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山本正和君 私は、今の
遺族会がどう動いているかについて若干の批判がありましたが、それは置いておいて、やっぱり
国家が背負う責任を果たしている
一つの行為なんだろうと思うんですね。
ところが、この前から、実は去年から大分やかましく私言ってきまして、特に歴代官房
長官にはこのことをいつも言ってきている旧満州のいわゆる残留孤児問題があるんですけれ
ども、満州の残留孤児問題というものを私はなぜここでやかましく言うかといったら、私自身が旧制中学の五年生、十八歳のときですよね、開拓団で行ったんです、一カ月間。いわゆる学徒動員の手前みたいなものです。
昭和十九年です。私はそこへ一カ月おった。
そのときにしてみたら、開拓団のその一個の責任者、みんなこれ、直ちに銃も持って戦うという決意を持ってソ満国境におったんですね。要するに、ソ満国境を守るために開拓団があったと言ってもいいんですね。そういう役割も果たしておった。その
人たちを、ところが
昭和十九年、
戦争がだんだん
日本の国が負けそうになってきたときに、開拓団のそういう一家の主人も全部ごっそり関東軍は召集して南へほうり込んだ。だれもいないんです、そこに、青年男子は。関東軍もしかもその主力ほとんど離していますからね。しかも、関東軍がその
戦争が負けるときに何をやったかといったら、負けそうになったら、関東軍のまず家族、あるいは在留邦人といっても都会部におる家族は
割合に恵まれていたんですけれ
ども、第一線におったその
人たちはほうり去られた。その悲劇が、山崎豊子さんが書いた小説「大地の子」というのにあります。これはお読みになった方も多いと思うんですけれ
ども、皆さんも読んでいるんじゃないかと思うけれ
ども、そこにあらわれるような悲劇になったわけなんですよ。
だから、開拓団でそうやって一生懸命、本当に
日本の国のために、それこそあの当時は大東亜
戦争と言った。大東亜共栄圏の確立だとか五族協和だとか、そういうことでみんな燃えていったんですよ。その
人たちに、ところが
戦争が負けるときには、軍の方針によってそこで
戦死せよと言う、老人も子供も全部死ねと言うんですよね、開拓団。そういう中で残された
人たちの子供が赤ちゃんだったりあるいは小学生だったり、その
人たちが残った。ちょうどその小学校の連中が、今の森さんや元気のいい今の
日本の政治家と同じ年ごろですよ。それを私は何遍も言ってきた、何とかこれはせにゃいかぬぞと。
そうしたら、青木官房
長官のときに初めて前向きに検討いたしますという
答弁があった。何とかしなきゃいけない話。そこまで来たんですけれ
ども、その後、厚生省の方もちょっといろいろやってもらいまして、何か平和基金の事業だとかあるいは
平成六年の
法律、引揚者に対する、在満の、そういうものに対する手直し等もちょっとしてもらって、
予算も若干つけてくれておるんですよ。
しかし、
恩給を受けている
人たちと比べたら、そのひどさはむちゃくちゃなんです、これ、
恩給を受けている
遺族の皆さんと。ところが、中国に長い間おって、しかももう年をとって五十、六十になって帰ってきた
人たち、中国語しかしゃべれない。その
人たちに対して何とか国が面倒を見るべきだと私は思うんですよね。なかなかその面倒を見てくれない。やっとこのごろ目をつけてくれるようになりましたよ。
これは、そういうところから帰ってきた人は二、三千人だったですかね、まだ現在生きて、三千人ぐらいだったですかな、それぐらいの人が今ここにおるんですけれ
ども、政治的な力ないんですよ、
遺族会みたいにね。しかし、各党各会派のところへみんな行って、超党派で何とかしてくれと言っているんです。
この問題をひとつ前向きにやってほしいと私は何遍も言ってきたんですけれ
ども、きょうもこれを改めて、今度は
総務大臣になられて、
恩給の
関係もあるから、ひとつ
大臣、この問題はやっぱりほっておけぬだろうと私は思う。
ところが、厚生省にお役所的に聞けば、
恩給というのは、これは国が使用人に対していわゆる労使
関係で責任を負うというような
部分がありますのでこれはなじまぬと、こう言う。ところが、
恩給法の生まれてきた経緯からずっというとそうじゃないんですよ、精神はね。お国のためにあった人に対してどうするかと。開拓団のことについても
調査せよと私は何遍もお願いしているんですが、なかなか資料も集まらぬようです。
そういうことも全部含めて、これはやっぱり
総務大臣、どうですか。前の官房
長官が、青木さんからずっと伝わっておる。これは青木さんが言ったことは、きょうは副
長官お見えですからよく聞いておられると思う。国としてこの問題を今何とか解決するために検討したいと、こういう
答弁をきょうはいただきたいと私は思うんです。そのことについてのひとつ御
答弁をお願いしたいと思います。