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2001-04-18 第151回国会 参議院 国民生活・経済に関する調査会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十三年四月十八日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  二月二十八日     辞任         補欠選任      高橋 令則君     戸田 邦司君  三月一日     辞任         補欠選任      山内 俊夫君     吉村剛太郎君  四月十七日     辞任         補欠選任      佐藤 泰介君     谷林 正昭君      竹村 泰子君     円 より子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         久保  亘君     理 事                 久世 公堯君                 中原  爽君                 内藤 正光君                 但馬 久美君                 畑野 君枝君                日下部禧代子君     委 員                 加納 時男君                 岸  宏一君                 久野 恒一君                 斉藤 滋宣君                 日出 英輔君                 吉村剛太郎君                 勝木 健司君                 谷林 正昭君                 円 より子君                 藁科 滿治君                 松 あきら君                 西山登紀子君                 大渕 絹子君                 松岡滿壽男君                 戸田 邦司君    事務局側        第二特別調査室        長        白石 勝美君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国民生活経済に関する調査  (少子化への対応と生涯能力発揮社会形成に  関する件)     ─────────────
  2. 久保亘

    会長久保亘君) ただいまから国民生活経済に関する調査会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る二月二十八日、高橋令則君が委員辞任され、その補欠として戸田邦司君が選任されました。  また、去る三月一日、山内俊夫君が委員辞任され、その補欠として吉村剛太郎君が選任されました。  さらに、昨十七日、竹村泰子君及び佐藤泰介君が委員辞任され、その補欠として円より子君及び谷林正昭君が選任されました。     ─────────────
  3. 久保亘

    会長久保亘君) 国民生活経済に関する調査を議題とし、少子化への対応と生涯能力発揮社会形成に関する件について意見表明及び委員相互間の意見交換を行います。  本調査会は、これまで少子化への対応と生涯能力発揮社会形成をテーマに調査を進めてまいりましたが、このたび最終報告書を取りまとめるに当たり、本日は、これまでの調査を踏まえ、委員各位の御意見を伺いたいと存じます。  議事の進め方といたしましては、まず各会派から大会派順にそれぞれ十分程度で御意見をお述べいただき、一巡した後、委員相互間で自由に意見交換を行っていただきたいと存じます。全体でおおむね二時間程度といたします。  なお、御発言はすべて着席のままで結構でございます。  それでは、御意見のある方は順次御発言願います。
  4. 中原爽

    中原爽君 自由民主党中原でございます。  ただいまの課題につきまして意見表明をさせていただきます。  まず、総論的な事項といたしまして、日本は世界一の長寿国でありますし、そして二〇〇〇年の時点で総人口に対します六十五歳以上の人口比率は一七・〇六%となっておりまして、この比率は世界第四位になっているわけであります。このような長寿をもたらしました要因はともかく、現実問題としての国民全体のこの高齢化に対する新たな対応が必要になり、介護保険制度なども出発したところであります。しかし、日本人高齢化にはこの少子化という大きな問題が付随しているわけでありまして、そしてこの少子化高齢化日本人人口動態変化そのものとして見なければいけません。  一九九七年の調査によりますと、婚姻初婚で妻の平均年齢五十歳未満夫婦対象とした結婚持続期間別平均理想子供数、これが二・五三でございました。この平均理想子供数は一九九二年の時点では平均が二・六でありました。要は、夫婦理想として二人以上の子供を持ちたいということであります。しかし、一九九七年の合計特殊出生率は一・三九でありました。この合計特殊出生率夫婦が持ちたいという理想子供数、これは直接比較するべきものではありませんけれども、いずれにしてもこの合計特殊出生率は、十五歳から四十九歳までの各年代女性の方、その年代に応じて何人お子さんはいるかということについての集計結果であります。それが一・三九ということでありますし、この合計特殊出生率の中では御夫婦お子さんは二人以上持ちたいというバランスになるわけであります。こういうことで考えていきますと、結局夫婦が持ちたい理想子供数ということが確保できない、したがって合計特殊出生率との間に、比較ではありませんけれども、乖離があるということになります。  一方、総人口にかかわる一九九八年の調査によりますと、日本の総人口は一億二千六百万人余でありまして、この時点平均人口増加率は〇・二五%であります。これが、一九六〇年から七五年の平均人口増加率を見ますと、当時は一・〇%ありました。したがって、現在、昔の四分の一に減少している、増加率が減っているということになります。さらに、一九九八年の人口置換水準、現在の人口を維持するための水準でありますが、これが二・〇八であります。すなわち、総人口の一億二千六百万人余を維持するためには合計特殊出生率が二・〇八必要であると、こういうことになります。  二十一世紀において、この日本社会経済構造が変化していくわけでありますから、現在の総人口の一億二千六百万人余を維持する必要はないかもしれません。しかし、高齢化を伴うこの現状で年金、医療介護の問題に対処するためには、やはり経済社会構造がどのように変わりましても、この若年者層人口数少子化のままでよいはずがありません。したがって、この少子化社会経済に与える影響については今まで多くの調査研究が行われてきたところであります。  次に、各論的事項といたしまして、この基本的な少子化を改善するということで、出生率を増加するということになります。現実出生対応可能という意味で考えてまいりますと、やはり御夫婦単位ということでなければ即出生対応が可能でないというふうに考えますと、この夫婦単位ということについてどういうふうに考えていくかということであります。  国立社会保障人口問題研究所理想子供数についての調査は、婚姻初婚で妻の平均年齢五十歳未満、先ほどの対象でありますけれども、これがあくまでも調査にかかわる対象として設定された条件でありますけれども、その調査結果は、夫婦は二人以上の子供を持つということを理想としているということでした。このことについて、概略二人以上の子供数が維持されれば総人口も現在に近い一億二千六百万人余が維持されるということの条件を先ほど申し述べました。  さらに、経済企画庁の国民生活白書によりますと、妻が理想の数だけ子供を持ちたい理由ということと、さらに別の国立社会保障人口問題研究所報告書によりますと、妻が理想子供数を持とうとしない理由、こういった理由を、いずれの報告書あるいは白書調査をしているわけでありますけれども、そこへ出てまいります答え、最初に出てまいりますのは、経済的負担が問題である、教育費負担ができない、仕事育児両立が困難である、住宅問題、それから不妊の問題、子育ての精神的なあるいは心理的な負担が多い、こんなような理由が挙げられてくるわけであります。  ここで言っております経済的な負担教育費負担というのは、これは夫婦単位で考えますと、いずれも家計経済の問題であり、三番目に申し上げた仕事育児両立できる状態ということが維持されれば、恐らく夫婦単位としての家計経済が解決されるということになるはずであります。核家族としての夫婦単位を考えた場合、夫婦就業意欲を阻害しない就職、このあり方が大事でありますし、職業能力が、夫婦としておのおのの職業能力が発揮できる雇用の慣行ということが必要であるということであります。これはもう既に多くの調査研究意見が述べられているところであります。  特に、子育てにかかわると考えられます三十歳から四十歳の女性労働力率が低下をしているということでありますから、この全体のカーブがいわゆるM型になっております。これを持ち上げるということについての調査では、この年代女性方々はやはり就職をしたいという希望でありまして、この希望率をM型に加算をすれば、ちゃんとした欧米で見られるような台形の労働力の曲線が出てくるということは御承知のとおりであります。これは男女共同参画社会達成一つ目標である、あるいは指標の一つであるかもしれませんけれども、この基本というのがやはり女性労働力の確保、それから子育て育児両立、この二つができ上がったときに、やはり夫婦の間で第二子、第三子を産みたいという家庭状況が出てくる、これが理想的な形につながるということであろうかと思います。  さらに、住宅問題についても、先般いろいろ御協議をいただいた中で、基本的に家計経済にかかわることとして、いろいろ当面の子育て期間、あるいは子育てのしやすいという適宜な家賃、賃貸を満たすような家族向けの良質な賃貸住宅の提供を早期に図るべきだという御意見も出ているわけであります。  また、不妊の問題でありますけれども、平成十二年度にかかわります厚生省の科学研究費補助金による研究によりますと、過去に五種類程度のいろいろな不妊治療がありまして、それを受けた延べ女性数、それから現在不妊治療を受けている方々女性の方が、数として重複しなければ、総数百七十一万九千名ほどこの不妊にかかわる治療を続けておられるということでありますけれども、このうち実際にこの治療を受けてお子様が生まれた数というのが六十一万三千余例あるというふうに報告されております。  すなわち、不妊治療ということは、夫婦にとっては大変重要なことでありますけれども、純粋に医学的な問題、あるいは治療にかかわる経費、その他関連する社会的、倫理的あるいは法制上の問題、いろいろありますけれども、治療可能な実例がある、六十一万もそういう実例が出てくる。お子様が産めるということであれば、やはりこの点について医療保険とのかかわりや不妊専門相談事業、こういったところをさらに進めていくということが必要ではないかというふうに思います。  まとめといたしまして、今申し上げたのは少子高齢社会対策について、出生率回復を図る際に、まず現在御夫婦であるという、この夫婦単位について二人以上のお子様を持ちたいという御希望があるわけでありますから、これを何とか達成させるということを第一義的に考えてみてはどうかということが、私が申し上げた内容でございます。  以上でございます。
  5. 内藤正光

    内藤正光君 民主党新緑風会内藤正光でございます。会派を代表しまして意見表明をさせていただきたいと思います。  まず、少子化という事象について申し上げさせていただきたいと思います。  少子化に関する今までの議論を振り返ってみますと、一方で産む産まないは個人の自由だ、だから対策は一切講ずべきでないという意見一つにはございます。それに対して、いやいやこのまま少子化が進むと社会保障制度にゆがみが生じ、そしてさらには日本の活力が低下する、何としても対策を講じなければならない、そんな意見があって、これが堂々めぐりを繰り返しているわけでございます。私は、こういった堂々めぐり議論にはそろそろ終止符を打たなければならない、そしてまず少子化原因というものを冷静に見詰めなければならないのではないかというふうに思います。  そこで参考になりますのが、昨年の三月一日、人口問題研究所所長の塩野谷さんの意見陳述があろうかと思います。氏はこのようにおっしゃっておりました。女性社会参加出産育児というのは互いにトレードオフ関係にあると。どちらか一方を立てればもう一方が引っ込むという関係にあると。そして、もしこの関係を、トレードオフ関係を解消できたならば出生率は、当時一・三八と言われていました、一・三八という出生率を一・七八まで回復できるというふうにおっしゃっていました。  私はこの証言には二つの重要な点があると思っております。一つは、女性社会参加に向けた環境整備を進めていけば、まずヨーロッパ並み出生率を回復することはできる、これが一つでございます。そしてもう一つ、しかし幾ら頑張っても人口置換水準、つまり今の人口水準を維持するのに必要な出生率である二・〇八、これには遠く及ばないということです。  つまり、少子化原因には二つあって、一つ経済発展に伴う自然な少子化、そしてもう一つは産みたいのに産めないという社会的な要因による少子化、この二つがあるのではないかと思っております。そして、往々にして少子化に関する議論がかみ合わなかったのは、これらの理由がごちゃまぜに議論されてきたからではないかなと思います。  そこで、私がまず申し上げさせていただきたいのは、自然な少子化に対しては、これは自然体で受けとめ、そして少子社会を見据えた社会あり方なり制度あり方を早急に再構築していく、そんな必要があろうかと思います。  そして一方、社会的な要因による少子化については、これこそまさに社会問題として認識して、国としては具体的な対策、責任ある対策、もっと言うならば、一・三八の出生率を一・七八まで戻すという具体的な対策を講じていく、そんな必要があるんではないかと思います。  そこで、私は今回いろいろ申し上げさせていただきたいんですが、時間の関係で後者の社会的要因による少子化についてこの後述べさせていただきたいと思います。  社会的要因による少子化対策を講じていかなければならないわけなんですが、対策を講じるに当たっての大前提幾つかあろうかと思います。私は大きく言って三つあるんではないかと思いますが、まず一つは、結婚出産はあくまで個人の自由な選択にゆだねられるべきものであること、二つ目は、子供を持たない人あるいは持てない人への十分な配慮が必要であること、そして、と同時に三つ目なんですが、子育てという仕事の大変さあるいは重要さというものについて十分な理解を示すこと、これがまず大前提としてあるんではないかと思います。  そして、この大前提を踏まえて、私は、対策を具体的に立案していくに当たって二本の基本的な柱があるんではないかと思います。二つの基本的な考え方でございます。  その一つは、申し上げさせていただきますと、男女共同参画社会の構築、これはもういろいろ言われておりますので、ここで改めて詳しく私の口から申し上げるつもりはございません。  そして二つ目なんですが、これは特に都市部において起こっていることなんですが、子育てをする母親、あるいはまた父親かもしれません、孤立化して周りに相談する相手もなく、しまいには育児ノイローゼに陥ってしまうというようなことが少なからず起こっております。こういった現状を打開するためにもなんですが、二つ目の柱、二つ目の基本的な考え方として、私は、あるいはまた民主党新緑風会としては、子育てというものを一個人に押しつけるのではなくて社会全体で支え合う仕組みづくり、これが必要だというふうに考えております。  こういった二本の基本的な柱を踏まえて、では具体的な少子化対策とは何なのかということを以下申し上げさせていただきます。よく言われているように、仕事育児両立支援策だとか保育環境拡充整備等々がありますが、私はこの場では二点に絞って申し上げさせていただきたいと思います。  まず第一点目は、子育てに対する資金的な支援をしていくべきだというふうに考えております。  ここで一つ社会保障費について申し上げさせていただきたいんですが、九八年には社会保障費支出額は七十二兆一千億円ございました。その給付対象別の内訳を見てみますと、高齢者向けが六六・三%ございました。それに対して児童並びにその家族向けがどれぐらいあったかといいますと、わずかに三・三%でございました。この児童及びその家族向けというのは、出産育児一時金であったり雇用保険育児休業給付であったり保育所運営費であったり、児童手当あるいはまた児童扶養手当であるわけなんです。  私は何もここでお金を出せばいい、出せば出すほどいいというふうに申し上げるつもりはございませんが、高齢者向けが六六・三%、対する児童家族向けが三・三%という実態を見ますと、私は少子化に対する国の取り組みの程度というものがうかがえるんではないのかなと思います。  そこで、人口問題研究所平成九年度の調査によりますと、理想とする数の子供を持てない理由として幾つかあるんですが、飛び抜けて高いものが三つございます。一番目に高いものは子育て費用が高いということ、これが三六%、重複回答ですから足し算しても一〇〇にはなりませんが、そしてまた高齢等理由、これが三四%、そして三番目が高い教育費、三三%。一番目、三番目はいずれもお金にかかわることでございます。  そこで、具体的な提案なんですが、小児医療完全無料化の実施というものも検討に値するのではないかと思っております。これで幾らかかるのかということなんですが、二月二十三日の岩田政府参考人発言によれば、もし仮に就学前まで、六歳児までの完全無料化を実施した場合どれだけかかるのか。現在の自己負担額は二千億円でございますので、国が全部面倒を見るとしてもその程度で済むということです。  そして、二つ目提案でございますが、現在、健康保険本人負担子供であろうが三十歳、四十歳であろうが一律三割負担というふうになっておりますが、子育てへの積極的な支援という観点から、例えば十八歳までは二割負担、あるいはまた子供が二人いる場合はそれぞれにおいて一割負担等負担軽減措置についても私は検討に値する項目ではないかと思います。  これらによって、先ほど申し上げさせていただきました理想とする数の子供を持てない最大の理由であります子育て費用が高いということ、この子育て費用を軽減できるということに加えて、次の世代を担う子供たちを国も一緒になって全力で支援しているんだという明確な意思表示にもなります。そして、その明確な意思表示安心感へとつながっていくのではないかなと私は考えております。  そして、具体的な対策の二本目でございますが、私は、小児救急医療体制というものを早急に整備していかなければならないというふうに考えております。  さきの対政府質疑でも明らかになったように、小児科を持つ病院の数というのが年々減っております。九〇年には四千百十九であったものが、十年後の九九年には六百以上減りまして三千五百二十八にまで下がっております。これは今も減り続けているというふうに聞いておりますが、このことによって特に夜間の救急体制に支障が生じ始めているというふうにも聞いております。  この根本的な理由は何なのかといえば、大変酷な言い方ではございますが、小児医療というのは手間がかかるだけの不採算部門ということだそうです。こういったことを踏まえて、新エンゼルプランの中では、昨年より三カ年計画でもって、二十四時間小児医療体制を整えた三百六十の医療圏をつくり上げていくというふうになっておりますが、その実態はどうかといえば、ことし、二年目です、二百四十の目標を立てたのに対して、実績達成数はわずかに五十でございます。大変目標実績とが乖離していると言わざるを得ません。  私は、こういった実態を踏まえて、必要ならば財政的な措置も講じながら、二十四時間小児医療体制というものを早急に確立を図っていかなければならないというふうに考えております。  時間も参りましたので、最後に不妊に対する対応を一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。  まず、最小限、最低限の条件として心理的なカウンセリングの充実を図ることは言うまでもございませんが、賛否両論ございます不妊治療に対する健康保険適用についても一言申し上げさせていただきたいと思います。  よくある議論が、不妊治療に対して健康保険適用できるとなると、このことが結果的に不妊に悩む女性に対するプレッシャーになってしまう、だから健康保険適用すべきではないという議論がございます。しかし、もしここでやめてしまったら、私はそれは政治の責任放棄ではないかと考えております。  現実を見ますと、実に現在二十八万五千人もの方が不妊治療をされている。毎年の出生数が百二十万人であるということを考えますと、これは大変な数に上ると言わざるを得ません。そして、一昨年の五月、矢内原参考人もおっしゃっておりましたが、結婚した夫婦の実に十組に一組が不妊症に悩んでいるというふうな証言もございました。こういった方々は、先の見えない不安を抱えながら大変な肉体的そしてまた精神的な苦痛を受け、そしてなおかつ多額な金銭的負担も受けているわけでございます。こういった現状を前にして、これはもう適用すべきではないと一刀両断にするには余りにも酷ではないかと思います。  そこで、民主党新緑風会といたしましては、まず大前提として、女性に対する圧力とならぬよう十分な配慮をすることを前提としながら、不妊治療に対する健康保険適用も今後検討を深めていくべきだ、このことを申し上げさせていただきまして、会派を代表しての意見表明とさせていただきます。
  6. 但馬久美

    但馬久美君 公明党但馬久美でございます。  少子化対策に関する公明党意見表明をさせていただきます。    〔会長退席理事内藤正光着席〕  これまで、当調査会では多くの参考人方々から貴重な御意見を伺ってまいりました。それは大変機知に富んだ、そしてまた当調査会提言をまとめるに当たっても大いに役立つことは申すまでもありません。ただ、少子化問題を考えるとき、余り表に出ない部分、日夜子育てに苦労していらっしゃる、真っ正面からそれを取り組んでいらっしゃる親御さん、また日本じゅうに数多くいらっしゃるそういう方々に対しまして、それを念頭に置いて考えるべきであるというふうに思います。  そこでまず、現場の声をちょっと紹介させていただきます。私どもの同僚議員に寄せられました手紙をここで紹介させていただきます。  こちらは、重い病気が原因で脳に障害をお持ちのお子さんのお母さんからいただいたお手紙です。この方は福岡に在住で、お子さん養護学校に通う際、スクールバスで通っているんですけれども、この状況が極めて悪いということで、その改善を求めていらっしゃいます。  私の校区のスクールバスは、私鉄バスとの提携で普通のバスであります。トイレはもちろん、車いすを乗降させるためのリフトがついていません。運転手が一人と、そしてまた卒業生の保護者一人が添乗員としてついているだけで、この二月に雪が降ったときなど片道四時間もかかって、渋滞と悪天候のため途中でトイレ休憩をとることもできず、じっと座っていられない子供たち、また健康上に問題を抱えている子供たちがいらっしゃって、大変な状況にあると聞いております。バスの停留所も主要幹線道路にあり、屋根はもちろんついておらず、バス停まで車で送るにしても車をとめておく場所もない状況であります。別の学校や他県の学校では、スクールバスは出さない条件で建てた、そういうところや、またスクールバスもないところもあると。こうした状況の中で、ぜひこういう問題に取り組んでほしいというお手紙でありました。このお母様の御不安とまた御苦労はもう本当にどんなものであるかということは察して余りあると思います。  そこで、少子化対策の基本的な考え方として、この方に限らず、多かれ少なかれ多くの親御さんは子育てに疲れていらっしゃったり、また悩みを持ったり、負担を感じているということがもう数々、今までのお話の中でもあります。そうした方々経済的、精神的に援助していくことが少子化対策であると、また当調査会提言をまとめるに当たりましても改めて確認しておきたいと思います。つまり、少子化対策人口をふやそうとか、また出生率を上げようという国家による人口管理政策ではなくて、すべて子供が生まれてきてよかったと心から感じられる社会をつくること、そして親御さんたちが生き生きと子育てに携われる社会をつくること、これが真の少子化対策であると言うべきであると私は思います。  このスクールバスの問題については別途政府に対応を求めていきたいと思っておりますが、こうした現場の声を一つ一つ拾い上げて、子育て支援制度の改善を図っていくことが今後とも必要であります。常に現状を見直して、そしてまたよりよい制度に変えていくこと、つまり少子化対策に終わりはないということです。  そこで、このたび公明党では、こうした少子化対策への取り組みの中で多くの方々からいただいた御意見を集約して二十一の提案をまとめさせていただきました。その内容は、党派を超えて支持できるものも数多く含まれておりますので、ぜひ調査会提言としても盛り込んでいただきたいと思っております。  簡単にその内容に触れてみたいと思いますが、この二十一の提言は四つの大きな柱でまとめられております。  第一の柱が、地域における子育て支援を推進するということです。これは、単なる仕事子育て両立にとどまらず、健全な次世代の育成のために、地域における子育て支援をさらに拡充することをねらいとしております。そのために、集いの広場事業、子育て支援ルーム事業の創設、子育て関係のNPOの支援、幼稚園の活用の充実を提言しております。  第二に、子育て仕事両立を進めるための環境づくりをさらに進めること。これは、昨年度から新エンゼルプランの着実な実施とあわせて、さまざまな施策を推し進めることで子育て仕事両立を進める環境の充実を図るものです。  そのために、保育所やファミリー・サポート・センター、また保育サービス提供体制を早急に実施することや、今国会で審議されております育児休業法改正案に盛り込まれました子の看護のための休暇の努力義務、それをさらに充実して、介護子供看護特別休暇、この制度の創設を目指しております。  さらに、第三の柱として、子供と家庭のためのセーフティーネットの確立と強化。これは、児童虐待のような子育てにおけるさまざまな問題が顕在化していることを踏まえまして、子育ての危機に対応する体制の充実を図って、子育てに悩む親御さんの孤独感や悩みを軽減させることを目的とするものです。  そのためには、児童相談所、児童家庭支援センター、里親制度児童委員の拡充を図る必要があります。単に量的に数をふやすというのではなくて、関係する職員等の専門性を向上させて、さらに相互の連携協力体制を確立することが絶対に必要である。特に、民間との連携でケース・バイ・ケースの柔軟な対応を可能にすることができます。また、この際、例えば里親制度とファミリー・サポート・センターとの相互的運用など、従来の枠にとらわれないで利用者本位の子育てネットをつくることを進めていきます。  そして、第四の柱としては、健やかな子育て支援する医療体制の充実であります。  小児科医療については、お医者さんが足りないとか緊急体制が整備されていないとか、また医療費の負担を軽減してほしいといった声を数多くちょうだいしております。そこで、我が党では、現在、各自治体に任せて行われています乳幼児の医療費の軽減措置を国の責任で進めるために、先ほどもお話がありました六歳までの乳幼児医療無料化の実現を提言します。  また、小児科医療体制の着実な整備や小児科専門医の養成など、お子さんがいつでも安心して医療サービスを受けることができる体制の整備を進めていかなくてはなりません。今回の提言には盛り込まれておりませんけれども、アレルギー性疾患対策や障害を抱えたお子さん支援体制を整備することも今後の大きな課題であると思います。  最後に、子は宝と申しますけれども、それは社会にとっても同じことです。少子化対策子育て支援というのは、単に子供を持つ家庭への援助にとどまらず、次世代を担う人材への投資であるということをきちっと銘記して、目に入れても痛くない存在である子供たち社会全体で育てるということが少子社会を迎えた日本に最も重要な政策の一つであるということは、もう言うまでもありません。  しかし、それにしては、少子化対策は余りにも現在貧弱であると言わざるを得ないのが実情であります。今後とも、自助、共助、公助とバランスをとりながら、少子化対策をますます充実させて、子供を中心に、笑顔のあふれる社会、みんなが生まれてきてよかったという、また育ててよかったと感じられる社会をつくれるよう訴えていきたいと思っております。  生まれてきたからには幸せになる権利がある、そんな当たり前のことを確認しつつ、公明党意見を表明させていただきました。  以上であります。ありがとうございました。
  7. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。日本共産党を代表して、意見表明を行います。  この調査会で三年間にわたって、現在我が国において急速に進む「少子化」の問題について議論を深めてまいりました。しかし、合計特殊出生率が一・三四と過去最低を更新する一方で、保育所待機児童は前年を上回る事態となっています。調査会では、これらの「少子化」の進行が「我が国の社会あり方に深くかかわっている」として、「単に若者の未婚化や女性出産育児の問題としてとらえるのではない」ということが全体の認識として深まってまいりました。  「少子化」問題は、この社会子供を産み育てる力をどんどん失っていることであり、働き続けることと子供を産み育てることをきちんと両立できる社会にしていくことが不可欠であると考えます。「少子化」が日本社会に問うているのは、仕事育児両立できる社会づくり、男女平等と子供たちの全面的な発達を保障できる社会づくりを私たちができるかどうかにかかっているということです。  「少子化」の最大の要因は、日本の政治と社会で、子供を産み育てるという社会を維持していくための条件と環境が余りにもないがしろにされてきたことにあります。国立社会保障人口問題研究所の試算でも、仕事育児両立させる施策をとっていたら七〇年代後半からの出生率は一・九八にとどまっていたという、本調査会参考人から紹介された研究、これは大変注目されるものでした。男女がともに働くことと子育てをすることが人間として当たり前の生活として両立できるよう、職場の労働条件を全体として改善することが急務です。    〔理事内藤正光君退席、会長着席〕  私は、昨年の中間報告に際し意見表明したことを踏まえて、さらに幾つかの点について申し上げます。  第一に、男女ともに労働時間の短縮を進め、変則勤務や夜間労働、家族と離れて生活する配置転換などがないよう、条件を整備すること、また育児休業制度の抜本的な改善を行うことです。  まず指摘したいのは、日本社会における異常な労働時間の長さです。家族そろっての夕食は週に一、二回ということが勤労世帯の平均的な姿になろうとしています。我が党は、サービス残業根絶法案を国会へ提出し、労働時間管理をきちんと行えること、それを労働者に開示してチェックできるようにすることなどを求めて、国会でも何度も取り上げてまいりました。その中で、四月六日に厚生労働省がサービス残業撤廃へ向け通達を出しました。これを政府が徹底し、国民に知らせ、事業主に指導して、サービス残業をなくしていくことがまず求められています。  時間外労働については、一九九五年の労基法改悪でいわゆる女子保護規定が撤廃されたことが、「少子化」を進めることにはなっても解決することにはなりませんでした。時間外労働の百五十時間などの男女共通規制が求められています。  また、今、育児休業、介護休業等の法律の改正案が政府から提出されています。内容はまだまだ不十分で、さらなる抜本的改善が求められていると思います。  育児介護休業中の所得保障については現行の四〇%から六〇%に引き上げること、短時間勤務制度、例えば六時間勤務の創設、また病気や学校行事などを理由にしての家族休暇の創設、育児休業期間の延長、時間外・休日労働の免除請求権を認めること、パートや臨時・派遣労働者にも育児介護休業制度が取得できるようにすることなどが求められています。  第二に、男女賃金格差の是正、女性差別解消を進めることです。  日本の男女賃金格差についていえば、女性の賃金は男性の半分であり、パートを除いても六割にすぎず、格差が広がっているという事実があります。このようなおくれた状況を是正し、男女平等を職場に確立することが求められています。  失業や不安定雇用の拡大は、将来の生活を不安なものにし、子供を産み育てることへの障害になっています。身勝手な「雇用流動化」を規制し、男女とも安定した雇用を保障することが重要です。労働者の四割が女性です。男女の就業機会が平等な国ほど出生率が高くなるのが世界の傾向です。女性の能力が生かせない企業のあり方社会を変えることなしに、「少子化」問題の解決も社会の発展もあり得ません。  第三に、保育サービスの拡充、待機児童の解消は切実な要求だということです。  厚生労働省調べでは、待機児童は一番少ない四月時点でも全国で三万三千人に上っています。十月には五万人前後にカウントされています。仮に六十人定員として、五百五十カ所の保育所増設が求められる規模です。入所申し込みをしなければ待機児童にカウントされない、二十三万人がベビーホテルを含めた無認可保育所に入所している、また、三歳児から五歳児については全児童の三割が保育所に入所していますが、ゼロ歳、一歳などでは全児童の一割程度しか入所できていないことなどを考えれば、さらに十万から二十数万人の保育需要が考えられます。しかし、これに見合った保育所整備計画を政府は持っていません。ベビーホテルでは、大和のスマイルマム、池袋のちびっこ園など痛ましい、あってはならない事故が起こっています。私たちの党は、東京や大阪、神奈川などに保育所状況調査団を送り、懇談を進めてまいりました。安心して預けられる保育所建設を進めることは緊急の課題です。  八〇年代以降、保育所整備のための国庫の補助率が八割から現在五割に下がっていることが保育所の創設を困難にしています。国の保育士の配置基準は、欧米などと比べても二分の一、三分の一です。保育所整備計画の抜本的拡充、保育士配置基準の大幅改善、保育所創設への補助率を現行の二分の一から十分の八に戻すことを軸に、延長保育や一時保育、病児保育などを充実させることなど、公的責任を明確にするべきです。学童保育については、法制化されたにもかかわらず、補助額が余りにも低過ぎます。十分な予算措置を行うべきです。  第四に、子育て世代への経済負担の軽減策を進めることです。  この間、比較的少ない予算で効果的とされてきたのが乳幼児医療費の助成制度です。調査会でも、我が党を初め、国としての乳幼児医療制度の創設について主張してまいりましたが、昨年五月、全会一致で提出された中間報告の提言として、「出産育児にかかる経済負担の軽減」のトップに「乳幼児医療負担軽減」が示されました。我が党の議員の指摘で、乳幼児医療費無料化のために必要となる国庫負担は、六歳未満までで一千二十億円であることが明らかになりました。課題を先送りせずに、乳幼児医療費無料化に踏み出すべきです。  政府が乳幼児医療費助成制度導入に踏み切らない一方で、子育て世代への増税とセットの児童手当「拡充」が行われましたが、児童手当制度研究者からは、「社会保障制度としての児童手当への展望を持たないままに見直しが進められることには危惧を感じざるを得ない」、「児童手当の支給対象年齢が拡大されたが、その財源は前年度に引き上げた税制の年少扶養控除を再度引き下げて財源を確保した。このように税金を工面して財源を捻出しており、児童手当全体を通した一貫した財源確保の方法が確立されていない」と指摘されています。高過ぎる子供教育費や住宅事情の悪さなども解決が求められています。子どもの権利条約の完全実施と児童虐待防止、バリアフリーや環境保全など、安心して子育てが楽しめる条件整備が必要です。  スウェーデン政府の施策について、研究者からは、「少子化対策のその前提として、女性の職場参加を促進した要因として、「短い労働時間と短時間職場滞在。週当たり労働時間は四十時間で、原則として残業なし。平均の年間実労働時間は千五百から千六百時間」という労働環境の特徴を指摘し、「労働環境の整備と女性環境の整備は車の両輪のように並行して推進される必要があった。男性が無理して長時間職場滞在すればそれだけ女性職場は少なくなる」と指摘されています。  日本では、八〇年代以降、男女とも家庭責任を果たせる職場づくりや子供のための予算が減らされてきました。社会保障を欧米のように予算の中心に切りかえるべきです。人間らしい労働条件への抜本的な改善、社会保障の名に値する充実こそが不可欠です。「人間らしい労働と生活」こそ、仕事と家庭を両立できる社会をつくることであり、「少子化」問題を解決するかなめであるということを申し上げて、意見表明を終わります。
  8. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 社会民主党日下部禧代子でございます。社会民主党を代表して意見表明をいたします。  本調査会において、私たちは三年間にわたって、少子化出生率の低下に関する検討及び分析をさまざまな角度から行ってまいりました。それは、とりもなおさず、男性と女性がともに支え合い、喜びと責任を分かち合いながら、自由な生き方を選択することができ、また労働と余暇、職場と家庭、地域社会における調和のとれた生活時間と生活空間を享受できる社会、そしてそのような社会における新しいライフスタイルをいかにして確立するのか、その条件を探る作業でもあったと言うことができると思います。  少子化という現象に凝縮された形で、家族環境、労働環境など、日本社会の抱える深刻な問題が明らかになってきたばかりではなく、家事、育児女性の役割であるという性別役割分担意識に基づく社会システムから脱皮することの必要性と緊急性が改めて確認されたのではないかと考えます。このような認識の上に立って、社民党の考え方及び政策を申し上げます。  政治、経済社会のあらゆる場面に女性が参画することで、一人一人が尊重され、女性も男性も生き生きと暮らせる社会を実現するためには、何よりも、男女共同参画社会基本法を単なる意識改革の精神論ではなく、実効性のあるものとしなければなりません。男女の平等とは、もとより女性の男性化ではありませんし、男性中心のシステムの中に女性が組み込まれることでもありません。固定的性別役割分業を前提とした各法律、雇用制度社会保障制度の見直しが行われなければなりません。  例えば、選択制夫婦別姓の導入、婚外子への相続差別是正、婚姻年齢の男女同一化、女性のみの再婚禁止期間の見直しなど、民法の改正を初めとして、世帯単位の賃金、年金、社会保険、税制度個人単位へと見直しすることなど、女性が自立して生活できる公平な制度を整備することが必要であります。  従来の日本雇用慣行にかわる少子高齢社会の急速な進展に柔軟に対応できる雇用システムを構築するためにも、男女労働者の育児介護、看護など、家族責任と仕事両立に向けた抜本的な支援策を講じなければなりません。子育てと連動、両立した就業形態、給与体系を構築するとともに、労働時間の短縮、分かち合いによるワークシェアリング効果を通じた雇用創出にも積極的に取り組む必要があります。  人間らしい生活と働き方の前提として、社民党は九三年段階から、育児介護休業制度の導入にとどまらず、看護休暇制度の創設による三本柱体制の整備を他党に先駆けて提起してまいりました。現行の育児介護休業制度の抜本改革、全面的な枠組み変更を図る観点から、社民党が提案している家族的責任と仕事両立を確保する法律を早急に制定すべきだと考えます。  その内容は、まず、子供と家族に対する看護休暇制度の新設、ポジティブアクションとして、家族的責任を有する男性に対する強制的な育児休業制度の導入、利用者への不利益取り扱いの禁止などを盛り込んだ法律であります。  育児介護休業をとりやすくする環境整備の一環として、雇用保険法を見直して、休業給付にかかわる所得保障水準を現行の四〇%から六〇%へ引き上げることも重要であります。ペナルティー税制の導入や割り増し賃金率の引き上げなどを検討し、時間外・休日労働、深夜労働等の実効ある規制に取り組む必要があります。  現在、日本労働力の四〇%を女性が占めています。しかし、その多くはパートタイマーであります。パートタイムの七〇%は女性であります。そのパートタイマー女性の約四〇%が非課税限度額百三万円の壁を超えないような形で労働時間を調整しているのであります。したがって、パートタイマーの年収分布は九十万円から百万円の間に位置するということになり、女性平均賃金を引き下げているという結果をもたらしております。均等待遇を確立し、パート労働に賃金、福利厚生などの比例原則の適用を進めるとともに、フルタイム労働とパート労働との双方向転換制度の定着を進めることが必要であります。  さらに、育児介護、家事などをアンペイドワーク、無償労働として評価するために、公的年金の保険料を免除したり、加入期間を加算するなど、制度上確立することが急務であります。  女性の職場からの離脱を阻止し、社会参画を促すとともに、男性が無理なく育児、家事への参加が可能となるためには、子育ての総合的な支援システムの構築が不可欠であります。  社民党は、従来から、待機児童のみならず、乳幼児や病児、障害児など保育を必要とするすべての子供が受け入れられるよう保育所などの新設拡充を進め、必要な保育士、指導員などの身分保障と雇用機会の拡充が重要であると繰り返し主張してまいりました。  社会的な子育ての基盤整備を確実に進めるため、新エンゼルプランを前倒しし実施するとともに、目標を大幅に引き上げた計画、スーパーエンゼルプランともいうべき計画を策定し、保育所などの基盤整備を大胆に進めることが重要であると考えております。  保育所の充実は言うまでもありません。病後児保育の対象を拡大し、制度の周知徹底、利用しやすい制度とすべきであります。また、とりわけ低年齢保育における待機児童を早急に解消することは重要な課題であります。延長保育の一般化や認可外保育所などへの支援を強化し、保育環境を整備することも必要であります。事業所内託児施設を設置する事業主への助成措置を拡充するとともに、施設の新増改築や設備、用具の整備のみならず、保育士を初めとする子育てヒューマンパワーを増員するなど、子育てに関する最低基準や配置基準を引き上げることが必要であります。  福祉と教育の連携が求められる中、学童保育を拡充し、指導員の身分保障、労働条件の確立とさらなる雇用創出を図ることも急がれる課題であります。  また、地域全体で子育て支援を行う観点から、育児不安についての相談、助言、支援を行う地域子育て支援センター及び複雑多様化する子供の問題に対応する児童相談所、児童家庭支援センターを利用しやすいものとし、その拡充が必要であります。  さらに、各地に子供病院を国の責任で整備するなどして、縮小傾向にある小児救急医療の体制を維持、拡充することも急務であります。保育所は……
  9. 久保亘

    会長久保亘君) 日下部さん、時間がかなり過ぎております。
  10. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 どうも、恐れ入ります。  さらに、子供手当の創設ということも必要であります。  以上、安心して子供を産み育てることができる社会のための条件整備について社民党の政策を述べてまいりました。  その前提となっている考え方は、女性及び子供の権利の確立ということにあります。子供たち一人一人がかけがえのない存在として平等であるという憲法、教育基本法、子どもの権利条約を貫く子供の最善の利益を保障するとともに、女性の性と生殖に関する自己決定権を保障することを社民党はあらゆる政策の基本に据えております。  子供は未来への希望のシンボルであります。少子化の最大の原因子供を産むことへの不安だとするならば、日本社会現状が明るい未来を約束するものではないということになるわけであります。希望の持てる未来、活力と魅力のある日本社会への再生の道しるべを私たちは後に続く世代のためにも示さなければならないのであります。  だれもが多彩な生き方を選ぶことができ、人生の最後まで人間としての尊厳を保つことができる社会、男性も女性も一人一人が自己決定と自己責任が可能である社会への見取り図をつくらなければならないのであります。戦後の日本社会を支えてきた経済効率、競争原理に決然と別れを告げる勇気、新しい価値基準とそれに基づく新たな社会システムを構築する情熱と責任感、それらが今私たちに最も求められているものではないでしょうか。  本調査会におきまして、さまざまな分野を代表する参考人方々から貴重な御意見を伺うことを初め、有意義な機会を数多く提供していただきましたことに感謝をいたしまして、私の意見表明を終わります。  ありがとうございました。
  11. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 無所属の会の松岡滿壽男です。  この三年にわたって、会長を中心に事務局の皆さん、委員の皆さん、そして多くの参考人の皆さん方から貴重な御意見を賜り、十分な議論ができたということを大変ありがたいことだというふうに思っております。  しかし、その結果については若干私自身も残念に思う部分があります。  一つは、やはり参議院のあるべき論からこの国民生活経済に関する調査会ができ上がり、数年前に高齢社会基本法というものを出していったわけです。衆議院と違って、長期にわたって政策立案、立法化していくということがやはり参議院の独自性の中で非常に大事な部分だったというふうに思うんです。おととしの暮れに議連で法案を出してきて、去年廃案になり、一つのチャンスが私はこの調査会であったと思いますし、いろいろな機会にその点についての意見も申し上げておったんですけれども、結果的に決議という形でのそういう三年間の実績を実らさざるを得ないということが一つ残念に思います。  それからもう一つは、それぞれの政党の状況からやむを得ないこととは思いますが、しょっちゅう理事さん方がかわられる。やっぱり衆議院の審議と違って参議院は個人というものを非常に大事にしてやっていくべきだと私は持論として思っております。そういう点で、今後の調査会で、また新しいテーマがあると思うんですけれども、反省点にしていただきたいということを要望いたしておきたいというふうに思います。  さて、この少子化問題、当然、高齢社会の段階でこれは裏腹の問題であったわけですから、もっと早く対応すべきであったわけですけれども、高齢化社会の次には少子化とこうやって、今や少子高齢化とやっとセットになっているわけですね。そういう点では、一種の先進国病といいましょうか、非常に難しい問題だというふうに、皆さん方もそう認識しておられるし、私もそう思っておるわけです。  フランスに行きましたときに、フランスの女性の国会議員の方が、豊かになるとやはり人間はエゴイストになるんですという話をされました。非常に私自身耳に残っているし、フランスも一九三三年からいわゆる少子化対策、私が生まれる一年前から七十年近く延々と児童手当その他頑張ってこられてああいう状況ですね。だから、一種の先進国病ということであらゆる手だてを、先ほど来各委員の皆さん方が、意見陳述を各党がしておられたように、特に民主党さんは育児教育費用の問題とか、あるいは小児医療体制の問題とか具体的な提案がありました。  そういう御提案については私どもももちろん賛成でございますけれども、一つには、そういう状況の中で国家の意思としてやはりきちっと出してほしいというのがこの前の参考人意見でもあった。それを出すとすると、やはり一つの立法というものが大きな一つの国家の意思を示す手だてではあったんですが、それにかわる決議という形でまとめていこうということのようですが、そういう一つの国家の意思を明確にするということがやはり一つは大事だし、あとは具体的に、個々の問題についてどう対応するかということも、具体的な手だてを講ずるということがやはり大切であろうと思うんです。  ただ、せんだっても、実は予算委員会で森総理と失われた十年についての意見交換をいたしましたが、既に現在我が国が置かれている状況を見ますと、政治、行政、外交も今、李登輝問題でいろいろとぎくしゃくしておるわけですけれども、一般社会もそうであります。いろんな思いがけない犯罪が頻発をいたしております。さらに、金融、経済、非常に厳しい状況に置かれておる。そのすべてがぎくしゃくとして不協和音を奏でてしまっている。戦後五十年近くうまくいっておった基本ソフトが、国家運営の、やっぱりそのソフトが使えない状況になってきている。新しいソフトをつくっていかなきゃいかぬのだけれども、その中で指導的役割を果たすべき政治が劣化してしまっている。政界再編もうまく進まない。そういう中で、やはりあすに希望が持てない、年金にしても医療にしても、介護の問題についても先が見えない。片方では大変な借金をしているらしいけれども、片方では相変わらずばらまくという形をしている。  だから、一体国の意思というものが、日本の国の形というものがどうなっていくのかと。先が見えない状態で具体的な手だてだけして、果たして少子化対策ができるのか。私は、やはりこの前から、渡らなければいけない橋をやはりきちっと政治の場で提示できるような仕組みを日本がつくらぬ限り、この先の見通しというのはそれほどしっかりしたものが出てこないんじゃないかというふうに思います。そのために我々の責任というのは非常に大きいものがあるというふうに思っております。  ほかの国とほとんど同じ形ですけれども、今まで伺った中で、私は一つ二つ具体的に申し上げると、例えばパラサイトシングルですね、これ一千万人いるわけですよ。最近はもうパラサイト同棲というのもマスコミで取り上げられてきている。  それで、諸外国でいろいろ聞いてみますると、まず、学校を出て就職したら皆独立しているんですね、どこの国でも。ところが、日本は独立しないで両親と一緒にいると。これをやっぱり私は具体的に取り上げるべきだというふうに思うんですね。これは避けて通れないと思うんですよ。  私は何回か冗談に、例えばこれで五百万組ペアリングが成功したら、少々国費を使って結婚奨励金でもいいから具体的な対応を、これは私は、先ほど来皆さん方の御意見を伺っておったら出なかったですから、この問題はひとつやはり何らかの対応をすべきであろうというふうに思います。  それから、結婚しても子供を産める状況ということになると、この前の参考人の中で、夫の育児休暇ですか、この問題はやはり私は大きいと思いますね。それと幼保の一元化、一、二歳、ゼロ歳ぐらいはやっぱり保育でやらざるを得ないでしょうけれども、二歳か三歳ぐらいからもう一元化して、幼児教育、数少なく生まれてきた子供たちをいかに立派に育てるかということに、やはり社会の子という一つの方向性という位置づけをこれはすべきだろうというふうに思います。  それと、夫婦でダブルインカムだと、しかし一・五倍の収入でやれるんだということをはっきり参考人が言われましたね。これにやはり具体的に、例えば夫婦二人で半日程度働いて子供を養える仕組みというものをもっと勇気を持って取り組んでいくことが必要ではないかなというふうに思います。  いずれにしましても、国会でいろんな法案をつくったりあるいはいろんな決議をして、その方向に向けて我が国のために頑張っていこうという環境整備をやはり政治の場でまずきちっとしていくということが、この少子高齢化社会対応する我々の責任だろうというふうに思っております。  全体的に十分以内ということでございますので、この程度で私の意見陳述は終わりたいというふうに思います。
  12. 戸田邦司

    戸田邦司君 まず最初に申し上げておきますが、私がこれから申し上げることは党としてまとめたものではないということであります。  私、少子化の問題をずっと考えてきておりまして、どうしてもその解決方法が見つからないという壁に行き当たっている、そういう状況にあります。  皆さんが今までお述べになられたいろいろな環境整備、これは非常に必要なことではないかと思います。それで、先ほど内藤委員からもお話ありましたが、そういう環境を整備してどこまでそれでは少子化を防げるかといえば、私は人口を維持していくところまでには至らないと思っております。  そもそもの問題を申し上げますと、この日本の国土で適正人口はどれぐらいかという議論日本においてした人はいないと思います。これは政治の場でももちろんいない、いろいろな研究所でもいないと思っております。  私、北欧三国などを見ますと、それぞれの国がそれぞれの人口を何とか維持してきている。そこにはやはりその適正人口というような観念が彼らには基本的にあったと思っております。例えば、ノルウェーで今四百二十五万ぐらいの人口ですが、四百万を大きく超えるとその人口を受け入れるだけの土地がない、産業もない、そういう考え方が彼らの根底にはあると思います。ですから、今から百年ぐらい前からアメリカに大分移民しておりまして、ノルウェー系のアメリカ人というのは今四百万人いる、こう言われておりますが、やはり人口の、許容人口といいますか適正人口といいますか、そういう観念を我々もこれから考えていかなければならない、そういう時代ではないかと思います。  それで、いろいろその条件を整えていくことはこれは一〇〇%必要なことであろうかと思いますが、戦後の歴史をたどってみますと、そういうものが全く整っていなかったときに人口はふえてきたわけです。そういうものを整えなければならないというときに人口がこれから減っていく、そういう現実の問題に直面していると、そういうことではないかと思います。  例えば、職場内の託児所、これは北欧などを見ますと大学まで託児所があります。もちろん国会にもあると。そういうようなことでありましょうし、それから私は前から人口の減少傾向について、日本の就業体制、特に労働時間の問題は非常に大きな影響を与えてきたと思っております。ですから、先ほどオーバータイムに対しての課税の問題が出ておりましたが、禁止税的な税金を課している国も現実にありますね。例えば、オーバータイムに対して五〇%の税を課す、二時間を超えるオーバータイムに対して一〇〇%の税を課す、つまり禁止税的な税を課している国があります。  ですから、そこまで考えないと、これから家族がゆっくり団らんを持つとか、それから家族で過ごすとか、そういうような時間がとれない、そういうことではないかと思っておりますが、それはあくまでも条件整備の問題で、先ほどの問題に立ち戻りますと、戦後の歴史を見まして政治は何を考えてきたかといいますと、GDPがふえてそれで右肩上がりに日本の成長が達成されてきたとき、これは政策も成功した、政治は成功していると、こういう認識を我々は持ったと思います。  しかし、現実にその中で国民一人一人の生活のレベルがどうなったか、生活の傾向がどうなったか、そういうような分析をきちっとしたことはなかった。ただ成長だけが政治の成功のように言われてきたという傾向は否定できないと思います。  それで、今後の問題として、そこをどういうふうに考えていくか。私は、戦後、日本人口が約五割ふえた、これは一方でふえ過ぎではなかったかと、こういう思いをしております。人口を云々するといいますか、人口をふやしたり減らしたりと、これは調節可能な問題ではないんですが、これから少子化が進んでいくことについて、少子化自身も大人のエゴではないかと思います。少子化対策というのも大人のエゴではないか、そういう思いが深いわけです。少子化で何が困りますかと。これは社会保障の負担が困るとか、そういった現実的な問題であって、だから少子化を防がなければならないという議論が非常に多過ぎやしないか、こういう思いもしております。  ですから、これからの家族の生活あるいはコミュニティーをどういうふうに形成していくかということを考えた場合に、今、都会で子供を持って子供を幸せに育てられるかと問えば、私は一〇〇%イエスと言う人はいないんじゃないかと思います。それから、日本の住宅を考えたって、北欧社会などと比べますとはるかに劣っている。そういうことも大きな要因一つではないか、こう思いますが、幾らその条件を整えても少子化を防げないときに来ている、私はそういう思いを強く持っております。  ですから、これから少子化を防ぐために根本的に何を考えなければならないかということについて我々はまだ回答を持っていない、こういう思いを深くしております。  以上であります。
  13. 久保亘

    会長久保亘君) 以上で各会派意見表明は終わりました。  これより委員相互間の意見交換を行います。  御意見のある方は、挙手の上、会長の指名を待って発言されますようお願いいたします。  なお、午後三時ごろをめどとさせていただきます。  それでは、御意見のある方は挙手をお願いいたします。
  14. 加納時男

    ○加納時男君 ありがとうございます。加納時男です。  各会派の御意見を伺いまして、それぞれごもっともな御主張だと思います。  少子化の背景というところにきょうは焦点があって、まとめに入ると思っておりますけれども、中原委員が冒頭に言われました六つの要因、経企庁とか人口問題研究所調査に基づくものとして提示されたこの六つの要因はそのとおりだと思います。  その中で、だけれども、濃淡があるというか、我々の取り組む姿勢としてちょっと区分できると思うのは、例えば経済的負担教育費の問題、それから住宅の問題、この三つをまず挙げられたと思うんですが、この三つはいずれも私は経済的な問題だと。経済的な要因であり、決して否定はしませんけれども、経済的な問題だということは解決可能、対策は可能だと思います。現実幾つかの手は打たれておりますし、状況も変わりつつある。  よく教育費が大変だと。特に、大変な進学競争もありまして、塾の費用が大変だとか教育費が大変だという話があったんですが、大きく世の中変わってきております。少子化の影響もあったんでしょう、入学試験が非常に楽になりつつあります。だから、もうえり好みさえしなきゃだれでも大学へ行けるという時代でございますから、無理に塾へやることはない。特定の大学と特定の学部だけが入るのが難しいというのは引き続き続くと思いますけれども、むしろ大学冬の時代で、つぶれていく時代でございますから、いかに生き残るかというときなので、進学のための過大な教育費負担ということはないだろうと。むしろ今、家計調査や何か見てみますと、そういう純粋教育費じゃなくて、教養費といいますか、おけいこごとだとかそういったところにお金がかかっているというのが事実のようでございます。  そういうので、一言で言うと、この三つの経済的な要因は解決が可能であり、しかも手が打たれつつあり、また状況も変わりつつあると思います。楽観して言っているんじゃないけれども、少し違うんじゃないかと。  それから、その次に出てきた不妊の問題というのは非常に深刻な問題だと思っています。ある意味では心理的、心理学的な医学的な問題でもございます。  これは、各委員が御指摘なさったように、カウンセリングですとか不妊治療だとかといった非常に微妙な問題がありますから、慎重にしっかりやっていかなきゃいけない問題だと思います。  さてそうすると、残ったのが仕事育児両立、あるいは子育ての精神的負担というふうに分類されたものだと思います。  これについては、内藤委員女性社会的進出と出産育児の間にトレードオフがあるという見解を引用されてその対策を述べられ、そしてこれは環境条件を整えることで合計特殊出生率は一・七ぐらいまで回復できるんではないかという見解を披瀝されたのは非常に印象的でございました。  私はこの問題は非常に大事な社会的な問題だと思っています。これに関して、但馬委員の方から三つのアプローチ、自助、共助、公助という御指摘があって、私は全面的に同感でございます。まさにこの三つが大事だと思います。  自助という面でいうと、各委員から触れられたことで触発されて申し上げますと、私は一番大事なのは意識の改革、暮らしの改革かなと思っております。特に育児とか、出産は男性はちょっとできないんですけれども、育児女性仕事、家事は女性仕事という思い込みが余りにも多いことを参考人の方からもいろいろ承りました。我々も含めまして、男女がともに家庭を一緒につくっていくんだ、家事とか育児というものは男女が共同してやっていくんだという意識の改革と、言葉だけじゃなくて実践活動が大事だろう。  子供を持つことには私は光と影がある。影というのはリスクですね。子供を持つことによる、病気をするとか、不良になっちゃう可能性があるとか、学校へ行ってどんなことになるとか。私も子供四人しかいません、しかいないというと変ですけれども、四人いるんですけれども。それで実感いたしましたけれども、本当にいろんなリスクがありますが、そのリスクを上回る光があるということがほとんど社会的に報じられない。報じられている出来事は影の出来事、十六、十七の犯罪のこととか、そんな話ばかりでございますけれども、子供がいて本当に家庭というものが楽しい、よかったというような実例を我々も国会の場でももっと大きな声で言うべきだし、何でも告発型にあれがいけない、これがいけないじゃなくて、こういういい話もあるということもぜひ社会に訴えていきたいと思っているところでございます。それからまた、メディアもぜひそういうことも報道するようにお願いしていきたいなと思います。  それが自助の話。みずからやるべきではないか。  公助の話としては、当然、皆様から御指摘のあったとおり制度の改革が重要だろうと思っています。これは育児休業の充実ですとか、私も今孫の保育園で走り回っているところでありますが、延長保育、それから学童保育というのがあるんですね、小学校行っても、行ったばっかりは、後保育園から切れちゃうんで。学童保育だとか、まさに地域に密着してそんな活動をやっておりますけれども、そういったことが非常に大事ではないだろうかと思います。  公助というのは、そういう制度的なものが、お互いに助け合っていくということが大事だろうと。  それからもう一つ、共助というのがあるだろうという但馬委員の御指摘で、おっしゃるとおりだと思います。  例えば、多世代の住宅を隣接してつくる。前にこの席で言ったらすぐ否定されちゃったのが、何か家計を親子一緒にするとお嫁さんがかわいそうだとかそんな意見があるので、家計は別よと。それから、スープの冷めない距離に多世代が一緒に住むということ、私、今その実験をやっているんですが、例えば私の場合ですと、娘が大学の教師をやっているんですけれども、朝早くから大学の場合、医学系なものですから実習があったりして行っちゃうわけですね。そうすると、もう保育園にみんなで交代で送り迎えをする、その合間を縫って私どもの家のところへ近いですから遊びに来ているというようなことで、何か多世代がいることによっていわば、私は高齢者という言葉は使わないんですが、長寿者、長生きしている人も孫を育てる生きがいがあるし、孫を抱えている親の方も安心して仕事ができる、こういったともに助け合うというようなこともあるのではないか。  それは、家庭の中だけじゃなくてコミュニティーでもあるんじゃないか。今、小学校が一方で廃止になっています。この施設をただつぶすんじゃなくて、ただマンションにして売るんじゃなくて、こういったところで長寿者の方々の憩いの場とそれから若い方の保育の場と隣接してくっつける。くっつけることによって多世代の触れ合いができる。みんなで助け合っていくというようなコミュニティープラザをつくっていくというようなこともあるんじゃないだろうか。  五分たちましたのでこのぐらいでやめますけれども、大体こんなようなことで、皆様方のお話は非常に参考になった、ぜひいい方向でまとめていただくようにお願いをいたしたいと思います。
  15. 円より子

    円より子君 私は、ひのえうまの年に合計特殊出生率が一・五八に下がって、その後相当回復したのが、またひのえうまの年でもありませんのに一・五七になって、列島じゅう一・五七ショックというのになってからもう十年以上がたったと思うんですが、その間、さまざまな方々経済界の方、また国会の方々、そして行政の方々が何とか少子化を食いとめようということでさまざまな策を練っていらした。そして今、加納先生もおっしゃったように、住宅関係、教育コストのこと、保育所のこと、そして男女共同参画社会になればという形で少しずつ対策は練られてきたわけですけれども、結局合計特殊出生率は回復していない。これは何なのかと思うときに、まず、日本が豊かになったと言われますけれども、本当に豊かな社会なのか、豊かというのはどういうことなのかというところから考えなきゃいけないと思うんですね。  例えば、ついこの間、育児休業を取得するかどうかというアンケート調査がこども未来財団でございましたけれども、男性も機会があれば取得したいと思う人はすごく少なくて、ただ育児休業があるといいなと思う人は男女ともいるんですが、なぜ積極的に取得をしないのかというと、男性の方では「仕事の量や責任が大きいから」、また女性の側は「収入が減少して家計に影響するから」というのを一番に挙げているんですね。それから次には「職場で理解が得られない」ということがありまして、結局、少子化が困るとはいいましても、企業では子育てに男の人がかかわるということに対して大変消極的な考え方しかまだない。  つまり、これは男女共同参画といろいろ言われても、固定化された性別役割分担を前提とした少子化対策しか考えてなくて、どうしても女性社会参画をしたときに、子供が少なくなるから、じゃ女性社会参加子育て両立するにはどうするかという視点でからしか私は今まで考えてこられなかったんじゃないかという気がするんですね。  そうじゃなくて、男性も女性も、出産女性しかできなくても、子育ては一緒にできるんだからというそれを前提にしながら企業のあり方とか働き方、それはワークシェアリングや短時間労働や、また男女ともに深夜労働等はなるべく避けていくとか、それから職住近接の住宅をつくるとか、通勤を和らげるような方策を抜本的に立てるとか、そういうものをしない限り、女性の側だけに目を向けていてはこの少子化というのはなかなか私は解決しないんじゃないか。  そういう意味では、例えば少子化は悪というふうにとらえる前提もおかしいのではないかと思いまして、高齢者が再就職しやすいように、また女性子育ての後いつでも再就職ができるように年齢差別撤廃法などをつくるとか、外国人の働き方を考えるとか、そういうことを考えますと高齢者の就職にも、また外国人の就職にも優しくない社会、そして女性だけに子育てを負わせようとする社会、これは決して私は豊かな社会とは言えないんじゃないか。夫婦別姓もだめ。それから、子供にも優しくない、豊かでない社会。つまり、親の条件子供を差別しています。これでは婚外子への差別がなかなか撤廃されませんし、一人親家庭の子供たちへの差別もまだありますし、そういったことを考えますと、適正人口がどういうものかを考えれば、少子化は悪だという考え方はまず撤廃することです。  それから、固定化された性別役割分担を前提としていないか考え直すこと。また、子供というものを将来の日本社会を支える労働力としてやはり見ている部分がある。また、仕事重視の考え方が根強い。これを変えるには、先ほど言いましたように男性が育児休業をとれば、当然男性の方が収入が高いものですから、家計に影響するということでとれない。今全体にその年に子供が生まれた夫婦の場合に、夫の側が育児休業をとったのは何と今〇・四二と一%にも行かないような状況なんですね。これを改める。これは意識の問題でもありますけれども、行政の方でここの育児休業のときの有給部分をふやすということは十分考えられることだと思います。  また、子供の人権を尊重する、そして女性とそのパートナーの自己決定権を尊重する、こういったところにもう一度、もちろんいろんな方、こういったことも言っていらっしゃるんですけれども、立ち返ってこの少子化という問題を考えない限り、私は一・五七ショックから十年以上たって、この合計特殊出生率が回復していないわけですから、もう一度その前提の部分を根本的に考え直さない限り、女の人たちはどうもこの社会に対して優しくない社会女性子供に優しくない社会という本音のところが、いろんな対策を立てても違うんじゃないかということは敏感に感じておりまして、妻たちのというか女たちの静かな反乱というのは多分とまらないんじゃないかという気がしているんですね。  アリストファネスの「女の平和」の時代から変わらず、やはり企業戦士が働き過ぎている、そうしたものに対するノーが続くんじゃないかというふうに思いまして、男の方たちが子育てにかかわること、きょうは残業できません、子供が熱を出したから迎えに行かなくてはと言えるような社会にしていかなきゃいけないし、江戸時代の、前にもこの調査会でお話ししたかもしれませんけれども、江戸時代に奉行所に勤めていたお父さんが、妻が出産をして上の子供たちの面倒を見られないときに、もちろん地域の人たちも手伝いに来てくれていますけれども、男の子や女の子を奉行所に連れていって、そして夜勤のときには歌を歌い、昔話を聞かせて寝かしつけて、そして夜回りをして、昼間は障子に穴をあけてお父さんが白州で犯人を裁くのを見ていなさいと言って仕事の現場を見せるような、そういう職場に子供を連れてきて子育てをやっていた、家事もやっていた、そういう時代、武士として男の人たちがたくさん存在していたことを考えれば、明治からの富国強兵で男の人が本当に仕事で親の死に目にも会えない、子供が病気でも保育園にも行かない、それを美学だと思うような生き方を私はこれから変えない限り、少子化はとまらないんだと思っております。  もう一つ、議連での少子化対策基本法案の話が出ておりましたけれども、調査会でこういったものをまとめられたらよかったという御意見は大変賛成ですが、ただし議連でつくられたものは、産めよふやせよの発想が根底に流れておりますことや、それから個人の自由な選択というものが消えておりまして、「国民は家庭や子育てに夢を持ち、かつ安心して子供を産み育てることのできる社会の実現に資するよう努めるものとする」という「国民の責務」が強調されておりますので、もしこちらで立法としておまとめになるときは、その本音のところが大事でございますので基本法として私は議連のつくられたものはふさわしくないと思いますので、ぜひこれはお取り上げにならないように御要望申し上げて、私の意見は終わります。
  16. 西山登紀子

    西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。  最終報告をまとめるに当たりまして幾つか御意見を申し上げたいと思います。  党の基本見解は畑野理事が述べたとおりでございます。  私は、少子化問題の解決の第一歩というのは社会全体がこの問題を正面に据えて取り組むことだと痛感をしてまいりました。本調査会少子化問題をテーマに設定をいたしましてさまざまな角度から客観的、科学的、また実践的な調査を重ねた結果、昨年五月の提言を発表することができましたけれども、これは大変時宜を得た取り組みであったというふうに思っております。  私たち各地で少子化シンポというものに取り組んでまいりましたけれども、私はこの提言をまとめました委員の一人として、党の立場と完全に一致するものではありませんけれども、国会の超党派の努力が実ったものとしてこの提言を積極的に紹介をしてまいりました。いろんな方に後で感想文なんかを出していただきますと、例えば産まないのは自由だけれども、産みたいのに産めないのは問題だねとか、子供に優しい政治はだれもが安心して暮らせる世の中そのものです、少子化は政治の問題、解決できないのは個人の責任ではないのですねというふうな、改めて少子化問題についてその背景だとか、あるいは原因などがよくわかったというふうな御意見をたくさんちょうだいしております。  国会がこの問題を正面に据えて取り組む姿勢を示すことによって、政治の問題として広く受けとめられ、解決に前向きに向かおうという力が生まれているということを実感しております。三年間の報告をまとめるに当たって、本調査会がこうした国民の願い、とりわけ若い男女の願いとエネルギーにこたえ少子化問題を深く解明して、その真の国民的解決方向を示す責任があるというふうに考えます。  その立場に立って幾つかの意見ですが、この一年間の本調査会での調査は、とりわけ家庭と仕事両立、それが少子化対策のかぎを握るという観点で深められたというふうに思います。二十一世紀は男女ともに仕事子育て両立できる社会でこそ希望が持てるのではないでしょうか。問題は、では、そのような社会をどのようにして実現をするかという道筋です。  一方で、昨年、男女共同参画基本法が成立をいたしました。昨年の暮れには国の基本計画もつくられまして、これから地方でもこういう計画が義務づけられる、こういうことになりました。この法案や行動計画の中に本調査会調査をしてまいりました少子化対策をきちっと位置づけていくということが大事なことではないでしょうか。とりわけ、本調査会で明らかにもなってまいりましたが、日本雇用と労働の国際的に見ましても異常な実態、こういう問題について私は深くメスを入れていかなければならないというふうに思っております。  端的に特徴づけますと、たくさんありますけれども、私は二つ女性の側から言いますと、いわゆる労働力率というのがM字カーブになっているという問題。男性の側から言いますと、これは総務庁の調査でも育児の時間は一日平均二十三分、こういうふうに出ているんですけれども、こういう事実に端的に特徴づけられますように、やはりこれは極めて男女いずれもが働くことと、出産育児両立できないという厳しい雇用や労働実態を示しているのではないかと思うのです。これは、いわゆるグローバルスタンダードという言葉を政府は好きですけれども、こういうグローバルスタンダードというものからは非常に極端にかけ離れたような実態というものは私は国際的には通用しない、早くこういう問題を解決しなければいけないのではないかというふうに思っています。  具体的に申し上げます。一つは、男性の働き方を変えて育児に参加するようにすべきだという意見が多く出されました。これは新しい時代の流れにしていかなければならないと思っております。調査会で育時連の田尻参考人の御意見というのは、私はとりわけ大事ではないかというふうに思っております。日本の男性労働者が声にするかどうかは別にして、このような思いを持っているのではないかと思うわけです。  中でも、田尻参考人の御意見ですけれども、例えば今の育児休業法、短時間勤務のところにフレックスタイムでも可というふうにあるけれども、育児時間の短時間制度というのはやはり独立させて義務化していただきたい。そうでなければ女性だけがずっと育児をやっていて、男性はもう毎日企業戦士で遅くなっているという例がありますけれども、一歩進んでやるにしても、きょうはお父ちゃんがいて子供に食わせる、お母ちゃんはずっと残業をしているという繰り返しのようで、母子家庭と父子家庭が繰り返されるようなことになっては困る、やはり短時間勤務にあわせて夫婦がいて子供がいてという団らんを組めるようなものでないとだめじゃないかという御意見も述べていらっしゃるわけです。  さらに田尻参考人の御意見では、会社の中で男性が育児に参加をするということで上司の理解を得るということは極めて難しい、どうしても会社だけの論理じゃなくてそこに国としてのもの、やっぱり企業の前に立ったら個人は弱いですから、そこに国の意思を入れていくという必要性がある、こういうようなこともおっしゃっておりますし、育児休業を男性がとる場合にも男女の賃金格差をもっと埋める、こういうことが必要だというように御発言をなさっているわけです。私は、こういう点の参考人意見をやはり真摯に受けとめていきたいと思っております。  これにはやはり法的なルールがどうしても必要でありまして、企業の都合を優先させるという両立の道ではなくて、本当に労働者、家族の人間らしい営みを保障する、そういう観点が必要ではないかと思います。  二つ目の問題として、女性の働き方の問題でも深められた問題がございます。それは、経済的な保障の問題なんですけれども、いわゆる機会費用の問題がこの調査会で提起をされまして、私も大変勉強になったわけでございます。将来女性出産育児によって損失する機会費用、これは国民生活白書などでは一人四千四百万円もの損失になるという数字が出ているわけですけれども、女性の生涯の自立の問題として極めて重要な問題ではないでしょうか。いまだに女性の賃金は男性の約六割という差別賃金に加えまして、この出産育児によって女性が損失をこうむるという機会費用の問題。では、この女性の損失は結局一体だれのもうけにつながっているのかといいますと、結局出産育児という形を終えて女性を再雇用する場合には安いパート労働者として、無権利な状態で企業は雇用をするわけでございます。ということで、これは日本の企業のもうけにつながっているのではないかとすら思うわけですけれども、この女性の機会費用をこのまま放置しておいては少子化の問題は解決しないではないかと思います。  清家参考人も私の質問に答えて、女性の機会費用というものは政策的に減じることができるというふうにも述べられました。また、八代参考人は、かといって企業負担をふやさない方向で解決をする方がいいというような御意見もございましたけれども、私はこの少子化対策の問題として、保育所などの充実はもちろんのことですけれども、こういう企業責任で必要な経費をきちっと負担をさせる、つまり労働者を雇用する場合にはその一人一人の労働者の、例えば労働力の再生産という場合にはやはり家族を育てるということも含めての労働力の再生産費用、これはやっぱり企業がきちっと社会的な責任として負わなければならない。もちろん、企業だけで十分でない場合には、広く国の制度として負担を分かち合ってこそ、これからの二十一世紀、女性が働きながら結婚子育ても選択して安心だなというふうなことになるのではないかというふうに思います。  例えば財源の問題ですけれども、私は今経済産業委員をしているんですけれども、この間、産業再生法というものが通りました。この一年間で調べてみますと、上位十社で二万三千人の縮減、いわゆるこれは首切りでございますが、二万三千人の労働者が縮減をされた。そういう企業に対して、政府は二百二十億円もの支援をしております。ちなみに、一人縮減、首切りをするのに百万円の支援をしているということになるわけです。  私は、企業のもうけのためにリストラ協力金を出すというぐらいなら、子育てを可能にするためにこそ支援をすべきではないでしょうか。抜本的な予算の組み替え、つまりいわゆるゼネコンや大企業や、あるいはむだな公共事業にお金を使うのではなくて、もっと子育てやあるいは男女の労働と育児両立できるような方向にこそお金を使うという抜本的な政治の改革というのがやはり不可欠ではないかというふうに思っています。  最後に政府の姿勢について一言、少し厳しいですけれども、御意見を申し上げたいと思うわけです。  乳幼児医療の助成制度につきまして、昨年五月の提言の中には、子育て経済支援の項の第一項に位置づけております。ところが、本調査会で政府のその提言の実行状況についての御報告がありましたけれども、その報告には、検討する意思がないといいますか、やらないという報告であったわけです。それでも試算をしてくださいと言えば、千二十億あればできるという試算も出したわけでございます。六歳までの無料化ですね、やれば。  ところが驚いたことに、東京新聞の四月十六日の夕刊に載っているんですけれども、政府は、各都道府県が自主的にやっているわけですけれども、窓口で無料にしている自治体に対しては国庫補助を減額するという、まさにこれはペナルティーをかけております。もちろん東京都だけではありません、私が質問のときに取り上げました岐阜県の笠松町、こういうところでも、窓口で直接無料にしているようなところには国庫補助を減額すると。理由は、「窓口で無料化すると、その影響で(安易に子どもを病院にかからせる人が増え)医療費の出費が増えてしまう。」、これが理由だというのですから本当に聞いて驚くわけでございます。  この乳幼児医療の助成制度というのは、地方自治体が厳しい財政の中でも、しかし少子化対策として、生まれてくる子供たちの命、あるいはこれから出産しようとする若いお父さんやお母さんに安心してもらうために一生懸命努力している制度でございます。国がやるべきは当然であるにもかかわらず、やっているところにペナルティーをかけてそれを邪魔するというのは一体どういうことでしょうか。  本調査会で真剣に議論をしている、こういう調査会の姿勢に対して政府の態度が余りにもひど過ぎるのではないかというふうに、これは委員の皆さんも与党の皆さんも含めて一致する思いではないかと思うので、ぜひこういう点につきましては政府みずからがしっかりと改めていただいて、できるところからもちろん一緒に力を合わせてやっていくということで、ぜひ私たちも頑張りたいと思います。
  17. 久保亘

    会長久保亘君) ほかに御発言ありませんか。
  18. 久野恒一

    ○久野恒一君 自民党の久野恒一でございます。  皆様方、真剣な御討議の中で、本当に参考になることがたくさんございました。皆様それぞれの立場でもってこれからの少子化問題をどうするか、その中で私非常に参考になったのは、戸田先生が大人のエゴだと、そして松岡先生がフランスにおいての例を挙げまして、七十年かかってもこの少子化問題にはなかなか到達できないんだということを印象深く聞かせていただきました。  私の言いたいのは、余り高尚な話はできませんけれども、私自身が医者であるために、どうしてもそちら側の、サービス提供側の方からこの問題を考えてしまうわけでございまして、例えば保育相談センターあるいは託児所だとか、そういうところは休んでもボランティア活動でもって維持できるかもわかりませんけれども、どうしても、小児救急医療というものを充実させていくということ、一行でぱっと書かれておりますけれども、これはなかなか現実は不可能でございます。  例えばうちの地域におきましても、小児科を置いた方が便利だということでもって小児救急病棟でもつくろうかなんという話をしたわけでございまして、そういたしますと、これは医者が三人必要なんです、小児科の専門医が。というのは、朝昼晩と二十四時間救急に備えていなければならないもので。また、一病棟必要でございます。大人はばい菌に対して抵抗がありますから、そういうことに対してはどういう感染が、ばい菌が降ってきてもそれに耐え得るんですけれども、小児の場合にはばい菌に対する抵抗が弱いもので、本当に無菌病棟にしておかなきゃ、一つの病棟をつくっておかなければならないということになりますと、非常に資本投下が大変でございまして、それをつくるということは地方の病院あるいは産児救急の病院でも非常に不可能に近いものであると、そういうふうに認識しております。  したがいまして、うちの方の茨城県の田舎の方かもわかりませんけれども、そういうところではなかなかでき得ない問題であるというふうに思います。各県で一個できれば、周産期センターが一個できればいい方でございまして、それに対してどういう対応をしていくのかという問題であろうかと思います。そういう意味におきまして、そこの医者が本当に育児休暇とか介護休暇とか看護休暇なんといってもとれるはずがないんです。とられちゃうと何としても困っちゃうわけです。そうすると、スペアで置いておくかというと、やはり専門医ですからそうスペアはきかない。  そうなりますと、本当に介護保険導入時にも、介護はかくあるべきとは言っても、実際に離島あるいは医療過疎地域にああいうものをつくってもなかなか利用が不可能ではないかな、一言でもって。話がダブって申しわけございませんけれども、介護問題も今になっていろんな問題が出てきた。また小児救急体制も今から考えておかなければなかなか難しい問題が含まれているということをどうしても強調して、この委員会でもって法律案としてまとめる場合には、そこのところを踏み込んでサービス提供側にも配慮した文言を入れていただきたい、そういう気持ちでもって発言させていただきました。  どうもありがとうございました。
  19. 中原爽

    中原爽君 先ほど戸田委員からお話がございましたけれども、日本の国の総人口はいかにあるべきかということでございますが、私も基本的に戸田先生の御指摘に賛成でございます。  先ほど私も、日本社会経済構造が変化していく場合に、現在の総人口の一億二千六百万を維持する必要があるのかどうかということを申し上げました。これで考えていきますけれども、しかし、現在は人口置換水準、要するに現在の人口を維持するための水準というような計算をしておるわけでありますけれども、それで数字を出して、それが本当に正しいのかどうか、その数字が意味があるのかどうかということも追加で申し上げておきたいと思うんです。  ですから、少子高齢社会が進んでいきます、それを御指摘のように無理に直すということ、直せれば直せるでいいんですけれども、このままの状態が続いていったときに、これから先の、総人口を含めて社会構造をどう変えていくかという逆の何というんですか調査をするというようなことも必要でないかというふうに思いますので、戸田先生の御意見に賛成だということを申し上げておきます。
  20. 久保亘

    会長久保亘君) ほかにございませんか。  以上で委員相互間の意見交換を終了いたします。  委員各位には貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。本日、お述べいただきました御意見は、後日作成いたします最終報告書案に反映させていきたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十分散会