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2001-06-21 第151回国会 参議院 財政金融委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年六月二十一日(木曜日)    午前十時十八分開会     ─────────────    委員異動  六月二十日     辞任         補欠選任         海老原義彦君     鴻池 祥肇君      櫻井  充君     小川 勝也君      木庭健太郎君     益田 洋介君      富樫 練三君     大門実紀史君  六月二十一日     辞任         補欠選任         小川 勝也君     櫻井  充君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         伊藤 基隆君     理 事                 林  芳正君                 日出 英輔君                 勝木 健司君                 浜田卓二郎君                 池田 幹幸君     委 員                 上杉 光弘君                 金石 清禅君                 河本 英典君                 鴻池 祥肇君                 清水 達雄君                 谷川 秀善君                 野間  赳君                 星野 朋市君                 山下 英利君                 若林 正俊君                 久保  亘君                 櫻井  充君                 峰崎 直樹君                 益田 洋介君                 大門実紀史君    衆議院議員        発議者      塩崎 恭久君        発議者      根本  匠君    国務大臣        財務大臣     塩川正十郎君        国務大臣        (金融担当大臣) 柳澤 伯夫君    副大臣        内閣府副大臣   松下 忠洋君        財務大臣    若林 正俊君    大臣政務官        総務大臣政務官  山名 靖英君    事務局側        常任委員会専門        員        石田 祐幸君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○特定融資枠契約に関する法律の一部を改正する  法律案衆議院提出)     ─────────────
  2. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十日、富樫練三君、木庭健太郎君及び海老原義彦君が委員辞任され、その補欠として大門実紀史君、益田洋介君及び鴻池祥肇君が選任されました。     ─────────────
  3. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 特定融資枠契約に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 きょうはコミットメントラインの法案でございまして、実は前回質問の材料を準備していたんですが、なかなか本題に入れなくて大変失礼したわけですが、最初に、時間がなくなったらいけないのでコミットメントラインを。前回実は私も共同提案だった方でございまして、今回もお誘いがあったんですが、残念ながら共同提案に加われませんでした。  そこで改めて、この二年間、これはやってみて効果があったかどうか、いろいろアンケートはとられているようですが、提案者、この点についてどのように評価されているのかなというのが一点。  それからもう一点、実はこれがこれからどんどん拡大をしていくというときに非常に心配になるのは、例えばサラ金業者なんかにどんどん流れていくんではないかなというような点、非常にこれからも心配をされるんですが、あるいは中堅企業とか中小企業とかどんどん広がっていくと、やっぱり貸し手借り手との力関係がどんどんいろんな問題が出てくるというので、そういった点についても非常に危惧される点が出てきているんではないかなと思います。  この二点に絞って冒頭このコミットメントライン法に対する質問をさせていただいて、基本的には私ども賛成でございますので、あらかじめ申し上げておきたいと思います。
  5. 塩崎恭久

    衆議院議員塩崎恭久君) 峰崎議員には、前回確かに共同提案ということで一緒にここに並んでいただいたような記憶もございますが、今回いろいろな事情で、賛成はしていただけるけれども共同提案じゃないというのは大変残念でございますが。  今御質問があった点に簡単にお答えいたしたいと思いますが、まず、どのような効果をねらってやってきたかはもう先生御案内のとおりでありますけれども、大きく言って二つあったと思います。  一つは、あの九七年の金融危機のときにわかりましたように、やっぱり企業金融の安定というものを図らなければいけないと、流動性の確保ということだと思います。それは貸し出しでもあり、あるいはCPのバックアップラインでもありということで、この企業金融の安定ということがまず第一。もう一つは、昨今、資産流動化証券化と呼ばれているような、いわゆるストラクチャードファイナンス専門用語で言われる仕組み金融のような、こういうような新しい金融の動きの一つのインフラとして、やはり流動性補完をするという意味でこのものが必要なんだろう、こういうふうに思っているわけであります。  したがって、この二年間、とりあえず弱者に悪影響が出ないようにということで、大会社だけに限定をして導入してみました。この結果、借り手だけをそういう形で制限して始めましたけれども、大変急速な勢いで利用先はふえているわけであります。そういう意味で、導入してやっぱり正解だったな、こう思っているわけでありますし、今回拡大する先は、資本金五億円を三億円に下げ、なおかつSPCとか特債法の譲り受け業者とかそういう形で、資本金は小さいけれども実質的に大きなところをやっているところに拡大をする中で、金融にいわば厚みを増していこうということで今回の改正をお願いしているわけであります。  したがいまして、とりあえず今回もバーこそ五億から三億にまで下げましたけれども、基本的には中小企業の定義も変わって、銀行との交渉力においてそう遜色がないと思われる中堅企業まで下げ、なおかつ実質的に大企業がやっているSPC等々に拡大をする、こういうことでございます。  そこで問題は、今お話ありましたように、じゃサラ金などがこれを悪用しないのか、貸し手借り手の間の力関係アンバランスの問題が起きないのか、こういうことでありますが、とりあえず我々今回いろいろな議論をしました。自民党の中でも、行為規制をきちっとやれば全部もうオープンにしてもいいじゃないか、こういう話もありましたけれども、しかし一方では、今御指摘のような、サラ金のようなところが弱者を食い物にするような形で手数料を取るということも、やはり執行体制のことを考えるとまだ安心ができないということで、とりあえずそういった心配が少ないだろうと思われるところについて今回拡大をするということであります。  この二年間全く問題があったという話が出てこないもんですから、我々ももう少し行為規制等について議論を深めるべきだったかとは思いますけれども、とりあえず今回もう一回拡大をして、ここでどんな問題が出てくるのかということをもう一回検証しながら、今後の、弱者が本当に守られていくのか、あるいはサラ金業者のような、まあこの二年間の間に商工ファンド、日栄の問題も起きましたけれども、こういうような問題が起きてこないのかどうかということをよく見ながら、この二年間またやって見直しをしよう、こういうふうに考えて、皆様方の御審議をお願いしているところでございます。
  6. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これは融資の問題ですからあれですが、中小企業になってくると、ある意味では直接金融で、東京都がやり始めた、ローンを、貸し出したものを証券化していく、中小企業に対して束にしてそれをまた売り出していくというような仕組みなど、そういったいろんな意味で工夫を加える必要があるのかなというふうに思っておりまして、また塩崎議員、いろいろと議員立法等一緒に協力できるところがあったらやっていきたいなというふうに思っておりますので、これからも頑張っていただきたいと思います。  そこで、大変残念なんですが、経済財政担当大臣、実はきょう決定されるということで、ぜひ直接来ていただいて前回に続いて、経済財政諮問会議が大変画期的なものを出されるやに聞いておったわけでありまして、新聞でも出ております。そういった点について少しお聞きしたいと思ったんですが、具体的な中身の問題で、実は前回総務省財務省の間の地方債あるいは地方自治体のいわゆる借金の問題、あるいは第三セクターの問題、こういった問題についてどうしてもやはり論議を継続させていただいて、この問題についての整理をきちんとしておきたいなというふうに思っておりまして、ぜひその点をきょうも議論させていただきたいなというふうに思います。  そこで最初に、前回のこの十四日だったと思います、先週のきょうだったと思いますが、そして二日前に我が党の久保委員質問にも答えられて、塩川財務大臣の方から、きょうまとめられると言われている国と地方の税財源問題、この問題について、国は地方財源移譲することは差し支えない、つまり国税の一部を地方移譲することを容認するというような発言と見たわけでございますが、きょうは総務省、遠藤さんじゃなくて政務官の方ですね、お見えになっておりますので、この点、きょう発表になるところの国と地方税源問題、移譲問題、これはどのようになったのか、お答えを願いたいと思うわけであります。
  7. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 税源移譲と言います前に、いわゆるその前提がついておるものでございまして、私たちは国と地方の税の配分を考える場合に、一番根本は、要するに行政責任、国としての行政責任、それから地方としての行政責任という、いわゆるしゃれた言葉で言いましたらミニマムと言うんでしょうか、そういうようなものをきちっとしてもらわないと、無制限に伸びていっておるし、また行政サービスが各自治体によって物すごい格差が出てきておることもございますので、まずこのシビルミニマムナショナルミニマム整理をきちっとしてもらいたい、そうしてその上で国と地方役割分担を決めてもらいたい、そうしてその役割分担に伴って権限移譲していく。その権限移譲するときに、同時に財源も、税源といいましょうか、これも配分していこうということでございました。  そういう前提のもとで税の配分をいたしますときに、そのときに国税の中から一部を地方移譲するやつもあるだろうし、また地方地方として新しく権限を持った自主財源を確保するということもあるだろうし、そういうことを私たち財源の、税源見直しということでやっておるのでございまして、だから税源見直しが中心でございまして、そのための一つの方法として税源移譲することもあるということを言っておるということに御認識いただいたら結構かと思います。
  8. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 総務省の方はそういう御理解でよろしいんですか。
  9. 山名靖英

    大臣政務官山名靖英君) 委員承知のように、地方交付税あり方についてはいろいろと経済財政諮問会議でも論議をされたところでございまして、ただ、私たちといたしましては、地方交付税仕組みというのは、税が大変偏在しておる、こういう我が国の状況の中、また、それぞれの各地方自治体がいろんな意味で一律の行政サービスが行えるように、財源調整とともに財源保障という観点から、税源不足に対する一定の交付税で補てんをする、こういう仕組みになっているわけでありまして、それを一律に数値目標を設けて削減をするという、こういうことにはなじまないものでございます。  とともに、地方主権地方分権、こういう一括法が制定をされまして、権限移譲とともに財源税源移譲ということが今いろんな意味論議をされていることでございまして、そういった意味では、単に税源配分ということではなしに、税源移譲という観点から今後より一層論議が進められる、こういうことが必要ではなかろうか、こういう認識を持っております。
  10. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 聞いていますと、ちょっと微妙に何かニュアンスが違うような気がしてならないんですが、今度はよりちょっと具体的に入っていきたいと思っているんですが、塩川大臣がおっしゃられて、国と地方行政責任、あるいはミニマムはどのぐらいなのか、あるいは格差はどうかとかいろいろおっしゃられたんですが、この間から議論しているように、交付税もあるいは国庫補助金も、これを削減すると同時に、その分は税源移譲する、こういうことが進む必要がある。しかしその場合は、国の財政負担も非常に厳しくなりますねということで、税源移譲ということの前提条件として、交付税の後年度負担廃止、これは事業費補正の問題ですね、あるいは補助金見直し、これを地方財政計画の策定の段階で、これは廃止をする方向というか、少なくする方向というか、こういう方向で見直すということが第一番目の前提条件で、この間もおっしゃいましたよね。  この一つと、もう一つは、この間の議論のときに、財務大臣、現在の三千三百の地方自治体がまばらだと、こうおっしゃいましたよね。都道府県もそうだし、それ以上に、百万を超える自治体があるかと思えば、何百とか何千とかという、そういうまばらなものがあるということで、税源移譲してもそれだけではなかなか効率化にならないんじゃないのかということで、どうもやはり合併ということも一つ条件にこの税源移譲を認めるということを、先ほどおっしゃった点は、そういうことを前提にして塩川大臣考えておられるように伺ったんですが、そういうふうに言い直してよろしゅうございますかね。
  11. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 大臣お答えになる前に、税源移譲ということにつきまして、委員重々承知のことですが、少し具体的に状況をお話しして、この論議を深めていただければと思います。  税源移譲といいますと、今、議論は、国の所得税あるいは消費税を減税して、そしてそれぞれの税負担者負担能力が上がるのを見越して、住民税などの地方税の自主的な課税ができるようにしようというのが税源移譲論だと思うんですね。ところが、委員が御指摘のように、大変偏在しているということの具体的な例として言えば、所得税については、大都市東京、大阪、愛知で実は国のこの所得税の分の比率は約五〇%、四七・四%を占めているんですね。それから、消費税につきましても四八・七%、約五〇%、これがもう三都府県でそれだけ占めてしまっているわけです。  ですから、所得税なり地方税なりを減税して、減税したその余禄の分を地方税という形で徴収できるようにするというふうにしたときに、所得税が減りますと、消費税が減りますと、当然交付税が全体として減ってくるわけですね。だから、それはその地方が取ればいいじゃないかというけれども、今度、地方の方の税の徴収として言えば、大都市、あるいはそういう負担力のある人口の多いところとか経済活動が活発であるところとか、そういうところはいただきやすいということになりますが、弱いところはだめでしょう。だから、そういう意味ではどうしても、地方交付税仕組み地方財政計画仕組みを基本的に見直すこととあわせてやらないと、おっしゃるようにおかしなことになってしまうと思うんです。  その場合に、町村合併というのを前提条件としてとおっしゃいますけれども、大都市の力と地方の都市あるいは過疎市町村合併の問題になると、過疎市町村人口四千とか五千とかというところを合併を進めていっても、今のような問題はそれで解決するということにはならない、それだけでは解決できないということをちょっと申し上げさせていただいて、議論を深めていただきたいと思います。
  12. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 かなり所得税とか消費税とか税に立ち入られたんで、私も、地方税源移譲するときには何がいいかなというときには、思いつくのはきっとその二つぐらいだろうというふうに思ってはいるんですが、そこへ行く前に、議論している大前提で、やっぱり国も今、支払い能力というかソルベンシーというか、大変ですよね。国の国債の格付も今トリプルAから下がってきましたですね。これはシングルAになったらBIS規制で二〇%のリスクウエートをかけなきゃいけないんですね。二〇〇四年度からそういうことが始まっていくわけです。  今問題にしているのは、国も大変だ、そのときに地方債については、地方自治体借金については国が法的に面倒見てくれるんですかと、これは法的には面倒見ていないと。しかしそれは、地方財政計画で認めたものは、これは財政的に措置をしているんだということを言われたわけですね。  今問題になっているのは、地方分権というのは地方自治体自分の力で自主的に、今までは国がおんぶにだっこだった。もっと私の言葉で言うと、金融機関護送船団行政だと言われたけれども、この地方自治体こそが壮大なる護送船団の中に入っていると思うんですよね。今、そこを見直さなきゃいけないときに来ているんじゃないかということが実は大変な問題意識にあるわけですよ。  そうはいっても、今までは地方自治体を、機関委任事務と称して、あるいは景気対策と称して、とにかくもう地方自治体を国の手足のように使ってきて、それが借金を今日ためたことは間違いないわけですから、過去の借金について、もう国は面倒見ないよなんということをそう簡単には言えないというのは、これはもうそのとおりだと思うんですよ。  今問題にしているのは、国の税源移譲というときには、地方自治体がみずからの力で立てるようにしていこうじゃないか、できる限り。それをやったって、私の今居住している北海道なんというのは、もう大半のところは、それでも恐らく、例えば所得税半分上げるよといっても、きっと自主財源比率は、財政力の指数は〇・一から〇・二に上がるぐらいなものだと思うんですよ。  だから、それはそれでいわゆるミニマムを補正するものは残るんですが、そうじゃなくて、今の大部分が、大部分というよりも都道府県東京都以外は全部ですね。市町村は、七十前後以外は全部これは交付団体になっているわけですから。これはもう余りにも交付税の機能というものは弱まっていますねと、もう一回ここで自分の力で自立していくというためには、いわゆる歳出自治権だけでなくて、歳入自治権、権利を与えなければこれはなかなか無理ですねと、こういうところまで来たと思うんですよね。  そこで、今問題にしているのは、その交付税と言われているものが、先ほどから言っておるように、モラルハザードを起こしているところについては来年度以降見直しをかけて削減をしていきましょうね、これが一つは入ってきますよ。もう一つは、そうはいったって、今の地方自治体受け皿が余りにも能力アンバランスがあるじゃないですかと。このことを是正しないと、さあ税源所得税の半分上げましたよと、じゃ、これであなたのところは自分でやれますかといったら、そう簡単にそうならないですねと。この二つのことは、塩川財務大臣認識としては共通しているんですよねと。  税源移譲するというときには、その交付税のありようについても、それから交付税以前の国庫補助金についてのあり方も、これは見直しますねと、見直さなきゃいけないね、そして地方も応分の負担をしてくださいねと。そして、権限を上げるけれども、その権限を上げるときには、言ってみれば移転財源はその分減りますよ、これはもういいと思うんですよ。そして、受け皿となる自治体も、今のままではそう簡単にそれですぐ不交付団体がふえますねというふうになかなかならないでしょうから、そこもやはり町村の側の方は、強制力じゃないけれども、自主的にある程度自前の力をつけてくださいねと。こういう認識で間違いないと思うんですが、塩川財務大臣、多分、そういう考えでおられるんでしょう。
  13. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 峰崎さんおっしゃるようなことにいけば一つ効果があるとは思います。しかし、ちょうど三年ほど前でございましたでしょうか、国の機関委任事務受託事務として地方に移したときがございましたですね。その分権をしましたときの議論の中に、分権条件合併条件とかなんかに利用してはいかぬと。つまり、合併という問題は非常に自主的判断を要するものであり、これこそまさに憲法九十二条で言うところの自治本旨というものの本旨じゃないかという議論がございました。それと同じようなことが税の移譲というときに起こってまいりましたときに、先ほど峰崎さんがおっしゃるようなことを私は期待するんですけれども、そういうことは期待しますけれども、それを一つ条件というか、一つのバックグラウンドとしてそれを出していくということは、自治本旨にもとるというようなことに必ずそこへ議論が来ると思うんです。  でございますから、その辺のあうんの呼吸というのは非常に難しいと思うんですけれども、しかし一番効果があるのはそれなんだと思うんですが、私は、そういうことは、だから答弁としてはなかなか言いにくいなと思うておるんです。
  14. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 一番効果があるのはそれだし、多分私も同じ考え方だとおっしゃったんだろうと思うんですね。  大臣、これだけはやっぱり確認しておきたいなと思っているのは、国のソルベンシーも今大変になってきている。ということは地方も大変なんです。後でちょっと第三セクターの問題も申し上げますけれども。だから、両方おんぶにだっこしながら沈んでいくような感じなんです、今は。  だから、もう今は経済財政諮問会議の骨太の方針で、とにかくしっかりとした経済をつくって二十一世紀へ安心できる社会をつくっていこうと。国も頑張るけれども、地方もそろそろ自立をして、そして頑張ってもらいたいねと。地方ソルベンシー頑張ってもらいたいと。国も自立をしていく、そして地方も、ある意味では今まで明治以来続いてきた中央集権的なシステムの中で守られてきた行財政システムをこの機会に変えましょうよと。これが本当の意味地方分権じゃないかいと。  そのかわり、いわゆる歳入自治歳出自治はあるけれども歳入自治というふうに見たときに、地方の税の権限というのは今三割自治と言われて非常に乏しいねと。それじゃあなたのところにもう少し税の権限を上げましょうよと。そのかわり、弱い弱いと思っていて今まで補給していた部分の国の国庫補助金交付税というものは、その分はなくしますよと。これニュートラルにいきましょうよと。どうしても足りない弱いところについては面倒を見なきゃいけないかなというふうになっているわけですね。  そういう意味で、そこのところを、もう国も地方もそれぞれが自立をしなきゃいけない時期に来ておる。この点の認識は、今お話を聞いていて、塩川大臣、共通できるというふうに思うんですけれども、改めてその点を、大臣でひとつよろしくお願いします。
  15. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私はおっしゃることはよく理解できますし、私もそういう認識を持っておりますけれども、先ほども申しましたように、自治本旨ということは憲法にうたわれておる、そういう精神からいきますと、なかなか方針としては出せないと。けれども、今おっしゃるのは私も全く同じでございますから、御理解はいただきたいと思います。
  16. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そこの地方自治本旨というところは、憲法に「地方自治本旨」としか書いていないんですよ。だから、これは地方自治法とか地方財政法とか個別法にまた譲るんですけれども、非常にそこのところがあいまいになってきているのかなという気がしてならないので、地方自治体の経験をされている塩川大臣なら、そこは一歩乗り越えられるかなと思って期待をしている一人でもあるんですが。  そこで今度は、今、交付税とかお話ししましたけれども、もう一つ地方債というのがあるんです。今までは地方債についても後年度負担というのをつけてやってきたわけですね。もうそろそろ税源移譲して、地方自治体さん力をつけてください、そして必要とされるものはみずからの財源でしっかりやってくださいね、受益と負担の一致をできる限り図っていこうと、こういうことです。  そうすると、この地方債と言われているものについても、私は、平成十八年から許可制から協議制に移るということは知っているんですが、依然として国の関与というのが非常に強まっているわけですが、これもそろそろ地方自治体自身がマネージをしていく。つまり、自分たち自身が債券を出して、そしてそれに対する償還能力を十分持っていると。こういうふうに切りかえていかないと、地方自治体が出している債券について、今までのように全部一括許可制にして、これは縁故債で、言ってみれば相対で進めてきているわけですけれども、私は、もうだんだんそんな条件はなくなりつつあるんじゃないかと。もう国も大変だと言っているときに、地方自治体の分まで面倒見切れませんよと。  こんな状況が生まれてきているので、そこはもうそろそろ、地方債のいわゆるファイナンスという問題については、これは地方責任においてマネージしていく、こういうことが本来の姿になってきているんじゃないかと思うんですが、これも改めて財務大臣にお伺いしたいんです。
  17. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 認識を共通いたしておりますけれども、この問題は一義的には、総務省の方がどう考えていくかという意味で、総務省責任を持って方向を出していただくことだと思います。  しかし確かに、地方債を発行して、そして後年度の元利償還につきまして最終的には交付税の形で国が面倒を見る、こういうふうにしております結果として、地方団体の負担意識を薄めて、また効率的、効果的な事業を選択して実施するという意識を薄めていくという意味モラルハザードを起こしてくるのではないか、こういう指摘があるのも事実でございます。  その意味で、国と地方との役割分担、そしてまた財政のあり方議論する際には、今の地方の財政計画の基本的な仕組みを、最終的にすべて国が面倒を見るというこの仕組み自身についても検討しなければならない段階である、こういうふうに思っております。  なお、先ほどのことに関連いたしまして、現在の税制におきましても、都道府県税でも市町村民税でも、それぞれ個人に対する課税については標準税率を決めていますが、それ以上税率を上げることは自治体の課税自主権として認めております。所得割、均等割、それぞれに標準税率を超えて自治体が課税することは認めていますが、実は、これを実施しているのは県においても市町村においてももう皆無と言っていいほどであります。つまり、徴収できるんだけれども徴収しないで、それを徴収すると、基準財政需要・収入額を計算するときはそれは外枠になっていますから自主財源になるはずなんですが、それを徴収しないで、全部最終的には国の方にかぶってきている。  そういう意味では、地方自治、住民及び地方公共団体の意識の変革というものが伴わないと、制度上は自主財源としての財政徴収権があってもそれを行使しないというのは、現状においてもそうなっているんですね。ですから、その辺も、交付税仕組み地方財政計画あり方、そういうことと非常に関係していると私は思っております。
  18. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 これから大いに改革をするということですから、総務省にはまた恐らく言い分があるだろうと思うんですが、ちょっと先に進まさせていただきたいんです。  そういう改革の方向をずっと考えていったとき、要するに、もう国もそれぞれソルベンシー大変ですよ、自治体も大変な時代になっているんですから改革の方向ですねと。この点は恐らく財務省としては共通認識ができていると思うんです。  それで、地方債リスクウエートの問題なんですね。これは金融担当大臣に私はこの二、三カ月この財政金融委員会でずっと指摘をしてきたんですが、今、財務大臣あるいは副大臣がおっしゃったように、いよいよそれぞれの自治体地方自治本旨に従ってみずからの財源はみずからでつくってやっていく、そういうふうに進めていくときに、今までのように地方債を発行したらその後年度負担は面倒見ますよ、これはすべてでないにしても面倒見ますよと、こういういわゆる財政的な措置をしてまいりました。法律的な保証はしていないけれども、いわゆるインプリシットなというか暗黙の保証はしてきた。今度は、その暗黙の保証をある意味では非常に厳しく規律をつけていかなきゃいけないねと。  そういう方向財務省が考え方を変えつつあるときに、国と地方の財政のあり方で、国としてはそういう方向に行かなきゃいかぬという判断をされているときに、今お話し申し上げました地方債リスクウエートですが、これもおのずと変えていく、過去のものとは言いませんが、これからの新発債、これについては変えていかざるを得ないというふうにお考えになるのが当たり前じゃないかと思うんですが、この点はいかがか。
  19. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま財務省また総務省等々と先生の御議論を聞いておりまして、最初交付税とか独自税源の問題でございましたけれども、地方債の問題に言及される段階になって、さあ、これがそういうふうに実現された暁にはどうかというのが私に対する御質問でございます。  しかし、今の御議論をずっと聞いておりましても、方向性としてはそうであるけれども、それを実現するには大変いろいろなハードルがそこにあって、方向性としては共通認識でもあるんだけれども、これを実現するというのは並大抵ではない、こういう情勢であるというようにその応酬をお聞き取りいたしました。  そういうようなことを前提にいたしますと、今先生が新発債についてはどうだと、こういうように言われまして、例えば来年度、あるいはBISが今度いろいろ変えるかもしれないと言われている二〇〇四年度からの新発債についてはどう考えるんだと、こういって言われるわけですが、私は、今の応酬を前提にする限り、方向性としては今先生御指摘のような方向性にはあるんだろうけれども、それにはまだいろんな越えなきゃならないハードルがあるというときに、余りそういうようなやや非現実的な前提に立っての話というものについて、この段階で私が何か明確なことを言うのは、やっぱりちょっと早とちりということになるのではないか、こんなふうに考えます。
  20. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 私は、しかし早とちりだというふうに思わないんですね。お話を聞いていると、地方債出しても大丈夫だよ、後はもう国が全部面倒を見ていくからと、要するにリスクウエートゼロですから、国の国債が今ゼロだから、それに対して我が国は地方自治体を全部保護しているんだと。この体制をいわゆるファイナンスの面から実はバックアップしているのにすぎないんじゃないかと思うんですよ。  今だってOECD各国は、国債に対して地方債は一〇%のリスクウエートをかけているところはあるんです。一九九四年まで日本もかけていたんですよ。いつの間にかそれがゼロになっちゃったんですよ。いまだにわからないんです、ここは。なぜそうなったのか、本当にディスクローズされていないからわからないんですが。  もうそろそろ、先ほど冒頭申し上げたように、地方自治体を含めた壮大なる護送船団になっている今の国と地方の関係を規律を持ってやらなきゃいけないというときに、いや、金融地方債だけは別ですと、こうはならないのじゃないかと思えてならないんです。余りにも何か、今の答弁を聞いていると、金融機関に対して、おまえさん地方債を買っていても大丈夫だから、絶対にデフォルトしないから、ここはもうゼロでいいよと。要するに銀行の肩を持っているようにしか見えないような感じがするんです、債券を持っていらっしゃる方の。納税者の立場というか、あるいは地域住民の立場から見たときに、そういうことをもうそろそろ考え直さなきゃいけないときに来ているんじゃないかというふうに思えるんですが、その点はまた後で申し上げましょう。  そこで、きょうは総務大臣はお見えになっておりませんが、第三セクターの話を前回出しました。第三セクターあるいは土地開発公社、住宅開発公社、道路公社、こういったものについてのいわゆる倒産あるいは破産、こういったものが続いているわけですが、その現状について、どのぐらい今起きてきているのか、そしてそのいわゆる含み損益というのはどのぐらいになっているのか、その全貌を明らかにしていただきたい。前回質問して、これについて答えるという話でしたが。
  21. 山名靖英

    大臣政務官山名靖英君) お尋ねの第三セクターの倒産の現状はどうなっているかということでございますが、民間の調査結果によりますと、平成十年度中に清算等を行った第三セクターの数は三十三社となっております。  そこで、もう一点の御質問は何でしたか。
  22. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 その実態です。それと含み損。
  23. 山名靖英

    大臣政務官山名靖英君) 含み資産の問題ですか。土地開発公社の部分ですね。
  24. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 だから、三公社。
  25. 山名靖英

    大臣政務官山名靖英君) 第三セクターも含めてですか。
  26. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 第三セクターと土地開発公社は違うでしょう。公社は法律に基づいてつくられているんですね。土地開発公社、住宅公社、道路公社、所によっては高速道路公社、その全貌を明らかにしてくださいということを言っているんです。
  27. 山名靖英

    大臣政務官山名靖英君) 住宅公社と道路公社については、これは旧建設省所管になりますので今資料を持ち合わせておりません。  土地開発公社につきましては、土地開発公社が保有をいたしております土地は、その大半が設立団体である地方公共団体の依頼に基づきまして公共用地の先行取得ということで行われたわけでございますが、設立団体が土地開発公社に公共用地の先行取得を依頼する際には、当然のことでありますけれども、将来その設立団体が再取得をする、こういうことになっておりまして、公共用地等として先行取得された土地の評価あるいはその設立団体による土地の再取得というのは、時価の変動いかんにかかわらず簿価によって行われているところでございまして、したがって、今いわゆる含み損ということはございません。
  28. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 全然だめですね。さっき何とおっしゃいました、民間の調査によればとおっしゃった。私は、地方自治体の二五%以上出資しているところ、五〇%と、基準がはっきりしていることはわかります。それ全部に対して、今一体そこがどういう状態になっているのか。各種の経済雑誌あるいは週刊誌等で、例えば大阪のりんくう関係のあれがどのぐらいになっているのか。シーガイアはもちろん有名になりました。もうあちらこちらで今どんどんいって、今民間の調べによれば倒産したのが三十二社でございましたとか、潜在的にはそんな問題ではないと思うんですよ。  政務官ですからあれですが、とにかく今、地方の第三セクターと言われているところは、公社から人を派遣してもらっている、いろんな設備はつくってもらっている、事業はちゃんと自分の事業を確保してもらっている、NTTの無利子融資を使っているとか、さまざまな優遇措置を、そういうことを通じてとんとんになっているか、あるいはひどい状態になっているわけですね。これはリゾート法だとかさまざまな国の施策との関係で、これもまた国に責任があるということは間違いないことだと思います。  政務官、要するに、現時点では、第三セクターを含む地方自治体のそういった含み損とか、今どういう状況になっているかということを十分つかんでおりませんと、これでよろしいですね。端的に答えてください。
  29. 山名靖英

    大臣政務官山名靖英君) 第三セクターにつきましては、おっしゃるように、現実、十分な把握はしておりません。
  30. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 ということは、総務省が、地方自治体がそれぞれの分権でやっているんですよと言えばそれまでかもしれないけれども、要するに総務省は、全国三千三百の自治体のいわゆる表面的なフローの、資金の流れとかそういうものはつかんでいるかもしれない。それもだんだん悪くなっているということはもうわかっています。しかし、問題はどんどん広がっていくストックなんですよ。ストックの不良が一体どのぐらいあるのかということが、実は国のレベルでもようやくこのバランスシートを昨年でしたか、つくった。地方自治体も早く全貌をつかんで、どのぐらい第三セクターや三公社が破綻をした場合にはどうなるんだといった場合に、前回塩川大臣は、面倒見るところと面倒見ないところがある、欲の皮の突っ張ったところは面倒見ないんだと、ちょっと表現よろしくないですが、おっしゃったわけです。私は不思議なのは、そういう第三セクターとか三公社みたいなところの全貌がどうなっているかわからないのに、これは面倒見る、これは面倒見ないということを断言できないんじゃないかと思うんです、正確につかまないと。  大臣、どうですか、そう思われませんか。財政当局としては、どうも総務省十分つかんでくれないし、国として地方自治体が抱えている不良債権の実態というのはどうなっているかどうもわからぬと。その点に対する、財務大臣、国として面倒見切れない不安があるということは感ぜられませんか。
  31. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 委員が御指摘のように、実態が十分明らかでなければ、面倒見る、見ないといったような論議をさらに突き詰めていくことはできないわけでありますから、実態は明らかにしていただかなければ仕分けができません。  ただその場合、これは一義的には総務省の所管でありますから総務省お答えいただかなきゃいけないことでありますけれども、総務省側から私らが聞いておりますのは、第三セクターが破綻をするといったような場合の地方公共団体との関係は、これは法律的には、地方公共団体が出資した出資が戻らなくなる、あるいは、地方公共団体が損失補償契約に基づいて補償契約をしていると補償責任を負う、というようなもの以外は地方公共団体が法的にその責任を負うことはないんですと、こういうふうに聞いております。  それでは、そういう出資とか損失補償契約をしているのがどのぐらいあって、どうなったんだということは、これはやはり調べて聞かせていただかないとその辺の判断ができない、こういうことでございます。
  32. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 そういう意味で明解だと思います。  だから、私、後でまた御意見あったら聞きますが、早く全体像をつかんでもらいたい。これは金融機関の不良債権も同じなんですよ。早く全体像を正確につかんでくださいと言っているのに、どうもそこのところがぐずぐずして、一九九二年以来、失われた十年をつくっちゃったわけです。  今も、率直に申し上げて、金融担当大臣は、いや、うちのマニュアルでもってやっているから大丈夫だとおっしゃっているけれども、市場あるいはいろんな日銀の方に聞いても、あるいは閣内でも、本当にそこのところが大丈夫かなという不安を私どもは持っているんです。ここはその議論のところじゃありませんから申し上げないわけでありますが。  今お話しになったように、そこの実態がわからないのに、いや、そこは我々は欲の皮の突っ張ったものじゃなきゃ面倒見ますよと、こういう形になっていくというのが私はどうも非常にある意味では問題なんじゃないかなということで、前回、破綻処理再生のスキームというのを提起したんです。だんだんわかってきたのは、あの九八年の金融国会のときに、金融再生法、金融早期健全化法、こういうものをつくりました。あれと同じことで、どうも今の地方自治体も、地方自治体を再生させなきゃいけないんじゃないか、あるいは地方自治体の早期健全化を図っていくために何らかの対応が要るんじゃないかというふうに思い始めたんです。これは私のもしかしたら思い過ごしかどうかわからないですけれども。  今おっしゃったように、自治体はそのリスクをかぶらない。では、そのリスクはだれがかぶるんですかと。これは民間がかぶるんでしょう。民間が損失補償契約をしている。例えば私のところの芦別市なんていうのは、星の降る里、カナディアンワールドをつくったときに、あれ結局自治体で全部かぶっちゃった。何十年間かけて払いますよということになっちゃった。  だから、それは千差万別だから早く調べていただきたいんですが、いずれにせよ、そういった自治体がいつぼんと破産するかもしれない。なぜか。今、金融ビッグバンが起きています。それから、オンブズマンがずっと調べております。名古屋市の土地の塩漬けになったやつを調べたというのはオンブズマンの例ですね。全国的に今調べておりますね。それから、金融機関が早く連結で自分のところを落とさなきゃいけない、こういう問題も出てきます。ということは、これから地方自治体が抱えている第三セクターや三公社の抱えている問題が全部いわゆる氷山から上へ上がってくるんじゃないですか。さっき、民間の調べではまだ二けたですなんという、そんなレベルじゃないんじゃないですか。  だから、そこを私は早く調べていただきたいし、そういう問題が起きたときに、実は若林大臣は、前回、いわゆる破綻処理、つまりこういうことが起きたときに自治体は二〇%の赤字比率をすぐ超えちゃいますよ、こうなったときにどうするんですかと言ったら、いやそれは赤字再建団体がありますと。正式に言えば地方財政再建促進特別措置法による財政再建計画を立てて、要するに赤字再建団体になることだ、こうおっしゃいました。これで実はカバーできるかなと。一つ二つぽつぽつと、九州の赤池町が出てきた、あんな感じで今度は大鰐町が出てきた、今度はどこどこが出てきた、そんな問題で済まない状態が私は出てきているんじゃないかという気がしてならないんです。  そういう意味で、赤字再建団体のやり方は、全部これはストックは入ってこないです、フローなんです。要するに、現金のお金の収支で赤字が二〇%を超えればこれは再建団体になりますね。これはもう大変みんな脅威であることは間違いないんですが、今問題になっているのは、さっき言った第三セクターや土地開発公社といったストックベースで損失が顕在化をしたときに、これは果たして赤字再建団体制度でカバーできるんでしょうか、これが第一点です。  それから、その赤字再建団体制度というのは、結局はこれは交付税で面倒見たりするんですね。いろんな措置がございます、これは総務省に聞いた方が早いと思うんですが。結局、これも国と地方の全体で負担をする以外にないわけです。要するに借金のツケ回しをやるわけです。  それから、何よりも、こういう自治体がばたっとつぶれても、お金を貸している側は破綻リスクを全く感じないでいる。例えば我が北海道のある自治体、これは危ないぞと思ったら、いやもうちょっとここには貸せません、こういうのはない。なぜか。さっき言ったリスクはゼロなんです。必ずこれは国が面倒見てくれるんだと。ここにモラルハザードが起こっているんじゃないですか、逆に言えば。そういう実態をオープンにしない国も責任がある。これをオープンにしましょう。そうですね。そして、今言ったように、財政再建団体というのは全体でカバーするシステムだから、一つ二つならいいけれども、これが大量に出てきたらどうするんですか、対応できないですね。そして、市場規律というものが全く働かない仕組みにし続けているわけです。  今も、とっぴな案だということで私の案は退けられてしまったんですけれども、本当に市場規律がなければ、いわゆる地方財政と言われているものの構造にメスを入れるということになかなかならないんじゃないんだろうかという気になるんです。どうですか。これ財務省副大臣で結構です。前回お答えになったんですけれども、こういう財政再建団体制度というのは限界を持っているんじゃないかというふうに今私が指摘したんですが、何か答弁ございますですか。
  33. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 地方財政再建制度、具体的には地方財政再建促進特別措置法に基づきます再建団体の立て直しの問題は、まさに一義的に総務省が所管をしておりまして、こういう制度で対応できるかどうかという判断は一義的に総務省でしていただかなければならないわけでございます。  委員が御指摘のように、ストックの面で大変なことになっているんじゃないか、いろいろなものが出てくるんじゃないか、そのことを想定しながら、出てきたときにどういう制度で対応できるのかというようなことのところまでは今我々検討をしているところではございません。  ただ、この地方財政再建制度は、御承知のように、それに乗っていくかどうかというのは議会が決めて、そして総務大臣と協議をして再建計画を立てて、かなり厳しい財政再建方策をつくるという仕組みになっているんです。実際は余り昨今はその適用事例が出てきていませんけれども、この制度で今後できるのかできないのかという判断は、今、財務省としてそのような検討をしてはおりません。  この間御答弁申し上げましたのは、現行のその制度を活用して立て直しを図っていく以外に今方策はありませんという意味で御答弁申し上げたわけでございます。
  34. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 財政金融委員会なのに地方財政の問題を言っているというのは、もう地方財政の問題も国が全部面倒を見るという構造を変えようとするのが、つまり国の財政当局の立場としてどうあるべきか、金融の立場からどうあるべきかということを議論するためにやっているわけで、確かに総務省がその責任を持っていることはよくわかっているんです。総務大臣にはまたいつか、総務大臣がおられるところで私はお聞きしたいと思ってはいるんですが、まずはその国の規律というところでどうあるべきかということをここでやっぱりきちんとしておかなきゃいけない。行く行くは、この地方債リスクウエートをどうするかという問題に私は帰着する問題だと思っているんです。  そこで、今お話しなさったところでもう一つ合併を将来推進していきたいと、今度の経済財政諮問会議の中でもそういうことが議論されて、三百だとか千だとかと言われているんです。  そのときに、前回も私はお話し申し上げましたけれども、私の田舎なんかに行くと、農協が合併するというときに、うまくいくところといかないところがある。いかないところというのは大抵、優良な農協と不良な農協があって、不良な農協というのはフローじゃなくてストックでもう真っ赤になっているわけですよ。  同じことが地方自治体で、不良債権になったときに、さあ、合併しなきゃいかぬね、合併させる以外にないねというときに、いや、あそこの自治体はもうとにかく第三セクターの大失敗で、あんなところと合併したら大損するわと、住民は大反対しますよね。  だから私は言っているんです。破産法制を、特殊法人も今、破産法制をつくるということで準備が進んでいるんでしょう。地方自治体も同じように破産が起きて、これは、破産をするというのは破産させるためじゃないんです。さっき言ったように、早期健全化だとか金融再生法というのは、要するに新しくするためなんでしょう。  二十一世紀に向かって、地方自治体が、今度は元気な姿になりました、私のところはもう不良債権がなくなっちゃって本当に自治体として健全な自治体になりました、よし、今度は国に余り依存しないで自分のところの税源でしっかりとしたいい町づくりを進めていきたいと、こういう発想にするために、こういう今のような、ぐずぐずと国が面倒を見ます、そして地方債リスクウエートゼロです、こういうやり方だったら、これから起きてくるであろう破産がどんどん起きたときに、はい、あなたのところは赤字再建団体で、それぞれの市町村ごとにちまちまと頑張りなさい、鉛筆一本まで全部総務省の指導監督のもとに入ります、こんなやり方でなくて、もうそこは破産なら破産の仕組みをきちっと立てて、貸し手にもきちんとリスクを負ってもらう。  つまり、情報開示をきちっとやらなきゃいけませんよ、情報開示をきちっとやって、そしてこの市町村は大丈夫、この市町村のこのプロジェクトは大丈夫だ、これなら貸してもいい、こういう貸し手責任というものを含めて、やっぱりそこのところの中に入れ込む必要があるのではないかなと。  そういうことを考えないと、実は合併もうまくいかないじゃないんですか。合併というのは私も強制的にやるものじゃないと思います。だけれども、合併自身も、本当にうまくやろうと思ったら、そこのストックとして残っておる不良債権のところを何とかしなきゃ、これはだれが一緒になりましょうと言ったって、いやだめだ、あなたとは一緒になりたくないと、こうなりますよ。どうでしょうか。  その意味で、今申し上げたようなことについて、私は提案というか一ついいことがあるのではないかなと思っているのは、そういう破産法制をきちっとやっぱりつくるということ、そして、これまで国の政策の誤りあるいは国の政策に忠実に従ったがために膨大に積み上がったストックがあるわけですね、不良債権が。これをある意味では破産法制を入れて、合併をするというときにはこれをなくしてしまう、とってしまう、こういうようなやり方をして地方自治体の健全化を図っていくということが、私は何か今求められているような気がしてならないんです。  今申し上げたようなことについて、これは財務大臣なんでしょうか、また副大臣お答えになるんでしょうか、私は財務大臣にしかと答えていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
  35. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) 財務大臣の御答弁の前にちょっと申し上げておきたいと思うんです。  今、破産法制ということをおっしゃっておられますけれども、特殊法人などと違いまして、地方公共団体は申すまでもなく基本的ないわば統治を行う自治体なんですね。これは課税権だとかその他統治に伴う権能もあり、責任も持っている、こういうことでありますから、自治体という法人、その法人格を消滅させることを前提としたようないろんな仕組みというのは、これはちょっと考えるのはできないと思うんですよ。  ただ、今おっしゃるように、財政が行き詰まってきている、あるいはストックの面で膨大な不良資産を抱えていると。これをそのままにしておいて、フローで転がしていっただけではいずれこれはさらに大きな問題、先送りしていって大きな問題になっていくと。そういう認識のもとに、そういう自治体に対して、あるいは合併を進める際にどういう手だてが必要になってくるのかと。破産法制という、言葉じりではありませんけれども、そういうことじゃなくて、今のような問題意識につきましては、これから本当に合併を強力に推進していくという場合には、関係自治体の資産内容あるいは財政事情といったようなものによって何かてこ入れをしないと合併が進まないというような場合もあり得るんではないかなと、そんな印象を持っております。  具体的にどのような手だてを講ずればいいかというのは、一方でモラルハザードの問題もありますから、自治体自身の責任はどこにあるか、あるいはその自治体に貸し込んでいった指定金融機関などの金融機関は、やっぱり貸し手責任というものも全くないわけじゃありません。それにどういうふうに取り組んでいくのか。これは第三セクター等の関係はちょっとまた別になりますけれども、そういう問題はやはり突き詰めていかないといけないかなという印象でございます。
  36. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 問題意識が非常に合ってきたような気がしますが、破産というと、何か法人格がなくなって、地方自治体といわゆる民間営利法人とを同格に私も扱っているつもりはないんです。だから、先ほども言っているように、地方自治体を再建する、あるいは地方自治体を早期健全化するというか、そういう観点で何らかの形のシステムをつくり上げないといけないんじゃないかなということを実は申し上げているわけなんです。  また柳澤金融担当大臣に、最後になりますけれども、質問してみたいと思うんですが、それは要するに、第三セクターが破綻をする、あるいは自治体のデフォルト回避のための財源の手当てができているかどうか非常に不明だと。  実は、前回もお話ししましたが、六月九日付の日経新聞に、地方の公募債と縁故債のスプレッド、利回りの格差が四十から五十ベースポイントまで開いている。これは大阪です。塩川大臣の地元ですから御存じだろうと思う。あそこの第三セクターがいかにひどいかというのは、この間もダイヤモンド誌に載っておりましたね。  ということは、市場の方は縁故債と通常の公募債とはもう明らかに差をつけてきています。今、私がお話し申し上げたように、地方自治体がもうおんぶにだっこではいけませんよということについてもだんだん共通認識ができ始めてきて、そして、今申し上げたように、破産とは言わないけれども、何らかの合併をするにしても、これだけ抱えたストックを何とかしなきゃいかぬ、これは今問題意識が共通しました。  ということは、貸し手側の責任というよりも、貸し手側から、つまり住民や地方自治体だけじゃなくて、地方債として貸しているリスクについて一〇%なら一〇%のリスクウエートをかける、これはもう既に二〇〇四年からの新BIS規制でも、市場の評価を貸し手の中にきちっと盛り込もうということが動いているわけですから、その意味ではそろそろ、これからの新発債についてはリスクウエートを一〇%かけていくことを検討しなきゃいかぬ時期に来ているんじゃないかと思うんです。  この点を最後にお伺いして、どうも会期の延長はないようでありますから、多分これが今通常国会の最後の質問になると思うんですが、大臣のきちっと明快な答弁を聞いて終わりたいと思います。
  37. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 今国会最終という特殊な情緒を込めての御質問で、それに対して先生にとってみればごくあっさりした答弁になって恐縮だなと、こういうように思うんですが、先ほど若林大臣が答えられたように、地方団体というのはやっぱり権力団体なんですよね。現実に課税権を持っていますから、課税権があるところキャッシュフローがあるということですよね。ですから、私は先生が強調されたい点は非常によくわかるんです。私、現実にアメリカでそんなことがあったという新聞記事をアメリカに駐在しているときに見た記憶がありまして、おもしろいことをやるなと思って非常に関心を持って読んだ記憶があります。  そういう意味では、先生がおっしゃっていることがわからないんではないんですが、他方、さんざんぱら今、こうした地方自治体などというような名前がおこがましいほどに国が干渉をする、干渉をする裏腹として完全に面倒を見る、こういう構造のもとにある中で、融資を行ってきた民間金融機関貸し手責任があると、まるで住専のときのあの議論のような話が蒸し返されているのを聞きますと、これは私は、別に民間金融機関を擁護しよう、不必要に擁護しようなどというような気持ちはないんですけれども、ちょっと筋が違うなと。ちょっとというのは全く私の形容詞であって、相当筋が違う話だというふうに思います。過去の話としてはそうです。  ただ、先生がおっしゃるように、私は、本当に地方自治体が、今先生が頭の中で想定されるイメージとしてお持ちのような自治体になる、財務的にも完全に一個の主体として資産、負債、両方について完全にコントロールをする、責任を持ってコントロールするというような団体になれば、それは先生がおっしゃるようなことも検討しなければならないというのはある意味で当然のことだというふうに思いますが、ただ、そこに行くまでにいろんな山坂があるというお話をさんざっぱら聞かされたときに、私が今ここで検討の課題でございますと言うのは、ちょっと先ほども言ったように時期尚早かと。早とちりというのは改めさせていただきますが、時期尚早かと思うわけでございます。  しかし、問題意識は、その事態の進展に応じて当然持たなければならないとは思います。
  38. 峰崎直樹

    峰崎直樹君 終わります。
  39. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門です。  最初に、コミットメントライン法案について一つ二つ質問をさせていただきます。  先ほど峰崎議員からもありましたので、簡潔に一つ二つお聞きしたいと思いますが、二年前に制定されたときに、中小企業の保護といいますか、弱者保護が必要だというふうなことが議論されまして、塩崎さんがそのときに、この二年間で具体的に考えていくというようなことを当時の大蔵委員会でも御答弁されているわけですが、今回の改正に向けて、中小企業保護の部分で具体的にどういう手だてをとられてこられたか、お聞かせいただければというふうに思います。
  40. 塩崎恭久

    衆議院議員塩崎恭久君) 大門議員の御質問お答えいたします。  確かに、二年前に我々スタートするときに一番心配したのは、中小企業が弱い立場がゆえに法外な手数料を取られるんじゃないか、こういうことでとりあえず商法特例法の大企業というのに限定をさせていただいたと、こういうことでございます。  見直し期間がおおむね二年間ということでございまして、その間に何ができるのかを考えようということを申し上げ、実は見直しの中には、例えばSPCとか、資本金が小さいけれども実質大きなところについて、そのときには入れられなかったものですから、どういうふうにするのかという見直しもしなきゃいけないと思っておりましたが、一番の問題はやはりこの中小企業だったと思います。  正直言って、この二年間、基本的に大企業がこの法律を利用して、かなり多くの企業コミットメントライン契約を結んだ上で流動性確保をやっていただいたわけでありますが、その間にいろいろと、行為規制で何が中小企業を守るためにできるんだろうかというようなことも検討をいたしました。  ちょうど折しも、先ほどもちょっとお話し申し上げた、貸金業の中で商工ファンドであるとかあるいは日栄の問題が起きまして、あのときも行為規制を強化しようということになったと思いますが、結局、このコミットメントライン契約のような形のもので中小企業にまで広げた場合に、例えば書面での注意義務とかそういう形の行為規制をやったところで、本当に守られるかどうかということについての自信は得られなかった。  こういうことで、今回、その間に中小企業の定義も変わって、中堅企業というのが、五億円から三億円までの間がいわば中小企業に、特に製造業の場合にはなるということで、この間の企業ならば銀行との間での交渉の問題に負けることはないんじゃないかと、こういうことで今回また拡大をしてみようということであります。  もちろん、禁止して中堅企業が失うものと、それから、恐らく問題はないだろうということで実行してみて中堅企業が得るものとを比較してみると、やっぱりこれは明らかに後者の得るものの方が多いだろう、こういうことだと思います。  今まで全然問題もなかったということもありますので、今回こうやって始めてみて、この二年間様子を見て、一切規制を取っ払って行為規制だけでやるという議論もあったということをお話し申し上げましたけれども、そういうことが果たして可能なような中小企業保護の施策があり得るかどうかというのをこれから見ていこう、こういうことだろうと思っております。利息制限法あるいは出資法を丸々適用しないという話ではないわけでありますので、とりあえず二年間、これからまたもう一回やってみようと、こういうことでございます。
  41. 大門実紀史

    大門実紀史君 今回については具体的な手だてがないということで、その辺はやっぱり、三億円といえど非常に危惧しているという点を申し上げたいと思います。  次の質問に入りますが、きょうは竹中大臣は御出席できないということですけれども、ちょうど骨太の方針がきょう決定されるということで、前回に引き続きまして、緊急経済対策及び骨太方針経済の構造改革の部分について塩川大臣、柳澤大臣に御質問したいというふうに思います。  まず最初に、前回最後のところで塩川大臣に御質問いたしまして、時間切れで終わってしまったんですが、今回の十二回目となります緊急経済対策の位置づけの問題ですけれども、前回も申しましたけれども、財政構造改革部会の中間報告で過去十一回の経済対策をどう見ているか、これは必ずしも的を射ていなかったというふうに書いてあると思うんですが、塩川大臣お答えになりましたのはちょっとニュアンスが違いまして、あれはあれで必要だったというふうなことだと思います。それは従来の宮澤大臣の見解と同じだと思うんですが、私はちょっと違う角度で、過去十一回も、また今度の十二回目もやっぱり的を射ていないんじゃないかというふうに意見を持っております。  といいますのは、過去十一回というのは、これにも書いてありますけれども、需要の拡大をやっぱり考えて、特に公共事業を中心にいろいろ手を打ったと。ただ、そうはいっても民間需要、家計部門を中心としたそこのところの手だてをやっぱりほとんど打ってこなかったというのが過去十一回だと私は思うんです。今度の十二回目は全く視点が変わって、需要そのものじゃなくて、むしろサプライサイドといいますか企業の構造改革といいますか、金融と産業の再生と書いてありますけれども、需要拡大よりもサプライサイドの問題を解決しようと。  つまり、ここでも抜けているのが民間需要、特に家計部門の低迷をどうするかと。だから、過去十一回も今回の十二回目も抜けているのは、一番の不況の原因とこの前の月例経済報告でも指摘されておりますけれども、家計部門の消費の落ち込み、こう分析はしているんですけれども、ずっとそれを避けて、その部分に対する直接の手だてというのを何でここまでずっと避けなければいけないのか。  私、この間、外国の、特に先進国のこの七、八年の経済対策がどういうふうに打たれてきたのかと。アメリカも含めてですけれども、もちろんサプライサイドのもありますけれども、基本はやっぱり個人消費といいますか、家計の支援をベースにどの国もやってきているんですよね、どの資本主義国でも。なぜ日本だけがいつまでもそこに手を打たないのかと。今回はまた全然違う角度で、やはり同じようにそこには手を打たない。そこのところをなぜ避け続けるのかが非常に疑問だと思います。  そういう点では、私は、今回の十二回目もやっぱり失敗するんじゃないか、この経済対策も失敗してしまうんじゃないかという危惧を抱いているところですが、なぜ民間の、特に家計部門がいつも最大の不況の原因だと言われているのに相変わらず手を打たないのか、その基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  42. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 経済財政諮問会議というのは、先ほど御説明の中にございましたけれども、本質は、この役割というものは変わったわけではございませんで、もともとこれができましたのは、中央省庁を統合する前の前提として内閣府を、つまり総理大臣権限を強くしようということの発想でございました。そして、内閣府を設置し、内閣府の中に経済諮問会議というものを設置するということになって、しかもこの会議は国の財政、経済全般について広く調査検討し、総理大臣に対してこれを進言し、総理大臣がこれに基づいて経済・財政政策の基本的な指針を与えるということがこの会議の目的でございます。  したがいまして、発足以来ずっとやってまいりましたのは、主に予算編成に関する審議、調査というものが中心でございまして、それとあわせて景気回復の問題とあわせて取り組んでまいりました。その意味において、確かに経済諮問会議の主たる目的は景気回復にあったということは否めない事実であったと思っております。  ところで、小泉内閣にかわりまして、この経済諮問会議の本質、いわゆる役割といいましょうか、使命というものは変わったわけではございません。それはもう当然のことでございます。しかしながら、小泉政権にかわったこの機会に、小泉政権というのは一体将来に向かって何をイメージしておるかということを各分野について広く検討し、それを経済政策の基本の中に織り込んでもらいたいという趣旨から、国政全般にわたるところの検討をしてそれを織り込んできたのが今度の骨太の方針ということになったわけでございまして、これはただ単に、小泉政権として将来に向かっての施策の基本的な考え方を述べたものとして理解していただきたいと思っております。  そうはいうものの、この会議の主たる目的は、先ほど申しました経済、財政に関しての、特に予算編成等に関する指針を明確にするということがこの会議の目的でございますので、第六章のところに、国の財政の構造のあり方と十四年度予算編成に関する指針というものを第六章にまとめて書いてあるということでございまして、これがこの会議の主たる目的であるということも御承知いただきたいと思っております。  そこで、今回の骨太の方針が出ましたことについて大門さんがおっしゃるのは、消費関係のものが書いていないじゃないか、そして、どうも構造改革のみに重点を置いて、予算関係の面が少ないではないか、景気対策の面が少ないじゃないかとおっしゃっておりますけれども、これは、私たちがかねてから主張しておりますように、構造改革を進めながら、その弾みによって経済を改善していこう、景気回復を図っていこうということでございますので、経済構造の改革とそれから景気回復とを一体として考えておりますので、その点は御了解いただきたいと思っております。  なお、消費について余り言及していないじゃないかという仰せでございますけれども、読んでいただいた各般について、例えば社会保障の中において、あるいはまた国と地方との関係において、消費に関する項目はその中に含蓄としてあるものだと思っておりますし、十分にその点は御検討いただきたいと思っております。
  43. 大門実紀史

    大門実紀史君 私が申し上げたのは、民間需要、特に家計部門をどう見るかという基本的な考え方の話を御質問したんですが、それは後の質問にもかかわりますので、また後で申し上げたいと思います。  この骨太方針なんですけれども、素案も読ませてもらいましたし、この前、竹中大臣のお話も伺いまして、要するに今経済財政諮問会議で描かれているシナリオといいますか、大体この前のお話で見えてはきたんですけれども、まず、不良債権がなぜ悪いのかといいますと、とにかく銀行が仲介機能を落としているとか、過剰債務に陥っている企業が新たな投資ができないという点でよくないと。何でこの不況のときに急ぐのかというと、これは早い方がいいからだという話ですね、要するに。善は急げといいますか、とにかく早くやってすっきりした方がいいと。ただ、それは痛みを伴うからセーフティーネットは必要だろうというふうな話ですね。    〔委員長退席、理事勝木健司君着席〕  早く決着をつけて、早く身ぎれいになって新しい経済社会といいますか、竹中さんに言わせると、ニュービジネスとかデジタルな可能性とか、新規ビジネスを起こしていって、生産性の高いところにお金が、資源が、人と金が移動して、それで経済が新たな成長をするんだというふうな、簡単に言うとそういうシナリオかなと思うんです、竹中さんのお話と骨太の基本方針を読みますと。そういうことでよろしいんですか、シナリオといいますと。
  44. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) おおむねおっしゃるようなことでございますけれども、ただ、不良債権の整理というものは、これは御存じのとおり、単に債権の整理を急いで処理すればいいという問題ではございませんで、御存じのとおりだと思うんです。これは大きい社会問題、中小企業問題にもなってくる問題でございますので、それだけに、我々は急ぐべきではあるけれども慎重に扱っていく、それで十分なセーフティーネットをつけた上で実行していくようにしたいと思っております。  したがって、これは金融担当大臣の答弁になると思うのでございますけれども、その間における配慮というものは政府全体として十分に考慮してやっていきたいと思っております。
  45. 大門実紀史

    大門実紀史君 おおむねそういうシナリオをこの前も伺ったわけですけれども、私は、やっぱりこのシナリオには根本的な欠陥があると率直に言って思うんですね。  一つは、なぜこの不況のどん底のときに、今言われたとおりだと私は思うんですね、かなり配慮しながらやらないと大変なことになる。景気がいいときだったらそれは雇用の吸収力もあると思うんですけれども、なぜ無理無理この最悪と言ってもいいぐらいのどん底のときに強行しようとするのか、この理由がよくわからないし、何度この前竹中さんに聞いても、宿題は早くやった方がいいんだみたいな精神論的なことしか返ってこないんですよね。なぜやるのかというところの理由がいろいろありますけれども、私は、実体経済はそういう危機感といいますか、早くやってもらいたいというのはあるのかなというふうに一つ疑問があります。  二つ目の疑問は、欠陥といいますか、そうやって無理無理やったときの不良債権処理がもたらす影響について厳密な検討がされていないというふうに思います。実際に人が失業したり倒産すると言われているのに、生身の人間がそういう目に遭う可能性が非常に強いというか、実際遭うわけですけれども、なのに、その可能性がどれぐらいの影響をもたらすのかということについて厳密に検討がどこでもされていない。    〔理事勝木健司君退席、委員長着席〕  三つ目には、じゃ、無理無理そうやって不良債権処理をやった後、本当にきれいになっているのかと。二、三年後、目の前の不良債権が本当にきれいになっているのか。不良債権というのはゼロにならないのはわかりますけれども、本当に今よりもきれいな状態になっているのか。急激にやることによって生まれるデフレ圧力でさらに倒産とか不況が深刻化して新たな不良債権が生まれて、結局不良債権がそれほど減っていない、やってみたら二、三年後に減っていないという可能性について、これもほとんど検討がされていないというふうに思います。  四つ目には、セーフティーネット、新規雇用の問題ですけれども、この前これは十分内閣府の方に議論させてもらいましたけれども、ほとんど考えられていない、まともに検討されていない。新規事業についていえば、先ほど申し上げました民間需要とかかわるんですが、本当に絵にかいたもちのような話を、バラ色の話だけをこの前いろいろ言われているだけで、結局何もない。セーフティーネットについても、新規雇用、新規事業がふえるということについてもないというような私は問題点を非常に感じたわけです。  きょうはその四点について具体的に質問をしたいと思うんですけれども、まず、なぜこの不況のときにそんなに急いでやるのかというところで理由を挙げられていますのは、金融機関の仲介機能が落ちているという点ですけれども、私は、信用保証協会の役員の方とか金融関係者の方に直接お話を聞きましたけれども、そういう認識じゃないですよ。  それは個別の話になりますので、例えば全銀協の前の西川会長は記者会見ではっきりとおっしゃっているんですけれども、我が国の景気が立ち直らない原因は別に不良債権じゃない、経済の足なんか引っ張っていないと、銀行協会の会長がこういうことをおっしゃっているんですね。例えば健全性に問題があると言われても、今、十分健全だと。これは柳澤大臣もそういうことをおっしゃいましたけれども、十分健全だし、仲介機能についても、自己資本比率が一一%台後半だから、何もお金を貸せない状態じゃないと。つまり、理由に挙げられております金融機関の健全性とかあるいは仲介機能が落ちているという点では、銀行自身がそれを否定しているわけなんですね。  あえて言うならば、それはない方がいいわけだから、早く処理した方がいいわけだから、そうすればマーケットの信頼が高まるだろうとか、それで株はよくなるだろうとか、あえて言えばそういうことはあるけれども、言われているような仲介機能が落ちているということはないと。  また、企業が抱えている過剰債務も、過剰債務を抱えているからお金を借りないんだ、設備投資できないんだと、そういう企業はもちろんありますけれども、全体としては不良債権を抱えていない企業が多いわけですから、そういうところが今資金需要がないのは、やっぱり不況だからだということもこの西川さんはおっしゃっているんですね。  つまり、仲介機能だとか資金需要の問題というのは、実体経済といいますか、現場ではそういうふうにとらえていない。にもかかわらず、とにかく一気に二、三年で処理しろというふうな話になっているというとらえ方です。  例えば、富士銀行の支店長会議の資料も私は見ましたけれども、そこでも同じようなことを支店長を集めて山本会頭がおっしゃっていますけれども、これは政治家とか当局が不良債権処理を早くやれと言っているんだと。それはやらないよりは早くやった方がいい、これによって富士銀としてはこの機会に収益力の増強を図ろう、そういう構えでやろうということを言われているんですね。  実際問題、銀行の国債保有もこの二、三年で一・何倍になっていますし、十分お金を持っている。ただ、不況だから貸出先が今資金需要がないとか、そういう状況になっているというふうに私は現場の方の話を聞くんですけれども、ですから、今不良債権のためにお金が回らないから不況の足を引っ張って景気が冷え込んでいるというのは、現場の人たちの感覚とはちょっと合っていないというふうに思います。  したがって、急いでやる理由というのが、金融機関でさえそういうふうに認識していないと思うんですが、その点はいかがでしょうか、柳澤大臣
  46. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 不良債権の処理を急いでやる理由についてのお尋ねですけれども、その前に、今の大門委員の御質問を聞いておると、不況で一時的に赤字になっているような企業を今回不良債権の最終処理の対象にしているかのような、そういう前提に立ってのお話のようにお聞きしました。  これは全然認識の違いがあるように私には思えるわけでございまして、私どもが最終処理の対象にしているのは、そういう一時的な景況によって一期なり二期なり三期なり赤字にただなっているというような、そしてそれでまた経済情勢が戻ればちゃんとやっていけるような企業というのは、どんなに考えても、要管理先になっているかなっていないか、大体要注意先にとどまっているというような感じの企業でありまして、私どもが今度この不良債権の最終処理の対象にするのは破綻懸念先以下の先でございます。  したがって、破綻懸念先というのはどうなっているかといいますと、もう利息も入らない、また再び利息が入るようなことは考えられないということで、これは税法上も認められているんですが、期限が来てもその利息を未収利息にも計上していない。これはもう再び立ち上がって、そして利息が入るような状況にはなりっこないというふうに認定されるような財務状況にある、そういうようなものが破綻懸念先になっているわけでございまして、これを最終処理しようということを私ども申しているわけで、何か前提がまず違っているようにお聞きいたしました。  それから第二番目に、そういうものを、じゃ、仮に長く持っているということはどれだけの意味があるかということでございまして、私どもは基本的にそれは整理をすべきだと思いますけれども、ただ、その整理のときに、私どもの国ではファイナンスの形態がコーポレートファイナンスということでやりますので、企業全体として見ると破綻懸念先に認定されてしまうような、財務状況も非常に再起が不能のような企業の中でも、なおまだここは技術があるとか、そういうようなことで伸ばしていける面があるじゃないかというのはできるだけ残して、それで企業を再構築して悪いところを切り捨て、そしていいところを将来ともに伸ばせるようなことも想定できないか、そういうことを考えているということでございまして、そういうことだったら早くやればいいに決まっているわけでございます。  また、完全な整理の場合も、先ほど富士銀行の頭取のおっしゃったことで、この際不良債権を整理して収益力の向上に役立てようよというのは、私ども全く健全な経営判断だというふうに思っております。  私ども今、資本注入をしておりますけれども、これもちゃんといろんな形で返済をしてもらわなきゃならないわけでございまして、何よりも今そういったことを考えると収益力の改善というのは喫緊の課題でありまして、そういうことに役立つことは当然一刻も早く始めてもらいたいというのが私どもの考え方でございます。
  47. 大門実紀史

    大門実紀史君 私も前提が違うと思うんです。これはちょっと後で申し上げますけれども、前回も言われたカテゴリーの問題はわかるんですけれども、実態として周辺でいろんなことが起きているという意味で、私はもっと広い範囲で、失業とかそういう懸念が起きているし、実態もそういうのが始まっているという意味で申し上げているので、それはちょっと後でまた中身で確認したいと思いますが。  いずれにせよ、富士銀行も収益力と言っているのはわかるんですが、その前提で、なぜ急がされているのかわからないという言い方をした上で、やれと言うのならば収益力増強で頑張ろうと。そのわからないというところが、政治家と当局が言っているだけみたいな、そういう認識だというところに、理由に挙げられている仲介機能だとかそういうものは当たらないんじゃないかという意味で申し上げているわけです。  もう一つは、二つ目の疑問ですけれども、こうやって急いで処理して、私はもう十二・七兆にとどまらないと。今言ったいろんな被害といいますか、波及被害が広がるという懸念。私だけじゃないんです、これは商工会議所も、中小企業団体みんな表明されておりますけれども、そういうものがあってさらに倒産がふえてデフレになって新たな不良債権が、去年の場合は三兆円ぐらいですけれども、九八年、九九年当時ぐらいの、相当な不況になると言われていますから、また十何兆という新たな新規の不良債権が発生する可能性が私否定はできないと思うんですけれども、結局、一生懸命やってもまた二、三年後に新たな不良債権が目の前にあるというふうなことについて、具体的な検討とかそういう可能性について今はどう思われますか。
  48. 柳澤伯夫

    国務大臣(柳澤伯夫君) 不良債権の新規発生がどういうような背景で生まれてくるかといえば、これはあえてあっさり言ってしまえば経済状況によるというふうに私は思います。  したがって、政府の見通しでいろいろ想定をすることは可能と思いますけれども、経済の見通しを与えたときに、不良債権の発生が幾らになるかという、そういうモデルもまだ私ども知るところではございませんので、経済状況によって不良債権の発生高というのは変わってくるとは申し上げることはできますけれども、さあそれでは幾らになるんだといえば、これは定量的にはなかなかお答えが難しい問題だと、こういうように思います。  ただ、私どもがもう一つこの質問の機会にあえて申し上げたいのは、周辺のところでもそういうようなことが起こっているということの意味でございまして、いろんな働きかけがあろうかと思うんです。  それはどうしてかというと、不良債権の発生というものを各金融機関とも決して好ましいと思っているということではないわけでございまして、私ども緊急経済対策には明確に書かせていただきましたけれども、要管理先を含めた要注意債権、広い意味での要注意債権でございますが、これについてはできるだけ健全化を図るような方向で取り組みをしてもらいたいということを申し上げております。  したがって、これは切り捨てとは全然概念が違うわけでございまして、そういうことではなくて、どういうふうな実務的な処理をしますか、私どもとしては、さっきちょっと申し上げたような、悪いところを切り捨てていいところにして、それをむしろ正常債権に戻していくというようなことでございますが、そういう意味では私は、働きかけがあると先生から指摘をされることについては、私どもの政策との関連で十分想定し得ることだというふうに思います。  いずれにしても、不良債権の発生も、そういう努力の結果として、我々は、これが増嵩してくることについては先手を打ってむしろ防いでいこうと、こういうような姿勢にあるということをちょっと言及させていただきたいと思います。
  49. 大門実紀史

    大門実紀史君 この前、保証協会の全国の幹部の方とお話をして実態を伺ったんですけれども、事例はいっぱいあるんですけれども、よく御存じのとおり、要注意から要管理になるときの引き当て率は高まりますし、さらに破綻懸念先になると今度は非担保部分の七割を積まなきゃいけないということで、そこまで来るとかなり銀行が負担になるものですから、その前の段階で食いとめたいということが起こるわけですね。  そうすると、その前の段階で一番多いケースが、やっぱり条件変更のときに、このときに条件変更したがっているそういう企業を認めるか認めないか。認めて見通しがあればいいけれども、認めないで条件変更に応じないと、そこのところでひとたまりもなくつぶれたりするケースがこの間ふえているということで、これから本格的になればそういうケースがもっとふえるというふうに私思うんです。  私が言いたいのは、十二・七兆のきれいなカテゴリーの部分だけじゃなくて、その周辺部分に対する働きかけがもう始まっておりますし、そこのところで相当の、何といいますか、想定していない被害、中小企業の倒産がふえる懸念が強いということを私申し上げたいわけです。  そういう点では、一生懸命二、三年でやろうと、その後本当にきれいになっているかというのは、わからないといいますか、不況がどうなるかによってだと思いますが、不良債権が新たにたくさん発生した場合は、やった結果また山積みになっているという可能性もあるわけですから、そこのところはやっぱり、厳密にならないのに、こういう荒療治をやるのは私はどうかなというふうに思います。  ですから、柳澤大臣言われたとおり、今本当に現場は、この不況の中で融資でつないで一生懸命やっている中小企業を何とか正常債権に、要注意ぐらいになっているのを正常債権に戻せるように支援するということが、今、実体経済では一番求められていると思うんですね。それが一番基本だと思うんですよ。  それを、逆にみんな引いちゃって、それに銀行として、本来金融機関としてやるべき責務を果たさないで見放していく方向になると、これは逆の現象が起きてしまいますので、そういうところを懸念しているということです。  もう一つわからない、そういう意味でわからないんですが、この前、竹中大臣に、こうやって二、三年でかなりの荒療治をやって、二、三年はマイナス成長になる可能性がある、しかし二、三年先は明るいんだという話をされたので、それは根拠は何だと言ったら、これは学者じゃなくて政治家としてのメッセージですと。  どういう意味かわかりませんけれども、政治家というのはそういうはったりを言うものだというように思われているのか、そういう意味で言われたのかわかりませんけれども、とにかく政治家としてのメッセージだと、厳密な話じゃないというような意味で言われたんですが、大変問題発言だったなというふうに思うんです。  塩川大臣としては、一気にこういうことをやった後の景気の見通しといいますか、どういうふうに考えておられますか。景気が回復するのはどれぐらい先だと思われていますか。
  50. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 一挙に解決というのは、不良債権のですか。
  51. 大門実紀史

    大門実紀史君 いや、景気がよくなるのは。
  52. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 景気回復ですか。  一挙に景気回復ということはなかなかあり得ないと思いますね。やっぱりこれは漢方薬が効くようなもので、じわじわと効いてくるんじゃないかと。  それには、やっぱり私は、今までやってまいりました重厚長大型の経済慣行といいましょうか、システムといいましょうか、制度といいますか、この体制が徐々に変わってきております。ですから、同じ中小企業を見ましても、物すごいもうけている中小企業と、全然もうからぬ、ますます悪くなっている中小企業があるというのは、それはやっぱり、その時代のニーズというか趨勢に合っていっているか合っていかないかの判断によるものだと思っております。  したがって、早く政府としてはその方向を転換さすために努力するという、その指導と努力をするということが大事でして、そのためには、過日も二十数兆円という中小企業特別融資枠をやりましたけれども、あの融資がほとんど実のところは運転資金の補強に使われてしまったような状態になっておるのでございまして、それにもかかわらず、これからも根気よく方向転換への融資なり税制なりというものを進めていって、努力したいと思っております。  したがって、これから小泉内閣が構造改革をやってすぐに景気がよくなるというのではなくして、辛抱強く、二、三年たった後で私はこの効果が必ず出てくると思っておりますので、その間、我々も、増税もしない、何もしないで一生懸命経費の節減をして耐え忍んで、二、三年は健全化の方向へしない、こういうことを考えております。
  53. 大門実紀史

    大門実紀史君 時間がなくなりましたので、二つ質問して終わりたいと思います。  一つはセーフティーネット論ですけれども、これもこの前お聞きしたら、具体的なものはないんだという話でした。  それで、例えばスウェーデンとか北欧モデルというのを調べてみたんですけれども、やはり九五年あたりに不良債権処理をかなり速いスピードでやったんですが、北欧ですから歴史的に雇用保険だとか失業救済システムが違いますけれども、かなりの社会保障は雇用システム受け皿になって、それがあったから逆にスムーズに不良債権処理も進んだというようなことが実際にはあるわけですね。  そういう点では、この間お聞きしていると、セーフティーネットの具体的なものは何もないと。で、この前聞いて驚いたのは、とにかく夢みたいな五百三十万人の新規事業計画と。  ここで私、最初の話に戻るんですけれども、特にサービス部門、サービス業を中心とした新規事業をふやせば受け皿になるんだというのでいろいろ描かれていますけれども、バラ色のニュービジネスを描かれておりますけれども、それはアメリカの例を見ても個人消費が伸びる前提なんですね。個人消費が伸びて初めてそういうサービス業中心の新規事業がふえていると。アメリカなんかは逆に言えば、もちろんネットバブルがあったわけですけれども、需要が伸びてむしろ供給が追いつかなかったというふうになるんですね。  ところが、今やろうとしているのは、供給側ばかりで規制緩和とかすると。ところが、民間需要を伸ばす、家計部門を伸ばす手だてを打たないということですと、本当に新規事業が生まれる可能性というのは、社会科学的と竹中大臣はおっしゃいましたけれども、私は何も根拠がないというふうに思うんですね。こういう点では、セーフティーネット論を本当に真剣に検討しておられないというふうに私は思います。諸外国がやろうとしたことに比べたら非常にずさんだといいますか、絵にかいたもちを並べているだけで、率直に言って、この前詳しく内閣府に質問させてもらってそういうことがはっきりしたというふうに思います。  ですから、いろんな点で不十分ですけれども、一番最後の受け皿が重要だ重要だと竹中大臣も皆さんも言われてきたのに、それを何も具体的なものを用意していない。この点については今の時点であれでしょうけれども、今後どういうふうにされるおつもりですか。
  54. 若林正俊

    ○副大臣若林正俊君) いろいろ御指摘がございました雇用面におけるセーフティーネットは、二つの面で対応を考えるべきものだと思います。現在職を得ている人たちが職を失う、その職を失う人たちに対する対応、それから、新たにこれから拡大していく雇用面、その雇用面に新たな職についていく新規の就労を促進する、こういうことだと思います。  もう既に委員承知のように、雇用のセーフティーネットの整備については、もう施行されましたけれども、改正雇用保険法がこの四月から施行されていますし、改正雇用対策法は十月から施行されることになっておりまして、これらの施策を通じまして離転職者に対する支援の対応は考えているわけであります。今後雇用情勢が悪化していきますと、この改正雇用保険法による雇用保険の支給件数とか、改正雇用対策法による事業主に義務づけられている再就職援助計画の対象となります離職予定者数などが拡大していくでありましょう。これらについては財務省としても適切に対応をするつもりでおります。  さらに、今後の雇用対策については、産業構造改革・雇用対策本部が設けられました。この本部において、新規雇用の創出、新たな就業環境の整備への対応、労働市場の雇用改革に適したセーフティーネットの整備等の検討項目について現在検討されておりまして、近々中間取りまとめが行われる予定でございまして、これらの取りまとめの方向に即しまして、財務省としてもこれを踏まえて適切に対処してまいる、こんな所存でございます。
  55. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  56. 池田幹幸

    ○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、特定融資枠契約法一部改正案に反対する討論を行います。  反対する第一の理由は、大企業に限られていたコミットメントライン契約の対象が中堅企業拡大されることにより、相対的に優位な立場を利用した金融機関によって、不当な融資契約を強要される企業が生まれるおそれがあるからです。  コミットメントライン契約は、通常の貸出金利に手数料を上乗せし、融資からも手数料収入を得ようというものであり、その対象範囲の拡大は、収益至上主義の経営姿勢を強めている銀行の要求でもあります。貸し渋りや貸しはがしの実態に見られるように、銀行と対等に交渉し得る一部の優良企業を除けば、事実上の高金利を甘受せざるを得ないことは明らかです。  対象拡大のねらいは中堅企業にとどまりません。本法律案には、施行後二年をめどに検討を加えるとの条項が改めて盛り込まれており、中小企業への対象拡大に道を開いています。本法律案は、中小企業を含む近い将来のコミットメントライン契約の全面的な解禁に向けたステップの一つであり、このような方向には賛成できません。  反対する第二の理由は、借り手保護策を何ら示さないまま、対象範囲の拡大だけを進めている点です。  一昨年の特定融資枠契約法が対象を大企業に限ったのは、弱者保護の観点からだと説明されてきました。当時の審議の中で、法案の提出者は、適用対象の拡大を念頭に置きつつ弱者保護の手だてを検討することを明言していたにもかかわらず、借り手保護策は置き去りにしたままであります。このようななし崩し的なやり方は認められません。  以上の理由から、本法案に反対します。
  57. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  特定融資枠契約に関する法律の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  58. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 伊藤基隆

    委員長伊藤基隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会