                 浅尾慶一郎君                 宮本 岳志君     委 員                 景山俊太郎君                 鎌田 要人君                 久世 公堯君                 中島 啓雄君                 輿石  東君                 高嶋 良充君                 高橋 千秋君                 内藤 正光君                 鶴岡  洋君                 弘友 和夫君                 富樫 練三君                 八田ひろ子君                 山本 正和君                 高橋 令則君    国務大臣        総務大臣     片山虎之助君    副大臣        総務大臣    小坂 憲次君    大臣政務官        総務大臣政務官  景山俊太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    政府参考人        総務省情報通信        政策局長     鍋倉 真一君        総務省総合通信        基盤局長     金澤  薫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○電気通信役務利用放送法案内閣提出) ○通信放送融合技術の開発の促進に関する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二十五日、日下部禧代子君が委員辞任され、その補欠として山本正和君が選任されました。  また、昨日、菅川健二君が委員辞任され、その補欠として内藤正光君が選任されました。     ─────────────
  3. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  電気通信役務利用放送法案審査のため、本日の委員会総務省情報通信政策局長鍋倉真一君及び総務省総合通信基盤局長金澤薫君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 電気通信役務利用放送法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は去る二十四日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 内藤正光

    内藤正光君 こんにちは。民主党新緑風会内藤正光でございます。久しぶりにこの委員会に戻りまして質問をさせていただきたいと思います。四十分間ですが、どうかよろしくお願いをいたします。  さて、今回の法案でございますが、簡単に言ってしまえば、インフラを保有する主体番組を編成、編集する主体を分離すると。これは、かねて私ども民主党新緑風会も主張してきたように、通信放送融合を促すものでありまして、この法案にはそういった意味で基本的には賛成と、そういった点で、ただ若干確認をしておきたいことがございます。その点について四十分間を使っていろいろ質疑をさせていただきたいと思います。  さて、まず細かなことかもしれませんが、個々の電気通信役務利用放送事業者に対する外資規制が今回撤廃をされたわけでございます。今まであったものが撤廃をされたということでございます。しかし、結果として、この役務利用利用して外資が集まり過ぎて、例えばCS大半外資によって占められてしまう場合も当然のことながら可能性としては考えられるわけでございますが、そういった場合、それをよしとするのかどうなのか。また、それを監視するための何か手だてがあるのか、お尋ねしたいと思います。
  7. 小坂憲次

    ○副大臣小坂憲次君) 内藤委員、大変お詳しいわけでございますけれども、外資規制放送社会的影響力が非常に大きいこと、また有限希少かつ公共性の高い電波利用について自国民利益を優先すると、こういう考え方から今まで持ってきているわけでございます。  今般、この法律におきまして、外資規制を課さないことといたしましたのは、地上波のように国民に広く視聴されている基幹的な放送メディアではないということ、また、かつ多チャンネル化が進むなど、放送をしたいという需要に対して衛星中継器の設備を十分に供給することが可能であるという点で、周波数の希少性が緩和されているというCS放送という分野でありまして、このCS放送におきまして、現在の状況におきましても外資出資が一〇%を超える番組の供給をしている、そういったCS放送事業者は全部で百十七ありますCS放送事業者のうちの十三社程度でございまして、この十三社の中に欧米の有力なコンテンツ保有企業がもう既に出資をしていることから、類推いたしますと、電気通信役務利用放送事業者大半外資系になるという、そういう状況はにわかには想定しがたい。それよりむしろ本法の施行によりまして、外国の良質なコンテンツと我が国のコンテンツがより一層切磋琢磨するような関係においてCS放送の質的な向上が図られることの方が重要ではないかと。  そういった意味で、この外資規制撤廃をしたわけでございまして、さらに、地上波等基幹的放送メディアについては引き続き外資規制を行ってまいりますので、自国民利益を阻害することにはならない、このように考えておりまして、放送全体としても、事業者番組多様化を進展させることになると、このように考えておるところでございます。
  8. 内藤正光

    内藤正光君 わかりました。  では、次の問題点、論点に移らせていただきますが、今回の法案によりまして、登録さえすれば電気通信役務利用が可能になるわけでございますが、とはいうものの、その前段として、顧客管理の代行をしているプラットホーム事業者なるものが存在するわけでございます。そこがもうあるわけなんで、そこがまず窓口となって申し込みをしに行かなければならないわけなんですが、まず簡単にお尋ねしたいのは、CS放送プラットホーム事業者は、現在幾つあるんでしょうか。
  9. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 一社でございます。
  10. 内藤正光

    内藤正光君 具体的にはどこでしょうか。
  11. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) スカイパーフェクTVという会社でございます。
  12. 内藤正光

    内藤正光君 今後ふえる可能性はあるんでしょうか。
  13. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 今後、BS等プラットホームをやろうとする会社も出てまいる、そういう動きもございますので、何とも申しわけございませんが、CSの今の百二十四度、百二十八度でそういう動きがあるというふうには聞いておりませんけれども、CSの百十度あるいはBSではやはり同じようなプラットホーム事業者というのは出てくるんじゃないかなというふうに思っております。
  14. 内藤正光

    内藤正光君 東経百十度CS利用サービスにおいては、日テレ系が一社出てくるというふうには聞いておりますが、それは確かでしょうか。
  15. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 私ども、そういう動きは聞いております。
  16. 内藤正光

    内藤正光君 ところで、これら、これらといいますか、現時点ではこのプラットホーム事業者なんですが、この法的な位置づけはどうなっているんでしょうか。
  17. 小坂憲次

    ○副大臣小坂憲次君) 特に法的には明確な位置づけがされておりません。
  18. 内藤正光

    内藤正光君 法的な位置づけはされていないと。  このプラットホーム事業者というものが例えば電気通信事業に属するのか、あるいは放送事業に属するのかと考えてみると、なかなかちょっと見当がつかないわけなんですが、ところがこのプラットホーム事業者というのは、結構重要なポジションを占めているわけでございまして、考えようによっては、このプラットホーム事業者というのは役務利用してサービスを提供しようとしている放送事業者よりも優越的な地位にあるわけなんです。そういうことはないとは思いますが、場合によってはその支配的な地位利用して、参入事業者に対して差別的な扱いをすることもあるでしょうし、またできるわけです。そしてまた、放送事業者にとって不利益契約を強制したり、そんなことも当然可能性としては考えられるわけです。それが何社もあればだんだん質が高まってくるんでしょうが、現実として一社しかないわけです。まさに独占きわまりないわけでございます。  つまり、この法案趣旨は私は本当に理解しています。ところが現実として、このプラットホーム事業者というものがボトルネックとなりかねないわけなんですが、私はこのプラットホーム事業者の法的な位置づけを明確にすべきだというふうに考えますが、いかがお考えでしょうか。
  19. 小坂憲次

    ○副大臣小坂憲次君) いわゆるプラットホーム事業者と呼ばれる事業は、多数の放送事業者に対しまして顧客管理業務を提供する、また番組送出業務を代行してまいる、またいわゆるCASと呼ばれるコンディショナルアクセスシステム、特定の料金を払った人にのみ解除をすると絵が見えるというような、そういったCAS業務等を行うというようなサービスを提供する業者でございまして、放送法上の放送事業者として位置づけられているわけでもございませんが、単独で顧客との契約関係などを行うことが事業上困難なCS事業者にとっては大変便利で不可欠な存在となっているわけでございます。  このために、プラットホーム事業者は、衛星放送事業者に対して、オープンで公平なサービスの提供を維持することが求められ、またこの必要性が確保されなければならないと思っておるわけでございます。  これまでプラットホーム事業者CS事業者利益を著しく阻害している、こういったような行為を行ったというような具体的な事例はありませんけれども、今御指摘のように、今後、現実の問題が生じることもあり得ますので、現在、放送政策研究会プラットホーム事業あり方についてこれは問題意識を持っておりまして、今検討を進めているところでございます。  私も、個人的にやはりそういったことを防止する観点から、このプラットホーム事業者あり方というものについて、例えばCASというものを導入した場合に、そのCASオープンにするというようなことを義務づけるとか、そういったような配慮が必要ではないかと、このように考えております。
  20. 内藤正光

    内藤正光君 副大臣は、かつてこのプラットホーム事業者がいろいろなその支配的な地位利用して悪いことをしたことがない、そういう話は聞いたことがないというふうにおっしゃいました。これ確実だとは言いません。ただ、例えばディレクTVですね、何か引き上げる際にいろいろあったというふうに聞かないわけでもございません。ですから私は、この辺しっかりと法的な位置づけを明確にして、本当に新規参入を促すような仕組みをつくっていくべきだと思います。  先ほど前向きな答弁をしていただいたわけなんですが、これは放送法の中で位置づけた方がよろしいんでしょうか、適当なんでしょうか。どのようにお考えでしょうか。その辺の考え方の枠組みをお聞かせいただきたいんですが。
  21. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) まだこれからの検討になるわけでございますけれども、御承知のとおり、今この事業者放送法上の放送事業者ではございません。受託、委託放送事業者の中間に先生御存じのとおり来ている、そういう事業者でございますので、いわば放送事業の周辺にいる事業者ということでございますが、実質上、そういうボトルネックみたいなことが起こりかねないということでございますので、もし仮に、今、副大臣が御答弁になりましたような法律ということがあるとすれば、それはやはり機能という面に着目をして別の法律をつくるということになるのかなというふうに思っております。ただ、まだこれから御検討いただくということではございますけれども。
  22. 内藤正光

    内藤正光君 しっかりとそれも早急に取り組んでいただきたいと思いますが、ここでちょっと大変恐縮ですが、答弁をいただかないと記録に残りませんので、よろしくお願いします。
  23. 小坂憲次

    ○副大臣小坂憲次君) 鍋倉局長が申し上げましたように、現在検討中でございますので、いろいろな幅広い検討を進めてまいりたいと存じます。
  24. 内藤正光

    内藤正光君 では、テーマは変わりまして、今度は通信放送融合ということに移らさせていただきたいと思います。  冒頭、私が申し上げましたように、この法案が成立すれば通信放送融合が一歩進むということで、私は大変高く評価をしているわけでございます。  そこで、大臣大臣のお言葉でお答えいただきたいんですが、通信放送融合について大臣はどんな将来像をお持ちになられているのか。理念的なことではなくて、難しいことではなくて、一般国民にとってわかりやすいそのイメージを御自身のお言葉で語っていただければと思うのですが。
  25. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 衆議院委員会でも参議院の委員会でも通信放送融合について御質問がありまして、私は、通信はほぼ一対一で放送は一対多数だと、ややそういう観念的なことを申し上げましたが、今、内藤委員は、どういうふうにおまえはイメージしているのだと、こういうことでございます。  今放送で、私は野球の放送なんかを見るのが大好きなんですけれども、しかし夜は会合があったりしてなかなか見られませんよね。それから大河ドラマや朝ドラなんかも、割にミーちゃんハーちゃん風ですからよく見るんですけれども、これも時間的な制約があってなかなか見られませんよね。しかし、これが融合してくれば好きなときに見られるようになる、こういうことでございましょうし、それからまたよく言われるように、クイズ番組に双方向ということになれば参加もできる。あるいは、よく言うテレビショッピングというんでしょうか、そういうことになって、そういう意味では大変必要な情報がいつでもどこでも楽にとれるようになるのではなかろうか、こういうふうに思っております。  ただ、放送というものの考え方通信考え方が今のいろんな法律その他の体系ではある意味で決まっておりますから、これが融合してくると、そこの整理が要るのではなかろうかと。これはNTTさんにもそういうことが言えますし、よく我々はいろんなところでNHKさんの問題も言われるわけでありまして、放送通信融合は大変いいことで、その成果は国民生活国民経済に生かさなければいけませんけれども、同時にそこのところの整理が要るのかなと、こういうふうに私個人は、ちょっと難しくなりましたが、考えております。
  26. 内藤正光

    内藤正光君 わかりました。ありがとうございます。  では今度は、同じような質問なんですが、ちょっと見方を変えまして、通信放送融合により、一般ユーザー国民と言ってもいいかもしれません、国民はどんなメリットを享受できるのか。あるいはまた仕事をしている人、企業家たち、そういった方々はどういうメリットを受けるのか、お答えいただけますでしょうか。
  27. 小坂憲次

    ○副大臣小坂憲次君) 一言で言えば、非常に幅広いコンテンツを、従来の放送とか通信とか限られたメディアを通して限られた量だけしか提供されないのではなくて、幅広いコンテンツをいつでも時間的な制約なしに、また場所といいますか位置的な制約もなしに自由に入手することができるような環境が提供される。  簡単に申しますれば、高画質なコンテンツインターネットを経由して視聴したり、あるいは通信を経由した個人認証決済と組み合わせてテレビショッピングのような、今、大臣が申し上げましたような、そういった外に出なくてもいながらにして幅広い商品の中から最も自分の好みのものを選び出して、そして決済まで含めてやることができるようになるとか、あるいは一般企業にとりましてもデジタル放送とブロードバンドネットワークの通信の部分を組み合わせまして、これまで店頭でしか販売できなかったようなものをネットを通じて販売することができる。消費者生産者がより近く結びついて、また消費者が希望する情報生産者が入手してそれに合わせて生産をするというようなこともより一層活発になってくると思います。  このような意味で、さらにいえば教育面でもこういったものが同じような効果が出てくると思うわけでございまして、幅広い通信放送融合状況日本構造変革をもたらすことになるだろう、このように考えておるところでございます。
  28. 内藤正光

    内藤正光君 よくわかりました。  テレビインターネット融合していって、すべての国民そして各層各界、いろいろな方々通信放送融合によって利益メリットを受けられるというふうに言えると思います。  そこで私は、本当にバラ色世界通信放送融合の先には待っているんだと思います。すべての国民利益を享受できる。しかし、率直にお尋ねしますが、技術的にいって、今本当にそれが可能だというふうに御認識をされていますでしょうか。
  29. 小坂憲次

    ○副大臣小坂憲次君) 日本は独特の方式等を開発しまして世界に先駆けてそのような環境の育成に努めているという状況でございますので、まだ発展過程というか過渡期であろう、このように認識をいたしております。
  30. 内藤正光

    内藤正光君 副大臣、何を私が言わんとしているかはもう既に御存じだというふうに理解しておりますが、御存じのように、昨年末にBSデジタルデータ放送開始をしたわけでございます。そして、早ければ、聞くところによればことし末ですか、東経百十度CSを使った、BSデジタルデータとは違うより本格的な高度なデータ放送開始をするというふうに決まっているというか、そういう予定だというふうに聞いております。  ところが、このデータ放送を提供するには、当然のことながらプログラム言語が必要なわけです。BSデジタルデータ放送もそうだし、またこれから始まろうとしているCSデジタルデータ放送もそうなんですが、BMLブロードキャスティング・マークアップ・ランゲージという言語を使っているわけです。一方、今インターネット世界では常識として使われている言語は何なのかといったらHTMLなわけです。放送業界ではBMLインターネット業界ではHTML、これらは全く互換性がないわけですね。そうなりますと、確かにこの今回の法案の目指すところは通信放送融合、これ、だれが反対するものでもない、すべての人がメリットを享受できるものなんですから。ところが、実際はどうかといえば規格が違うわけなんですね。言語のところが違うわけです。互換性がない。  また、ある雑誌日経エレクトロニクスをちょっと見てみますと、九九年、古い話なんですが、この雑誌いわく、郵政省も当初HTMLというものを強く導入すべきだと、このデータ放送のところで、というふうに主張されていたと書いてあるんですが、一体どういう経過で、どういう経緯で最終的に、HTMLという言語、今コンピューターの世界では常識となっているその言語、それと全く互換性がないBMLというものに落ちついたんでしょうか。納得のできる御説明をお願いします。
  31. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 平成十一年の七月でございますけれども、当時の郵政省電気通信技術審議会におきまして、どういう方式にしようかということで三つ方式に候補を絞りました。先生承知のMHEG、HTML、それからXML、この三つでございます。  将来のインターネットを含めた放送以外のメディアとの整合性ですとか将来性などを考慮しまして、XML方式が望ましいという電気通信技術審議会の結論が七月に得られまして、それで、このXMLをベースにしました、これを基本にしまして、詳細については民間標準化機関においてフレキシブルに標準化されるのが望ましいと、こういう方針がこの技術審議会から出されまして、その方針を受けまして、民間標準化団体であります社団法人電波産業会におきまして、放送事業者ですとかあるいは電気通信事業者ですとかあるいは受信機のメーカーですとかあるいはインターネット関連企業などが参加をしまして、この方式を十月に策定をしたという経緯でございます。
  32. 内藤正光

    内藤正光君 将来性を考慮してXMLという方式を選んだと。BMLというのはXMLに準拠した言語だということだと思います。  ところが、今回の一件に関して余り新聞だとか何か記事が載っていないわけなんです。そのことについても後から御議論させていただきたいと思うんですが、そんな数少ない記事のうちの一つに朝日新聞が私の手元にあるわけなんですが、いろいろ書いてあるわけです。  どういうふうに書いてあるかというと、HTML互換性の低いBML、今回放送業界で採用が決まった言語BML世界でもほとんど採用されていないと。じゃ、これは何でそんなことになったのかというと、この新聞に書いてあることですよ、インターネット業界の進出を許さない、許そうとしない放送業界縄張り意識のあらわれじゃないのか。つまり、規格を変えて、インターネット業界に入られたら困るから、入れないようにちょっとこちらだけで通用する決まりをつくっちゃおうと、それが言語という形にあらわれたと。  また、なおもこの記事の中のインタビュー記事として載っているわけなんですが、BS局で働く技術者の弁としてこういうことが言われているんです。この時代に放送通信を分けたことはもう命取りだと、テレビ業界免許事業という護送船団方式に守られ、インターネットという黒船に危機感が薄いんじゃないのか、こんなことまで言っているわけでございます。  そこで、今度は政府参考人ではなくて、大臣あるいは副大臣にお尋ねしたいと思うんですが、データ放送記述言語を、HTMLはもう世界の人が使っているわけです。副大臣が先ほど述べられた将来ビジョンとか大臣が述べられた将来ビジョンというのは、今インターネットを使っている人たちが自由に参加できるというそれが前提になっていると思うんです。ところが、それが現時点ではできないんです、言語が違うから。そういうHTML互換性のないBMLブロードキャスティング・マークアップ・ランゲージ、こういったものを採用したままで、本当の意味での通信放送融合というのは実現できるとお考えでしょうか。
  33. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 今、内藤委員のお話で、私はざっとした話は聞いておりましたが正確に私の中で理解していなかったもので、状況はよくわかりました。そういう事情なら、なかなか放送通信融合といっても難しい点があるのかなと、こう思いますけれども、今後、中でも技術的なことは局長が中心にいろいろ今までも検討し議論してまいっておりますから、そういうことを踏まえて、やはりその恩恵を受けるように、しかも放送のデジタル化をやりまして、急いでやろうということでこの委員会でも相当議論をいただいておりますから、そういう状況の推移を踏まえて前進させていきたいと、こういうふうに思っております。
  34. 内藤正光

    内藤正光君 本当にもう大臣からそういうふうに前向きな答弁をいただいたら、ここで質問を打ち切ってもいいですが、ちょっと時間もまだありますので、若干これに関連して、補足的な質問をさせていただきたいんです。  恐らく、郵政省さんも最初は、通信放送融合という観点からいって、やはり互換性のある言語を使わなきゃいけないという、そういう問題意識は私、重々持たれていたというふうに理解しています。しかし、最終的には、いろいろな業界の、まあ言ってみればエゴというか、いろいろなものが出てばらばらになって、全くとんちんかんなものになってしまったと。  大臣は、今回の法案を出されることで、これからもっと本当に日本通信放送融合をどんどん進めていかなきゃいけない、その気持ちで出されたかと思うんです。ところが、現実はそうだということをまず御理解いただきたい。  そして、恐らく、いや将来的には、このコンピューターで使われているHTMLという言語もXHTMLというものに変わっていくと。XHTMLというのは、先ほど申し上げたXMLというものに準拠しています。BMLという言葉XMLというものに、文法言語というんですか、それに準拠しています。だから、ちょっと難しいんですが、それはそれで、そうなれば互換性がとれるようになるというふうに言われているんですが、見通しが立つのに、いろいろな研究者の方に聞いてみました。確かにXHTMLというものはあるんですが、XHTMLというものと実際今使われているHTMLというのも、これまた互換性がないんです。ここからXHTMLに乗りかえるのにコンテンツを変えなきゃいけないんです。  だから、コンテンツプロバイダーが本当に簡単にコンテンツを、内容を変えてくれるかというと、そうはいかない。だから、入れかわるのにこれまた時間がかかるんです。楽観的に見ても数年かかるという。三年、四年、五年かかると言っているんです。でも、前々から私は申し上げているように、この世界はもう日進月歩ならぬ秒進分歩の世界、本当にもう一日ともむだにできないような、そんな勢いでどんどんすべてが進んでいく世界なんです、このITというのは。  ですから、ほかの人たちが言うように、いや今鋭意開発していますとか、いやもうすぐ、大丈夫ですよと言っても、このもうすぐというのが二年、三年であったらもうこれ致命的だと思うんです。ですから、本当に可及的速やかに、早急にこの通信放送融合というものを現実のものとすべく取り組んでいっていただかなければならないかと思います。  では改めて、同じ質問ではございますが、私は国益的な観点からも、このことを再度見直すべきだと思いますが、通信放送融合を妨げるこの現状を抜本的に見直すべきだと考えますが。  もっと言います。ことし末にはCSによるデジタルデータ放送が始まります。そしてそれを踏まえて、その後には地上波のデジタルデータ放送が始まります。これも、聞くところによればBMLという、インターネットとは全く互換性のない言語が採用されるというふうに聞いております。こんなことになったら、私はとんでもないことになってしまうと。日本はもう大きく世界からおくれをとってしまうことになってしまうというふうに私は確信します。  そういった意味からも、私は国益的観点から、早急に今のあり方を見直すべきだと考えますが、副大臣答弁を求めます。
  35. 小坂憲次

    ○副大臣小坂憲次君) 内藤委員は大変お詳しいわけでございまして、内容もおっしゃるとおりでございます。  実は私も、この問題につきましては大分前に非常に詳細に調べたことがございまして、今おっしゃったハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージという、インターネットで使われております今のベーシックな方式でございますけれども、これをエクステンシブ、それを先に延ばした形のマークアップランゲージがXMLと言われるわけでございますし、その線上にXHTMLという形のものがあるわけでございます。  BMLというのは、そのXMLをブロードキャスティングバージョンという形でモディファイしたもの、部分変更したものなんですね。そのヘッダーの部分にどういう信号を持ってくるかという、そのパリティーの部分とかそういったものがどういう規格でなされるかという部分でございますが、この部分の違いはソフトでこれを補完する、変換することもできるし、また放送に変換することを受信機の中でこれを操作することもできるというようなことを技術者の方からは聞いておりまして、したがって致命的な違いにはならないんだ、こういうことを言っているんですね。  それで、私も若干の疑問はまだ残っておりまして、継続的にずっと実は内部でも議論をしている分野の一つでございます。委員からの御指摘もありまして、今後どうなっていくのか、本当にこれが阻害要因になり得るのかどうかという点については、NHKの放送技術者等とも議論を重ねてきておりますし、また省内の担当部署とも議論を続けておりますので、その中から何とか具体的な結論を導き出して委員にお答えを申し上げたいと思います。  現状においては、私は説得されておりまして、説得されたというか、納得はしておりませんが、説明を受けておりますのは、BMLXMLをベースとして変換をした方式であるから、これは受信機の中で変換ができるし、また今後の受信機は、放送波の中にソフトの変更を指示するようなプログラムを埋め込むことによって受信機自体の機能をバージョンアップすることが、放送の提供によって、要するに自己増殖じゃないですけれども、放送電波を受信しながら自分のプログラムを変えて受信機の性能をグレードアップしていくという機能が盛り込まれてくる形になってまいりますので問題はないんだ、こういうようなことを聞いておるわけでございます。もう既に売り出されている受信機にはそういう機能を将来的に盛り込める形をとっているので、そういう問題は心配ない、こう言われております。  さらに、委員の御指摘を踏まえて検討を進めて解答を導いてまいりたい、将来禍根のないような方式にしてまいりたいと、このように考えております。
  36. 内藤正光

    内藤正光君 一言つけ加えさせていただきますと、私もいろんな技術者に聞いたんです。確かに、テレビに付加装置をつければ両方見られるようになるんです。ただ、それは形は一体のように見えても実は別々の機能が二つ備わっているだけで、本当の意味での番組インターネット融合させたような新たなメディアだとかそういったものはそれではできない、やはり言語、基盤が同じであって初めてそれが可能なんだということをおっしゃっていました。  ですから、本当に技術の問題というのは、私も技術系でありながら、もうその世界から十年離れるとさっぱりわからなくなってしまって、大変難しい問題ではあるかと思いますが、これは単に一技術の問題じゃないんです。日本、この国がこれから大きく羽ばたくことができるか、あるいは沈んでしまうかという、それぐらいのことを左右する大きな問題でもございますので、この問題、ぜひ大臣、副大臣、全力を注いで、もう一度見直すべきところは見直すと。  それで、十分今のままで対応が可能だという判断をされれば、私はそれでいいと思いますが、見直さなきゃとんでもないことになってしまう、将来に禍根を残してしまうというふうに思われたならば、ちゅうちょすることなく私は早急に手だてを講じていただきたいと思います。大臣にその意気込みを一言語っていただいて、私の質問を終えさせていただきます。
  37. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 恐縮ですが、ちょっと先生に事実関係で誤解があるのではないかと思うんですが、現在の通信放送融合考えるか、近い将来の通信放送融合考えるかという議論とも関係するんじゃないかと思います。  BMLというものを採用したのは、何も何かどこかの業者の囲い込みとかそういうものを考えたわけでは、当然、私どもございませんで、近い将来、これがこちらの方に言語が移行していくということが見えている、それならば放送というものは一度普及をさせてしまいますとなかなか変更というのができません。デジタル化するにもあれだけの時間がかかる。いろんな面で定着をさせるのに時間がかかりますから、そういう面で近い将来そちらの方向が見えているのであれば、やはりそちらを採用した方が将来の通信放送融合にとって有益ではないかという判断が、恐らく電気通信技術審議会の御答申の中には反映をしているんだろうというふうに私ども思っております。  大変恐縮でございますが、事実関係で、私も技術のことは素人でございますけれども、きょうの日経産業新聞XMLにつきまして、NTTコムがいろいろな事業を始めたということで、五年かかるかという先生御指摘ございましたけれども、既にXMLを使った事業というものが出てきているということは、この新聞にも出ておりますので、指摘させていただききたいというふうに思います。
  38. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 我が小泉内閣は、聖域なき構造改革ですから、見直すべき必要があるものはすべて見直しますけれども、今までの経緯や今の局長のような見解もありますし、私自身がもう少し勉強しましてしかるべき方向づけをしたいと思いますので、委員のお話はしっかりと受けとめさせていただきます。
  39. 内藤正光

    内藤正光君 以上です。
  40. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  本題に入る前に小坂大臣に、この後審議が予定されている電波法についてお伺いをしたい。  我が党は、内閣提出電波法改正案の衆議院での審議を受けて、去る五月十六日に関係諸団体との懇談を行いました。ここには労組、市民団体と並んで民放連、フジテレビの代表の方も参加をされました。  民間放送事業者とひざを突き合わせて話をするというのはこれまでなかったことでありまして、もちろんすべての点で意見が一致するというようなことはないわけですけれども、お互いそれをわきまえた上で有意義な意見交換ができたというふうに思っております。  そこで、民放連の方は、十年間でのデジタルへの切りかえ完了を合意したという衆議院での総務答弁について、うそではないが法案に打ち切り期限まで書き込まれることは知らなかった、あれを役所の立場からとらえるとああいうことなのかなという言い方でありました。同時に、二〇〇八年が放送事業者の免許の切りかえの年になるということを言われて、この二〇〇八年時点での状況次第では国会からの何らかの動き、あるいは視聴者の側からの何らかの動きがあってしかるべきだとのお考えでありました。  これは、我が党が衆議院に提出した修正案の内容、一年前に見直すという内容と重なり合うもので、我が党の立場が現実的なものだという自信を深めさせていただいたところです。ところが、残念なことに衆議院では修正案、与党三党が反対ということで否決をされました。  そこで、政府に確認させていただきたい。政府も同様の立場ということですか。それから、反対であれば、その理由は何ですか。
  41. 小坂憲次

    ○副大臣小坂憲次君) 民放連の会員の方との懇談を持たれたというお話でございますが、私ども、意見を集約していただく形で民放連の代表の方とお話をしてくるわけでございまして、その民放連の中にどのような意見があったかは私どももわかりませんが、代表の方が民放連の意見として述べられた方向は申し上げたような方向でございます。  また、衆議院におきます採決におきまして、与党三党が修正案に反対したためにという御指摘でございましたが、私の記憶では、与党三党に加えまして民主党それから社民党、自由党の皆さんも、言ってみれば共産党以外の皆様は全部反対をされたかと思うわけでございます。  そういう中で、私どもはどうであったかということでございますが、私どもはその衆議院における審議の中で委員の皆様の採決によって決まったことということで、それを受けとめさせていただいたところでございます。
  42. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 この法案は追って審議することになりますので、またその場でやらせていただきたいと思います。  本題に入りたい。  近年、通信放送融合ということがしきりに言われております。実際に、伝送路の融合あるいは事業体の融合ということは時代の趨勢として着々と進んでおります。そのことは客観的な事実でありますし、それに応じた制度の整備、これが必要になるということももちろん我が党は否定いたしません。  しかし、出されている法案は、余りにも小手先の対応になっているのではないかというのが私の率直な感想なんです。通信放送融合するという議論をするのであれば、放送の規律をこれからどうしていくのか、通信の秘密はどう扱うのか、こういう大問題を避けて通れないわけです。また、昨年のIT基本法の審議でも私は主張しましたけれども、電気通信の分野の新しい技術を民主主義の発展に役立てるという視点での腰を据えた取り組みが求められていると思います。  そこで、まずテレビ放送の現状について確認をしておきたい。デジタル、アナログ込みですけれども、地上放送、CATV、BS放送、それからCS放送の視聴者人口をどう把握しているか、直近の数字で御答弁ください。
  43. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 地上放送平成十二年三月末で約四千七百万世帯でございます。それからCATVでございますが、これは同じく十二年の三月末で九百四十七万世帯でございます。またBS放送は、これは平成十三年の四月末ですが、一千六十七万加入でございます。それから、CS放送の場合は平成十三年四月末で二百六十六・一万加入でございます。
  44. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 地上放送は、これは基幹放送としてほぼ全世帯に普及しているということだと思います。そして、ケーブルとBS放送がそれぞれ約一千万世帯と、それに準ずる地位を占めつつあります。しかし、CS放送は二百七十万、これは全体の数字なので、個々の事業者が獲得している視聴世帯はさらに小さな数字になると思うんですね。  それで、これも情報通信政策局にお伺いしますが、CATV、BSCSについて、普及の見通しですけれども、どうなっておりますか。
  45. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) BS放送につきましては、先生承知のとおり、特にBSデジタル放送でございますけれども、放送開始後一千日経過日における一千万世帯というものを目標にして今現在普及に努めているわけでございますが、本年四月でCATV経由の受信者も含めまして約百八十万世帯に普及をしております。また、最近の民間の需要動向調査等によりましてもBSデジタル放送の認知度というのは約九割前後に上っておりまして、二〇〇三年までの新たな潜在需要層は一千六十一万世帯という調査結果もあるところでございます。  それから、CS放送でございますが、CSデジタル放送につきましては、これも先生承知のとおり、ずっと伸びてきておりますが、ここ二、三年は年率十数%の伸びが予想されるというふうに。  それから、CATVでございますが、CATVは、ここ数年やはり平均十数%の伸びを示しておりますので、そのような傾向が続くんじゃないかなというふうに思っております。
  46. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 いや、CATVが十数%で、CS放送はどう見込まれていますか。
  47. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) CATVもそれからCSデジタル放送も十数%年率伸びていくという予測をしております。
  48. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そうですか。現時点で恐らくCSのチャンネル数、総務省がお持ちの目標に達していないと思いますけれども、それは事実ですね。
  49. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 目標というのは、会社の目標ということでございましょうか。
  50. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 いや、私がお伺いしたところでは二百十でしたか、目標に対して百九十ぐらいの数が出されたと思いますけれども。
  51. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 済みません、加入者ではなくて事業者の数でございますか。  それは、おっしゃるとおり二百十を目標にしておりますけれども、百八十八というのが現在の数字でございます。
  52. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 今回の法案は、このCS事業をとにかく何とかしよう、さらに前進させようということで出されているというふうにお伺いしているんですけれども、まず端的にお伺いします。今回の法律電気通信役務利用放送という制度をつくればCS放送の問題は解決するのか、これはどのようにお考えになっているか、いかがですか。
  53. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) CS放送につきましては、先生承知のとおり、平成八年から開始されたものでございまして、まだ五年を迎えたところということで、産業としてはまだ創成期にあるのかなというふうに思っております。  ただ、業界全体といいますか、その事業者全体の、まだまだ赤字の多いところが多いわけでございますけれども、収支率というのは、トータルで全社でやりますと収支率というのは毎年毎年上がってきているということでございます。これは、CATVも創成期のころは同じような状況にあったということでございます。恐らく、CS放送の場合には専門的な放送あるいは有料放送である、あるいは多チャンネルであるというそういう新しいメディアでございますので、そのメディアあり方そのものがまだ国民全体に、全般に浸透し切れていないのかなというふうに思っておりますけれども、今後本当に視聴したい放送には料金を払うというスタイルが浸透すれば普及もしていくというふうに思っております。  なお、今回のこの制度、お願いしております本制度でございますが、これは御承知のとおり中継器を衛星通信事業者が効率的に使用できる、柔軟に利用できるということになりますので、中継器使用料の低廉化ということも図られますので、CS放送事業者の経営に好影響を与え、ひいては有料の料金というものもいい方向に向かうのではないかなというふうに考えているところでございます。
  54. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 多チャンネルというのがCSの値打ちといいますか、武器だと今おっしゃいましたね。  それで、一つお伺いしたいのは、この多チャンネルというメリットをどう視聴者の立場に立って生かすか、私は視聴者の立場に立って多チャンネルという魅力をいかに生かしていくのかということを考えなければならないと思うんですよ。小手先の規制緩和で事業者を入りやすくすれば番組の種類もふえるだろうという議論ではなくて、まず視聴者がCS放送に何を求めているか、これをきちっとつかむという点で、総務省、旧郵政省は視聴者や国民の声を調査したことがあるか、検討したことがあるか、いかがですか。
  55. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 結論から申し上げますと、私ども旧郵政省なりあるいは今の総務省なりが行政としてそういうCS放送国民、視聴者が何を求めているかということを調査したことはございません。  ただ、この有料放送で多チャンネルであるということ、あるいはその番組、いろいろな番組が出てまいりますけれども、視聴者の意向あるいは好みというものが有料放送でございますのでダイレクトに反映されるということから、このCS放送事業者方々が視聴者の多種多様なニーズというものにこたえるためにいろんな視聴者の意向を調査しているというふうには聞いております。
  56. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 まずそこから、そういう視聴者の放送に求めるものをしっかりつかんで放送行政に当たるということがなければならないと思うんですね。  九六年に多チャンネル懇というものがやられております。これは報告書ですけれども、アメリカではCATV事業者番組編集権を持たず、公衆が利用できるパブリックアクセスチャンネル、これを一定量確保することが制度化されているということを紹介しながら、多チャンネル時代においては、一定のチャンネルを視聴者が自由に利用できる形態、これの導入を検討する必要があると、視聴者の放送への積極的参加ということを提案しております。  この多チャンネル懇から五年間、このような視聴者参加の方向について検討を行いましたか、いかがですか。
  57. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 実態から申し上げますと、先生承知のとおり、BSCS放送デジタル放送の機能を生かして通信回線を利用して双方向の視聴者参加番組というものが放送されるようになってきております。これは視聴者の参加ということであると思いますが、こういった方向というのは、デジタル化、多チャンネル化で一層促進されていくんじゃないかなと、増加していくというふうに私ども期待をしているところでございます。
  58. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 視聴者参加番組というのは、それは今でも山のようにありますけれども、ここで言っているのは、パブリックアクセスチャンネルということが議論されている、そして視聴者が自由に利用できる形態で使えるようにしようという議論がされているんですね。視聴者参加番組というのは今でも幾らでも地上波でもやっているじゃないですか。そういうことじゃないんですよ。  それで、この報告書は、障害者向け放送の充実とか外国語放送の充実、高齢者向け専門放送の導入、それぞれ一節ずつを割いて提起しております。多チャンネルという新しい条件をどう生かしていくかという問題を検討した懇談会がこの多チャンネル懇ですから、まさにチャンネル数二百というCS放送こそこういう議論を最も生かすべき分野だというふうに思うんですけれども、今申し上げた三点、障害者向け、外国語放送、高齢者向け専門放送等々、これはどのような検討を行いましたか。
  59. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 障害者向けの放送の充実につきましては、もうこれは先生承知のとおり、平成九年度に放送法を改正しまして、字幕放送等の免許を不要とする、それから字幕放送等の努力義務化を行いました。それから、行政上の目標としましては、平成九年にこの字幕放送の普及目標というものを策定、公表したところでございます。  それから、外国語放送の充実でございますが、これにつきましては、この懇談会以降にも外国語放送をやるFM放送局の四局目の名古屋が開局をしているということでございます。それから、CSの多チャンネルデジタル放送を通じまして、五カ国語九チャンネルの外国語放送が実施をされているということでございます。  それから、高齢者向けの専門放送の導入、これは結論から申しますと今はございません。ただ私ども、高齢化を迎えるに当たりまして、放送のデジタル化によっていろいろ高齢者の方がサービスを受けやすい、そういう技術の開発というのを私どもは行っているところでございます。
  60. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 字幕放送というのも繰り返し取り上げてきましたけれども、やっぱり事業者の方でまだまだおぼつかないという現状が残されているわけです。  それで、チャンネル数がふえるということは、国民がさまざまな形で放送参加する可能性がふえるということであります。また、視聴者の放送への主体的、積極的な参加というこの方向こそ私は、伸び悩むといいますか、なかなかうまくいっていないCS放送国民生活にしっかり根差して発展していく道だということを言いたいんですね。インターネットのこれだけ急速な普及と発展も、ネットワークへの参加者が主体的、積極的に参加できるようになって初めてぐんと伸びたわけですね。だから、こういう発想がなければ、いろいろ規制を緩和して、とにかく入ってくるものを広げれば二百全部埋まるのではないかということではなくて、というふうに考えても、やっぱり二百のチャンネルをもてあますということになるのではないかと。冒頭に小細工という言葉を使わせていただきましたけれども、やはり今回のような法律では本当にこの問題の抜本的な改善にならないということを私はまず御指摘申し上げたいというふうに思っております。  次に、法案に関連して一つ確認しておきたいと思います。  今回の法案では、九九年のケーブルテレビに続いてCS放送についても外資規制撤廃するということになっております。政府も、放送外資規制をすべて取っ払っていいというふうには考えていないと思います。  まず、確認させていただきますけれども、地上波テレビなど基幹放送外資規制撤廃考えておりませんね。
  61. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 基幹放送である地上放送外資規制撤廃考えておりません。
  62. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 当然の答弁だと思います。  同時に、先ほどBS放送も既に一千万世帯、こういう答弁がございました。基幹放送並みにといいますか、準基幹放送と言っていいような位置にあると思うんですね。このBSテレビについても外資規制撤廃考えておりませんね。
  63. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 考えておりません。
  64. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 なぜここにこだわるかといいますと、年内にも東経百十度のCS放送開始が予定されております。今後、東経百十度CSの運用、放送が始まれば、このCS百十度とBSは同じ受像機で受信できるようになる、そしてCSBSの区別は余り意味がなくなる可能性がございます。今回の法のスキームを東経百十度CSに適用すれば、つまりBS放送外資規制撤廃するのと同じ意味を持ちかねないという問題があります。  これは明確に確認をしておきたいんですが、東経百十度CS放送には今回の法律は適用いたしませんね。
  65. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 昨年、平成十二年に認定しました東経百十度のこのCSデジタル放送について本法を適用する考えは持っておりません。
  66. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 次に、放送行政の問題について少し大臣と議論をしたいと思います。  放送という概念が大きく変わるような状況も生まれている現在、本当に視聴者のために役立つような制度を設計しようと思えば、それを企画する行政機関のありようも当然問われてくることになります。内閣の一員である大臣が周波数の管理もやる、放送事業者の規律も所管する、こういう国はサミットの参加国の中で日本以外にないと私は思うんですが、いかがですか、大臣
  67. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これは、この委員会でも何度も御質問いただいたような気がしますし、他の委員会、予算委員会衆議院等でも御質問いただきましたが、例えば今言われた放送通信制度もその国の事情を背景にできているわけでありまして、アメリカのFCCのことをよく言われるんですけれども、これは合議制の執行機関ですけれども、やっていることは一緒なんですよ、我々の方と。企画立案も規制、監督も後の紛争処理もやっているんですよ。ただ、合議制執行機関です、大統領制だから。アメリカという国は合議制執行機関が好きな国で、日本にも相当持ち込みましたけれども、今残っているのは少のうございますが。  そこで、我々はやっぱり合議制の執行機関よりも独任制の方でしっかりと国会に責任を持つ、機動性もあると、こういうことで、いろんな議論があって、中央省庁再編のときに、もう御承知だと思いますけれども、総務省の中で、こういう形になったわけでありますが、この中で紛争処理についてだけは、これは電気通信事業紛争処理委員会というのをつくらせていただいて、今衆議院で審議いたしておりますけれども、そのうちこちらへ参ると思いますが、その中で国会承認の委員さんによって紛争処理をしっかり適切に対応していただく、こういうことにいたしておりますので、そこのところはぜひ御理解をいただきたいと思います。  また、公取と一緒のことがよく言われるんですが、公取はこれは独立の機関なんですよね、御承知のように、三条機関で。ただ、総務大臣の所轄に入っていると、こういう意味でうちの範囲に、総務省の範囲にはおりますけれども、仕事そのものはもう御承知のように準司法的な機能が中心でございまして、ほぼ独立でやっておりまして、この間、本会議で小泉総理が答弁したように、機能や事業の展開は今のままで構わないけれども、特に問題ないと思うけれども、将来への検討課題として所属をどうするか、所轄をどうするかは検討課題の一つであると、こういう答弁をされておりますので、念のために申し添えます。
  68. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 FCCが強力な権限を持っているというのはそのとおりなんですよ。ただ、私が指摘しているのは、それをその行政府、政府の中に、大臣に持たせているというのは、アメリカはそうなっていないわけですよ、これは。議会に対して責任を負うという形になっていて、やっぱり政府から独立しているわけですね。そういうふうになっているのは、政府がこの二つのことをどちらの権限も持ってやっているというのが日本ぐらいで、おかしいのではないかと。  というのは、これまでやっぱり旧郵政省が無線局免許を人質にして放送行政を牛耳ってきたと、だから日本では言論機関の中でも放送局は特に政府寄りなのではないかと、そういう議論が随分やられてまいりました。これが鳴り物入りの行革で、また省庁再編でどうなるのかと各方面の注目を集めました。  九七年の九月に行政改革会議が出した中間報告では、通信放送委員会の構想が掲げられて、この分離を図るということで、国家行政組織法三条に基づく独立行政委員会というふうに通信放送委員会位置づけられておりました。ところが、わずか三カ月たった最終報告ではそれは覆りまして、今日こういう形になったわけですね。今日こういう形になったその理由、それをひとつ大臣お答えいただけますか。
  69. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 九七年九月の行政改革会議が出した中間報告はあの時点の議論でありまして、その中間報告が出た後、さらにこの議論を深めて、やっぱり外局ではなくて内局の方がいいなと、こういう結論になったと私は漏れ聞いております。  それは、機構のあり方も大切ですよ。だが、私はこれは今、日本しか例がないと言うが、ドイツもそうですから、EUをお調べになっていただきたいと思います。ある省の内局で全部やっている、あるいは外局でやっている、いろんな型がありますけれども、一つの省で今、委員が言われたような機能を営んでいる例はいっぱいEUにはありますから。アメリカはそれをFCCがやっていると、こういうことですね。私どもの方は、それを合議制でなくて独任制の議院内閣制の大臣としてやっていると、こういうことでございます。  私は、それぞれの今言われた機能がちゃんと本来の効用を発揮して適切に運用されておればいいと思うので、それは機構と不可分ですよ、不可分ですけれども、機構がこうでなきゃいかぬということはないので、何度も言いますけれども、その国の事情や経緯国民性その他があるものですから、私は、今こういう形で総務省が担当させていただいておりますけれども、ぜひ国民のために適切に運用して期待にこたえたいと、こう思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  70. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ちょっと事務方でもいいんですけれども、一応正確を期すために、EUで国名を挙げてください、日本と同じ制度をとっているところを。おりますか、事務方。言えますか。
  71. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 先生の御指摘は、周波数管理とそれから放送の規律と両方を一緒の省でやっているものがあるかどうかということで、EUの、そういうお尋ね……
  72. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 免許制度ですよ、免許。
  73. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 免許とそれから要するに放送の規律ですね。  EUの関係ではございません。
  74. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 済みません。今の、周波数免許と放送規律と、こう言われたので。  私が言ったのは、済みません、情報通信に関する企画立案と規制、監督と紛争処理、この三つのことを念頭に置いておりましたので、衆議院の方の電気通信事業法とのちょっと混同がありますので。  今言ったものは、ドイツは連邦政府が周波数の管理免許で、州メディア庁が放送技術を担当しておりますので、そこは訂正させていただきます。
  75. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 仕組みの問題ではないんだ、中身が大事だというふうにおっしゃいましたけれども。つまり、これはもう御承知のように、放送というものは言論機関であって、その独立性が最大限重視されなければならないと。これはもう世界常識でもあり、歴史の教訓でもあるわけですね。  大臣、その精神はもちろん踏まえていただいていると思うんですが、独立は尊重されなければならないと。よろしいですね。
  76. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 宮本委員にも何度もお答えしているような気がしますが、憲法で表現の自由が保障されており、放送法では放送番組編集の自由をはっきりと規定しておりまして、私は、何度も言いますように、自律でやっていただくことが基本であると。ただ、その自律で効果がないという意見が確かにあることは、これもよく耳にいたしておりますので、さらに関係の方にそういう意味での自律、自粛を求めたい、こういうふうに思っております。
  77. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そこで大臣にお伺いしたいんです。  報道によると、自民党は報道モニター制度というものを設けておられると聞いております。四月七日の朝日などによりますと、四月六日に自民党はテレビの政治報道の公正さを監視するために報道番組検証委員会を設置したと。あるいは、ことし二月には放送活性化検討委員会が発足したと。そして、そこでは報道内容について民放連などを呼んで議論をして、中には五つの民放キー局のうち一つなくなってもどうということはないという声まで出たとこの記事には書いてありますし、またある有力な自民党の幹部は、放送法を改正すべきだ、放送免許の与えっ放しはおかしい、そういう声も出されたと。  これは報道機関に対する圧力になるんじゃないですか。いかがですか、大臣
  78. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) これは私がお答えする立場にもあれもないと思います。自民党の方で、私も詳しいことは全く聞いておりませんし、お答えする立場にないと。差し控えさせていただきます。
  79. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 では、もう一つ事実を挙げましょう。  これは政策局でいいですけれども、放送技術について、BRO、BRCというものが設けられていると思いますが、これはどういう機関ですか。
  80. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) BRO、これは放送と人権等権利に関する委員会機構という名前でございますが、放送による人権等の権利の侵害に対する苦情を処理するために、平成九年にNHKと民放が共同でつくりました自主的な第三者機関でございます。  このBROの中に設けられておりますBRC、放送と人権等権利に関する委員会、ここが、視聴者から放送により権利を侵害されたという申し立てがあった場合には見解や勧告を出すということで行ってきている組織でございます。
  81. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ここにBROのホームページからとった第三十一回委員会議事録というのがあるんです。この中で、「自民党の「放送と人権等に関する検討会報告書」について」という記述があって、自民党の政調会から送られてきた報告書には、BROの実効性が大いに疑問だ、自主機関の実効性が上がらないのであれば法的根拠のある中立公正な第三者機関の設置云々と書かれていた旨、事務局から説明をされておりますと。  放送事業者が自主的に努力していることに文句をつけて、思うとおりにならなければ別の機関を設置してびしびしやるぞと言わんばかりの文書を送りつける。こういうやり方は政治的な圧力だと私は思うんですが、これは大臣でも小坂大臣でもいいですが、こういうことは適切なんですか、いかがですか。
  82. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 先ほども申し上げましたが、これは党のどなたがどういう形でそういうあれを出されたのか知りませんが、全く存じ上げておりませんし、お答えする立場にございませんので、よろしくお願いします。
  83. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 この事件というのは、実は所沢のダイオキシン問題の報道をめぐるものなんです、この圧力をかけた件というのは。この件で事業者に問題があったということは私も否定しませんけれども、かねてより自民党が目のかたきにしてきた番組に対してここぞとばかりに圧力をかける、そういうやり方は本当に危険だというふうに思っております。  自民党は、テレビ番組に対する監視を最近一段と強めて、みずからに不利な報道は許さないという態度を一層露骨にしております。しかし、政権党の目から見て問題ないという報道ばかりになったときには、それは報道そのものが完全に死んだときですよ。  それで、ここに「ドキュメント 放送戦後史」という本を持ってきましたけれども、この中にかつて占領軍のもとに設けられた電波監理委員会がわずか二年で廃止に追い込まれた経緯について総括したくだりがあるので、最後に紹介して終わりたいと思います。  電波三法は、放送行政上の広範な権限を、独立規整委員会としての電波監理委員会に与えることによって、放送の民主化と政府からの中立性を保障していた。が、その広範な権限がそっくり郵政大臣の手に移ったとき、放送行政は政府の恣意に左右されることになったのである。電波法・放送法電波監理委員会設置法の三位一体で支えられていた放送制度は、実質的に崩壊した。 今日の事態というのは、まさにここに言うとおりの郵政大臣の手に、総務大臣の手に移ったわけですよ。  放送法第三条の趣旨、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」、この規定をしっかり守り抜くということを厳しく要求して、私の質問を終わりたいと思います。
  84. 山本正和

    山本正和君 この法案が通った場合には規制緩和にかなりなるんだと、こういうふうなことが言われております。ところが、どうも私もいろいろ心配な部分がたくさんあるので、この法律が通ったことによって具体的に一体どこが緩和されるのか、それからまた一般国民視聴者にとってどんなメリットがあるのか、ちょっとそこをわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  85. 景山俊太郎

    大臣政務官景山俊太郎君) お答えをいたします。  本法によりまして、電気事業者通信事業者、例えばNTT東西、またはKDDI、それから日本テレコム、TTNet、こういう会社の電気設備、光ファイバーとか通信衛星とか、それから電話回線、こういうものを利用しまして放送を行う。この放送というのは、テレビとかラジオとかデータ放送、こういうものを行うようにするために、放送開始に当たりまして最初の投資が軽減されるという利点があります。  これは、例えば日本ケーブルテレビを例にとって言いますと、まず線を引くということがない、または道路の占用許可を得るというようなこともない、それから電信に線をひっかける、そういう工事もない、そういう点で非常に安くなる、こういう利点があると思います。  それから、登録制になりますので、一定の要件を満たせば放送事業者がこれに入ることができる。これまでは比較審査とか許可で行われたんですけれども、登録制になれば多数の事業者の参入が簡単になる、こういうことがございます。  それから、こうした多数の事業者が多様な放送を提供することによりまして、視聴者、国民にとって選択の幅が非常に拡大していくということが期待されるんじゃないかと思っております。  それで、電気通信設備を通信放送にこのように柔軟に利用することになりますと、期待をするところでありますけれども、今後の設備の運用が非常に効率化が図られたり低廉化をされて、ひいては有料放送の受信負担においても軽減されるということが期待されるんじゃないかと思っております。
  86. 山本正和

    山本正和君 これは放送法ですから、今の視聴者とそれから事業者の関連からいっても、不特定多数じゃなしに特定の視聴者と特定の業者との間の関連ですよね、一応感じとしては。したがって、放送の場合はそうじゃなしに広げてありますよね。それから通信の方は、一定のそれぞれの契約関係というか、があって初めて行われるから、通信放送は違うんだと、こういうふうに言われて、これは放送の部分だと、こういうことを言っておるんです。  ところが、実はどうも私は余り得手じゃないんだけれども、インターネットがどんどん普及していって、そしてパソコンもみんな持っておる。私はパソコンを使うのは碁を打つのに使うぐらいで余り使わぬけれども、そうしたら、携帯電話が今度はパソコンを代用するぐらいまで発展して、インターネットへ接続していくようになっている。  だから、今の話で、これは放送だと、こう言っているんだけれども、通信との混同も将来は行くんじゃないかと。だって、テレビを買ったときに、買ったというのは自分の行為だから不特定多数じゃないと、こういうふうに、携帯電話は自分が買ったんだからとなるんだけれども、実際はこれだけ自由化されて、電波があちこち飛び交うことになると、特定関係とか不特定とかいう垣根がなくなってしまう。そこから生まれる弊害がさまざまな意味での社会的混乱あるいは問題を出しはせぬかと。  何で一体裁判官の奥さんがおかしなものにひっかかったのかと。そうしたらメールだというんですよね。あれはしかしどうなんだと聞いたら、特定の関係だからと。ところがあれは実際は不特定なんですよ。不特定を探っているうちに裁判官の奥さんが捕まえられちゃった。だまされたのかだましたのかは知らぬけれども。  そういうことからいった場合に、私は、この種の問題をやっていくときに一番大事なことは、そういうことに対する配慮が十分なされるべきなんだろうと。要するに、電波公共性というけれども、逆に今度言えば、未成年の子供が、またお年寄りで孤立して住んでいる人たちがいる、いろんな影響が出てくるんですよね。これも今度緩和しますから、先ほどの話、視聴者は便利になって選べるというけれども、勧誘に来て、私ももうことし七十四になりますから、ぼつぼつぼけ老人の中にあと四、五年したら入るかもしれぬ、一人でぼさっとしているところへ勧誘が来ると弱いんですよ。そういうふうなことについては、一体こういう問題を議論するときに総務省としては議論されたのかどうか。社会的影響、今後こういう広げていく段階の、その辺についての見解を承りたいと思います。
  87. 小坂憲次

    ○副大臣小坂憲次君) 山本委員御指摘のように、コンピューターの発達とそして携帯電話の普及、またITと呼ばれる情報通信技術の進歩というものが、今御指摘になりましたように、今までどこに情報の場所があるかわからないとそこへ電話をかけて聞くこともできなかった。しかし、インターネットの画面で検索というものを使ってキーワードというものを入れるとそれに関する情報が芋づる式にずるずる出てくる、そういうような状況になって大変便利になりました。  しかし同時に、その陰の部分がクローズアップをされてまいりまして、今御指摘のように、従来ならば遭遇するようなことのない人々が、一つの出会い広場のようなそういったものが提供されて、見知らぬ者同士のコミュニケーションがそこで生まれてくる。相手の顔が見えない、相手の素性もわからないという中で、なぜか話だけが通じてしまうような奇妙な、従来ではなかったパターンのコミュニケーションが出てきた。そこにまた犯罪の影が潜んでいるということですね。  これは確かに注意をしなきゃいけないわけでございまして、こういった情報技術の進歩とともに、その情報を駆使して使う技術といいますか、能力といいますか、言ってみれば基本的に身につけていかなきゃいけない免疫性のようなもの、これを情報リテラシーというような言葉でよく表現をされているようでございますが、そういった情報リテラシーというものを身につけるようなことを喚起して、また教育をしていかなければならない。  そういう意味で、学校におきましてもインターネットを早期から利用していただいて、その陰の部分についての認識を深めるとか、あるいは私どももいろいろなパンフレットをつくりまして啓蒙いたしておりますが、放送事業者やあるいはそういったインターネットプロバイダーを通じて、そういった陰の部分についての注意を喚起するとともに、法制面でも、そういった部分にできる限り規制ではなくて健全な発展を進めるような枠組みというものをつくっていかなきゃいけない、このように認識をいたしているわけでございます。  御指摘の部分はメールと呼ばれるような部分にもあるかと思うんですが、もしその点につきましても何か御質問があればさらに詳しくお答えを申し上げたいと存じます。
  88. 山本正和

    山本正和君 もう時間がないので、これは仕方ないから要望だけにしておきます。  例えば、メールでも勝手に出した方が、どんどん出せる、こっち側は何も希望していないのに来たと。そうしたらその人は金を取られるんですよね、来たのに。そんなものはやっぱりおかしいので何とかいい方法はないかというので検討してほしいし、さらに今のお話で、これからこういうまさに情報化社会の中で、IT社会というか、こういう中でのそういう個人に対してどういう影響があるか、また未成年に対してどういう影響があるかを含めて、政府としてきちっとした研究機関というか、設けるべきだと私は思う。少なくともこれは総務省が提唱して、政府としてこういうことに対してどうしたらいいかということで研究機関ぐらい設けてほしいと、こう思うんですが、最後にそういうことについてのお考えを聞いて終わりたいと思います。
  89. 小坂憲次

    ○副大臣小坂憲次君) 今御指摘の、いわゆる迷惑メールと呼ばれるような部分でございます。  近時、テレビ等でも報道されまして、事件とともにこの迷惑メールの対策を要望する声が大変強いわけでございまして、私どもも通信事業者を呼びまして、NTTドコモを初めとする各社を呼びまして、迷惑メールを防止するための対策を早急にとるように要望いたしまして、特にこの中で、NTTドコモはメールのアドレスと呼ばれる部分にその携帯電話の番号を、数字の番号を使っております結果、コンピューターで順次番号を送り出しますとだれかに行き当たるということになります。  このような方法がやはり問題ではないかという御指摘もありますので、最初に携帯電話を買ったときにセットされるメールのアドレスを英数文字との組み合わせによるアドレスをコンピューターで割り振りまして、それを最初のアドレスにする。そうするとなかなか数字を組み合わせても行き当たらないわけですね。これを最初のアドレスにしまして、御利用者の希望によって、むしろ人に通知をするときに電話番号と同じ方が便利であるという場合にはそれに逆に切りかえることができる。このような発想を導入して、選択できるような方式を導入するとか、こういった方法で防止をいたしておりますし、また啓蒙するためのパンフレットを作成していただき、既に買った方がアドレスを変更する場合の変更方法についても周知を徹底する、このような対策をお願いしておるところでございまして、私どもそういった部門を管理する部門として、常にそういった世論に注目をしまして、研究をみずから進んで行いまして、そういう機関の設定を待たずとして、私どもの方でも十分に注視をして対策をとってまいりたいと存じます。     ─────────────
  90. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、世耕弘成君委員辞任され、その補欠として中島啓雄君が選任されました。     ─────────────
  91. 高橋令則

    高橋令則君 法案を拝見しまして、私は基本的に賛成なんですけれども、二、三質問をさせていただきたいと思います。  局長、大変申しわけないですけれども、ケーブルテレビにちょっと関心があるものですから、ちょっと離れる話かもしれませんが、事業者数は今どのぐらいありますか。もう一つは、その経常収支というんですか、赤、黒というのも変ですがね、その状況をちょっと言ってくれませんか。
  92. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) お答えいたします。  ちょっと御質問にないことからあれしますけれども、加入者世帯というのは毎年伸びてきておりまして、平成十年度の場合が七百九十四万、十一年度で九百四十七万になっておりますが、施設数とか事業者数というのは合併で減ってきております。施設数は十年度で千三十が十一年度で九百八十四、それから事業者数は十年度で七百三十八が六百八十六というふうになってきております。  それから、お尋ねの経営の状況でございますけれども、単黒の事業者というのが十一年度で百九十六、累積の事業者というのは七十五でございます。
  93. 高橋令則

    高橋令則君 古い話になるかもしれませんが、ケーブルテレビが私の地元でもできたときにいろいろ聞いてみますと、大変だという話を聞いているわけですよ。そして、条件が非常に厳しいわけですね、当時の郵政省のあれが。これは、なぜそうなっているかは私もお聞きしたんですけれども、それなりに納得はしたんですけれども、事業自体の経営は大変だということを聞いたわけであります。  今、経過をお聞きしましたけれども、そんなに好転していないのではないかなと思うものですから、一言申し上げたいのは、質問したいのは、この法律によって初期的投資というのが軽減されるわけですね、新しい事業者は。既存の事業者についてはそれはないわけですから、したがって今までの努力、それから変えてしまうということもあるかもしれませんが、いずれ、経過的な問題ではありますけれども、新しい事業者の立て分けと、それから既存の事業者関係については、これは新しいからいいんじゃないかというだけでは済まされないようなことがあるのかなということを私は心配しているわけですが、既存事業者の手当てというのは変ですけれども、調整的な考え方というのはないんですか。
  94. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 先生のお尋ねは、要するに、既存のCATV事業者がネットワークを張っているところに例えばNTTの回線を利用して本法でのCATV事業者が出てきた場合には、競争にならないのではないかというお尋ねだろうと思います。  私ども、確かに先生おっしゃるとおり、初期投資等が今回の場合にはかかりませんし、いろいろなメリットが新しい事業者に出てくるということは否定をしません。  ただ、どちらが得か損かというのは、これはサービスを行う電気通信事業者、NTTのサービスの何といいますかケーブルを使用する料金にもよりますし、それからどんな場所でサービスをするのか、あるいはケーブル事業者サービスの内容がどんなものであるのか、そういう地域ですとかサービスの内容ですとかいろんなものを含めて競争が成り立つのか成り立たないのかということであって、一概にどっちが損だとか得だということは私はないんだろうと思います。  また加えて申しますと、既存の事業者は、これも先生承知だろうと思いますけれども、インターネットの接続サービスなどもやって、ほかのサービスもやって、フルサービスといいますか、当該地域における総合的な情報通信基盤にだんだん成長しているところもございますし、そういったところと新たにCATVだけをやるのが参入するというのと、その辺でもちょっと既存の事業者の先行メリットというのはあるんじゃないかなというふうに思っております。  また、そういう競争ができた場合に、既存の事業者への補助というわけではありませんけれども、これも御承知だと思いますが、新世代の地域ケーブルテレビ事業ということで私どもは従来から補助事業をやっておりますので、そういう補助を受けた既存の事業者というのも多数ございます。  ですから、そういった競争、いろいろな条件があると思いますので、そういったことで、繰り返しになりますが、一概になかなかどちらが得とか損とかということは言えないのではないかというふうに思っております。
  95. 高橋令則

    高橋令則君 わかりました。民営になりますから、余り役所が手をつけてどうこうという調整をするのは私はできれば避けた方がいいと思うものですから。決して積極的にやってくださいという意味じゃありませんが、ただ経過があるものですから、それなりの、スムーズに新法がいけるようにした方がいいんじゃないかという気持ちであります。  それから一点、これも大変申しわけありませんが、宮本委員がおっしゃったんですけれども、外資規制の問題ですね。局長が言われたんですけれども、地上波放送BSについては、これは基幹放送であるからやりませんというふうにおっしゃったんですけれども、これを見たら、当面見送る方針という言い方があるんですね、このスクラップを見ていると。これは日経ですね。これは、当面見送るという言い方はどういうことなんでしょうね。
  96. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 私もその新聞がどう書いてあったか覚えておりませんが、私どもは、当面とかそういうことではなくて、基本的に基幹的な放送でありますし、自国の利益のために外資撤廃する気持ちは、当面ではなくて基本的に持っていないということでお答えをしたわけでございます。
  97. 高橋令則

    高橋令則君 大臣、今の件はそのとおりですか。当面とかあれでは大変な問題ですから。
  98. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 外資規制については、一部緩めましたけれども、CSだとか、それ以外に今のところ考えておりません。
  99. 高橋令則

    高橋令則君 この法案では直にはなりませんが、NHKの問題ですね。これは、今法律を改正しなければNHKは参入できないわけですけれども、それは全部わかっていますけれども、NHKはそれなりの検討をしているようですし、また総務省も検討しているようです。この先のことですね。  そういう意味で、今後の、将来のCSを活用したデータ放送の参入についてはやっぱり検討してもいいんじゃないかという議論もあるようですので、その方向についてはどうでしょうか、大臣
  100. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) NTTさんと並んでNHKさんの今後というのは大変大きな重い課題でございまして、いずれにせよ放送のデジタル化には一役も二役も買っていただかなきゃいかぬと思いますし、今まで公共放送民間放送の二元体制が私は大変うまくいったと思いますね。  これからのデジタル時代になるときに、何をNHKに期待してどういう役割を担っていただくか、それは総合的に考える必要がございますので、今私どもの方で放送政策研究会というのをつくりまして議論いたしてもらっておりますが、NHKさん自身の御意向もお考えもあるでしょうから、その辺とも調整しながら、いずれにせよそう遠くない時期に方向づけをいたしたい、こう思っておりますので、また御指導をよろしくお願いいたしたいと思います。
  101. 高橋令則

    高橋令則君 終わります。
  102. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  103. 富樫練三

    富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  私は、日本共産党を代表して、内閣提出電気通信役務利用放送法案に対して反対の討論を行います。  近年の技術革新の進展によって、多様な形態によるテレビジョン放送国民が享受するようになっております。これによる飛躍的なチャンネル数の増加をどのようにして民主主義の発展や放送文化の向上に役立てるのか、このことが放送行政に問われております。そのためには、インフラの整備や運用だけではなく、放送する番組の内容をどのようにして豊かで国民の願いに沿うものにしていくか、この点が重要であります。  アメリカでは、独立した番組制作会社を育成するために、放送局との競争から保護するための規制が行われております。この政策によって、番組制作会社は再放送やビデオの販売を通じてもその制作費を回収できるようになっておりまして、良質のテレビ番組の供給に役立っていると言われております。このような腰を据えた放送行政、これは、アメリカがFCCという行政から独立した専門性の高い独立行政機関を持っているからこそできたわけであります。  我が国においても、情報通信をめぐる環境の変化に対応し、真に国民の期待にこたえられる放送行政はどのようなものか、そして、それを担い得る機関はどうあるべきか、こういう根本的な検討が急がれていると思います。政府は、小手先の対応のみに終始して、提案されている本法案でも、事業への参入を容易にし、外資に門戸を開放することでCS放送事業者の撤退に対応するという、この程度のものであります。  以下、反対の理由を申し述べます。  本法案に反対する第一の理由は、新たに設けられる制度においても、事業者総務省の監督のもとに置かれるということにされているからであります。  質疑の中で明らかになったように、内閣の一員である大臣が直接放送行政を管轄し放送局の免許などを行う我が国の制度は、世界の中でも特異なものであって、言論・報道の自由、放送の自主性の確保という点から重大な問題を持つと言わざるを得ません。これは、与党である自民党がニュース番組の誤報をとらえ免許剥奪のおどしをかけるなど、放送への露骨な干渉を繰り返している近年では、なおのことその弊害は見過ごすことはできません。  反対理由の第二は、この法案が直接意図しておりますCS放送用周波数の有効利用にも十分役立つものとなっていないからであります。  例えば、伝統芸能の保存や良心的な文化創造を目指す人々がそのためのチャンネルを持てるようにするとか、あるいは在日外国人が母国の放送を中継で見られるようにするとか、また、さまざまな団体や個人の意見や主張をそのまま放送する制度をつくるなど、従来の放送制度では電波に乗りにくかった情報国民参加によって豊かに提供されるような方向でこそ、CSの多チャンネルという特質が生かされると思います。国民参加を拡大することで、CSというメディアの受け手のすそ野が拡大するし、この新技術が民主主義の発展に役立てられることにもなると思います。それをしないで、商業主義的な方向で参入の自由化のみを行っても、視聴者を獲得できない事業者は再び撤退していくことになることは明らかであります。  以上、反対の理由を申し上げて、討論といたします。
  104. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  電気通信役務利用放送法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  105. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  107. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 次に、通信放送融合技術の開発の促進に関する法律案及び電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案、両案を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。片山総務大臣
  108. 片山虎之助

    国務大臣片山虎之助君) 通信放送融合技術の開発の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、高度情報通信ネットワーク社会の形成に寄与するため、インターネット利用する電気通信の送信の役務及びデジタル信号による送信をする放送役務をあわせて利用することができるようにするための基盤となる通信放送技術の開発を促進するための措置を講ずることとするものであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、通信放送融合技術及び通信放送融合技術開発システムの定義をすることとしております。  第二に、総務大臣は、通信放送融合技術の開発に関する基本的な方向及び通信放送融合技術の内容に関する事項等に関する基本方針を定めることとしております。  第三に、通信放送機構の業務として、基本方針に従って、通信放送融合技術の開発を行う者に対する助成金を交付すること及び通信放送融合技術開発システムを整備し、通信放送融合技術の開発を行う者の共用に供すること等を追加することとしております。  その他所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  続いて、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、電気通信による情報の流通の円滑化のための基盤の一層の充実を図り、もって高度情報通信ネットワーク社会の形成に寄与するため、電気通信基盤充実臨時措置法の廃止期限を延長するほか、信頼性向上施設及び高度通信施設整備事業に係る助成金交付対象施設の範囲を拡大するとともに、人材研修事業の要件等を改める等の改正を行おうとするものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、本年五月三十一日までとされている電気通信基盤充実臨時措置法の廃止期限を平成十八年五月三十一日まで五年間延長することとしております。  第二に、信頼性向上施設の範囲を拡大することとしております。  第三に、高度通信施設整備事業及び高度有線テレビジョン放送施設整備事業の実施に必要な資金の借り入れに係る利子の支払いに必要な資金に充てるための助成金交付業務の対象施設の範囲について、それぞれ拡大及び変更することとしております。  第四に、人材研修事業に係る施設整備要件を廃止する等人材研修事業の定義を改めるとともに、人材研修事業の実施に対して通信放送機構が通信放送機構法第二十八条第一項に規定する業務の特例として行う出資業務を助成金交付業務に改めることとしております。  その他、所要の規定の整備を行うこととしております。  なお、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしておりますが、廃止期限の延長に関する改正規定は、公布の日から施行することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  以上であります。
  109. 溝手顕正

    委員長溝手顕正君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十八分散会